JP4035694B2 - 水素含有ガスの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタノールの水蒸気改質反応により、水素を主成分とする改質ガスを発生させる水素含有ガスの製造方法、特に酸素の存在下で改質反応を行う自己熱供給型反応によるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
メタノールが触媒の存在下で比較的容易に水素を主成分とするガスに改質されることは従来から良く知られている。特にメタノールを水蒸気と反応させることにより、分離の困難な一酸化炭素の濃度が低いガスに改質されることから、近年、今後増大が予想される水素の簡便な供給源として注目を集めている。
また、燃料電池、特に自動車用に使用される燃料電池は小型で簡単な構造のものが要求されるので、反応器に空気を導入してメタノールの水蒸気改質に必要な反応熱を燃焼熱により供給する自己熱供給型反応器の開発が進められている。
【0003】
従来、メタノールを改質する触媒として、アルミナ、シリカなどの担体に、種々の触媒基質を担持させた触媒が提案されている。中でも、メタノールの水蒸気改質用触媒として高活性、高い耐熱性を有しているものとして、例えば特開平5-49930号公報にはパラジウムおよび酸化亜鉛からなる触媒が、特開2001-25662号公報おいては酸化亜鉛担体に活性種としてパラジウムおよび/または白金金属を担持せしめてなる触媒があげられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特開平5-49930号における触媒では高選択性すなわち生成ガス中の一酸化炭素選択率が低いことがあげられているが、充分な耐熱性、耐久性が示されていない。また、特開2001-25662号の発明による白金と酸化亜鉛を成分とする触媒を用いた場合にはパラジウムと酸化亜鉛を成分とする触媒を用いた場合よりも一酸化炭素選択率が高くなる。さらに、充分な耐熱性、耐久性が示されていない。また、これらに開示されているのはメタノールの水蒸気改質反応であり、酸素存在下での自己熱供給型反応にはほとんど言及されていない。
【0005】
自己熱供給型反応器では、メタノールの一部を酸化させるために、酸化反応の起こる部分では水蒸気改質反応と比較して高い温度となるので、さらに耐熱性の高い触媒が要求される。
また、燃料電池の種類によっては、例えば固体高分子型燃料電池の場合等には、一般的に電極触媒がある濃度以上の一酸化炭素により劣化してしまうためガスを燃料電池に導入するまでに一酸化炭素を何らかの方法により電極触媒に影響を与えない程度まで低減する必要がある。多くの場合一酸化炭素は選択酸化反応によりppmオーダーまで低減されるが車載用においては搭載容量等に制限があり、この一酸化炭素の選択酸化反応装置を小型化するためには処理すべき一酸化炭素が少ないほど好ましく、改質器からの水素含有ガス中一酸化炭素濃度はより低いことが望ましい。一酸化炭素濃度が高い場合は水性ガスシフト反応等により一酸化炭素濃度を低める装置が別に必要になり、搭載容量等に制限ある車載用においては不利なこととなる。さらに、車載用においては搭載容量の制限から改質反応器を小型化するために高い活性の触媒が要求される。
本発明の目的は、高活性で高い耐熱性を有し、より水蒸気改質反応選択性の高いメタノール改質触媒を開発し、自己熱供給型反応器により水素を主成分とするガスを工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者等は上記の如き課題を有する自己熱供給型反応器によりメタノールを改質する方法について鋭意研究した結果、白金および酸化亜鉛に加え、鉛、ビスマスおよびインジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有する触媒を用いることにより、高い耐熱性を有しつつ白金および酸化亜鉛を成分とする触媒よりも水蒸気改質反応選択性が向上し、すなわち一酸化炭素選択率をより低くすることができ、自己熱供給型反応器に好適に用いられることを見い出し、本発明に到達した。
【0007】
即ち本発明は、白金および酸化亜鉛に加え、鉛、ビスマスおよびインジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有する触媒の存在下、メタノールを水蒸気および酸素と反応させて水素を主成分とする改質ガスを製造することを特徴とする水素含有ガスの製造法に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における酸化亜鉛としては市販品を用いることができるが、このほか酢酸亜鉛、硝酸亜鉛等の有機酸、無機酸の塩や酸化亜鉛、水酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛等、焼成後または還元後または反応中に酸化亜鉛を生じるような化合物も亜鉛源として使用できる。
また白金の原料として特に制限はない。酸化白金、塩化白金酸およびそのアルカリ金属塩、白金アセチルアセトナート、ジニトロジアンミン白金等が使用できる。水に溶解させて触媒調製する場合は塩化白金酸カリウムを用いるのが好ましい。
鉛の原料としては、酸化鉛、酢酸鉛、シュウ酸鉛、硝酸鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性酢酸鉛等が使用できる。
ビスマスの原料としては、塩基性炭酸ビスマス、硝酸ビスマス、塩基性硝酸ビスマス、酢酸酸化ビスマス、シュウ酸ビスマス、等が使用できる。
インジウムの原料としては、酸化インジウム、硝酸インジウム、酢酸インジウム、アセチルアセトナートインジウム等が使用できる。
【0009】
本発明における触媒調製方法としては、白金および酸化亜鉛に加え、鉛、ビスマスおよびインジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有するような触媒調製法であれば特に制限はない。例えば、白金、酸化亜鉛および鉛が共存する場合で言えば、(1)硝酸亜鉛と硝酸鉛の水溶液に沈澱剤を加えて生成した沈澱を蒸留水またはイオン交換水で洗浄した後乾燥、あるいは乾燥・焼成して亜鉛−鉛化合物とし、これを粉砕して水に分散させたスラリーと白金化合物の溶液を混合して沈澱剤または還元剤を加えることにより白金成分を析出させる方法や、(2)酸化亜鉛または水酸化亜鉛または塩基性炭酸亜鉛等のスラリーと白金化合物の溶液を混合して沈澱剤または還元剤を加えることにより白金成分を析出させた後乾燥、あるいは乾燥・焼成して白金−亜鉛化合物を得、これを粉砕して水に分散させたスラリーと鉛化合物の溶液を混合し、沈澱剤を加えることにより鉛成分を析出させる方法、また、(3)酸化亜鉛や水酸化亜鉛や塩基性炭酸亜鉛等に白金化合物および鉛化合物を含浸する方法、等がある。ビスマスやインジウムを含有する系でも同様な方法で調製できる。
【0010】
沈殿剤には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ化合物が用いられる。
沈澱剤調製時の沈澱剤の量は、化学等量の1〜2倍、好ましくは1.1〜1.6倍である。また、沈澱調製時の温度は20〜90℃、好ましくは35〜85℃である。
沈澱法により得られた沈澱はイオン交換水、蒸留水などで洗浄するのが好ましい。
【0011】
本発明による触媒の原子としての組成は、触媒を構成する金属および酸素の総原子数に対して、亜鉛25〜50%、好ましくは35〜50%、白金0.01〜35%、好ましくは0.1〜20%、鉛0.01〜3.5%、好ましくは0.02〜2%、ビスマス0.01〜10%、好ましくは0.05〜4%、インジウム0.01〜5%、好ましくは0.02〜2%である。
【0012】
以上の方法により調製して得られた沈澱は、乾燥し、乾燥・焼成し、破砕して大きさを揃えて、或いは成型して使用される。また、スラリーの乾燥品、或いは乾燥、焼成したものを粉砕し、水に懸濁させ、必要に応じてアルミナゾルのようなバインダーを添加して、担体および担体構造物に担持しても使用することができる。この場合、担持後乾燥してそのまま、あるいは焼成後使用することができる。
乾燥温度は50〜150℃で、焼成は空気中180〜800℃、好ましくは200〜600℃で行われる。
【0013】
メタノールと水蒸気および空気を反応させる自己熱供給型反応では、水蒸気改質の場合と同様に、例えば水素、一酸化炭素含有ガスによって活性化処理を行ってもよいし、活性化処理することなく反応に供することもできる。
メタノールと水蒸気および空気を反応させる際の反応条件は、メタノールに対する水蒸気のモル比を1〜10モル、好ましくは1〜5モルとし、メタノールに対する空気のモル比を0.3〜5.0モル、好ましくは0.5〜3.0モルとし、反応温度は、150〜600℃、好ましくは200〜500℃の範囲であり、反応圧力は、常圧〜0.5MPaである。単位触媒体積当たりの液空間速度(LHSV)はメタノールLHSVで0.1〜100h-1、好ましくは0.5〜60h-1である。
【0014】
【実施例】
以下に実施例、比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例において、メタノール反応率および一酸化炭素選択率は反応器出口ガス組成から次式により求めた数値である。
メタノール反応率(%)=([CO]+[CO2])/([CO]+[CO2]+[CH3OH])×100
一酸化炭素選択率(%) =[CO]/([CO]+[CO2]) ×100
式中、[CO]、[CO2]および[CH3OH]は、それぞれ反応器出口ガス中のCO、CO2およびCH3OHのモル濃度である。
【0015】
(触媒調製)
触媒A
硝酸亜鉛6水和物110.80gと硝酸鉛4.23gをイオン交換水500mLに溶解させ、30℃に調整した。炭酸カリウム68.5gを500mLのイオン交換水に溶解させた水溶液を攪拌しながら30℃に保ち、ここへ上述の硝酸亜鉛と硝酸鉛の水溶液を注加し、1時間攪拌を続けた。沈澱を濾過し、4Lのイオン交換水で洗浄後、得られた沈澱を乾燥後焼成し、亜鉛−鉛化合物を得た。この亜鉛−鉛化合物を粉砕した後13.4gをイオン交換水500mLに分散させ、65℃に調整した。このスラリーを撹拌しながら、ここへ塩化白金酸カリウム3.2gをイオン交換水500mLに溶解させて65℃に調整した水溶液を注加した後、1N水酸化カリウム水溶液を17mL加え、1時間撹拌した。沈澱を濾過し、8Lのイオン交換水で洗浄後、得られた沈澱を乾燥後焼成し、Pt-Pb/ZnO触媒を得た。この触媒を湿式粉砕した後、アルミナゾルを混合したスラリーにコージェライト製のハニカム(400セル/平方インチ)を浸漬、過剰分の吹き飛ばし、および乾燥という工程を繰り返し、乾燥後の触媒担持量が200g/Lになるように触媒を担持した。これを触媒Aとする。
【0016】
触媒B
硝酸亜鉛6水和物110.8gと硝酸鉛1.23gをイオン交換水1Lに溶解させ、30℃に調整した。炭酸カリウム65.8gを500mLのイオン交換水に溶解させた水溶液を攪拌しながら30℃に保ち、ここへ上述の硝酸亜鉛と硝酸鉛の水溶液を注加し、1時間攪拌を続けた。沈澱を濾過し、4Lのイオン交換水で洗浄後、得られた沈澱を乾燥後焼成し、亜鉛−鉛化合物を得た。この亜鉛−鉛化合物を粉砕した後14.3gをイオン交換水500mLに分散させ、65℃に調整した。このスラリーを撹拌しながら、ここへ、塩化白金酸カリウム3.4gをイオン交換水500mLに溶解させて65℃に調整した水溶液を注加した後、1N水酸化カリウム水溶液を18mL加え、1時間撹拌した。沈澱を濾過し、8Lのイオン交換水で洗浄後、得られた沈澱を乾燥後焼成し、Pt-Pb/ZnO触媒を得た。この触媒を湿式粉砕した後、アルミナゾルを混合したスラリーにコージェライト製のハニカム(400セル/平方インチ)を浸漬、過剰分の吹き飛ばし、および乾燥という工程を繰り返し、乾燥後の触媒担持量が200g/Lになるように触媒を担持した。これを触媒Bとする。
【0017】
触媒C
触媒Bと同じ方法で調製した亜鉛−鉛化合物の粉砕品から14.5gをイオン交換水500mLに分散させ、65℃に調整した。このスラリーを撹拌しながら、ここへ、塩化白金酸カリウム13.22gをイオン交換水500mLに溶解させて65℃に調整した水溶液を注加した後、1N水酸化カリウム水溶液を65mL加え、1時間撹拌した。沈澱を濾過し、10Lのイオン交換水で洗浄後、得られた沈澱を乾燥後焼成し、Pt-Pb/ZnO触媒を得た。この触媒を湿式粉砕した後、アルミナゾルを混合したスラリーにコージェライト製のハニカム(400セル/平方インチ)を浸漬、過剰分の吹き飛ばし、および乾燥という工程を繰り返し、乾燥後の触媒担持量が200g/Lになるように触媒を担持した。これを触媒Cとする。
【0018】
触媒D
硝酸ビスマス5水和物1.81gを1N硝酸水溶液100mLに溶解させ、硝酸亜鉛6水和物110.8gを加えてイオン交換水500mLに溶解させ、30℃に調整した。炭酸カリウム60gを500mLのイオン交換水に溶解させた水溶液を攪拌しながら30℃に保ち、ここへ上述の硝酸亜鉛と硝酸ビスマスの酸性水溶液を注加し、1時間攪拌を続けた。沈澱を濾過し、8Lのイオン交換水で洗浄後、得られた沈澱を乾燥後焼成し、亜鉛−ビスマス化合物を得た。この亜鉛−ビスマス化合物を粉砕した後17.1gをイオン交換水500mLに分散させ、65℃に調整した。このスラリーを撹拌しながら、ここへ塩化白金酸カリウム4.08gをイオン交換水500mLに溶解させて65℃に調整した水溶液を注加した後、1N水酸化カリウム水溶液を20mL加え、1時間撹拌した。沈澱を濾過し、8Lのイオン交換水で洗浄後、得られた沈澱を乾燥後焼成し、Pt-Bi/ZnO触媒を得た。この触媒を湿式粉砕した後、アルミナゾルを混合したスラリーにコージェライト製のハニカム(400セル/平方インチ)を浸漬、過剰分の吹き飛ばし、および乾燥という工程を繰り返し、乾燥後の触媒担持量が200g/Lになるように触媒を担持した。これを触媒Dとする。
【0019】
触媒E
硝酸ビスマス5水和物1.1gを1N硝酸水溶液60mLに溶解させ、硝酸亜鉛6水和物67.9gを加えてイオン交換水500mLに溶解させ、30℃に調整した。炭酸ナトリウム33.3gを500mLのイオン交換水に溶解させた水溶液を攪拌しながら30℃に保ち、ここへ上述の硝酸亜鉛と硝酸ビスマスの酸性水溶液を注加し、1時間攪拌を続けた。沈澱を濾過し、8Lのイオン交換水で洗浄後、得られた沈澱を乾燥後焼成し、亜鉛−ビスマス化合物を得た。この亜鉛−ビスマス化合物を粉砕した後イオン交換水500mLに分散させ、65℃に調整した。このスラリーを撹拌しながら、ここへ塩化白金酸カリウム18.2gをイオン交換水500mLに溶解させて65℃に調整した水溶液を注加した後、1N水酸化カリウム水溶液を87.9mL加え、1時間撹拌した。沈澱を濾過し、8Lのイオン交換水で洗浄後、得られた沈澱を乾燥後焼成し、Pt-Bi/ZnO触媒を得た。この触媒を湿式粉砕した後、アルミナゾルを混合したスラリーにコージェライト製のハニカム(400セル/平方インチ)を浸漬、過剰分の吹き飛ばし、および乾燥という工程を繰り返し、乾燥後の触媒担持量が200g/Lになるように触媒を担持した。これを触媒Eとする。
【0020】
触媒F
酸化亜鉛の粉末15gを加えた60℃水溶液500mlに、塩化白金酸カリウム(K2PtCl4 ) 13.82 gの60℃水溶液500mlを加え、30分後に1NKOH 66mlを加え、60分間攪拌した。その後濾過して、濾液中の塩素が1〜3ppm以下程度になるまで水洗浄を繰り返した。そして80℃で15時間乾燥させた後に、380℃で2時間焼成し、Pt/ZnO触媒を得た。この焼成粉7.5 gをボールミルにて粉砕したものを、250mlの水に分散し、そこに硝酸インジウム0.097 gを溶解した水溶液250 mlを加え、15分後に1NKOH 0.54mlを加え、30分間攪拌した。そして80℃で15時間乾燥させた後に、380℃で2時間焼成し、Pt-In/ZnO触媒を得た。
このPt-In/ZnO触媒を湿式粉砕し、アルミナゾルを混合してスラリーとした後、コージェライト製のハニカム(400セル/平方センチ)に、浸漬、過剰分の吹き飛ばし、および乾燥の工程を繰り返し、乾燥後の触媒担持量が200g/Lになるように触媒を担持した。これを触媒Fとする。
【0021】
触媒G
触媒Fと同様の方法により調製し、酸化インジウム含有量1重量%のPt-In/ZnO触媒を得た。
このPt-In/ZnO触媒を湿式粉砕し、アルミナゾルを混合してスラリーとした後、コージェライト製のハニカム(400セル/平方センチ)に、浸漬、過剰分の吹き飛ばし、および乾燥の工程を繰り返し、乾燥後の触媒担持量が200g/Lになるように触媒を担持した。これを触媒Gとする。
【0022】
触媒H
酸化亜鉛15gをイオン交換水500mLに分散させて65℃に調整した。攪拌しながら、ここへ塩化白金酸カリウム3.55gをイオン交換水500mLに溶解させ、65℃に調整した水溶液を注加し、1N水酸化カリウム水溶液を18mL加えた後1時間攪拌を続けた。沈澱を濾過し、8Lのイオン交換水で洗浄後、得られた沈澱を乾燥後焼成し、Pt/ZnO触媒を得た。この触媒を湿式粉砕した後、アルミナゾルを混合したスラリーにコージェライト製のハニカム(400セル/平方インチ)を浸漬、過剰分の吹き飛ばし、および乾燥という工程を繰り返し、乾燥後の触媒担持量が200g/Lになるように触媒を担持した。これを触媒Hとする。
【0023】
触媒I
酸化亜鉛15gをイオン交換水500mLに分散させて65℃に調整した。攪拌しながら、ここへ塩化白金酸カリウム13.68gをイオン交換水500mLに溶解させ,65℃に調整した水溶液を注加し、1N水酸化カリウム水溶液を70mL加えた後1時間攪拌を続けた。沈澱を濾過し、10Lのイオン交換水で洗浄後、得られた沈澱を乾燥後焼成し、Pt/ZnO触媒を得た。この触媒を湿式粉砕した後、アルミナゾルを混合したスラリーにコージェライト製のハニカム(400セル/平方インチ)を浸漬、過剰分の吹き飛ばし、および乾燥という工程を繰り返し、乾燥後の触媒担持量が200g/Lになるように触媒を担持した。これを触媒Iとする。
【0024】
(メタノール改質反応)
実施例1〜3
触媒A、BまたはCを反応器に充填し、活性評価する前に水/メタノール比1.5のメタノール水溶液を蒸発器に導入し、メタノールLHSV 15(h-1)、200℃にて還元処理を実施した後、蒸発器出口後に空気を混合し200℃の混合ガスとして触媒層に入るように導入ラインの温度調節を行った。反応は触媒層の入口温度が400℃になるように空気量で制御した。反応後のガス組成はガスクロマトグラフィにより分析した。反応結果のメタノール反応率を表1に、一酸化炭素選択率を表2に示す。
【0025】
実施例4
触媒Dを反応器に充填し、活性評価する前に水/メタノール比1.5のメタノール水溶液を蒸発器に導入し、メタノールLHSV 15(h-1)、200℃にて還元処理を実施した後、蒸発器出口後に空気を混合し200℃の混合ガスとして触媒層に入るように導入ラインの温度調節を行った。反応は触媒層の入口温度が400℃になるように空気量で制御した。反応後のガス組成はガスクロマトグラフィにより分析した。反応結果のメタノール反応率を表1に、一酸化炭素選択率を表2に示す。
【0026】
実施例5
触媒Eを反応器に充填し、メタノールLHSVを30(h-1)とした以外は実施例4と同様に還元処理、反応及び分析を行った。反応結果のメタノール反応率を表1に、一酸化炭素選択率を表2に示す。
【0027】
実施例6、7
触媒FまたはGを用いたこと以外は実施例1と同様とした。
【0028】
比較例1、2
触媒HまたはIを用いたこと以外は実施例1と同様とした。
【0029】
【0030】
【0031】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本発明によれば、白金および酸化亜鉛に加え、鉛、ビスマスおよびインジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有する触媒を用いることにより、高い耐熱性を有しつつ白金および酸化亜鉛を成分とする触媒よりも水蒸気改質反応選択性が向上し、すなわち一酸化炭素選択率をより低くすることができる。従って、本発明により自己熱供給型反応器においてメタノールと水蒸気および空気を反応させて水素を主成分とする改質ガスを工業的に有利に製造することができる。
Claims (1)
- 白金および酸化亜鉛に加え、鉛、ビスマスおよびインジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有する触媒の存在下、下記の条件で、メタノールを水蒸気および酸素と反応させて水素を主成分とする改質ガスを製造することを特徴とする水素含有ガスの製造法。
1)単一の触媒層を用い、
2)触媒の原子としての組成は、触媒を構成する金属および酸素の総原子数に対して、亜鉛25〜50%、白金0.01〜35%とし、
3)鉛0.01〜3.5%、ビスマス0.01〜10%およびインジウム0.01〜5%のいずれかを満たし、
4)メタノールに対する水蒸気のモル比を1〜10モルとし、
5)反応温度は150〜600℃とし、反応圧力は、常圧〜0.5MPaとし、
6)単位触媒体積当たりの液空間速度(LHSV)はメタノールLHSVで0. 1 〜100h -1 とする
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