JP4108279B2 - 電子部品実装方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレイなどの部品格納手段に格納された電子部品を移載ヘッドによってピックアップして基板に実装する電子部品実装方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品実装装置において、半導体チップなどの電子部品を供給する方法として、トレイフィーダを用いる方法が知られている。このトレイフィーダでは、電子部品は板状のトレイに平面状態で格納され、さらにトレイはマガジンなどの容器に多段積みで収納される。そして電子部品のピックアップ時には、マガジン内のトレイを引き出し部によって引き出し、この引き出し部をピックアップ位置まで移動させることにより、トレイからの電子部品のピックアップが行われる。
【0003】
各電子部品のマガジン内での配列位置は予め部品位置データとして記憶されており、実装対象の電子部品が指示されるとこの部品位置データに基づいて当該電子部品の位置が検索され、上述のピックアップに際してはこの検索結果に基づいてマガジンから引き出すべきトレイが特定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電子部品実装装置の種類として一体的に移動する複数の移載ヘッドを備えたマルチヘッドタイプが知られている。このマルチヘッドタイプでは、マガジンが配列された電子部品の供給部と基板との間を移載ヘッドが1往復する1実装ターンにおいて、複数の電子部品をピックアップして基板に実装できることから、作業効率を向上できるという利点がある。
【0005】
ところがこのようなマルチヘッドタイプの電子部品実装装置において、前述のマガジン内に多段積みされたトレイから異なる種類の複数の電子部品をピックアップする場合には、それぞれの移載ヘッドによるピックアップ動作毎に、異なるトレイから電子部品をピックアップしなければならない。このため、ピックアップ動作毎に、トレイをマガジンから引き出して移載ヘッドによるピックアップ位置まで移動させ、ピックアップ後には当該トレイをマガジン内の元の位置に戻し入れるトレイ入れ替え動作を反復する必要がある。従来のマルチヘッドタイプの電子部品実装装置による電子部品実装方法では、このトレイの入れ替え動作を伴う部品のピックアップ動作に時間を要し、生産性の向上が阻害されるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、部品のピックアップのための動作に要する時間を短縮し、生産性を向上させることができる電子部品実装方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の電子部品実装方法は、マガジンに段積して収納されたトレイを引き出し部によりこのマガジンから引き出してピックアップ位置へ上昇させ、一体的に移動する複数の単位移載ヘッドを備えた移載手段によってトレイに格納された電子部品をピックアップし基板に実装する電子部品実装方法であって、前記電子部品のマガジン内での位置を示す部品位置データを、マガジン内に多段積みで収納されたトレイの上下方向の配列位置に基づいて決定される記憶アドレスに従って部品位置記憶部に記憶させる部品位置記憶工程と、前記部品位置データに基づいてマガジン内での各電子部品の位置を部品位置検索部によって検索して当該電子部品が格納されたトレイを特定し、このトレイを前記引き出し部によりマガジンから引き出してピックアップ位置へ上昇させる工程と、前記移載手段の各単位移載ヘッドによって複数の種類の異なる電子部品を所定順序に従って順次ピックアップして保持するピックアップ工程と、ピックアップ後の各トレイを前記引き出し部によりマガジン内の元の収納位置に順次戻し入れる工程と、前記移載手段を移動させて各単位移載ヘッドに保持した電子部品を基板に実装する実装工程とを含み、前記ピックアップ工程において、1つの単位移載ヘッドによって電子部品をピックアップしたならば、前記部品位置記憶部における当該電子部品の記憶アドレスを起点として、次の単位移載ヘッドによってピックアップされる電子部品の位置を検索するようにし、前記検索は、マガジンへのトレイ戻し入れ完了時点において前記引き出し部が存在する高さ位置に最も近接した位置にあるトレイから優先的に行うようにした。
【0010】
本発明によれば、マガジンから複数の単位移載ヘッドを備えた移載手段によって電子部品をピックアップするピックアップ工程において、1つの単位移載ヘッドによって電子部品をピックアップしたならば、部品位置記憶部における当該電子部品の記憶アドレスを起点として次の単位移載ヘッドによってピックアップされる電子部品の位置を検索するようにし、この検索は、マガジンへのトレイ戻し入れ完了時点において引き出し部が存在する高さ位置に最も近接した位置にあるトレイから優先的に行うようにしたので、部品のピックアップのための一連の動作に要する時間を短縮することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の側断面図、図2は本発明の一実施の形態のトレイフィーダの断面図、図3は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の部分断面図、図4は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図、図5、図6は本発明の一実施の形態の電子部品実装方法における電子部品取り出し動作の説明図である。
【0012】
まず図1を参照して電子部品実装装置について説明する。図1において、電子部品実装装置1には部品格納手段としてのトレイフィーダ2が連結されている。トレイフィーダ2は電子部品が格納されたトレイを多段積みにして収納し、電子部品実装装置に備えられた移載手段である移載ヘッド3によるピックアップ位置に供給する。移載ヘッド3はピックアップ位置に移動したトレイから電子部品をピックアップし、基板4へ実装する。ここで、移載ヘッド3は3つの単位移載ヘッド3A,3B,3Cから構成されたマルチヘッド(図3参照)であり、単位移載ヘッド3A,3B,3Cは、図示しない共通の移動機構により一体的に移動する。移載ヘッド3がトレイフィーダ2と基板との間を往復する1実装ターンにおいて、各単位移載ヘッド3A,3B,3Cに備えられた吸着ノズルによって3つの電子部品を保持し基板4に実装することができる。単位移載ヘッド3A,3B,3Cは、移載ヘッド3に備えられた複数の部品保持手段となっている。
【0013】
次に図2を参照してトレイフィーダ2の構造について説明する。トレイフィーダ2はキャスター13によって横移動自在に支持されたベース部材14にフレーム15A,15Bを立設した構造となっている。フレーム15Aにはマガジン収容部20が固着されており、マガジン収容部20内には、2個のマガジン21が収容されている。マガジン21内には多数のトレイ25が段積みされている。マガジン収容部20の背後には扉22が設けられ、マガジン21の取り付け、取り出しが行えるようになっている。
【0014】
フレーム15Bにはモータ16および送りねじ17を備えた昇降部18(昇降手段)が配設されており、昇降部18を駆動することにより、引き出し部19が昇降する。引き出し部19はマガジン21内に収納されたトレイ25を引き出し、上面に保持する。引き出し部19を上昇させることにより、引き出し部19に保持されたトレイ25は、電子部品実装装置1の移載ヘッド3によるピックアップ位置に移動する。
【0015】
マガジン21の上方には、実装されずに排出される電子部品を収容する排出部23が配設され、さらに排出部23の上方には、電子部品がピックアップされた後の空のトレイ25の取り出し、および電子部品補給後のトレイ25の再投入を行う補給部24が配設されている。
【0016】
マガジン21内に収納されたトレイ25には、電子部品が多数格子状に格納されたトレイが装着される。なお、ここではトレイ25を保持するパレットの図示は省略している。引き出し部19は図示しないトレイ移動機構を備えており、トレイ移動機構によりマガジン21内のトレイ25を引き出し部19上に引き出し、またマガジン21内に押送して収納することができる。
【0017】
引き出し部19の上昇位置は、移載ヘッド3による電子部品のピックアップ位置となっており、マガジン21から引き出されたトレイ25は、引き出し部19を上昇させることにより電子部品実装装置1の移載ヘッド3のピックアップ位置に供給される。そして移載ヘッド3によってピックアップされた電子部品は、実装部に位置決めされた基板4に実装される。
【0018】
次に図4を参照して電子部品実装装置の制御系の構成を説明する。図4において、CPU30は全体制御部であり、プログラム記憶部31に記憶された各種プログラムに従って以下に説明する各部によって行われる動作・処理を制御する。プログラム記憶部31は各種の動作や処理のプログラムを記憶する。データ記憶部32は、基板4の実装座標データや電子部品種類データ、基板4に実装される電子部品の実装順序を規定する実装シーケンスデータなどの各種のデータを記憶する。
【0019】
部品位置記憶部33は、部品格納手段であるトレイフィーダ2内における電子部品の位置を示す部品位置データを記憶する。図3に示すように部品位置記憶部33のメモリ34には、トレイフィーダ2内での電子部品の位置を示す部品位置データを記憶する記憶領域34aが設定されており、記憶領域34a内では、トレイフィーダ2内での電子部品の格納配列、すなわちマガジン21内に多段積みで収納されたトレイ25の上下方向の配列位置に基づいて決定される記憶アドレスに従って各電子部品の位置が記憶されている。したがって、トレイフィ−ダ2内の電子部品の配列順序と、部品位置記憶部33における記憶順序とは対応関係にある。
【0020】
部品位置検索部35は、実装シーケンスデータによって指定された取り出し対象の電子部品が、トレイフィーダ2のどの位置に格納されているかを、部品位置記憶部33に記憶された部品位置データを検索することにより特定する。そしてこの検索によって特定されたトレイ25を引き出し部19によって引き出し、ピックアップ位置まで移動させることにより、移載ヘッド3は取り出し対象の電子部品をピックアップする。機構駆動部36は、移載ヘッド3の移動機構や引き出し部19を昇降させる昇降機構などの各機構部を駆動する。
【0021】
この電子部品実装装置は上記のように構成されており、以下電子部品実装動作におけるトレイフィーダからの電子部品取り出し動作について、図5を参照して説明する。実装動作の開始に先立って、当該実装動作において必要な電子部品を格納したトレイ25がマガジン21内に収納されるが、このとき、トレイフィーダ2のマガジン21内におけるトレイ25の配列位置(従って各トレイ25に格納された電子部品のトレイフィーダ2内での配列位置)を示す部品位置データが入力され、部品位置記憶部33に記憶される(部品位置記憶工程)。
【0022】
実装動作が開始されるとまず部品の取り出しが行われる。図5(a)において、移載ヘッド3がトレイフィーダ2側へ移動し、ピックアップ位置の上方に待機する。そしてこの状態から、3つの単位移載ヘッド3A,3B,3Cによってそれぞれ種類が異なる電子部品を、実装シーケンスデータによって示される所定順序に従ってピックアップして保持する(ピックアップ工程)。
【0023】
まず図5(b)に示すように、単位移載ヘッド3Aによって電子部品Paを取り出す。すなわち、部品位置記憶部33に記憶された部品位置データを部品位置検索部35によって検索し、当該電子部品Paが格納されたトレイ25aを特定できたならば、引き出し部19が当該トレイ25aの高さ位置まで下降する。次いでトレイ25aをマガジン21から引き出し、引き出し部19がピックアップ位置まで上昇することにより、図5(c)に示すように電子部品Paを格納したトレイ25aは単位移載ヘッド3Aによるピックアップ位置まで移動する。そして単位移載ヘッド3Aによる電子部品Paのピックアップが行われる。
【0024】
この後、電子部品が取り出された後のトレイ25aを保持した引き出し部19は、図5(d)に示すようにトレイ25aの元の収納位置まで下降し、マガジン21内にトレイ25aを戻し入れる。そしてこの後、次の単位移載ヘッド3Bによる電子部品Pbのピックアップ動作に移行する。このとき、引き出し部19はピックアップ位置まで上昇せずこのままの位置にある。これと並行して部品位置検索部35では、次にピックアップされる予定の電子部品Pbの検索が行われる。このとき、部品位置記憶部33では、当該トレイ収納位置に対応する記憶アドレスを起点として部品位置データの検索が行われる。
【0025】
すなわち、図6に示すように、引き出し部19がトレイ25aを戻し入れたマガジン21の高さ位置を起点として、マガジン21内において上下に収納されている各トレイ25中に、取り出し対象となる電子部品Pbが存在するか否かを部品位置データ上で順次検索する。そして電子部品Pbを格納したトレイ25bが特定できたならば、引き出し部19は当該トレイ25bの格納高さ位置まで移動する。そして、電子部品Paの取り出し時と同様に、引き出し部19による当該トレイ25bの引き出し、ピックアップ位置への移動、単位移載ヘッド3Bによる電子部品Pbのピックアップおよび取り出し後のトレイ25bの戻し入れが行われる。
【0026】
次いで単位移載ヘッド3Cによる電子部品Pc(図示省略)のピックアップが行われるが、この場合においても同様に、部品位置検索部35による電子部品Pcの検索においては、トレイ25bの収納位置に対応する記憶アドレスを起点として、部品位置データの検索が行われる。そして3つの単位移載ヘッド3A,3B,3Cがそれぞれ電子部品をピックアップしたならば、移載ヘッド3は基板4上へ移動し、各単位移載ヘッドによってこれらの電子部品を順次基板4に実装する(実装工程)。
【0027】
すなわち上記電子部品の取り出し動作においては、1つの単位移載ヘッドによって電子部品をピックアップしたならば、部品位置記憶部33における当該電子部品の記憶アドレスを起点として、次の単位移載ヘッドによってピックアップされる電子部品の位置を検索するようにしている。これにより、各単位移載ヘッドによる電子部品のピックアップ動作毎に引き出し部19を上昇させることなく、トレイ戻し入れ完了時点において引き出し部19が存在する高さ位置に最も近接した位置にあるトレイ25から優先的に検索が行われる。
【0028】
従って、次のピックアップ予定の電子部品が近接した位置にあるトレイ25に見いだされた場合には、引き出し部19はわずかな距離を移動するだけで取り出し対象のトレイ25にアクセスすることができ、各単位移載ヘッドによるピックアップ動作毎に引き出し部19が昇降動作を反復する従来の取り出し動作と比較して、電子部品のピックアップのための一連の動作に要する時間を短縮して、生産性を向上させることができる。
【0029】
なお上記実施の形態では、電子部品格納手段として電子部品を平面状態で格納したトレイ25をマガジン21内に多段積みする方式のトレイフィーダ2の例を示したが、このような構成以外にも、複数のトレイを平面状に並置する場合であってもよい。さらには、トレイ単体内に複数種類の電子部品を所定配列で格納する場合であっても、電子部品のトレイ内での位置を示す部品位置データを、トレイ単体内における電子部品の格納配列に基づいて決定される記憶アドレスに従って作成することが可能であれば、本発明を適用することができる。
【0030】
また上記実施の形態では、移載手段である移載ヘッド3に複数の部品保持手段としての単位移載ヘッド3A,3B,3Cを備えた例を示しているが、移載手段として複数の吸着ノズルを備えた1つの移載ヘッドを用いてもよい。この場合には、各吸着ノズルが部品保持手段となる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、マガジンから複数の単位移載ヘッドを備えた移載手段によって電子部品をピックアップするピックアップ工程において、1つの単位移載ヘッドによって電子部品をピックアップしたならば、部品位置記憶部における当該電子部品の記憶アドレスを起点として次の単位移載ヘッドによってピックアップされる電子部品の位置を検索するようにし、この検索は、マガジンへのトレイ戻し入れ完了時点において引き出し部が存在する高さ位置に最も近接した位置にあるトレイから優先的に行うようにしたので、部品のピックアップのための一連の動作に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の側断面図
【図2】本発明の一実施の形態のトレイフィーダの断面図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の部分断面図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法における電子部品取り出し動作の説明図
【図6】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法における電子部品取り出し動作の説明図
【符号の説明】
1 電子部品実装装置
2 トレイフィーダ
3 移載ヘッド
3A,3B,3C 単位移載ヘッド
4 基板
21 マガジン
25,25a,25b トレイ
33 部品位置記憶部
35 部品位置検索部
Pa,Pb 電子部品

Claims (1)

  1. マガジンに段積して収納されたトレイを引き出し部によりこのマガジンから引き出してピックアップ位置へ上昇させ、一体的に移動する複数の単位移載ヘッドを備えた移載手段によってトレイに格納された電子部品をピックアップし基板に実装する電子部品実装方法であって、前記電子部品のマガジン内での位置を示す部品位置データを、マガジン内に多段積みで収納されたトレイの上下方向の配列位置に基づいて決定される記憶アドレスに従って部品位置記憶部に記憶させる部品位置記憶工程と、前記部品位置データに基づいてマガジン内での各電子部品の位置を部品位置検索部によって検索して当該電子部品が格納されたトレイを特定し、このトレイを前記引き出し部によりマガジンから引き出してピックアップ位置へ上昇させる工程と、前記移載手段の各単位移載ヘッドによって複数の種類の異なる電子部品を所定順序に従って順次ピックアップして保持するピックアップ工程と、ピックアップ後の各トレイを前記引き出し部によりマガジン内の元の収納位置に順次戻し入れる工程と、前記移載手段を移動させて各単位移載ヘッドに保持した電子部品を基板に実装する実装工程とを含み、前記ピックアップ工程において、1つの単位移載ヘッドによって電子部品をピックアップしたならば、前記部品位置記憶部における当該電子部品の記憶アドレスを起点として、次の単位移載ヘッドによってピックアップされる電子部品の位置を検索するようにし、
    前記検索は、マガジンへのトレイ戻し入れ完了時点において前記引き出し部が存在する高さ位置に最も近接した位置にあるトレイから優先的に行うことを特徴とする電子部品実装方法。
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