JP4107075B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟で、燃焼時に有毒なハロゲン系ガス、ダイオキシン、シアン等を発生せず、高度な難燃性を有し、かつ機械的特性に優れ、耐トラッキング性を有し、成形・加工性に優れた難燃性樹脂組成物及びその成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、様々な分野において、可撓性、柔軟性等に優れた種々の素材が使用されており、それらの中でも、塩化ビニル樹脂は、その特性から幅広く使用されている。しかしながら、近年、環境問題が重要視され、特に塩化ビニル樹脂は、燃焼時にダイオキシン類が発生する問題があった。そこで、塩化ビニル樹脂の代替として、種々の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーが検討されている。
【0003】
一方、火災等に対する安全性から、それら代替素材の難燃化が要求され、UL94の垂直試験に適合するような高い難燃性を得るためには、ハロゲン原子を有する有機化合物や三酸化アンチモン等を使用しなくてはならず、これらの燃焼時においても、塩化ビニル樹脂と同様にダイオキシン類の発生が問題化している。
【0004】
そこで、ハロゲン原子を有する有機化合物を使用しない難燃性樹脂組成物が検討され、これまでに数多くの組成物が提案されている。例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂と称される樹脂に、水酸化マグネシウムや窒素系難燃剤あるいはリン系難燃剤等を添加する方法である。しかしながら、UL94の垂直試験に適合するような高い難燃性を得るためには、多量の難燃剤を添加する必要があり、その結果、機械的特性の低下が避けられず、実用に耐えうる物とは言えなかった。
【0005】
機械的特性の低下を改善するために、ポリオレフィン系樹脂、ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体、金属水酸化物からなる難燃性樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体と比較して、ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体単独では機械的特性が向上するが、ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体との相溶性に問題があるので、これらの混合物では機械的特性が向上しない。
【0006】
また、本発明者らは、熱可塑性ポリアミドエラストマーや部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体にメラミンシアヌレート等を添加した難燃性樹脂組成物を提案した(特許文献2参照)。当該組成物は、十分な難燃性と機械的強度を有しているものの、樹脂や難燃剤を構成する原子に窒素原子が含まれるので、燃焼時にシアン化合物が発生する危険性があるという問題点があり、より安全性に優れた難燃性樹脂組成物が求められている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−139741号公報
【特許文献2】
特開平10−101928号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、柔軟で、燃焼時にハロゲン系ガス、ダイオキシン、シアン等の有毒ガスが発生せず、高度な難燃性を有し、耐トラッキング性を有し、機械的特性の低下がなく、成形性及び加工性等に優れた難燃性樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
【0009】
より具体的には、フィルム、シート、粘着フィルム、クランプカバー、電線防護管への使用を考慮し、難燃性は厚さ1mmでUL94のV−2相当、厚さ0.1mmでVTM−0相当、JIS A 1322の防炎2級相当以上であり、機械的特性として、引張強度10MPa以上、引張伸び150%以上、低温脆化温度−20℃以下、JIS C 3005の塩水噴霧耐トラッキング性試験101回以上に適合する難燃性樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成させるために鋭意検討した結果、特定の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体に金属水酸化物を添加することにより上記目的が達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体及び金属水酸化物を含有する難燃性樹脂組成物であって、
(1)前記部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体が、エチレン及び酢酸ビニルを含有し、酢酸ビニルの含有割合が28〜42質量%の重合性組成物から成るエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物であって、かつ、ケン化度が10〜80質量%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体であること、
(2)前記部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体と前記金属水酸化物の割合が質量比で40:60〜90:10であること、
(3)前記難燃性樹脂組成物中の前記部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体と前記金属水酸化物の合計の割合が90〜100質量%であること、
(4)窒素原子、リン原子又はハロゲン原子を有する樹脂及び難燃剤を含有しないこと
を特徴とする難燃性樹脂組成物を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の難燃性樹脂組成物及びその成形体について詳細に説明する。
【0013】
本発明で使用する部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレン及び酢酸ビニルを含有し、酢酸ビニルの含有割合が28〜42質量%の重合性組成物から成るエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物であって、かつ、ケン化度が10〜80質量%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体である。部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体の原料となるケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体として、当該共重合体を構成する全モノマー中の酢酸ビニルの含有割合が28質量%未満のものを用いた場合、目的とする厚さ1mmでUL94のV−2相当、厚さ0.1mmでVTM−0相当、JIS A 1322の防炎2級相当以上の難燃性を有する樹脂組成物が得られない。また、ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体として、当該共重合体を構成する全モノマー中の酢酸ビニルの含有割合が42質量%より多いものを用いた場合、機械的特性の低下が著しく、実用に耐えない。
【0014】
さらに、ケン化度が80質量%より高い部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた場合、得られる難燃性樹脂組成物から成る成形体の機械的強度の低下及び低温脆化温度の上昇が著しく、目的とする難燃性樹脂組成物が得られない。さらにまた、ケン化度が10質量%より低い部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた場合、目的とする難燃性及び機械的強度を有する樹脂組成物が得られない。以上のように、良好な機械的特性、低温脆化温度を得るためには、ケン化度は10から80質量%であることが必要である。
【0015】
部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を公知の方法によりケン化することにより製造することができる。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体を粒状又は粉末状のまま、低級アルコール等に分散させ、アルカリ触媒を用いてケン化反応させた後、低級アルコールと触媒を濾過除去し、さらに低級アルコールで洗浄し、乾燥させる、いわゆる「不均一ケン化法」等により、製造することができる。また、高ケン化率のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物は、特開平7−53631号公報に記載された方法、すなわち、エチレン−酢酸ビニル共重合体を有機溶媒中、金属アルコラートを用いてケン化する際に、アルカリ金属水酸化物の共存下に実施する方法等で製造することができる。
【0016】
このようにして得られるエチレン及び酢酸ビニルを含有し、酢酸ビニルの含有割合が28〜42質量%の重合性組成物から成るエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物であって、かつ、ケン化度が10〜80質量%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトマスフローレートは、温度190℃、荷重2.16kgの条件下で1.0〜50.0g/10分の範囲が好ましい。
【0017】
エチレン及び酢酸ビニルを含有し、酢酸ビニルの含有割合が28〜42質量%の重合性組成物から成るエチレン−酢酸ビニル共重合体としては、この範囲に入るもので、かつ、部分ケン化後の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体の物性が上記した範囲に入るものであれば、特に制限なく、使用することができる。
【0018】
そのようなエチレン−酢酸ビニル共重合体の市販品としては、例えば、「エバフレックスP2805」(三井・デュポンポリケミカル(株)製:共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28質量%)、「エバフレックス40LX」(三井・デュポンポリケミカル(株)製:共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=41質量%)、などが挙げられる。
【0019】
エチレン及び酢酸ビニルを含有し、酢酸ビニルの含有割合が28〜42質量%の重合性組成物から成るエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物であって、かつ、ケン化度が10〜80質量%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体の市販品としては、例えば、「テクノリンクR400」(田岡化学工業(株)製:ケン化度=60質量%:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=42質量%)、「テクノリンクR400−80」(同社製:ケン化度80質量%:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=42質量%)、「テクノリンクK431−10」(同社製:ケン化度10質量%:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28質量%)、「テクノリンクK431−60」(同社製:ケン化度60質量%:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28質量%)、「テクノリンクK431−80」(同社製:ケン化度80質量%:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28質量%)、などが挙げられる。
【0020】
本発明で使用する金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、などが挙げられるが、耐水性に優れる水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムが特に好ましい。金属水酸化物は、その表面をシランカップリング剤の如き表面処理剤で処理して、加工性や耐水性向上させたものを用いることもできる。表面処理剤の種類や量は、得られる難燃性樹脂組成物の特性に影響を与えない。また、水酸化マグネシウムの合成品と天然品での差は見られない。
【0021】
部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体と金属水酸化物の割合は質量比で40:60〜90:10であることが好ましい。金属水酸化物が10質量%未満であると、十分な難燃性及び耐トラッキング性が得られず、また、60質量%より多いと、機械的特性の低下が著しく、実用に耐えない。
【0022】
本発明の難燃性樹脂組成物は、高度な難燃性、機械的特性、加工性を有し、Tダイ、インフレーション等の押出成形、射出成形、異型押出成形等種々の加工が可能であり、種々の成形体を得ることができる。
【0023】
本発明の難燃性樹脂組成物は、特にその優れた特性から、フィルム、シート、粘着フィルムの基材フィルム又はシート、クランプカバー、電線防護管、電線被膜に有用である。
【0024】
本発明の難燃性樹脂組成物に使用する部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体に電子線の如き活性エネルギー線を照射すると、そのエネルギーにより共重合体中に残存するポリエチレン等に残っている二重結合や主鎖等が切断されラジカル(架橋点)が発生し、これらのラジカルの結合により架橋され網目構造となり、耐熱性や強度が向上することが知られている。この架橋反応を促進するために、被照射物に架橋助剤等を添加することもできる。架橋助剤としては、一般に、分子中に二重結合を有する化合物が挙げられる。本発明の難燃性樹脂組成物は、必要に応じて、上記架橋助剤を添加し、シートおよびフィルム等に成形した後、電子線等を使用して、適度に架橋させることによって、他の特性を低下させることなく、機械的特性と耐熱性を向上することもできる。
【0025】
粘着フィルムは、本発明の難燃性樹脂組成物を用いて作成したフィルムあるいはシートに、公知の粘着剤、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等を用いて、公知慣用の方法で粘着剤層を形成することによって製造することができる。
【0026】
本発明の難燃性樹脂組成物には、必要に応じて、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等の無機化合物、フェノール系、チオエーテル系、ホスファイト系、ラクトン系、ビタミン類等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアジン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等の耐光安定剤、金属不活性化剤、シリコーン系、フッソ系、アマイド系等の離型及びメヤニ防止及び滑剤、金属石鹸、アマイド系等の分散剤、染料や有機系及び無機系顔料等の着色剤、結晶核剤、帯電防止剤等を添加することができる。
【0027】
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、特にポリアミドエラストマーとの相溶性に優れているので、本発明の難燃性樹脂組成物にポリアミドエラストマーを添加し、種々の機械的特性を低下させずに、耐熱性を向上させることができる。ただし、ポリアミドエラストマーを添加した場合、燃焼時のシアン発生は懸念される。また、本発明の難燃性樹脂組成物に、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体を添加することもできる。これらの共重合体を添加した場合には、やや相溶性に問題があり、機械的強度は低下するものの、難燃性を維持することができる。
【0028】
本発明の難燃性樹脂組成物は、構成する材料が、炭素原子、水素原子、酸素原子及び金属から成るので、燃焼させても、有毒なハロゲン系ガス、ダイオキシン、シアン等を発生しないことが明らかである。
【0029】
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、加工性に優れ、種々の成形体を容易に得ることができるので、本発明の難燃性樹脂組成物は、その優れた特性から、シート、フィルム、粘着テープの基材フィルム又はシート、電線被膜、クランプカバー、電線防護管又は筐体の成形材料に用いることができる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、実施例及び比較例に用いた各成分の詳細及び試験方法、評価を例示するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における「%」は、特に断りがない限り、質量基準である。
【0031】
<実施例1>
「エバフレックス40LX」(三井デュポンポリケミカル(株)製のエチレン−酢酸ビニル共重合体:共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=41%)を公知のケン化法によりケン化し、ケン化度が10%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「EVOH1」と略す)を得た。
【0032】
「EVOH1」90%及び「キスマ5P」(協和化学工業(株)製のシラン処理合成水酸化マグネシウム:以下、「Mg1」と略す)10%をミキサーにて混合し、2軸押出機にて160℃で溶融混練した後、ペレット化した。得られたペレットを用いて、180℃の熱プレス、水冷の冷却プレスにて1mm厚、2mm厚シートを作成した。また、Tダイにて160℃で0.1mm厚シートを作成した。
【0033】
<実施例2>
実施例1において、配合割合を「EVOH1」40%及び「Mg1」60%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0034】
<実施例3>
実施例1において、配合割合を「テクノリンクR400」(田岡化学工業(株)製のケン化度60%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=42%)(以下、「EVOH2」と略す)90%及び「Mg1」10%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0035】
<実施例4>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」40%及び「Mg1」60%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0036】
<実施例5>
実施例1において、配合割合を「テクノリンクR400−80」(田岡化学工業(株)製のケン化度80%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=42%)(以下、「EVOH3」と略す)90%及び「Mg1」10%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0037】
<実施例6>
実施例1において、配合割合を「EVOH3」40%及び「Mg1」60%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0038】
<実施例7>
実施例1において、配合割合を「テクノリンクK431−10」(田岡化学工業(株)製のケン化度10%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28%)(以下、「EVOH4」と略す)90%及び「Mg1」10%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0039】
<実施例8>
実施例1において、配合割合を「EVOH4」40%及び「Mg1」60%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0040】
<実施例9>
実施例1において、配合割合を「テクノリンクK431−60」(田岡化学工業(株)製のケン化度60%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28%)(以下、「EVOH5」と略す)90%及び「Mg1」10%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0041】
<実施例10>
実施例1において、配合割合を「EVOH5」40%及び「Mg1」60%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0042】
<実施例11>
実施例1において、配合割合を「テクノリンクK431−80」(田岡化学工業(株)製のケン化度80%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28%)(以下、「EVOH6」と略す)90%及び「Mg1」10%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0043】
<実施例12>
実施例1において、配合割合を「EVOH6」40%及び「Mg1」60%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0044】
<実施例13>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」70%及び「Mg1」30%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0045】
<実施例14>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」70%及び「キスマ5A」(協和化学工業(株)製の脂肪酸処理合成水酸化マグネシウム:以下、「Mg2」と略す)30%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0046】
<実施例15>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」70%及び「マグシーズN−1」(神島化学工業(株)製の天然水酸化マグネシウム:以下、「Mg3」と略す)30%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0047】
<実施例16>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」70%及び「ハイジライトH−32ST」(昭和電工(株)製のシラン処理水酸化アルミニウム:以下、「AL」と略す)30%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0048】
<実施例17>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」70%、「Mg1」20%及び「AFF95」(ファイマテック(株)製の炭酸カルシウム)10%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0049】
<実施例18>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」70%、「Mg1」27%及び「DC4−7081」(東レ・ダウコーニング(株)製のシリコーン)3%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0050】
<比較例1>
実施例1において、配合割合を「エバフレックス40LX」(三井・デュポンポリケミカル(株)製のエチレン−酢酸ビニル共重合体:共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=41%)(以下、「EVA1」と略す)90%及び「Mg1」10%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0051】
<比較例2>
実施例1において、配合割合を「EVA1」40%及び「Mg1」60%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0052】
<比較例3>
実施例1において、配合割合を「エバフレックスP2805」(三井・デュポンポリケミカル(株)製のエチレン−酢酸ビニル共重合体:共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28%)(以下EVA2と略す)90%及び「Mg1」10%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0053】
<比較例4>
実施例1において、配合割合を「EVA2」40%及び「Mg1」60%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0054】
<比較例5>
実施例1において、配合割合を「テクノリンクR100」(田岡化学工業(株)製のケン化度95%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=42%)(以下、「EVOH7」と略す)90%及び「Mg1」10%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0055】
<比較例6>
実施例1において、配合割合を「EVOH7」40%及び「Mg1」60%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0056】
<比較例7>
実施例1において、配合割合を「テクノリンクK400」(田岡化学工業(株)製のケン化度50%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=25%)(以下、「EVOH8」と略す)90%及び「Mg1」10%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0057】
<比較例8>
実施例1において、配合割合を「EVOH8」40%及び「Mg1」60%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0058】
<比較例9>
実施例1において、配合割合を「テクノリンクK131」(田岡化学工業(株)製のケン化度95%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28%)(以下、「EVOH9」と略す)90%及び「Mg1」10%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0059】
<比較例10>
実施例1において、配合割合を「EVOH9」40%及び「Mg1」60%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0060】
<比較例11>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」35%、「EVA1」35%及び「Mg1」30%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0061】
<比較例12>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」35%、「アクリフトWH206」(住友化学工業(株)製のエチレン−メチルメタアクリレート共重合体:共重合体を構成するメチルメタアクリレートの割合=20%)35%及び「Mg1」30%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0062】
<比較例13>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」35%、「TPAE−8」(富士化成工業(株)製のポリエーテルエステルアミドエラストマー)35%及び「Mg1」30%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0063】
<比較例14>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」70%及び「MC640」(日産化学工業(株)製のメラミンシアヌレート)(以下、「MCA」と略す)30%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0064】
<比較例15>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」70%、「Mg1」20%及び「MCA」10%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0065】
<比較例16>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」70%、「Mg1」20%及び「FP600」(旭電化工業(株)製の縮合リン酸エステル)10%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0066】
<比較例17>
「EVOH2」を単独で用いて、180℃の熱プレス、水冷の冷却プレスにて1mm厚、2mm厚シートを、またTダイにて160℃で0.1mm厚シートを作成した。
【0067】
<比較例18>
「EVOH5」を単独で用いて、180℃の熱プレス、水冷の冷却プレスにて1mm厚、2mm厚シートを、またTダイにて160℃で0.1mm厚シートを作成した。
【0068】
<比較例19>
実施例1において、配合割合を「EVOH2」35%及び「Mg1」65%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0069】
<比較例20>
実施例1において、配合割合を「EVOH5」35%及び「Mg1」65%に変更した以外は、実施例1と同様にして、0.1mm厚、1mm厚、2mm厚シートを作成した。
【0070】
<評価>
実施例1〜18及び比較例1〜20で得た各シートについて、以下に記載した方法に従って評価を行い、その結果を表1〜10にまとめて示した。
【0071】
(1)燃焼性1
UL94の垂直燃焼試験を厚さ1mmのシートを用いて実施した。V−0、V−2相当に適合するか判定した。適合する場合には「V−0」あるいは「V−2」と表記し、適合しない場合は「不適合」と表記した。
【0072】
(2)燃焼性2
UL94の薄物燃焼試験を厚さ0.1mmのシートを用いて実施した。VTM−0、VTM−2相当に適合するか判定した。適合する場合には「VTM−0」あるいは「VTM−2」と表記し、適合しない場合は「不適合」と表記した。
【0073】
(3)燃焼性3
JIS A 1322に準拠して、厚さ0.1mmのシートを用いて評価した。防炎1級、防炎2級に適合するか判定した。適合する場合には「防炎1級」あるいは「防炎2級」と表記し、適合しない場合は「不適合」と表記した。
【0074】
(4)引張強度(単位=MPa)
JIS K 7113 に準拠して実施した。厚さ1mmのシートを使用し、JIS K 6251の3号試験片にて、引張速度200mm/分で測定した。
【0075】
(5)引張伸び(単位=%)
JIS K 7113 に準拠して実施した。厚さ1mmのシートを使用し、JIS K 6251の3号試験片にて、引張速度200mm/分で測定した。
【0076】
(6)低温脆化温度(単位=℃)
JIS K 7216 に準拠して厚さ2mmのシートを用いて実施した。測定は10℃間隔とした。表中では「脆化温度」と表記した。
【0077】
(7)耐トラッキング性
JIS C 3005 の塩水噴霧耐トラッキング性試験に準拠し、厚さ2mmのシートを用いて評価した。なお、表中では「耐トラ」と記した。噴霧回数101回以上を適合、101回未満を不適合で表示した。
【0078】
【表1】
Figure 0004107075
【0079】
【表2】
Figure 0004107075
【0080】
【表3】
Figure 0004107075
【0081】
【表4】
Figure 0004107075
【0082】
【表5】
Figure 0004107075
【0083】
【表6】
Figure 0004107075
【0084】
【表7】
Figure 0004107075
【0085】
【表8】
Figure 0004107075
【0086】
【表9】
Figure 0004107075
【0087】
【表10】
Figure 0004107075
【0088】
表1から表10に記載した略号は以下の通りである。
EVOH1:「エバフレックス40LX」(三井デュポンポリケミカル(株)製のエチレン−酢酸ビニル共重合体:共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=41%)を公知のケン化法によりケン化し、ケン化度が10%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体
EVOH2:「テクノリンクR400」(田岡化学工業(株)製のケン化度60%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=42%)
EVOH3:「テクノリンクR400−80」(田岡化学工業(株)製のケン化度80%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=42%)
EVOH4:「テクノリンクK431−10」(田岡化学工業(株)製のケン化度10%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28%)
EVOH5:「テクノリンクK431−60」(田岡化学工業(株)製のケン化度60%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28%)
EVOH6:「テクノリンクK431−80」(田岡化学工業(株)製のケン化度80%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28%)
【0089】
EVOH7:「テクノリンクR100」(田岡化学工業(株)製のケン化度95%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=42%)
EVOH8:「テクノリンクK400」(田岡化学工業(株)製のケン化度50%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=25%)
EVOH9:「テクノリンクK131」(田岡化学工業(株)製のケン化度95%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28%)
【0090】
EVA1:「エバフレックス40LX」(三井・デュポンポリケミカル(株)製のエチレン−酢酸ビニル共重合体:共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=41%)
EVA2:「エバフレックスP2805」(三井・デュポンポリケミカル(株)製のエチレン−酢酸ビニル共重合体:共重合体を構成する酢酸ビニルの割合=28%)
【0091】
TPAE:「TPAE−8」(富士化成工業(株)製のポリエーテルエステルアミドエラストマー)
EMMA:「アクリフトWH206」(住友化学工業(株)製のエチレン−メチルメタアクリレート共重合体:共重合体を構成するメチルメタクリレートの割合=20%)
【0092】
Mg1:「キスマ5P」(協和化学工業(株)製のシラン処理合成水酸化マグネシウム)
Mg2:「キスマ5A」(協和化学工業(株)製の脂肪酸処理合成水酸化マグネシウム)
Mg3:「マグシーズN−1」(神島化学工業(株)製の天然水酸化マグネシウム
【0093】
AL:「ハイジライトH−32ST」(昭和電工(株)製のシラン処理水酸化アルミニウム)
P:「FP600」(旭電化工業(株)製の縮合リン酸エステル)
CCA:「AFF95」(ファイマテック(株)製の炭酸カルシウム)
MCA:「MC640」(日産化学工業(株)製のメラミンシアヌレート)
SI:「DC4−7081」(東レ・ダウコーニング(株)製のシリコーン)
【0094】
表1〜10に示した結果から、実施例1〜12の難燃性樹脂組成物は、エチレン及び酢酸ビニルを含有し、酢酸ビニルの含有割合が28〜42質量%の重合性組成物から成るエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物であって、かつ、ケン化度が10〜80質量%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体を使用し、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体と水酸化マグネシウムの割合が質量比で40:60〜90:10の範囲に限定しているので、難燃性、機械的特性、低温脆化温度、耐トラッキング性に優れることが理解できる。また、実施例13〜16の結果から、難燃性樹脂組成物に使用する金属水酸化物の種類には影響されず、水酸化アルミニウムも水酸化マグネシウムと同様の特性が得られることが理解できる。さらに、実施例17及び実施例18の結果から、有毒ガス発生の危険性が無い特定の無機化合物や有機化合物を添加しても、その特性が低下しないことが理解できる。
【0095】
一方、比較例1〜4の難燃性樹脂組成物は、ケン化をしていないエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用しているので、十分な難燃性が得られないことが理解できる。また、比較例5〜10の難燃性樹脂組成物は、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体として、酢酸ビニルの含有割合が28質量%未満の重合性組成物から成るエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、あるいは、酢酸ビニルの含有割合が28〜42質量%の重合性組成物から成るエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物であって、かつ、ケン化度が10質量%未満又は80質量%よりも高い部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体を使用しているので、十分な難燃性や低温脆化温度が得られないことが理解できる。さらに、比較例11及び12の難燃性樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を使用している、あるいはエチレン−メチルメタアクリレート共重合体と部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体とを併用しているので、十分な難燃性は得られるものの、機械的特性の低下が著しいことが理解できる。
【0096】
また、比較例13の難燃性樹脂組成物は、ポリアミドエラストマーと部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体を併用しているので、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体単独より良好な諸特性が得られる。しかしながら、ポリアミドエラストマーは窒素原子を有しているので、燃焼時にシアンを発生する可能性があることが理解できる。また、比較例14の難燃性樹脂組成物は、難燃剤としてメラミンシアヌレートを使用することによって、十分な難燃性と機械的特性等が得られるものの、耐トラッキング性が得られないばかりでなく、難燃剤分子に窒素原子を有しているので、燃焼時にシアンを発生する可能性があることが理解できる。さらに、比較例15及び比較例16の難燃性樹脂組成物は、難燃剤として水酸化マグネシウムとメラミンシアヌレートあるいは縮合リン酸エステルを併用することによって、十分な難燃性が得られるものの、特段に優れた併用効果は見出せない。また、難燃剤分子に窒素原子あるいはリン原子を有しているので、燃焼時にシアンあるいはホスフィンを発生する可能性があることが理解できる。
【0097】
また、比較例17及び比較例18の樹脂組成物は、本願発明で規定した特定の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体を単独で使用したものであり、金属水酸化物を含まないので、耐トラッキング性が得られないことが理解できる。また、金属水酸化物を併用しない場合、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体の原料として、エチレン−酢酸ビニル共重合体を構成するモノマー中の酢酸ビニル含有量が高いエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いることによって、得られた樹脂組成物は、不十分ながらも、難燃性が改善される傾向にあることが理解できる。
【0098】
さらに、比較例19及び比較例20の難燃性樹脂組成物は、本願発明で規定した特定の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体に、本願発明で規定した割合を上回る金属水酸化物を混合したものであるので、十分な機械的特性や低温脆化温度が得られないだけではなく、十分な難燃性が得られないことがあることが理解できる。
【0099】
【発明の効果】
本発明の難燃性樹脂組成物は、柔軟で、機械的特性の低下がなく、高度な難燃性を有し、燃焼時に有毒なガスを発生せず、しかも、成形・加工性に優れているので、シート、フィルム、電線被覆、筐体への加工が容易である。従って、本発明の難燃性樹脂組成物は、クランプカバー及び電線防護管等の電設材料、建築材料及び工事用シート等の工業用フィルム、シート、粘着テープ及び一般家庭用の壁紙、電線被覆材料、電子部品成形材料等に応用することができ、さらに他の素材と組み合わせて使用することができるので、工業的価値が高いものである。

Claims (4)

  1. 部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体及び金属水酸化物を含有する難燃性樹脂組成物であって、
    (1)前記部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体が、エチレン及び酢酸ビニルを含有し、酢酸ビニルの含有割合が28〜42質量%の重合性組成物から成るエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物であって、かつ、ケン化度が10〜80質量%の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体であること、
    (2)前記部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体と前記金属水酸化物の割合が質量比で40:60〜90:10であること、
    (3)前記難燃性樹脂組成物中の前記部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体と前記金属水酸化物の合計の割合が90〜100質量%であること、
    (4)窒素原子、リン原子又はハロゲン原子を有する樹脂及び難燃剤を含有しないこと
    を特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記金属水酸化物が水酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウムである請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載の難燃性樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
  4. 成形体の形状が、シート、フィルム、電線被膜、クランプカバー、電線防護管又は筐体である請求項3記載の成形体。
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