JP4103750B2 - V型内燃機関の吸気装置 - Google Patents

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Description

この発明は、V型内燃機関の吸気装置、特に、機関運転条件に応じて吸気系を各バンク毎に独立した状態と両バンクで一体となった状態に切り換えることができる可変機構を備えた吸気装置の改良に関する。
例えばV型6気筒内燃機関においては、一方のバンクの#1,#3,#5気筒と、他方のバンクの#2,#4,#6気筒とで、吸気行程が重ならないことから、両バンクの吸気系を分離することにより低中速領域で大きな吸気動的効果を得ることができる。そして、高速高負荷域では、実質的な吸気管長を短くするように、左右バンクの容積室を互いに連通させることで、充填効率が向上することが知られている。
そのため、各バンク毎に一対の容積室を設け、かつ両容積室を連通する連絡通路に開閉弁を設けて、両者を機関運転条件に応じて連通もしくは分離させることができるようにした可変吸気装置が従来から種々提案されている。
特許文献1には、左右バンク毎に独立した一対のサージタンクの間に、両者の連通,遮断を切り換えるタンク制御弁を配置するとともに、各サージタンクから延びるブランチ通路の実質的な通路長を長短に切り換える一対のブランチ制御弁を備えたV型内燃機関用の吸気装置が開示されている。各サージタンクは、その吸気入口にスロットルチャンバを備え、ゴムホース等を介してエアクリーナ側から吸気が導入されることになる。
特開平7−102979号公報
上記従来の構成においては、低中速域においてタンク制御弁を閉じて両サージタンクを分離独立させたときに、スロットルチャンバから下流側の部分のみが各バンクの共鳴管となる。従って、共鳴管の長さを十分に確保するためには、ブランチ部の長さも含め、吸気コレクタ全体の外形寸法が非常に大きなものとなってしまう。換言すると、エンジンルーム内の限られたスペースの中に吸気装置を収容しようとした場合に、各バンクの共鳴管の長さが不十分となりやすく、低中速域でのトルク向上を十分に達成することができない。
この発明に係るV型内燃機関の吸気装置は、V型内燃機関のバンク間の上方に吸気コレクタが配置され、この吸気コレクタ内部で吸気系の切換が行われるようになっている。
上記吸気コレクタは、左右両側にそれぞれ第1,第2コレクタ部を備えるとともに、これらの第1,第2コレクタ部の間に、開閉弁を介して各コレクタ部と連通可能な容積室を備えている。つまり、開閉弁が閉じた状態では、各バンクの吸気系が分離独立し、開閉弁が開いた状態では、各バンクの吸気系が上記容積室とともに一体に連通する。
各コレクタ部の後端部には、それぞれ吸気入口が設けられている。
そして、本発明では、上記容積室の上方から後方へ延びる剛性を有する吸気入口管を備えており、この吸気入口管が、上記容積室の上方で二股状に分岐した形状に形成されるとともに、分岐した2本の管部が容積室後方で互いに交差し、かつUターンして各コレクタ部の吸気入口にそれぞれ接続されている。
このような構成では、上記開閉弁を閉じて各バンクの吸気系が分離独立した状態のときに、剛性を有する吸気入口管の分岐部から下流側の部分も各バンクの共鳴管の一部となるため、共鳴管の長さが長く得られる。そして、この共鳴管となる吸気入口管の一対の管部は、容積室の上方から後方へ延び、かつ互いに交差するとともにUターンして各コレクタ部へと向かうので、吸気コレクタ上方の空間を有効に利用しつつ、限られたスペース内で長い管長を得ることができる。また、左右バンクの共鳴管の長さを容易に等長化することができる。
さらに、本発明の一つの態様では、各バンク毎にスロットルチャンバを備えており、このスロットルチャンバが、各コレクタ部の吸気入口と各管部との間に配設されている。この場合、スロットルチャンバも、共鳴管の長さの一部となる。
この発明によれば、限られたスペース内で左右バンクの共鳴管の長さを長く確保することができ、低中速域におけるトルクをより向上させることができる。
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は、この発明に係るV型6気筒内燃機関用の吸気装置の一実施例を示している。この吸気装置は、V型内燃機関のバンク間の上方に配置される偏平な箱状の吸気コレクタ1と、この吸気コレクタ1と各気筒の吸気ポートを接続する下部マニホルド2と、から大略構成されている。上記下部マニホルド2は、図1に示すように、吸気コレクタ1の中央部下面に取り付けられ、左右バンクのシリンダヘッド3,4がこの下部マニホルド2を介して吸気コレクタ1に接続されるようになっている。
上記吸気コレクタ1は、コレクタボディ11とコレクタカバー12との2つの部材に分割して構成されているものであり、コレクタボディ11およびコレクタカバー12のそれぞれは、アルミニウム合金により一体に鋳造されている。
上記コレクタボディ11は、左右両側に、それぞれ第1コレクタ部13および第2コレクタ部14を備えている。これらのコレクタ部13,14は、気筒列方向(前後方向)に細長い箱状をなしており、互いにほぼ平行に配置されているとともに、それぞれの互いに対向する内側面から互いに内側へ各3本のブランチ部15が延びている。
これらの計6本のブランチ部15は、両コレクタ部13,14の間の領域において、互い違いに組み合わさるような形で並んで配置されており、かつそれぞれの先端部が、吸気コレクタ1の中央部に達しているとともに、下方へ向かって湾曲しており、吸気コレクタ1の下面中央部に下方へ向いたフランジ状に形成されたブランチ集合部16に、1列に並んで開口するように接続されている。上記下部マニホルド2は、このブランチ集合部16の下面に取り付けられ、各ブランチ通路を左右に振り分けて、シリンダヘッド3,4の吸気ポートに連通させている。この下部マニホルド2を介して、図1において左側のシリンダヘッド3(右バンク)の♯1,♯3,♯5気筒は、図右側のコレクタ部13に接続され、図右側のシリンダヘッド4(左バンク)の♯2,♯4,♯6気筒は、図左側のコレクタ部14に接続されている。
上記第1,第2コレクタ部13,14の後端部には、それぞれ吸気入口(図示せず)が開口する矩形のフランジ29,30が設けられている。これらの吸気入口となるフランジ29,30は、互いに内側を向くように斜めに傾けて形成されており、スロットル弁を内蔵したスロットルチャンバ31,32がそれぞれ取り付けられている。
また、2つのコレクタ部13,14の間には、コレクタカバー12の略矩形のカバー部41により覆われてなる容積室21が設けられている。詳しくは、複数本のブランチ部15を連ねるように、コレクタボディ11側に底壁(図示せず)が設けられているとともに、その周縁に、一つの平面に沿った略矩形のフランジ部22が形成されており、ここに、液体ガスケット等の適宜なシール材を介して上記カバー部41が取り付けられ、かつ複数のボス部42に配置されるボルト(図示せず)によって固定されている。これによって、カバー部41の内側に、密閉された容積室21が形成されている。
なお、上記下部マニホルド2は、上記コレクタカバー12を取り外した状態において、上記容積室21の内側から図示せぬボルトによって締付固定されている。
この実施例では、第1コレクタ部13と第2コレクタ部14とを直接に連通する連通路は具備しておらず、カバー部41により覆われた中央の容積室21に、各コレクタ部13,14がそれぞれ開閉弁54を介して内部で連通する構成となっている。上記開閉弁54は、ブラケット61を介して支持される負圧ダイヤフラム式アクチュエータ62を備えており、バタフライバルブ型の弁体を有するシャフト63の端部に設けられたリンクプレート63aに上記アクチュエータ62のロッド62a先端が連係し、負圧の導入・遮断に応じて開閉動作する。つまり、各コレクタ部13,14と容積室21との間では、3本のブランチ部15の間となる2箇所に、各コレクタ部13,14内と容積室21内とを連通させる開口部(図示せず)が形成されており、開閉弁54のシャフト63に設けられた一対の弁体がこれらの開口部を開閉する構成となっている。従って、一対の開閉弁54が上記開口部を閉じた状態では、両コレクタ部13,14は互いに独立したものとなり、一対の開閉弁54が上記開口部を開くと、両コレクタ部13,14が容積室21とともに互いに一体に連通したものとなる。
一方、上記コレクタカバー12においては、上記第1,第2コレクタ部13,14へ吸気を導くための吸気入口管44が、上記カバー部41の上面に、該カバー部41と一体に鋳造されている。
この吸気入口管44は、平面図上で見て略S字状をなすように湾曲しているものであって、図外のエアクリーナに吸気ダクトを介して接続される吸気取入口48が、第1コレクタ部13の側方において前方へ向かって開口しているとともに、ここから略90°湾曲して第1コレクタ部13の上を左右方向に横切り、さらにカバー部41の中央(左右方向の中央)付近で、後方へ湾曲しつつ左右に分岐している。つまり、分岐部44cにおいて第1管部44Aと第2管部44Bとに二股状に分岐して形成されている。そして、第1管部44Aは、湾曲部44a,44bで略90°ずつ2回湾曲してUターンするように方向転換し、その先端が、短いゴムホース33を介して第1コレクタ部13側のスロットルチャンバ31に接続されている。
一方、第2管部44Bは、そのまま真っ直ぐ進むような形で斜め後方へと延び、かつ上記第1管部44Aの湾曲部44a,44bの間の下方を通って、該第1管部44Aと交差している。この第2管部44Bの先端は、湾曲部44a,44bの間の第1管部44Aの側縁に沿って終端となっており、かつ矩形のフランジ71を備えている。つまり、このフランジ71は、第1管部44Aの側縁に沿って位置している。そして、このフランジ71に、同様のフランジ73を備えた金属製の中間ダクト72が接続され、該中間ダクト72の先端が、ゴムホース34を介して第2コレクタ部14側のスロットルチャンバ32に接続されている。上記中間ダクト72は、吸気入口管44と同じく剛性を有するアルミニウム合金の鋳造品からなり、フランジ73からスロットルチャンバ32側の端部へ亘って略90°以上方向が変化するように両端部が曲がっている。従って、第2管部44Bから中間ダクト72を介して第2コレクタ部14へと、全体として、Uターンするような形状となっている。なお、35は、ゴムホース33,34を締め付けるホースクランプである。
ここで、上記吸気入口管44は、上記吸気取入口48の部分では略円形の断面形状(図1参照)を有し、かつ、第1コレクタ部13と交差する付近から上下方向の寸法が小さな偏平な形状となっていくとともに、カバー部41の上では、第1,第2管部44A,44Bも偏平な断面形状を有し、かつ上述のようにカバー部41よりも後方の位置において上下に交差する。そして、第1管部44Aの先端および第2管部44Bの先端は、再び略円形の断面形状となる。なお、第1管部44Aと第2管部44Bとが交差する部分では、両者は、一体に連続したものとして鋳造されている。
また、カバー部41から突出した吸気入口管44の上流側部分を支持するために、上記吸気入口管44の中間部の両側に、貫通孔を備えた一対のボス部49が形成されており、第1コレクタ部13の上面に設けられたボルトボス部50に、図示せぬボルトにより結合されるようになっている。
上記の吸気入口管44等の組立手順としては、まず、コレクタカバー12取付前に、第1,第2コレクタ部13,14のフランジ29,30にスロットルチャンバ31,32を固定する。次に、第1コレクタ部13側のスロットルチャンバ31にゴムホース33でもって第1管部44Aを接続しつつ、コレクタカバー12のカバー部41をコレクタボディ11の上面のフランジ部22に合わせて固定する。次に、第2コレクタ部14側のスロットルチャンバ32と中間ダクト72の端部とをゴムホース34でもって接続した後、中間ダクト72のフランジ73と第2管部44B先端のフランジ71との位置を合わせ、図示せぬボルトで結合する。なお、ゴムホース33,34で接続されている箇所においても、互いに突き合わされる金属管同士の間隙は非常に小さく(例えば4〜5mm程度)、従って、実質的には、吸気系の管路全体が剛性の高い金属鋳造品から構成されている。
上記のように構成された吸気装置においては、例えば内燃機関が低中速域にあるときには、上記の一対の開閉弁54がそれぞれ閉じられる。これにより、第1コレクタ部13と第2コレクタ部14とが、互いに分離独立したものとなり、かつ容積室21からも切り離された形となる。従って、吸気入口管44の分岐部44cから下流側で左右バンク毎に独立した吸気系が構成されるとともに、分岐部44cから各気筒へ至るそれぞれの共鳴管としての管長が十分に長く得られ、かつ第1,第2コレクタ部13,14の実質的な容積が小さくなる。これにより、低中速域に適した吸気動的効果が得られ、体積効率の向上により低中速域のトルクが向上する。
また、例えば内燃機関が高速域となると、一対の開閉弁54がそれぞれ開かれ、第1コレクタ部13と第2コレクタ部14とが中央の容積室21に一体に連通する。従って、左右バンクの独立した部分の管長は短くなり、かつ各バンクの吸気系が合流する室の容量が非常に大きなものとなる。そのため、高速域に適した吸気動的効果が得られ、高速域の体積効率が向上する。
ここで、上記構成では、共鳴管として機能する剛性を有する吸気入口管44が吸気コレクタ1の容積室21上面から後方へ延び、かつ分岐した2つの管部44A,44Bが、いわゆる”たすき掛け状”となるように交差して配置されているので、エンジンルーム内の限られたスペースの中で、吸気装置全体をコンパクトにしつつ、各バンクの共鳴管の長さを十分に大きく確保することができる。また、途中に介在するスロットルチャンバ31,32も、共鳴管の長さの一部として有効に利用することができる。そして、上記のように第1,第2管部44A,44Bを交差させることにより、それぞれの流路が、より緩やかな曲率でもって大きくUターンする形となり、流れの片寄りが少なくなって、両バンクへ均等に吸気を導入することができるとともに、両バンクの共鳴管の長さを容易に等長化することができる。
また、第2管部44Bと中間ダクト72とを連結するフランジ71,73が、交差する第1管部44Aの側縁に沿って位置するため、図4に示すように、第1管部44Aと第2管部44Bとの高低差を利用して、フランジ71,73が外部に大きく突出しないようにすることができる。
さらに上記構成では、スロットルチャンバ31,32は、その入口側および出口側の双方が同じ吸気コレクタ1に接続されることになるため、内燃機関がロール振動等により振動しても、スロットルチャンバ31,32が片持ち状に振動することはなく、その振動が抑制される。しかも、カバー部41から側方へ突出した吸気入口管44が第1コレクタ部13のボルトボス部50に固定支持されるため、吸気入口管44が振動したり、カバー部41のシール性が低下したりすることがない。
なお、図示の実施例は、V型内燃機関を、クランクシャフト軸方向が車両前後方向に沿った形となる、所謂縦置き状態に車両エンジンルームに搭載する場合に好適なものである。つまり、開閉弁54のアクチュエータ62が車両の前方に、スロットルチャンバ31,32が車両のダッシュボード寄りに位置するものとなる。上記実施例では、カバー部41の前方寄り部分の上面位置に比べて、後方の吸気入口管44部分の上面は相対的に上方へ張り出しているが、これらによる吸気コレクタ1上面の全体的な傾斜が、エンジンルーム上面を覆うフードの傾斜に対応したものとなる。別体の吸気ダクトが吸気コレクタ1の上方を通る場合と異なり、上記吸気入口管44は吸気コレクタ1と一体に鋳造されたものであるので、余分な隙間を設ける必要はなく、フードとの間の間隙は、非常に小さなものとすることができる。
実施例の吸気装置を一対のシリンダヘッドとともに示す正面図。 この吸気装置を斜め前方から示す斜視図。 同じく平面図。 同じく背面図。
符号の説明
1…吸気コレクタ
2…下部マニホルド
3,4…シリンダヘッド
11…コレクタボディ
12…コレクタカバー
15…ブランチ部
21…容積室
31,32…スロットルチャンバ
41…カバー部
44…吸気入口管
54…開閉弁

Claims (6)

  1. V型内燃機関のバンク間の上方に吸気コレクタが配置されるとともに、この吸気コレクタ内部で吸気系の切換が行われるV型内燃機関の吸気装置において、
    上記吸気コレクタは、左右両側にそれぞれ第1,第2コレクタ部を備えるとともに、これらの第1,第2コレクタ部の間に、開閉弁を介して各コレクタ部と連通可能な容積室を備えており、
    各コレクタ部の後端部にそれぞれ吸気入口が設けられており、
    上記容積室の上方から後方へ延びる剛性を有する吸気入口管が、上記容積室の上方で二股状に分岐した形状に形成されるとともに、分岐した2本の管部が容積室後方で互いに交差し、かつUターンして各コレクタ部の吸気入口にそれぞれ接続されていることを特徴とするV型内燃機関の吸気装置。
  2. 各バンク毎にスロットルチャンバを備え、このスロットルチャンバが、各コレクタ部の吸気入口と各管部との間に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のV型内燃機関の吸気装置。
  3. 上記吸気入口管は、二股状の分岐部から両管部の交差部を含む範囲が一体に形成されており、一方の管部の先端が一方のスロットルチャンバに接続されているとともに、他方の管部の先端に、別部材からなる中間ダクトが接続され、該中間ダクトを介して他方のスロットルチャンバに接続されていることを特徴とする請求項2に記載のV型内燃機関の吸気装置。
  4. 交差部において下側となる管部に上記中間ダクトが接続されており、かつ上記中間ダクトと接続するためのフランジが、上側の管部の側縁に沿って形成されていることを特徴とする請求項3に記載のV型内燃機関の吸気装置。
  5. 上記容積室の上面開口を覆って該容積室を構成するカバー部と上記吸気入口管とが一体に鋳造されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のV型内燃機関の吸気装置。
  6. 上記吸気入口管の上流側部分が一方のコレクタ部の上面を横切るように、上記カバー部から側方へ突出して形成されており、かつ上記コレクタ部の上面に固定支持されていることを特徴とする請求項5に記載のV型内燃機関の吸気装置。
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