JP4359748B2 - 水素含有ガスの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素含有ガスの製造方法の改良に関する。更に詳しくは、改良された特定の触媒を用いることによって、原料であるメタノールと水蒸気の供給負荷が大きい場合でも、水素を主体とする改質ガスを効率的に製造できる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、化石燃料に代わるクリーンなエネルギー源として、水素が注目されている。水素は燃やした際に水ができるだけで、二酸化炭素や有害な酸化物が生成しないため、地球温暖化や大気汚染などの環境への負荷が小さいエネルギー源としてその発展が期待されている。
水素ガスの製造法としては、例えば、ナフサ、天然ガスや石油液化ガス等の炭化水素類の水蒸気改質法が知られている。この方法は、原料の脱硫が必要なこと、反応温度が800〜1000℃で非常に高いこと等の欠点を有する。これに対して、メタノールを原料とする方法は、脱硫が不要で、反応温度が低く、改質ガス中に分離困難な一酸化炭素をほとんど含まない等の利点から、今後需要の増大が予想される水素の簡便な供給源として注目を集めている。
【0003】
一方、地球環境問題の高まりの中で、地球温暖化の主因である二酸化炭素の排出を抑えると共に、大気汚染をもたらす硫黄酸化物や窒素酸化物を排出しないクリーン且つエネルギー転換効率の高い発電システムとして、燃料電池が注目されている。燃料電池は、自動車や船舶などの移動体用電源を初め、工場やビル、集合住宅などの自家発電、医療機器を扱う病院などの無停電電源、更にはノート型パソコンや携帯電話、デジタルカメラなどの携帯機器用電源などとして利用が期待されている。最近特に、携帯機器分野においては、現在のリチウムイオン電池に替わる高エネルギー電源の必要性及び環境負荷の改善(リサイクルの促進)のため、メタノール改質型マイクロ燃料電池の開発が積極的になされている。携帯機器に搭載されるマイクロ燃料電池向けのメタノール改質器は、小型で簡単な構造のものが要求されることから、反応器内の圧力損失が少なく、反応器体積当りの触媒比表面積が大きく、且つ伝熱効率が非常に高いマイクロリアクターの開発が進められている。マイクロリアクターとは、フォトリソグラフィーをベースとする半導体加工技術、或いは精密機械加工技術によって、基板上に作成した数10〜1000μm幅の直径をもつ流路(マイクロチャンネル)の中で、化学反応、熱交換、混合などを行う微小な反応器である。
【0004】
この反応器においては、搭載容量等に制限ある携帯機器用に改質反応器を小型化する必要があるため、必然的に触媒に対する負荷、即ち原料であるメタノールと水蒸気の合計の単位触媒体積当りのガス空間速度(GHSV)及び反応器断面積当りのガス線速(LV)が高くなるので、このような苛酷な条件下でも高活性且つ耐久性の高い触媒が要求される。また、固体高分子型燃料電池においては、改質ガス中の一酸化炭素は電極触媒の白金に吸着して電池としての機能を大きく低下させることから、改質ガス中の一酸化炭素濃度が低濃度であることが望まれる。
【0005】
メタノールの改質反応における主反応は、次の(a)式及び(b)式で示される。
CH3OH=CO+2H2−90.7kJ/mol (a)
CH3OH+H2O=CO2+3H2−49.5kJ/mol (b)
メタノールから水素を効率良く製造するには、水素生成量が多いこと、反応熱(吸熱量)が小さいこと及び一酸化炭素の生成が無いことなどから、(a)式より(b)式の方が有利である。
【0006】
(b)式による反応を主としたメタノール改質用触媒としては、従来、低温活性で(b)式反応の選択性の高い銅・亜鉛系触媒が提案されている。しかしながら、銅・亜鉛系触媒は、低温活性では優れている反面、耐熱性に乏しく、長時間の連続運転を実施した場合、その活性及び選択性の低下が著しく、しかも原料のメタノール及び水蒸気の負荷が大きい場合にはさらに著しくなる欠点を有している。
【0007】
これに対して、銅・亜鉛系触媒に卑金属等を添加することにより耐久性を向上させた触媒として、アルミニウム及び/又はクロムを添加した触媒(例えば、特許文献1参照)、ジルコニウム・マンガン又はイットリウムを添加した触媒(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、これら特許で示されている触媒の使用条件は、低負荷(それぞれ、GHSV1,816h-1、3,326h-1)におけるものであり、高負荷条件下で用いた場合の結果については示されていない。
一方、銅・亜鉛系触媒に貴金属成分を添加することにより耐久性を向上させた触媒として、パラジウム及び亜鉛を担持させた触媒(例えば、特許文献3、4参照)、パラジウム又は白金を添加した触媒(例えば、特許文献5参照)が提案されている。しかしながら、前者の実施例では原料供給の負荷の程度が明記されておらず、耐久性を判断することができない。後者の実施例では、負荷は比較的高い(GHSV51,430h-1)が、長時間経過後の検討成績が記載されておらず、比較的短い48時間後でも低下率が1.2%に達しており耐久性は不充分である。
【0008】
さらに、銅・亜鉛系触媒と貴金属成分からなる触媒を組み合わせることにより耐久性を向上させた触媒として、セラミックス製モノリス担体に銅・亜鉛触媒を塗布した後、二酸化セリウム・二酸化ジルコニウムにパラジウム・亜鉛を担持させた触媒を上塗した触媒(例えば、特許文献6参照)、銅・亜鉛触媒とパラジウム・二酸化セリウム・酸化亜鉛触媒を組み合わせた積層構造からなる触媒(例えば、特許文献7参照)が提案されている。しかしながら、前者の実施例では負荷が明記されておらず、耐久性を判断することができない。後者の実施例では、負荷が低い(GHSV270h-1)にも係わらず、5時間後にはメタノールの転化率が初期値である70%から43%に低下してしまう欠点を有し、耐久性は不充分である。
【0009】
これらに対して、耐熱性に優れ、高活性且つ耐久性が比較的高い触媒として、銅・亜鉛系触媒以外の、パラジウム・酸化亜鉛触媒(例えば、特許文献8参照)、パラジウム及び/又は白金・酸化亜鉛触媒(特許文献9参照)、更にはパラジウム・酸化ガリウム、パラジウム・酸化インジウム、白金・酸化亜鉛、白金・酸化ガリウム、白金・酸化インジウム系の各種触媒(例えば、非特許文献1参照)が提案されている。しかしながら、これら触媒の使用条件は、GHSV20,000h-1以下と原料の供給負荷量が比較的低いなかでの検討結果であり、しかも長時間の連続運転を行っておらず、耐久性を判断することができない。更に、銅・亜鉛系触媒に比べて一酸化炭素濃度が高く、実際に長時間連続運転を行うと、(b)式反応の選択性が低下し、一酸化炭素濃度が増加する欠点を有する。
【0010】
また、改質ガス中の一酸化炭素濃度を低下させる貴金属触媒として、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウムなどの貴金属と二酸化ジルコニウムからなる触媒(例えば、特許文献10参照)、パラジウム・酸化亜鉛・二酸化セリウム触媒(例えば、特許文献11参照)、二酸化ジルコニウムにアルカリ金属又はアルカリ土類金属・白金・インジウムを担持させた触媒(特許文献12、特許文献13参照)、更には二酸化ジルコニウム・二酸化セリウムにパラジウム・酸化亜鉛を担持させた触媒が提案されている。しかしながら、これら触媒の使用条件は、何れもGHSV10,000h-1以下と原料の供給負荷量が比較的低いなかでの検討結果であり、しかも長時間の連続運転を行っておらず、耐久性を判断することができない。
【0011】
【特許文献1】
特開平5-305234号公報
【特許文献2】
特開2001-259426号公報
【特許文献3】
特開2002-59005号公報
【特許文献4】
特開2002-79103号公報
【特許文献5】
特開2002-95970号公報
【特許文献6】
特開2001-232203号公報
【特許文献7】
特開2002-282691号公報
【特許文献8】
特開平5-49930号公報
【特許文献9】
特開2001-25662号公報
【特許文献10】
特開2001-129398号公報
【特許文献11】
特開2001-232193号公報
【特許文献12】
特開2001-232196号公報
【特許文献13】
特開2001-232198号公報
【非特許文献1】
竹澤, 触媒 42(2000)212-217
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、改良された特定の触媒を用いることによって、従来技術における上記したような課題を解決し、メタノールと水蒸気を、それら合計のGHSVが大きい条件下で長期間反応させた場合にも、水素を主体とする改質ガスを効率的に製造できる工業的に優れた方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、白金又はパラジウムと、酸化亜鉛及び酸化クロムを含有させた触媒の存在下、メタノールと水蒸気を反応させることにより、その目的を達成しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、白金又はパラジウムと、酸化亜鉛及び酸化クロムを主成分として含有する触媒の存在下、メタノールと水蒸気を反応させて水素を主成分とする改質ガスを製造することを特徴とする(1)から()に示す水素含有ガスの製造法に関する。
)白金と、酸化亜鉛及び酸化クロムを主成分として含有、クロム/亜鉛の原子比が0.033〜0.5である触媒の存在下、メタノールと水蒸気を反応させて水素を主成分とする改質ガスを製造することを特徴とする水素ガスの製造方法。
(2)白金と、酸化亜鉛及び酸化クロムの合計量に対する白金の含有量が5〜50重量%である(1)の水素ガスの製造方法。
)パラジウムと、酸化亜鉛及び酸化クロムを主成分として含有、パラジウム/亜鉛の原子比が0.004〜2.2である触媒の存在下、メタノールと水蒸気を反応させて水素を主成分とする改質ガスを製造することを特徴とする水素ガスの製造方法。
)パラジウムと、酸化亜鉛及び酸化クロムを主成分として含有、クロム/亜鉛の原子比が0.03〜2である触媒の存在下、メタノールと水蒸気を反応させて水素を主成分とする改質ガスを製造することを特徴とする水素ガスの製造方法。
)メタノールと水蒸気を、それら合計の単位触媒体積当りのガス空間速度が10,000h−1以上で反応させる(1)から()の何れかに記載の水素ガスの製造方法
【0014】
【発明の実態の形態】
本発明で用いる触媒の構成成分は、(1)白金、酸化亜鉛、及び酸化クロムを含有するメタノール改質用触媒、又は(2)パラジウム、酸化亜鉛、及び酸化クロムを含有するメタノール改質用触媒であり、その主成分の元素は、(1)白金、亜鉛、及びクロム、又は(2)パラジウム、亜鉛、及びクロムである。これらの元素の供給源としては、パラジウム、酸化亜鉛、及び酸化クロム、又は、加水分解或いはその後の焼成によりこれらに変換される化合物であれば特に限定されるものではない。
白金源としては、酸化白金、塩化白金酸及びそのアルカリ金属塩、アセチルアセトナート白金、ジニトロジアンミン白金等が使用できる。水に溶解させて触媒調製する場合は塩化白金酸カリウムを用いるのが好ましい。
パラジウム源としては、例えば硝酸パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム等が使用できる。
亜鉛源としては、例えば酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛等の有機酸塩、及び無機酸塩や酸化物等が使用できる。
クロム源としては、例えば酢酸クロム、硝酸クロム等の有機酸塩や無機酸塩等が使用できる。
【0015】
本発明に使用される触媒の製造方法としては、白金、酸化亜鉛と酸化クロム、又はパラジウム、酸化亜鉛と酸化クロムとを緊密な混合状態で含有させることができるものであれば、公知の含浸法、析出沈殿法、共沈法等を用いることができる。例えば、予め、水溶性の亜鉛塩、クロム塩を含む混合水溶液を沈殿剤で処理して得られた沈殿物を乾燥、焼成した後、この化合物の懸濁溶液と可溶性の白金塩またはパラジウム塩の溶液を混合し、沈殿剤を加えて析出沈殿させた後、乾燥、焼成する析出沈殿法、或いは水溶性の白金塩、亜鉛塩、クロム塩を含む混合水溶液、又は水溶性のパラジウム塩、亜鉛塩、クロム塩を含む混合水溶液を沈殿剤で処理して得られた沈殿物を乾燥、焼成する共沈法などが挙げられる。
【0016】
この際、沈殿剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウムなどのアルカリ化合物が用いられる。これら沈殿剤の使用量は、金属塩に対する等量の1〜2倍、好ましくは1.1〜1.6倍である。また、沈殿調製時の温度は20〜90℃、好ましくは35〜85℃である。
以上の沈殿法により得られた沈殿はイオン交換水、蒸留水などで洗浄するのが好ましい。
【0017】
以上の方法により調製して生成した沈殿物は、そのまま乾燥し、或いは乾燥・焼成し、粉砕して大きさを揃えるか、或いは成型して使用される。また、該乾燥品或いは焼成品の粉砕物を水に懸濁させたものに、必要に応じてアルミナゾルのようなバインダーを添加して、担体や担体構造物に担持して使用しても良い。この場合、担持後、乾燥してそのまま、或いは焼成して使用することができる。乾燥は50〜150℃で、焼成は空気中180〜700℃、好ましくは白金を用いる場合350〜450℃、パラジウムを用いる場合200〜600℃で行われる。
【0018】
このようにして得られた触媒の組成は、白金、酸化亜鉛および酸化クロムの合計量に対する白金含有量で5〜50重量%、好ましくは20〜30重量%である。白金含有量が5重量%未満であると、活性、選択性が十分でなく、また、50重量%を超えると担持が困難となる。パラジウム/亜鉛の原子比で0.004〜2.2、好ましくは0.04〜0.6である。パラジウム/亜鉛の原子比が0.004未満であると活性が十分でなく、また、2.2を超えると選択性が低下する。クロム/亜鉛の原子比で、白金を用いる場合0.033〜0.5、好ましくは0.1〜0.435、パラジウムを用いる場合0.03〜2、好ましくは0.05〜1である。
【0019】
本発明の方法においては、前記のようにして得られたメタノール改質用触媒の存在下、メタノールに水蒸気を反応させ、水素を主体とする改質ガスを製造する。この反応において、上記メタノール改質用触媒は、水素及び一酸化炭素含有ガスによって活性化処理を行っても良く、また活性化処理することなく、反応に供することもできる。
【0020】
メタノールに水蒸気を反応させる際の反応条件はこれらの範囲のみに限定されるものではないが、メタノールに対する水蒸気のモル比は1〜10モル、好ましくは1〜5モルである。反応温度は150〜600℃、好ましくは200〜550℃であり、反応圧力は1.0MPaG以下、好ましくは常圧〜0.5MPaGである。メタノール及び水蒸気合計のGHSVは10,000〜200,000h-1、好ましくは10,000〜100,000h-1である。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例をもってさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって制限されるものではない。
なお、これらの例で示すメタノール転化率及びCO選択率は、メタノール・水蒸気改質装置の反応器出口におけるガス組成から次式により求めた。
メタノール転化率(%)=([CO]+[CO2])/([CO]+[CO2]+[CH3OH])×100
CO選択率(%)=[CO]/([CO]+[CO2])×100
(式中、[CO]、[CO2]及び[CH3OH]は、何れも反応器出口ガス中の各成分のモル濃度である。)
【0022】
1.触媒調製
触媒A
炭酸ナトリウム(無水)35gを1000mLのイオン交換水とともに2Lのビーカーに入れ溶解した。ここに硝酸亜鉛(6水塩)55g及び硝酸クロム(9水塩)18gをイオン交換水800mLに溶解した溶液を注加し、30分間攪拌した。このように調製したスラリーを濾過し、得られた沈殿物をイオン交換水3Lで洗浄した。続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、Zn-Cr酸化物を得た。次に、このZn-Cr酸化物の粉末15gを分散した60℃水溶液500mLに、塩化白金酸カリウム(K2PtCl4)17.19gの60℃水溶液500mLを加えた。30分後に1N KOH 82mLを加え、60℃にて60分間攪拌した。その後濾過して、濾液中の塩素が1ppm以下になるまで水洗浄を繰り返した。続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、Pt-Zn-Cr触媒を得た。この触媒をAとする。触媒Aの組成は、金属白金、酸化亜鉛及び酸化クロムの合計量に対する白金含有量で35重量%、クロム/亜鉛の原子比で0.25である。
触媒Aをボールミルで湿式粉砕した後、バインダーとしてアルミナゾルを4重量%加え、5重量%硝酸水溶液で脱脂し80℃で乾燥した外径10mm、内径8mm、長さ50mmのSUS316製円筒管の内壁に、浸漬、過剰分の吹き飛ばし、および乾燥の工程を繰り返し、78.7mg担持した。この触媒をA−1とする。
また、触媒Aを打錠成型器で嵩密度が2.25g/mLになるように成型した後、破砕して粒径を425〜850μmに揃えた。この触媒をA−2とする。
【0023】
触媒B
炭酸ナトリウム(無水)35gを1000mLのイオン交換水とともに2Lのビーカーに入れ溶解した。ここに硝酸亜鉛(6水塩)55g及び硝酸クロム(9水塩)18gをイオン交換水800mLに溶解した溶液を注加し、30分間攪拌した。このように調製したスラリーを濾過し、得られた沈殿物をイオン交換水3Lで洗浄した。続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、Zn-Cr酸化物を得た。次に、硝酸パラジウム(2.2水塩)(Pd(NO3)2・2H2O)4gを800mLのイオン交換水とともに1Lのビーカーに入れ溶解した。ここに上記のZn-Cr酸化物の粉末15gをイオン交換水200mLに分散させた溶液を注加し、30分間攪拌した。このように調製したスラリーを濾過し、得られた沈殿物をイオン交換水3Lで洗浄した。続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、Pd-Zn-Cr触媒を得た。この触媒をBとする。触媒Bの組成は、パラジウム/亜鉛/クロムの原子比で0.10/1/0.25である。この触媒を触媒A−1と同様にSUS316製円筒管の内壁に78.9mg担持した。この触媒をB−1とする。
【0024】
触媒C
重炭酸アンモニウム140.4gを1186mLのイオン交換水とともに5Lの丸底フラスコに入れ溶解し、40℃とした。ここに、硝酸銅50%水溶液389.94gをイオン交換水1290mLに溶解し40℃に調節した溶液を注加し、続いて酸化亜鉛49.35gをイオン交換水500mlに分散したスラリーを加え、直ちに炭酸ガスを6L/hの割合で吹き込んだ。1時間後80℃に昇温し30分保持した。炭酸ガスは2時間で停止し、60℃まで冷却した。このようにして調製した混合スラリーを洗浄した。洗浄後のケーキにアルミナゾル(アルミナとして6.3g)を混練し、続いて80℃で乾燥し、その後380℃にて2時間焼成することにより、銅、亜鉛、アルミニウムを主成分とする銅/亜鉛の原子比が1.33のCu-Zn-Al触媒を得た。この触媒をCとする。
触媒Cを、触媒A−1と同様にSUS316製円筒管の内壁に74.6mg担持した。この触媒をC−1とする。
また、触媒Cを触媒A−2と同様に成型、破砕し、粒径を揃えた。この触媒をC−2とする。
【0025】
2.触媒性能の評価
実施例1
触媒A−1を流通式反応器に設置し、更にそれらの中心部分に、ガス通過方向と平行に外径6mmのSUS316製円筒管を設置することにより、ガスが通過する空間を狭め、原料であるメタノールと水蒸気の合計のLV(反応器断面積当りのガス線速)を高くした。触媒A−1を、5%水素−95%窒素ガスGHSV(単位触媒体積当りのガス空間速度)20,000h-1、240℃にて3時間還元処理を実施した後、水/メタノール比2.0、メタノールと水蒸気の合計のGHSV100,000h-1、メタノールと水蒸気の合計のLV707cm・min-1、触媒層入口温度325℃、反応圧力常圧の条件で、触媒の耐久性能を評価した。反応後のガス組成はガスクロマトグラフィーにより分析した。反応時間0時間(反応開始直後)、95時間及び160時間におけるメタノール転化率を表1に、出口CO濃度を表2におよびCO選択率を表3に示す。
【0026】
実施例2
触媒としてB−1触媒を用いた以外は、実施例1と同様に試験を行なった。反応時間0時間(反応開始直後)、95時間及び160時間におけるメタノール転化率を表1に、出口CO濃度を表2におよびCO選択率を表3に示す。
【0027】
比較例1
触媒としてC−1触媒を用いた以外は、実施例1と同様に試験を行なった。反応時間0時間(反応開始直後)、95時間及び160時間におけるメタノール転化率を表1に、出口CO濃度を表2におよびCO選択率を表3に示す。
【0028】
表1
Figure 0004359748
【0029】
表2
Figure 0004359748
【0030】
表3
Figure 0004359748
【0031】
表1、表2および表3からわかるように、触媒A−1およびB−1は、触媒C−1に比べ、メタノールと水蒸気を、それら合計のGHSV(単位触媒体積当りのガス空間速度)が大きい条件下で反応させる場合にも、水素を主体とする改質ガスを効率良く発生させ、その改質活性を長時間維持することができ、耐久性が高い。また、得られた水素含有ガス中のCO濃度が経時的に低くなり、燃料電池側電極に対する腐食作用も低減できる。
【0032】
実施例3
内径10mmの流通式反応器の中心部分に、ガス通過方向と平行に外径6mmのSUS316製円筒管を設置することにより、ガスが通過する空間を狭め、原料であるメタノールと水蒸気の合計のLVを高くした。その空間に、触媒A−2又はC−2を755.9mg充填し、5%水素−95%窒素ガスGHSV20,000h-1、240℃にて3時間還元処理を実施した後、水/メタノール比2.0、メタノールと水蒸気の合計のGHSV100,000h-1、メタノールと水蒸気の合計のLV2,709cm・min-1、触媒層入口温度500℃、反応圧力常圧の条件で、触媒の耐久性能を評価した。反応後のガス組成はガスクロマトグラフィーにより分析した。反応時間0時間(反応開始直後)、116時間及び573時間におけるメタノール転化率を表4に、出口CO濃度を表5におよびCO選択率を表6に示す。
【0033】
比較例2
触媒としてC−2触媒を用いた以外は、実施例3と同様に試験を行なった。反応時間0時間(反応開始直後)116時間及び573時間におけるメタノール転化率を表4に、出口CO濃度を表5におよびCO選択率を表6に示す。
【0034】
表4
Figure 0004359748
【0035】
表5
Figure 0004359748
【0036】
表6
Figure 0004359748
【0037】
表4、表5及び表6からわかるように、触媒A−2は、触媒C−2に比べ、メタノールと水蒸気を、それら合計のGHSVが大きい条件下で反応させる場合にも、水素を主体とする改質ガスを効率良く発生させ、その改質活性を長時間維持することができ、耐久性が高い。
【0038】
【発明の効果】
本発明の方法により、白金又はパラジウムと、酸化亜鉛及び酸化クロムを含有させた触媒を使用することで、メタノールと水蒸気を、それら合計のGHSV(単位触媒体積当りのガス空間速度)が大きい条件下で反応させる場合にも、水素を主体とする改質ガスを効率良く発生させ、その改質活性を長時間維持することができ耐久性が高い。

Claims (5)

  1. 白金と、酸化亜鉛及び酸化クロムを主成分として含有、クロム/亜鉛の原子比が0.033〜0.5である触媒の存在下、メタノールと水蒸気を反応させて水素を主成分とする改質ガスを製造することを特徴とする水素ガスの製造方法。
  2. 白金と、酸化亜鉛及び酸化クロムの合計量に対する白金の含有量が5〜50重量%である請求項1記載の水素ガスの製造方法。
  3. パラジウムと、酸化亜鉛及び酸化クロムを主成分として含有、パラジウム/亜鉛の原子比が0.004〜2.2である触媒の存在下、メタノールと水蒸気を反応させて水素を主成分とする改質ガスを製造することを特徴とする水素ガスの製造方法。
  4. パラジウムと、酸化亜鉛及び酸化クロムを主成分として含有、クロム/亜鉛の原子比が0.03〜2である触媒の存在下、メタノールと水蒸気を反応させて水素を主成分とする改質ガスを製造することを特徴とする水素ガスの製造方法。
  5. メタノールと水蒸気を、それら合計の単位触媒体積当りのガス空間速度が10,000h−1以上で反応させる請求項1からの何れかに記載の水素ガスの製造方法
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