JP4106519B2 - 水素含有ガスの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素含有ガスの製造方法の改良に関する。更に詳しくは、メタノールと水蒸気および酸素を反応させ、自己熱供給型反応により、水素を主体とする改質ガスを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、化石燃料に代わるエネルギー源として、水素が注目されている。水素は燃やすと水ができるだけで、地球温暖化の原因となる二酸化炭素や有害な窒素酸化物などが排出されないので、将来のクリーンエネルギーとして期待されている。メタノールは、触媒の存在下で比較的容易に水素を主体とするガスに改質されることは従来から良く知られている。更にメタノールを水蒸気と反応(水蒸気改質反応)させることにより、水素含量の高いガスに改質されることから、今後増大が予想される水素の簡便な供給源として注目を集めている。
【0003】
一方、地球環境問題の高まりの中で、地球温暖化の主因である二酸化炭素の排出を抑えると共に、大気汚染をもたらす窒素酸化物を排出しないクリーンな発電システムとして、燃料電池が注目されている。燃料電池は、自動車や船舶などの移動体用電源を初め、工場やビル、集合住宅などの自家発電、医療機器を扱う病院などの無停電電源などとして利用が期待されている。特に、自動車分野においては、メタノール改質燃料電池自動車の開発が積極的になされている。自動車に搭載される燃料電池は、小型で簡単な構造のものが要求されることから、反応器に空気を導入してメタノールの水蒸気改質反応に必要な反応熱を、燃焼熱により供給する自己熱供給型反応器の開発が進められている。
【0004】
この反応器においては、メタノールの一部を燃焼させるために、酸化反応の起こる部分では水蒸気改質反応と比較して高い温度となるので、耐熱性の高い触媒が要求される。また、搭載容量等に制限ある車載用では改質反応器を小型化する必要があり、高活性且つ耐久性の高い触媒が要求される。更に、固体高分子型燃料電池においては、改質ガス中の一酸化炭素は電極触媒の白金に吸着して電池としての機能を大きく低下させることから、改質ガス中の一酸化炭素濃度が低濃度であることが望まれる。
【0005】
メタノールの改質反応は次の2反応からなる。
CH3OH→CO+2H2-90.7kJ/mol▲1▼
CH3OH+H2O→CO2+3H2-49.5kJ/mol▲2▼
(メタノールから水素を効率良く製造するには、▲1▼式より▲2▼式の方が都合良い。)
【0006】
従来、メタノール改質用触媒として、低温活性で、▲2▼式反応の選択性の高い銅・亜鉛系触媒が提案されている。しかしながら、銅・亜鉛系触媒は、耐熱性に乏しく、長時間の連続運転を実施した場合、連続的にその活性および選択性が急激に低下する欠点を有している。これに対して、耐熱性に優れ、高活性且つ耐久性の比較的高い触媒として、パラジウム・酸化亜鉛触媒(特開平5-49930号公報参照)、パラジウムおよび/または白金・酸化亜鉛触媒(特開2001-25662号公報参照)、更にはパラジウム・酸化ガリウム、パラジウム・酸化インジウム、白金・酸化亜鉛、白金・酸化ガリウム、白金・酸化インジウム触媒(竹澤, 触媒 42(2000)212-217)が提案されている。しかしながら、これらの触媒の実施例は水蒸気改質反応であり、自己熱供給型反応に用いた場合、銅・亜鉛系触媒に比べて一酸化炭素濃度が高く、長時間の使用によって、▲2▼式反応の選択性が低下し、一酸化炭素濃度が増加する欠点を有する。
【0007】
また、改質ガス中の一酸化炭素濃度を低下させるメタノール改質用触媒として、銅・亜鉛にジルコニウムを添加した触媒(特開2001-185192号公報参照)、貴金属(白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムなど)・塩基性金属酸化物(二酸化セリウム、二酸化ジルコニウムなど)にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を担持させた触媒(特開2000-246106号公報参照)、更には白金・レニウム・金属酸化物(酸化アルミニウム、二酸化セリウム、二酸化ジルコニウムなど)に2B属または3B属の元素を担持させた触媒(特開2000-342968号公報参照)が提案されている。しかしながら、これらの触媒の実施例も水蒸気改質反応であり、自己熱供給型反応に用いた場合、耐久性が不充分であると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来技術における上記したような課題を解決し、メタノールに水蒸気と酸素を反応させる自己熱供給型反応において、水素を主体とする改質ガスを効率良く発生させ、改質ガス中の一酸化炭素濃度を低下させる(水蒸気改質反応の選択性を向上させる)ことができる水素含有ガスの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、金属パラジウム、酸化亜鉛および酸化ビスマスを含有させた触媒、あるいは金属パラジウムと酸化亜鉛と酸化クロム、更に酸化インジウムや酸化ビスマスを含有させた触媒の存在下、メタノールに水蒸気と酸素を反応させることにより、その目的を達成しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明は、(1) 金属パラジウム、酸化亜鉛および酸化ビスマスを含有する触媒の存在下、メタノールと水蒸気および酸素を反応させて水素を主成分とする改質ガスを製造することを特徴とする水素含有ガスの製造法、および(2)金属パラジウム、酸化亜鉛および酸化クロムと、酸化インジウムおよび/または酸化ビスマスを主成分として含有する触媒の存在下、メタノールと水蒸気および酸素を反応させて水素を主成分とする改質ガスを製造することを特徴とする水素含有ガスの製造法を提供するものである。
【0010】
【発明の実態の形態】
(触媒構成成分)
本発明で用いる触媒は、(1)金属パラジウムおよび酸化亜鉛と、酸化インジウムおよび/または酸化ビスマスを含有するメタノール改質用触媒、または(2)金属パラジウム、酸化亜鉛および酸化クロムと、酸化インジウムおよび/または酸化ビスマスを含有するメタノール改質用触媒であり、その主成分の元素は、(1)パラジウム、亜鉛、インジウムおよびビスマス、または(2)パラジウム、亜鉛、クロム、インジウムおよびビスマスである。これらの元素の供給源としては、金属パラジウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化インジウムおよび酸化ビスマス、または、加水分解およびその後の焼成によりこれらに変換される化合物であれば特に限定されるものではない。
パラジウム源としては、例えば硝酸パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム等が使用できる。
亜鉛源としては、例えば酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛等の有機酸塩、無機酸塩や酸化物等が使用できる。
クロム源としては、例えば酢酸クロム、硝酸クロム等の有機酸塩や無機酸塩等が使用できる。
インジウム源としては、例えば酢酸インジウム、硝酸インジウム等の有機酸塩や無機酸塩等が使用できる。
ビスマス源としては、例えば硝酸ビスマス等の無機酸塩等が使用できる。
【0011】
(触媒の製造)
本発明に使用される触媒の製法としては、(1)金属パラジウム、酸化亜鉛と、酸化インジウムや酸化ビスマス、または(2)金属パラジウム、酸化亜鉛、酸化クロムと、酸化インジウムや酸化ビスマスを緊密な混合状態で含有させることができるものであれば、公知の含浸法、析出沈殿法、共沈法等を用いることができる。例えば、▲1▼予め、(1)水溶性の亜鉛塩、インジウム塩やビスマス塩を含む混合水溶液、または(2)水溶性の亜鉛塩、クロム塩、インジウム塩やビスマス塩を含む混合水溶液を沈殿剤で処理して得られた沈殿物を乾燥、焼成した後、この化合物の懸濁溶液と可溶性のパラジウム塩の溶液を混合し、沈殿剤を加えて析出沈殿させた後、乾燥、焼成する析出沈殿法、或いは▲2▼(1)水溶性のパラジウム塩、亜鉛塩、インジウム塩やビスマス塩を含む混合水溶液、または(2)水溶性のパラジウム塩、亜鉛塩、クロム塩、インジウム塩やビスマス塩を含む混合水溶液を沈殿剤で処理して得られた沈殿物を乾燥、焼成する共沈法などが挙げられる。
【0012】
この際、沈殿剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ化合物が用いられる。これら沈殿剤の使用量は、金属塩に対する等量の1〜2倍、好ましくは1.1〜1.6倍である。
【0013】
生成した沈殿物は、そのまま乾燥し、或いは乾燥・焼成し、粉砕して大きさを揃えるか、或いは成型して使用される。また、該乾燥品或いは焼成品の粉砕物を水に懸濁させたものに、必要に応じてアルミナゾルのようなバインダーを添加して、担体や担体構造物に担持して使用しても良い。この場合、担持後、乾燥してそのまま、或いは焼成して使用することができる。乾燥は50〜150℃で、焼成は空気中180〜700℃、好ましくは200〜600℃で行われる。
【0014】
このようにして得られた触媒の組成は、パラジウム/亜鉛の原子比で0.004〜2.2、好ましくは0.04〜0.6、クロム/亜鉛の原子比で0.03〜2、好ましくは0.05〜1、インジウム/亜鉛の原子比で0.025〜2、好ましくは0.03〜1、ビスマス/亜鉛の原子比で0.0025〜20、好ましくは0.003〜1である。
【0015】
(水素含有ガスの製造)
本発明の方法においては、前記のようにして得られたメタノール改質用触媒の存在下、メタノールに水蒸気と酸素を反応させ、自己熱供給型反応により、水素を主体とする改質ガスを製造する。この反応において、酸素源としては種々の酸素含有ガスを使用することができるが、空気を用いることが経済的である。
また、上記メタノール改質用触媒は、水素および一酸化炭素含有ガスによって活性化処理を行っても良く、また活性化処理することなく、反応に供することもできる。
【0016】
メタノールに水蒸気と酸素を反応させる際の反応条件としては、メタノールに対する水蒸気のモル比は1〜10モル、好ましくは1〜5モル、メタノールに対する空気のモル比は0.3〜5.0モル、好ましくは0.5〜3.0モルである。反応温度は150〜600℃、好ましくは200〜500℃であり、メタノールのLHSV(単位触媒体積当たりの液空間速度)は0.1〜120h-1、好ましくは0.5〜100h-1である。反応圧力は、1.0MPaG以下、好ましくは常圧〜0.5MPaGである。
【0017】
【実施例】
以下に本発明を、実施例、比較例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により制限されるものではない。なお、各実施例、比較例において、メタノール転化率およびCO選択率は、反応器出口におけるガス組成から次式により求めた数値である。
メタノール転化率(%)=([CO]+[CO2])/([CO]+[CO2]+[CH3OH])×100
CO選択率(%)=[CO]/([CO]+[CO2])×100
式中、[CO]、[CO2]および[CH3OH]は、それぞれ反応器出口ガス中のCO、CO2およびCH3OHのモル濃度である。
【0018】
(触媒調製)
触媒A
炭酸ナトリウム(無水)31gを1000mLのイオン交換水とともに2Lのビーカーに入れ、溶解した。ここに硝酸亜鉛(6水塩)62gおよび硝酸インジウム(3水塩)8gをイオン交換水800mLに溶解した溶液を注下し、30分間攪拌した。このように調製したスラリーを濾過し、得られた沈殿物をイオン交換水3Lで洗浄した。続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、Zn-In酸化物を得た。次に、硝酸パラジウム(2.2水塩)4gを800mLのイオン交換水とともに1Lのビーカーに入れ、溶解した。ここに上記のZn-In酸化物15gをイオン交換水200mLに分散させた溶液を注下し、30分間攪拌した。このように調製したスラリーを濾過し、得られた沈殿物をイオン交換水3Lで洗浄した。続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、Pd-Zn-In触媒を得た。この触媒をボールミルで湿式粉砕した後、バインダーとしてアルミナゾルを4重量%加え、直径25mm、長さ5mm、400セル毎平方インチのコージェライト製ハニカムに、浸漬、過剰分の吹き飛ばし、および乾燥の工程を繰り返し、0.5g担持した。この触媒をAとする。触媒Aの組成は、パラジウム/亜鉛/インジウムの原子比で0.10/1/0.11である。
【0019】
触媒B
炭酸ナトリウム(無水)32gを1000mLのイオン交換水とともに2Lのビーカーに入れ、溶解した。ここに硝酸亜鉛(6水塩)55gをイオン交換水500mLに溶解した溶液および硝酸ビスマス(5水塩)22gを2mol/Lの硝酸水溶液300mLに溶解した溶液の混合溶液(800mL)を注下し、30分間攪拌した。このように調製したスラリーを濾過し、得られた沈殿物をイオン交換水4Lで洗浄した。続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、Zn-Bi酸化物を得た。次に、硝酸パラジウム(2.2水塩)1gを800mLのイオン交換水とともに1Lのビーカーに入れ、溶解した。ここに上記のZn-Bi酸化物11gをイオン交換水200mLに分散させた溶液を注下し、30分間攪拌した。このように調製したスラリーを濾過し、得られた沈殿物をイオン交換水3Lで洗浄した。続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、Pd-Zn-Bi触媒を得た。この触媒を触媒Aと同様にコージェライト製ハニカムに担持した。この触媒をBとする。触媒Bの組成は、パラジウム/亜鉛/ビスマスの原子比で0.15/1/0.25である。
【0020】
触媒C
炭酸ナトリウム(無水)40gを1000mLのイオン交換水とともに2Lのビーカーに入れ、溶解した。ここに硝酸パラジウム(2.2水塩)6g、硝酸亜鉛(6水塩)55g、硝酸クロム(9水塩)18gおよび硝酸インジウム(3水塩)8gをイオン交換水800mLに溶解した溶液を注下し、30分間攪拌した。このように調製したスラリーを濾過し、得られた沈殿物をイオン交換水3Lで洗浄した。続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、Pd-Zn-Cr-In触媒を得た。この触媒を触媒Aと同様にコージェライト製ハニカムに担持した。この触媒をCとする。触媒Cの組成は、パラジウム/亜鉛/クロム/インジウムの原子比で0.12/1/0.25/0.125である。
【0021】
触媒D
炭酸ナトリウム(無水)39gを1000mLのイオン交換水とともに2Lのビーカーに入れ、溶解した。ここに硝酸パラジウム(2.2水塩)5g、硝酸亜鉛(6水塩)55gおよび硝酸クロム(9水塩)18gをイオン交換水770mLに溶解した溶液および硝酸ビスマス(5水塩)1gを2mol/Lの硝酸水溶液30mLに溶解した溶液の混合溶液(800mL)を注下し、30分間攪拌した。このように調製したスラリーを濾過し、得られた沈殿物をイオン交換水3Lで洗浄した。続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、Pd-Zn-Cr-Bi触媒を得た。この触媒を触媒Aと同様にコージェライト製ハニカムに担持した。この触媒をDとする。触媒Dの組成は、パラジウム/亜鉛/クロム/ビスマスの原子比で0.11/1/0.25/0.0125である。
【0022】
触媒E
380℃にて2時間焼成した正同化学製酸化亜鉛AZO15gを500mLのイオン交換水とともに1Lのビーカーに入れ、分散させた。ここに硝酸パラジウム(2.5水塩)4gを500mLのイオン交換水に溶解した溶液を注下し、30分間攪拌した。このように調製したスラリーを濾過し、得られた沈殿物をイオン交換水3Lで洗浄した。続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、Pd-Zn触媒を得た。この触媒を触媒Aと同様にコージェライト製ハニカムに担持した。この触媒をEとする。触媒Eの組成は、パラジウム/亜鉛の原子比で0.085/1である。
【0023】
触媒F
炭酸ナトリウム(無水)35gを1000mLのイオン交換水とともに2Lのビーカーに入れ、溶解した。ここに硝酸亜鉛(6水塩)55gおよび硝酸クロム(9水塩)18gをイオン交換水800mLに溶解した溶液を注下し、30分間攪拌した。このように調製したスラリーを濾過し、得られた沈殿物をイオン交換水3Lで洗浄した。続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、Zn-Cr酸化物を得た。次に、硝酸パラジウム(2.2水塩)4gを800mLのイオン交換水とともに1Lのビーカーに入れ、溶解した。ここに上記のZn-Cr酸化物15gをイオン交換水200mLに分散させた溶液を注下し、30分間攪拌した。このように調製したスラリーを濾過し、得られた沈殿物をイオン交換水3Lで洗浄した。続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、Pd-Zn-Cr触媒を得た。この触媒を触媒Aと同様にコージェライト製ハニカムに担持した。この触媒をFとする。触媒Fの組成は、パラジウム/亜鉛/クロムの原子比で0.10/1/0.25である。
【0024】
(水素含有ガスの製造)
参考例1、実施例1および比較例1
触媒A、BまたはEを流通式反応器に設置し、水/メタノール比1.5、メタノールLHSV87h-1 、触媒層入口ガス温度200℃、空気/メタノール比0.9〜1.3の範囲で制御し、自己熱供給型反応により、触媒の活性を評価した。反応後のガス組成はガスクロマトグラフィーにより分析した。初期メタノール転化率が90%になるように調整して、耐久試験を実施した。反応時間0時間(反応開始直後)および40時間におけるメタノール転化率を表1に、出口CO濃度およびCO選択率を表2に示す。反応圧力は常圧である。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
表1および表2からわかるように、触媒AおよびBは、触媒Eに比べ水蒸気改質反応の選択性が向上し、得られた水素含有ガス中のCO濃度が低い。
【0028】
実施例2、3および比較例2
触媒C、DまたはFを流通式反応器に設置し、水/メタノール比1.5、メタノールLHSV87h-1 、触媒層入口ガス温度200℃、空気/メタノール比0.9〜1.3の範囲で制御し、自己熱供給型反応により、触媒の活性を評価した。反応後のガス組成はガスクロマトグラフィーにより分析した。初期メタノール転化率が90%になるように調整して、耐久試験を実施した。反応時間0時間(反応開始直後)および40時間におけるメタノール転化率を表3に、出口CO濃度およびCO選択率を表4に示す。反応圧力は常圧である。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
表3および表4からわかるように、触媒CおよびDは、触媒Fに比べ水蒸気改質反応の選択性が向上し、得られた水素含有ガス中のCO濃度が低い。
【0032】
【発明の効果】
本発明の方法により、(1)パラジウムおよび酸化亜鉛と、酸化インジウムおよび/または酸化ビスマスを含有する触媒、または(2)パラジウム、酸化亜鉛および酸化クロムと、酸化インジウムおよび/または酸化ビスマスを含有する触媒を使用することで、メタノールに水蒸気と酸素を反応させる自己熱供給型反応において、水素を主体とする改質ガスを効率良く発生させ、改質ガス中の一酸化炭素濃度を低下させる(水蒸気改質反応の選択性を向上させる)ことができる。
Claims (2)
- 金属パラジウム、酸化亜鉛および酸化ビスマスを主成分として含有する触媒の存在下、下記の条件で、メタノールと水蒸気および酸素を反応させて水素を主成分とする改質ガスを製造することを特徴とする水素含有ガスの製造法。
1)単一の触媒層を用い、
2)触媒組成は、パラジウム/亜鉛の原子比で0.004〜2.2とし、
3)ビスマス/亜鉛の原子比で0.0025〜20とし、
4)メタノールに対する水蒸気のモル比を1〜10モルとし、
5)反応温度は150〜600℃とし、反応圧力は、常圧〜1.0MPaGとし、
6)単位触媒体積当たりの液空間速度(LHSV)はメタノールLHSVで0.5〜100hr-1 とする - 金属パラジウム、酸化亜鉛および酸化クロムと、酸化インジウムおよび/または酸化ビスマスを主成分として含有する触媒の存在下、下記の条件で、メタノールと水蒸気および酸素を反応させて水素を主成分とする改質ガスを製造することを特徴とする水素含有ガスの製造法。
1)単一の触媒層を用い、
2)触媒組成は、パラジウム/亜鉛の原子比で0.004〜2.2とし、クロム/亜鉛の原子比で0.03〜2とし、
3)インジウム/亜鉛の原子比で0.025〜2および/またはビスマス/亜鉛の原子比で0.0025〜20とし、
4)メタノールに対する水蒸気のモル比を1〜10モルとし、
5)反応温度は150〜600℃とし、反応圧力は、常圧〜1.0MPaGとし、
6)単位触媒体積当たりの液空間速度(LHSV)はメタノールLHSVで0.5〜100hr -1 とする
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