JP4102840B2 - フィコビリソーム、誘導体およびその使用 - Google Patents

フィコビリソーム、誘導体およびその使用 Download PDF

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Description

発明の背景
フィコビリソームは、青緑藻類や紅藻類において主たる発色アンテナとして機能する、フィコビリタンパク質と無色のポリペプチドの錯体である(非特許文献1)。これら錯体の機能の保全性についての主な基準は、これらが、例えばPorphyridium cruentum フィコビリソームにおいて、フィコビリタンパク質成分の間で、フィコエリスリン(PE)からフィコシアニン(PC)、そして最終的にはアロフィコシアニン(APC)への高度に効率的なエネルギー伝達を示すことである。無色のポリペプチドは、適切な安定とエネルギー伝達のため、フィコビリソームの中でフィコビリタンパク質の組立と位置設定に関与する。
フィコビリソームは、種々の有機体から得たものでも、共通の性質を多数有する:(1)「錯体分子量」即ち、多数の分子から成るフィコビリソーム錯体1モルの重量が非常に大きい(5×106〜20106)、;(2)電磁波の可視領域において多数の極大吸収を示す;(3)モル吸光係数が高い(e>107-1cm-1);(4)フィコビリタンパク質の間、通常1またはそれ以上の感知性の種から蛍光を発する最終的なアクセプタへの指向性を持った振動エネルギー伝達の効率が高い(>90%);(5)単離したフィコビリタンパク質に対するストークシフトが大きい;(6)フィコビリタンパク質の量子収率が高い;(7)水性緩衝液への溶解度が高い;および(8)アロフィコシアニンを含有する核構造である。
単離したフィコビリソームは、ほぼ最適な条件下で、容易に遊離フィコビリタンパク質および種々のフィコビリタンパク質錯体に解離する。温和なイオン強度が低く(<0.5Mリン酸塩)、フィコビリソーム濃度が低く(<1mg/ml)、そして温度が低いと、フィコビリソームが解離する(非特許文献2;非特許文献3)。また、藻類を凍結しても、フィコビリソームを崩壊させることが報告されている(非特許文献4)。
形態学的には、フィコビリソームは、「ロッド(rods)」と呼ばれる順序よく積み上げられたスタック(stacks)に配置されるオリゴフィコビリタンパク質ディスクの錯体複合体である。一般に、数本のアーム状ロッドが、同じくロッドから形成される核となる部分から放射状に外に延び出る。異なる有機体から採取されたフィコビリソームは、これを構成するフィコビリタンパク質とロッドの数と型が種々異なり、形態学的にもまた科学量論的にも多様である。一般に、周辺部のロッドは、フィコエリスロシアニン、フィコエリスリン、および/またはフィコシアニンから構成され、核の部分はアロフィコシアニンとこれに連なるリンクタンパク質から構成される。
単離されたフィコビリタンパク質は、フィコビリソームの蛍光タンパク質成分であるが、イムノアッセイにおける指標(ラベル)として用いられてきた(例えば特許文献1参照)。しかし、無傷のフィコビリソームを単離して処理することが困難であるため、従来はこれらの巨大分子複合体が同様に利用できるとは考えていなかった。フィコビリソームが与えることのできる信号は、理論的には、単離されたフィコビリタンパク質より大きいため、業界では、アッセイのホストや他の用途のために検出可能なマーカとして利用できるよう、フィコビリソームの処理方法を求める声がある。
米国特許第4,520,110 号(Stryer外)およびKronick 外(1983年)「Clinical Chemistry」第29巻,第1582〜1586頁 Gantt(1975年)「Phycobilisomes:light harvesting pigment complex」BioScience,第25巻,第781〜788頁 Katoh,(1988年)「Methods in Enzymology」,第162巻,第313〜318頁 Gantt 外,(1979年)「Plant Physiology」,第63巻,第615〜620頁 Gantt 外,(1972年)「Journal of Cell Biology」,第54巻,第313〜324頁
発明の概要
本発明の目的は、特異結合アッセイ用ラベルとして有用な可溶性フィコビリソームを提供することである。
本発明のもう一つの目的は、リガンド、レセプタその他の有用な分子に共有結合したフィコビリソームを含むフィコビリソーム抱合体を提供することである。
本発明はさらに、特異結合アッセイで使用するのに適した不動性フィコビリソームを提供することも目的とする。
また、本発明は、フィコビリソームを検出可能なラベルとして用いてアッセイを行う方法も提供することを目的とする。
本発明のこれら及び他の目的は、以下に記載する一またはそれ以上の態様によって具体化される。本発明の一態様によれば、単離された可溶性の安定化された均質なフィコビリソームが提供される。このフィコビリソームは、1×gの加速度下では、24時間以内には沈降しない。さらに、遠心分離によって5分間1000×gの加速度にしても、55%を超える量が上澄み液に残る。
本発明のもう一つの態様によれば、特異的な分子種に共有結合したフィコビリソームが提供される。この分子種は、リガンド、レセプタおよび信号生成分子からなる群より選ばれる。
本発明のさらに他の態様によれば、多特異的な多価リガンドまたはレセプタに非共有結合した単離フィコビリソームが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、固体サポート上で不動化された官能基が損なわれていない単離フィコビリソームが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、分析物が特異的な結合相手(リガンドまたはレセプタ)に特異的に結合する能力によって測定される特異結合アッセイを行う方法が提供される。この分析においては、フィコビリソームは、分析物の類似体あるいはその分析物の特異的な結合相手をラベルするために用いられる。
本発明によるこれらおよび他の態様は、分析物のアッセイにおいて、非常に感度のよい、非等方性の検出手段を与える。しかし、酵素的なラベルと違って、フィコビリソームは、副基質、色素原、補因子、あるいは計時的な培養なしに、定量的に検出することができる。
好ましい態様の詳細な説明
フィコビリソームが、種々のアッセイやフォーマットで無傷のまま使用できるよう、安定化、抱合化、そして修飾できるというのは、本発明者の発見である。フィコビリソームは、構成要素たるフィコビリタンパク質の高い量子収率に加えて、とりわけその大きな分子量、吸光係数およびエネルギー移動効率のため、高感度なラベルとなる。フィコビリソーム内での方向性のあるエネルギー伝達は、一またはそれ以上の検知性のある種から末端のアクセプタにかけて起こる。検知性のある種は、第2の(「アクセプタ」あるいは「エミッタ」)発蛍光団を励起させる放出ピークを有する第1の発蛍光団である。このようなエネルギー伝達は、均質な特異結合アッセイと不動性のフィコビリソームを含むトランスデューサに適用することができる。
本発明によれば、均質な単離・可溶性・安定化フィコビリソームを製造する方法も提供される。フィコビリソームの均質性は、1×gの加速度下においては、24時間の培養中に沈降がないという事実によって示される。溶解度は、遠心分離によって評価することができる。「可溶性のフィコビリソームとは、5分間1000×gの遠心分離下で、55%を超えるフィコビリソームが上澄み液に残留するものをいう。そして、そのような遠心分離の後でも65%、75%、85%、さらには90%のフィコビリソームが上澄み液に残留することが望ましいが、本発明の方法によれば、このような残留率も可能である。フィコビリソームは、典型的には、ホルムアルデヒドやごく低濃度のグルタルアルデヒドで温和な架橋処理を施すことによって安定化される。他の中間的な、短い、あるいはほとんど長さがゼロの架橋剤も使用することができる。安定化したフィコビリソームは、天然のフィコビリソームとは対照的に、希釈したイオン強度(<0.5M)およびタンパク質濃度(<1mg/ml)の下でも安定である。さらに、グリセロール、スクロースおよびポリエチレングリコールの存在下でも安定である。機能的に損なわれていないフィコビリソームは、末端アクセプタの波長において主たる放出(発色)ピークを有する。
フィコビリソームには、シスチン、リジン、グルタミン酸、グルコーサミンなどを含むがこれらに限定されるものではない適当な物質と安定化反応を抑えることによって、特異的な化学基も付加することができる。このような化学基は、レセプタ、リガンドあるいは信号生成分子などの分子種をさらにフィコビリソームに結合する際に有用である。付加された官能基は、フィコビリソームを安定化された単離可能な複合体として用いるため、フィコビリソームを二量体化または重合するのにも用いることができる。
結合した分子種は、必ずしも必要ではないが、付加された化学基を介してフィコビリソームに抱合させることもできる。あるいはまた、安定化反応の際に、直接ホルムアルデヒドやグルタルアルデヒドなどと結合させることもできる。その他、結合した分子種は、特定の分子種とフィコビリソームの間の空間的あるいは立体化学的関係を変更するため、異なるスペーサアームを介して結合させることもできる。リガンドには、作用薬、拮抗薬、ハプテン、抗原、薬剤、ホルモントランスミッタ、補因子、ビタミン、毒素、オリゴヌクレオチドおよび、これらの分子を第二の分子に結合させて形成される抱合体が含まれるが、これらに限定されるものではない。レセプタには、抗体、抗体断片、抗体擬体、分子認識単位、付着分子、可溶性レセプタ、核酸、膜レセプタ、細胞レセプタ、および薬剤レセプタが含まれるが、これらに限定されるものではない。信号生成分子は、フィコビリタンパク質、染料分子、コロイド、発蛍光団、酵素、燐光化合物、酸化・還元化合物、および他のフィコビリソームが含まれるが、これらに限定されるものではない。
特定分子種のフィコビリソームは、本発明の光収集特性を実現するため、部位特異的、すなわちフィコビリソームの特定の部分へ結合する。これは、なかんずく、フィコビリソームのタンパク質成分の一つに特異的な抗体のような多価レセプタを介して行われる。多価レセプタは、リガンドとの結合部位を二ないし三個有する。本発明で用いる多価レセプタは、多特異的、すなわち二ないし三個のリガンドに対する結合部位を有する。このため、この多特異的なレセプタは、フィコビリソームをもう一つの分子種に結合させるのに用いることができる。フイコビリソームはまた、タンパク質抱合化の当業者には周知のいろいろな方法で、レセプタまたはリガンドに共有結合させることができる(Tijssen1,Wong2,Pierce3その他これらに記載された文献参照)。
1Tijssen,P.(1985年),「Practice and Theory of Enzyme Immunoassays」;R.H.Burdon and P.H.van Knippenberg編,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular biology,第15巻,Elsevier,New York.2Wong,S.S.(1991年),「Chemistry of Protein Conjugation and Crosslinking」,CRC Press,Boca Raton.
3Pierce Catalog & Handbook(1994年),Cross-linking/Protein Modification,第155〜200頁.
フィコビリソームはまた、微量滴定皿、微粒子、ポリマー性ビーズ、ポリマー性母材、合成膜、リポソームなどの固体サポートに固定(不動化)することもできる。このような不動化は、脂腺膜における特定のレセプタを介して生理学的に生じるフィコビリソームの脂腺膜への固定は含まない。フィコビリソームはまず藻類の細胞から単離され、ついで固体サポートに結合するか、またはこの結合の前に、修飾、抱合化または安定化する。結合は、共有結合でも非共有結合でもよいし、また特異的でも非特異的でもよい。結合の方法は、フィコビリソームを固体表面に対して好ましい方向に向けられるように最適なものにする。フィコビリソームタンパク質のただ一つある型は、リンク材としてのタンパク質にせよフィコビリタンパク質にせよ、固体サポートへの結合成分として用いることができる。いくつかの適用例においては、フィコビリソームは、グリッドや他のパターンのような整然とした配列に結合させるのが望ましい。
本発明に係るフィコビリソームは、特異結合アッセイに用いるのに特に適している。この特異結合アッセイには、イムノアッセイ、イムノ組織化学、血球計算、細胞の仕分け、リガンドまたはレセプタ結合アッセイ、タンパク質−蛋白質結合アッセイ、タンパク質核酸結合アッセイ、そして核酸−核酸結合アッセイなどがある。フィコビリソームは、典型的には、アッセイにおいて、特異結合の相手の一つをラベル付けするのに用いられる。例えば、フィコビリソームは、アッセイにかける分析物に特異的に結合するリガンドまたはレセプタをラベル付けするのに用いられる。その他、フィコビリソームは、その特異的な結合相手をめぐって分析物と競合するリガンドまたはレセプタである試薬分子をラベル付けするのにも用いられる。ラベル付けは、フィコビリソームが分析物に特異的に結合するかまたは競合する第1のリガンドまたはレセプタに結合する直接型でもよいし、またフィコビリソームが第1のリガンドまたはレセプタに特異的に結合するかまたは競合する第2のリガンドまたはレセプタに結合する間接型でもよい。フィコビリソームの特異的な結合相手への結合は、共有結合でもよいし非共有結合でもよい。フィコビリソームはまた、他の発蛍光団がフィコビリソームからの方向性エネルギーの伝達と同時に光を発する信号生成系の一部となる。フィコビリソームは、特異的な結合相手に結合する前に安定化することもできるし、これに直接抱合させることもできる。この他、フィコビリソームの調製手段には、凍結、凍結乾燥、および他の脱水方法がある。フィコビリソームの凍結は、0.1〜1Mのスクロースを存在させて行うのが望ましい。砂糖、塩、ポリマーおよび補助溶媒など他の安定化剤も使用することができる。特に有用な安定化剤は、トレハロース、ソルビトールおよびデキストランである。
特異結合アッセイに使用する場合は、フィコビリソームは、リガンド、レセプタ、および/または信号生成分子に、一段階、二段階あるいは多段階方法で抱合させる。一段階グルタルアルデヒド法は、精製工程に介入することなく、フィコビリソームをシーケンス式に安定化かつ抱合させるのに、効果的かつ簡便であることが分った。
業界で知られているアッセイフォーマットは、均質アッセイ、非均質アッセイ、競合アッセイおよびサンドイッチアッセイを含めて、どのようなものでも使用することができる。均質アッセイにおいては、二つの結合相手同士(例えばリガンドとレセプタ)の結合は、ラベルの作用に影響を及ぼし、結合済みの試薬と未結合の試薬の分離は必要でない。他方、非均質アッセイにおいては、生じた結合の量を測定するため、結合済みの試薬と遊離した試薬の分離が必要となる。そのようなアッセイの制限は、測光手段、蛍光分析手段、あるいは光電子手段によって達成できる。その他、定量的結果は、目視検査によって得られる。天然のフィコビリソームは、普通の抱合・アッセイ条件下では自発的に解離するため、通常のアッセイフォーマットの場合は、使用前に安定化させなければならない。
非均質特異結合アッセイにおいては、反応混合物は、液状の媒体を、特異的な結合相手に結合したフィコビリソームを含むラベル付けした抱合体に接触させることによって得られる。そのラベル付けした抱合体の結合相と遊離相が形成される。二つの相におけるラベル付けした抱合体の相対的な比率は、液状媒体中のリガンドの有無およびその存在量の関数である。ついで、結合相と遊離相は分離される。液状媒体中のリガンドは、結合相または遊離相中のフィコビリソームを検出ないし測定することによって定量される。
均質特異結合アッセイの方法はまた、容易に実行することができる。好ましい方法においては、フィコビリソームでラベル付けしたリガンドまたはレセプタを、第2の発蛍光団でラベル付けした特異的結合の相手と組み合わせて使用する。フィコビリソーム内でのエネルギー伝達は指向性があることから、フィコビリソームは、そのような蛍光エネルギー伝達アッセイにおいて、効率的なフォトンドナーあるいはアクセプタとして使用することができる。
フィコビリソームを使ったアッセイは、蛍光測定法だけでなく、電気化学的に検出することもできるため、電流計を使ったイムノセンサにおいて広く用いられている酵素電極に替わるフィコビリソーム電極の有効性をも示唆する。さらに、フィコビリソームは微小電子装置(例えばフォトダイオード、電荷結合素子)に指向性のある均質な結合をさせることができるため、ミクロンより小さいオーダーで効率的な光電子信号変換の手段ともなる。本発明においては、不動化された構造的に配向性をもつフィコビリソームからの指向性をもった光エネルギー伝達に応答する光電子コンバータ、トランジスタ、スイッチおよび増幅器のような「微小化された「バイオトランスデューサ」を企図している。
本発明に係る可溶性の安定化フィコビリソームは、特異結合をする相手への抱合化が不要な多数の用途をもつ。例えば、このフィコビリソームは、希釈や灌流の研究において感応性のあるトレーサとして使用したり、分析の際分子サイズのマーカとして使用できる。好ましい態様においては、これらは、危険性のあるこぼれ液を検出するのに用いる。フィコビリソームは、この最終濃度を約10ppm より小さくするため、使用前に危険性のある物質と混合することができる。次いで、フィコビリソームは、危険な物質が事故でこぼれたり、その適当な位置から除かれたときには検出される。検出可能なフィコビリソームが存在した場合は、液がこぼれたことを示す。
本発明によれば、フイコビリソームは、フィコビリタンパク質と少なくとも一本のロッドを含むリンカー(linker)タンパク質が自ら組み合わさってできる複合体である。本発明のフィコビリソームは、原核生物の青緑色細菌門(青緑藻類)または真核生物の紅藻類から得られる。藻類は、野生種、突然変異種、ハイブリッド(雑種)、あるいはフィコビリソーム構成要素を発現可能な遺伝子組替え種のいずれでもよい。また、藻類は、自然(野生)の環境から採取してもよいし、人工的に制御した条件下で成長させてもよい。このような人工的な条件は、天然の環境を模したものでもよいし、例えばフィコビリソームの組成を替えて色彩を所望のものに誘導するよう設計したものでもよい。人工的な条件は、独立栄養体、混合栄養体、従属栄養体のいずれかによる成長をさせるものでなければならない。
フィコビリソームは、細胞が崩壊する前にその場で(in situ)、または細胞崩壊後の細胞に拘束された形態で安定化された後、これを生成する有機体から単離される。さらにまた、フィコビリソームは、生体外(in vitro)安定化、抱合化または不動化の前に、無傷の状態で単離することもできる。他のモードにおいては、フィコビリタンパク質とリンカータンパク質は、フィコビリソームを生成するため生体外で単離・再構成される。
本発明で採用する安定化の方法としては、非共有結合によるものだけでなく、共有結合によるものも含まれる。共有結合による方法には、少なくとも二つのフィコビリソームタンパク質に跨がるポリマーの架橋および多点での結合が含まれる。架橋剤は、長さがゼロ(間に立つスペーサ原子なしに二つのフィコビリソーム基が直接結合する場合を含む)であるか、または種々の長さのスペーサアームを含む。非共有結合による安定化は、塩や砂糖などの補助溶媒や、ある種のポリマーや多価レセプタなどとの親和性に基づく相互作用、または凍結もしくは脱水のような物理状態の変化を利用して行う。
フィコビリソームの他の分子種への抱合を行うには、業界で知られた抱合化法が用いられる。直接的な結合でもよいし、スペーサアームや担体分子のような副次的な物質を介在させてもよい。
フィコビリソームの固体サポートへの固定(不動化)は、共有結合または非共有結合を利用して行う。非共有結合による方法には、受動吸収、親和性に基づく方法、カプセル化、補足および制御した付着などがある。不動化を行うと、構造が規則正しい生成物が得られる。フィコビリソームは、特別な方法によって、固体サポートに対して一定方向に配向される(例えば「コアアップ(core up)」あるいは「コアダウン(core down)」)。その他、固体サポート上でのフィコビリソーム間の間隔は、例えば二次元のアレーまたはグリッドを形成すべく区画ないしパターン化される。
本発明による特異結合アッセイは、定量的なものでも定性的なものでもよい。また分析物は小分子(特異結合がただ一個のものを含む)でも大分子(1個を超える結合部位を有するものを含む)でもよい。結合アッセイの結果を測定するための検出手段は、目視、光測定、蛍光測定あるいは電気化学的手段などがある。
フィコビリソームの単離
フィコビリソームを広範な単細胞藻類から単離する際の一般的な手法は、例えば Gantt外(1979年),「Plant Physiology」,第63巻:第615-620 頁に記載されている。フィコビリソームは、GanttおよびLipschultz(1972年),「Journal of Cell Biology」,第54巻:第313-324頁に記載された方法に変更を加えたものによって、紅藻類(例えばPorphyridium cruentum)および青緑藻類(例えばAnabaena variabilis,Spirulina plantensis)から単離される。バイオマスは、湿潤重量で24gまでは、最終的なスクロース勾配超遠心分離工程において、SW27ロータを6本の35ml遠心分離管を使って手軽に扱うことができる。フィコビリソームの回収率は、最初のバイオマスの0.1〜1.0%のオーダーである。
紅藻類および青緑藻類からの勾配超遠心分離を使ったフィコビリソームの単離
培養仕立てないし凍結仕立て(−20℃ないし−70℃)の藻類を、40〜500リットルの攪拌タンク中で独立栄養方式で培養し、連続的に蛍光を照射して遠心分離により収穫する。Porphyridium cruentum(P.cruentum)は、塩化ナトリウム、Tadros Metals 、即席海洋およびDunaliellaビタミンを含む人工的な海水媒体(pH8.0)中で20〜22℃で成長させることができる。またAnabaena variabilis は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、クエン酸、クエン酸アンモニウム第二鉄、A5 Metals(pH7.8)を含む二重強度のBG-11 媒体中で25℃で成長させることができる。
本明細書では特に断らない限り、調製に係る全工程は室温(20〜23℃)下で、0.05%のアジ化ナトリウムを含む0.75Mリン酸カリウム(pH 7.0-7.2;KPi緩衝液)中で行われる。24g(正味重量)の袋詰めした細胞を、48ml緩衝液中に再懸濁させる。次に、PMSF(1mM)、ベンズアミジン(5mM)およびDNase I(10 U/μリットルのRNase 遊離ストックを10μリットル)を添加する。懸濁は4回15mlづつ、1000〜1250p.s.i で稼働させたフランス製の圧力セル(Aminco)に通す。Triton X-100(2%)を添加して、崩壊した細胞混合物を20分間攪拌する。粒子状物は、SS34ロータを内蔵したSorvall RC-5B1冷蔵超高速遠心分離機を使い、15,000rpm の遠心分離に45分間かけて取り除く。上澄み液は、浮遊するクロロフィル分画の下からシリンジで吸い取った。(下層から上層に向けて)2Mのスクロース(4ml)、1Mのスクロース(8ml)、0.5Mのスクロース(7ml)および0.25Mのスクロース(7ml)(すべて0.75M KPi 溶液)の段階的な勾配をもつスクロース緩衝液6つのそれぞれに、最上層として、約9mlの層が形成されていた。勾配液は、SW27ロータを使って、12〜18時間25,000rpm の遠心分離にかけた。遠心分離後は、緑色、褐色、赤褐色、赤紫、紫および透明の各層(上層から下層に向けて)が種々の分離度で識別された。このうち、赤紫色帯(ロッドとフィコビリタンパク質凝集体)と紫色帯(フィコビリソーム)だけを取り出した。赤紫色帯は、パスツールピペットを使って吸引により取り出し、2〜8℃で貯蔵した。安定化と抱合化したロッドは、この分画から調製し、ゲルクロマトグラフィーで精製し、不動化した。1.0Mスクロース層における紫色のフィコビリソーム帯は、抽出して一時貯蔵し、KPi緩衝液で4倍に希釈してから40分間SS34ロータを使って15,000rpm の回転数で遠心分離する。得られた上澄み液は、ペレット化された沈殿物(存在する場合)と分離し、2時間VTi50 ロータを使って30,000rpm の回転数で遠心分離する。最終的な上澄み液を迅速かつ注意深く吸引すると、フィコビリソームを含むペレットが最小限のKPi緩衝液に再懸濁する。タンパク質の濃度は、Lowry 外(1951年)の方法によって測定される。タンパク質の測定は、スクロースとTriton X-100の干渉に対する適当な比較例としてウシの血清アルブミンを用い、Folin フェノール試薬(「J.Biol.Chem」,第193 巻:第265-275 頁)を使って行う。吸収スペクトルは、島津モデルUV-160記録装置付きスペクトロフォトメータで測定する。蛍光スペクトルは、4mlの石英製キュベット内のものを、Compudyne PCに接続されたSpex FluoroMaxフルオロメータを使って、室温で記録する。
一般に、フィコビリソームの放射スペクトルは、フィコビリソームを、遠方側のフィコビリタンパク質の吸収極大(例えばP.cruentum B-PEにあっては545nm)で励起することによって得られる。フィコビリソームは、通常以下の特徴を有する:1)タンパク質1mg当りの極大吸収(例えばP.cruentum B-PE にあっては、1mg当りAU545),2)所定濃度当りの蛍光信号(例えば無傷のフィコビリソーム10ng/ml についてのEmaxにおける1秒当りの計数(cps)),3)フィコビリタンパク質間エネルギー伝達の効率を反映する一またはそれ以上の蛍光比(例えばAPC/B-PE結合の指標としてのP.cruentum B-PE にあっては、666nm と573nm)。
勾配超遠心分離によらないフィコビリソームの大規模な単離
公知の方法(例えばGantt とLipschultz(1972年)前掲およびGantt外(1979年)前掲)によるフィコビリソーム単離の簡便性、規模およびコストパフォーマンスには、勾配超遠心分離との対比によって厳しい基準がある。フィコビリソームの大規模で経済的な生産を可能ならしめるため、フィコビリソームを、種々の有機体から、勾配超遠心分離によらずに単離する手順が開発された。Triton X-100による安定化とPEG による沈殿を使ってAnabaena variabilis のフィコビリソームを単離する方法は、他の有機体、特にP.cruentumからは、無傷のフィコビリソームを得ることはできなかった。Triton X-100とPEG の除去中にP.cruentumのフィコビリソームを保護するためには、さらに処理工程が必要である。スクロースあるいはホルムアルデヒドのどちらを処理する方法も有効であることが分った。以下に要点を示したのは、スクロースの処理手順である。これは、修正を加えれば、rhodophytes(例えばP.cruentum)とcyanophytes(例えばAnabaena variabilis,Spirulina platensis)の両方に有効であることが分った。調製の規模は、遠心分離機とロータの組み合わせを選択し、容積を調整すれば、容易に変更できる。
細胞は、その湿潤重量1g当り0.75MのKPi(pH 6.8)溶液5mlに懸濁させた。PMSFとベンズアミジンを、それぞれ最終濃度が1mMと5mMになるように添加し、懸濁液を1000-1250p.s.i.のフレンチ圧力セルに3回通した。細胞膜に関連するフィコビリソームは、0.75MのKPi(PH 6.8)溶液中で、2%のTriton X-100とともに20分間攪拌しながら処理することによって溶解する。崩壊した細胞を調製するには、細胞膜の断片と粒子状の屑を除去するため、SS34ロータを備えたSorval RC-5B冷蔵超高速遠心分離機を使い、15,000rpm の回転数で20分間遠心分離する。上澄み液は、浮遊するクロロフィル層の下から、吸引によって収集する。ペレットは廃棄する。ついで、ポリエチレングリコール8000を、濃度が15%(重量/容量)となるまで、先の上澄み液に添加する。この混合物は1時間攪拌し、SS34ロータを使い、15,000rpm の回転数で20分間遠心分離する。そして、上澄み液は廃棄する。ペレットは、0.75MのKPi中で穏やかに渦巻きを描きながら、2Mのスクロースをスクロースの最終濃度が1.5Mとなるまで添加することによって再懸濁させる。スクロースの添加後30分したら、懸濁液を、0.75MのKPi(PH 6.8)で約4倍に希釈し、VTi50 ロータを使ったBexkman L8-M超遠心分離装置を用いて回転数40,000rpm で3時間(20℃)遠心分離にかける。上澄み液は廃棄する。ペレットは、最小量の0.75MのKpi(pH6.8)溶液に再懸濁するが、タンパク質、吸光および蛍光をそれぞれ測定して同定し(前掲参照)、フィコビリソームの供給源に応じて、冷蔵下または室温下で貯蔵する。
フィコビリソームの安定化
公知の文献(例えばKatoh(1988年)「Phycobilisome stability」,「Methods in Enzymology」,第167巻,第313〜318頁,Academic Press;およびGantt 外(1979年)前掲書)によれば、単離されたフィコビリソームは、不安定で、タンパク質濃度とイオン強度が減少していく。フィコビリソーム内エネルギー伝達は、濃度に関連した545nmの励起線による666/573nm蛍光放出比の減少によって示されるように、蛋白質または(約1mg/ml以下)の緩衝液(約0.5M KPi以下)希釈後の数分間に中断される。
公知の特異結合アッセイに用いるフィコビリソームでラベル付けした安定なリガンドとレセプタを何度も調製できるようにするためには、まずフィコビリソームを安定化する:1)共有結合による安定化は、好ましくはタンパク質修飾の分野でよく知られた(例えばWong(1991 年)「Chemistry of Protein Conjugation and Crosslinking」,CRC Press)長さが短いかゼロの二官能基性試薬を使って、フィコビリソーム内(サブユニット間)の架橋によって達成される。2)共有結合による安定化はまた、炭水化物、脂質、オリゴヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、ポリアミノ酸、無秩序または秩序立ったアミノ酸のコポリマー、ヌクレオシド、砂糖または他の小さな有機分子などの天然または合成ポリマーを多部位結合させることによっても達成される。このフィコビリソームのサブユニット間を共有結合させて相互に連結する方法は、一工程でも二工程でも行うことができる。3)非共有結合による安定化は、フィコビリソームの解離を熱力学的に好ましくないものにする補助溶媒、洗剤あるいは他の緩衝添加剤を使って行うことができる。4)非共有結合、すなわち親和力に基づいた安定化はまた、少なくとも二つのフィコビリソームサブユニットに跨がる官能基結合部位に対して確固たる親和力を有する分子または分子群を使っても行うことができる。適当な親和力を有する分子は、天然の、修飾したあるいは合成した抗体または抗体断片、オリゴヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、レクチン、炭水化物または小さな有機分子のポリマーの、ランダムなふるい分けあるいは組み合わせによって選択される。
フィコビリソームは、長さが短か目から中位の架橋剤を使い、一工程反応によって安定化させることができる。試薬と反応条件は、フィコビリソーム間重合よりもフィコビリソーム内架橋にとって好ましいものとなるよう選択する。鎖長が中位のホモ二官能基性ジアルデヒドであるグルタルアルデヒド(GA)ならびに鎖長が短いモノアルデヒドであるホルムアルデヒド(FA)は、両方とも、希釈によって誘発されるエネルギー伝達の寸断からフィコビリソームを保護するのに効果がある。GAを使った場合はフィコビリソームの安定化の程度が最大になるが、このときは一部が溶解しない。この事実は遠心分離あるいは長期の格納後に明らかになる。GAを使ったときの不溶解現象は、GAとフィコビリソームの濃度と反応時間をともに最適にすれば最小限にとどめることができる。その他、条件は、8000gで2分間遠心分離をしたとき、沈降物を完全に分離しながら、GAで安定化されたフィコビリソームは均質な懸濁状態にとどめたまま得られるよう、調整することができる。GAの安定化効果は、フィコビリソームを、GA/フィコビリソームの重量比が低い状態(たとえば0.027%のGA/0.727%のフィコビリソーム)から、GAで緩衝した反応混合物で希釈してGA/フィコビリソームの重量比を高める(たとえば0.10%のGA/0.10%のフィコビリソーム)よう、順序立てて処理することによって改善することができる。GAで処理する場合とは対象的に、鎖長が短い架橋剤(例えばFA)で安定化する場合は、効果が最大になるのは、可溶性のフィコビリソームが凝集体や沈殿したりすることのないときである。
フィコビリソーム調製物のサイズ分布と浮力密度への安定化および抱合化処理の効果を測定するため、フィコビリソーム単離時に用いたものに似た不連続なスクロース勾配について、反応前駆体および反応生成物の挙動を評価した。リジンで反応を終了させGAで安定化させたフィコビリソーム、未精製のフィコビリソーム抗体抱合体および未修飾のフィコビリソームをそれぞれ0.5mg、0.75MのKPi(pH 7.35)中に2.0M、1.0M、0.5Mおよび0.25Mのスクロースを含むそれぞれ2.5mlの溶液からなる10mlのスクロース勾配に適用した。核勾配は、70.1Tiロータ中で回転数50,000rpm の下に20時間(18℃)遠心分離にかけた。未修飾のフィコビリソーム勾配の上半分には、赤紫色の帯(ロッドとB−PE凝集体)が現れたが、これは天然のフィコビリソームがこれまでの条件下で一部分解したことを示している。GAで安定化させたフィコビリソームとフィコビリソーム抗体の抱合体勾配は、これとは対照的に、1.5Mスクロース域に単一の帯を形成した。これらの結果は、1)GAで安定化処理すると、超遠心分離中のフィコビリソームの解離を防止することができる;2)GAによる一工程での安定化/抱合化プロセスは、フィコビリソームあるいは抱合体の制御不能な重合を引き起すことはない;3)安定化したフィコビリソームおよび抱合体は、上述の共有結合による架橋の後も可溶性のままとどまる。
修飾したフィコビリソームのラテックス微球体への不動化
リジンで消光させ、ケルクロマトグラフィーで精製された、FAで処理したフィコビリソームとフィコビリソーム抗体抱合体(「修飾したフィコビリソーム」)は、共有結合または受動吸収によって均一なラテックス粒子に不動化される。培養はすべて、室温で回転させながら行う。蛍光性および非蛍光性のカルボキレートで修飾したラテックス微粒子(粒径0.03〜1μm)は、1〜10mg/mlの最終濃度で使用した。
微粒子への受動吸収は、20〜200μg/mgの不動化率(μg(タンパク質/mg(粒子))の下、100mMのリン酸塩溶液(pH 7.2)中で1〜16時間かけて行った。修飾したフィコビリソームとラテックスの懸濁液は、150mM の塩化ナトリウムを含む100mM のKPi中で8000gの加速度の下に、遠心分離を繰り返して洗浄した。
共有結合による不動化は、100mM MES(pH 6.8)中で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDAC)を用いる一工程手順においても、同じタンパク質/粒子比の下に行われる。修飾したフィコビリソームは、攪拌しながら、粒子懸濁液の中に一気に注ぎ、1〜2時間反応させた後、遠心分離で洗浄する。
長期にわたって保存する場合には、不動化したフィコビリソームは、1%FAで後処理を施し、リジンで消光させ、ナトリウムシアノボロヒドリドで還元させた後、150mM の塩化ナトリウムと0.05% のアジ化ナトリウムを含む100mM KPiで洗浄した。
抗原と抗体の常磁性粒子への不動化
不動化は、以下のプロトコルに従って室温下で行った。
アミンで修飾したBioMag(高磁性体)を、10mMのリン酸ナトリウム(NaPi; pH 7.35)の激しい渦巻き流中で5回洗浄し、粒子濃度が5〜10mg/ml となるように磁性体を分離した。最終洗浄の後、湿潤下ケーキは、6.25%のGA(Sigma)中で25mg/mlの濃度に再懸濁させ、室温下で3時間攪拌する。このGAで処理した粒子はNaPi中で6回洗浄した。洗浄を終えた、GAで活性化させた粒子は、タンパク質を含むPBS(pH 7.2-7.4)で、3〜10mg/mlに不動化させ、BioMag 1mg当り100〜160μgタンパク質を産生すべく、再懸濁させた。BSAは、BioMag粒子上のイムノ反応体間の間隔を調整するドーピング剤として含有させる。タンパク質溶液の一部は、不動化効率を測定するために保存しておく。タンパク質と粒子を含むスラリーは、室温で16〜24時間攪拌する。粒子は、磁気を使って分離する。上澄み液はデカントし、残留するタンパク質の推測を行うために保存しておく。未反応のGA基は、粒子を、1Mのグリシン(pH 8.0)中で約10mg/mlの濃度に再懸濁させることによって消光させ、その後1時間攪拌した。消光させた粒子はPBS(pH 7.4)中で2度洗浄し、2mg/mlのBSAを含むPBS中で2〜4時間攪拌して粘着させた。粘着させた粒子は、1mg/mlのBSAを含むPBS中で3度洗浄し、粒子濃度が10mg/mlとなるまで再検索させ、2〜8℃で保存した。一方、使用する方は、不動化させた試薬を長期にわたる保存中の浸出から保護するため使用する前に、粒子濃度が約1mg/mlのアッセイ緩衝液中で激しい渦巻き流により3回洗浄した。
抗原と抗体の微小滴定溜めへの不動化
タンパク質は、以下のプロトコルに従って、表面を修飾したポリスチレン製微小滴定プレートに受動吸収される。抗原と抗体は、ホウケイ酸ガラス管または50mlのポリプロピレン製遠心分離管において、50mMのカーボネート緩衝液(pH9.6)または10mMのリン酸ナトリウム(Ph 7.4)中で、使用の直前に2〜20μg/mlに希釈した。透明なポリスチレン製のImmulon 4(商品名)または白色のMicrolite 2(商品名)(平底の微小滴定プレ(Dynatech))を、1皿当り100μリットルの割合で、37℃で2時間、室温(20〜23℃)で4時間、または2〜8℃で15〜24時間かけて、抗原・抗体を塗布した。プレートはデカントし、洗浄緩衝液(BSAを1mg/ml含むPBS(pH 7.4))を充填して1度だけ洗浄した後、またデカントした。プレートは、1時間かけて、2mg/mlのBSAを含むPBS200μリットルでブロッキングを施し、さらに洗浄緩衝液で5回洗浄した。
実施例
実施例1:非共有結合によるフィコビリソーム−抗体抱合体特異結合アッセイ
末修飾のフィコビリソームは、特異結合試薬の調製と使用に用いる典型的な条件下では急速に解離するため、非共有結合によるフィコビリソーム抱合体は、プロセスの各工程において、フィコビリソームの濃度と反応条件に注意が必要であった。0.5〜20IgG2b/フィコビリソームのモル比を得るため、IgG2b サブタイプ(Sigma Chemical Company 製造)のネズミのモノクローナル抗体による抗フィコエリスリン抗体を、激しく攪拌しながら、2.5mg/mlのBSAを含む0.6MのKPi(pH 7.2)中のP.cruentumのフィコビリソーム(5.6mg/ml)に滴下した。反応は、室温下で30分間進行させた。免疫学的抱合体形成は、常磁性粒子上に不動化されたヤギ抗マウスIgG2b 抗体を使うと、IgG2b-フィコビリソーム複合体が特異的に補足されることによって示される。50μリットルのBioMag-IgG2b(1%のBSAを含む0.75M KPi で洗浄され、濃度は30mg/ml)を、200μgのフィコビリソームを含む40μリットルの抱合体混合物に添加した。補足試薬を添加した後、アッセイ混合物は、6.7mg/mlのBSAを含む0.66MのKPi中に拘束されたIgG2bとともにまたはこれなしで、2.2mg/mlのフィコビリソームを含む。この混合物は、室温下で30分間培養し、磁気を帯びたプレート(Corning社製)上に分離した。そして、0.75MのKPi中で40倍に希釈した上澄み液を使って、545nmにおける吸光度を測定した。IgG2bを増加させると、その投与量に応じて吸光度が減少した。これは、BioMag-IgG2bを介して特異結合によりフィコビリソーム-IgG2b複合体が生じたことを示している。特異結合が最大(26%)になるのは、IgG2bが1〜3μgのときで、これを超えると、固体相の容量が不足するため結合割合は減少する。
実施例2:ホルムアルデヒドを用いた安定なUSフィコビリソーム試薬の調製
フィコビリソームを検出する試薬として使用する場合は、このフィコビリソームは通常、構造的には無傷(「非解離状態」)にとどまらなければならない。非均質の特異結合アッセイ(測定前は、結合した首都遊離した種は無傷のまま分けてられていなければならない)に使用するには、フィコビリソームは、縫合、精製、アッセイならびに製品の製造、輸送および貯蔵の間、自発的な解離を防ぐため、安定化されていなければならない。共有結合による安定化方法は、フィコビリソームが、溶解度を損なうことなく、エネルギー結合および/または構造的な一体性を保存するように開発された。制御なく重合や中和を行ったときに生ずる沈殿を防ぐため注意深く最適化した条件の下では、架橋剤を使用した。最適化の際重要なパラメータには、架橋剤の型と反応性、絶対試薬と相対試薬ならびにフィコビリソームの濃度、反応時間、pHならびに反応終結と精製の方法が含まれる。P.cruentumのフィコビリソームを用いて例示したホルムアルデヒドによる安定化は、以下のように行った。
単離したフィコビリソームは、0.05%のアジ化ナトリウムを含む0.75MのKPi(pH 7.2)中におけるタンパク質濃度を8.0mg/mlに調整した。最終的な濃度が1.0%になるよう、FA(0.75H KPi 中で11%)を攪拌しながら滴下した。反応混合物は、室温下で18時間放置し、1MのL−リジンで消光させた。そして、長期保存するため、FAで処理したフィコビリソームをナトリウムシアノボロヒドリドで還元し、150mM の塩化ナトリウムと0.05% のアジ化ナトリウムを含む100mM のKPi(pH 7.2)で平衡させたセファローズCL−6Bで精製した。
フィコビリソームの希釈後における解離のしやすさは、希釈後の時間と量に応じたFA処理を施すことによって防止した。種々のFA濃度で18時間処理した調製物を、吸光度と蛍光を測定する前に(545nm励、起、0.75M KPi(pH7.2)中で、65μg/mlと0.6μg/mlの濃度に分けて、2時間かけて培養した。
Figure 0004102840
エネルギー伝達が最適に保持されたのはFA濃度が1%のときであった。FA濃度を2%にして処理した場合も、ほぼ同程度の保持が得られた。
イオン強度が低くした緩衝液中でフィコビリソームが解離しないよう安定化させるためにも、同じようなFA処理条件が必要であった。FAで処理したフィコビリソームは、0.1MのKPi中で約0.75μg/mlに希釈し、40時間室温下で放置した。時間間隔を増大させるため1%のFAで処理した調製物の蛍光に関するデータを以下のように要約した。
Figure 0004102840
FAの安定化効果が架橋フィコビリソームの大きな不溶性のポリマーが形成によるものであるかどうかを調べるため、FAを使った調製物を遠心分離で推定した。フィコビリソームは、濃度が3.0%までのFAを使って処理した。反応は、室温下で2〜18時間かけて行った。そして、可溶性の修飾済フィコビリソームの回収率を、十分に混合した調製物の545nmにおける吸光度を、8000gでの遠心分離を2分間行って得られた上澄み液のものと比較して推定した。沈殿の相対的な%割合は、FAで処理した調製物の回収率(%)を未処理の比較例のものから差し引いて測定した。高いFA濃度で長時間処理したものだけが、十分な沈殿を生起した。
Figure 0004102840
FAで修飾したフィコビリソーム(2%のFAで5時間処理)は、室温下で18週間放置しても、沈殿が生じなかった。さらに、FAで処理したフィコビリソームは、攪拌の有無にかかわらず、回収率、抱合効率およびイムノアッセイの成果において、違いが見られなかった。これらの結果は、FAで処理したフィコビリソーム調製物が、タンパク質の修飾、精製、イムノアッセイおよび長期保存に適する均質な溶液のごとき挙動をしたことを示している。
FAで処理したフィコビリソームは、通常の条件に従い、室温下で貯蔵した。一方、参照試料は、安定性の比較のため、2〜8℃で冷蔵した。FAで安定化させたフィコビリソームの吸光度および蛍光は、島津モデルUV-160記録計付きスペクトロメータおよびSPEX FluoroMaxフルオロメータを使って測定した。
実施例3:グルタルアルデヒドを用いた安定な修飾済フィコビリソーム試薬の調製
フィコビリソームは、0.05% のアジ化ナトリウムを含む0.75M KPi(pH 7.3)を用いて、濃度を2〜10mg/ml、好ましくは約8.0mg/mlに調整する。ついで、GA(0.75M KPi中で0.2-1.0%)を、その容量の10〜50%を2分間かけて滴下するか、あるいは3時間までかけてさらに3〜6分画を追加した。FAの添加後、反応混合物を室温下で1〜18時間放置した。修正した一工程GA法による抱合化に先立って設計した好ましい安定化プロトコルにおいては、7.27mg/mlのフィコビリソームと0.023%のGAを含む反応混合物は、第一アミンを含むリガンド(例えば抗原)またはレセプタ(例えば抗体)の添加前に、室温下で3時間培養する。あるいは、GAによる安定化反応は、過剰の第一アミン(例えば100mMのリジン、アルギニン、グリシン、シスチンまたはグルタミン酸)を添加すれば終結する。GAによる安定化の好ましいプロトコルにより、遊離アルデヒド以外の基を介して抱合化または不動化をする前に、フィコビリソーム(7.27mg/ml)をまず1〜2時間かけて0.023%のGAに使って安定化し、ついで、0.05〜0.15%のGAを先の5〜10%の容量を使用し1〜4時間かけて培養を行った。反応は、100mMのリジン、グリシン、シスチン、グルタミン酸または他の第一アミンを含有する消光剤を添加して終結させた。GAで安定化されたフィコビリソームは、未修飾のフィコビリソームとFAで安定化したフィコビリソームについて用いた方法により、吸光係数と蛍光を測定することによって同定した。P.cruentumから得た安定化フィコビリソームは、以下の性質について再現性があった:
−吸光係数: >4AU545/mg(平均は約5.0)
−蛍光信号(666nm): >104cps(1 ng/ml当り;545nmで励起)
−蛍光比: 666/573nm 放射比>3.0(545nmで励起)
GAの安定化効果は、以下のように滴定した。10mg/mlのフィコビリソームと0.003-0.3%のGAを含む反応混合物を得るため、GA(0.75M kpi中での濃度が0.03-3.0%)を、0.75M KPi中のフィコビリソームに攪拌しながら滴下した。室温で12時間経過したら、反応混合物を100mMのグリシンで消光させ、滴定前に2週間室温下で貯蔵した。
希釈に対する安定性は、得られた調整物を、0.75MのKPi(PH7.2)中において10μg/mlの濃度で種々の時間培養することによって測定した。濃縮したフィコビリソーム貯蔵物は、一気に10μg/mlまで希釈した。希釈した調整物の545nmで励起したときの放射スペクトルは、種々の時間間隔で記録した。蛍光データは、E666/E573比で表した。直後(希釈後30秒)の比は、未処理の比較例では平均2.10であるのに対し、0.03%のGAで処理したフィコビリソームにあっては3.21であり、これは比較例においては、大幅な希釈によって30秒以内に解離が生じたことを示している。
Figure 0004102840
GAの沈殿物中の濃度によって減少したイオン強度に対する安定化は、脱イオン水と0.75M KPi の種々の混合物を希釈した後に、比較例と0.03%のGAで処理したフィコビリソームの蛍光スペクトルを監視することによって評価した。0.03%のGAで処理したことによる安定化効果は、希釈後1時間以内に顕著に明らかになった。
Figure 0004102840
GA(およびFA)による安定化プロセスにおける消光、還元および精製工程の詳細は、用途によって異なる。アルデヒドで処理したフィコビリソームの性質は、消光反応に使用するアミノ酸(例えばグリシン、D−アルギニン、L−リジン)によって変化する。さらに、適当な消光剤(例えば、チオール基の導入にはL−シスチン、糖基の導入にはグルコサミン)を選択することによって、新しい化学基を好便に導入することができる。例えば、フィコビリソームは、0.023%のGAで処理し、10mMのL−シスチンで消光し、その後の使用に備えて貯蔵しても、あるいは以下のように還元、精製および抱合してもよい。シスチンで消光しGAで処理したフィコビリソームは、30mMのジチオエリスリトールで還元し、100mM のNaCl(pH 7.4)を含む100mM のKPiで平衡化したSepharose CL-6B で精製した。100mM のリン酸ナトリウム(pH 7.4)に溶解したSPDPを用いる確立した方法によって、ピリジルで誘導したストレプタビジンを調製した(SPDPとストレプタビジンのモル比は10)。生成物は、同一緩衝液中で透析によって精製し、ストレプタビジンとフィコビリソームのモル比が2〜10の範囲で、チオレート化フィコビリソームと反応させた。ストレプタビジンとフィコビリソームの抱合体は、Sepharose CL-6B で精製した。ビオチンと特異的な結合をしたことは、補足剤としての常磁性粒子上に不動化したビオチレート化したBSAを用いて示した。
実施例4:フィコビリソームおよび修飾済フィコノリソームの脱水形での貯蔵
試薬追加工程を除去する手段として多くの診断テストやキットに用いる際には、再現性を改善し、また寿命を延ばすためには、乾燥試薬の形が好ましい。試薬を長期保存のため乾燥するには、凍結乾燥が一般的な方法である。文献によれば、フィコビリソームは凍結に対して不安定である(例えばGantt とLipschultz(1972年)「Phycobilisomes of Porphyridium Cruentum」,J.Cell Biol.第54巻,第313-324頁;Canaani 外(1980年)「Reassembly of Phycobilisomes from Allophycocyanin and a Phycocyanin-Phycoerythrin Complex」,FEBS Letters,第115(2)巻,第225-229 頁)。フィコビリソームと抱合体の凍結乾燥は、乾燥試薬フィコビリソーム製品フォーマットの実現可能性を確立するために行った。
フィコビリソームは、0.75M KPi 中に8.8〜9.5mg/ml存在するP.cruentumから単離した。このうち2〜3ml(45〜190μg)を瞬間凍結し、微小滴定用の液体溜め中で真空蒸発させた。乾燥したフィコビリソームは、0〜4週間室温下で貯蔵し、再懸濁、希釈して、吸光度と蛍光を測定するため、3mlのキュベットに移した。緩衝液中に貯蔵しておいたフィコビリソーム(0.05%のアジ化ナトリウムを含む0.75M KPi中に8.8-9.8ml/ml存在する)は、参照例として使用した。
結果をみると、吸光度は影響されなかったが、蛍光の放射についてはわずかに影響があった。未修飾のフィコビリソームは、凍結乾燥と4週間の貯蔵に耐え、吸光度に変化はなかった。しかし、蛍光の強度とE666/E573の放射比は、未処理の比較例と比べると、凍結乾燥と4週間の貯蔵の後には、15〜20%減少した。凍結乾燥した沈殿物における蛍光強度が大きく減少したのは、0〜1週間であった。そして、1〜4週間の貯蔵中は、大きな変化はなかった。
共有結合により安定化したフィコビリソーム(フィコビリソーム−抗体抱合体)は、150mM の塩化ナトリウムと0.05% のアジ化ナトリウムを含む100mM のKPi 中で凍結乾燥した直後に、相当程度分解する。666nmにおける蛍光の放出は約60%減少し、E666/E573比も5分の1に減少した。そして吸収スペクトルはかき乱れた。凍結乾燥の前に1Mのスクロースを添加したところ、分解の徴候が緩和した。スクロースを補充したKPi中の凍結乾燥した抱合体には、4週間たっても、液体比較例または瞬間凍結乾燥した抱合体と比べ、蛍光と吸光度特性には顕著な変化は見られなかった。
実施例5:フィコビリソーム−抗体抱合体の調製
すべての工程は、室温下(20〜23℃)で行った。P.cruentumから単離したフィコビリソームは、アジ化ナトリウム(2mM)を含む0.75M KPi(pH 7.35)中で、濃度8mg/mlに規格化した。そして、GA濃度が0.023%でフィコビリソーム自身の濃度が7.27mg/mlの反応混合物を生成させるため、その10%の容量のGA(0.25%)を、攪拌しながら2分間にわたって滴下した。反応混合物は、2時間放置した。親和力で精製したFcに特異的なヤギの抗マウスIgG(GAM;OEM概念;10mMリン酸塩で緩衝した0.1%のアジ化ナトリウムを含む等張生理食塩水2mg/ml)を、GAM/フィコビリソームのモル比が12:1(フィコビリソーム1mgに対してGAMが128μg)となるよう、攪拌しながら滴下した。4時間の培養後、その10%の量の1.1M L−リジンを添加して反応を終結させた。消光した反応物は、回転させながら1時間にわって混合した。この反応混合物の5容量%に当る新しく調製したばかりのホウ化水素ナトリウム(Aldrich;0.1mM のNaOH中で濃度 5mg/mlのもの)を、攪拌しながら反応混合物に加え、さらに5分後に同じ溶液を10容量%加えた。ホウ化水素塩で還元した反応混合物は、遠心分離または、好ましくは150mMのNaClと0.05%のNaN3を含む100mMのKPi(pH 7.35)で平衡化したSephacryl S300もしくはSepharose CL-6B(Pharmacia 社製)ゲルクロマトグラフィーで精製するまで2〜8℃で貯蔵した。
抱合体は、回収率(フィコビリソーム出発物質に対する%割合で示す可溶性フィコビリソーム抱合体の収率;反応進行中の損失を計算する);吸光計数(AU/mg);蛍光強度(濃度を規格化した上での放出強度;ピーク比)および、固体相補足試薬としてBioMag-MIgG を用いた競合的なフルオロイムノアッセイにおける特異結合に基づいて評価した。
超遠心分離で精製した抱合体の評価材料となる可溶性材料の収率は、72〜100%、平均で約90%であった。単一ロットのフィコビリソームから調製した12の抱合体のE666/E573比は、2.92〜3.55(平均3.16)であった。規格化した蛍光強度(入力を固定したときのE666)は、平均で4.15×106(抱合体の濃度は1μg/ml)であった。
抱合体のBioMag-MIgG に対する特異結合の60%までは、疑似過剰(完全な飽和はなされていない)状態において、固相試薬によって示すことができた。代表的な結合データは下記の通りである。50μリットルのフィコビリソーム−GAM抱合体(80μ/ml)を、50μリットルの緩衝液を収め、MIgGに100μリットルのBioMag-MIgG(試験1回につき1mg)を加えたものを入れたかまたは入れない試験管に添加した。アッセイ用の試験管は攪拌し60分間室温で培養した。蛍光は、磁気による分離後取り出した160μリットルのアッセイ用上澄み液を使って、3mlに対して行った。
Figure 0004102840
GAはまた、GAM抗体をFAで安定化したフィコビリソームに抱合させるのにも用いた。フィコビリソームは、2%のFAで4時間処理し、1MのL−リジンで消光し、さらにSepharose CL-6B によってクロマトグラフィーにかけた。気泡を生じた安定化させたフィコビリソームは、GAで処理し、抗体と12:1のモル比で一晩反応させた。リジンによる消光、ホウ化水素塩による還元および精製を、すでに述べたGAによる抱合化方法に従って行った。得られた抱合体は、E666/E573比が3.0を超え、60%がBioMag-MIgG に特異結合していた。10mMのKPiをベースとするアッセイ用緩衝液中で使用濃度で一晩室温で貯蔵しても、また100mMのKPiをベースとするアッセイ用緩衝液中で1週間貯蔵しても蛍光強度(E666)またはイムノ反応性(特異結合の%割合)には顕著な減少は見られなかった。
実施例6:光度計で検出する競合的イムノアッセイ
50μリットルの試料(アッセイ緩衝液)マウスのイムノグロブリン(MIgG)の濃度は変化させてもさせなくてもよい)を、側方引き出し磁気ベース(Corning社製)を備えたMagicTMセパレータに配置した12×75mmのガラス製試験管に添加した。粒子濃度が0.3〜10mg/mlで洗浄したばかりのBioMag-MIgG を100μリットル添加した。試験管は攪拌し、50μリットルのフィコビリソーム−GAM抱合体(GAM/フィコビリソームのモル比は1.5〜18)を、1〜100μg/ml(5〜500mAU/ml)のフィコビリソーム濃度で添加した。反応混合物は攪拌し、室温で1時間培養した。粒子は、MagicTMラックをその磁気ベースに5分間乗せたところ、分離された。アッセイ用の上澄み液160μリットルを、12×75mmのガラス製試験管に移し、ついで100mMのKPi(pH 7.35)で希釈し、光度計を使うアッセイ用には1mlを、蛍光計を使うアッセイ用には3mlを用意した。
特異結合の%割合は、粒子濃度を増加させたところ、急激に増加した。
Figure 0004102840
これとは別の実験において、抱合体と固体相の濃度を10倍にしてみたところ、抱合体の結合は、急激に増加した。アッセイの感度は、100ng/ml MIgG 以下と測定された。
実施例7:蛍光検出による競合的イムノアッセイ
アッセイは、実施例6の方法に従って行った。ただし、試薬の濃度は、蛍光検出に適するように変えた。下に示すデータは、1回の試験当り250ngのフィコビリソーム−GAM抱合体と、1回の試験当り250ng のBioMag-MIgG を使用して得たものである。蛍光は、545nm で励起して記録した。
Figure 0004102840
実施例8:不動化した抗原に予備結合したフィコビリソーム抱合体を用いた変位アッセイ
洗浄したBioMag−ウサギIgG(BioMag-RIgG)を、フィコビリソーム−GAM抱合体(GAM/フィコビリソームのモル比が5/1)で、攪拌しながら室温下で2時間予備処理した。予備結合した試薬混合物は、アッセイ緩衝液で3回洗浄し、粒子濃度が400μg/mlとなるように再懸濁させた。予備結合した試薬500μリットルを、12×75mmの試験管に注入した。アッセイは、50μリットルの試料を混合物に添加し、攪拌して60分間室温で培養することにより行った。磁気を使った分離後、500μリットルの上澄み液を、蛍光測定のため、2.5ml の0.1M KPiに移した。
Figure 0004102840
RIgGを塗布した液体溜め(20μg/ml)に予備結合した同じフィコビリソーム−GAM抱合体を用いた変位フォーマットにおいて、微小滴定用プレートを使ったアッセイを行ったところ、同じような結果が得られた。より低い変位可能な信号は、微小滴定用液体溜めの固体相における結合容量が常磁性粒子のものより低いことに起因する。
Figure 0004102840
実施例9:サンドイッチ(免疫計)イムノアッセイ
MIgGをフィコビリソーム−GAM抱合体を使って予備培養し、ついでフィコビリソームGAM−MIgG複合体をBioMag−ウサギの抗マウス抗体(BioMag−RAM)で補足することによって、逆サンドイッチアッセイを行った。このプロトコルは、主な(動的)イムノ反応を溶液中で進行させ、アッセイ動態を完全にして立体障害を最小にすることによって、アッセイの感度を最大にする。一方、フィコビリソーム−GAM抱合体は、以下のように、不動化したウサギのIgG(RIgG)に結合したモノクローナル抗体を検出するラベルを付した第2の抗体として使用することができる。
50μlの緩衝液またはマウスの抗ウサギ抗体(MAR)を、50μlのフィコビリソーム−GAM抱合体(20〜80μg/ml)とともに30分間予備培養した。免疫複合体は、粒子濃度10mg/mlにおいて、洗浄したばかりのBioMag−RIgGを100μlを加えて補足した。反応は、磁気を使った分離の前に、60分間進行させた。蛍光測定は、160μlのアッセイ用上澄み液を2.84mlの0.1M KPi に希釈/移し替えした後に行った。
Figure 0004102840
実施例10:目視検出による微小滴定に基づくイムノアッセイ
競合アッセイ:白色のポリスチレンMicroliteTM2微小滴定プレート(Dynatech 社製)に、10mMのリン酸ナトリウム(pH 7.35)中に2−20μg/ml溶解したMIgGを、2〜8℃で15時間、受動吸収によって塗布した。上澄み液は吸引した。微小滴定用の液溜めは、200μg/lのブロック緩衝液(100mMのリン酸カリウム(pH 7.35)、2mHのアジ化ナトリウムおよび2mg/mlのBSAを含む10mMのリン酸塩で緩衝した等張生理食塩水(PBS,pH 7.4))で、60分間室温で培養し、250μリットルの洗浄緩衝液(1mg/mlのBSAを含むPBS)で6回洗浄した。最後の洗浄後、プレートはペーパータオルの上に逆さまに置き、しっかりと水をふき取った。各液溜めには、50μlのフィコビリソーム−GAMを各液溜めにつき0.5〜10μgの濃度で添加した後、50μlのアッセイ用緩衝液(100mMのリン酸カリウム(pH 7.35)を含むPBS)、2mMのアジ化ナトリウムおよび1mg/mlのBSA、あるいはMIgG(各液溜めのアッセイ用緩衝液中に10-1000ng 含有させる)を添加した。プレート(液溜め)は、室温下で1時間攪拌しながら培養した後デカントし、アッセイ用緩衝液で3回洗浄する前と後で検査を行った。不動化したMIgGに結合したフィコビリソーム−GAM抱合体は以下の条件下においては、プレートの底部および下方側壁において紫がかったピンク色の塗膜として、目視で識別できる(プレート洗浄の前も後も)。
1.MIgGの塗布濃度が0.5μg/液溜めより大きいこと;
2.フィコビリソーム−GAM抱合体の濃度が1μg/液溜めより大きいこと;
3.競合する可溶性MIgGの濃度が10ng/ 液溜めより小さいこと。
洗浄したプレートにおいては、非特異的な結合(可溶性MIgG1μg/液溜め当りの呈色)は、フィコビリソーム−GAM濃度が最も高いときでも、目視では明らかではなかった。目視で検出可能な特異結合(MIgGが±1μg/液溜めでの色差)は、コーティングと抱合体の濃度を最も高くして(コーティングが10〜20μg/ml、フィコビリソーム−GAMUが5〜10μg/液溜め)処理した液溜めにおいて、最も顕著であった。これらの条件下で、MIgGの目視による検出限界は、10-12〜10-13モル(MIgGが約10-9M)に対応して、10〜100ngであった。
サンドイッチアッセイ: 白色のポリスチレンMicroliteTM2微小滴定プレート(Dynatech 社製)に、10mMのリン酸ナトリウム(pH 7.35)中に2−20μg/mlの親和精製したRAM(H+L)を、2〜8℃で15時間かけて塗布した。上澄み液は吸引した。微小滴定用の液溜めは、200μg/lのブロック緩衝液(前述の競合アッセイと同じもの)を使って、60分間室温で培養し、ついで250μリットルの洗浄緩衝液(1mg/mlのBSAを含むPBS)で6回洗浄した。最後の洗浄後、プレートはペーパータオルの上に逆さまに置き、しっかりと水をふき取った。各液溜めには、100μlのアッセイ用緩衝液またはMIgG(各液溜めのアッセイ用緩衝液中に10-1000ng 含有させる)を添加し、室温下で1時間培養した後吸引した。液溜めは、250μg/の洗浄用緩衝液で3回洗浄した。フィコビリソーム−GAM抱合体は、100μlのアッセイ用緩衝液に、1回の試験当り0.5〜10μgを添加した。そして、室温下で2時間攪拌しながら培養した後デカントし、アッセイ用緩衝液で3回洗浄する前と後で検査を行った。洗浄を行っても行わなくても、結合したフィコビリソーム−GAM抱合体は、以下の条件下においては、MIgGに曝された液溜め内において、目視で識別することができた。
1.RAMの塗布濃度が0.2μg/液溜めより大きいこと;
2.MIgGの濃度が10ng/液溜めより大きいこと;
3.フィコビリソーム−GAM抱合体の濃度が、RAMとMIgGの濃度に対応して、1.5〜10μg/液溜であること。
洗浄の前に、10ng/ml のMIgGに曝した液溜めを、アッセイ用緩衝液と目視で見分けるのは余計なことであった。洗浄しても、解像度はわずかしか改善しなかった。固体相の結合能力や抱合体濃度の増加、より高い親和力トレーサ抗体の選択、アッセイプロトコルまたは緩衝液の組成の変更、あるいは紫外線照射下での結合した固体相検査用の好ましい条件決定など、免疫測定用の微小滴定アッセイにおける目視検査の限界を最適なものにするための工夫は、特に行わなかった。
実施例11:目視検査を行うイムノクロマトグラフィー用の計量棒
競合アッセイの方法: MIgGを、以下のようにして、アルデヒドで処理した修飾済ポリスルホン膜上の局所領域に共有結合で不動化させた。有効孔径0.8μMのUltrabindTM US800 不支持膜(Gelman Sciences社製)を20cm×6cmに切断した。MIgG(10mMのリン酸塩で緩衝した等張る生理食塩水(PBS)中に2〜10mg/ml溶解したもの;pH 7.2;アジ化ナトリウムを0.1%含む)を、先細りのキャピラリーピペット(Drummond Scientific社製)を使い、先の切断片の中程(各縁から3cm)に鉛筆で引いた線に沿って1cm当り4μlの量だけ、手でスポットを垂らした。30分間風乾した後、膜は、10mMのPBS(pH 7.4)中に1%のBSAを含むブロック緩衝液50ml中で、穏やかに攪拌しながら1時間室温下で培養し、0.1%のBSAを含む100mlのPBS(pH 7.4)で2度すすぎ、3時間風乾した。すすぎと乾燥を終えた膜はついで、0.2%のTween 20を含むPBS(pH 7.2)中で、1時間攪拌しながら洗浄し、室温下で一晩乾燥させた。
フィコビリソーム−GAM抱合体は、以下のようにしてMIgGで修飾した膜に適用した。乾燥し、洗浄した膜の切断片を20個の1×6cmの細片に切断した。0.1Mのスクロースを含む0.5M KPi(pH 7.35)中に約0.5mg/mlの安定化したP.cruentumフィコビリソームと10μg/mlの免疫学的に活性なGAMを含むフィコビリソーム−GAM抱合体(2.5 AU545/ml)10μリットルを、各1×6cm細片において、不動化したMIgGを垂らした中央横断線と細片の一端の間の中間部分における約1cm2に適用した。抱合体で処理した細片は、使用前に30分間空気乾燥させた。
イムノクロマトグラフィーに用いるMIgG計量棒は、抱合体で処理した乾燥した細片の両端部を緩衝液(1mg/mlのBSAを含むPBS(pH 7.4))またはMIgG(緩衝液中の濃度が1μg/ml)に接触させ、試料を毛管減少によって細片に染み上がらせて使用した。液体の前端が緩衝液で処理した細片を3.5cm上昇したところで(約10分後)、紫がかったピンクの帯が不動化したMIgGの線(3cm)に現れた。帯が緩衝液で完全に飽和されるにつれて(約20分かかる)、徐々に明瞭になった。MIgGを含む緩衝液に曝された細片には帯は現れず、フィコビリソーム−GAMの不動化したMIgGへの特異結合が可溶性MIgGによってかなり阻害されたことを示している。
細片を暗室で腸は長の紫外線(365nm)に当てて検査したところ、MIgGで処理した細片には局所的なフィコビリソーム−GAM蛍光は探り当てることはできなかった。一方、緩衝液で処理した細片においては、不動化したMIgGに結合したフィコビリソーム−GAMが、暗青色の背景に対して強い蛍光を放つ赤い帯として明瞭に識別された。この蛍光帯は、細片を空気乾燥させたところ、消失した。緩衝液で処理し乾燥させた細片に現れた帯に水をかけたところ、強い局所的な赤色(フィコビリソーム)と動的なオレンジ色(B−PE)の蛍光相が観察された。これは、GAで処理し乾燥と再湿潤を行ったフィコビリソームが一部解離したことを示唆している。凍結乾燥の前と後でフィコビリソーム−GAM抱合体を蛍光計で評価したときも、同様の結果が得られた。545nmの光で励起したときのE666/E573の放出比は、乾燥と再構成のため顕著に減少した。これは、抱合体がスクロースまたは他の保護基で前処理されないときは、蛍光エネルギーの伝達が十分に行われなかったことを示唆している。単離したB−PEは、APC(P.cruentumフィコビリソームの末端アクセプタ)より強い蛍光体であるため、抱合体結合工程と検出工程の間に起こるフィコビリソームの解離は、蛍光信号を増幅し、アッセイ感度を増加させる手段を提供することになる。
サンドイッチアッセイの手順:親和力を利用して精製したRAM抗体((H+L鎖)に特異的な結合をする;OEM概念)を除いて、競合アッセイにおける細片の調製とほぼ同じ方法によって、免疫測定用のMIgG片を調製する。1cm当り10μlのRAM(2mg/ml)を、10×6cm膜片の幅方向にスポットをつくるのに用いた。このMIgG片はついで、スポットの拡大を抑え、すすぎと洗浄をし、さらにMIgG不動化膜のような1×6cmの細片に切断した。0.2Mのスクロースを含む0.5M KPi(pH7.35)に溶解した約1mg/mlの安定化P.cruentumと20μg/mlの免疫学的に活性なGAMを含む10μlのフィコビリソーム−GAM抱合体(5.1 AU545/ml)を、競合アッセイにおける細片と同じように不動化したRAM線と細片端の間の中間箇所に適用し、この細片を使用前に空気乾燥した。
サンドイッチアッセイ用のMIgG細片は、MIgG(1μg/ml)とともに、あるいはMIgGなしで、抱合体で処理した端部をPBS−BSA緩衝液に接触させ、毛管作用によって細片を試料で飽和させる(約20分かかる)ことによって評価した。MIgGで処理した細片には、不動化したRAM線に明瞭な紫−ピンクの帯が形成されたが、緩衝液で処理した比較例には現れなかった。これらの結果は、免疫測定において、6×10-9Mの検出限界以下でも、可溶性フィコビリソーム抱合体が特異的な結合することを示している。

Claims (29)

  1. 製造された固体サポートに固定(不動化)された、単離されたフィコビリソーム。
  2. フィコビリソームが安定化されたものである、請求項1のフィコビリソーム。
  3. フィコビリソームが少なくとも一つのロッドを含む、請求項1のフィコビリソーム。
  4. フィコビリソームが核複合体を含むが、周辺部のロッドを含まない、請求項1のフィコビリソーム。
  5. フィコビリソームが、少なくとも二つの異なる藻類の種類のうちのそれぞれによりコード化されている少なくとも一つのたんぱく質を含む、請求項1のフィコビリソーム。
  6. フィコビリソームが、単離されたフィコビリたんぱく質または単離されたフィコビリたんぱく質リンカーポリペプチドを含む混合物から再構成されている、請求項1のフィコビリソーム。
  7. フィコビリソームが、固体サポートに構造的に順序良い配列に固定(不動化)されている、請求項1のフィコビリソーム。
  8. フィコビリソームがグリッドに配列されている、請求項7のフィコビリソーム。
  9. フィコビリソームが、フィコビリソームを構成するたんぱく質の一つの型を介して、前記固体サポートに固定(不動化)されている、請求項1のフィコビリソーム。
  10. 固体サポートが、微量滴定皿、微粒子、ポリマー性ビーズ、ポリマー性母材、合成膜、リポソーム、シリコン、及び、ガラスからなる群から選択される、請求項1のフィコビリソーム。
  11. フィコビリソームが固体サポートに共有結合で結合されている、請求項1のフィコビリソーム。
  12. フィコビリソームが固体サポートに非共有結合で結合されている、請求項1のフィコビリソーム。
  13. フィコビリソームが分子種に共有結合で結合している、請求項1の固定(不動化)されたフィコビリソーム。
  14. 分子種が、リガンド、レセプタ、及び、信号生成分子からなる群から選択される、請求項13の固定(不動化)されたフィコビリソーム。
  15. リガンドが、作用薬、拮抗薬、ハプテン、抗原、薬剤、ホルモントランスミッタ、補因子、ビタミン、毒素、オリゴヌクレオチド、及び、抱合体からなる群から選択される、請求項14の固定(不動化)されたフィコビリソーム。
  16. レセプタが、抗体、抗体断片、抗体擬体、分子認識単位、付着分子、可溶性レセプタ、核酸、膜レセプタ、及び、薬剤レセプタからなる群から選択される、請求項14の固定(不動化)されたフィコビリソーム。
  17. 信号生成分子が、フィコビリたんぱく質、染料分子、コロイド、発蛍光団、酵素、燐光化合物、酸化・還元化合物、及び、フィコビリソームからなる群から選択される、請求項14の固定(不動化)されたフィコビリソーム。
  18. 分子種が、フィコビリソームを構成するたんぱく質の一つの型に結合されている、請求項13の固定(不動化)されたフィコビリソーム。
  19. 分子種がフィコビリソームの特定の部分に結合している、請求項13の固定(不動化)されたフィコビリソーム。
  20. フィコビリソームが信号生成系に機能的に結合している、請求項1の固定(不動化)されたフィコビリソーム。
  21. フィコビリソームがバイオトランスデューサの構成要素である、請求項1の固定(不動化)されたフィコビリソーム。
  22. バイオトランスデューサが、光電子コンバータ、トランジスタ、スイッチ、または増幅器である、請求項21の固定(不動化)されたフィコビリソーム。
  23. フィコビリソームを製造された固体サポートに結合することを含む、請求項1の単離されたフィコビリソームを製造する方法。
  24. 結合が共有結合である、請求項23の方法。
  25. 結合が非共有結合である、請求項23の方法。
  26. 分析物を含むサンプルを特異結合相手に接触させること、
    分析物の存在、または、サンプルに存在する分析物の量を、特異結合相手に特異的に結合する能力により決定すること、ここで、アッセイの成分は、請求項1のフィコビリソームを含む信号生成系により検知可能にラベル付けされており、
    前記アッセイ成分は、特異結合相手及び、特異結合相手の特異結合を分析物と競合する試薬分子からなる群から選択されること
    を含む特異結合アッセイを実施するための方法。
  27. 特異結合相手及び、特異結合相手の特異結合を分析物と競合する試薬分子からなる群から選択されるアッセイ成分が固体相に結合している、請求項26の方法。
  28. 分析物が、核酸、薬剤、リガンド、抗原、ハプテン、抗体、及び、炭水化物からなる群から選択される、請求項26の方法。
  29. アッセイが、イムノアッセイ、イムノ組織化学、血球計算、細胞の仕分け、リガンドまたはレセプタ結合アッセイ、たんぱく質―たんぱく質結合アッセイ、たんぱく質―核酸結合アッセイ、核酸―核酸結合(交雑形成)アッセイである、請求項26の方法。
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