JP4106483B2 - 紙の断裁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は重ね合わせた複数枚の紙を切断することが出来る紙の断裁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
積み重ねた複数枚の紙を一気に切断する為の断裁装置にも色々あるが、一般的には大掛かりで大きな装置である。例えば1000枚以上重ねた紙を位置ズレしないように紙押えを降下してクランプし、上方からカッターを降下して切断することが出来る。そして紙押え及びカッターは油圧駆動方式と成っていて、数トンの力を発揮して紙を切断している。勿論、油圧駆動方式ではなくてモータを利用した断裁装置もあるが、一般には100V交流電源で数百Wのモータが用いられている。
【0003】
従って、従来の紙断裁装置はサイズ並びに重量が大きく、その為に事務機の付属装置として内蔵することは出来ない。又、従来の断裁装置ではカッターのストロークが定まっている為に、重ね合わせる紙の枚数が多くても少なくても同じストロークとなり、枚数が少ない紙を切断する場合にはカッターの動きに無駄が生じ、その分だけ切断作業の能率が低下する。
【0004】
又、カッターを上方から降下して紙を切断する場合、紙屑が刃先面と擦れ合って静電気が発生し、刃先には切断された紙屑が付着してしまい、これを除去しなくてはならない。すなわち、上方から降下するカッターでは紙屑が完全に自然落下することが出来ない為に、風を送ったり、ブラシで擦って強制的に除去する方法が採られている。このような、紙屑除去の補助的な機能を備えることで断裁装置全体が大型化し、本発明が求めるコンパクトな紙の断裁装置からかけ離れてしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の紙断裁装置には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、非常にコンパクト化すると共に小型モータで駆動することが出来、又切断時間の短縮と省力化による効率化を図った紙断裁装置を提供する。
【0006】
【課題を解決する為の手段】
本発明の紙断裁装置は重ね合わせた複数枚の紙が位置ズレしないように押さえる紙押えを有し、カッターは紙押えの下方に取付けられ、斜め上方へ上昇することが出来る。紙押えの押え機構にはリンクが取付けられ、該紙押さえと並設しているスクリューに螺合しているナットにリンクの先端が連結し、該スクリュウーが回転することでナットが移動するならば紙押えは上下動することが出来る。そしてスクリューは小型モータにて回転駆動される。
【0007】
一方、カッターはガイドに沿って斜め上方へスライドすることで紙を切断することが出来、その為にカッターと平行にスクリューが設けられ、該スクリューにはナットが螺合している。スクリューが回転するならばナットは移動し、該ナットと連動してカッターはガイドに形成したガイド溝に沿って斜め上方へスライドすることが出来る。以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0008】
【実施例】
図1は本発明に係る紙断裁装置を示す実施例であり、同図の1は重ね合わせた複数枚の紙1を示し、2は該紙1が位置ズレしないように押える紙押え、3は該紙1を切断する為のカッターを夫々表わしている。重ね合わされた紙1は平坦なテーブル4の上に載置され、紙押え2は上方から降下して紙1が切断される際にズレないように紙押え2にて強固にクランプされる。
【0009】
紙押え2は角型断面の棒体であって、該紙押え2の両面側にはリンク5a,5b…が軸6a,6bを介して連結され、該リンク5a,5b…はスクリュー7に螺合しているナット8a,8bに軸9a,9bを介して連結している。そこで、スクリュー7が回転するならば、ナット8a,8bはスクリュー7に沿って移動し、その結果、リンク5a,5b…の傾きは変化する。
【0010】
同図において、ナット8a,8bが左側へ移動するならば、紙押さえ2は降下して紙1を押圧する。紙押え2の両サイドはガイドされている為に、左右方向へ移動することはなく、ナット8a,8bの移動に伴って紙押え2は上下動する。スクリュー7はモータ10によって回転駆動され、間には複数のギア11,11…が介在して回転速度を落とし、例えばDC24Vの電源で25W相当のモータ10を使用しても紙1を強力にクランプすることが出来る。そしてナット8a,8bの位置を検出するならばリンク5a,5b…の傾きθが分かり、その結果、紙押え2にて押えられている紙1の厚さを知ることが出来る。
【0011】
一方、カッター3は上記紙押え2の下側に装着され、両ガイド12a,12bの間に嵌ってスライドすることが出来る。しかも、カッター3のスライド方向は斜め上下方向であって、ガイド12a,12bには2本のガイド溝13a,13bが所定の距離をおいて夫々形成され、しかもガイド溝13a,13bは斜め方向に傾斜している。
【0012】
カッター3の両面にはピン14a,14b…がそれぞれ水平に突出し、これらピン14a,14b…はガイド溝13a,13b…に遊嵌している。そしてピン14a,14b…がガイド溝13a,13b…に沿って移動するならば、カッター3は斜め方向へスライドすることが出来る。ただし、カッター3は平行を成して形成しているガイド溝13a,13b…にピン14a,14b…が嵌って移動する為に、常に水平に保たれている。
【0013】
そしてカッター3の下側にはスクリュー15が水平に取付けられ、該スクリュー15はモータ16によって複数のギア17,17…を介して回転駆動され、スクリュー15に螺合しているナット18は該スクリュー15の回転と共に移動することが出来る。ナット18からは、受け19,19が両面側のガイド溝13b,13bを挟むように起立し、受け19,19の上方を開口した溝20,20にはカッター3から突出しているピン14b,14bが係合している。
【0014】
従って、モータ16によってスクリュー15が回転するならば、ナット18はスクリュー15に沿って移動し、受け19,19の溝20,20に係合しているピン14b,14bはナット18と共に移動することになる。しかしピン14b,14bはガイド溝13b,13bにガイドされている為に、溝20,20を上下動すると共にガイド溝13b,13bに沿って斜め方向に移動する。
【0015】
従って、カッター3はガイド溝13a,13b…に沿って斜め方向へ押上げられ、紙押え2によってクランプされている紙1を下側から1枚づつ切断することが出来る。紙1の切断屑は1枚づつ切断されることで刃先面と擦れ合うことなく落下し、その為に紙屑が刃先に付着することはない。ここで、紙1を切断するには上記カッター3が上昇すると同時に水平方向へ移動す為に、クランプしている紙1に位置ズレが発生しようとするが、紙1を位置ズレさせる方向はリンク5a,5bが起立する方向となってクランプ力は一段と強化される。すなわち、紙1は滑り難くなる。
【0016】
図2は紙押え21を示す別の実施例である。モータ10にて回転するスクリュー22に螺合したナット23a,23bにはリンク24a,24b…が連結して中間押え25と連結している。そして紙押え21は上記中間押え25とリンク26a,26b…にて連結している。そこで、スクリュー22が回転するならばリンク24a,24bの傾斜度は大きくなって中間押え25は降下し、同時に紙押え21も降下する。
【0017】
紙押え21と中間押え25を連結しているリンク26a,26b…の傾斜角度αは変化しないで降下するが、カッターによって矢印方向へ紙1が位置ズレしようとするならば、リンク26a,26bの傾斜角度αは小さくなる。その結果、紙1を押える押圧力は一段と強化され、紙1の位置ズレを防止することが出来る。ここで紙押え21の片側はガイド27との間に僅かな隙間Qを設け、紙押え21が移動できるようにしている。ただし、紙押え21は2本のバネ28,28によって反対側へ引張られている為に、紙押さえ21がガタ付くことはない。
【0018】
ところで、カッターの切れ味は該カッターと紙の切断抵抗が小さい程良好である。切断にはカッターが刃先稜と直角方向に押し込まれる「押し切り」と、カッターが刃先稜と平行な移動を伴いながら押し込まれる「引き切り」とがある。本発明は後者の「引き切り」を重視した方法を採用しているが、ここでカッターの先端角(楔角)γ、刃先稜に直角な方向に押し込まれる速度(押し込み速度)Vと、カッターが刃先稜と平行な移動をする速度(水平速度)vにより、見かけのカッター先端角(有効楔角)βは次の式で表わされる。
tanβ=V/(V2+v2 )1/2・tanγ
【0019】
この式から分かるように、切断抵抗は紙質とカッターの見掛けの先端角(有効楔角)βにより変化し、紙質に応じた最適楔角βが存在する。本発明の紙断裁装置は上記の式を考慮し、事務機等に装備されることによる実用上の寸法、切断時間等の制約条件に基づいて、最適な押し込み速度V及び水平速度vを制御するガイド溝と該ガイド溝に嵌るピンを具備している。
【0020】
以上述べたように、本発明の紙断裁装置はスクリューに螺合するナットと紙押えをリンクで連結した紙押え機構、そしてカッターはガイドに取付け、ガイドには斜めに傾斜したガイド溝を形成すると共にカッターから突出したピンを嵌め、このピンはスクリューに螺合したナットの受けに係合したものであり、次のような効果を得ることが出来る。
【0021】
【発明の効果】
本発明に係る紙の断裁装置は、紙押えによって重ね合わせた紙をクランプし、下方より斜め上方へ上昇するカッターによって切断するように構成したものである。紙押えの押え機構はスクリューとリンクの組み合せで構成している為に、小型のモータでもって紙を強力にクランプすることが出来、クランプした紙のズレを防止する。そして紙がズレようとすればリンクをより起立する方向となって、クランプ力は一段と強化される。特に、紙押え機構として中間押えを設け、この中間押えと紙押えをほぼ垂直に起立するリンクによって連結するならば、紙のズレによって紙押えが移動して大きなクランプ力が発生する。
【0022】
一方、カッターもスクリューにナットを螺合したネジ機構を採用し、スクリューの回転に伴うナットの移動をガイドに形成した傾斜ガイド溝に沿ってカッターを斜め上方へ押上げることが出来る為に、小型のモータによって切断することが可能となる。そして、下方から紙を1枚づつ切断することが出来る為に、切断した紙屑は自然に落下し、カッターの刃先に付着することはない。
【0023】
又、紙押えのリンクの傾き又はスクリューに螺合しているナットの位置を検出することで、重ね合わされてテーブル上に置かれた紙の厚さが分かり、その結果、カッターをスライドさせる移動範囲が前以て分かる為に、無駄な動きは不要となる。すなわち必要最小限のスライドで済む為に、切断作業は効率化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙断裁装置の実施例。
【図2】紙押え機構の他の具体例。
【符号の説明】
1 紙
2 紙押え
3 カッター
4 テーブル
5 リンク
6 軸
7 スクリュー
8 ナット
9 軸
10 モータ
11 ギア
12 ガイド
13 ガイド溝
14 ピン
15 スクリュー
16 モータ
17 ギア
18 ナット
19 受け
20 溝
21 紙押え
22 スクリュー
23 ナット
24 リンク
25 中間押え
26 リンク
27 ガイド
28 バネ
Claims (3)
- テーブル上に複数枚重ね合せて載置した紙を切断する為の紙の断裁装置において、垂直ガイドに沿って上方から降下する紙押えを有し、また下方から上昇するカッターを備えたもので、上記紙押えの紙押え機構はモータにて回転するスクリューにナットを螺合し、このナットと紙押えをリンクを介して連結して構成し、カッターは傾斜したガイド溝を形成したガイドに取付けられ、該カッターから突出したピンは上記ガイド溝に嵌ると共に、ピンはモータによって回転するスクリューに螺合したナットに設けている受けに形成した溝に係合・連結したことを特徴とする紙の断裁装置。
- 上記ガイドはカッターが嵌るように両側に設けられ、カッターの両面側に突出したピンをガイド溝に嵌めた請求項1記載の紙の断裁装置。
- 上記紙押え機構は、モータにて回転するスクリューにナットを螺合し、このナットとガイドに沿って昇降動する中間押えをリンクを介して連結し、そして片側のガイドとの間に僅かな隙間を残すようにバネ力を付勢して取付けた紙押えをほぼ垂直に起立するリンクを介して上記中間押さえと連結した請求項1、又は請求項2記載の紙の断裁装置。
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