JP4108155B2 - 熱可塑性エラストマー組成物およびそれを用いた成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性エラストマー組成物であって、強度、柔軟性、押出成形加工性に優れ、かつ熱融着性に優れたものを提供するものであり、また、この熱可塑性エラストマー組成物を異型押出成形した成形体およびこの成形体の端面同士を熱融着したガスケットを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
建材用ガスケット、自動車部品や家電部品等の種々の部材で、柔軟性を要する箇所には、従来、加硫ゴムが主として用いられていた。
しかしながら、加硫ゴムであると、成形加工性が不十分で複雑な形状の部品には適用することが困難であった。
そこで、熱可塑性樹脂のように成形加工性に優れつつ、柔軟性を有するものとして、所謂、熱可塑性エラストマー組成物に代替されることがある。
そのような熱可塑性エラストマー組成物としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴムとポリプロピレンからなるオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、軟質塩化ビニル等が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの材料であっても、異形押出成形性、柔軟性、経済性、リサイクル性等の面でそれぞれ欠点を有し、必ずしも満足のいくものではなかった。
例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴムとポリプロピレンを単純にブレンドしたタイプのオレフィン系エラストマーは、比較的安価で耐熱性、耐候性に優れるものの、柔軟性、圧縮永久歪特性、異形押出性に劣る。
そこで、このような問題を解決するためにゴム成分を部分的に、または完全に動的架橋したポリオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物が提案されている。しかしながら、この改善された熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、耐熱性、圧縮永久歪には優れるものの、ゴム成分を架橋するという工程を含むため、その製造方法に制約があり、しかも煩雑である。また、この熱可塑性エラストマー組成物を押出成形すると、ダイスに残渣、所謂メヤニが生じたり、異形押出成形した場合に、成形品の表面がざらついたり、また、コーナー部やエッジ部等の鋭角な部分を円滑に成形することが困難であるという問題がある。
また、ポリウレタン系エラストマーは柔軟性、加工性が劣りかつ高価であるという欠点を有する。
また、軟質ポリ塩化ビニルは、比較的安価で成形加工性にも優れているが、硬さの温度変化が大きく低温での柔軟性に問題がある。また、圧縮永久歪も大きいため用途が制限される。また、近年、廃プラスチックの処理問題で焼却時の塩化水素発生の原因となるポリ塩化ビニル系の樹脂は、その使用が制限されてきている。
【0004】
また、柔軟性、異形押出成形性に優れるものとして、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加誘導体(以下、水添ブロック共重合体と略記する)を用いたエラストマー組成物の提案がなされている。例えば、特開昭50−14742号、特開昭52−65551号各公報には、水添ブロック共重合体にゴム用軟化剤およびポリプロピレン系重合体を配合した組成物が開示されている。しかしながら、これらの組成物はオレフィン系エラストマーよりも異形押出性は優れているものの、熱融着性が悪いという問題が残っている。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、動的架橋のような煩雑な方法によらず、柔軟で強度、異形押出成形性、熱融着性に優れ、かつ、べたつきの問題のない熱可塑性エラストマー組成物、およびそれを用いた成形体、特に端面を熱融着したガスケットを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の物性を有するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体と特定の水添ブロック共重合体及び鉱物油系ゴム用軟化剤からなる組成物が前記目的にかなったものであることを見出し本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
(a)結晶性プロピレン系重合体部と、非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部とからなり、それらの全共重合体中に占める該非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部の割合が30〜75重量%であり、示差走査熱量計による融解温度の主吸熱ピーク温度Tmpが120℃〜150℃であり、結晶化温度の主発熱ピーク温度Tcpが85〜105℃であるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体100重量部に対し、
(b)下記特性(イ)(ロ)を有する一般式A−(B−A)n−(ここでAはモノビニル置換芳香族炭化水素の重合体ブロック、Bは共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックであり、nは1〜5の整数である。)で表されるブロック共重合体の水素添加誘導体を50〜75重量部と、
(イ)MLMFRが0.1g/10分以下
(ロ)重合体ブロックBがブロック共重合体中の90〜40重量%
(c)鉱物油系ゴム用軟化剤が前記成分(a)100重量部に対して50〜75重量部と
を有することを特徴とするものである。
【0008】
この際、(a)成分中の非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部のプロピレン含量は50〜80モル%であることが好ましい。
また、一般式A−(B−A)n−で表されるブロック共重合体のAがスチレンの重合体ブロックであり、Bがイソプレンの重合体ブロックあるいはイソプレンとブタジエンの共重合体ブロックであることが好ましい。
さらにまた、鉱物油系ゴム用軟化剤としてはパラフィン系ゴム用軟化剤が好ましい。
このような熱可塑性エラストマー組成物は異形押出成形に適しており、例えばその成形体の端面同士を熱融着してなるガスケットに好適なものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる成分(a)は、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(以下「BPP」という)であり、結晶性プロピレン系重合体部と、非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部からなる。
結晶性プロピレン系重合体部としては、ホモポリプロピレンまたはプロピレンと他の少量のα−オレフィンとのランダム共重合体などが挙げられる。
一方、非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部としては、プロピレンと他のα−オレフィンとの非結晶性ランダム共重合体(α−オレフィン共重合割合は10モル%以上)が挙げられる。上記の他のα−オレフィンとしては、炭素数2〜12(ただし、3を除く)のものが挙げられ、具体例としては、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは1種類でもよく2種類以上を混合して使用することもできる。
【0010】
また、BPP中に占める非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部の割合は30〜75重量%が好ましく、特に40〜70重量%が好適である。尚、本発明でいう非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部の割合は、BPPを温度130℃でパラキシレンに約1重量%溶解した後、25℃に冷却したときの溶解した成分の量を測定することにより求めたものである。
さらに、本発明のBPPとしては非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部のプロピレン含量(Fp)が50〜80モル%であることが望ましい。
さらに、本発明で用いるBPPとしては、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される主吸熱ピーク温度Tmpが120〜150℃であり、結晶化温度の主発熱ピーク温度Tcpが85〜105℃であることが望ましい。
Tmpは125〜148℃がより好ましく、とりわけ、130〜145℃が好適である。Tmpが120℃未満では得られる熱可塑性エラストマーにベタツキが生じやすくなるともに耐熱性に劣る。一方、Tmpが150℃を超えると組成によっては熱融着性が悪化する。
Tcpは87〜100℃がより好ましく、とりわけ88〜98℃が好適である。Tcpが85℃未満では押出成形性が悪化する。一方、105℃を超えると組成によっては熱融着性が悪化する。
なお、示差走査熱量計(DSC)を用いるTmp及びTcpの測定方法は、試料を250℃に昇温して融解した後、降温速度20℃/分で−30℃まで冷却したときに得られる発熱ピーク曲線から主発熱ピーク温度Tcpが求められる。次いで、−30℃で5分間保持した後、昇温速度20℃/分で250℃まで昇温したときに得られる吸熱ピーク曲線から主吸熱ピーク温度Tmpが求められる。
【0011】
本発明のBPPはプロピレンおよび他のα−オレフィンをチーグラー触媒等の存在下でバッチ重合、多段重合等の方法により製造することができる。例えば、多段重合では、まず、チーグラー触媒等の存在下でプロピレンを重合することにより結晶性プロピレン系重合体を生成させ、次の段階でプロピレンと他のα−オレフィンの混合物を重合させ非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体を生成させる。
【0012】
本発明で用いられる成分(b)は、一般式がA−(B−A)n−で表されるブロック共重合体を水素添加処理して得られる水素添加誘導体であり、上記一般式において、Aはモノビニル置換芳香族炭化水素の重合体ブロック、Bは共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックである。nは1〜5の整数である。
重合体ブロックAを構成する単量体のモノビニル置換芳香族炭化水素としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−及びp−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、スチレン、α−メチルスチレンが望ましく用いられる。
重合体ブロックBにおける共役ジエン単量体はブタジエンもしくはイソプレンが好ましく、また、両者の混合物でも良い。
【0013】
JIS K7210の表1の条件10に従い、温度200℃、荷重10kgの条件で測定したブロック共重合体のメルトフローレート(MLMFRと称する)は0.1g/10分以下、好ましくは0.01g/10分以下が必要である。MLMFRが0.1g/10分を超えると組成物の破断強度及び圧縮永久歪等の力学特性が著しく低下するとともに成形品がべたつき易くなるため、好ましくない。
また、ブロック共重合体中の重合体ブロックBは、ブロック共重合体全体に占める割合が90〜40重量%であることが好ましい。共重合体ブロックBが40重量%未満の場合は、ブロック共重合体が水素添加された後のエラストマー性を保持し難くなり、90重量%を超えた場合は、機械的強度に劣るため好ましくない。
これらのブロッグ共重合体の水素添加誘導体において、重合体ブロックB中の共役二重結合の少なくとも50%以上、好ましくは80%以上が水素添加されたものが好ましい。この様なブロック共重合体の水素添加誘導体としては、例えば、市販されている株式会社クラレ製のセプトン(商品名)等を用いることができる。
【0014】
成分(a)と成分(b)の混合比率は成分(a)100重量部に対して、成分(b)10〜200重量部、より好ましくは20〜150重量部であり、成分(b)が10重量部未満では得られる熱可型性エラストマー組成物の柔軟性が不足するとともに異形押出成形性が悪化する。成分(b)が200重量部を超えた場合は流動性が著しく低下するとともに、異形押出成形性が悪化し、熱融着性が悪化する。
【0015】
本発明の成分(c)として用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は本発明の熱可塑性エラストマー組成物の流動性および柔軟性を向上させる目的で添加されるものである。鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組合わさった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系と呼び、ナフテン環炭素数が30〜45%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区分されている。本発明の成分(c)として用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は、上記区分でパラフィン系およびナフテン系のものであり、芳香族系の軟化剤は成分(b)との分散性の点で好ましくない。特に本発明の成分(c)としてはパラフィン系のものが好ましく、更にパラフィン系の中でも芳香族環成分の5%以下のものが特に適している。
【0016】
本発明の組成物に配合される鉱物油系軟化剤の量は、成分(b)100重量部に対して30〜200重量部、好ましくは50〜180重量部である。20重量部未満の配合は組成物の流動性および柔軟性に劣り、200重量部を超えて配合した場合には、成形品にべたつきが生じるため、好ましくない。
【0017】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては性能を損なわない範囲で、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、マイカ、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック等の無機充填剤を配合することができる。配合量としては本発明の成分(a),(b),(c)の合計100重量部に対して通常60重量部以下が適切である。更に、必要に応じて酸化防止剤、耐侯性安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、防徴剤、難燃化剤、加工性改良剤、顔料等の添加剤を配合することができる。
【0018】
溶融混練装置としては、開放型のミキシングロールや非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等従来より公知のものが使用できる。これらのうちでは、非開放型の装置を用いるのが好ましく、窒素等の不活性ガス雰囲気中で混練することが好ましい。
【0019】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、一般に使用される熱可塑性樹脂成形機で成形することが可能であって、押出成形、カレンダー成形、真空成形、射出成形等の成形法が適用できるが、特に異形成形品等のコーナー部やエッジ部等の鋭角な部分など複雑な成形品の成形加工性、異形押出性において優れている。
本発明の異形押出成形品としては、(1)中空異形品(プロファイルパイプ、中空プロファイル、チェンバープロファイル等)、(2)開放異形品(開放プロファイル等)、(3)複合プロファイル(セクショナルプロファイル、インサートプロファイル等)、(4)ソリッドプロファイル、(5)その他(ネット、リブ付きパイプ等)などが挙げられる。
使用分野としては家電部品(パッキング、ホース、OA機器パネル、エッジ材など)、自動車内外装部品(ドア・インスツルメントパネル等)、建材部品(窓枠フレーム、外壁材、シャッター、雨樋など)、土木、農業資材(中空板材、コルゲート板材、ハニカム材、ジョイナー、ネット、コルゲートパイプなど)等が挙げられる。
また、本発明の組成物は、とりわけ、異型押出成形性と、接着面積が極端に少ない異形押出成形品などの端面どうしでの熱融着強度を高められるので、テレビ、オーディオ機器、エアコン等のパッキングをはじめ冷暖の温度差の激しい冷蔵(冷凍)庫の枠体用、扉用などのガスケット等に特に好適である。
【0020】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳述する。
本発明における各物性の測定方法および装置を以下に示す。
〔BPP中の非結晶牲プロピレン−α−オレフィン共重合体部の割合〕
BPPを温度130℃でパラキシレンに1重量%溶解した後、25℃に冷却したときの可溶分(重量%)を求め、これをBPP中の非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部の割合とした。
【0021】
〔非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部のFp〕
上記パラキシレン可溶分について、下記に示す装置およひ測定条件で13C−NMRスペクトルの測定を行い、Fpを求めた。
測定装置 :日本電子社製 JNM−GSX400(13C核共鳴周波数100MHz)
測定モード :プロトンデカップリング法
パルス幅 :8.0μS
パルス繰返時間:5.0s
積算回数 :20000回
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンセン/重ベンセンの混合溶媒(75/25容量%)
内部標準 :ヘキサメチルジシロキサン
試科濃度 :300mg/3.0ml溶媒
測定温度 :120℃
【0022】
〔Tmp、Tcp〕
DSC測定装置(PERKIN-ELMER社製)を用いて、試料(3〜5mg)を250℃に昇温して融解した後、降温速度20℃/分で−30℃まで冷却したときに得られる発熱ピーク曲線から主発熱ピーク温度Tcpを求めた。
次いで、−30℃で5分間保持した後、昇温速度20℃/分で250℃まで昇温したときに得られる吸熱ピーク曲線から主吸熱ピーク温度Tmpを求めた。
〔MFR〕
JIS K-7210の表1の条件14に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
〔MLMFR〕
JIS K-7210の表1の条件10に従い、温度200℃、荷重10kgの条件で測定した。
〔HLMFR〕
JIS K-7210に準じて、温度230℃、荷重21.6kgの条件で測定した。
〔ショア硬度〕
ASTMD-676-49に従って測定した。
【0023】
〔引張試験〕
JIS K6301に準拠し3号ダンベルを用いて、引張速度200mm/分の条件で破断強度および破断伸びを測定した。
〔熱融着性の評価〕
温度230℃にて厚さ1mmのシートをプレス成形し、カッターナイフを用いて幅15mm、長さ75mmに切断する。次に、図1(a)に示すように、そのサンプル10の先端3mmをアクリル板12,12から出した状態で挟み、熱融着する2つのサンプル10,10の端面16,16を温度230℃の熱板14に7秒間接触させ、直ぐに、図1(b)に示すように、端面16同士を圧着し、熱融着する。23℃で24hr状態調整後、図2に示すように、熱融着した端面16部が標線18,18間に入るようにダンベル形状20に打ち抜き、引張試験用サンプルとした。
そして、JIS K6301に準拠し、引張速度 200mm/分、標線間 10mm、チャック間 30mmの条件で引張試験を行い、破断強度および破断伸びを測定し、熱融着性の評価とした。
尚、破断強度は破断時の荷重値(kgf)を0.05cm2で除した値とした。
【0024】
〔原材料〕
(a)プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体
プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体として結晶性プロピレン系重合体部と非結晶性エチレンプロピレン共重合体部からなるブロック共重合体を用いた。その種類(BPP−1〜BPP−3)および性状(非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部の割合、非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部のFP、Tmp、Tcp)を表1に示す。
【表1】
【0025】
(b)ブロック共重合体の水素添加誘導体
用いた成分(b)ブロック共重合体の水素添加誘導体を表2に示す。
【表2】
【0026】
(c)鉱物油系ゴム用軟化剤
出光興産製、PW−380(パラフィン系オイル、流動点:−15℃、動粘度@98℃:38.1cst、引火点:300℃)
(d)炭酸カルシウム(無機充填材):日東粉化工業製、NS1000
以下は比較のために用いた原材料である。
(e)ポリプロピレン系樹脂
日本ポリオレフィン株式会社製、MD772H(プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン含有量:7重量%、MFR:30g/10分
(f)エチレンプロピレン共重合体ゴム
日本合成ゴム株式会社製、EP07P(プロピレン含有量:27wt%、MFR:0.7g/10分)
【0027】
実施例1〜4
上記ポリプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体とブロック共重合体の水素添加誘導体および鉱物油系軟化剤を表3に示す配合量で同方向二軸押出機KTX−37(神戸製鋼株式会社製)を用い、溶融混練し、ペレットを得た。
得られたペレットを230℃でプレス成形し、物体評価用サンプルとした。評価結果を表3に示す。
【0028】
比較例1〜4
上記エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとブロック共重合体の水素添加誘導体、ポリプロピレン系樹脂および鉱物油系軟化剤を表4に示す配合量で同方向二軸押出機KTX−37(神戸製鋼株式会社製)を用い、溶融混練し、ペレットを得た。
得られたペレットを230℃でプレス成形し、物性評価用サンプルとした。評価結果を表4に示す。
【0029】
比較例5
プロピレン含有量28wt%、沃素化15、ムーニー粘度ML1+4(100℃)90のエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム50重量%、MFR1g/10分のホモポリプロピレン20重量%、鉱物油系ゴム用軟化剤(PW380)30重量%とをバンバリーミキサーにより、窒素雰囲気中、180℃で5分間混練した後ロールを通し、シートカッターによりペレットを製造した。次に該ペレット100重量部、カヤヘキサAD(化薬アクゾ製、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン)0.4重量部、TAIC(トリアリルイソシアヌレート)0.8重量部をヘンシェルミキサーで混合し、このペレットを同方向二軸押出機KTX−37を用い、溶融混練し、部分架橋タイプの熱可塑性エラストマーのペレットを得た。得られたペレットを230℃でプレス成形し、物性評価用サンプルとした。評価結果を表4に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、力学強度、耐熱性、柔軟性、熱融着性および成形加工性のバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。しかも、べたつき等もない。
また、この熱可塑性エラストマー組成物は特に異形押出性に優れ、熱融着性に優れるため、端面どうしの熱融着が必要な冷蔵庫扉用ガスケット等の各種のガスケットとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱融着性評価の引張試験用サンプルの作製工程を示す側断面図である。
【図2】 熱融着性評価の引張試験用サンプルの作製工程を示す平面図である。
Claims (6)
- (a)結晶性プロピレン系重合体部と、非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部とからなり、それらの全共重合体中に占める該非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部の割合が30〜75重量%であり、示差走査熱量計による融解温度の主吸熱ピーク温度Tmpが120℃〜150℃であり、結晶化温度の主発熱ピーク温度Tcpが85〜105℃であるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体100重量部に対し、
(b)下記特性(イ)(ロ)を有する一般式A−(B−A)n−(ここでAはモノビニル置換芳香族炭化水素の重合体ブロック、Bは共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックであり、nは1〜5の整数である。)で表されるブロック共重合体の水素添加誘導体を50〜75重量部と、
(イ)MLMFRが0.1g/10分以下
(ロ)重合体ブロックBがブロック共重合体中の90〜40重量%
(c)鉱物油系ゴム用軟化剤が前記成分(a)100重量部に対して50〜75重量部と
を有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。 - 前記(a)成分中の非結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体部のプロピレン含量が50〜80モル%であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記一般式A−(B−A)n−で表されるブロック共重合体のAがスチレンの重合体ブロックであり、Bがイソプレンの重合体ブロックあるいはイソプレンとブタジエンの共重合体ブロックであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記鉱物油系ゴム用軟化剤がパラフィン系ゴム用軟化剤であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の熱可型性エラストマー組成物。
- 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を異形押出成形してなることを特徴とする成形体。
- 請求項5記載の成形体の端面同士を熱融着してなることを特徴とするガスケット。
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