JP4105099B2 - 論理演算回路および論理演算方法 - Google Patents

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Description

関連出願の参照
日本国特許出願2002年第18661号(2002年1月28日出願)の明細書、請求の範囲、図面および要約を含む全開示内容は、これら全開示内容を参照することによって本出願に合体される。
技術分野
この発明は論理演算回路および論理演算方法に関し、とくに、強誘電体コンデンサなどの不揮発性記憶素子を用いた論理演算回路、論理演算装置および論理演算方法に関する。
背景技術
強誘電体コンデンサを用いた回路として不揮発性メモリが知られている。強誘電体コンデンサを用いることで、低電圧にて書き換え可能な不揮発性メモリを実現することができる。
しかしながら、従来のこのような回路では、データを記憶することはできてもデータの論理演算を行うことはできなかった。
発明の開示
この発明は、このような従来の強誘電体コンデンサを用いた回路の問題点を解消し、強誘電体コンデンサなどの不揮発性記憶素子を用いてデータの論理演算を行うことができる論理演算回路、論理演算装置および論理演算方法を提供することを目的とする。
この発明による論理演算回路は、強誘電体コンデンサと、第1の信号線と、第2の信号線と、演算結果出力部とを備えている。強誘電体コンデンサは、第1の被演算データに対応する分極状態を保持することができ、第1および第2の端子を有する。第1の信号線は、強誘電体コンデンサの第1の端子に接続されている。第2の信号線は、第1の被演算データに対応する分極状態を保持した強誘電体コンデンサの第2の端子に第2の被演算データを付与することができ、強誘電体コンデンサの第2の端子に接続されている。演算結果出力部は、第2の被演算データの付与により得られる強誘電体コンデンサの分極状態に基づいて第1および第2の被演算データの論理演算結果を出力することができ、第1の信号線に接続される。
この発明による論理演算回路は、第1および第2の端子を有する強誘電体コンデンサと、第1および第2の端子にそれぞれ接続された第1および第2の信号線と、出力用トランジスタと、を備えている。出力用トランジスタは、第1の信号線に接続されたゲート端子と、ゲート端子に入力される制御信号に対応した出力信号を出力する出力端子と、を有し、制御信号として当該出力用トランジスタのしきい値電圧よりも第1の基準電位よりの電位が与えられるとOFFとなり、当該しきい値電圧よりも第2の基準電位よりの電位が与えられるとONとなる電界効果型のトランジスタである。また、当該論理演算回路は、以下の動作を行うよう構成されている。すなわち、当該論理演算回路は、第1および第2の信号線を、第1の基準電位および当該第1の基準電位と異なる第2の基準電位のうち一方の電位ならびに第1および第2の基準電位のうち他方の電位にそれぞれ接続することにより、第1の被演算データに対応する分極状態を強誘電体コンデンサに生じさせる。当該論理演算回路は、その後、第1および第2の信号線を、いずれも第2の基準電位に接続することにより、強誘電体コンデンサの残留分極状態に変化を生じさせることなく、第1の信号線を第2の基準電位にプリチャージする。当該論理演算回路は、その後、第1の信号線への電圧の印加を解除するとともに第2の信号線を第2の被演算データに対応する第1または第2の基準電位に接続し、このとき第1の信号線に発生する電位に対応して出力用トランジスタの出力端子にあらわれる出力信号を、第1および第2の被演算データの論理演算結果として得る。
この発明による論理演算回路は、2値データである第1の被演算データyに対応する不揮発的状態を保持する不揮発性記憶素子であって、第1および第2の端子を有する不揮発性記憶素子と、不揮発性記憶素子の第2の端子に2値データである第2の被演算データxを付与することにより得られる当該不揮発性記憶素子の状態に基づいて第1および第2の被演算データyおよびxの論理演算結果を2値データである演算結果データzとして出力する演算結果出力部と、を備えた論理演算回路であって、演算結果データzは、実質的に次式、
z=x AND y
を満足するよう構成されたことを特徴とする。
この発明による論理演算回路は、第1の被演算データに対応する不揮発的状態を保持する不揮発性記憶素子と、不揮発性記憶素子に第2の被演算データを付与することにより得られる当該不揮発性記憶素子の状態に基づいて第1および第2の被演算データの論理演算結果を出力する演算結果出力部であって、不揮発性記憶素子の第1の端子に接続される演算結果出力部と、を備えたことを特徴とする。
この発明による論理演算方法は、第1および第2の端子を有する第1の強誘電体コンデンサに、第1の被演算データに対応する分極状態を保持させるステップと、分極状態を保持した強誘電体コンデンサの第1の端子を所定の基準電位に充電するステップと、第1の端子を所定の基準電位にした強誘電体コンデンサの第2の端子に第2の被演算データを付与することにより得られた強誘電体コンデンサの分極状態に基づいて、第1および第2の被演算データの論理演算結果を得るステップと、を備えている。
本発明の特徴は、上記のように広く示すことができるが、その構成や内容は、目的および特徴とともに、図面を考慮に入れた上で、以下の開示によりさらに明らかになるであろう。
発明を実施するための最良の形態
図1は、この発明の一実施形態による論理演算回路1を示す回路図である。論理演算回路1は、強誘電体コンデンサCF、出力用トランジスタであるトランジスタMP、トランジスタM1、M2を備えている。トランジスタMP、M1、M2は、いずれも、NチャネルMOSFET(金属・酸化物・半導体型電界効果トランジスタ)である。
強誘電体コンデンサCFの第1の端子3は、第1の信号線7に接続されており、第2の端子5は、第2の信号線9に接続されている。第1の信号線7は、トランジスタMPのゲート端子に接続されている。
第1の信号線7は、トランジスタM1を介してプレートラインPLに接続されるとともに、トランジスタM2を介して第2の信号線9に接続されている。トランジスタM1、M2のゲート端子は、それぞれ、読み書きラインRWL、ワードラインWLに接続されている。
トランジスタMPの入力端子は、トランジスタM3を介して第1の基準電位である接地電位GNDに接続されている。トランジスタMPの出力端子は、出力ラインMLに接続されている。出力ラインMLは、トランジスタM4を介して、第2の基準電位である電源電位Vddに接続されている。トランジスタM3、M4のゲート端子は、プリセットラインPREに接続されている。
トランジスタM3は、NチャネルMOSFET(金属・酸化物・半導体型電界効果トランジスタ)であり、トランジスタM4は、PチャネルMOSFET(金属・酸化物・半導体型電界効果トランジスタ)である。
図9Aおよび図9Bは、強誘電体コンデンサCF、トランジスタMPの諸特性の関係を説明するための図面である。この図9Aおよび図9Bは、演算時における強誘電体コンデンサの分極状態を示す図5Bの一部を拡大した図面である。
図中、Vd:第1の基準電位である接地電位GNDおよび第2の基準電位である電源電位Vddの差の絶対値、CG:出力用トランジスタMPのゲート容量、CFrev:強誘電体コンデンサCFの反転方向平均容量、CFnon:強誘電体コンデンサCFの非反転方向平均容量、Va1:第1の被演算データy=1(強誘電体コンデンサCFの分極状態P1に対応)であって第2の被演算データx=1(ビットラインBLが接地電位GNDに接続された状態に対応)である場合に、出力用トランジスタCGのゲート端子に生ずる電位と第1の基準電位である接地電位GNDとの差の絶対値、Va2:第1の被演算データy=0(強誘電体コンデンサCFの分極状態P2に対応)であって第2の被演算データx=1(ビットラインBLが接地電位GNDに接続された状態に対応)である場合に、出力用トランジスタMPのゲート端子に生ずる電位と第1の基準電位である接地電位GNDとの差の絶対値、である。
図9Aから、
Va1=CG・Vd/(CFrev+CG) ………式(1)
同様に、図9Bから、
Va2=CG・Vd/(CFnon+CG) ………式(2)
後述するように、y=1かつx=1のとき出力用トランジスタMPがOFFとなり、y=0かつx=1のとき出力用トランジスタMPがONになるように、出力用トランジスタMPのしきい値電圧を設定している。つまり、
Va1<Vath<Va2 ………式(3)
以上、式(1)〜(3)から次式が得られる。
CFnon/CG+1<Vd/Vath<CFrev/CG+1………式(4)
また、この実施形態においては、出力用トランジスタMPのしきい値電圧と第1の基準電位である接地電位GNDとの差の絶対値Vathが強誘電体コンデンサCFの抗電界Vcより小さくなるようにしている。このようにすれば、演算によって強誘電体コンデンサCFの分極状態が分極反転を生ずる方向に変化する場合、すなわち、y=1かつx=1の場合の演算結果を反映して出力用トランジスタMPがOFFになる場合、であっても、強誘電体コンデンサCFが分極反転を起こすことはない。
このように、この実施形態においては、出力用トランジスタMPのしきい値電圧と第1の基準電位である接地電位GNDとの差の絶対値Vathが強誘電体コンデンサCFの抗電界Vcより小さくなるように、かつ、式(4)を満たすように、強誘電体コンデンサCF、トランジスタMPの諸特性を設定している。このように設定しておけば、第1の被演算データに対応する残留分極を維持したまま、すなわち、第1の被演算データyを破壊することなく、第1の被演算データyと第2の被演算データxとの論理演算を行うことができる。
なお、出力用トランジスタMPのしきい値電圧と第1の基準電位との差の絶対値Vathが強誘電体コンデンサCFの抗電界Vc以上となる場合であっても、第1の被演算データに対応する残留分極を維持したまま、すなわち、第1の被演算データyを破壊することなく、第1の被演算データyと第2の被演算データxとの論理演算を行うことが可能となる。この場合の、条件を以下に説明する。
まず、演算によって強誘電体コンデンサCFの分極状態が分極反転を生ずる方向に変化する場合、すなわち、y=1かつx=1の場合、であっても強誘電体コンデンサCFが分極反転を起こさない限界条件を、図9Cを用いて説明する。
図中、Vd:第1の基準電位である接地電位GNDおよび第2の基準電位である電源電位Vddの差の絶対値、CGc:強誘電体コンデンサCFが分極反転を起こさない限界における出力用トランジスタCGのゲート容量、Vc:強誘電体コンデンサCFの抗電界、Pr:強誘電体コンデンサCFの残留分極、である。
図9Cから、
CGc=Pr/(Vd−Vc) ………式(5)
演算によって強誘電体コンデンサCFの分極状態が分極反転を生ずる方向に変化する場合、すなわち、y=1かつx=1の場合、であっても強誘電体コンデンサCFが分極反転を起こさないためには、出力用トランジスタCGのゲート容量CGは、
CG<=CGc ………式(6)
上述の式(5)〜(6)より、
CG<=Pr/(Vd−Vc) ………(7)
さて、与条件より、出力用トランジスタMPのしきい値電圧と第1の基準電位との差の絶対値Vathが強誘電体コンデンサCFの抗電界Vc以上であるから、y=1かつx=1の場合、出力用トランジスタMPがOFFとなることは明らかである。
一方、y=0かつx=1のとき出力用トランジスタMPがONになるためには、上述の図9Bの場合と同様に、
CFnon/CG+1<Vd/Vath ………式(8)
すなわち、上述の式(7)〜(8)を満たすように構成すれば、出力用トランジスタMPのしきい値電圧と第1の基準電位との差の絶対値Vathが強誘電体コンデンサCFの抗電界Vc以上であっても、第1の被演算データに対応する残留分極を維持したまま、すなわち、第1の被演算データyを破壊することなく、第1の被演算データyと第2の被演算データxとの論理演算を行うことが可能となる。
つぎに、図1に示す論理演算回路1の動作について説明する。図2は、論理演算回路1の動作を示すタイミングチャートである。
書き込み動作においては、ワードラインWL、読み書きラインRWLには、それぞれ、“L”電位(すなわち、第1の基準電位である接地電位GND)、“H”電位(すなわち、第2の基準電位である電源電位Vdd)が与えられる。また、ビットラインBL、プレートラインPLには、第1の被演算データであるy、/y(yの反転データ)が与えられる。この実施形態においては、y=1のとき、ビットラインBL、プレートラインPLには、それぞれ、“H”,“L”が与えられるよう構成されている。したがって、図2に示す書き込み動作においては、第1の被演算データとしてy=1が与えられたことになる。なお、特にことわらない限り、2進数(2値信号)「A」の否定(反転信号)を「/A」で表すものとする。
図3A、図3Bは、それぞれ、書き込み動作時における論理演算回路1の状態および強誘電体コンデンサCFの分極状態を示す図面である。図3Aに示すように、トランジスタM2,M1は、それぞれ、OFF、ONとなっている。また、強誘電体コンデンサCFの第1の端子3および第2の端子5には、それぞれ、“L”,“H”が印加されている。
図3Bに示すように、このとき、強誘電体コンデンサCFの分極状態は、P3を示す。なお、第1の被演算データとしてy=0が与えられた場合には、強誘電体コンデンサCFの分極状態は、P4を示すことになる。
なお、図2に示すように、この動作において、プリセットラインPREには“L”が与えられているため、トランジスタM3、M4は、それぞれ、OFF、ONとなっている。このため、出力ラインMLは“H”となっている。
図2に示すように、書き込み動作に続いて記憶保持動作が行われる。記憶保持動作においては、ワードラインWL、読み書きラインRWLには、それぞれ、“H”、“L”が与えられる。また、ビットラインBL、プレートラインPLには、ともに“L”が与えられる。
図4A、図4Bは、それぞれ、記憶保持動作時における論理演算回路1の状態および強誘電体コンデンサCFの分極状態を示す図面である。図4Aに示すように、トランジスタM2,M1は、それぞれ、ON、OFFとなっている。また、強誘電体コンデンサCFの第1の端子3および第2の端子5には、ともに“L”,が印加されている。
図4Bに示すように、このとき、強誘電体コンデンサCFの分極状態は、P1を示す。なお、第1の被演算データとしてy=0が与えられた場合には、強誘電体コンデンサCFの分極状態は、P2を示すことになる。
なお、図1に示すように、この動作においても、プリセットラインPREには“L”が与えられているため、トランジスタM3、M4は、それぞれ、OFF、ONとなっている。このため、出力ラインMLは“H”となっている。
図2に示すように、記憶保持動作に続いて演算動作が行われる。演算動作は第1期OP1、第2期OP2、第3期OP3に分けられる。演算動作の第1期OP1においては、記憶保持動作とほぼ同様の動作が行われる。ただし、ビットラインBに“H”が与えられる点で、記憶保持動作と異なる。
演算動作の第1期OP1も、記憶保持動作を示す図4A、図4Bを用いて説明することができる。すなわち、演算動作の第1期OP1においては、図4Aに示すように、トランジスタM2,M1は、それぞれ、ON、OFFとなっている。ただし、強誘電体コンデンサCFの第1の端子3および第2の端子5には、ともに“H”,が印加されている。この動作によって、第1の端子3が、すなわち、トランジスタMPのゲート容量CGが、電源電位Vddにプリチャージされる。
図4Bに示すように、このとき、強誘電体コンデンサCFの分極状態は、記憶保持動作の場合と同様に、P1を示す。なお、第1の被演算データとしてy=0が与えられた場合には、強誘電体コンデンサCFの分極状態は、P2を示すことになる。
また、図1に示すように、この動作においても、プリセットラインPREには“L”が与えられているため、トランジスタM3、M4は、それぞれ、OFF、ONとなっている。このため、出力ラインMLは“H”となっている。
図2に示すように、演算動作の第1期OP1に続いて第2期OP2の動作が行われる。第2期OP2においては、ワードラインWL、読み書きラインRWLには、ともに“L”が与えられる。また、ビットラインBLには、第2の被演算データであるxが与えられる。この実施形態においては、x=1のとき、ビットラインBLには“L”が与えられるよう構成されている。したがって、図2に示す演算動作の第2期OP2においては、第2の被演算データとしてx=1が与えられたことになる。なお、プレートラインPLには“L”が与えられている。
図5A、図5Bは、それぞれ、演算動作の第2期OP2における論理演算回路1の状態および強誘電体コンデンサCFの分極状態を示す図面である。図5Aに示すように、トランジスタM2,M1は、ともにOFFとなっている。また、強誘電体コンデンサCFの第2の端子5には、“L”が印加されている。
図5Bに示すように、図解法によれば、このとき、強誘電体コンデンサCFの分極状態は、P1からP7に移行する。このとき、トランジスタMPのゲート容量CGの状態は、P9からP7に移行する。すなわち、トランジスタMPのゲート端子の電位Vaは、Vddから、P1とP7の電位差(上述のVa1に等しい)へと変化する。
上述のように、トランジスタMPのしきい値電圧Vthと接地電位GNDとの差の絶対値Vath(この実施形態においてはVthに等しい)は式(3)を満たすように設定されているから、この場合、トランジスタMPはOFFとなる。
なお、第1の被演算データとしてy=0が与えられていた場合には、強誘電体コンデンサCFの分極状態は、P2からP8に移行する。このとき、トランジスタMPのゲート容量CGの状態は、P10からP8に移行する。すなわち、トランジスタMPのゲート端子の電位Vaは、Vddから、P2とP8の電位差(上述のVa2に等しい)へと変化する。この結果、y=1の場合と異なり、トランジスタMPはONとなる。
また、第1の被演算データとしてy=1が与えられており、第2の被演算データとしてx=0が与えられた場合(図2の演算動作におけるOP2‘に示す動作)には、図5Bに示すように、強誘電体コンデンサCFの分極状態は、P1のままである。このとき、トランジスタMPのゲート容量CGの状態は、P9のままである。すなわち、トランジスタMPのゲート端子の電位Vaは、Vddのままである。したがって、トランジスタMPはONとなる。
さらに、第1の被演算データとしてy=0が与えられており、第2の被演算データとしてx=0が与えられた場合には、図5Bに示すように、強誘電体コンデンサCFの分極状態は、P2のままである。このとき、トランジスタMPのゲート容量CGの状態は、P10のままである。すなわち、トランジスタMPのゲート端子の電位Vaは、Vddのままである。したがって、トランジスタMPはONとなる。
図2に示すように、演算動作の第2期OP2においては、プリセットラインPREには“H”が与えられるため、トランジスタM3、M4は、それぞれ、ON、OFFとなっている。このため、出力ラインMLの値は、トランジスタMPのON、OFFによって異なる。すなわち、図1に示すように、トランジスタMPのON、OFFに対応して、出力ラインMLの値は“L”,“H”となる。出力ラインMLの値“L”,“H”を、それぞれ、論理“0”,“1”と対応づければ、第1の被演算データy、第2の被演算データx、出力ラインMLの値(論理演算結果)の関係は、図6Aのようになる。
図6Aから、この論理演算回路1は、ML=x AND y(xとyの論理積)なる論理演算を行うことが分かる。
図2に示すように、演算動作の第2期OP2に続いて第3期OP3の動作が行われる。第3期OP3の動作は上述の記憶保持動作と同じ動作であるので、説明を省略する。
同一の第1の被演算データyと、種々の第2の被演算データxとの論理積を算出する場合には、図2に示すように、第1の被演算データyの書き込み動作を1回行った後、種々の第2の被演算データxについての演算動作を繰り返すよう構成しておけばよい。このような場合であっても、上述のように、演算動作によって第1の被演算データyが破壊されることはないから、第1の被演算データyを再書き込みする必要はない。
一方、第1の被演算データyと第2の被演算データxの双方が毎回変わる場合には、書き込み動作、記憶保持動作、演算動作を1サイクルとして、これを繰り返すよう構成しておけばよい。
なお、上述の実施形態においては、残留分極P1,P2を生ずるような第1の被演算データを、それぞれ、y=1,y=0と定義し、演算動作の第2期OP2においてビットラインBLを“L”,“H”とするような第2の被演算データを、それぞれ、x=1,x=0と定義することで、図6Aに示すように、ML=x AND y(xとyの論理積)の論理演算を行うことができるよう構成したが、この発明はこれに限定されるものではない。
たとえば、残留分極P1,P2を生ずるような第1の被演算データを、それぞれ,y=0、y=1と定義し、演算動作の第2期OP2においてビットラインBLを“L”,“H”とするような第2の被演算データを、それぞれ,x=0、x=1と定義すれば、図6Bに示すように、ML=x NOR y(xとyの論理和の否定)のような論理演算を行うこともできる。
さて、図1に示す論理演算回路1をブロック図で表すと図7Aのようになる。図7Aにおいては、強誘電体コンデンサCFを記憶機能ブロック11で表し、強誘電体コンデンサCFおよびトランジスタMPをしきい演算機能ブロック13で表している。すなわち、図1に示す論理演算回路1は、記憶機能ブロック11に第1の被演算データyを記憶させておき、しきい演算機能ブロック13において第2の被演算データxと第1の被演算データyとの論理演算を行わせ、その演算結果にしたがってトランジスタMPのON、OFFを制御する回路と考えることができる。
図7Bは、図1に示す論理演算回路1を利用した連想メモリ(Content Addressable Memory)21を示すブロック図である。連想メモリ21は、検索ワード保持部23,ワード回路配列部25,出力回路部27を備えている。検索ワード保持部23は、検索対象である検索ワードSを保持している。ワード回路配列部25は、ワード回路B1、B2、…、Bnを備えている。出力回路部27は、ワード回路配列部25の出力に基づいて所定の処理を行う。
図7Cは、ワード回路の論理処理の内容を、ワード回路Biを例に説明するための図面である。図7Cから分かるように、ワード回路Biにおいては、次式に基づいて、Z(S,Bi)を算出する。
Z(S,Bi)=0(S=Bi),1(S≠Bi) ………式(9)
すなわち、ワード回路Biにおいては、ともにmビットの検索ワードSと参照ワードBiとが完全に一致した場合のみ、Z(S,Bi)=0となり、それ以外の場合は、Z(S,Bi)=1となる。
図8は、図7Cに示すワード回路Biを、論理演算回路1を用いて実現した場合の回路図である。図8に示すように、たとえば、論理演算回路1と同様の論理演算回路31においては、記憶機能ブロック33に第1の被演算データであるbimを記憶させておき、しきい演算機能ブロック35において第2の被演算データであるsm−1と第1の被演算データbimとの論理積を算出し、その演算結果にしたがってトランジスタ37のON、OFFを制御する。
同様に、論理演算回路41においては、記憶機能ブロック43に第1の被演算データである/bimを記憶させておき、しきい演算機能ブロック45において第2の被演算データである/sm−1と第1の被演算データ/bimとの論理積を算出し、その演算結果にしたがってトランジスタ47のON、OFFを制御する。
トランジスタ37とトランジスタ47とは直列に接続されているから、ノード51には、トランジスタ37の出力とトランジスタ47の出力との論理和が付与される。すなわち、直列に接続された論理演算回路31、41が1つのEXNOR回路15(bimとsm−1との排他的論理和の否定を求める回路)を構成している。
EXNOR回路15は、同様の構成のEXNOR回路53(bi1とs0との排他的論理和の否定を求める回路),EXNOR回路55(bi2とs1との排他的論理和の否定を求める回路)、…と並列に接続されているから,ノード51には、結局、EXNOR回路53,55、…、15の出力相互の論理積が付与されることになる。したがって、ノード51の反転出力として、上述の式(9)に示すZが得られる。
このように、図1に示す論理演算回路1を用いることで、容易に連想メモリ等の記憶演算回路を実現することができる。
なお、上述の各実施形態においては、トランジスタMPがNチャネルMOSFETである場合を例に説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、トランジスタMPがPチャネルMOSFETである場合にも、この発明を適用することができる。
また、上述の各実施形態においては、演算結果出力部を、第1の信号線に接続されるゲート端子と、ゲート端子に入力される制御信号に対応した出力信号を出力する出力端子と、を有する出力用トランジスタであって、制御信号として当該出力用トランジスタのしきい値電圧よりも第1の基準電位よりの電位が与えられるとOFFとなり、当該しきい値電圧よりも第2の基準電位よりの電位が与えられるとONとなる電界効果型の出力用トランジスタ、を備えるよう構成するとともに、論理演算結果が、当該出力用トランジスタの出力信号として得られるよう構成している。
そして、第1の信号線を、第1の被演算データに対応する分極状態を保持した強誘電体コンデンサの第1の端子を第2の基準電位にプリチャージするために、第2の基準電位に接続することができるよう構成するとともに、論理演算結果の出力に際し、第1の信号線を第2の基準電位に接続したあとその接続を解除し、その後、第2の信号線を第2の被演算データに対応する第1または第2の基準電位に接続し、このとき第1の信号線に発生する電位に基づいて、論理演算結果を出力するよう構成している。
しかしながら、この発明は、このような構成に限定されるものではない。たとえば、上述の構成において、強誘電体コンデンサの第1の端子を、第2の基準電位にプリチャージするのではなく、第1の基準電位にプリチャージするよう構成することもできる。
また、上述の各実施形態においては、演算結果出力部の例として、電界効果型のトランジスタを例に説明したが、演算結果出力部は、これに限定されるものではない。演算結果出力部としては、要は、第2の被演算データの付与により得られる強誘電体コンデンサの分極状態に基づいて第1および第2の被演算データの論理演算結果を出力するものであればよい。
また、上述の各実施形態においては、不揮発性記憶素子として強誘電体コンデンサを例に説明したが、この発明における不揮発性記憶素子は強誘電体コンデンサに限定されるものではない。一般的には、不揮発性記憶素子としてヒステリシス特性を有する素子が考えられる。
図10A〜図12Bは、不揮発性記憶素子として、TMR(Tunnel Magnetoresistance)素子(トンネル磁気抵抗素子)を用いた論理演算回路の例を説明するための図面である。図10Aは、不揮発性記憶素子としてTMR素子151を用いた場合における論理演算回路の一部を模式的に表した平面図である。図10B、Cは、それぞれ、図10Aにおける断面b−b、断面c−cを表す図面である。
図10A〜図10Cに示すように、TMR素子151は、誘電体により構成された薄膜状の非磁性層165と、強磁性体により構成された一対の強磁性層161、163とを備えている。強磁性層161、163は、非磁性層165を挟むように積層されている。TMR素子151を挟むように一対の入力ライン167,169が配置されている。入力ライン167,169は、それぞれ、強磁性層161,163に接するよう配置されている。
入力ライン167,169が、それぞれ第1および第2の信号線に対応する。強磁性層161,163の入力ライン167,169に接している部分が、それぞれ、不揮発性素子の第1および第2の端子161a,163aに対応する。
入力ライン167,169には、それぞれ、所望方向の電流を流すことができる。強磁性層163は自由層とも呼ばれ、入力ライン167,169に流れる電流の組合せによって磁化方向が変化するよう構成されている。一方、強磁性層161は固着層とも呼ばれ、入力ライン167,169に流れる電流によって磁化方向が変化しないよう構成されている。この例では、強磁性層161の磁化方向は、図面上で右方向(第1の磁化方向)に固定されている。
図11A〜図11Dは、書き込み動作において入力ライン167,169に流す電流IC1,IC2の方向と、強磁性層163の磁化方向の変化との関係を説明するための図面である。図11A〜図11Dにおいて、電流IC1が紙面に直交する方向であって紙面から手前方向に流れる場合をIC1=0とし、電流IC1が紙面に直交する方向であって紙面から奥方向に流れる場合をIC1=1としている。電流IC2の場合も同様とする。このとき入力ライン167,169周りに発生する磁界の向きを円弧状の矢印で示している。
図11A、図11Dに示すように、電流IC1,IC2が同方向の場合、TMR素子151近傍では、入力ライン167,169周りに発生する磁界が相互にうち消し合うため、強磁性層163の磁化方向は変化しない。すなわち、強磁性層163の記憶内容は書き込み動作前の記憶内容と同じである。
一方、図11B,図11Cに示すように、電流IC1,IC2が反対方向の場合、TMR素子151近傍では、入力ライン167,169周りに発生する磁界が相互に強調し合うため、強磁性層163の磁化方向は、それぞれ、図面上で右方向(第1の磁化方向)または左方向(第2の磁化方向)になる。すなわち、強磁性層163の記憶内容は書き込み動作によって、電流IC1,IC2の向きに応じた内容に更新される。
このように、電流IC1,IC2を制御することにより、TMR素子151にデータを書き込むことができる。
図12A,Bは、TMR素子151に書き込まれたデータに基づいてトランジスタMPを制御する方法、すなわち読み出し動作の方法を説明するための図面である。トランジスタMPのゲート端子は、入力ライン167を介してTMR素子151の端子161aに接続されている。TMR素子151の端子163aは、入力ライン169を介して電源153に接続されている。
TMR素子151の電気抵抗は、トンネル磁気抵抗効果により、強磁性層161,163の磁化方向が同一の場合には小さくなり、磁化方向が異なる場合には大きくなる。したがって、図12A,Bに示すように、電源153の電圧値を一定(例えば電源電位Vdd)とすると、強磁性層163の磁化方向が右向きの場合に流れる電流は、強磁性層163の磁化方向が左向きの場合に流れる電流に比べて大きくなる。これを利用して、TMR素子151に書き込まれたデータに基づいてトランジスタMPを制御するのである。
この場合、書き込み動作後の強磁性層163の磁化方向が右向きである状態、左向きである状態を、それぞれ、第1の被演算データy=1,y=0に対応させ、読み出し動作の際に入力ライン169に与える電位が電源電位Vddである場合、接地電位GNDである場合を、それぞれ、第2の被演算データx=1,x=0に対応させ、読み出し動作においてトランジスタMPがONとなる場合、OFFとなる場合を、それぞれ、演算結果データz=1,z=0に対応させると、この実施形態における論理演算回路は、不揮発性記憶素子として強誘電体コンデンサを用いた前述の論理演算回路の場合と同様に、次式を満足することがわかる。
z=x AND y
なお、本明細書において「A<=B」は、AはBよりも小さいか、または、AとBとは等しいことを意味する。
また、「強誘電体コンデンサの反転方向平均容量」とは、第1の被演算データに対応する強誘電体コンデンサの残留分極状態から、第2の被演算データを付与することにより得られる強誘電体コンデンサの新たな分極状態に至るまでの平均的な容量値であって、分極反転方向に向かう容量値をいう。
また、「強誘電体コンデンサの非反転方向平均容量」とは、第1の被演算データに対応する強誘電体コンデンサの残留分極状態から、第2の被演算データを付与することにより得られる強誘電体コンデンサの新たな分極状態に至るまでの平均的な容量値であって、分極反転方向と逆の方向に向かう容量値をいう。
この発明による論理演算回路は、強誘電体コンデンサと、第1の信号線と、第2の信号線と、演算結果出力部とを備えている。強誘電体コンデンサは、第1の被演算データに対応する分極状態を保持することができ、第1および第2の端子を有する。第1の信号線は、強誘電体コンデンサの第1の端子に接続されている。第2の信号線は、第1の被演算データに対応する分極状態を保持した強誘電体コンデンサの第2の端子に第2の被演算データを付与することができ、強誘電体コンデンサの第2の端子に接続されている。演算結果出力部は、第2の被演算データの付与により得られる強誘電体コンデンサの分極状態に基づいて第1および第2の被演算データの論理演算結果を出力することができ、第1の信号線に接続される。
また、この発明による論理演算方法は、第1および第2の端子を有する第1の強誘電体コンデンサに、第1の被演算データに対応する分極状態を保持させるステップと、分極状態を保持した強誘電体コンデンサの第1の端子を所定の基準電位に充電するステップと、第1の端子を所定の基準電位にした強誘電体コンデンサの第2の端子に第2の被演算データを付与することにより得られた強誘電体コンデンサの分極状態に基づいて、第1および第2の被演算データの論理演算結果を得るステップと、を備えている。
したがって、上記論理演算回路または論理演算方法によれば、強誘電体コンデンサの分極状態と論理演算結果とを対応させておくことで、第1の被演算データに対応する分極状態を保持させた強誘電体コンデンサに第2の被演算データを付与することにより得られる強誘電体コンデンサの新たな分極状態に基づいて、第1および第2の被演算データの論理演算結果を得ることができる。すなわち、強誘電体コンデンサを用いてデータの論理演算を行うことができる。
また、この発明による論理演算回路においては、第1および第2の信号線は、第1の被演算データに対応する分極状態を強誘電体コンデンサに生じさせるために、第1の基準電位および当該第1の基準電位と異なる第2の基準電位のうち一方の電位ならびに第1および第2の基準電位のうち他方の電位にそれぞれ接続される。
したがって、第1および第2の信号線を介して、任意の第1の被演算データを強誘電体コンデンサに記憶させることができる。このため、第2の被演算データのみならず、第1の被演算データも、随時、書き換えることができる。
また、この発明による論理演算回路においては、演算結果出力部は、第1の信号線に接続されるゲート端子と、ゲート端子に入力される制御信号に対応した出力信号を出力する出力端子と、を有する出力用トランジスタを備えている。当該出力用トランジスタは、制御信号として当該出力用トランジスタのしきい値電圧よりも第1の基準電位よりの電位が与えられるとOFFとなり、当該しきい値電圧よりも第2の基準電位よりの電位が与えられるとONとなる電界効果型の出力用トランジスタである。また、論理演算結果は、当該出力用トランジスタの出力信号として得られる。
したがって、第1の被演算データに対応する分極状態を保持させた強誘電体コンデンサに第2の被演算データを付与することにより得られる強誘電体コンデンサの新たな分極状態に基づいて発生する第1の信号線の電位が、しきい値電圧よりも第1の基準電位よりであれば出力用トランジスタはOFFとなり、しきい値電圧よりも第2の基準電位よりであれば出力用トランジスタはONとなる。このため、出力用トランジスタのしきい値電圧を適当に設定しておくことにより、論理演算結果を、当該出力用トランジスタの出力信号として得ることができる。
また、この発明による論理演算回路においては、第1の信号線は、第1の被演算データに対応する分極状態を保持した前記強誘電体コンデンサの第1の端子を第2の基準電位にプリチャージするために、第2の基準電位に接続することができる。また、当該論理演算回路は、論理演算結果の出力に際し、第1の信号線を第2の基準電位に接続したあとその接続を解除し、その後、第2の信号線を第2の被演算データに対応する第1または第2の基準電位に接続し、このとき第1の信号線に発生する電位に基づいて、論理演算結果を出力するよう構成されている。
したがって、第2の被演算データが第2の基準電位に対応する場合には、第1の信号線には、第1の被演算データの内容の如何にかかわらず、第2の基準電位が発生する。このため、第2の被演算データが第2の基準電位に対応する場合には、第1の被演算データの内容の如何にかかわらず、出力用トランジスタはONとなる。一方、第2の被演算データが第1の基準電位に対応する場合には、第1の信号線には、第1および第2の基準電位の間の電位であって、第1の被演算データの内容に対応した異なる電位が発生する。したがって、出力用トランジスタのしきい値電圧を上記異なる電位の間の電位に設定しておけば、第2の被演算データが第1の基準電位に対応する場合に、第1の被演算データの内容に対応して、出力用トランジスタはONまたはOFFとなる。すなわち、第1および第2の被演算データがある特定の組み合わせである場合のみ出力用トランジスタがOFFとなるような論理演算を行うことができる。
また、この発明による論理演算回路は、第1および第2の端子を有する強誘電体コンデンサと、第1および第2の端子にそれぞれ接続された第1および第2の信号線と、出力用トランジスタと、を備えている。出力用トランジスタは、第1の信号線に接続されたゲート端子と、ゲート端子に入力される制御信号に対応した出力信号を出力する出力端子と、を有し、制御信号として当該出力用トランジスタのしきい値電圧よりも第1の基準電位よりの電位が与えられるとOFFとなり、当該しきい値電圧よりも第2の基準電位よりの電位が与えられるとONとなる電界効果型のトランジスタである。また、当該論理演算回路は、以下の動作を行うよう構成されている。すなわち、当該論理演算回路は、第1および第2の信号線を、第1の基準電位および当該第1の基準電位と異なる第2の基準電位のうち一方の電位ならびに第1および第2の基準電位のうち他方の電位にそれぞれ接続することにより、第1の被演算データに対応する分極状態を強誘電体コンデンサに生じさせる。当該論理演算回路は、その後、第1および第2の信号線を、いずれも第2の基準電位に接続することにより、強誘電体コンデンサの残留分極状態に変化を生じさせることなく、第1の信号線を第2の基準電位にプリチャージする。当該論理演算回路は、その後、第1の信号線への電圧の印加を解除するとともに第2の信号線を第2の被演算データに対応する第1または第2の基準電位に接続し、このとき第1の信号線に発生する電位に対応して出力用トランジスタの出力端子にあらわれる出力信号を、第1および第2の被演算データの論理演算結果として得る。
したがって、出力用トランジスタのしきい値電圧を適当に設定しておくことにより、論理演算結果を、当該出力用トランジスタの出力信号として得ることができる。すなわち、強誘電体コンデンサを用いてデータの論理演算を行うことができる。
また、この発明による論理演算回路は、出力用トランジスタのしきい値電圧と第1の基準電位との差の絶対値Vathが強誘電体コンデンサの抗電界Vc以上であって、かつ、次式を満足することを特徴とする。
CG<=Pr/(Vd−Vc)、かつ、CFnon/CG+1<Vd/Vat h、
ここに、
CG:出力用トランジスタのゲート容量、
CFnon:強誘電体コンデンサの非反転方向平均容量、
Pr:強誘電体コンデンサの残留分極、
Vd:第1および第2の基準電位の差の絶対値。
また、この発明による論理演算回路は、出力用トランジスタのしきい値電圧と第1の基準電位との差の絶対値Vathが強誘電体コンデンサの抗電界Vcより小さく、かつ、次式を満足することを特徴とする。
CFnon/CG+1<Vd/Vath<CFrev/CG+1、
ここに、
CG:出力用トランジスタのゲート容量、
CFnon:強誘電体コンデンサの非反転方向平均容量、
CFrev:強誘電体コンデンサの反転方向平均容量、
Vd:第1および第2の基準電位の差の絶対値。
したがって、上記2つのいずれかの論理演算回路によれば、第1および第2の被演算データの如何なる組み合わせに対しても、第1の被演算データに対応する分極状態が、第2の被演算データの付与によって反転することはない。すなわち、出力用トランジスタのしきい値電圧と第1の基準電位との差の絶対値Vathが強誘電体コンデンサの抗電界Vc以上の場合であっても、絶対値Vathが強誘電体コンデンサの抗電界Vcより小さい場合であっても、第1および第2の被演算データの如何なる組み合わせに対しても、第1の被演算データを破壊することなく、論理演算を行うことができる。
また、この発明による論理演算回路は、2値データである第1の被演算データyに対応する不揮発的状態を保持する不揮発性記憶素子であって、第1および第2の端子を有する不揮発性記憶素子と、不揮発性記憶素子の第2の端子に2値データである第2の被演算データxを付与することにより得られる当該不揮発性記憶素子の状態に基づいて第1および第2の被演算データyおよびxの論理演算結果を2値データである演算結果データzとして出力する演算結果出力部と、を備えた論理演算回路であって、演算結果データzは、実質的に次式、
z=x AND y
を満足するよう構成されたことを特徴とする。
したがって、不揮発性記憶素子の不揮発的状態と演算結果データzとを対応させておくことで、第1の被演算データyに対応する不揮発的状態を保持させた不揮発性記憶素子に第2の被演算データxを付与することにより得られる不揮発性記憶素子の新たな不揮発的状態に基づいて、第1および第2の被演算データyおよびxの論理積を得ることができる。すなわち、不揮発性記憶素子を用いてデータの論理演算を行うことができる。
また、この発明による論理演算回路は、不揮発性記憶素子が強誘電体コンデンサを含み、不揮発的状態が当該強誘電体コンデンサの残留分極状態であることを特徴とする。したがって、不揮発性記憶素子として強誘電体コンデンサを用いることで、高速かつ低電圧での書き込みが可能となる。
また、この発明による論理演算回路は、第1の被演算データに対応する不揮発的状態を保持する不揮発性記憶素子と、不揮発性記憶素子に第2の被演算データを付与することにより得られる当該不揮発性記憶素子の状態に基づいて第1および第2の被演算データの論理演算結果を出力する演算結果出力部であって、不揮発性記憶素子の第1の端子に接続される演算結果出力部と、を備えたことを特徴とする。
したがって、不揮発性記憶素子の不揮発的状態と論理演算結果とを対応させておくことで、第1の被演算データに対応する不揮発的状態を保持させた不揮発性記憶素子に第2の被演算データを付与することにより得られる不揮発性記憶素子の新たな不揮発的状態に基づいて、第1および第2の被演算データの論理演算結果を得ることができる。すなわち、不揮発性記憶素子を用いてデータの論理演算を行うことができる。
また、この発明による論理演算装置は、上述のいずれかの論理演算回路を直列および/または並列に配置することにより所望の論理演算を行わせるよう構成したことを特徴とする。
したがって、論理演算部と記憶部とを1つの回路で兼用する上述の論理演算回路を多数組み合わせて所望の論理演算を行わせることで、記憶部を別に設ける従来の論理演算装置に比べ、配線に要する面積を含め、回路面積をかなり小さくすることができる。このため、装置の集積度を大幅に上げることができるとともに消費電力を抑えることが可能となる。また、記憶は不揮発的であるため、記憶を保持しておくための電力は不要となる。このため、動作時の電力消費量を低く抑えることができるとともに、待機時にはほとんど電力を消費しない。また、電源遮断に備えたバックアップ電源も不要となる。さらに、不揮発性記憶素子として強誘電体コンデンサを含む素子を用いた場合には、書き込み動作の高速化を図ることができる。
また、この発明による論理演算装置は、検索対象である検索ワードを保持する検索ワード保持部と、参照対象である参照ワードを保持するとともに当該参照ワードと検索ワードとの一致判断を行うワード回路であって、上述のいずれかの論理演算回路を並列および/または直列に配置して前記参照ワードの保持および一致判断を行うよう構成したワード回路と、を備えたことを特徴とする。
したがって、論理演算部と記憶部とを1つの回路で兼用する上述の論理演算回路を多数組み合わせて、参照ワードと検索ワードとの一致判断を行うワード回路を構成することで、従来の一致検索装置に比べ、配線に要する面積を含め、回路面積をかなり小さくすることができる。このため、装置の集積度を大幅に上げることができるとともに消費電力を抑えることが可能となる。また、記憶は不揮発的であるため、記憶を保持しておくための電力は不要となる。このため、動作時の電力消費量を低く抑えることができるとともに、待機時にはほとんど電力を消費しない。また、電源遮断に備えたバックアップ電源も不要となる。さらに、不揮発性記憶素子として強誘電体コンデンサを含む素子を用いた場合には、書き込み動作の高速化を図ることができる。
また、この発明による論理演算装置は、ワード回路が、参照ワードを構成する各ビットについてそれぞれ直列に接続された一対の論理演算回路を用いて参照ワードのビット値とこれに対応する検索ワードのビット値との排他的論理和の否定に対応する論理値を算出し、各一対の論理演算回路の出力を全て並列に接続することによりビットごとに算出された排他的論理和の否定に対応する論理値全体の論理積に対応する論理値を算出し、算出された論理積に対応する論理値を当該ワード回路の一致判断出力とするよう構成されたことを特徴とする。
したがって、参照ワードが検索ワードと完全に一致した場合にのみ一致出力を生成するよう構成することができる。このため、複数の参照ワードについて検索ワードとの一致判断を行わせることで、多数の参照ワードの中から検索ワードと完全に一致した参照ワードだけを抽出する高集積度、低消費電力の一致検索装置を、容易に構成することができる。
上記においては、本発明を好ましい実施形態として説明したが、各用語は、限定のために用いたのではなく、説明のために用いたものであって、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、添付のクレームの範囲において、変更することができるものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、この発明の一実施形態による論理演算回路1を示す回路図である。
図2は、論理演算回路1の動作を示すタイミングチャートである。
図3A、図3Bは、それぞれ、書き込み動作時における論理演算回路1の状態および強誘電体コンデンサCFの分極状態を示す図面である。
図4A、図4Bは、それぞれ、記憶保持動作時および演算動作の第1期OP1における論理演算回路1の状態および強誘電体コンデンサCFの分極状態を示す図面である。
図5A、図5Bは、それぞれ、演算動作の第2期OP2における論理演算回路1の状態および強誘電体コンデンサCFの分極状態を示す図面である。
図6Aは、論理演算回路1にML=x AND yなる論理演算を行わせる場合における第1の被演算データy、第2の被演算データx、出力ラインMLの値の関係を示す表である。図6Bは、ML=x NOR yなる論理演算を行わせる場合における第1の被演算データy、第2の被演算データx、出力ラインMLの値の関係を示す表である。
図7Aは、図1に示す論理演算回路1をブロック図で表した図面である。図7Bは、図1に示す論理演算回路1を利用した連想メモリ21を示すブロック図である。図7Cは、連想メモリ21におけるワード回路の論理処理の内容を、ワード回路Biを例に説明するための図面である。
図8は、図7Cに示すワード回路Biを、論理演算回路1を用いて実現した場合の回路図である。
図9Aおよび図9Bは、1の実施形態における強誘電体コンデンサCF、トランジスタMPの諸特性の関係を説明するための図面である。図9Cは、他の実施形態において、強誘電体コンデンサCFが分極反転を起こさない限界条件を説明するための図面である。
図10Aは、不揮発性記憶素子としてTMR素子151を用いた場合における論理演算回路の一部を模式的に表した平面図である。図10B、図10Cは、それぞれ、図10Aにおける断面b−b、断面c−cを表す図面である。
図11A〜図11Dは、書き込み動作において入力ライン167,169に流す電流IC1,IC2の方向と、強磁性層163の磁化方向の変化との関係を説明するための図面である。
図12A,図12Bは、TMR素子151に記憶されたデータに基づいてトランジスタMPを制御する方法(読み出し動作の方法)を説明するための図面である。

Claims (14)

  1. 第1の被演算データに対応する分極状態を保持することのできる強誘電体コンデンサであって、第1および第2の端子を有する強誘電体コンデンサと、
    前記第1の端子に接続された第1の信号線と、
    前記第1の被演算データに対応する分極状態を保持した前記強誘電体コンデンサの第2の端子に、第2の被演算データを付与することのできる第2の信号線であって、前記第2の端子に接続された第2の信号線と、
    前記第2の被演算データの付与により得られる前記強誘電体コンデンサの分極状態に基づいて前記第1および第2の被演算データの論理演算結果を出力する演算結果出力部であって、前記第1の信号線に接続される演算結果出力部と、
    を備えた論理演算回路。
  2. 前記第1および第2の信号線は、前記第1の被演算データに対応する分極状態を前記強誘電体コンデンサに生じさせるために、第1の基準電位および第2の基準電位のうち一方の電位ならびに前記第1および第2の基準電位のうち他方の電位にそれぞれ接続される、
    請求項1に記載の論理演算回路。
  3. 前記演算結果出力部は、前記第1の信号線に接続されるゲート端子と、前記ゲート端子に入力される制御信号に対応した出力信号を出力する出力端子と、を有する出力用トランジスタであって、前記制御信号として当該出力用トランジスタのしきい値電圧よりも第1の基準電位よりの電位が与えられるとOFFとなり、当該しきい値電圧よりも第2の基準電位よりの電位が与えられるとONとなる電界効果型の出力用トランジスタ、を備え、
    前記論理演算結果は、当該出力用トランジスタの前記出力信号として得られる、
    請求項1ないし2のいずれかに記載の論理演算回路。
  4. 前記第1の信号線は、前記第1の被演算データに対応する分極状態を保持した前記強誘電体コンデンサの前記第1の端子を第2の基準電位にプリチャージするために、第2の基準電位に接続することができ、
    前記論理演算結果の出力に際し、前記第1の信号線を前記第2の基準電位に接続したあとその接続を解除し、その後、前記第2の信号線を前記第2の被演算データに対応する第1または第2の基準電位に接続し、このとき第1の信号線に発生する電位に基づいて、論理演算結果を出力するよう構成された、
    請求項3に記載の論理演算回路。
  5. 第1および第2の端子を有する強誘電体コンデンサと、
    前記第1および第2の端子にそれぞれ接続された第1および第2の信号線と、
    前記第1の信号線に接続されたゲート端子と、前記ゲート端子に入力される制御信号に対応した出力信号を出力する出力端子と、を有する出力用トランジスタであって、前記制御信号として当該出力用トランジスタのしきい値電圧よりも第1の基準電位よりの電位が与えられるとOFFとなり、当該しきい値電圧よりも第2の基準電位よりの電位が与えられるとONとなる電界効果型の出力用トランジスタと、
    を備えた論理演算回路であって、
    前記第1および第2の信号線を、前記第1の基準電位および第2の基準電位のうち一方の電位ならびに前記第1および第2の基準電位のうち他方の電位にそれぞれ接続することにより、第1の被演算データに対応する分極状態を前記強誘電体コンデンサに生じさせ、
    その後、前記第1および第2の信号線を、いずれも前記第2の基準電位に接続することにより、前記強誘電体コンデンサの残留分極状態に変化を生じさせることなく、前記第1の信号線を前記第2の基準電位にプリチャージし、
    その後、前記第1の信号線への電圧の印加を解除するとともに第2の信号線を第2の被演算データに対応する前記第1または第2の基準電位に接続し、このとき前記第1の信号線に発生する電位に対応して前記出力用トランジスタの前記出力端子にあらわれる出力信号を、前記第1および第2の被演算データの論理演算結果として得る、
    よう構成された論理演算回路。
  6. 前記出力用トランジスタのしきい値電圧と前記第1の基準電位との差の絶対値Vathが前記強誘電体コンデンサの抗電界Vc以上であって、かつ、次式を満足する、請求項4ないし5のいずれかに記載の論理演算回路、
    CG<=Pr/(Vd−Vc)、かつ、CFnon/CG+1<Vd/Vath、
    ここに、
    CG:出力用トランジスタのゲート容量、
    CFnon:強誘電体コンデンサの非反転方向平均容量、
    Pr:強誘電体コンデンサの残留分極、
    Vd:第1および第2の基準電位の差の絶対値。
  7. 前記出力用トランジスタのしきい値電圧と前記第1の基準電位との差の絶対値Vathが前記強誘電体コンデンサの抗電界Vcより小さく、かつ、次式を満足する、請求項4ないし5のいずれかに記載の論理演算回路、
    CFnon/CG+1<Vd/Vath<CFrev/CG+1、
    ここに、
    CG:出力用トランジスタのゲート容量、
    CFnon:強誘電体コンデンサの非反転方向平均容量、
    CFrev:強誘電体コンデンサの反転方向平均容量、
    Vd:第1および第2の基準電位の差の絶対値。
  8. 2値データである第1の被演算データyに対応する不揮発的状態を保持する不揮発性記憶素子であって、第1および第2の端子を有する不揮発性記憶素子と、
    前記不揮発性記憶素子の第2の端子に2値データである第2の被演算データxを付与することにより得られる当該不揮発性記憶素子の状態に基づいて前記第1および第2の被演算データyおよびxの論理演算結果を2値データである演算結果データzとして出力する演算結果出力部と、
    を備えた論理演算回路であって、
    前記演算結果データzは、実質的に次式、
    z=x AND y
    を満足するよう構成された、論理演算回路。
  9. 前記不揮発性記憶素子は、強誘電体コンデンサを含み、
    前記不揮発的状態は、当該強誘電体コンデンサの残留分極状態である、
    請求項8に記載の論理演算回路。
  10. 第1の被演算データに対応する不揮発的状態を保持する不揮発性記憶素子と、
    前記不揮発性記憶素子に第2の被演算データを付与することにより得られる当該不揮発性記憶素子の状態に基づいて前記第1および第2の被演算データの論理演算結果を出力する演算結果出力部であって、前記不揮発性記憶素子の第1の端子に接続される演算結果出力部と、
    を備えた論理演算回路。
  11. 請求項1ないし10のいずれかの論理演算回路を直列および/または並列に配置することにより所望の論理演算を行わせるよう構成した論理演算装置。
  12. 検索対象である検索ワードを保持する検索ワード保持部と、
    参照対象である参照ワードを保持するとともに当該参照ワードと前記検索ワードとの一致判断を行うワード回路であって、請求項1ないし10のいずれかの論理演算回路を並列および/または直列に配置して前記参照ワードの保持および前記一致判断を行うよう構成したワード回路と、
    を備えた論理演算装置。
  13. 前記ワード回路は、前記参照ワードを構成する各ビットについてそれぞれ直列に接続された一対の前記論理演算回路を用いて前記参照ワードのビット値とこれに対応する前記検索ワードのビット値との排他的論理和の否定に対応する論理値を算出し、前記各一対の論理演算回路の出力を全て並列に接続することによりビットごとに算出された前記排他的論理和の否定に対応する論理値全体の論理積に対応する論理値を算出し、算出された前記論理積に対応する論理値を当該ワード回路の一致判断出力とするよう構成された、
    請求項12に記載の論理演算装置。
  14. 第1および第2の端子を有する第1の強誘電体コンデンサに、第1の被演算データに対応する分極状態を保持させるステップと、
    前記分極状態を保持した前記強誘電体コンデンサの前記第1の端子を所定の基準電位に充電するステップと、
    前記第1の端子を所定の基準電位にした前記強誘電体コンデンサの前記第2の端子に第2の被演算データを付与することにより得られた前記強誘電体コンデンサの分極状態に基づいて、前記第1および第2の被演算データの論理演算結果を得るステップと、
    を備えた論理演算方法。
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