JP4105774B2 - 遊技媒体貸出装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は，セキュリティ情報，有価価値情報が記録されている例えば磁気カード等の情報媒体が装着されることにより，該情報媒体に記録されている情報を読み込み遊技者の操作に基づいて例えばパチンコ玉等の遊技媒体の貸出制御を行う遊技媒体貸出装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
現在，有価価値情報が記録された情報媒体の一例としてプリペイド式の磁気カードを使用し，カードの装着に基づいてパチンコ玉等の遊技媒体を貸し出す様にした遊技媒体貸出装置が広く普及し，遊技者の便宜に供されている。この様なカードを使用した遊技媒体貸出装置を使用した遊技システムは，基本的にはカード会社が発行したセキュリティ情報や有価価値情報が記録されたカード等の情報媒体を遊技者が購入し，購入したカードを遊技媒体貸出装置に装着して遊技者が玉貸し操作を行うと，カードに記録された有価価値情報を所定の交換レートに従ってパチンコ玉等の遊技媒体に変換して排出する一方で，排出した遊技媒体に相当する金額の売掛金をカード会社に請求する様になされている。
【０００３】
この様なプリペイド方式のカードを使用した装置の場合，偽造カードや改竄カード等を使用した不正行為が横行しており，社会問題化していることは周知の通りであり，この様な不正行為を防止する為にカード側に各種のセキュリティ情報を持たせている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ところで，偽造カード等が使用された場合であっても，遊技店からカード会社への売掛金の請求は通常通りになされるので，偽造カード等を使用した不正行為の場合には，遊技店側は一切被害を受けず，カード会社のみが一方的に被害を受けるという特殊性があるため，偽造カードの防止に関する遊技店側の関心は低く，寧ろカードの偽造や改竄を行っている犯罪組織に対して遊技媒体貸出装置やプログラムを内蔵したメモリチップを横流し或いは貸与し，遊技媒体貸出装置側のプログラムの漏泄によって各種のセキュリティ情報を入手する犯罪行為に対して荷担する遊技店も存在している。この為，カード会社は偽造カードや改竄カードによる被害を防止する為に定期的に貸出制御用のプログラムを交換する必要に迫られている。しかしながら，遊技媒体貸出装置はカード式遊技機毎に併設されるものであるのでその設置台数が極めて多く，プログラムを内蔵したメモリチップの交換を定期的に行うことは多大の負担を必要とするという問題が生じている。本発明はこの様な問題点に鑑みてなされたものであり，プログラムの漏泄による不正行為を防止できるとともに，プログラムの定期的な更新を容易に行える様にした遊技媒体貸出装置を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為，本発明の遊技媒体貸出装置は：少なくとも，セキュリティ情報，有価価値情報が記録されている情報媒体（例えば，後述の実施例におけるカード１４）が装着されることにより，該情報媒体に記録されている情報を読み込み遊技者の操作に基づいて遊技媒体の貸出制御を行うとともに遊技媒体の貸出制御に伴って発生する遊技媒体貸出情報を上位装置（例えば後述の実施例における情報処理装置２１や情報処理装置２５）に伝達する遊技媒体貸出装置（例えば後述の実施例におけるカード式玉貸装置１）を前提として：前記上位装置との間で通信を行う通信手段（例えば後述の実施例における一次中継機２２，二次中継機２３，通信制御装置３０）と：少なくとも一部にＲＯＭ領域（後述の実施例におけるＲＯＭ３５）を含み，該ＲＯＭ領域及び該ＲＯＭ領域以外の領域（例えば後述の実施例におけるフラッシュメモリ（ＥＥＰＲＯＭ）３４やＲＡＭ３６）に渡って前記遊技媒体貸出装置の動作制御をする為の更新不能部分及び更新可能部分を含む貸出プログラムを格納するメモリ手段（例えば後述の実施例におけるフラッシュメモリ３４，ＲＯＭ３５，ＲＡＭ３６）と：前記貸出プログラム中の前記ＲＯＭ領域に格納された更新不能部分に従って作動し，前記上位装置より前記通信手段を介して与えられたプログラム更新指令に基づいて，前記貸出プログラム中の更新可能部分を前記上位装置より前記通信手段を介して前記メモリ手段中の前記ＲＯＭ領域以外の領域に格納する更新プログラム取込手段（例えば後述の実施例におけるＣＰＵ３７）と：前記メモリ手段に格納された貸出プログラムを実行して遊技媒体の貸出制御を行う貸出制御実行手段（例えば後述の実施例におけるＣＰＵ３７）とを具備することを特徴としている。又，本発明の遊技媒体貸出装置は上記を前提として：前記メモリ手段中の前記ＲＯＭ領域以外の部分は不揮発性メモリ領域（フラッシュメモリ（ＥＥＰＲＯＭ）３４）と揮発性メモリ領域（ＲＡＭ３６）とを含み，前記貸出制御制御手段は，前記不揮発性メモリ領域に記憶された貸出プログラムを前記揮発性メモリ領域に転送して，転送された貸出プログラムを順次実行して遊技媒体の貸出制御を行うことを特徴とする。
又，本発明の遊技媒体貸出装置は：少なくとも，セキュリティ情報，有価価値情報が記録されている情報媒体が装着されることにより，該情報媒体に記録されている情報を読み込み遊技者の操作に基づいて遊技媒体の貸出制御を行うとともに遊技媒体の貸出制御に伴って発生する遊技媒体貸出情報を上位装置に伝達する遊技媒体貸出装置を前提として：前記上位装置との間で通信を行う通信手段と：少なくとも一部にＲＯＭ領域を含み，該ＲＯＭ領域及び該ＲＯＭ領域以外の領域に渡って前記遊技媒体貸出装置の動作制御をする為の更新不能部分及び更新可能部分を含む貸出プログラムを格納するメモリ手段であって該ＲＯＭ領域以外の領域は書き換えが可能な揮発性メモリ領域を少なくとも含むメモリ手段と：前記貸出プログラム中の前記ＲＯＭ領域に格納された更新不能部分に従って作動し，前記上位装置より前記通信手段を介して与えられたプログラム更新指令に基づいて，前記貸出プログラム中の更新可能部分を前記上位装置から前記通信手段を介して前記メモリ手段中の前記揮発性メモリ手段に格納する更新プログラム取込手段と： 前記メモリ手段に格納された貸出プログラムを実行して遊技媒体の貸出制御を行う貸出制御実行手段とを具備することを特徴とする。又，本発明の遊技媒体貸出装置は：上記を前提として：前記通信手段は，前記遊技媒体の貸出制御に伴って発生する遊技媒体貸出情報を含む情報の通信を行い，前記遊技媒体貸出情報を収集するための通信チャネルと，前記貸出プログラム更新用の通信チャネルとを兼用していることを特徴とする。又，本発明の遊技媒体貸出装置は：上記を前提として：前記貸出プログラムの更新可能部分には情報媒体のフォーマット形式を示すフォーマット情報が含まれることを特徴としている。又，本発明の遊技媒体貸出装置は上記を前提として：前記貸出プログラム中の更新可能部分には情報媒体の真偽を示すセキュリティ情報が含まれることを特徴とする。更に，本発明の遊技媒体貸出装置は：上記を前提として：前記貸出プログラム中の更新可能部分には前記情報媒体に記録されている有価価値情報を前記遊技媒体に変換する際の変換レートが含まれることを特徴とする。
【０００６】
即ち，本発明の遊技媒体貸出装置の場合，貸出制御プログラムを貸出制御実行手段が実行することにより遊技媒体の貸出処理がなされる。この貸出制御プログラムは一部にＲＯＭ領域を含むメモリ手段中に格納されているが，この貸出制御プログラムは更新可能部分と更新不能部分によりなり，更新プログラム取込手段は貸出プログラム中の上記ＲＯＭ領域に格納された更新不能部分に従って作動して外部より与えられたプログラム更新指令に基づいて，貸出プログラム中の更新可能部分を外部から前記ＲＯＭ領域以外の領域に取り込む。従って，メモリチップの交換無しに外部から更新指令を与えることによって貸出プログラムの内容を変更することが可能となるので，貸出プログラムの漏泄に対しても容易に対策をとることが可能となる。又，遊技媒体貸出装置は一般にカード会社に対する売掛金の計算等を行う為に貸出玉数等の遊技媒体貸出情報を上位装置に伝達する為の通信手段を備えており，この通信手段を使用してプログラム更新指令やプログラム中の更新可能部分を伝送する様にすれば，遊技店の開店時等に一斉にプログラム更新指令を発することによりプログラムの取込更新が極めて簡便に行うことが可能となる。しかも，遊技媒体貸出装置の納品時には貸出制御プログラム中の更新不能部分のみをメモリチップ上に格納しておき，更新可能部分に関しては営業開始に際して取り込む様にすることも可能となるので，搬入中の遊技媒体貸出装置が盗難にあっても貸出プログラムの漏泄は防止される。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の望ましい実施の形態を詳細に説明する。先ず，図１は本発明の実施例に係るカード式遊技機の一例であるカード式パチンコ遊技機及び遊技媒体貸出装置の一例であるカード式玉貸装置の外観を示す斜視図であり，図２は裏機構を示す機構図である。その外観から説明すると，カード式玉貸装置１とカード式パチンコ遊技機２とは一対一で島設備内に隣接して設けられる。カード式玉貸装置１の前面には島設備間通路に向けて開口を有するカード挿入口３が設けられる。又，カード式パチンコ遊技機２の上皿４には装着されたカード内に記録されている有価価値情報に対応したカード残高を表示する為のカード残高表示器５，玉貸操作をする為の玉貸スイッチ６，玉貸動作が可能なことを表示する玉貸可能ＬＥＤ７，カードの返却操作をする為のカード返却スイッチ８が設けられる。又，カード式パチンコ遊技機２の裏面上部にはパチンコ球を蓄積する玉タンク９が設けられ，この玉タンク９に蓄積されたパチンコ球は排出樋１０を介して排出樋１０内に配置された図外の排出装置に至る。この図外の排出装置は，排出制御装置１１により制御されて所定数のパチンコ球を計数排出する様になされており，排出装置より排出された所定数のパチンコ球が上皿４の玉排出口１２に至る様に樋により連絡さている。排出制御装置１１はケーブル１３を介してカード式玉貸装置１側の後述の制御システムと接続されており，カード式玉貸装置１側からケーブル１３を介して排出指令が加えられるとパチンコ遊技に伴う賞品球の排出処理と同様にして所定数のパチンコ球が玉排出口１２から上皿４に排出される。
【０００８】
次に，本実施例は無線伝送方式の光ＬＡＮを使用したプリペイドシステムを想定しており，無線伝送方式の光ＬＡＮを使用した店内システムの構成例を図３に示す。１及び２は各々既述のカード式玉貸装置１および，カード式パチンコ遊技機２を示しており，プリペイド式のカード１４はカード発行機１５によって発行されてカード式玉貸装置１に装着される。各カード式パチンコ遊技機２は，玉計数用のジェットカウンタ装置１６や景品交換用のＰＯＳシステム１７と共に有線伝送路１８を介してパチンコホール１９の店内集中管理用の管理装置２０と接続されている。次に２１はカード式玉貸装置１やカード発行機１５を光ＬＡＮを使用して管理する情報処理装置であり，情報処理装置２１は遊技店内の天井付近に赤外線送受信器を有し，一次中継機２２及び二次中継機２３を介して，カード発行機１５やカード式玉貸装置１との間で光チャネルを構成する。一次中継機２２は遊技店の天井付近に２次中継機２３が送受信視野に収まる様に複数個設けられ，情報処理装置２１と二次中継機２３との間の光伝送を行う。二次中継機２３も遊技店の天井付近にカード式玉貸装置１やカード発行機１５が送受信視野に収まる様に設けられ，１次中継機２２とカード式玉貸装置１やカード発行機１５との間の光伝送を行う。従って，カード式玉貸装置１やカード発行機１５の上端部分には図１に示す様に二次中継機２３との間で光伝送を行う為の光送受信器２４が設けられる。又，２５はカード会社２６側の情報処理装置であり，電話回線２７を介してパチンコホール１９側の情報処理装置２１と接続されている。
【０００９】
次に，図４はカード式玉貸装置のブロック図であり，３０は既述の一次中継機２２，二次中継機２３，光送受信器２４からなる光チャネル３１を介して二次中継機２３と接続されており，上位装置（本実施例では図３に示す情報処理装置２１）との間でデータの送受信の制御を行う。通信制御装置３０は上位装置から受信したデータを一時的に格納する受信領域３０ａ及び上位装置に対して送信するデータを一次的に格納する送信領域３０ｂを有している。３２は装着されたカード１４の読み書きを行うカード読み書き制御装置である。又，３４は電気的な書き換えが可能な不揮発性メモリの一例であるフラッシュメモリで有り，フラッシュメモリ３４には貸出プログラム中の更新可能部分が記憶される。３５は貸出プログラム中の少なくとも更新不能部分を記憶するＲＯＭ，３６はＲＡＭであり，ＲＡＭ３６は受信領域３０ａに格納された受信データを記憶する受信メモリ３６ａ及び送信領域３０ｂに格納する送信データを記憶する送信メモリ３６ｂを含む。又，３７は全体の制御動作を行うＣＰＵ，３８はクロック発生器，３９は入出力インタフェースを各々示す。又，２，８，５，６，７，１１は各々既述のカード式パチンコ遊技機２，カード残高表示器５，玉貸スイッチ６，玉貸可能ＬＥＤ７，カード返却スイッチ８，排出制御装置１１を示す。
【００１０】
次に，上記事項並びに図５及び図６に示すフローチャートを参照して上記実施例の動作を説明する。尚，図５はカード式玉貸装置の通常動作のフローチャート，図６は上位装置から加えられた通信割り込みに応答する割り込み処理のフローチャートを各々示す。
【００１１】
先ず，パチンコホール１９の開店に先行してシステム電源が投入されると，各カード式玉貸装置１のＣＰＵ３７は情報処理装置２１から開店指令を受信するのを待つ。より詳細には情報処理装置２１が発生する開店指令コマンドは赤外線通信により一次中継機２２に送信され，一次中継機２２はこの開店指令コマンドを二次中継機２３に伝送し，各二次中継機はこの開店指令コマンドを各カード式玉貸装置の光送受信器２４に伝送し，この開店コマンドは各カード式玉貸装置１の通信制御装置３０内の受信領域３０ａに格納される。通信制御装置３０はこの様にして上位装置からコマンドを受け付けるとＣＰＵ３７に割り込み要求を発生し，ＣＰＵ３７は割り込み処理を実行する。本実施例は各カード式玉貸装置と上位装置（情報処理装置２１）との間の通信は全て共通の割り込み処理プログラムによって処理する様にした例を図６に示しているが，開店コマンドに対して上位装置側に送出するデータはないので，ＣＰＵ３７は通信制御装置３０の受信領域３０ａに格納されたデータ（この場合には開店コマンド）をＲＡＭ３６中の受信メモリ３６ａに取り込んだ後にＲＡＭ３６中の送信メモリ３６ｂにＡＣＫ（往信）を設定し，この送信メモリ３６ｂに設定されたＡＣＫを通信制御装置３０の送信領域３０ｂに転送する。そして，通信制御３０は送信領域３０ｂに格納されたＡＣＫを上述の光チャネル３１を介して情報処理装置２１に伝送する。
【００１２】
さて，この様にして開店コマンドを受け付けるとＣＰＵ３７は貸出プログラム中の更新可能部分の内容の更新を指令するプログラム変更指令の有無を見る。プログラムの変更動作は必ずしも毎開店時に行うべきものではないが，ここではプログラム変更がなされるものとして説明を行う。
【００１３】
プログラム変更は例えばカード会社２６側の情報処理装置から電話回線２７を介してパチンコホール１９側の情報処理装置２１に伝送されても良いし，或いはカード会社側で作成したマスタディスクやマスタカードなどをパチンコホール１９側の情報処理装置２１で読み取っても良い。いずれにしてもプログラムの変更を行う場合には情報処理装置２１は一次中継機２２，二次中継機２３，光送受信器２４からなる光チャネル３１を介して「プログラム変更コマンド」，「貸出プログラム中の更新可能部分の内容をなすプログラム」，及び「プログラム終了コード」を通信制御装置３０の受信領域３０ａの容量で決定される１伝送単位毎に送出することにより行われる。
【００１４】
先ず，情報処理装置２１から送出されたプログラム変更コマンドは通信制御装置３０内の受信領域３０ａに格納され，通信制御装置３０はＣＰＵ３７に対して通信割り込みをかける。呼応してＣＰＵ３７は受信領域３０ａに格納された送信コマンドをＲＡＭ３６中の受信メモリ３６ａに取り込み，ＲＡＭ３６中の送信メモリ３６ｂにＡＣＫを設定した後に送信メモリ３６ｂに設定されたＡＣＫを通信制御装置３０の送信領域３０ｂに転送して，メインルーチンに復帰する。一方，通信制御装置３０は送信領域３０ｂに格納されたＡＣＫを上述の光チャネル３１を介して情報処理装置２１に伝送する。情報処理装置２１はプログラム変更コマンドに対するＡＣＫを受け付けると，貸出プログラム中の更新可能部分の内容をなすプログラムを１伝送単位宛送出し，１伝送単位のプログラムは上記と同様にしてＲＡＭ３６中の受信メモリ３６ｂに取り込まれ，この取り込み動作毎にＣＰＵ３７は情報処理装置２１に対してＡＣＫを送出してメインルーチンに復帰する。このメインルーチンにおいて，ＣＰＵ３７は受信メモリ３６ａに上記の様にして１伝送単位毎に取り込まれた更新可能部分の内容をなすプログラムをフラッシュメモリ３４に書き込んだ後に受信メモリ３６ａをクリアする。情報処理装置２１はカード式遊技媒体貸出装置１から上記の様にしてＡＣＫが送られる毎に貸出プログラム中の更新可能部分の内容をなすプログラムを順次送出し，一連のプログラムの送出が完了するとプログラム終了コードを送出する。
【００１５】
一方，ＣＰＵ３７はプログラム終了コードを受信する迄は１伝送単位毎に情報処理装置２１から送出される更新プログラムを１伝送単位毎に上記の様にしてフラッシュメモリ３４に取り込むので，ＲＡＭ３６中の受信メモリ３６ａにプログラム終了コードが取り込まれた時点ではフラッシュメモリ３４には貸出プログラム中の更新可能部分が全て取り込まれていることになり，ＣＰＵ３７はプログラム終了コードの受付をもってプログラムの変更処理を終了する。尚，この様にして変更される更新可能部分には全プログラム中の「初期化処理を行う部分」及び「通信割り込みを行う部分」及び「プログラムの更新処理を行う部分」を除外した部分の全てを含ませることができるが，カードの改竄や偽造等を防止する為には，更新可能部分には少なくとも情報媒体のフォーマット形式を示すフォーマット情報や情報媒体の真偽を示すセキュリティ情報が含まれることが望ましい。
【００１６】
さて，カードを使用した遊技媒体貸出装置の場合には，カード内には例えば遊技度数等の有価価値情報が記録されており，遊技媒体の貸出処理に際してはこの有価価値情報を所定のレートに従って遊技媒体に変換する。そして，この貸出レートは頻繁に変更されるものではないが，必ずしも固定的なものでもない。そこで，本実施例ではプログラム変更処理と同様にして貸出レートの変更を行うことを可能としている。貸出レートを変更する場合には，情報処理装置２１は一次中継機２２，二次中継機２３，光送受信器２４からなる光チャネル３１を介してレート変更コマンド及び変更後のレートをカード式玉貸装置１の通信制御装置３０に順次送出し，カード式玉貸装置１のＣＰＵ３７はＡＣＫを送り返しながら，貸出レートをＲＡＭ３６の受信メモリ３６ｂに取り込む，そして，受信メモリ３６ｂに取り込まれた貸出レートをフラッシュメモリ３４に書き込む。
【００１７】
この様にしてプログラムの変更やレート変更がなされた後にフラッシュメモリ３４に記憶されたプログラムはＲＡＭ３６に転送され，ＣＰＵ３７はＲＡＭ３６に転送されたプログラムを順次実行しながら以下の様な玉貸処理を行う。尚，玉貸処理自体は本発明の主題とは異なるので概説に留める。先ず，カード挿入口３に挿入されたカード１４は貸出プログラム中の更新可能部分に含まれるフォーマット情報に従って読み取り処理がなされる。従って，この時フォーマット情報が異なっていると読み取り処理自体が不能となり，カードの強制排出や没収がなされる。一方，フォーマット形式が正しい場合にはカード側のセキュリティ情報や遊技度数等の有価価値情報がカード読み書き制御装置３２によって読み取られ，これらのデータはＲＡＭ３６のワークエリアに書き込まれる。そして，セキュリティ情報の照合が正常に行われる。遊技度数に対応したカード残高がカード残高表示装置５に表示されるとともに玉貸可能ＬＥＤ７が点灯する。
【００１８】
遊技客が玉貸スイッチ６を操作すると貸出レートに応じた数の貸出数情報を排出制御装置１１に送信し，排出制御装置１１は受信した貸出数情報に基づいて図外の排出装置を制御して上皿４にパチンコ球を排出する。又，ＣＰＵ３７はカード読み書き制御装置３２を使用して排出した玉数に応じてカード１４側の有価価値情報を減算記録する。又，この時パチンコ球の排出処理に伴ってカード会社に対しては売掛金が発生するので，この売掛金或いは売掛金に相当する数値をＲＡＭ３６の送信メモリ３６ｂに設定する。そしてこの様にして送信メモリ３６ｂに売掛金が設定されると，情報処理装置２１からデータ収集の為に通信割り込みが加えられた時にこの売掛金データは通信制御装置３０の送信領域に転送され，光チャネル３１を介して情報処理装置２１に転送される。即ち，本実施例では遊技媒体の貸出制御に伴って発生する売掛金等の遊技媒体貸出情報を収集する為のデータ収集用の通信チャネルをプログラムの更新用のチャネルとして兼用している。遊技客による遊技が終了して，カード返却スイッチ８が操作されると，ＣＰＵ３７はカード読み書き制御装置３２を使用してカード１４の排出処理を行い客待ち状態になる。
【００１９】
尚，上記においては，貸出プログラム中の更新可能部分をフラッシュメモリ３４に取り込んだ後にＲＡＭ領域３６にコピーして実行する様にした例を示した。これは更新可能部分は必ずしも毎日更新されるべき性質のものではないので，電源バックアップを不要としながら十分な動作速度を確保する為の措置として採用されたが，営業時間外におけるバックアップ電源を確保すれば，或いは毎日の開店毎に情報処理装置２１側から更新可能部分を転送する様にすれば，フラッシュメモリを使用せずにＲＡＭ領域に直接格納する様にすることも可能である。又，データの転送処理を光ＬＡＮを使用して行う様にしたが，有線伝送ラインを使用できることはいうまでもない。又，上記ではカード式のパチンコ遊技機にパチンコ球を貸し出す装置に本発明を適用した例を示したが，いわゆるプリペイドカードを使用した遊技媒体貸出装置であれば本発明を広く適用できることはいうまでもない。
【００２０】
【発明の効果】
以上説明した様に，本発明によれば，セキュリティ維持の為に行うことを余儀なくされていたプログラムチップの定期交換等の多大なコストや労力を要する作業をソフトウェアの外部からの更新指令のみによって簡単且つ低コストに行うことが可能となり，この更新周期を変則的且つ短期間のものとすることが可能となるのでカードの偽造や改竄という不正行為を行い難くすることが可能となる。特に，上位装置との間で通信を行う通信手段を介してプログラム中の更新可能部分を変更する様にすれば，プログラムの変更処理に伴う作業量を大幅に短縮することが可能となり，更に，この通信手段として，遊技媒体の貸出制御に伴って発生する遊技媒体貸出情報を上位装置に伝達する為の通信手段を兼用する様にすれば，通信回線の増設も必要とせず，既存の設備を有効利用してセキュリティ機能を高めることが可能となる。又，本発明によれば，遊技媒体の貸出装置を出荷する際には貸出プログラム中の更新不能部分のみをＲＯＭ化しておき，更新可能部分に関してはシステム稼働時に初めてロードする様にすることが可能となるので，たとえ遊技媒体貸出装置の納品に際して装置の盗難等が発生しても重要なプログラムが漏泄する虞がなくなり，大規模な偽造組織に対する情報の供給源を遮断することが可能となる。又，貸出プログラム中の更新可能部分をＲＡＭ内に蓄積する様にした実施例の場合であれば，閉店時間中にチップの盗難等が発生しても，更新可能部分が瞬時に消滅するで，プログラムの漏泄は防止される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明を適用したカード式パチンコ遊技機及びパチンコ球貸出装置の外観構成を示す斜視図。
【図２】図１に示す装置の裏機構を示す機構図。
【図３】遊技ホール及びカード会社全体のブロック図。
【図４】本発明の実施例に係る遊技媒体貸出装置及びカード式遊技機の制御システム例を示すブロック図。
【図５】本発明の実施例に係る遊技媒体貸出装置の制御動作のフローチャート。
【図６】本発明の遊技媒体貸出装置に対して上位装置から通信割り込みが加えられた際の割り込み処理のフローチャート。
【符号の説明】
１ カード式玉装置
２ カード式パチンコ遊技機
５ カード残高表示器
６ 玉貸スイッチ
７ 玉貸可能ＬＥＤ
８ カード返却スイッチ
１１ 排出制御装置
１２ 玉排出口
１４ カード
２１ 情報処理装置
２２ 一次中継機
２３ 二次中継機
２４ 光送受信器
３０ 通信制御装置
３０ａ 受信領域
３０ｂ 送信領域
３４ フラッシュメモリ
３５ ＲＯＭ
３６ ＲＡＭ
３６ａ 受信メモリ
３６ｂ 送信メモリ
３７ ＣＰＵ
【発明の属する技術分野】
本発明は，セキュリティ情報，有価価値情報が記録されている例えば磁気カード等の情報媒体が装着されることにより，該情報媒体に記録されている情報を読み込み遊技者の操作に基づいて例えばパチンコ玉等の遊技媒体の貸出制御を行う遊技媒体貸出装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
現在，有価価値情報が記録された情報媒体の一例としてプリペイド式の磁気カードを使用し，カードの装着に基づいてパチンコ玉等の遊技媒体を貸し出す様にした遊技媒体貸出装置が広く普及し，遊技者の便宜に供されている。この様なカードを使用した遊技媒体貸出装置を使用した遊技システムは，基本的にはカード会社が発行したセキュリティ情報や有価価値情報が記録されたカード等の情報媒体を遊技者が購入し，購入したカードを遊技媒体貸出装置に装着して遊技者が玉貸し操作を行うと，カードに記録された有価価値情報を所定の交換レートに従ってパチンコ玉等の遊技媒体に変換して排出する一方で，排出した遊技媒体に相当する金額の売掛金をカード会社に請求する様になされている。
【０００３】
この様なプリペイド方式のカードを使用した装置の場合，偽造カードや改竄カード等を使用した不正行為が横行しており，社会問題化していることは周知の通りであり，この様な不正行為を防止する為にカード側に各種のセキュリティ情報を持たせている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ところで，偽造カード等が使用された場合であっても，遊技店からカード会社への売掛金の請求は通常通りになされるので，偽造カード等を使用した不正行為の場合には，遊技店側は一切被害を受けず，カード会社のみが一方的に被害を受けるという特殊性があるため，偽造カードの防止に関する遊技店側の関心は低く，寧ろカードの偽造や改竄を行っている犯罪組織に対して遊技媒体貸出装置やプログラムを内蔵したメモリチップを横流し或いは貸与し，遊技媒体貸出装置側のプログラムの漏泄によって各種のセキュリティ情報を入手する犯罪行為に対して荷担する遊技店も存在している。この為，カード会社は偽造カードや改竄カードによる被害を防止する為に定期的に貸出制御用のプログラムを交換する必要に迫られている。しかしながら，遊技媒体貸出装置はカード式遊技機毎に併設されるものであるのでその設置台数が極めて多く，プログラムを内蔵したメモリチップの交換を定期的に行うことは多大の負担を必要とするという問題が生じている。本発明はこの様な問題点に鑑みてなされたものであり，プログラムの漏泄による不正行為を防止できるとともに，プログラムの定期的な更新を容易に行える様にした遊技媒体貸出装置を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為，本発明の遊技媒体貸出装置は：少なくとも，セキュリティ情報，有価価値情報が記録されている情報媒体（例えば，後述の実施例におけるカード１４）が装着されることにより，該情報媒体に記録されている情報を読み込み遊技者の操作に基づいて遊技媒体の貸出制御を行うとともに遊技媒体の貸出制御に伴って発生する遊技媒体貸出情報を上位装置（例えば後述の実施例における情報処理装置２１や情報処理装置２５）に伝達する遊技媒体貸出装置（例えば後述の実施例におけるカード式玉貸装置１）を前提として：前記上位装置との間で通信を行う通信手段（例えば後述の実施例における一次中継機２２，二次中継機２３，通信制御装置３０）と：少なくとも一部にＲＯＭ領域（後述の実施例におけるＲＯＭ３５）を含み，該ＲＯＭ領域及び該ＲＯＭ領域以外の領域（例えば後述の実施例におけるフラッシュメモリ（ＥＥＰＲＯＭ）３４やＲＡＭ３６）に渡って前記遊技媒体貸出装置の動作制御をする為の更新不能部分及び更新可能部分を含む貸出プログラムを格納するメモリ手段（例えば後述の実施例におけるフラッシュメモリ３４，ＲＯＭ３５，ＲＡＭ３６）と：前記貸出プログラム中の前記ＲＯＭ領域に格納された更新不能部分に従って作動し，前記上位装置より前記通信手段を介して与えられたプログラム更新指令に基づいて，前記貸出プログラム中の更新可能部分を前記上位装置より前記通信手段を介して前記メモリ手段中の前記ＲＯＭ領域以外の領域に格納する更新プログラム取込手段（例えば後述の実施例におけるＣＰＵ３７）と：前記メモリ手段に格納された貸出プログラムを実行して遊技媒体の貸出制御を行う貸出制御実行手段（例えば後述の実施例におけるＣＰＵ３７）とを具備することを特徴としている。又，本発明の遊技媒体貸出装置は上記を前提として：前記メモリ手段中の前記ＲＯＭ領域以外の部分は不揮発性メモリ領域（フラッシュメモリ（ＥＥＰＲＯＭ）３４）と揮発性メモリ領域（ＲＡＭ３６）とを含み，前記貸出制御制御手段は，前記不揮発性メモリ領域に記憶された貸出プログラムを前記揮発性メモリ領域に転送して，転送された貸出プログラムを順次実行して遊技媒体の貸出制御を行うことを特徴とする。
又，本発明の遊技媒体貸出装置は：少なくとも，セキュリティ情報，有価価値情報が記録されている情報媒体が装着されることにより，該情報媒体に記録されている情報を読み込み遊技者の操作に基づいて遊技媒体の貸出制御を行うとともに遊技媒体の貸出制御に伴って発生する遊技媒体貸出情報を上位装置に伝達する遊技媒体貸出装置を前提として：前記上位装置との間で通信を行う通信手段と：少なくとも一部にＲＯＭ領域を含み，該ＲＯＭ領域及び該ＲＯＭ領域以外の領域に渡って前記遊技媒体貸出装置の動作制御をする為の更新不能部分及び更新可能部分を含む貸出プログラムを格納するメモリ手段であって該ＲＯＭ領域以外の領域は書き換えが可能な揮発性メモリ領域を少なくとも含むメモリ手段と：前記貸出プログラム中の前記ＲＯＭ領域に格納された更新不能部分に従って作動し，前記上位装置より前記通信手段を介して与えられたプログラム更新指令に基づいて，前記貸出プログラム中の更新可能部分を前記上位装置から前記通信手段を介して前記メモリ手段中の前記揮発性メモリ手段に格納する更新プログラム取込手段と： 前記メモリ手段に格納された貸出プログラムを実行して遊技媒体の貸出制御を行う貸出制御実行手段とを具備することを特徴とする。又，本発明の遊技媒体貸出装置は：上記を前提として：前記通信手段は，前記遊技媒体の貸出制御に伴って発生する遊技媒体貸出情報を含む情報の通信を行い，前記遊技媒体貸出情報を収集するための通信チャネルと，前記貸出プログラム更新用の通信チャネルとを兼用していることを特徴とする。又，本発明の遊技媒体貸出装置は：上記を前提として：前記貸出プログラムの更新可能部分には情報媒体のフォーマット形式を示すフォーマット情報が含まれることを特徴としている。又，本発明の遊技媒体貸出装置は上記を前提として：前記貸出プログラム中の更新可能部分には情報媒体の真偽を示すセキュリティ情報が含まれることを特徴とする。更に，本発明の遊技媒体貸出装置は：上記を前提として：前記貸出プログラム中の更新可能部分には前記情報媒体に記録されている有価価値情報を前記遊技媒体に変換する際の変換レートが含まれることを特徴とする。
【０００６】
即ち，本発明の遊技媒体貸出装置の場合，貸出制御プログラムを貸出制御実行手段が実行することにより遊技媒体の貸出処理がなされる。この貸出制御プログラムは一部にＲＯＭ領域を含むメモリ手段中に格納されているが，この貸出制御プログラムは更新可能部分と更新不能部分によりなり，更新プログラム取込手段は貸出プログラム中の上記ＲＯＭ領域に格納された更新不能部分に従って作動して外部より与えられたプログラム更新指令に基づいて，貸出プログラム中の更新可能部分を外部から前記ＲＯＭ領域以外の領域に取り込む。従って，メモリチップの交換無しに外部から更新指令を与えることによって貸出プログラムの内容を変更することが可能となるので，貸出プログラムの漏泄に対しても容易に対策をとることが可能となる。又，遊技媒体貸出装置は一般にカード会社に対する売掛金の計算等を行う為に貸出玉数等の遊技媒体貸出情報を上位装置に伝達する為の通信手段を備えており，この通信手段を使用してプログラム更新指令やプログラム中の更新可能部分を伝送する様にすれば，遊技店の開店時等に一斉にプログラム更新指令を発することによりプログラムの取込更新が極めて簡便に行うことが可能となる。しかも，遊技媒体貸出装置の納品時には貸出制御プログラム中の更新不能部分のみをメモリチップ上に格納しておき，更新可能部分に関しては営業開始に際して取り込む様にすることも可能となるので，搬入中の遊技媒体貸出装置が盗難にあっても貸出プログラムの漏泄は防止される。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の望ましい実施の形態を詳細に説明する。先ず，図１は本発明の実施例に係るカード式遊技機の一例であるカード式パチンコ遊技機及び遊技媒体貸出装置の一例であるカード式玉貸装置の外観を示す斜視図であり，図２は裏機構を示す機構図である。その外観から説明すると，カード式玉貸装置１とカード式パチンコ遊技機２とは一対一で島設備内に隣接して設けられる。カード式玉貸装置１の前面には島設備間通路に向けて開口を有するカード挿入口３が設けられる。又，カード式パチンコ遊技機２の上皿４には装着されたカード内に記録されている有価価値情報に対応したカード残高を表示する為のカード残高表示器５，玉貸操作をする為の玉貸スイッチ６，玉貸動作が可能なことを表示する玉貸可能ＬＥＤ７，カードの返却操作をする為のカード返却スイッチ８が設けられる。又，カード式パチンコ遊技機２の裏面上部にはパチンコ球を蓄積する玉タンク９が設けられ，この玉タンク９に蓄積されたパチンコ球は排出樋１０を介して排出樋１０内に配置された図外の排出装置に至る。この図外の排出装置は，排出制御装置１１により制御されて所定数のパチンコ球を計数排出する様になされており，排出装置より排出された所定数のパチンコ球が上皿４の玉排出口１２に至る様に樋により連絡さている。排出制御装置１１はケーブル１３を介してカード式玉貸装置１側の後述の制御システムと接続されており，カード式玉貸装置１側からケーブル１３を介して排出指令が加えられるとパチンコ遊技に伴う賞品球の排出処理と同様にして所定数のパチンコ球が玉排出口１２から上皿４に排出される。
【０００８】
次に，本実施例は無線伝送方式の光ＬＡＮを使用したプリペイドシステムを想定しており，無線伝送方式の光ＬＡＮを使用した店内システムの構成例を図３に示す。１及び２は各々既述のカード式玉貸装置１および，カード式パチンコ遊技機２を示しており，プリペイド式のカード１４はカード発行機１５によって発行されてカード式玉貸装置１に装着される。各カード式パチンコ遊技機２は，玉計数用のジェットカウンタ装置１６や景品交換用のＰＯＳシステム１７と共に有線伝送路１８を介してパチンコホール１９の店内集中管理用の管理装置２０と接続されている。次に２１はカード式玉貸装置１やカード発行機１５を光ＬＡＮを使用して管理する情報処理装置であり，情報処理装置２１は遊技店内の天井付近に赤外線送受信器を有し，一次中継機２２及び二次中継機２３を介して，カード発行機１５やカード式玉貸装置１との間で光チャネルを構成する。一次中継機２２は遊技店の天井付近に２次中継機２３が送受信視野に収まる様に複数個設けられ，情報処理装置２１と二次中継機２３との間の光伝送を行う。二次中継機２３も遊技店の天井付近にカード式玉貸装置１やカード発行機１５が送受信視野に収まる様に設けられ，１次中継機２２とカード式玉貸装置１やカード発行機１５との間の光伝送を行う。従って，カード式玉貸装置１やカード発行機１５の上端部分には図１に示す様に二次中継機２３との間で光伝送を行う為の光送受信器２４が設けられる。又，２５はカード会社２６側の情報処理装置であり，電話回線２７を介してパチンコホール１９側の情報処理装置２１と接続されている。
【０００９】
次に，図４はカード式玉貸装置のブロック図であり，３０は既述の一次中継機２２，二次中継機２３，光送受信器２４からなる光チャネル３１を介して二次中継機２３と接続されており，上位装置（本実施例では図３に示す情報処理装置２１）との間でデータの送受信の制御を行う。通信制御装置３０は上位装置から受信したデータを一時的に格納する受信領域３０ａ及び上位装置に対して送信するデータを一次的に格納する送信領域３０ｂを有している。３２は装着されたカード１４の読み書きを行うカード読み書き制御装置である。又，３４は電気的な書き換えが可能な不揮発性メモリの一例であるフラッシュメモリで有り，フラッシュメモリ３４には貸出プログラム中の更新可能部分が記憶される。３５は貸出プログラム中の少なくとも更新不能部分を記憶するＲＯＭ，３６はＲＡＭであり，ＲＡＭ３６は受信領域３０ａに格納された受信データを記憶する受信メモリ３６ａ及び送信領域３０ｂに格納する送信データを記憶する送信メモリ３６ｂを含む。又，３７は全体の制御動作を行うＣＰＵ，３８はクロック発生器，３９は入出力インタフェースを各々示す。又，２，８，５，６，７，１１は各々既述のカード式パチンコ遊技機２，カード残高表示器５，玉貸スイッチ６，玉貸可能ＬＥＤ７，カード返却スイッチ８，排出制御装置１１を示す。
【００１０】
次に，上記事項並びに図５及び図６に示すフローチャートを参照して上記実施例の動作を説明する。尚，図５はカード式玉貸装置の通常動作のフローチャート，図６は上位装置から加えられた通信割り込みに応答する割り込み処理のフローチャートを各々示す。
【００１１】
先ず，パチンコホール１９の開店に先行してシステム電源が投入されると，各カード式玉貸装置１のＣＰＵ３７は情報処理装置２１から開店指令を受信するのを待つ。より詳細には情報処理装置２１が発生する開店指令コマンドは赤外線通信により一次中継機２２に送信され，一次中継機２２はこの開店指令コマンドを二次中継機２３に伝送し，各二次中継機はこの開店指令コマンドを各カード式玉貸装置の光送受信器２４に伝送し，この開店コマンドは各カード式玉貸装置１の通信制御装置３０内の受信領域３０ａに格納される。通信制御装置３０はこの様にして上位装置からコマンドを受け付けるとＣＰＵ３７に割り込み要求を発生し，ＣＰＵ３７は割り込み処理を実行する。本実施例は各カード式玉貸装置と上位装置（情報処理装置２１）との間の通信は全て共通の割り込み処理プログラムによって処理する様にした例を図６に示しているが，開店コマンドに対して上位装置側に送出するデータはないので，ＣＰＵ３７は通信制御装置３０の受信領域３０ａに格納されたデータ（この場合には開店コマンド）をＲＡＭ３６中の受信メモリ３６ａに取り込んだ後にＲＡＭ３６中の送信メモリ３６ｂにＡＣＫ（往信）を設定し，この送信メモリ３６ｂに設定されたＡＣＫを通信制御装置３０の送信領域３０ｂに転送する。そして，通信制御３０は送信領域３０ｂに格納されたＡＣＫを上述の光チャネル３１を介して情報処理装置２１に伝送する。
【００１２】
さて，この様にして開店コマンドを受け付けるとＣＰＵ３７は貸出プログラム中の更新可能部分の内容の更新を指令するプログラム変更指令の有無を見る。プログラムの変更動作は必ずしも毎開店時に行うべきものではないが，ここではプログラム変更がなされるものとして説明を行う。
【００１３】
プログラム変更は例えばカード会社２６側の情報処理装置から電話回線２７を介してパチンコホール１９側の情報処理装置２１に伝送されても良いし，或いはカード会社側で作成したマスタディスクやマスタカードなどをパチンコホール１９側の情報処理装置２１で読み取っても良い。いずれにしてもプログラムの変更を行う場合には情報処理装置２１は一次中継機２２，二次中継機２３，光送受信器２４からなる光チャネル３１を介して「プログラム変更コマンド」，「貸出プログラム中の更新可能部分の内容をなすプログラム」，及び「プログラム終了コード」を通信制御装置３０の受信領域３０ａの容量で決定される１伝送単位毎に送出することにより行われる。
【００１４】
先ず，情報処理装置２１から送出されたプログラム変更コマンドは通信制御装置３０内の受信領域３０ａに格納され，通信制御装置３０はＣＰＵ３７に対して通信割り込みをかける。呼応してＣＰＵ３７は受信領域３０ａに格納された送信コマンドをＲＡＭ３６中の受信メモリ３６ａに取り込み，ＲＡＭ３６中の送信メモリ３６ｂにＡＣＫを設定した後に送信メモリ３６ｂに設定されたＡＣＫを通信制御装置３０の送信領域３０ｂに転送して，メインルーチンに復帰する。一方，通信制御装置３０は送信領域３０ｂに格納されたＡＣＫを上述の光チャネル３１を介して情報処理装置２１に伝送する。情報処理装置２１はプログラム変更コマンドに対するＡＣＫを受け付けると，貸出プログラム中の更新可能部分の内容をなすプログラムを１伝送単位宛送出し，１伝送単位のプログラムは上記と同様にしてＲＡＭ３６中の受信メモリ３６ｂに取り込まれ，この取り込み動作毎にＣＰＵ３７は情報処理装置２１に対してＡＣＫを送出してメインルーチンに復帰する。このメインルーチンにおいて，ＣＰＵ３７は受信メモリ３６ａに上記の様にして１伝送単位毎に取り込まれた更新可能部分の内容をなすプログラムをフラッシュメモリ３４に書き込んだ後に受信メモリ３６ａをクリアする。情報処理装置２１はカード式遊技媒体貸出装置１から上記の様にしてＡＣＫが送られる毎に貸出プログラム中の更新可能部分の内容をなすプログラムを順次送出し，一連のプログラムの送出が完了するとプログラム終了コードを送出する。
【００１５】
一方，ＣＰＵ３７はプログラム終了コードを受信する迄は１伝送単位毎に情報処理装置２１から送出される更新プログラムを１伝送単位毎に上記の様にしてフラッシュメモリ３４に取り込むので，ＲＡＭ３６中の受信メモリ３６ａにプログラム終了コードが取り込まれた時点ではフラッシュメモリ３４には貸出プログラム中の更新可能部分が全て取り込まれていることになり，ＣＰＵ３７はプログラム終了コードの受付をもってプログラムの変更処理を終了する。尚，この様にして変更される更新可能部分には全プログラム中の「初期化処理を行う部分」及び「通信割り込みを行う部分」及び「プログラムの更新処理を行う部分」を除外した部分の全てを含ませることができるが，カードの改竄や偽造等を防止する為には，更新可能部分には少なくとも情報媒体のフォーマット形式を示すフォーマット情報や情報媒体の真偽を示すセキュリティ情報が含まれることが望ましい。
【００１６】
さて，カードを使用した遊技媒体貸出装置の場合には，カード内には例えば遊技度数等の有価価値情報が記録されており，遊技媒体の貸出処理に際してはこの有価価値情報を所定のレートに従って遊技媒体に変換する。そして，この貸出レートは頻繁に変更されるものではないが，必ずしも固定的なものでもない。そこで，本実施例ではプログラム変更処理と同様にして貸出レートの変更を行うことを可能としている。貸出レートを変更する場合には，情報処理装置２１は一次中継機２２，二次中継機２３，光送受信器２４からなる光チャネル３１を介してレート変更コマンド及び変更後のレートをカード式玉貸装置１の通信制御装置３０に順次送出し，カード式玉貸装置１のＣＰＵ３７はＡＣＫを送り返しながら，貸出レートをＲＡＭ３６の受信メモリ３６ｂに取り込む，そして，受信メモリ３６ｂに取り込まれた貸出レートをフラッシュメモリ３４に書き込む。
【００１７】
この様にしてプログラムの変更やレート変更がなされた後にフラッシュメモリ３４に記憶されたプログラムはＲＡＭ３６に転送され，ＣＰＵ３７はＲＡＭ３６に転送されたプログラムを順次実行しながら以下の様な玉貸処理を行う。尚，玉貸処理自体は本発明の主題とは異なるので概説に留める。先ず，カード挿入口３に挿入されたカード１４は貸出プログラム中の更新可能部分に含まれるフォーマット情報に従って読み取り処理がなされる。従って，この時フォーマット情報が異なっていると読み取り処理自体が不能となり，カードの強制排出や没収がなされる。一方，フォーマット形式が正しい場合にはカード側のセキュリティ情報や遊技度数等の有価価値情報がカード読み書き制御装置３２によって読み取られ，これらのデータはＲＡＭ３６のワークエリアに書き込まれる。そして，セキュリティ情報の照合が正常に行われる。遊技度数に対応したカード残高がカード残高表示装置５に表示されるとともに玉貸可能ＬＥＤ７が点灯する。
【００１８】
遊技客が玉貸スイッチ６を操作すると貸出レートに応じた数の貸出数情報を排出制御装置１１に送信し，排出制御装置１１は受信した貸出数情報に基づいて図外の排出装置を制御して上皿４にパチンコ球を排出する。又，ＣＰＵ３７はカード読み書き制御装置３２を使用して排出した玉数に応じてカード１４側の有価価値情報を減算記録する。又，この時パチンコ球の排出処理に伴ってカード会社に対しては売掛金が発生するので，この売掛金或いは売掛金に相当する数値をＲＡＭ３６の送信メモリ３６ｂに設定する。そしてこの様にして送信メモリ３６ｂに売掛金が設定されると，情報処理装置２１からデータ収集の為に通信割り込みが加えられた時にこの売掛金データは通信制御装置３０の送信領域に転送され，光チャネル３１を介して情報処理装置２１に転送される。即ち，本実施例では遊技媒体の貸出制御に伴って発生する売掛金等の遊技媒体貸出情報を収集する為のデータ収集用の通信チャネルをプログラムの更新用のチャネルとして兼用している。遊技客による遊技が終了して，カード返却スイッチ８が操作されると，ＣＰＵ３７はカード読み書き制御装置３２を使用してカード１４の排出処理を行い客待ち状態になる。
【００１９】
尚，上記においては，貸出プログラム中の更新可能部分をフラッシュメモリ３４に取り込んだ後にＲＡＭ領域３６にコピーして実行する様にした例を示した。これは更新可能部分は必ずしも毎日更新されるべき性質のものではないので，電源バックアップを不要としながら十分な動作速度を確保する為の措置として採用されたが，営業時間外におけるバックアップ電源を確保すれば，或いは毎日の開店毎に情報処理装置２１側から更新可能部分を転送する様にすれば，フラッシュメモリを使用せずにＲＡＭ領域に直接格納する様にすることも可能である。又，データの転送処理を光ＬＡＮを使用して行う様にしたが，有線伝送ラインを使用できることはいうまでもない。又，上記ではカード式のパチンコ遊技機にパチンコ球を貸し出す装置に本発明を適用した例を示したが，いわゆるプリペイドカードを使用した遊技媒体貸出装置であれば本発明を広く適用できることはいうまでもない。
【００２０】
【発明の効果】
以上説明した様に，本発明によれば，セキュリティ維持の為に行うことを余儀なくされていたプログラムチップの定期交換等の多大なコストや労力を要する作業をソフトウェアの外部からの更新指令のみによって簡単且つ低コストに行うことが可能となり，この更新周期を変則的且つ短期間のものとすることが可能となるのでカードの偽造や改竄という不正行為を行い難くすることが可能となる。特に，上位装置との間で通信を行う通信手段を介してプログラム中の更新可能部分を変更する様にすれば，プログラムの変更処理に伴う作業量を大幅に短縮することが可能となり，更に，この通信手段として，遊技媒体の貸出制御に伴って発生する遊技媒体貸出情報を上位装置に伝達する為の通信手段を兼用する様にすれば，通信回線の増設も必要とせず，既存の設備を有効利用してセキュリティ機能を高めることが可能となる。又，本発明によれば，遊技媒体の貸出装置を出荷する際には貸出プログラム中の更新不能部分のみをＲＯＭ化しておき，更新可能部分に関してはシステム稼働時に初めてロードする様にすることが可能となるので，たとえ遊技媒体貸出装置の納品に際して装置の盗難等が発生しても重要なプログラムが漏泄する虞がなくなり，大規模な偽造組織に対する情報の供給源を遮断することが可能となる。又，貸出プログラム中の更新可能部分をＲＡＭ内に蓄積する様にした実施例の場合であれば，閉店時間中にチップの盗難等が発生しても，更新可能部分が瞬時に消滅するで，プログラムの漏泄は防止される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明を適用したカード式パチンコ遊技機及びパチンコ球貸出装置の外観構成を示す斜視図。
【図２】図１に示す装置の裏機構を示す機構図。
【図３】遊技ホール及びカード会社全体のブロック図。
【図４】本発明の実施例に係る遊技媒体貸出装置及びカード式遊技機の制御システム例を示すブロック図。
【図５】本発明の実施例に係る遊技媒体貸出装置の制御動作のフローチャート。
【図６】本発明の遊技媒体貸出装置に対して上位装置から通信割り込みが加えられた際の割り込み処理のフローチャート。
【符号の説明】
１ カード式玉装置
２ カード式パチンコ遊技機
５ カード残高表示器
６ 玉貸スイッチ
７ 玉貸可能ＬＥＤ
８ カード返却スイッチ
１１ 排出制御装置
１２ 玉排出口
１４ カード
２１ 情報処理装置
２２ 一次中継機
２３ 二次中継機
２４ 光送受信器
３０ 通信制御装置
３０ａ 受信領域
３０ｂ 送信領域
３４ フラッシュメモリ
３５ ＲＯＭ
３６ ＲＡＭ
３６ａ 受信メモリ
３６ｂ 送信メモリ
３７ ＣＰＵ
Claims (7)
- 少なくとも，セキュリティ情報，有価価値情報が記録されている情報媒体が装着されることにより，該情報媒体に記録されている情報を読み込み遊技者の操作に基づいて遊技媒体の貸出制御を行うとともに遊技媒体の貸出制御に伴って発生する遊技媒体貸出情報を上位装置に伝達する遊技媒体貸出装置において，
前記上位装置との間で通信を行う通信手段と，
少なくとも一部にＲＯＭ領域を含み，該ＲＯＭ領域及び該ＲＯＭ領域以外の領域に渡って前記遊技媒体貸出装置の動作制御をする為の更新不能部分及び更新可能部分を含む貸出プログラムを格納するメモリ手段と，
前記貸出プログラム中の前記ＲＯＭ領域に格納された更新不能部分に従って作動し，前記上位装置より前記通信手段を介して与えられたプログラム更新指令に基づいて，前記貸出プログラム中の更新可能部分を前記上位装置より前記通信手段を介して前記メモリ手段中の前記ＲＯＭ領域以外の領域に格納する更新プログラム取込手段と，
前記メモリ手段に格納された貸出プログラムを実行して遊技媒体の貸出制御を行う貸出制御実行手段とを具備する遊技媒体貸出装置。 - 前記メモリ手段中の前記ＲＯＭ領域以外の部分は不揮発性メモリ領域と揮発性メモリ領域とを含み，前記貸出制御制御手段は，前記不揮発性メモリ領域に記憶された貸出プログラムを前記揮発性メモリ領域に転送して，転送された貸出プログラムを順次実行して遊技媒体の貸出制御を行うことを特徴とする請求項１記載の遊技媒体貸出装置。
- 少なくとも，セキュリティ情報，有価価値情報が記録されている情報媒体が装着されることにより，該情報媒体に記録されている情報を読み込み遊技者の操作に基づいて遊技媒体の貸出制御を行うとともに遊技媒体の貸出制御に伴って発生する遊技媒体貸出情報を上位装置に伝達する遊技媒体貸出装置において，
前記上位装置との間で通信を行う通信手段と，
少なくとも一部にＲＯＭ領域を含み，該ＲＯＭ領域及び該ＲＯＭ領域以外の領域に渡って前記遊技媒体貸出装置の動作制御をする為の更新不能部分及び更新可能部分を含む貸出プログラムを格納するメモリ手段であって該ＲＯＭ領域以外の領域は書き換えが可能な揮発性メモリ領域を少なくとも含むメモリ手段と，
前記貸出プログラム中の前記ＲＯＭ領域に格納された更新不能部分に従って作動し，前記上位装置より前記通信手段を介して与えられたプログラム更新指令に基づいて，前記貸出プログラム中の更新可能部分を前記上位装置から前記通信手段を介して前記メモリ手段中の前記揮発性メモリ手段に格納する更新プログラム取込手段と，
前記メモリ手段に格納された貸出プログラムを実行して遊技媒体の貸出制御を行う貸出制御実行手段とを具備する遊技媒体貸出装置。 - 前記通信手段は，前記遊技媒体の貸出制御に伴って発生する遊技媒体貸出情報を含む情報の通信を行い，前記遊技媒体貸出情報を収集するための通信チャネルと，前記貸出プログラム更新用の通信チャネルとを兼用していることを特徴とする請求項１乃至請求項３記載の遊技媒体貸出装置。
- 前記貸出プログラムの更新可能部分には情報媒体のフォーマット形式を示すフォーマット情報が含まれることを特徴とする請求項１乃至請求項４記載の遊技媒体貸出装置。
- 前記貸出プログラム中の更新可能部分には情報媒体の真偽を示すセキュリティ情報が含まれることを特徴とする請求項１乃至請求項５記載の遊技媒体貸出装置。
- 前記貸出プログラム中の更新可能部分には前記情報媒体に記録されている有価価値情報を前記遊技媒体に変換する際の変換レートが含まれることを特徴とする請求項１乃至請求項６記載の遊技媒体貸出装置。
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