JP4108147B2 - 弾球遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステッピングモータの回転によって複数種類の識別情報を可変表示する回転リール部材(例えば、回転ドラム)を有する可変表示装置を備えた弾球遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数種類の識別情報を可変表示する機械的な回転リール部材(例えば、回転ドラム)を有する可変表示装置においては、多くの場合、ステッピングモータの出力軸に直接回転リール部材の中心を固定した構造であった。ところで、ステッピングモータは、パルス信号に基づく所定のステップ角の移動を連続的に行わせることにより回転リール部材を回転せしめるものであるため、低速回転においては、ステップ位置での若干の一時停止が目立ってしまい、スムーズな低速回転を行わしめることができないという欠点があった。逆にスムーズな低速回転動作を行わしめるためには、1周期におけるステップ数を多くすれば良いが、ステップ数を多くするためには、ステッピングモータのロータのN極やS極に着磁された永久磁石を小型化したり、ステータ側の磁極板の数を増加したりしなければならなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ロータの永久磁石を小型化することは、極めてコストが高くなり、また、ステータ側の磁極板の数を増加させることは、ステッピングモータの大型化を招くという欠点があった。本発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、小型でコストの安価なステッピングモータであっても回転リール部材の低速時におけるスムーズな回転動作を得ることができる弾球遊技機を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明が採用した解決手段を図面を参照して説明する。図1,図4,及び図10に示すように、ステッピングモータ100の回転によって複数種類の識別情報を可変表示する回転リール部材52aを有する可変表示装置30を備えた弾球遊技機において、前記回転リール部材52aは、一側面が開放した円筒状部材で構成されると共にその内部中心に二重筒構造の円筒部を有する歯車部材89に連結され、前記歯車部材89の二重筒構造の円筒部のうち、内側の円筒部89aに前記ステッピングモータ100の出力軸101とは別に突設される回転支持軸86が挿入されると共に当該円筒部89aの前記回転リール部材52aの閉塞側側壁に対面する前端部が外周に係合爪部を有し且つ弾性変形し得る弾性係合片93となっており、外側の円筒部89bの端部内周に歯車部96が形成され、前記歯車部材89の内側の円筒部89aに前記回転支持軸86が挿入され固定された状態で、前記ステッピングモータ100の出力軸101に取り付けられ且つ前記歯車部96の歯数よりも少ない歯数を有する軸歯車102と前記外側の円筒部89bの内周に形成された前記歯車部96とを噛合させると共に、前記回転リール部材52aの閉塞側側壁の中心から前記回転リール部材52aの開放側に向って突設される係合片97が前記歯車部材89の内側の円筒部89aと外側の円筒部89bとの間の隙間に差し込まれることにより前記係合弾性片93が内側に弾性変形して前記係合片97の侵入を許しながら前記係合片97の先端部が前記弾性係合片93の係合爪部に係合されることにより前記回転リール部材52aが前記歯車部材89に連結されることを特徴とするものである。このように構成することにより、図10に示すように、軸歯車102のステップ角T2が、軸歯車102の歯数を歯車部材89の歯数で割った数値を掛けたステップ角T3(T2>T3)となるので、歯車部材89と一体的に形成される回転リール部材52aの低速時におけるスムーズな回転動作を得ることができると共に、従来の低コストのステッピングモータ100を使用することができる。
【0005】
また、図4に示すように、前記歯車部材89を、回転リール部材52aの回転軸86の周囲に位置し且つその内周面に軸歯車102と噛合する歯車部96が形成された円筒状部材89とすることにより、図11の円筒状部材89の外側に歯車部96aを形成して軸歯車102と噛合させた場合の全体の寸法L3に比較して、図10に示すように全体の寸法L2を小さく形成することができ、このため回転リール部材52aの直径を小さくすることができるので、多くの回転リール部材52aを使用して可変表示装置30を構成する場合に都合が良い。
【0006】
更に、図3に示すように、前記歯車部材89の外周に前記回転リール部材52aに表示される識別情報の種類を判定するための検出手段76を作動させる位置検出部95を一体的に形成することにより、歯車部材89の回転と回転リール部材52aとが同期して回転しているので、回転リール部材52aに表示される識別情報の判定を確実に行うことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。先ず、図1を参照して実施形態に係る弾球遊技機(図示ではパチンコ遊技機)の遊技盤1の構成について説明する。図1は、遊技盤1を示す正面図である。図1において、遊技盤1の表面には、発射された打玉を誘導するための誘導レール2がほぼ円状に植立され、該誘導レール2で区画された領域が遊技領域3を構成している。遊技領域3のほぼ中央には、後述する縦横3列ずつマトリックス状に配置される複数の回転ドラム52a〜52iでの識別情報(以下、特別飾り図柄という場合がある)の可変表示動作(以下、変動ともいう)を実現する可変表示装置30が配置されている。この可変表示装置30は、3つの識別情報(以下、特別図柄という)を表示する特別図柄表示器40a〜40cからなる特別図柄表示装置39と、1つの識別情報(以下、普通図柄という)を表示する普通図柄表示器41と、を包含している。なお、可変表示装置30の詳細な構成については後に詳述するものである。
【0008】
遊技盤1の遊技領域3には、可変表示装置30の下方に始動入賞装置11が配置され、該始動入賞装置11の下方に可変入賞球装置15が配置され、また、可変表示装置30の上部左右側方に風車ランプ4が、左右側方に風車5が、一側(左側)下部側方に通過口器9がそれぞれ配置され、更に、遊技領域3の中央部左右両側にサイドランプ6が、遊技領域3の入口部分に逆流防止部材7が、遊技領域3の最下端にアウト口8がそれぞれ配置形成されている。
【0009】
上記した構成のうち、始動入賞装置11は、ソレノイド13によって垂直(通常開放)位置と傾動(拡大開放)位置との間で可動制御される一対の可動翼片12を有する、いわゆるチューリップ型役物として構成され、その内部には、入賞した打玉を検出する特別図柄用始動玉検出器14が設けられている。なお、可動翼片12が垂直(通常開放)位置のときも始動入賞装置11に打玉が入賞可能になっている。また、始動入賞装置11への入賞に基づく特別飾り図柄の変動は、変動中を除いて所定回数(本実施形態では、4回)記憶され、その旨が後述の特別図柄用記憶表示LED38によって表示されるようになっている。
【0010】
また、可変入賞球装置15は、遊技盤1の表面に取り付けられる取付基板23に集約して構成され、その取付基板23の中央部には、ソレノイド17によって入賞領域を開閉制御する開閉板16が設けられている。開閉板16の内部の入賞領域には、入賞玉の検出により開閉板16を再度開成(後述する継続権の成立)させることができる条件の成立を検出する特定玉検出器18が設けられ、開閉板16の1回の開放動作中における許容された入賞玉数を検出するための入賞玉検出器19も設けられている。また、開閉板16の下方には、後述する大当り遊技状態(特定遊技状態ともいう)における開閉板16の開放回数を表示する回数表示器20と、開閉板16の1回の開放中に受け入れられた入賞玉数を表示する個数表示器21と、が設けられ、更に、開閉板16の左右に通常の入賞口23が設けられている。
【0011】
しかして、上記のように構成される可変入賞球装置15は、以下のように作動する。即ち、打玉が始動入賞装置11に入賞して始動玉検出器14をONさせると、可変表示装置30の特別図柄表示器40a〜40c及び回転ドラム52a〜52iが変動を開始し、一定時間が経過すると特別図柄及び特別飾り図柄が確定され、その確定された特別図柄及び特別飾り図柄の組み合せが所定の大当り表示態様の組合せとなったときに大当り遊技状態となる。そして、この大当り遊技状態においては、可変入賞球装置15の開閉板16が所定期間(例えば、29秒)あるいは所定個数(例えば、10個)の入賞玉が発生するまで開放(以下、この開放状態を開放サイクルという)するように設定され、その開放している間遊技盤1の表面を落下する打玉を受け止めるようになっている。そして、受け止められた打玉が特定玉検出器18をONすると、前回の開放サイクルの終了後に再度上記した開放サイクルを繰り返し、特定玉検出器18がONすることを条件として継続権が成立して開放サイクルを所定回数(例えば、16回)繰り返すことができるようになっている。
【0012】
なお、本発明の大当り遊技状態は、上記に限らず以下に示す(1)〜(5)の制御のうちいずれか1つの制御又は組合せた制御を実行する状態であればよい。
(1) 打玉の入賞を容易にする第1の状態と、打玉が入賞できない又は入賞し難い第2の状態と、に変化可能な可変入賞球装置を所定時間連続的又は間欠的に第1の状態にする制御、
(2) 打玉の入賞を容易にする第1の状態と、打玉が入賞できない又は入賞し難い第2の状態と、に変化可能な可変入賞球装置を特定の入賞又は通過領域での打玉の検出を介在させて所定時間連続的又は間欠的に第1の状態にする制御、
(3) 打玉の入賞に関わらず所定数の景品玉を直接排出する制御、
(4) 有価価値を有する記憶媒体(カードやレシート等)に対して有価数を加算する制御、
(5) 得点があることに基づいて遊技可能な遊技機に対して得点を付与する制御。
【0013】
また、本実施形態における特別図柄と特別飾り図柄との関係は、大当り遊技状態となったことを表示せしめる点で同一の機能を奏するものであり、特別図柄は、その大当り遊技状態を簡略な表示方法で表示するのに対し、特別飾り図柄は、遊技者の興趣を引き付けるように、より複雑な表示方法で大当り遊技状態の発生を表示し且つ報知するものである。しかして、特別図柄と特別飾り図柄とを設けた理由は、遊技機の製造規則上、図柄の種類や組合せは、ある程度の範囲以下に決められているが、このような決められた範囲の中では、遊技者の興趣を引き付けることができる図柄態様及び組合せ態様が限られてしまうので、そのような限られた範囲の表示方法を特別図柄に担当させて規則上の範囲内とし、自由な図柄態様や組合せ態様に係る表示方法を特別飾り図柄に担当させて遊技者の興趣を引き付けるようにしたものである。この意味で、特別飾り図柄の表示が遊技者に目立つように大きく形成されるものである。なお、上記のような規則がなければ、特別飾り図柄の組合せだけであっても良い。
【0014】
遊技盤1の遊技領域3に配置される遊技装置の構成の説明に戻ると、前記通過口器9は、その上部から受け入れた打玉をそのまま下方に通過させるものであるが、その通過する過程で打玉が普通図柄用始動玉検出器10によって検出され、その始動玉検出器10が通過玉を検出すると、前記普通図柄表示器41に表示される普通図柄の変動を許容するようになっている。なお、普通図柄表示器41は、普通図柄が当り図柄となったときに、始動入賞装置11の可動翼片12を所定時間が経過するまで開放制御するものである。また、普通図柄の変動は、変動中を除いて所定回数(本実施形態では、4回)記憶され、その旨が後述する普通図柄用記憶表示LED42によって表示されるようになっており、その変動時間は、後述する所定条件の成立に伴う確率変動状態(当り判定確率を通常時と異なる高い確率に変更した遊技状態)時に通常時に比べて短縮されるようになっている。なお、普通図柄の変動記憶は常に一定(例えば、4回)に設定する必要はなく、例えば通常時では1回にする一方で、確率変動中では4回にすることも可能である。
【0015】
また、遊技盤1の表面には、上記した構成以外にも、遊技領域3の外側であって下部両サイドに各種団体の証明用のシールを貼付するシール貼付部25,26が取り付けられている。
【0016】
次に、本実施形態の要部を構成する可変表示装置30の構成について図1乃至図4を参照して説明する。図1は、前述した通りであり、図2は、可変表示装置30を構成する前面装飾取付板31と駆動部収納ボックス50とを分解して示す斜視図であり、図3は、駆動部収納ボックス50に収納される回転ドラム52a〜52iのユニットを分解して示す斜視図であり、図4は、1つの回転ドラム52aの断面図である。
【0017】
可変表示装置30は、図2に示すように、前記遊技盤1の表面に取り付けられる前面装飾取付板31と該前面装飾取付板31の裏面に取り付けられ且つマトリックス状に配置される複数の回転ドラム52a〜52iを収納する駆動部収納ボックス50とから構成されている。そこで、以下、前面装飾取付板31と駆動部収納ボックス50とに分けて説明する。
【0018】
前面装飾取付板31には、ほぼ正方形状の表示窓開口34が形成されている。そして、この表示窓開口34の後方に透明な透視板43を介してマトリックス状に配置される回転ドラム52a〜52iが視認し得るようになっている。また、この表示窓開口34は、その前面側上部半周囲を囲い枠部44によって囲まれて前記遊技領域を落下する打玉が表示窓開口34の内部に侵入しないようになっている。また、前面装飾取付板31の上部中央には、通常の入賞口32が形成され、その入賞口32の下部の前面装飾取付板31に開口が形成されてワープ入口33とされている。ワープ入口33は、前記囲い枠部44の上辺上面に載置した一部の打玉を受け入れて前面装飾取付板31裏側の表示窓開口34の両サイドに沿って形成されるワープ通路(図示しない)を介して表示窓開口34の下辺縁内側に形成される誘導路35に導き、該誘導路35の中央に形成された放出口37から再度遊技領域3に放出するものである。なお、誘導路35の両側には、ワープ出口36が形成されている。
【0019】
しかして、遊技盤1の遊技領域3の可変表示装置30の上部中央に向かって落下する打玉の一部は、ワープ入口33に取り込まれて再度可変表示装置30のほぼ下部中央に形成される放出口37から放出され、その放出口37の下方に位置する前記始動入賞装置11の可動翼片12に向かって落下し、可動翼片12の上部に位置する一対の釘(図示しない)の調節具合によって始動入賞装置11に入賞したり入賞しなかったりして遊技者の興趣を引き付けるようになっている。
【0020】
また、前記囲い枠部44の左右両側下端には、特別図柄表示装置39と普通図柄表示器41とがそれぞれ設けられている。特別図柄表示装置39は、横方向に並列される3つのデジタル表示器からなる特別図柄表示器40a〜40cを含み、その特別図柄表示器40a〜40cに表示される図柄が予め定めた図柄の組合せ(本実施形態では、同一図柄のゾロ目)であるときに大当り遊技状態となるものである。なお、特別図柄表示器40a〜40cに表示される図柄は、詳細に図示しないが、それぞれ15種類の数字及び英文字である。また、普通図柄表示器41の周囲には、前記通過口器9の始動玉検出器10による検出を所定個数記憶する普通図柄用記憶表示LED42が設けられている。普通図柄表示器41に表示される図柄は、詳細に図示しないが、6種類の数字及び英文字であり、予め定められた図柄(本実施形態では、「7」)が表示されたときに、始動入賞装置11の可動翼片12を所定時間開放するようになっている。なお、特別図柄表示器40a〜40cに対応する特別図柄用記憶表示LED38は、前記誘導路35の後方に設けられている(図1参照)。
【0021】
また、前面装飾取付板31の裏面には、表示窓開口34の開口縁から後方に延設される周枠45が一体的に形成され、該周枠45の上面後部に一対の取付ボス46が一体成形され、その取付ボス46に駆動部収納ボックス50の上部に形成される取付穴50aを当接させてビス47で止着することにより、前面装飾取付板31の後方に駆動部収納ボックス50を止着するようになっている。また、前面装飾取付板31の周囲には、前面装飾取付板31を遊技盤1の表面に止着するための取付穴48が穿設されている。
【0022】
一方、駆動部収納ボックス50の構成について主として図2及び図3を参照して説明すると、駆動部収納ボックス50には、縦横3個ずつ配列される合計9個の回転ドラム52a〜52iが収納されるが、図3に示すように、縦列3個の回転ドラム52a〜52c、52d〜52f、52g〜52iがそれぞれ1つのプリント配線が一体的に形成される取付基板53に集約して取り付けられて回転ドラムユニット51a〜51cを構成している。しかして、駆動部収納ボックス50は、3つの回転ドラムユニット51a〜51cを前方から挿入し得るように前方が開放し、しかも縦列の3つの回転ドラムがその臨設する回転ドラムと端部で重複するように傾斜状に配置されるため、前方開放面が傾斜状となっている。そして、そのように構成される回転ドラムユニット51a〜51cを所定の位置に固定するために、駆動部収納ボックス50には、各回転ドラムユニット51a〜51cの取付基板53の上部前方に形成される取付穴54と下部前方に形成される係合片55と合致させる取付部58と係合溝59とがそれぞれ上部前面及び下部前面に所定間隔を置いて形成されている。このうち、係合片55と係合溝59とは、単に嵌め込んで係合させるだけであるが、取付穴54と取付部58とは、当接させた状態でビス58aを螺着することにより、完全に止着固定した状態とするものである。
【0023】
なお、取付基板53の駆動部収納ボックス50への取付構造は、上記した構成以外に、取付基板53の下端辺に形成されるコネクタ端子部63を駆動部収納ボックス50の底面から裏面側に貫通させるために形成されるスリット溝62の前後に形成される係合溝60a,60bにも取付基板53の下端辺中央部及び後端辺下部を案内支持させることにより行っている。
【0024】
また、各回転ドラムユニット51a〜51cの取付基板53を駆動部収納ボックス50に収納支持固定した状態では、取付基板53の後端辺に形成される取付片56が駆動部収納ボックス50の裏面側に形成される長方形状の開口61から外側に突出するようになっており、その突出した取付片56に図示しない金属製の放熱板を取付片56に当接させて取付片56に穿設される取付穴57にビスで取り付けることにより、取付基板53に溜った熱を外部に放出するものである。同じように駆動部収納ボックス50の内部に溜った暖かい空気は、駆動部収納ボックス50の後部上面に形成される放熱穴70から放出される。更に、前記スリット溝62から駆動部収納ボックス50の底面から裏側に突出したコネクタ端子部63には、中継基板64に設けられるコネクタ65が接続される。中継基板64は、回転ドラム52a〜52iの動作を制御する制御回路基板(図示しないが、一般的にパチンコ遊技機の背面に取り付けられている)と回転ドラム52a〜52iの電気部品(後述するセンサ76、ステッピングモータ100、ランプ98等)との接続を中継するものであり、その中継基板64の取付は、駆動部収納ボックス50の裏面に突設される取付ボス68と中継基板64を被覆するカバーボックス66に突設される取付ボス67とにより中継基板64を挟持してカバーボックス66の裏面からビス69を螺着して取付ボス67,68を連結することにより行う。
【0025】
ところで、各回転ドラムユニット51a〜51cは、全く同じ構造であるため、1つの回転ドラムユニット51aについて図3を参照して説明すると、前記取付基板53は、前述したようにプリント配線基板が一体的に形成された金属製の板材であって、前述した取付穴54、係合片55、取付片56、コネクタ端子部63がそれぞれ形成されると共に、更に取付基板53に設けられる3つの回転ドラム52a,52b,52cを回転駆動する駆動機構がそれぞれの回転ドラム52a,52b,52cに対応して設けられる。しかして、各駆動機構は、すべて同じであるため、図3及び図4を参照して1つの回転ドラム52aの駆動機構について説明する。
【0026】
回転ドラム52aの駆動機構は、ステッピングモータ100と、該ステッピングモータ100の出力軸101の先端に固着されるギヤ102と噛合し且つ回転ドラム52aの中心軸部を構成する回転軸受部材89と、該回転軸受部材89を貫通支持し且つ回転ドラム52aの回転中心となる回転支持軸86が形成されるドラム支持部材82と、から構成されている。
【0027】
ステッピングモータ100は、その基部側に一体的に取り付けられるモータ取付板71を取付基板53に当接させて取付基板53の裏面側から螺着されるビス73をモータ取付板71に形成される取付穴72に止着することにより、取付基板53に取り付けられるものである。この取り付けの際には、ドラム支持部材82もその取付ボス83を一体的に締着することにより、取り付けられるものである。また、ステッピングモータ100の側面には、後述するコイル105,106が接続される配線ピン(図示しない)が突出し、その配線ピンがモータ基板75にハンダ付けされる一方、ステッピングモータ100の先端部側には、モータ基板75と当接する前面基板74が固着され、前記モータ基板75を前記配線ピンにハンダ付けする際にモータ基板75とステッピングモータ100との間隔を正確に保持するようになっている。しかして、モータ基板75には、制御回路からのステップ信号を供給する配線がプリントされると共に、検出手段としてのセンサ76の配線がプリントされ且つセンサ76自体も実装される。センサ76は、投受光方式のセンサであって、回転ドラム52aの外周面に形成される特別飾り図柄を判定するためのものであり、回転軸受部材89の外周に突設される位置検出部としてのセンサ遮蔽凸部95によって作動するものである。
【0028】
なお、モータ基板75には、フレキシブル配線が接続され、該フレキシブル配線の末端に形成されるコネクタ端子部77が取付基板53に実装されるコネクタ78に接続されるようになっている。また、モータ基板75は、前面基板74だけで支持されるわけではなく、その先端上部の係合部81をドラム支持部材82の前面側上部に突設形成される係合溝部87に係合させ、その先端下部に形成される取付穴79をドラム支持部材82の前面側下部に突設形成される止め部88にビス80で止着することにより、確実に固定支持されるものである。
【0029】
上記したステッピングモータ100と一体的に取付基板53に取り付けられるドラム支持部材82は、円形状の板材の一側側面に長方形状の反射板部84が一体的に形成され、更に、その裏面側に前記取付ボス83(一部の取付ボス83は、反射板部84の裏面に形成されている)が突設され、その前面側に前記係合溝部87及び止め部88と回転支持軸86とが突設されている。反射板部84は、後述するランプ98からの光を効率よく前方に反射させるものであり、また、回転支持軸86は、回転ドラム52aの回転中心となるものである。更に、ドラム支持部材82には、ステッピングモータ100の出力軸101の先端に固着される軸歯車としてのピニオンギヤ102を貫通させる貫通穴85が穿設されている。
【0030】
上記したドラム支持部材82に突設される回転支持軸86に回転自在に軸支される歯車部材としての回転軸受部材89は、二重筒構造の円筒部89a,89bが内部の中央で連結された構造であり、図4に示すように内側円筒部89aに前記回転支持軸86が挿入されて回転支持軸86の先端にEリング94を止着することにより、回転軸受部材89が回転支持軸86に遊嵌される。そして、その遊嵌した状態では、回転軸受部材89の外側円筒部89bの後端内周に形成される歯車部としての内周ギヤ96とステッピングモータ100の軸歯車としてのピニオンギヤ102とが噛合した状態となる。また、内側円筒部89aの前端部は、外周部に係合爪を有し且つ弾性変形し得る係合弾性片93となっており、外側円筒部89bの前端部には、回転ドラム52aの側壁と当接する一対の当接フランジ片90が突設され、一方の当接フランジ片90の前面に係合突起91が突設されている。
【0031】
しかして、ドラム支持部材82の回転支持軸86に回転軸受部材89が軸支された状態で、回転軸受部材89の前方から回転ドラム52aの側壁内側の中心に後方に向かって突設される係合片97を回転軸受部材89の内側円筒部89aと外側円筒部89bとの間の隙間に差し込むように押圧すると、係合弾性片93が内側に弾性変形しながら係合片97の侵入を許す。そして、前記係合突起91を回転ドラム52aの側壁に形成される係合穴92に位置合わせしてさらに差し込むように押圧すると、係合片97の先端部が係合弾性片93の爪部に係合した状態となって回転ドラム52aが回転軸受部材89に完全に装着された状態となる。なお、回転ドラム52aがドラム支持部材82の回転支持軸86に回転自在に装着された状態では、図4に示すように、ステッピングモータ100及びドラム支持部材82を完全に包囲するだけでなく、図3に示す取付基板53に実装されるランプ98及び該ランプ98の裏面を覆うランプカバー99をも完全に内部に収納した状態で包囲するものである。
【0032】
ここで、ステッピングモータ100の構成について図5乃至図9を参照して説明する。図5は、ステッピングモータ100の斜視図と分解概略図であり、図6は、磁極板108への励磁時の磁極状態を示す一覧表図であり、図7は、動作原理を説明するための説明図であり、図8は、各ステップでのコイル105,106への信号供給状態を示す一覧表図であり、図9は、ステッピングモータのタイムチャートである。まず、その構造について説明すると、ステッピングモータ100は、図5(A)に示すように、一対のロータ104とそのロータ104を包囲するステータ107とからなり、ロータ104には、その中心に出力軸101が固着され、ステータ107のロータ104と対面する内周面には、磁極板108が鋸歯のように交互に形成され、ステータ107の内部には、コイル105,106が巻装されている。出力軸101の先端には、ピニオンピニオンギヤ102が固着され、また、出力軸101の後端がステータ107から外側に突出するので、取付基板53に逃げ穴103(図4参照)が形成されている。
【0033】
また、ロータ104は、図5(B)に示すように、N極とS極に着磁した複数のフェライト磁石を交互に周設したものであり、その数は、ステータ107の磁極板108の数と同じである。磁極板108の数は、回転角度を決定する要素となるものであり、一例として四相モータの場合を見ると1相当りの磁極板108の数をNとしたときの回転角度θは、360/Nである。
【0034】
しかして、上記のように構成されるステッピングモータ100の動作原理について図6乃至図8を参照して説明すると、ステップ0の状態で磁極イ,ロがN極で磁極ハ,ニがS極となっており、その状態で回転子(ロータ104)の斜線を引いたS極104aは、磁極イ,ロと引き付け合った図示の状態で停止している。次のステップ1信号に基づいてコイル105に流れる電流の向きが逆向きになりコイル106に流れる電流の向きは変化しないので、磁極イがS極に変化し、磁極ハがN極に変化する。すると、回転子のS極104aは、磁極イに反発されて磁極ハに吸引されるので、距離L1だけ移動することとなる。更にステップ2信号に基づいてコイル105に流れる電流の向きはそのままであるが、コイル106に流れる電流の向きが逆となるので、磁極ロがS極に変化し、磁極ニがN極に変化する。すると、回転子のS極104aは、磁極ロに反発されて磁極ニに吸引されるので、さらに距離L1だけ移動することとなる。更に次に、ステップ3信号に基づいてコイル105に流れる電流の向きが逆向きになりコイル106に流れる電流の向きは変化しないので、磁極イがN極に変化し、磁極ハがS極に変化する。すると、回転子のS極104aは、磁極ハに反発されて磁極ニに吸引されるので、さらに距離L1だけ移動することとなる。そして、ステップ0〜3を繰り返すことにより、回転子104は、距離L1ずつ移動することとなる。
【0035】
このような動作をタイムチャートで表示すると図9に示すようになり、ステップ0のときに基準パルスを導出するようになっている。また、前記センサ遮蔽凸部95がセンサ76によって検出される状態(基準位置検出)のときにもステップ0と一致するように制御され、基準位置を検出したときには、基準位置の認識検出信号が導出されるようになっている。
【0036】
以上、ステッピングモータ100の構成及び作用について簡単に説明したが、その説明から明らかなようにステッピングモータ100は、所定角度ずつの移動を連続的に行うものであるため、回転ドラム52aの回転も良く見ると微少角度ずつの移動を連続的に行っていることがわかる。特に低速回転時においては、その動作が顕著となり、回転ドラム52aが停止と移動を繰り返しているように見え、スムーズな低速回転を得られないという欠点がある。ところが、本実施形態においては、ステッピングモータ100の出力軸101に固着されるピニオンギヤ102を回転軸受部材89の内周ギヤ96と噛合させているので、図10に示すように、ステッピングモータ100の出力軸101における回転角度T2が回転軸受部材89の回転角度T3に縮小される。この場合の縮小率は、(ピニオンギヤ102の歯数/内周ギヤ96の歯数)となる。図示の場合には、その比が1対5であるため、ステッピングモータ100の1ステップあたりの回転角度T2が五分の一に縮小されることとなる。
【0037】
これを分かり易く表示すると、図13及び図14のようになる。即ち、回転ドラム52a上の点Pの移動距離をグラフに表すと、図13に示すように、従来の場合には、ステッピングモータ100の出力軸101に直接回転ドラム52aが固着されているので、各ステップ毎による位置変化は、ステップ毎の回転角度T2の倍数をsinθの「θ」に代入した時に得られる点を結んだ線であり、その線が段差のある階段状に現れるのに対し、本実施形態の場合には、各ステップ毎による回転角度T3が1/5に縮小されているため、その階段高さが1/5に縮小されているため、図14に示すように極めて小刻みな段階状の連続線となり、あたかもサインカーブに合致するように位置変化するものである。このため、回転ドラム52aを低速回転させてもスムーズな回転状態を得ることができるという優れた効果を奏する。
【0038】
なお、本実施形態においては、出力軸101に固着されるピニオンギヤ102を回転軸受部材89の内周に形成される内周ギヤ96に噛合させたので、図11に示すように、回転軸受部材89の外周に形成される外周ギヤ96aに噛合させる場合の高さ寸法L3に比べて、その高さ寸法L2を小さくすることができるので、回転ドラム52aの直径も小さなものを形成することができる。もちろん、寸法に余裕がある場合には、図11に示すように、外周ギヤ96aと噛合するように形成してさしつかえない。また、従来のようにステッピングモータ100の出力軸101に直接回転ドラム52aを固定する方式で本実施形態と同様の回転角度T3を得るためには、磁極板108及びロータ104のフェライト磁石の数を大幅に増加させなければならないので、図12に示すように、必然的に直径の大きなステッピングモータ100でなければならないので、本実施形態のように多数の回転ドラム52a〜52iをマトリックス状に配置される可変表示装置30には、使用できない。
【0039】
以上、実施形態に係る可変表示装置30の構成について説明したが、本実施形態においては、図16に示すように、複数種類の識別情報を可変表示する回転ドラム52a〜52iを、正面から見て水平方向の回転支持軸86によって回転せしめられると共に、正面から見て縦方向に隣接する回転ドラム52a〜52iの端部が重なり合うように配置したので、図15に示す従来の可変表示装置30Aと比較して、縦方向の寸法L3を従来の可変表示装置30Aの寸法L2よりも小さく形成することができ、遊技盤1に配置したときの可変表示装置30の占有面積が小さくなり、その分、他の遊技装置の配置設計や釘の配置設計の自由度を向上させることができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、縦方向に配置した3つの回転ドラム52a〜52cが傾斜状となるように配置されているが、必ずしも傾斜状でなくても良く、例えば、中央の回転ドラム52bだけを他の回転ドラム52a,52cよりも前方又は後方に配置してその端部が重なり合うように配置しても良い。また、本実施形態では、回転ドラム52a〜52iの回転中心を水平方向の回転軸を中心として回転せしめるものを示したが、回転軸を垂直方向に設けて回転ドラムを左右方向に回転させるものでも良い。この場合においても回転ドラムの端部が重なり合うように左から右又は右から左に傾斜するように配置したり、段差状に配置すれば良い。
【0041】
また、本実施形態においては、ステッピングモータ100の出力軸101に固着されるピニオンギヤ102を、そのピニオンギヤ102の歯数よりも多い歯数を有するように回転ドラム52a側に形成される内周ギヤ96と噛合させているので、ステッピングモータ100による所定角度ずつの移動距離を縮小させることができ、これによって回転ドラム52aを低速回転させてもスムーズな回転状態を得ることができる。
【0042】
以上、本実施形態に係る可変表示装置30の構成及び作用について説明したが、本実施形態においては、ステッピングモータ100の出力軸101に固着される軸歯車としてのピニオンギヤ102を、そのピニオンギヤ102の歯数よりも多い歯数を有するように回転ドラム52a側に形成される歯車部としての内周ギヤ96と噛合させているので、ステッピングモータ100による所定角度ずつの移動距離を縮小させることができ、これによって回転ドラム52aを低速回転させてもスムーズな回転状態を得ることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上、説明したところから明らかなように、本発明においては、回転リール部材に、ステッピングモータの出力軸に取り付けられる軸歯車と噛合し且つ該軸歯車の歯数よりも多い歯数の内周歯車部を具備した歯車部材が一体的に形成されているので、軸歯車のステップ角が、軸歯車の歯数を歯車部材の歯数で割った数値を掛けた小さなステップ角となるので、歯車部材と一体的に形成される回転リール部材の低速時におけるスムーズな回転動作を得ることができると共に、従来の低コストのステッピングモータを使用することができる。
【0044】
また、前記歯車部材を、回転リール部材の回転軸の周囲に位置し且つその内周面に前記歯車部が形成された円筒状部材とすることにより、円筒状部材の外側に歯車部を形成して軸歯車と噛合させた場合の全体の寸法に比較して、全体の寸法を小さく形成することができ、このため回転リール部材の直径を小さくすることができるので、多くの回転リール部材を使用して可変表示装置を構成する場合に都合が良い。
【0045】
更に、前記歯車部材の外周に前記回転リール部材に表示される識別情報の種類を判定するための検出手段を作動させる位置検出部を一体的に形成することにより、歯車部材の回転と回転リール部材とが同期して回転しているので、回転リール部材に表示される識別情報の判定を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る弾球遊技機の遊技盤の正面概略図である。
【図2】 遊技盤に設けられる可変表示装置を構成する前面装飾取付板と駆動部収納ボックスとを分解して示す斜視図である。
【図3】 駆動部収納ボックスに収納される回転ドラムのユニットを分解して示す斜視図である。
【図4】 1つの回転ドラムの断面図である。
【図5】 ステッピングモータの斜視図と分解概略図である。
【図6】 ステッピングモータの磁極板への励磁時の磁極状態を示す一覧表図である。
【図7】 ステッピングモータの動作原理を説明するための説明図である。
【図8】 ステッピングモータの各ステップでのコイルへの信号供給状態を示す一覧表図である。
【図9】 ステッピングモータのタイムチャートである。
【図10】 本実施形態に係るステッピングモータのステップ角度と回転ドラムのステップ角度との関係を示す概略図である。
【図11】 他の実施形態に係るステッピングモータと回転ドラムの回転中心との関係を示す概略図である。
【図12】 従来のステッピングモータのステップ角度を示す概略図である。
【図13】 従来のステッピングモータによる回転ドラムの移動状態を説明するためのグラフである。
【図14】 本実施形態に係るステッピングモータによる回転ドラムの移動状態を説明するためのグラフである。
【図15】 従来の回転ドラムをマトリックス状に配置した可変表示装置の断面図である。
【図16】 本実施形態に係る回転ドラムをマトリックス状に配置した可変表示装置の断面図である。
【符号の説明】
1 遊技盤
30 可変表示装置
31 前面装飾取付板
34 表示窓開口
50 駆動部収納ボックス
51a〜51c 回転ドラムユニット
52a〜52i 回転ドラム(回転リール部材)
53 取付基板
71 モータ取付板
75 モータ基板
76 センサ
82 ドラム支持装置
86 回転支持軸
89 回転軸受部材
95 センサ遮蔽凸部
96 内周ギヤ
100 ステッピングモータ
101 出力軸
102 ギヤ
104 ロータ
105,106 コイル
107 ステータ
108 磁極板
Claims (2)
- ステッピングモータの回転によって複数種類の識別情報を可変表示する回転リール部材を有する可変表示装置を備えた弾球遊技機において、
前記回転リール部材は、一側面が開放した円筒状部材で構成されると共にその内部中心に二重筒構造の円筒部を有する歯車部材に連結され、
前記歯車部材の二重筒構造の円筒部のうち、内側の円筒部に前記ステッピングモータの出力軸とは別に突設される回転支持軸が挿入されると共に当該円筒部の前記回転リール部材の閉塞側側壁に対面する前端部が外周に係合爪部を有し且つ弾性変形し得る弾性係合片となっており、外側の円筒部の端部内周に歯車部が形成され、
前記歯車部材の内側の円筒部に前記回転支持軸が挿入され固定された状態で、前記ステッピングモータの出力軸に取り付けられ且つ前記歯車部の歯数よりも少ない歯数を有する軸歯車と前記外側の円筒部の内周に形成された前記歯車部とを噛合させると共に、前記回転リール部材の閉塞側側壁の中心から前記回転リール部材の開放側に向って突設される係合片が前記歯車部材の内側の円筒部と外側の円筒部との間の隙間に差し込まれることにより前記係合弾性片が内側に弾性変形して前記係合片の侵入を許しながら前記係合片の先端部が前記弾性係合片の係合爪部に係合されることにより前記回転リール部材が前記歯車部材に連結されることを特徴とする弾球遊技機。 - 前記歯車部材の外周には、前記回転リール部材に表示される識別情報の種類を判定するための検出手段を作動させる位置検出部が一体的に形成されていることを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。
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