JP4102891B2 - スクリュー圧縮機 - Google Patents
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- Y10S55/00—Gas separation
- Y10S55/17—Compressed air water removal
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は略円筒縦形の油分離器及び該油分離器で分離した油を溜める油溜めを有するスクリュー圧縮機に関し、特に、冷凍サイクルに使用され、圧縮機の油上り量（圧縮機外への油の流出量）を低減するようにしたスクリュー圧縮機に好適なものである。
【０００２】
【従来の技術】
例えば、冷凍サイクルに使用されるスクリュー圧縮機は、互いに噛み合う少なくとも一対の雄ロータ、雌ロータ及び軸受を納めたケーシング、雄、雌ロータを支持する軸受を備えた吐出ケーシング、略円筒縦形の油分離器及び該油分離器で分離した油を溜める油溜めを有している。
【０００３】
略円筒縦形の油分離器としては遠心式油分離器があり、この遠心式油分離器は分離空間内の旋回流によって誘引される遠心力により油を壁面に付着させ、その油は内壁に沿って回りながら下降し、下部に設けられた油溜め（油溜め空間）に溜められる。また、ガスは一般に、分離空間の上部から吐出されるように構成されている。圧縮機の圧縮機構部から吐出されるガスに含まれる油を遠心分離作用により分離回収する例として、例えば特許文献１に開示されているサイクロン式と呼ばれる分離方式がある。この従来例では、圧縮機の吐出ガスを油タンク上部に設けたサイクロン式油分離室に導き遠心力を利用して油を一次分離し、次に油の再飛散防止策としてメッシュワイヤパッド等により微少なオイルミストを二次分離する構造としている。
上記特許文献１記載のように、遠心分離式の油分離器では、分離空間と油溜め空間を一体に構成するのが一般的である。
【０００４】
【特許文献１】
特開２００２−１３８９８０号公報
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上記の通り、遠心分離式油分離器では分離空間と油溜め空間とが一体に構成されるのが一般的であるが、高い分離効率を確保するためには油溜めの油の油面と油分離器上部に取付けた圧縮ガスの吐出管入口との距離（油面上部空間距離）を大きくする必要があり、分離器を小形化することが困難であった。
【０００６】
一方、油分離器を小形化しようとすると、必要な油保有量確保のため、油面上部空間距離を小さくしなければならず、当該距離が小さくなると吐出管へのガス流入時に油面から油が巻き込まれ、このため油上り量が著しく増大するという問題があった。
【０００７】
また、一般に、特許文献１に示すように、油分離器は圧縮機の吐出ケーシングと一体に構成されているが、圧縮機のオーバーホールの時、吐出ケーシングを取外して作業するが、吐出ケーシングの重量が重くなるため作業性が悪くなるという問題があった。更に、圧縮機は仕様によって、安全弁等の安全装置の取付け義務が課されているが、安全弁を圧縮機に取付けると圧縮機の据付け面積が大きくなるという欠点もあった。
【０００８】
本発明の目的は、簡単な構成で且つ小形化でき、しかもオーバーホール作業時の作業性も改善できるスクリュー圧縮機を得ることにある。
本発明の他の目的は、小形化を達成しつつ圧縮機の油上り量（圧縮機外への油の流出量）も低減できるスクリュー圧縮機を得ることにある。
本発明の更に他の目的は、吐出ケーシングを軽量化することができ、且つ安全装置を圧縮機に取付けてもコンパクトに構成できるスクリュー圧縮機を得ることにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、互いに噛み合う少なくとも一対の雄ロータ、雌ロータ及び軸受を納めたメインケーシング、前記雄、雌ロータを支持する軸受を備えた吐出ケーシング、略円筒縦形の遠心分離式の油分離器及び該油分離器で分離した油を溜める油溜めを有し、圧縮機のオーバーホール時に前記吐出ケーシングを前記メインケーシングから取外してメンテナンス作業をするスクリュー圧縮機において、前記油分離器及び前記油溜めを、前記一対の雄ロータ、雌ロータ及び軸受を納めたメインケーシングと一体に構成すると共に、前記油分離器の内部空間と前記油溜めとを、前記油分離器の油分離空間下部の一部に形成された少なくとも一つ以上の開口部によって連通し、更に前記油分離器の外壁に圧縮機吐出ガス通路に連通する安全弁が取付けられ、且つこの安全弁と前記油分離器中心とを結ぶ線がスクリューロータ軸と略平行となるように構成されていることにある。
【００１０】
前記油分離器の内部空間と前記油溜めとを連通する前記開口部は、前記油分離器内部空間の中心部から外周部側に向かって該開口部の幅が大きくなるように（開口部面積が次第に大きくなるように）扇形に形成すると良い。
【００１２】
また、前記油分離器の内部空間と前記油溜めとを連通する前記開口部は油分離器の油分離空間下部の一部で且つ油分離器内部空間の中心部から外周部側に向かって形成すると良い。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図面に基づき説明する。
図１は本発明の一実施例を示すスクリュー圧縮機の縦断面図、図２は図１のＡ−Ａ線断面図で、油分離器及び油溜り部の詳細図、図３は図２のＣ−Ｃ線断面図である。
【００１４】
スクリュー圧縮機は、少なくとも一対の雄ロータ６ｍ、雌ロータ６ｆ及びころ軸受１０，１１等を納めたケーシング（メインケーシング）１、吸入口８を有し駆動モータ７を収納したモータケーシング２、前記雄、雌ロータ６ｍ，６ｆを支持するころ軸受１２及び玉軸受１３等を備えた吐出ケーシング３を有しており、これらのケーシング１，２，３が互いに密封関係に接続されている。メインケーシング１にはその背面側又は前面側に、油分離器２４及び油溜め（油溜り空間）１９が一体に形成され、油分離器２４の内部は油分離空間４（図２参照）となっている。また、油分離空間４の下部には油溜め空間１９に連通する開口部１５が形成されている。更に、メインケーシング１には、円筒状ボア１６及びガスを円筒状ボア１６に導入する吸入ポート９が形成されている。円筒状ボア１６には、前記ころ軸受１０，１１，１２及び玉軸受１３で回転可能に支えられた前記雄雌一対のスクリューロータ６ｍ，６ｆが互いに噛み合わせて収納され、雄または雌ロータのいずれか一方の軸はモータケーシング２に収納された駆動用モータ７に直結されている。
【００１５】
ころ軸受１２及び玉軸受１３が収納された吐出ケーシング３は、ボルト等の手段によりケーシング１に固定されている。吐出ケーシング３の一端には、軸受室１７を閉止する遮蔽板１８が取り付けられている。
【００１６】
メインケーシング１及び吐出ケーシング３内には、図５に示すように、給油通路２５が形成されており、油溜め１９と各軸受部とを連通するように構成されている。
油分離器２４内に形成された油分離空間４の断面形状は円形または円形に近い形状に構成され、その中心部には例えば管のような内筒５が設けられている。
【００１７】
次に、冷媒ガス及び油の流れを説明する。
モータケーシング２に設けられた吸入口８から吸入された低温，低圧の冷媒ガスは、駆動用モータ７とモータケーシング２との間に形成されたガス通路、及びステータとモータロータ間のエアギャップを通過し、モータ７を冷却した後、メインケーシング１に形成された吸入ポート９から雄、雌のスクリューロータの噛み合い歯面と円筒状ボア１６により形成される圧縮室に吸入される。駆動用モータ７に直結された雄ロータ６ｍの回転に伴って冷媒ガスは圧縮室に導入され、圧縮室が縮小されていくことにより徐々に圧縮され、高温，高圧のガスとなって吐出ケーシング３に設けられた吐出ポート１４に吐出され、ここから吐出ケーシング３及びメインケーシング１に形成された油分離器入口通路２０を通り、油分離器２４の油分離空間４内へ吐出される構成となっている。圧縮時に雄、雌のスクリューロータに作用する圧縮反力のうちラジアル荷重はころ軸受１０，１１，１２により支持され、スラスト荷重は玉軸受１３により支持される。これら軸受の潤滑及び冷却用の油は、雄、雌ロータによる圧縮機構部の下部に形成されている高圧の油溜め空間１９から、各軸受部に連通するように形成されている油通路２５を介して、差圧により給油され、この給油された油はその後、圧縮ガスと共に油分離空間４内へ吐出される。
【００１８】
油分離器入口通路２０は油分離空間４の内壁の略接線方向に開口されており、圧縮ガス（冷媒）と油の混合体は、油分離器内壁に添うように流入して円筒形の内壁に添って旋回流となり、油は遠心作用によってガスから分離される。分離された油は壁面を伝わって落下し、前記油分離空間４と圧縮機内の油溜め１９とを連通する開口部１５を通り、油溜め１９に溜められる。開口部１５の形状は例えば図３に示すように長方形に形成すると鋳造等による製作が容易になる。
【００１９】
油分離空間４内に油を溜める構成とした場合、油面上部空間距離が小さくなるので、油分離空間４に生じる旋回流によって分離された油が再びガスと共に持ち去られ、再飛散が生じるが、本実施例によれば、分離した油を、油分離空間４下部の一部に形成した開口部１５を介して油溜り１９に回収するようにしたので、分離空間４内ガスの旋回流れによる持ち去りを防止できる。
なお、油分離後の圧縮冷媒ガスは吐出口２３から圧縮機外に吐出される。
【００２０】
本実施例では油分離器をメインケーシングに一体に形成したので、油分離器を吐出ケーシングに一体に形成した場合に比べ、吐出ケーシングを大幅に軽量化できる。このため、油分離器を圧縮機ケーシングと一体に構成するものでありながら、即ち油分離機構を圧縮機本体と別設置にする構成とせずに、軸受交換等のメンテナンス作業時、軽量化された吐出ケーシングを取外せば良く、作業性を格段に向上できる。
【００２１】
図４は図３に相当する図で、油分離器下部に形成した開口部１５の形状の他の例を示すものである。この例では、開口部１５の開口は油分離空間の中心部より外壁側に近くになるにつれ開口部の幅、即ち開口部面積が大きくなるように、扇形の形状に構成したものである。このように構成することにより、油は旋回流による遠心力により油分離空間４の外周側により多く移動するので、油分離空間の外周側ほど開口部の開口面積が大きい方が効率よく油を油溜め空間に迅速に回収できる効果がある。なお、開口部１５はの数は複数でも良い。
【００２２】
図５は図１に示したスクリュー圧縮機の平面断面図、図６は図１のＢ矢視図である。
油分離器２４には安全弁２２が取付けられる取付け口２１が設けられており、油分離器２４の中心と取付け口２１を結ぶ線はスクリューロータ６ｍ，６ｆの軸と略平行に構成されている。上記のように構成したことにより、安全弁２２を取付けた場合でも奥行き寸法ｂ（図６参照）は大きくならず、圧縮機の設置面積（長さ寸法ａ×奥行き寸法ｂ）を最小限にすることができる。
【００２４】
【発明の効果】
本発明では、油分離器と油溜りをロータを収容したケーシングと一体に構成したので、吐出ケーシングは油分離器や油溜りとは別体となるから大幅な軽量化が図れ、このため軸受の点検、補修、交換等のメンテナンス作業を容易に行なうことが可能となる。
【００２５】
また、油分離器の下部と油溜りを連通する開口部を油分離空間底部の一部に設ける構成としたことにより、油分離空間に油が溜まることがなく、油溜りに溜まった油が油分離空間のガス旋回流により巻き上げられるのも防止できるから、分離した油が吐出ガス中に再混入されるのを防止できる。このため、従来のように油面上部空間距離を大きく確保することが不要となり、小形化できる。更に、従来のようなメッシュワイヤパッドのようなものが必要なくなり、構造も簡単になる。
【００２６】
前記開口部の断面積を油分離空間の中心部から外周側に近くになるにつれ開口の幅（面積）が大きくなるように構成すれば、油分離空間で分離した油を効率よく油溜りに回収することができ、油上りの小さいスクリュー圧縮機が得られる。
【００２７】
更に、安全弁と油分離器中心を結ぶ線をスクリューロータの軸と略平行に構成することにより、スクリュー圧縮機の設置面積を小さくできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例を示すスクリュー圧縮機の縦断面図。
【図２】図１の油分離器及び油溜りの部のＡ−Ａ線断面図。
【図３】図２のＣ−Ｃ線断面図。
【図４】開口部の他の例を説明する図で図３に相当する図。
【図５】図１に示すスクリュー圧縮機の平面断面図。
【図６】図１に示すスクリュー圧縮機のＢ矢視図（側面図）。
【符号の説明】
１…ケーシング、２…モータケーシング、３…吐出ケーシング、４…油分離空間、５…内筒、６ｍ…雄ロータ、６ｆ…雌ロータ、７…駆動用モータ、８…吸入口、９…吸入ポート、１０、１１、１２…ころ軸受、１３…玉軸受、１４…吐出ポート、１５…開口部、１６…円筒状ボア、１７…軸受室、１８…遮蔽版、１９…油溜り空間、２０…油分離器入口通路、２１…安全弁取付け口、２２…安全弁、２３…吐出口、２４…油分離器、２５…油通路。
【発明の属する技術分野】
本発明は略円筒縦形の油分離器及び該油分離器で分離した油を溜める油溜めを有するスクリュー圧縮機に関し、特に、冷凍サイクルに使用され、圧縮機の油上り量（圧縮機外への油の流出量）を低減するようにしたスクリュー圧縮機に好適なものである。
【０００２】
【従来の技術】
例えば、冷凍サイクルに使用されるスクリュー圧縮機は、互いに噛み合う少なくとも一対の雄ロータ、雌ロータ及び軸受を納めたケーシング、雄、雌ロータを支持する軸受を備えた吐出ケーシング、略円筒縦形の油分離器及び該油分離器で分離した油を溜める油溜めを有している。
【０００３】
略円筒縦形の油分離器としては遠心式油分離器があり、この遠心式油分離器は分離空間内の旋回流によって誘引される遠心力により油を壁面に付着させ、その油は内壁に沿って回りながら下降し、下部に設けられた油溜め（油溜め空間）に溜められる。また、ガスは一般に、分離空間の上部から吐出されるように構成されている。圧縮機の圧縮機構部から吐出されるガスに含まれる油を遠心分離作用により分離回収する例として、例えば特許文献１に開示されているサイクロン式と呼ばれる分離方式がある。この従来例では、圧縮機の吐出ガスを油タンク上部に設けたサイクロン式油分離室に導き遠心力を利用して油を一次分離し、次に油の再飛散防止策としてメッシュワイヤパッド等により微少なオイルミストを二次分離する構造としている。
上記特許文献１記載のように、遠心分離式の油分離器では、分離空間と油溜め空間を一体に構成するのが一般的である。
【０００４】
【特許文献１】
特開２００２−１３８９８０号公報
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上記の通り、遠心分離式油分離器では分離空間と油溜め空間とが一体に構成されるのが一般的であるが、高い分離効率を確保するためには油溜めの油の油面と油分離器上部に取付けた圧縮ガスの吐出管入口との距離（油面上部空間距離）を大きくする必要があり、分離器を小形化することが困難であった。
【０００６】
一方、油分離器を小形化しようとすると、必要な油保有量確保のため、油面上部空間距離を小さくしなければならず、当該距離が小さくなると吐出管へのガス流入時に油面から油が巻き込まれ、このため油上り量が著しく増大するという問題があった。
【０００７】
また、一般に、特許文献１に示すように、油分離器は圧縮機の吐出ケーシングと一体に構成されているが、圧縮機のオーバーホールの時、吐出ケーシングを取外して作業するが、吐出ケーシングの重量が重くなるため作業性が悪くなるという問題があった。更に、圧縮機は仕様によって、安全弁等の安全装置の取付け義務が課されているが、安全弁を圧縮機に取付けると圧縮機の据付け面積が大きくなるという欠点もあった。
【０００８】
本発明の目的は、簡単な構成で且つ小形化でき、しかもオーバーホール作業時の作業性も改善できるスクリュー圧縮機を得ることにある。
本発明の他の目的は、小形化を達成しつつ圧縮機の油上り量（圧縮機外への油の流出量）も低減できるスクリュー圧縮機を得ることにある。
本発明の更に他の目的は、吐出ケーシングを軽量化することができ、且つ安全装置を圧縮機に取付けてもコンパクトに構成できるスクリュー圧縮機を得ることにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、互いに噛み合う少なくとも一対の雄ロータ、雌ロータ及び軸受を納めたメインケーシング、前記雄、雌ロータを支持する軸受を備えた吐出ケーシング、略円筒縦形の遠心分離式の油分離器及び該油分離器で分離した油を溜める油溜めを有し、圧縮機のオーバーホール時に前記吐出ケーシングを前記メインケーシングから取外してメンテナンス作業をするスクリュー圧縮機において、前記油分離器及び前記油溜めを、前記一対の雄ロータ、雌ロータ及び軸受を納めたメインケーシングと一体に構成すると共に、前記油分離器の内部空間と前記油溜めとを、前記油分離器の油分離空間下部の一部に形成された少なくとも一つ以上の開口部によって連通し、更に前記油分離器の外壁に圧縮機吐出ガス通路に連通する安全弁が取付けられ、且つこの安全弁と前記油分離器中心とを結ぶ線がスクリューロータ軸と略平行となるように構成されていることにある。
【００１０】
前記油分離器の内部空間と前記油溜めとを連通する前記開口部は、前記油分離器内部空間の中心部から外周部側に向かって該開口部の幅が大きくなるように（開口部面積が次第に大きくなるように）扇形に形成すると良い。
【００１２】
また、前記油分離器の内部空間と前記油溜めとを連通する前記開口部は油分離器の油分離空間下部の一部で且つ油分離器内部空間の中心部から外周部側に向かって形成すると良い。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図面に基づき説明する。
図１は本発明の一実施例を示すスクリュー圧縮機の縦断面図、図２は図１のＡ−Ａ線断面図で、油分離器及び油溜り部の詳細図、図３は図２のＣ−Ｃ線断面図である。
【００１４】
スクリュー圧縮機は、少なくとも一対の雄ロータ６ｍ、雌ロータ６ｆ及びころ軸受１０，１１等を納めたケーシング（メインケーシング）１、吸入口８を有し駆動モータ７を収納したモータケーシング２、前記雄、雌ロータ６ｍ，６ｆを支持するころ軸受１２及び玉軸受１３等を備えた吐出ケーシング３を有しており、これらのケーシング１，２，３が互いに密封関係に接続されている。メインケーシング１にはその背面側又は前面側に、油分離器２４及び油溜め（油溜り空間）１９が一体に形成され、油分離器２４の内部は油分離空間４（図２参照）となっている。また、油分離空間４の下部には油溜め空間１９に連通する開口部１５が形成されている。更に、メインケーシング１には、円筒状ボア１６及びガスを円筒状ボア１６に導入する吸入ポート９が形成されている。円筒状ボア１６には、前記ころ軸受１０，１１，１２及び玉軸受１３で回転可能に支えられた前記雄雌一対のスクリューロータ６ｍ，６ｆが互いに噛み合わせて収納され、雄または雌ロータのいずれか一方の軸はモータケーシング２に収納された駆動用モータ７に直結されている。
【００１５】
ころ軸受１２及び玉軸受１３が収納された吐出ケーシング３は、ボルト等の手段によりケーシング１に固定されている。吐出ケーシング３の一端には、軸受室１７を閉止する遮蔽板１８が取り付けられている。
【００１６】
メインケーシング１及び吐出ケーシング３内には、図５に示すように、給油通路２５が形成されており、油溜め１９と各軸受部とを連通するように構成されている。
油分離器２４内に形成された油分離空間４の断面形状は円形または円形に近い形状に構成され、その中心部には例えば管のような内筒５が設けられている。
【００１７】
次に、冷媒ガス及び油の流れを説明する。
モータケーシング２に設けられた吸入口８から吸入された低温，低圧の冷媒ガスは、駆動用モータ７とモータケーシング２との間に形成されたガス通路、及びステータとモータロータ間のエアギャップを通過し、モータ７を冷却した後、メインケーシング１に形成された吸入ポート９から雄、雌のスクリューロータの噛み合い歯面と円筒状ボア１６により形成される圧縮室に吸入される。駆動用モータ７に直結された雄ロータ６ｍの回転に伴って冷媒ガスは圧縮室に導入され、圧縮室が縮小されていくことにより徐々に圧縮され、高温，高圧のガスとなって吐出ケーシング３に設けられた吐出ポート１４に吐出され、ここから吐出ケーシング３及びメインケーシング１に形成された油分離器入口通路２０を通り、油分離器２４の油分離空間４内へ吐出される構成となっている。圧縮時に雄、雌のスクリューロータに作用する圧縮反力のうちラジアル荷重はころ軸受１０，１１，１２により支持され、スラスト荷重は玉軸受１３により支持される。これら軸受の潤滑及び冷却用の油は、雄、雌ロータによる圧縮機構部の下部に形成されている高圧の油溜め空間１９から、各軸受部に連通するように形成されている油通路２５を介して、差圧により給油され、この給油された油はその後、圧縮ガスと共に油分離空間４内へ吐出される。
【００１８】
油分離器入口通路２０は油分離空間４の内壁の略接線方向に開口されており、圧縮ガス（冷媒）と油の混合体は、油分離器内壁に添うように流入して円筒形の内壁に添って旋回流となり、油は遠心作用によってガスから分離される。分離された油は壁面を伝わって落下し、前記油分離空間４と圧縮機内の油溜め１９とを連通する開口部１５を通り、油溜め１９に溜められる。開口部１５の形状は例えば図３に示すように長方形に形成すると鋳造等による製作が容易になる。
【００１９】
油分離空間４内に油を溜める構成とした場合、油面上部空間距離が小さくなるので、油分離空間４に生じる旋回流によって分離された油が再びガスと共に持ち去られ、再飛散が生じるが、本実施例によれば、分離した油を、油分離空間４下部の一部に形成した開口部１５を介して油溜り１９に回収するようにしたので、分離空間４内ガスの旋回流れによる持ち去りを防止できる。
なお、油分離後の圧縮冷媒ガスは吐出口２３から圧縮機外に吐出される。
【００２０】
本実施例では油分離器をメインケーシングに一体に形成したので、油分離器を吐出ケーシングに一体に形成した場合に比べ、吐出ケーシングを大幅に軽量化できる。このため、油分離器を圧縮機ケーシングと一体に構成するものでありながら、即ち油分離機構を圧縮機本体と別設置にする構成とせずに、軸受交換等のメンテナンス作業時、軽量化された吐出ケーシングを取外せば良く、作業性を格段に向上できる。
【００２１】
図４は図３に相当する図で、油分離器下部に形成した開口部１５の形状の他の例を示すものである。この例では、開口部１５の開口は油分離空間の中心部より外壁側に近くになるにつれ開口部の幅、即ち開口部面積が大きくなるように、扇形の形状に構成したものである。このように構成することにより、油は旋回流による遠心力により油分離空間４の外周側により多く移動するので、油分離空間の外周側ほど開口部の開口面積が大きい方が効率よく油を油溜め空間に迅速に回収できる効果がある。なお、開口部１５はの数は複数でも良い。
【００２２】
図５は図１に示したスクリュー圧縮機の平面断面図、図６は図１のＢ矢視図である。
油分離器２４には安全弁２２が取付けられる取付け口２１が設けられており、油分離器２４の中心と取付け口２１を結ぶ線はスクリューロータ６ｍ，６ｆの軸と略平行に構成されている。上記のように構成したことにより、安全弁２２を取付けた場合でも奥行き寸法ｂ（図６参照）は大きくならず、圧縮機の設置面積（長さ寸法ａ×奥行き寸法ｂ）を最小限にすることができる。
【００２４】
【発明の効果】
本発明では、油分離器と油溜りをロータを収容したケーシングと一体に構成したので、吐出ケーシングは油分離器や油溜りとは別体となるから大幅な軽量化が図れ、このため軸受の点検、補修、交換等のメンテナンス作業を容易に行なうことが可能となる。
【００２５】
また、油分離器の下部と油溜りを連通する開口部を油分離空間底部の一部に設ける構成としたことにより、油分離空間に油が溜まることがなく、油溜りに溜まった油が油分離空間のガス旋回流により巻き上げられるのも防止できるから、分離した油が吐出ガス中に再混入されるのを防止できる。このため、従来のように油面上部空間距離を大きく確保することが不要となり、小形化できる。更に、従来のようなメッシュワイヤパッドのようなものが必要なくなり、構造も簡単になる。
【００２６】
前記開口部の断面積を油分離空間の中心部から外周側に近くになるにつれ開口の幅（面積）が大きくなるように構成すれば、油分離空間で分離した油を効率よく油溜りに回収することができ、油上りの小さいスクリュー圧縮機が得られる。
【００２７】
更に、安全弁と油分離器中心を結ぶ線をスクリューロータの軸と略平行に構成することにより、スクリュー圧縮機の設置面積を小さくできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例を示すスクリュー圧縮機の縦断面図。
【図２】図１の油分離器及び油溜りの部のＡ−Ａ線断面図。
【図３】図２のＣ−Ｃ線断面図。
【図４】開口部の他の例を説明する図で図３に相当する図。
【図５】図１に示すスクリュー圧縮機の平面断面図。
【図６】図１に示すスクリュー圧縮機のＢ矢視図（側面図）。
【符号の説明】
１…ケーシング、２…モータケーシング、３…吐出ケーシング、４…油分離空間、５…内筒、６ｍ…雄ロータ、６ｆ…雌ロータ、７…駆動用モータ、８…吸入口、９…吸入ポート、１０、１１、１２…ころ軸受、１３…玉軸受、１４…吐出ポート、１５…開口部、１６…円筒状ボア、１７…軸受室、１８…遮蔽版、１９…油溜り空間、２０…油分離器入口通路、２１…安全弁取付け口、２２…安全弁、２３…吐出口、２４…油分離器、２５…油通路。
Claims (3)
- 互いに噛み合う少なくとも一対の雄ロータ、雌ロータ及び軸受を納めたメインケーシング、前記雄、雌ロータを支持する軸受を備えた吐出ケーシング、略円筒縦形の遠心分離式の油分離器及び該油分離器で分離した油を溜める油溜めを有し、圧縮機のオーバーホール時に前記吐出ケーシングを前記メインケーシングから取外してメンテナンス作業をするスクリュー圧縮機において、
前記油分離器及び前記油溜めを、前記一対の雄ロータ、雌ロータ及び軸受を納めたメインケーシングと一体に構成すると共に、
前記油分離器の内部空間と前記油溜めとを、前記油分離器の油分離空間下部の一部に形成された少なくとも一つ以上の開口部によって連通し、更に
前記油分離器の外壁に圧縮機吐出ガス通路に連通する安全弁が取付けられ、且つこの安全弁と前記油分離器中心とを結ぶ線がスクリューロータ軸と略平行となるように構成されている
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。 - 請求項１において、油分離器と油溜め空間を連通する前記開口部は、前記油分離器内部空間の中心部から外周部側に向かって該開口部の幅が大きくなる扇形に形成されていることを特徴とするスクリュー圧縮機。
- 請求項１において、前記開口部は油分離器の油分離空間下部の一部で且つ油分離器内部空間の中心部から外周部側に向かって形成されていることを特徴とするスクリュー圧縮機。
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