JP4105322B2 - 杭打ち工法及び杭打ち装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基礎工事において地盤中に既製杭を打ち込む杭打ち工法、及び杭打ち装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の杭打ち工法にあっては、例えばアースオーガで地盤を掘孔し、あるいはケーシング内にエアハンマーを装備して、ケーシングを回転させつつエアハンマーを駆動させて地盤を掘孔し、そしてアースオーガ又はケーシングを引き上げた後、その掘削孔に杭をクレーン等で立て込むようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来工法では、地盤の掘孔と杭の打ち込みとが別工程となるため、作業能率が悪い上に、玉石混じりの地盤土壌の場合には、アースオーガやケーシングを引き上げるときに孔壁が崩壊して、掘削孔が蟻地獄のような状態に埋まってしまい、杭の挿入が困難になると云う問題があった。
【0004】
本発明は、上記に鑑み、地盤の掘孔と同時に杭を打ち込むようにすることで、孔壁の崩壊を回避できて杭の打ち込みを確実容易に行えると共に、その作業能率の向上を図ることのできる杭打ち工法及び杭打ち装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の杭打ち工法は、ケーシング9A内部に穿孔機12を装備すると共に、ケーシング9A内部に前記穿孔機12に並列して杭13を挿入できるようにしたケーシング9Aを使用し、このケーシング9Aの内部に杭13を挿入して保持し、この状態で穿孔機12を駆動させながらケーシング9Aを地盤中所定深さまで貫入した後、ケーシング9A内部での杭の保持を解除し、この杭13を地盤中に残してケーシング9Aを引き上げるようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明の杭打ち工法は、ケーシング9内部に穿孔機12を装備すると共に、ケーシング9内部に前記穿孔機12に並列して杭を挿入できるようケーシング9が縦割に分割して開閉可能に構成されたケーシング9を使用し、このケーシング9の内部に杭13を挿入して保持し、この状態で穿孔機12を駆動させながらケーシング9を地盤中所定深さまで貫入した後、ケーシング9内部での杭13の保持を解除し、この杭13を地盤中に残してケーシング9を引き上げるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項に係る発明の杭打ち装置は、リーダ1に沿って昇降可能な昇降機枠4の下部にケーシング9が垂下連結され、このケーシング9は、ケーシング9内部に穿孔機12を装備すると共に、ケーシング9内部に前記穿孔機12に並列して杭を挿入できるようケーシング9が縦割に分割して開閉可能に構成されていて、杭13をケーシング9の内部に吊り込んで挿入する吊込挿入手段33と、ケーシング9内部に挿入した杭13を保持する杭保持手段34とを備えてなることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る杭打ち装置を示す側面図である。この図において、1はリーダで、走行台車2から延設されたバックステー3によって鉛直姿勢に保持されている。4は昇降機枠で、リーダ1に沿って昇降可能に支持されていると共に、ウインチの昇降操作ワイヤー5によって吊支されている。昇降機枠4には回転駆動装置6が設けてあり、この回転駆動装置6の出力軸7(図2参照)に回転軸体8を介してケーシング9が連動連結されている。
【0010】
図2はケーシング9の上端部側を示す縦断面図、図3はケーシング9の下端部側を示す縦断面図、図4は図2のV−V線断面図、図5は図2のW−W線断面図、図6は図2のX−X線断面図である。図2に示すように、回転軸体8の上端部8aが回転駆動装置6の出力軸7にピン結合され、回転軸体8の下端部8bがケーシング9の上部固定板10上に一体突設された連結軸部11にピン結合され、これによりケーシング9が回転駆動装置6の出力軸7に連動連結される。ケーシング9は、これの内部に、先行掘りするための穿孔機としてのダウンザホールハンマー12を装備していると共に、ケーシング9内部にダウンザホールハンマー12に並列して杭13を挿入できるよう縦割に分割されて開閉可能に構成されている。
【0011】
上記ケーシング9の構造について詳細に説明すると、ケーシング9は、図4〜図6、図9〜図12に示すように、縦長帯状で断面が円弧状の剛性基板14と、夫々断面円弧状に形成されて、夫々の一側縁部が縦長帯状基板14の両側縁部にヒンジ17によって蝶着された両側一対の開閉側板15,15とからなる。各開閉側板15の内側には、ダウンザホールハンマー12及びこれにエアを供給するエア供給管16と、ケーシング9の下端より掘削孔内に根固め用セメントミルク等のグラウトを注入するためのグラウト供給管19とが夫々一体的に装備されている。両開閉側板15,15の夫々他側縁部(遊端側側縁部)には、両開閉側板15,15を閉鎖位置にロックするロック手段18が設けられている。
【0012】
図2及び図3はケーシング9の両開閉側板15,15が閉鎖した状態を示し、両開閉側板15,15が開放した状態を図7及び図8に示す。両開閉側板15,15を基板14の両側縁部に夫々蝶着するヒンジ17は、ケーシング9長手方向に所要間隔おきに設けてある。また図9〜図12には、両開閉側板15,15が閉鎖した状態を実線で示し、両開閉側板15,15が開放した状態を仮想線で示す。両開閉側板15,15を閉鎖位置にロックするロック手段18は、図10に概略示すように、一方の開閉側板15の遊端側側縁部に設けられた雄係合部18aと、これに対向する他方の開閉側板15の遊端側側縁部に設けられた雌係合部18bと、両開閉側板15,15が閉じて雄雌両係合部18a,18bが互いに係合した位置で雄雌両係合部18a,18bを上下に貫通するロックピン18cとから構成される。両開閉側板15,15の開閉操作、ならびにロックピン18cによるロック操作及びロック解除操作は夫々手動で行うようになっている。
【0013】
また図4〜図6、図9〜図12に示すように、前記両開閉側板15,15の上端には半円形の取付板20,20が夫々固着してあって、両取付板20,20の上面に円板状の上部固定板10が載置されると共に、両取付板20,20の夫々一端部が上部固定板10に枢軸21,21によって枢着されている。両枢軸21,21は、両開閉側板15,15を基板14の両側縁部に蝶着するヒンジ17,17と夫々同軸線上に配設されている。また、両取付板20,20の遊端部は、図9及び図10から分かるように、ケーシング9の両開閉側板15,15が閉じた位置でロックピン22,22を介して上部固定板10にロックされるようになっている。各ロックピン22は、上部固定板10から取付板20のロック孔aに突入して挿着する。
【0014】
上記ケーシング9の各開閉側板15に装備されたエア供給管16へのエアの供給は、図2に示すように回転軸体8の外周に装備されたエアスイベル機構23を通じて行われる。即ち、このエアスイベル機構23は、回転軸体8に対し軸受及びオイルシールを介して相対回転のみ可能に外嵌された筒状体24を有し、この筒状体24の内周面に環状通路25が形成され、この環状通路25にエアを導入するためのエア導入管26が筒状体24に取り付けられ、このエア導入管26は、昇降機枠4側から垂下されたワイヤー27によって回転しないように懸吊保持される。また、環状通路25は回転軸体8の内部に設けられたエア供給路28の上端部に連通し、このエア供給路28の下端部側はホース29を介して各開閉側板15側のエア供給管16に接続される。尚、エア導入管26はエアホースを介してエアコンプレッサに接続される。
【0015】
また、ケーシング9の各開閉側板15に装備されたグラウト供給管19へのグラウトの供給は、図1に概略示すようなグラウト導入ホース30により、グラウトスイベル機構(図示は省略するが、このグラウトスイベル機構内を回転駆動装置6の出力軸7が貫通している)、出力軸7内部のグラウト供給路、回転軸体8内部のグラウト供給路31、及びホース32を通じて行われる(図2参照)。尚、グラウト導入ホース30はグラウト圧送ポンプに接続される。
【0016】
前記ダウンザホールハンマー12は、周知のものであるため詳細な図示は省略するが、ハンマー本体12aの内部にシリンダが設けてあって、このシリンダ内を摺動するハンマーピストンが圧縮エアの供給によって往復運動を起こし、この往復運動するハンマーピストンがハンマー本体12aの下部に突出するビット12bを打撃し、この打撃作用によって地盤、特に岩盤を破砕するようになっている。このダウンザホールハンマー12は、ケーシング9を形成する各開閉側板15に一体的に装備されているので、回転駆動装置6の駆動によるケーシング9の回転に伴って旋回することになる。
【0017】
図13の(A)〜(C)は、杭13をケーシング9の内部に吊り込んで挿入する吊込挿入手段33、及びケーシング9内部に挿入した杭13を保持する杭保持手段34を示す。杭13は、ここではH形鋼からなるものとし、このH形鋼のフランジ部を13aで示し、ウェブ部を13bで示す。
【0018】
先ず、吊込挿入手段33は、リーダ1(図1参照)の頂部より垂下される吊込用ワイヤー35と、この吊込用ワイヤー35を開放されたケーシング9の内部に案内するシーブ36,37と、吊込用ワイヤー35の先端部に取り付けてあって、H形鋼からなる杭13のウェブ部13bの上端部に設けられた係入孔38に係入されるフック39とからなる。シーブ36は、図13の(A)から分かるように上部固定板10のケーシング開放側端部に軸着され、シーブ37は、ケーシング9の内部にあって、上部固定板10の下面中央部に垂下連結してある取付フレーム40に軸着されている。このシーブ37は、取付フレーム40の上部側に設けてある取付板部40aに片持ち状態で取り付けられた支軸41に軸支されている。尚、吊込用ワイヤー35は走行台車2側で操作されるようになっている。
【0019】
杭保持手段34は、図13の(A)及び(C)に示すように、取付フレーム40の下端部に形成されていて、H形鋼からなる杭13のウェブ部13bの上端部を係入させる下向きコ字状の係入溝42と、この係入溝42を横方向に貫通するピン挿通孔43と、この係入溝42のピン挿通孔43から杭13のウェブ部13b上端部に設けられたピン挿通孔44に亘って挿通されるロックピン45とからなる。
【0020】
図14は杭押し下げ手段46を示し、これは、前記杭保持手段34による杭13の保持を解除してケーシング9を引き上げる際に杭13を押し下げて引き離すことによって、杭13の共上がりを防止するようにしたものである。この杭押し下げ手段46は、図13の(B)にも示すように、ケーシング9の上部固定板10に下向きに取り付けられた油圧シリンダからなるもので、杭保持手段34による杭13の保持を解除した状態でピストンロッド46aを伸張作動させることにより、その先端の押え部材46bを介して杭13に下向きの押力を付与するようになっている。
【0021】
以上説明したような構成を有する杭打ち装置の使用による杭打ち工法につき、図15の▲1▼〜▲6▼に示す工程図を中心に他の図面を参照して以下に説明する。
【0022】
先ず、図15の▲1▼に示すように、ケーシング9を地上に吊り上げた状態でその両開閉側板15,15開放し、この開放した両開閉側板15,15の間に杭13を挿入する。この際には、作業者がリーダ1に登って、ケーシング9の上部固定板10から各取付板20に係入されているロックピン22(図10参照)を抜き、更に両開閉側板15,15を閉鎖位置にロックするロック手段18をロック解除して、両開閉側板15,15を開放させる。
【0023】
ケーシング9の両開閉側板15,15を開放した後、吊込挿入手段33により杭13をケーシング9の内部に吊り込んで挿入し、この挿入した杭13を杭保持手段34によってケーシング9内部に保持する。この際、吊込挿入手段33の吊込用ワイヤー35をシーブ35,36に掛けて地上近くまで下ろして、先端のフック39を、地上に寝かせてある杭13の係入孔38に引っ掛け、このワイヤー35を巻き取りながら、杭13を開放されたケーシング9の内部に吊り込んでゆき、そして図13の(A)に示すように杭保持手段34の係入溝42に杭13のウェブ部13bの上端部を係入させ、ロックピン45を係入溝42のピン挿通孔43から杭13のピン挿通孔44に挿通して、杭13を同図のようにケーシング9内部に懸吊した状態で保持する。
【0024】
上記のように杭13を吊込挿入手段33によりケーシング9内部に吊り込んで挿入し、杭保持手段34によって保持した後、吊込挿入手段33のフック39を杭13から外し、更に吊込用ワイヤー35をシーブ35,36から外す。この際、ケーシング9内部にあるシーブ36が図13の(C)に示すように取付板部40aに片持ち状態で取り付けられた支軸41に軸支されているため、吊込用ワイヤー35の取外しが簡単容易となる。この後、ケーシング9の開閉側板15,15を閉鎖して、その遊端側側縁部をロック手段18によりロックし、更に上部固定板10から両取付板20,20に夫々ロックピン22を挿着して固定し、図15の▲2▼に示す状態とする。
【0025】
次に、ケーシング9を地上に接地し、ケーシング9内部に装備されているダウンザホールハンマー12,12を駆動させて地盤を先行掘りしつつ、ケーシング9自体を回転駆動装置6により回転させて両ハンマー12,12を旋回させながら、図15の▲3▼に示すようにケーシング9を地盤中に貫入してゆく。このとき、各ダウンザホールハンマー12によって掘削された掘削土砂や破砕屑等は、ビット12bの先端から噴出される圧縮エアによってケーシング9と掘孔との隙間から地上へ排出される。上記のようにダウンザホールハンマー12の駆動中にケーシング9を回転させることによって、ハンマー12による地盤の破砕・穿孔作用をより有効に発揮させることができる。
【0026】
ケーシング9が図15▲4▼に示すように地盤中所定深さまで貫入されたならば、各ダウンザホールハンマー12の駆動を停止させた後、地上のグラウト圧送ポンプを始動させて、グラウト導入ホース30から回転駆動装置6内部のグラウト供給路、回転軸体8内部のグラウト供給路31及びホース32を通じ、ケーシング9の各開閉側板15に装備されたグラウト供給管19にセメントミルク等のグラウトを供給して、そのグラウトを各グラウト供給管19の先端から掘削孔内に注入する。
【0027】
上記のように掘削孔内にグラウトを注入しつつ、昇降操作ワイヤー5の巻取り操作により昇降機枠4を上昇させてケーシング9を引き上げる。このケーシング9の引き上げにあたっては、ケーシング9内部での杭保持手段34による杭13の保持を解除し、この杭13を地盤中に残したままケーシング9を引き上げる。杭保持手段34による杭13の保持を解除するには、地上において作業者がロックピン45を抜き取ればよい。また、この際、ケーシング9の引き上げに伴って杭13が共上がりすることがあるため、杭押し下げ手段46を作動させ、図14の仮想線図示のように杭13を押し下げて引き離すことによって、杭13の共上がりを防止し、地盤中に確実に残存させることができる。
【0028】
図15の▲5▼は、杭13を地盤中に残してケーシング9を引き上げてゆく状態を示し、同図の▲6▼は、ケーシング9を地上に完全に引き上げた状態を示す。地盤の掘削孔内に残置された杭13は、掘削孔内に注入されたグラウトによって根固めされ、強固な支持杭を形成する。尚、ケーシング9の引き上げ中に、ケーシング9を回転駆動装置6によって回転させるようにしてもよい。
【0029】
以上説明した杭打ち工法によれば、ケーシング9内部に穿孔機としてのダウンザホールハンマー12を装備すると共に、ケーシング9内部にダウンザホールハンマー12に並列して杭13を挿入できるようケーシング9が縦割に分割して開閉可能に構成されたケーシング9を使用し、このケーシング9を開放させた状態で吊込挿入手段33により杭13をケーシング9内部に吊り込んで挿入し、その杭13を杭保持手段34により保持した状態で、ダウンザホールハンマー12で先行掘りしながらケーシング9を地盤中所定深さまで貫入した後、ケーシング9内部での杭13の保持を解除し、この杭13を地盤中に残してケーシングを引き上げるようにするから、ケーシング9を引き上げるときに孔壁が崩壊するようなことがなくて杭13を確実に埋入でき、しかも地盤の掘孔と同時に杭13を打ち込むことができるから、杭13の打ち込み作業を大幅に向上できる。
【0030】
この実施形態にあっては、穿孔機としてダウンザホールハンマー12を使用しているから、地盤中に岩盤が存在する場合も確実且つ有効に先行掘りを行うことができる。また、ケーシング9を、縦長帯状の基板14と、夫々断面円弧状に形成されて、夫々の一側縁部が縦長帯状基板14の両側縁部に蝶着された両側一対の開閉側板15,15とによって構成すると共に、各開閉側板15の内側にダウンザホールハンマー12とこれにエアを供給するエア供給管16が一体的に装備しているから、ケーシング9内の両側に一対の穿孔機を配備し、両穿孔機の間に杭13を挿入でき、それによりケーシング9内に穿孔機と杭13とをバランス良く配置できると共に、掘削能力を高めることができる。また、ロック手段18によって、両開閉側板15,15を閉止位置にロックすることができる。
【0031】
また、この実施形態では、先行掘りするための穿孔機としてダウンザホールハンマー12を使用しているが、この穿孔機としてはアースオーガを使用してもよい。また杭13は、H形鋼からなるものを例示したが、その他L形鋼、I形鋼、T形鋼等、更には形鋼以外の鋼管、更にまたコンクリートパイルも使用可能である。
【0032】
図16は他の実施形態を示すもので、前記実施形態にあってはケーシング9は縦割で観音開きの構成になっているが、この実施形態にあっては通常の円筒状のケーシング9Aからなるもので、このケーシング9Aの内部にダウザホールハンマー等の穿孔機12が装備され、その上端部に回転駆動装置6が取り付けられ、ケーシング9Aの内部にH形鋼等からなる杭13を挿入することができるようになっていることは前記実施形態と同じである。
【0033】
この実施形態にあっては、走行台車2に取り付けてあるブームを吊持手段3として利用し、これに前記回転駆動装置6を介してケーシング9Aを吊持するようになっている。
【0034】
一方、杭打ちする近傍の個所に、この種の作業で一般に現場に敷設してある覆工板50を利用し、これに箱状の杭起立ケース51を溶接やボルト止め等によって取り付け、この杭起立ケース51に杭13の下端部をブーム3先端部からの吊りロープによって挿入して、図示のように杭13を杭起立ケース51に立てかけておく。
【0035】
この状態で吊持手段3で吊持されたケーシング9Aを走行台車2から操作して該ケーシング9Aを、その下部開放端から杭13に挿入して杭13にケーシング9Aを外嵌し、両者に設けたピン挿入孔52,53が合致した位置でロックピン54を両ピン挿入孔52,53にわたって挿入し、該ロックピン54によってケーシング9Aに杭13を保持させる。ついで、同図の(B)に示すように、吊持手段であるブーム3に吊持されたケーシング9Aおよび杭13を所定の埋設個所にダウザホールハンマー12の穿孔作業を伴いながら杭13およびケーシング9Aを埋設し、杭13及びケーシング9Aの上端部が地表面近くまで埋設されると両者を保持しているロックピン54を取り外し、杭13のみを地中に埋設した状態で、ケーシング9Aのみを吊持手段3によって引き上げることになる。これによってケーシング9A、杭13および穿孔機12を同時に地中に挿入しながら杭13を地中に円滑に埋設することができる。
【0036】
この埋設方法であれば、前記実施形態のようにケーシング9を縦割りにして観音開き構造にする必要がないから、それだけ構成が簡単で安価に施工することができる。
【0037】
また図17は、本発明の他の実施形態を示すもので、図16の実施形態と相違する点は、図16に示す実施形成にあっては、杭13を予め起立させておくために杭起立ケース51を設けるようにしているが、この本実施形態にあっては、杭打ちする近傍の個所に土壁崩壊防止用筒体55を有する杭起立用孔56を穿設しておき、これに杭13を挿入しておき、ついで前記実施形態と同じように、吊持手段3で吊持されたケーシング9Aを走行台車2から操作して該ケーシング9Aを、その下部開放端から杭13に挿入して杭13にケーシング9Aを外嵌し、両者のピン挿入孔52,53が合致した位置でロックピン54を両ピン挿入孔52,53にわたって挿入し、該ロックピン54によってケーシング9Aに杭13を保持させる。ついで、同図の(B)に示すように、吊持手段であるブーム3に吊持されたケーシング9Aおよび杭13を杭起立用孔孔56から引き上げ、所定の埋設個所にダウザホールハンマー12の穿孔作業を伴いながら杭13およびケーシング9Aを埋設し、杭13及びケーシング9Aの上端部が地表面近くまで埋設されると両者を保持しているロックピン54を取り外し、杭13のみを地中に埋設した状態で、ケーシング9Aのみを吊持手段3によって引き上げることになることは前記実施形態と同じである。
【0038】
この実施形態によれば、前記実施形態と同じように通常のケーシング9Aを用いることができると共に、単に地中に通常の径大のケーシングからなる土壁崩壊防止用筒体55による杭起立用孔56を穿設するだけでよいから、施工費用が非常に安くつくという利点がある。
【0039】
【発明の効果】
請求項1に係る発明の杭打ち工法によれば、ケーシング内部に穿孔機を装備すると共に、ケーシング内部に穿孔機に並列して杭を挿入できるようにしたケーシングを使用し、このケーシングの内部に杭を挿入保持した状態で穿孔機を駆動させてケーシングを地盤中所定深さまで貫入した後、ケーシング内部での杭の保持を解除し、この杭を地盤中に残してケーシングを引き上げるようにするから、ケーシングを引き上げるときに孔壁が崩壊するようなことがなく、杭を確実に埋入することができ、しかも地盤の掘孔と同時に杭を打ち込むことができるため杭の打ち込み作業を大幅に向上できる。
【0040】
請求項2に係る発明の杭打ち工法によれば、ケーシング内部に穿孔機を装備すると共に、ケーシング内部に穿孔機に並列して杭を挿入できるようケーシングが縦割に分割して開閉可能に構成されたケーシングを使用し、このケーシングの内部に杭を挿入保持した状態で穿孔機を駆動させてケーシングを地盤中所定深さまで貫入した後、ケーシング内部での杭の保持を解除し、この杭を地盤中に残してケーシングを引き上げるようにするから、ケーシングを引き上げるときに孔壁が崩壊するようなことがなく、杭を確実に埋入することができ、しかも地盤の掘孔と同時に杭を打ち込むことができるため杭の打ち込み作業を大幅に向上できる。
【0042】
請求項に係る発明の杭打ち装置によれば、リーダに沿って昇降可能な昇降機枠の下部にケーシングが垂下連結され、このケーシングは、ケーシング内部に先行掘りするための穿孔機を装備すると共に、ケーシング内部に前記穿孔機に並列して杭を挿入できるようケーシングが縦割に分割して開閉可能に構成されていて、杭をケーシングの内部に吊り込んで挿入する吊込挿入手段と、ケーシング内部に挿入した杭を保持する杭保持手段とを備えてなるものであるから、施工容易に杭打ちを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る杭打ち装置を示す側面図である。
【図2】 閉鎖されたケーシングの上端部側を示す縦断面図である。
【図3】 閉鎖されたケーシングの下端部側を示す縦断面図である。
【図4】 図2のV−V線断面図である。
【図5】 図2のW−W線断面図である。
【図6】 図2のX−X線断面図である。
【図7】 開放されたケーシングの上端部側を示す縦断面図である。
【図8】 開放されたケーシングの上端部側を示す縦断面図である。
【図9】 ケーシングの両開閉側板の開閉状態を示すもので、図5とほぼ同様な断面図である。
【図10】 ケーシングの両開閉側板の開閉状態を示すもので、ケーシングをその開放部側から見た正面図である。
【図11】 ケーシングの両開閉側板の開閉状態を示すもので、図6とほぼ同様な断面図である。
【図12】 ケーシングの両開閉側板の開閉状態を示すもので、ケーシングをそのヒンジ側から見た正面図である。
【図13】 (A)はケーシング上端部の断面図で、吊込挿入手段及び杭保持手段を示しており、(B)は(A)の平面図であり、(C)は(A)のY−Y線断面図である。
【図14】 ケーシング上端部の断面図で、杭押し下げ手段を示す。
【図15】 ▲1▼〜▲6▼は本発明に係る杭打ち工法の一連の工程を示す概略説明図である。
【図16】 本発明の他の実施形態の施工状態を示す図であり、(A)は正面図、(B)は要部の正面図である。
【図17】 本発明の他の実施形態の施工状態を示す図であり、(A)は正面図、(B)は要部の正面図である。
【符号の説明】
1 リーダ
6 回転駆動装置
9 ケーシング
9A ケーシング
10 上部固定板
12 ダウンザホールハンマー(穿孔機)
13 杭(H形鋼)
14 基板
15 開閉側板
16 エア供給管
17 ヒンジ
18 ロック手段
19 グラウト供給管
20 取付板
21 枢軸
22 ロックピン
33 吊込挿入手段
34 杭保持手段
45 ロックピン
46 杭押し下げ手段
52 杭起立ケース
56 杭起立用孔

Claims (3)

  1. ケーシング内部に穿孔機を装備すると共に、ケーシング内部に前記穿孔機に並列して杭を挿入できるようにしたケーシングを使用し、このケーシングの内部に杭を挿入して保持し、この状態で穿孔機を駆動させながらケーシングを地盤中所定深さまで貫入した後、ケーシング内部での杭の保持を解除し、この杭を地盤中に残してケーシングを引き上げるようにした杭打ち工法。
  2. ケーシング内部に穿孔機を装備すると共に、ケーシング内部に前記穿孔機に並列して杭を挿入できるようケーシングが縦割に分割して開閉可能に構成されたケーシングを使用し、このケーシングの内部に杭を挿入して保持し、この状態で穿孔機を駆動させながらケーシングを地盤中所定深さまで貫入した後、ケーシング内部での杭の保持を解除し、この杭を地盤中に残してケーシングを引き上げるようにした杭打ち工法。
  3. リーダに沿って昇降可能な昇降機枠の下部にケーシングが垂下連結され、このケーシングは、ケーシング内部に穿孔機を装備すると共に、ケーシング内部に前記穿孔機に並列して杭を挿入できるようケーシングが縦割に分割して開閉可能に構成されていて、杭をケーシングの内部に吊り込んで挿入する吊込挿入手段と、ケーシング内部に挿入した杭を保持する杭保持手段とを備えてなる杭打ち装置。
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