JP4106953B2 - 有機el素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機薄膜のエレクトロルミネセンス(以下単にELという)現象を利用した有機薄膜EL素子、特に有機発光層が高分子蛍光体からなる高分子EL素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機薄膜EL素子は、一般的には陽極、有機発光層、陰極とが積層されてなる。また、有機発光層は、正孔注入層、正孔輸送層、蛍光体層、電子注入層などが積層された多層構造とすることもできる。この陽極、陰極間に電流を流すことにより有機蛍光体層で発光が生じ、一方の電極を透明にすることで外部に光を取り出すことができる。
【0003】
有機発光層の典型的な例としては、正孔注入層に銅フタロシアニン、正孔輸送層にN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、蛍光体層にトリス(8−キノリノール)アルミニウムをそれぞれ用いた用いたものが挙げられる。これらの有機層はいずれも低分子の化合物であり、各層は0.01〜0.1μm程度の厚みで抵抗加熱方式などの真空蒸着法などによって積層される。
【0004】
近年、有機層として高分子を用いた高分子EL素子が提案されてきている。有機層として高分子を用いるもので、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾールなどの高分子中に低分子の蛍光色素を溶解させたものや、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリアルキルフルオレン誘導体(PAF)などの高分子蛍光体が用いられる。これら高分子発光体は、溶液に可溶とすることでスピンコート、フレキソ印刷などの湿式法で製膜することができる。
【0005】
陰極としては、カルシウム、バリウム、フッ化リチウム、アルミニウム、マグネシウム、銀などの金属材料が真空蒸着またはスパッタリングなどの真空製膜装置により製膜される。
【0006】
このような有機EL素子は、連続又は不連続に一定の期間駆動した場合、発光輝度、発光効率および発光の均一性等の発光特性が初期の場合に比べ著しく低下することが知られている。このような発光特性の劣化の原因としては有機EL素子内に進入した酸素や水分による電極の酸化、有機物の変性等を挙げることができ、それらの進入を防ぐ封止の技術に関し様々な提案がなされている。
【0007】
発光特性の劣化を防止する封止方法として、次のような提案がなされている。▲1▼有機EL素子の積層構造体の外表面電気絶縁性無機化合物からなる保護層を設け、この保護層の外側に、電気絶縁性ガラス、また、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の電気絶縁性高分子化合物および電気絶縁性気密流体からなる群から選択される物質からなるシールド層を設けた封止方法(特開平5−89959号公報)▲2▼背面基材および水分吸収体を有する固体状またはゲル状の絶縁性材料により薄膜EL素子が封止されてなる有機薄膜パネル(特開平2−12792)▲3▼EL素子を箱詰めにして、その中に五酸化二リンをEL素子に触れないように共有させる方法(特開平3−261091)▲4▼EL素子をフルオロカーボン油に沈めそのフルオロカーボン油中に脱水剤を混ぜ、水分を除く方法(特開平5−41281、114486)および▲5▼光硬化樹脂を用いた、機密性が高く耐湿性のある封止技術(特開平5−182759)▲6▼エポキシ接着剤に乾燥剤を混入し有機EL素子上に直接接着剤を塗布し、封止基材を接着する方法等が開示されている。
【0008】
陰極を真空製膜により行う場合、その蒸着層は実質的に高々1μm程度の厚みのため、素子の水蒸気、酸素などの侵入を防ぐことができず、金属蓋、ガラス蓋などの封止を行う必要があり、素子全体が厚くなる、重くなるなどの問題点があり、特にプラスチックフィルムを基材として用いる場合にはこれらの方法も実質的に採用することができなかった。
【0009】
前記▲1▼封止方法では、酸素についての封止の効果が必ずしも十分に満足できるものではなく、▲2▼の薄膜ELパネルでは、やはり酸素についての封止の効果が不十分であり、▲3▼の方法では、EL素子を箱詰めにし、その中に五酸化二リンの入った別の容器を作らなければならないので素子の作製が煩雑であり、また五酸化二リンはEL素子の電極や有機物と激しく反応するため、耐衝撃性を考慮しなければならないので、実用的でなく、▲4▼の方法では、破壊の際に液漏れの危険があるため実用的でなく、また、▲5▼の方法ではこのような樹脂の硬化時の収縮や、EL素子と封止層との膨張率の違い(温度サイクル)により、素子が機械的に劣化、延いては破壊するという問題がある。
【0010】
▲6▼の方法は、EL素子上に接着剤をベタ塗りするため、位置合わせの必要がない接着面を相対的に広く取ることができるため強い接着が得られる、接着剤に乾燥剤を混入させておけば、背面封止板に空洞を設け乾燥剤を別途入れる必要がないため素子を薄くすることができるといった利点があるが、混入する乾燥剤は一般的に酸化バリウムや酸化カルシウム等の水に対する吸着速度の大きいものが用いられるが、これらは吸着容量が小さい場合が多く作製時に接着剤等にすでに含まれている水分を除去するためには多大な効力を発揮するが、長期の保存に対してはあまり適している乾燥剤とは言い難い。
【0011】
また、硬化時に生じる接着剤の応力により、EL素子が基材から剥がされてしまう、封止基材が剥がれてしまうなどという問題は保護層を蒸着または、コーティングしても防ぎきれるものではなかった。また、混入させた乾燥剤が、素子を傷つける原因となっていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の問題に鑑みてなされたものであって、酸素や水分による発光特性の劣化を防止して、長期にわたって安定な発光特性が維持され、長寿命の有機EL素子を提供することを目的とする。また、温度サイクルによる素子の機械的劣化を防止して、長期にわたって安定な発光特性が維持され長寿命の有機EL素子を提供することを他の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、請求項1は、基材と、前記基材上の少なくとも陽極層、発光層、陰極層からなる発光媒体と、前記発光媒体を覆って設けられた少なくとも疎水性液体と保護フィルムからなる保護層と、前記保護層の全てを覆って設けられた接着剤層と、前記接着剤層上の封止層とを具備し、且つ、前記接着剤層が少なくとも物理的に吸着する材料と化学的に吸着する材料を含む2種類以上の乾燥剤を含有することを特徴とする有機EL素子である。
【0014】
請求項1によれば、有機EL素子の封止に対し、素子作製時に接着剤、基材等の素子内部にすでに含まれている水分を吸着速度の大きい乾燥剤により除去し、長期的に外部より侵入する水分を吸着容量の大きい乾燥剤により除去することにより、保存上の寿命が非常に長い有機EL素子を提供する事ができる。
【0016】
請求項1によれば、化学的に吸着する材料は、水分や酸素の吸着力は強いが、吸着容量は小さい。また、物理的に吸着する材料は、吸着力は弱いが、吸着容量の大きい。よって、長期的に外部より侵入する水分を吸着容量の大きい乾燥剤により除去することにより、保存上の寿命が非常に長い有機EL素子を提供する事ができる。
【0018】
請求項1によれば、乾燥剤を接着剤層に混入させれば、素子背面の封止層に空洞を設けて別途乾燥剤を入れる必要がないため、薄くすることができる。
【0020】
請求項1によれば、接着剤の硬化により生ずる応力を緩和する事ができるため有機EL素子が基材から剥がされてしまう、封止基材が剥がれてしまうなどという問題を解消する事ができる。また、発光媒体上等に直接的、もしくは薄い保護膜を設けただけでは乾燥剤粒子が有機EL素子を傷つけ非発光部を作ったり、ショートの原因を作ったりといった問題を防ぐことができないが、保護フィルムをはさむことで、完全に有機EL素子層を保護し、ショートを防ぐことができる。
また、請求項2は、前記保護層が、少なくとも前記発光媒体を覆って設けられた疎水性液体と、前記疎水性液体を覆って設けられた保護フィルムからなることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子である。
また、請求項3は、前記物理的に吸着する材料が、少なくとも活性炭、ゼオライト、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、活性酸化アルミニウムのいずれか1種を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子である。
また、請求項4は、前記物理的に吸着する材料が、ゼオライトであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機EL素子である。
また、請求項5は、前記化学的に吸着する材料が、少なくともアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物のいずれか1種を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の有機EL素である。
また、請求項6は、前記化学的に吸着する材料が、酸化カルシウムであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の有機EL素子である。
また、請求項7は、前記接着剤層が、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の有機EL素子である。
また、請求項8は、前記接着剤層が、少なくともアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、クロロプレン系樹脂、ブチルゴム系樹脂、スチレンブタジエンゴム系樹脂のいずれか1種を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の有機EL素子である。
また、請求項9は、前記接着剤層が、エポキシ系樹脂でなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の有機EL素子である。
また、請求項10は、前記封止層が、ガラス板、金属板、金属箔、バリア性を有したフィルムのいずれか1種であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の有機EL素子である。
また、請求項11は、前記封止層が、ガラス板であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の有機EL素子である。
また、請求項12は、前記疎水性液体が、少なくともアルカン系、フルオロアルカン系、シロキサン系、これらを構造単位としたオリゴマーまたはポリマーのいずれか一種を含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の有機EL素子である。
また、請求項13は、前記疎水性液体が、シリコンオイルであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれに記載の有機EL素子である。
また、請求項14は、前記保護フィルムが、プラスチック製フィルムであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の有機EL素子である。
また、請求項15は、前記保護フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートのいずれか一種であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の有機EL素子である。
また、請求項16は、前記保護フィルムが、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の有機EL素子である。
【0021】
本発明に係る有機EL素子は、外界からの酸素、水分を実質的に遮断する密閉された領域に、少なくとも陽極層、発光層、陰極層からなる発光媒体を封止してなる。このような有機EL素子の密閉された領域は、製造工程上、基材と封止層、または、基材、接着剤層及び封止層で構成されていることが好ましい。以下、基材上に、陽極層から順次積層する構成で説明する。
【0022】
基材としては、ガラス基板やプラスチック製のフィルムまたはシートを用いることができる。プラスチック製のフィルムを用いれば、巻き取りにより高分子EL素子の製造が可能となり、安価に素子を提供することができる。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどを用いることができる。また、陽極層を製膜しない側にセラミック蒸着フィルムやポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物などの他のガスバリア性フィルムを積層したり、カラーフィルター層を印刷により設けたりしても良い。
【0023】
本発明に係る発光媒体は、少なくとも陽極層、発光層、陰極層とからなる。陽極層としては、インジウムと錫の複合酸化物(以下ITOという)等の透明または半透明の導電性材料を用いることができ、前記基材上に蒸着またはスパッタリング法により製膜することができる。また、オクチル酸インジウムやアセトンインジウムなどの前駆体を基材上に塗布後、熱分解により酸化物を形成する塗布熱分解法などにより形成することもできる。あるいは、アルミニウム、金、銀などの金属が半透明状に蒸着されたものを用いることができる。
【0024】
上記陽極層が積層されたガラスまたはプラスチック基材は、本発明のために特別に製造する必要はなく、陽極層の抵抗率や光線透過率に合わせて市販の基材を用いることができる。
【0025】
陽極層は、必要に応じてエッチングによりパターニングを行ったり、UV処理、プラズマ処理などにより表面の活性化を行ってもよい。また、エッチングの代わりにニトロセルロース、ポリアミド、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などを絶縁層として印刷してもよい。
【0026】
本発明に用いることのできる発光層は、有機蛍光体の単層であっても、正孔輸送層、高分子蛍光体層などからなる多層構造であってもよい。正孔輸送層を設ける場合は、銅フタロシアニンやその誘導体、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン系などの低分子も用いることができるが、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物などは、湿式法による製膜が可能である。
【0027】
蛍光体層としては、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系または、これら蛍光性色素をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾールなどの高分子中に溶解させたものや、ポリアリールビニレン系やポリフルオレン系などの高分子蛍光体を用いることができる。
【0028】
これらの蛍光体層は、真空蒸着もしくは、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、水などの単独または混合溶媒に蛍光体材料を溶解させ、印刷方法を用いて製膜することができる。基材がガラスの場合は、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、スロットコート、フレキソ、オフセット、凹版オフセットなどの方法を用いることができる。基材として巻き取りのフィルムを用いる場合には、フレキソ、グラビア、グラビアオフセット、マイクログラビア、フレキソ、ダイコート、ロールコートなどの各種コーティング方法を用いることができる。特に、フレキソ、オフセット、凹版オフセット、グラビアなどのパターニングがコーティングと同時に可能な方法が好ましい。また、高分子発光層を2層以上の複数層とする場合には、各層を構成する材料の溶解性を鑑み、例えば、水溶性と油溶性の樹脂を選択するなどの溶解性の差を利用したり、コーティングから乾燥までの時間を短くして、実質的に下層に影響を与えないようにコーティング条件を選定しても良い。コーティングの厚みは、素子の構造によるが0.01から10μm、好ましくは0.05から0.5μmが好適である。
【0029】
また、必要に応じて、電子注入層を設けることができる、電子注入層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していれば良く、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレノン誘導体、アントラキノン誘導体、キノン誘導体、チオピラジンジオキシド誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノリン誘導体、キノリノール誘導体、キノキサリン誘導体等を用いることができる。
【0030】
更に、発光層は無機発光材料からなっていても良い。
【0031】
陰極は、積層した材料のエネルギーレベルに合わせて任意の材料を用いることができる。例えば、カルシウム、バリウム、フッ化リチウム、アルミニウム、マグネシウム、銀などの金属材料が真空蒸着またはスパッタリングなどの真空製膜装置により製膜される。
【0032】
保護層に用いられる疎水性液体としては、沸点150℃以上、粘度が10〜2000cP(25℃)のものを使用する事が望ましい。液体の種類は、例えば、アルカン系、フルオロアルカン系、シロキサン系、またこれらを構造単位としたオリゴマーやポリマー等など陰極材料と反応することなく、また、基材発光材料、接着剤等を溶かすことのない溶剤を用いることができる。これらの溶剤は高純度であることが望ましい。また、有機EL素子は非常に水分に敏感であるため、十分に乾燥が行われている必要がある。
【0033】
保護フィルムには、プラスチック製のフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどを用いることができる。これらのフィルムは使用前に十分に乾燥し、水分を取り除くことが必要である。また、膜厚は、接着剤の厚みよりも薄くなければならく、100μm以下が望ましい。
【0034】
接着剤としては、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂を用いることができる。透湿度は、80℃、90%RHにおいて500g/m2・24h以下が好ましい。また、熱硬化樹脂は硬化中の熱により材料の劣化、結晶化を引き起こすため、硬化温度が150℃以下さらには100℃以下が好ましい。用いることのできる接着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、クロロプレン系樹脂、ブチルゴム系樹脂、スチレンブタジエンゴムゴム系樹脂などである。また、硬化時のガスの発生がないものが好ましく、特にエポキシ系樹脂などが好ましい。
【0035】
乾燥剤としては、任意に2種類以上を選ぶことができる。例えば、アルカリ金属や、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物等、化学的に水分や酸素を吸着する材料(吸着力は強いが、吸着容量は小さい)と、活性炭、ゼオライト、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、活性酸化アルミニウム等の物理的に水分や酸素を吸着する材料(吸着力は弱いが、吸着容量の大きい)を併せて用いることが好ましい。これら乾燥剤は、密閉された領域を構成する接着剤層、封止層と別個独立した層とすることもできるが、素子の薄型化、製造工程上、接着剤層に混入することが好ましい(図1及び図2参照)。
【0036】
封止層としては、ガラス板、金属板、金属箔、水蒸気、酸素などに対するバリア性を有したフィルムを用いることができる。これら背面封止材料は、ラミネートの前処理として表面を紫外線、電子線、コロナなどの表面処理を行い、接着剤との密着性を向上させるなどの処理を行っても良い。
【0037】
以上、基材上に、陽極層以下を順次形成する構成で説明したが、基材上にまず陰極層を形成しても本発明の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
以下図1を用いて説明する。50x50mm角のパターニングされたITO付きガラス基板1上に正孔輸送層2として下記化学式2で示されるようなポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸の混合物(以下PEDOT/PSSという)をスピンコート法により0.1μmのコーティングを行い、余分な正孔輸送層をふき取った。
【0040】
【化1】
Figure 0004106953
【0041】
【化2】
Figure 0004106953
【0042】
次に、高分子発光層3として、下記化学式1で表されるポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチル−ヘキシロキシ)−1,4−フェニレン ビニレン(Poly [2-methoxy-5-(2'-ethyl-hexyloxy)-1,4-phenylene vinylene] 以下MEH−PPVという)を用い、スピンコート法により厚み0.1μmのコーティングを行い、余分な高分子発光層をふき取り、取り除いた。次いで、0.01μmのカルシウム、0.2μmの銀4を真空蒸着により製膜した。これを第一の基板8とする。
【0043】
さらに、熱硬化エポキシ接着剤5に乾燥剤として酸化カルシウムとゼオライト6を5wt%ずつ混ぜ、事前にコロナ処理をしたガラス板を背面封止板7として、エポキシ接着剤を塗り十分に広がらせた。これを第二の基板9とする。これら第一の基板と、第二の基板をラミネートすることにより図1に示すような高分子EL素子を作製した。
【0044】
この高分子EL素子に5Vの電圧を印加したところ800cd/m2 の均一な発光を得ることができた。また、60℃90%RHの中で少なくとも6ヶ月以上の輝度の低下、剥がれなどの素子の破壊はなかったが、7ヶ月目で封止層の剥がれがみられるようになった。作製直後の非発光部の面積率は0.07%であり6ヶ月後も0.07%であり、非発光部の面積率の増加はなかった。100素子中、15素子がショートを起こした。
【0045】
(実施例2)
以下図2を用いて説明する。50x50mm角のパターニングされたITO付きガラス基板10上に正孔輸送層11として下記化学式2で示されるようなPEDOT/PSSをスピンコート法により0.1μmのコーティングを行い、余分な正孔輸送層をふき取った。
【0046】
次に、高分子発光層12として下記化学式1で表されるポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチル−ヘキシロキシ)−1,4−フェニレン ビニレン(Poly [2-methoxy-5-(2'-ethyl-hexyloxy)-1,4-phenylene vinylene] 以下MEH−PPVという)を用い、スピンコート法により厚み0.1μmのコーティングを行い、余分な高分子発光層をふき取り、取り除いた。次いで、0.01μmのカルシウム、0.2μmの銀13を真空蒸着により製膜した。次に、保護層として事前に十分に乾燥させたシリコンオイル14を50μl滴下し、その上に保護フィルムとして12μmの厚さで、27x27mmの大きさのペットフィルム15を被せ、その下にシリコンオイルを十分に広がらせた。これを第一の基板19とする。
【0047】
続いて、熱硬化エポキシ接着剤16に乾燥剤として酸化カルシウムとゼオライト17を5wt%ずつ混ぜ、事前にコロナ処理をしたガラス板18を封止層として、そのエポキシ接着剤を塗り十分に広がらせた。これを第二の基板20とする。これら第一の基板と、第二の基板をラミネートすることにより図2に示すような高分子EL素子を作製した。
【0048】
この高分子EL素子に5Vの電圧を印加したところ800cd/m2 の均一な発光を得ることができた。また、60℃90%RHの中で少なくとも6ヶ月以上の輝度の低下、剥がれなどの素子の破壊はみられなかった。作製直後の非発光部の面積率は0.07%であった6ヶ月後も0.07%であり、非発光部の面積率の増加はなかった。100素子中ショートを起こした素子はなかった。
【0049】
(比較例1)
実施例1に対し、乾燥剤に酸化カルシウムのみを混入させたものを作製した。この有機EL素子に5Vの電圧を印加したところ800cd/m2 の均一な発光を得ることができた。また、60℃90%RHの中で3ヶ月で輝度の低下および非発光部の面積率の増加がみられた。非発光部の面積の割合は作製直後0.07%であり、3ヶ月後5.5%であった。
【0050】
【発明の効果】
本発明に係る有機EL素子によれば、より長期間の素子寿命を得ることができる。また、その際の接着材の硬化により生ずる応力の緩和により素子の剥がれを防ぎ、乾燥剤により発生する素子のショートを防ぐことができる。
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高分子EL素子の一実施例を示す説明図である。
【図2】本発明の高分子EL素子の他の実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・ITOガラス基板
2・・・正孔輸送層:PEDOT/PSS
3・・・高分子発光層
4・・・カルシウム、銀蒸着層
5・・・エポキシ接着剤
6・・・酸化カルシウム、ゼオライト
7・・・ガラス封止層
8・・・第一の基板
9・・・第二の基板
10・・・ITOガラス基板
11・・・正孔輸送層:PEDOT/PSS
12・・・高分子発光層
13・・・カルシウム、銀蒸着層
14・・・シリコンオイル
15・・・ペットフィルム
16・・・エポキシ接着剤
17・・・酸化カルシウム、ゼオライト
18・・・ガラス封止層
19・・・第一の基板
20・・・第二の基板

Claims (16)

  1. 基材と、前記基材上の少なくとも陽極層、発光層、陰極層からなる発光媒体と、前記発光媒体を覆って設けられた少なくとも疎水性液体と保護フィルムからなる保護層と、前記保護層の全てを覆って設けられた接着剤層と、前記接着剤層上の封止層とを具備し、且つ、前記接着剤層が少なくとも物理的に吸着する材料と化学的に吸着する材料を含む2種類以上の乾燥剤を含有することを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記保護層が、少なくとも前記発光媒体を覆って設けられた疎水性液体と、前記疎水性液体を覆って設けられた保護フィルムからなることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記物理的に吸着する材料が、少なくとも活性炭、ゼオライト、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、活性酸化アルミニウムのいずれか1種を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子。
  4. 前記物理的に吸着する材料が、ゼオライトであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機EL素子。
  5. 前記化学的に吸着する材料が、少なくともアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物のいずれか1種を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の有機EL素子。
  6. 前記化学的に吸着する材料が、酸化カルシウムであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の有機EL素子。
  7. 前記接着剤層が、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の有機EL素子。
  8. 前記接着剤層が、少なくともアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、クロロプレン系樹脂、ブチルゴム系樹脂、スチレンブタジエンゴム系樹脂のいずれか1種を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の有機EL素子。
  9. 前記接着剤層が、エポキシ系樹脂でなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の有機EL素子。
  10. 前記封止層が、ガラス板、金属板、金属箔、バリア性を有したフィルムのいずれか1種であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の有機EL素子。
  11. 前記封止層が、ガラス板であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の有機EL素子。
  12. 前記疎水性液体が、少なくともアルカン系、フルオロアルカン系、シロキサン系、これらを構造単位としたオリゴマーまたはポリマーのいずれか一種を含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の有機EL素子。
  13. 前記疎水性液体が、シリコンオイルであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の有機EL素子。
  14. 前記保護フィルムが、プラスチック製フィルムであることを特徴とする請求項1乃至1 のいずれかに記載の有機EL素子。
  15. 前記保護フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートのいずれか一種であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の有機EL素子。
  16. 前記保護フィルムが、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の有機EL素子。
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