JP4107520B2 - ディスプレイ駆動装置の画像処理回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディスプレイ駆動装置の画像処理回路に関し、特にプラズマディスプレイ(以下、単にPDPと言う)を駆動するのに適したディスプレイ駆動装置の画像処理回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、面放電を行うPDPが提案されており、これによると、画面上の全画素を表示データに応じて同時に発光させる。面放電を行うPDPは、前面ガラス基板の内面に1対の電極が形成され、内部に希ガスが封入された構造となっている。電極間に電圧を印加すると、電極面上に形成された誘電体層及び保護層の表面で面放電が起こり、紫外線が発生する。背面ガラス基板の内面には、3原色である赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の蛍光体が塗布されており、紫外線によりこれらの蛍光体を励起発光させることによりカラー表示を行う。つまり、R、G及びBの蛍光体が、画面を構成する各画素に対して割り当てられている。
【0003】
図12は、例えば上記の如く面放電を行うPDPの階調駆動シーケンスの一例を説明する図である。同図に示すように、1枚の画像を表示する時間である1フィールド期間を複数のサブフィールド期間に分けて、各サブフィールド期間における発光時間(以下、サステイン期間と言う)を制御することにより画像の階調表現を行う。1サブフィールド期間は、そのサブフィールド期間内に発光させる全画素に対して壁電荷を形成させるアドレス期間と、輝度レベルを決定するサステイン期間とから構成される。このため、サブフィールド数を増やすとその数分だけアドレス期間が必要となり、相対的に発光に割り当てられるサステイン期間が短くなり、画面の輝度が低下することになる。
【0004】
従って、PDPにおいて限られたサブフィールド数を用いて表現可能な階調数を稼ぐためには、図12に示すようにビットの重み付けに比例したサステイン期間でPDPを階調駆動するのが一般的である。同図に示す例では、1フィールド期間が6つのサブフィールド期間SF1〜SF6からなり、各サブフィールドに対応させた6ビットの画素データにより64階調の表示を行う。サブフィールド期間SF1〜SF6内のサステイン期間は便宜上夫々点灯するものとしてハッチングで示され、時間の比率(発光時間比)はSF1:SF2:SF3:SF4:SF5:SF6が1:2:4:8:16:32に設定されている。尚、1フィールド期間は約16.7msである。
【0005】
上記の如き階調駆動シーケンスを用いるPDPで動画像を表示する場合に、人間の目の残像効果等により、移動する物体の表面上に本来は存在しないはずの不自然な色の輪郭が発生する現象が生じる。この現象により発生する輪郭を、以下においては「疑似輪郭」と呼ぶ。疑似輪郭が特に顕著となるのは、画面上の人物が動いた場合であり、肌色である例えば顔の部分に緑色や赤色の帯が目に映ったりして、著しい画質の劣化を招いている。
【0006】
本出願人は、このような疑似輪郭を抑圧するものとして、例えば特願平8−263398号等のディスプレイ駆動装置を提案した。このディスプレイ駆動装置の画像処理回路の一例の構成図を図13に示す。
この回路では発光時間比が1:2:4:4:8:8:12:12のサブフィールド構成をとっている。メインパス10は6ビット出力で52階調の実表示階調数を表現する。サブパス12は4ビット出力で9階調の実表示階調数を表現する。RGBマトリクス14は各RGB信号から輝度信号Y(Y=0.30R+0.59G+0.11B)を生成する。動き領域検出回路16は輝度信号から求めた1フィールド間の差分と2フィールド間の差分の最小値に基づいて、画像中の動きを含む領域を検出する。エッジ検出回路18は輝度信号から水平方向及び垂直方向のエッジを算出し、これらのエッジ量を求める。判定回路20は上記の検出された動き領域とエッジ量とに基づいて、疑似輪郭の発生しやすい画素を判定し、判定結果をレベル判定回路22に供給する。
【0007】
また、レベル検出回路24はメインパス10からのRGB信号の各々に基づいて輝度レベルを検出する。レベル判定回路22は判定回路20の判定結果及びレベル検出回路24で検出された輝度レベルに基づいて、所定レベル以上となった疑似輪郭の発生しやすい画素の画素データがサブパス12で処理されるようにパスを切り替える切り替え信号を生成してスイッチ24に供給し、これを切り替える。
【0008】
これによって、通常はある程度の階調数が確保されたメインパス10により入力画像信号が処理され、疑似輪郭の発生しやすい画素のデータについてのみ入力画像信号をサブパス12で処理するようにパスを自動的に切り替える。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の画像処理回路ではメインパスかサブパスかの判定レベルの調整により、動きによって疑似輪郭の生じる領域をサブパスに切り替えることが可能である。しかし、実際には疑似輪郭が生じない領域もサブパスに切り替えてしまうことがある。その原因としては、第1に源画像の画像信号自体にノイズが含まれており、動き検出回路16が誤動作する場合、第2に疑似輪郭が発生しても人間の視覚特性では認知できない色空間があり、そのような領域についても疑似輪郭として検出される場合である。
【0010】
このような場合、サブパスに切り替えられた部分では誤差拡散によるノイズ、つまり、階調が少なくなってノイズのように見えるという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、視覚上で疑似輪郭が目立つ領域をメインパスからサブパスに切り替え拡散誤差によるノイズを防止し、また、ノイズによる誤動作を防止するディスプレイ駆動装置の画像処理回路を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、発光時間長によって輝度表現を行うディスプレイの駆動装置の画像処理回路であって
入力される所定階調数の入力RGB信号からそれ以下の階調数のRGB信号を生成するメインパスと、
前記メインパスより少ない階調数のRGB信号を生成するサブパスと、
前記メインパスの生成信号とサブパスの生成信号とを切り替えて出力するスイッチと、
前記入力RGB信号から輝度信号Yと色差信号Iを演算し、前記輝度信号Yと前記色差信号Iとに基づく信号の動き量が所定値を超える動き領域を検出する動き領域検出手段と、
前記入力RGB信号から肌色に対応する色空間領域を検出する色検出手段と、
前記動き領域検出手段と前記色検出手段からの出力信号に基づいて、前記スイッチを制御するパス切り替え制御部とを有し、
前記肌色に対応する色空間領域と前記動き領域の双方を検出した場合に前記サブパスに切り替え、他の場合には前記メインパスに切り替えるようにした。
【0012】
このように、視覚特性上で疑似輪郭の目立ちやすい色空間領域においてのみ動き領域を検出したときサブパスに切り替えるため、動きが検出された場合であっても疑似輪郭の目立たない色空間領域ではサブパスへの切り替えが行われず、上記切り替えで生じる拡散誤差によるノイズを防止できる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のディスプレイ駆動装置の画像処理回路において、
前記動き領域検出手段は、前記肌色に対応する色空間領域を検出した場合のみ、前記輝度信号Yと前記色差信号Iとに基づく信号の動き量を有効とし、有効とされた動き量のノイズ除去フィルタ処理を行った後、前記所定値と比較して動き領域を検出する。
【0014】
このため、動き量が滑らかに変化して動き領域がブロック状にまとまり、メインパスからサブパスへの切り替えの頻度を小さくできる。
請求項に記載の発明は、請求項1記載のディスプレイ駆動装置の画像処理回路において、
前記動き領域検出手段は、前記輝度信号Yと前記色差信号Iとに基づく信号の動き量のノイズ除去フィルタ処理を行った後、前記肌色に対応する色空間領域を検出した場合のみ有効とし、有効とされた動き量を前記所定値と比較して動き領域を前記所定値と比較して動き領域を検出する。
【0015】
このため、動き量は滑らかに変化しても、疑似輪郭の目立ちやすい色空間領域か否かによって画素単位で厳密にメインパスからサブパスへの切り替えが行われる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の画像処理回路の第1実施例を示すブロック図である。同図中、RGB各色の入力画像信号はメインパス30とサブパス32夫々に供給されると共に、パス切替制御部35のRGBマトリクス回路36及び色検出回路38に供給される。
【0018】
メインパス30は、図1に示す如く接続されたゲイン制御回路30aと誤差拡散回路30bとからなる。他方、サブパス32は、同図に示す如く接続された歪み補正回路32aと、ゲイン制御回路32bと、誤差拡散回路32cと、データ整合回路32dとからなる。
本実施例では、メインパス30は、6ビット出力で52の実表示階調数を表現するものとする。この場合、RGB信号の各輝度レベルにおける点灯サブフィールド期間の配置は、図2に示す配置と同じであるものとする。従って、単色あたりの表示階調は、レベル0〜51までの52階調である。
【0019】
メインパス30を介してPDP上で表示できる最高輝度レベルは、6ビット出力で51である。又、入力画像信号の最高輝度レベルは、8ビット入力で255である。このため、ゲイン制御回路30aは、入力画像信号にゲイン係数51×28-6 /255=204/255を乗算する。このゲイン係数の乗算により、後段の誤差拡散回路30bにおいて、入力画像信号の全域にわたって誤差拡散処理を行うことができる。尚、ゲイン制御回路32bは、一般的な乗算器やROM、RAM等で構成することができる。
【0020】
誤差拡散回路30bは、ゲイン制御回路30aを介して得られる画像信号に対して誤差拡散を行うことにより、疑似的に中間調を生成し、あたかも階調数が増えたかのような印象を与える。本実施例では、メインパス30の表示階調数は52であるため、誤差拡散回路30bの出力ビット数は6である。
本実施例では、サブパス32は、4ビット出力で9の実表示階調数を表現するものとする。この場合、RGB信号の各輝度レベルにおける点灯サブフィールド期間の配置は、図3に示す配置と同じであるものとする。従って、単色あたりの表示階調は、レベル0〜8までの9階調である。
【0021】
サブパス32においては、0〜8までの9ステップの階調を表現可能であるが、輝度量は0,1,3,7,11,...といった具合に、均等には増加しない。従って、誤差拡散後の表示特性と逆関数の補正を行い、全体としては線形の表示特性を得る必要がある。歪み補正回路32aでは、このような逆関数特性をROM又はRAMテーブルに格納している。
【0022】
サブパス32を介してPDP上で表示できる最高輝度レベルは、4ビット出力で8である。又、入力画像信号の最高輝度レベルは、8ビット入力で255である。このため、ゲイン制御回路32bは、入力画像信号にゲイン係数8×28-4 /255=128/255を乗算する。このゲイン係数の乗算により、後段の誤差拡散回路623において、入力画像信号の全域にわたって誤差拡散処理を行うことができる。尚、ゲイン制御回路32bは、一般的な乗算器やROM、RAM等で構成することができる。
【0023】
誤差拡散回路32cは、ゲイン制御回路32bを介して得られる画像信号に対して誤差拡散を行うことにより、疑似的に中間調を生成し、あたかも階調数が増えたかのような印象を与える。本実施例では、サブパス32の表示階調数は9であるため、誤差拡散回路32cの出力ビット数は4である。
データ整合回路32dは、サブパス32における輝度レベルを、メインパス30における輝度レベルに整合させるために設けられている。データ整合回路32dは、本実施例では表1の如きテーブルをROM又はRAMテーブルで構成されている。
【0024】
【表1】
Figure 0004107520
【0025】
スイッチ回路34は、パス切替制御部35の判定回路46からのパス選択/切り替え信号に基づいて、入力画像信号に応じて使用するパスを切り替える。従って、入力画像信号を構成するRGB信号に対しては、R,G,Bとで夫々独立してパスの切り替えが行われる。このため、同一画素に関するRGB信号であっても、例えばR信号はメインパス30で処理され、G信号及びB信号が共にサブパス32で処理されるといったこともある。
【0026】
動き検出を行う場合、フィールド単位のメモリが必要となるため、RGB3系統独立して検出を行うのは回路規模の増大をまねくため、本実施例ではRGBマトリクス回路(RGB演算手段)36によりY+I信号に変換する。輝度信号Yの生成式はY=0.30R+0.59G+0.11Bである。図4(A),(B),(C)に示すカラーバー表示用の各RGB信号を入力したとき輝度信号Yは図4(D)に示すようになる。
【0027】
実際にPDPで表示している場合、疑似輪郭が目立ちやすいのは肌色の部分である。これは人間の色に対する感度が高いことに起因している。カラーコンポジット信号であるNTSC規格でも色差を表わすI,Q軸で肌色方向のI軸はQ軸に対し3倍の帯域を割り当てられている。色差信号IはI=0.60R−0.28G−0.32Bと規格されている。
【0028】
本実施例では3系統のRGB信号を輝度Yと色差Iとで合成したY+I軸に変換して動き検出を行う。輝度Yと色差Iの生成式はRGB空間からYIQ空間への変換ベクトルと考えることができ、Y+I=0.90R+0.31G−0.2 Bとなる。この演算によるY+I信号の波形を図4(E)に示す。ここでは、視覚感度の高い肌色に近い黄色と赤のレベルが高くなり、視覚感度の低い青のレベルが低くなっている。
【0029】
色検出回路(色検出手段)38は入力RGB信号からその画素が疑似輪郭の出やすい色領域にある場合に、それを検出する。図5は色検出回路38の一実施例のブロック図を示す。同図中、セレクタ51,52は各RGB信号とスレッショルドレベルT1とを独立に選択するよう予め設定されており、ここで選択した信号を比較器57に供給する。例えばセレクタ51はR信号を選択し、セレクタ52はスレッショルドレベルT1を選択するものとすると、比較器57はR<T1のときにハイレベルR≧T1のときにローレベルの比較結果を出力し、この出力信号は論理回路60に供給される。同様にセレクタ53,54は各RGB信号とスレッショルドレベルT2とを独立に選択するよう予め設定されており、ここで選択された信号は比較器58で互いに比較され、その比較結果が論理回路60に供給される。また、セレクタ55,56は各RGB信号とスレッショルドレベルT3とを独立に選択するよう予め設定されており、ここで選択された信号は比較器59で比較され、その比較結果が論理回路61に供給される。論理回路60の出力は論理回路61に供給される。
【0030】
論理回路60,61夫々は比較器または論理回路からの2入力のアンド演算、オア演算を行って、いずれか一方の演算結果を選択して出力する。どちらを選択するかは選択信号により予め設定されている。
このような構成とすることにより、RGB信号から疑似輪郭の出やすい肌色近傍の色空間領域にある場合に値1の検出信号を出力する。
【0031】
なお、この他にも各RGB信号の上位数ビットをアドレスとして、肌色近傍の色空間領域のアドレスについて値1を予め書き込んだROM等で色検出回路28を構成しても良い。この場合もRGB信号から疑似輪郭の出やすい肌色近傍の色空間領域にある場合に値1の検出信号が出力される。
スイッチ42は色検出回路28の出力する値1の検出信号を制御端子に供給されると動き検出回路40の出力する動き量を選択し、そうでないとき即ち疑似輪郭の出にくい青色等の色領域では動きなしの動き量(固定値、例えば0)を選択してノイズ除去時空間フィルタ44に供給する。
【0032】
図6は、図1に示す動き検出回路40の一実施例を示すブロック図である。 図6中、エッジ検出回路40aは、図示の如く接続された1H遅延回路81,82、遅延回路83、減算回路84,85、絶対値回路86,87、最大値検出回路88,89、乗算回路90,92,93及び加算回路92を有する。動き領域検出回路643は、図示の如く接続された1V遅延回路121,122、減算回路123,124、絶対値回路125,126及び最小値検出回路127を有する。尚、1Hは入力画像信号の1水平走査期間を示し、1Vは入力画像信号の1垂直走査期間を示す。
【0033】
エッジ検出回路40aにおいて、減算回路84は、現在の入力輝度信号Yと2H前の入力輝度信号Yとの差分を求め、絶対値回路86は減算回路84からの差分の絶対値を求める。最大値検出回路88は、絶対値回路86で求められた絶対値のうち、例えば最も大きい3つの絶対値を検出して乗算回路90に出力する。乗算回路90には、水平方向に延在する横エッジを検出する感度を決定する係数が入力されており、乗算回路90の出力は加算回路92に出力される。他方、遅延回路83は、入力輝度信号Yを画素単位(D)で遅延するので、減算回路85は入力画像信号の画素間の差分を求める。絶対値回路87は減算回路85からの差分の絶対値を求める。最大値検出回路89は、絶対値回路87で求められた絶対値のうち、例えば最も大きい3つの絶対値を検出して乗算回路91に出力する。乗算回路91には、垂直方向に延在する縦エッジを検出する感度を決定する係数が入力されており、乗算回路91の出力は加算回路92に出力される。加算回路92の出力は乗算回路93に供給され、全体としてのエッジ感度を決定する係数を乗算される。これにより、乗算回路93は、エッジ量を示す信号が出力して後述する除算回路131に供給する。
【0034】
動き領域検出回路40bにおいて、減算回路123は入力輝度信号Yの隣り合う2フィールド期間の差分を求めて絶対値回路125に出力する。減算回路124は入力輝度信号Yの隣り合う2フレーム期間の差分を求めて絶対値回路126に出力する。従って、絶対値回路125は、現在のフィールド期間と1フィールド期間前の入力輝度信号Yの差分の絶対値を求めて最小値検出回路127に出力する。他方、絶対値回路126は、現在のフィールド期間と2フィールド期間前の入力輝度信号Yの差分の絶対値を求めて最小値検出回路127に出力する。最小値検出回路127は、絶対値回路125,126からの絶対値のうち、最小値を動き量を示す信号として後述する除算回路131に供給する。ノンインターレイス方式を採用する場合、奇数番目のフィールド期間とその次の偶数番目のフィールド期間とでは、実際には画像中に動きがないにも拘らず差分が検出されてしまう可能性がある。そこで、差分は、現在のフィールド期間の入力輝度信号Yと1フィールド期間前及び2フィールド期間前の入力輝度信号Yとの夫々について求め、その絶対値の最小値から動き量を求めるようにしている。
【0035】
尚、絶対値回路125,126から得られる差分の絶対値の単位は例えば(レベル/フィールド)であり、最小値回路127から得られる動き量の単位は例えば(ドット/フィールド)である。ここで、動き量は、動き量(ドット/フィールド)={(|差分(最小値)(レベル/フィールド)|}÷{|傾き(レベル/ドット)|}で表される。
【0036】
除算回路131は、最小値検出回路127から得られる動き量を乗算回路93から得られるエッジ量で除算することにより、画像中の動きの度合い、即ち、動き量を正規化する。除算回路131で正規化された動き量は、スイッチ44に供給される。
スイッチ44で選択された動き量は孤立点除去回路とテンポラリフィルタと2次元LPF(ローパスフィルタ)とよりなるノイズ除去時空間フィルタ44に供給される。孤立点除去回路は、ノイズ等の孤立した画像データを除去するために設けられている。例えば、画像中の所定範囲内において、周囲の画素が動きを示していないのに中心部の1画素だけが動いていれば、この1画素はノイズと見なせるの。従って、このような場合には、孤立点除去回路132で孤立点を除去する。具体的には、孤立点は、各ラインの画素の動き量をしきい値と比較し、しきい値以下の動き量の画素については動きがない画素とみなすことで除去可能である。
【0037】
テンポラルフィルタは、動きを示す画素のデータのレベルの立ち下がりを時間軸上緩やかに補正するために設けられている。例えば、画像中、特定の画素が動いていて急に止ると、画像データとしてはこの特定画素が止っているが、人間の目には残像効果等で直ちに止って見えない。そこで、テンポラルフィルタは、動きを示す画素のデータのレベルの立ち下がりを時間軸上緩やかに補正することで、PDP上の画像の表示を人間の目の特性に合わせて違和感を少なくする。具体的には、テンポラルフィルタは、孤立点除去回路132から得られる動き量及び後述するメモリから読み出した値のうち最大値を求め、最大値に1未満の係数を乗算してメモリに格納する。求められた最大値は、テンポラルフィルタ133の出力として2次元LPFに供給される。つまり、メモリに格納される動き量は、少しづつ減少するので、実際の動き量がゼロになってもテンポラルフィルタ133から出力される動き量は緩やかに減少する。
【0038】
2次元LPFは、1つの画素のデータを、その周辺の画素のデータに基づいて補正することで、ある範囲内の画素のデータを平均化して、1つの画素だけがその周辺の画素と極端に異なるレベルとなることを防止する。つまり、2次元LPF134は、動き量を2次元空間的に補正する。
判定回路46はノイズ除去時空間フィルタ44から供給される動き量が所定の閾値以下の場合、スイッチ34にメインパス30を選択させ、動き量が閾値を越えるとスイッチ34にサブパス32を選択させるような切り替え信号を生成してスイッチ34に供給し、これを切り替える。
【0039】
ここで、疑似輪郭の目立ち易い色とは、人間の視覚感度の高い肌色であり、逆に感度が低い色は青色である。
源画像の画像信号自体にノイズが含まれている場合は、ノイズ除去フィルタの感度を上げることによって解決できるが、動き領域自体が減少してしまうため、肝心の疑似輪郭の発生している領域をカバーできなくなってしまう。具体的には、背景が青い空で人が移動しているような絵柄では、背景のノイズを除去するように感度を設定すると、移動している人の動き領域が減少する。
【0040】
動き検出に使う信号を、肌色の時最大になり青色では最小になるような、RGB演算回路を用い、ノイズ除去フィルタの感度をあまり上げなくても疑似輪郭の生じている領域が特定できる。
同じように移動している肌色の部分と青色の部分があった場合、前者では疑似輪郭が目立つが、後者では目立たないという現象については、本発明では肌色部分を検出し、その領域のみ動き検出を行うため、青色の部分では動き量が動きなしの値となり、この部分でサブパスへの切り替えが防止され誤差拡散によるノイズの発生を防止できる。
【0041】
図7は本発明の画像処理装置の第2実施例を示すブロック図である。同図中、図1と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図7においては、動き検出回路40の出力する動き量を直接ノイズ除去時空間フィルタ44に供給して、この時空間フィルタ44の出力する動き量をスイッチ42に供給する。スイッチ42が色検出回路38の出力する検出信号によって上記の動き量と動きなしの動き量とを切り替え、スイッチ42の出力する動き量が判定回路46に供給される。
【0042】
図1の第1実施例ではスイッチ42による切り替えの後にノイズ除去フィルタ44を通すため動き量が滑らかに変化するので、サブパス32で処理される画素の領域がブロック状にまとまるが、上記の第2実施例ではノイズ除去時空間フィルタ44を通した動き量がスイッチ42で切り替えられて判定回路46に供給されるため、サブパス32で処理される画素はブロック状にまとまることが少なく画素単位で厳密に切り替えられる。
【0043】
図8は本発明の画像処理装置の第3実施例を示すブロック図である。同図中、図1と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図8においてはノイズ除去時空間フィルタ44の出力する動き量を、RGBの各系に対して設けた判定部140に供給する。判定部140は階調変移検出回路142と加算器144と判定回路146とからなる。
【0044】
階調変移検出回路(重み演算手段)142は図9に示すように、メインパス30からの出力階調データと、フィールドメモリ146に格納された1フィールド前の階調データとを入力アドレスとしてアクセスされる変換テーブル148で構成される。この変換テーブル148は階調データが1フィールド期間で変化するとき疑似輪郭が発生しやすいような変移をした場合に値が大きく、疑似輪郭が発生しにくいような変移をした場合に値が小さくなる重み量が図10に示すように予め書き込まれている。
【0045】
この階調変移検出回路142の出力する重み量は加算器14で動き量に加算され、判定回路146に供給される。判定回路146は重み量が加算された動き量を所定の閾値と比較して閾値を越えたときにサブパス34を選択させる切り替え信号を生成してスイッチ34に供給し、これを切り替える。
ここで、疑似輪郭は微少な階調変移の画素において発生するため、このような疑似輪郭の発生しやすい階調の変移を検出して重み量を設定することにより、この第3実施例では更に疑似輪郭の発生を精度良く防止できる。
【0046】
図11は本発明の画像処理回路を適用したディスプレイ駆動装置の一実施例のブロック図を示す。
ディスプレイ駆動装置は、画像処理回路150と大略点灯時刻制御回路151とPDP駆動回路152とからなる。PDP駆動回路152は、大略フィールドメモリ153と、メモリコントローラ154と、スキャンコントローラ155と、スキャンドライバ156と、アドレスドライバ157とからなる。図10では、便宜上、PDP158がPDP駆動回路152内に図示されている。
【0047】
点灯時刻制御回路151は、画像処理回路150からRGB信号を供給され、どの階調がどの時刻のサブフィールドで点灯するかを示す被変換データに変換されてPDP駆動回路152に供給される。本実施例では、フィールドメモリ153は、メモリコントローラ154の制御下で上記被変換データの書き込み及び読み出しを行う。アドレスドライバ157は、フィールドメモリ153から読み出されたデータに基づいてPDP158を駆動する。スキャンコントローラ155は、スキャンドライバ156を制御することによりPDP158の駆動を制御する。PDP158がスキャンドライバ156及びアドレスドライバ157に駆動されることにより、各サブフィールド内で発光する画素に対して壁電荷が形成されたり、サステイン(発光)パルスが生成されたりする。
【0048】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1に記載の発明は、発光時間長によって輝度表現を行うディスプレイの駆動装置の画像処理回路であって
入力される所定階調数の入力RGB信号からそれ以下の階調数のRGB信号を生成するメインパスと、
前記メインパスより少ない階調数のRGB信号を生成するサブパスと、
前記メインパスの生成信号とサブパスの生成信号とを切り替えて出力するスイッチと、
前記入力RGB信号から輝度信号Yと色差信号Iを演算し、前記輝度信号Yと前記色差信号Iとに基づく信号の動き量が所定値を超える動き領域を検出する動き領域検出手段と、
前記入力RGB信号から肌色に対応する色空間領域を検出する色検出手段と、
前記動き領域検出手段と前記色検出手段からの出力信号に基づいて、前記スイッチを制御するパス切り替え制御部とを有し、
前記肌色に対応する色空間領域と前記動き領域の双方を検出した場合に前記サブパスに切り替え、他の場合には前記メインパスに切り替えるようにした。
【0049】
このように、視覚特性上で疑似輪郭の目立ちやすい色空間領域においてのみ動き領域を検出したときサブパスに切り替えるため、動きが検出された場合であっても疑似輪郭の目立たない色空間領域ではサブパスへの切り替えが行われず、上記切り替えで生じる拡散誤差によるノイズを防止できる。
【0050】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のディスプレイ駆動装置の画像処理回路において、
前記動き領域検出手段は、前記肌色に対応する色空間領域を検出した場合のみ、前記輝度信号Yと前記色差信号Iとに基づく信号の動き量を有効とし、有効とされた動き量のノイズ除去フィルタ処理を行った後、前記所定値と比較して動き領域を検出する。
【0051】
このため、動き量が滑らかに変化して動き領域がブロック状にまとまり、メインパスからサブパスへの切り替えの頻度を小さくできる。
また、請求項に記載の発明は、請求項1記載のディスプレイ駆動装置の画像処理回路において、
前記動き領域検出手段は、前記輝度信号Yと前記色差信号Iとに基づく信号の動き量のノイズ除去フィルタ処理を行った後、前記肌色に対応する色空間領域を検出した場合のみ有効とし、有効とされた動き量を前記所定値と比較して動き領域を前記所定値と比較して動き領域を検出する。
【0052】
このため、動き量は滑らかに変化しても、疑似輪郭の目立ちやすい色空間領域か否かによって画素単位で厳密にメインパスからサブパスへの切り替えが行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像処理回路のブロック図である。
【図2】サブパスにおける点灯サブフィールド期間の配置を示す図である。
【図3】メインパスにおける点灯サブフィールド期間の配置を示す図である。
【図4】RGBマトリクスの動作を説明するための図である。
【図5】色検出回路のブロック図である。
【図6】動き検出回路のブロック図である。
【図7】本発明の画像処理回路のブロック図である。
【図8】本発明の画像処理回路のブロック図である。
【図9】階調変移検出回路のブロック図である。
【図10】変換テーブルを説明するための図である。
【図11】本発明回路を適用したディスプレイ駆動装置のブロック図である。
【図12】面放電を行うPDPの階調駆動シーケンスの一例を説明するための図である。
【図13】従来回路のブロック図である。
【符号の説明】
30 メインパス
30a ゲイン制御回路
30b,32c 誤差拡散回路
32 サブパス
32a 歪み補正回路
32b ゲイン制御回路
32d データ整合回路
34,42 スイッチ
35 パス切替制御部
36 RGBマトリクス回路
38 色検出回路
40 動き検出回路
44 ノイズ除去時空間フィルタ
46,146 判定回路
140 判定部
142 階調変移検出回路
144 加算器

Claims (3)

  1. 発光時間長によって輝度表現を行うディスプレイの駆動装置の画像処理回路であって
    入力される所定階調数の入力RGB信号からそれ以下の階調数のRGB信号を生成するメインパスと、
    前記メインパスより少ない階調数のRGB信号を生成するサブパスと、
    前記メインパスの生成信号とサブパスの生成信号とを切り替えて出力するスイッチと、
    前記入力RGB信号から輝度信号Yと色差信号Iを演算し、前記輝度信号Yと前記色差信号Iとに基づく信号の動き量が所定値を超える動き領域を検出する動き領域検出手段と、
    前記入力RGB信号から肌色に対応する色空間領域を検出する色検出手段と、
    前記動き領域検出手段と前記色検出手段からの出力信号に基づいて、前記スイッチを制御するパス切り替え制御部とを有し、
    前記肌色に対応する色空間領域と前記動き領域の双方を検出した場合に前記サブパスに切り替え、他の場合には前記メインパスに切り替えるようにしたことを特徴とするディスプレイ駆動装置の画像処理回路。
  2. 請求項1記載のディスプレイ駆動装置の画像処理回路において、
    前記動き領域検出手段は、前記肌色に対応する色空間領域を検出した場合のみ、前記輝度信号Yと前記色差信号Iとに基づく信号の動き量を有効とし、有効とされた動き量のノイズ除去フィルタ処理を行った後、前記所定値と比較して動き領域を検出することを特徴とするディスプレイ駆動装置の画像処理回路。
  3. 請求項1記載のディスプレイ駆動装置の画像処理回路において、
    前記動き領域検出手段は、前記輝度信号Yと前記色差信号Iとに基づく信号の動き量のノイズ除去フィルタ処理を行った後、前記肌色に対応する色空間領域を検出した場合のみ有効とし、有効とされた動き量を前記所定値と比較して動き領域を検出することを特徴とするディスプレイ駆動装置の画像処理回路。
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