JP4102225B2 - コークス炉の診断補修方法及び診断補修装置 - Google Patents

コークス炉の診断補修方法及び診断補修装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス炉炭化室内の壁面耐火物の損傷状況を熱間で観察診断し、該観察診断結果に基づいて壁面耐火物を補修するコークス炉の診断補修方法及び診断補修装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コークス炉炭化室の壁面は耐火物レンガでおおわれている。該壁面の耐火物に目地切れ、亀裂の発生、レンガの欠損等の損傷が生じると、発生コークス炉ガスが炭化室から燃焼室へ流入して不完全燃焼を生じたり、熱分解カーボンの炉壁への付着の増大あるいは製造したコークスの損傷部への食い込みによって押し詰まりの問題が生じる。
【0003】
炭化室壁面の耐火物の損傷を補修する種々の方法あるいは装置が提案されている。特許文献1には、補修材の吹付けノズルを有するランスの先端に撮像装置を設け、該撮像装置により炉壁面を走査してモニタに表示すると共に、前記ランス先端に設けた距離センサにより、前記ランス先端と炉壁面との距離を測定して炉壁面の損耗量データを求め、ランスを駆動するランス駆動機構における駆動量から前記ランス先端に対する前記炉壁面の損耗部分の位置座標を求め、これらの壁面画像情報、損耗量データおよび損耗部分の位置座標データから、炉壁面の必要な補修範囲と補修パターンを指示、選択し、前記炉壁面の損耗部分を所定の補修パターンに従って吹き付け補修するようにしたことを特徴とするコークス炉炉壁の補修方法が記載されている。ランス駆動装置は炭化室外部に配置され、該ランス駆動装置でランスを駆動することによってランス先端に設けた撮像装置、距離センサ、吹き付けノズルの位置を移動する。
【0004】
特許文献1に記載の発明においては、炭化室の外部にランス台車を配置し、このランス台車に片持ちで支持したランスを炭化室内に挿入し、ランス台車からランス位置を調整することによってランス先端に配置した補修ノズルの位置を調整し、補修ノズルから補修材を溶射して損傷部を補修する。補修ノズルの動作は、基本パターンと移動パターンとを組み合わせた補修パターンによって行う。組み合わせた補修パターンを採用することにより、正常な煉瓦面と境界部および補修面の平滑度が向上し、コークス押出し時の押出し抵抗の増加を抑制することができるとしている。
【0005】
特許文献2に記載のコークス炉の診断補修装置においては、炭化室内に挿入した台車が炉内を前進後退可能であり、台車前部には観察診断装置、カーボン燃焼除去装置、機械ハツリ除去装置、溶射装置を空間的に移動するための駆動装置が配置されている。補修部位付近まで台車を進入し、駆動装置の機能で観察診断装置を動作させて補修部位付近の詳細な損耗状況を調査し、その調査結果に基づき、カーボン燃焼除去装置を用いて補修部の付着カーボンを燃焼除去し、機械ハツリ除去装置を用いて煉瓦表面の劣化した耐火物を機械的にハツリ除去し、溶射装置を用いて補修部位の補修を行うことができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−126637号公報
【特許文献2】
特開2000−212566号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献2に記載の方法でコークス炉の補修を行う際において、機械ハツリ除去装置を用いた煉瓦面のハツリ除去は、ハツリ後において壁面損傷部の底部形状が平坦となるように行い、その後に溶射装置を用いて耐火物を溶射して補修を行うと好ましいとされている。一方、コークス炉の使用年数が経過すると、炭化室炉壁煉瓦の残存厚みが減少し、炉壁の耐力が減退する。このような場所においては、機械ハツリ除去装置を用いることによる振動に起因して煉瓦の健全部に損傷が及ぶ可能性もあり、機械ハツリ除去装置を用いずに損耗部の補修ができれば好ましい。また、炉壁煉瓦の残存厚みが十分に存在する場合であっても、機械ハツリ除去を省略して損耗部の補修を行うことができれば、補修時間を短縮できるので好ましい。本発明は、特許文献2に記載の診断補修装置を用い、機械ハツリ除去を行わずに炉壁損耗部の補修を行う補修方法を提供することを第1の目的とする。
【0008】
特許文献2に記載の診断補修装置においては、駆動装置の平行移動機構によって観察診断装置や補修装置を炭化室の前後に移動することができる。平行移動機構の主要部は台車内に配置され、炭化室内の高温環境から機構を保護しつつ、駆動装置を保持しつつ台車に対して平行移動を行う。平行移動機構としては、台車内部において直動案内軸受によって平行移動可能に駆動装置を保持する形式が好ましく用いられる。直動案内軸受においては軸受ブロックがレールと転がり接触し、レールが台車に配置され、軸受ブロックが駆動装置に配置される。駆動装置の前部側には観察診断装置や補修装置が取り付けられているため、平行移動機構の移動側構造物の重心は前部側に片寄っている。そのため、平行移動機構における駆動装置の保持機構に過度な荷重がかかることがあり、特に前記直動案内軸受を用いる場合において、軸受ブロック内部の剥離(フレーキング)が発生することがある。本発明は、特許文献2に記載の診断補修装置において、駆動装置の平行移動機構の耐久性を向上した診断補修装置を提供することを第2の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の要旨とするところは以下の通りである。
)室炉式コークス炉の炉内を前進後退する台車3と、炭化室壁面状況を観察診断する観察診断装置9と、壁面の補修すべき部位を補修する補修装置と、台車3前部にあって観察診断装置9及び補修装置を空間的に移動するための駆動装置4とを有するコークス炉の診断補修装置であって、駆動装置4は平行移動機構5によって台車上を炭化室の前後方向に移動し、平行移動機構5においては駆動装置4を台車3の前部において平行移動可能に保持する前部保持部20を有し、前部保持部20は水冷箱23中に収納された受けローラ22と水冷レール24を有し、受けローラ22と水冷レール24の一方が駆動装置4に配置され他方が台車3に配置され、受けローラ22は水冷箱23と水冷レール24とによって周囲の高温環境から断熱保護され、受けローラ22が水冷レール24に接することで駆動装置4が台車3に保持され、受けローラ22が水冷レール24に接して回転しつつ両者が相対的に移動することによって平行移動機構5における移動が行われることを特徴とするコークス炉の診断補修装置。
)水冷箱23中にはサイドローラ25を有し、水冷レール24はサイドローラ25によって保持されることにより横ぶれが防止されてなることを特徴とする上記()に記載のコークス炉の診断補修装置。
)平行移動機構5は台車3内部において直動案内軸受26によって平行移動可能に駆動装置4を保持する後部保持部21を有し、直動案内軸受26においては軸受ブロック27がレール28と転がり接触し、軸受ブロック27とレール28の一方が駆動装置4に配置され他方が台車3に配置され、軸受ブロック27は駆動装置4又は台車3に回動可能に配置されてなることを特徴とする上記()又は()に記載のコークス炉の診断補修装置。
)駆動装置4は、平行移動機構5によってそれ自体が台車上を炭化室の前後方向に移動可能であるとともに、観察診断装置9及び補修装置を上下方向に回転する回転移動機構6と、観察診断装置9及び補修装置を対面する左右の壁面の間で回転する左右回転機構8とを有することを特徴とする上記()乃至()のいずれかに記載のコークス炉の診断補修装置。
)前記観察診断装置は炭化室壁面を撮像する撮像装置、該壁面との距離を測定する距離計16、該壁面の温度を測定する温度計の1又は2以上を有し、前記補修装置は壁面に局部的に酸素ガス又は酸素過剰燃料ガスを吹き付けて付着カーボンを燃焼除去するカーボン燃焼除去装置12と、前記壁面レンガ表面及び/又は付着カーボンを機械的ハツリで除去する機械ハツリ除去装置10と、前記壁面に耐火物を溶射して耐火物補修を行なう溶射装置11の1又は2以上を有することを特徴とする上記()乃至()のいずれかに記載のコークス炉の診断補修装置。
上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の診断補修装置を用いてコークス炉の炭化室内の壁面を熱間で診断し補修する方法であって、観察診断装置9は炭化室壁面との距離を測定する距離計16を有し補修装置は前記壁面に耐火物を溶射して耐火物補修を行なう溶射装置11を有し、診断補修装置の台車3を炉内に挿入し、前記壁面の補修すべき部位における壁面位置毎の補修深さを距離計16を用いて測定し、補修すべき部位において駆動装置4によって溶射装置11を走査しつつ耐火物を溶射して耐火物補修を行ない、補修すべき部位の壁面位置毎の補修深さに応じて走査速度を調整することによって溶射肉盛量を調整することを特徴とするコークス炉の診断補修方法。
)前記溶射肉盛量の調整は、補修すべき部位を溶射肉盛して周辺煉瓦面に近い平坦な溶射補修面を得るように調整することを特徴とする上記()に記載のコークス炉の診断補修方法。
)駆動装置4は溶射装置11を壁面位置において2軸方向に走査可能であり、壁面の補修すべき部位において2軸のうち一方の軸を固定して他の軸方向に走査して耐火物を溶射し、その後一方の軸を所定量移動して固定し、他の軸方向に走査して耐火物を溶射する操作を繰り返すことを特徴とする上記()又は()に記載のコークス炉の診断補修方法。
)距離計16による補修深さの測定に先立ち、補修すべき部位の壁面に局部的に酸素ガス又は酸素過剰燃料ガスを吹き付けて付着カーボンを燃焼除去することを特徴とする上記()乃至()のいずれかに記載のコークス炉の診断補修方法。
【0010】
上記本発明において、壁面の補修すべき部位の概略位置を予め把握しておき、診断補修装置の台車3を炉内に挿入して補修部位付近で停止する。診断補修装置に配置した距離計16は駆動装置4によって精密に移動することができるので、壁面の補修すべき部位における壁面位置毎の補修深さ(損耗深さ)を精密に測定することができる。その後、補修すべき部位において駆動装置4によって溶射装置11を走査しつつ耐火物を溶射して耐火物補修を行ない、そのとき補修すべき部位の壁面位置毎の補修深さに応じて走査速度を調整する。損耗深さが浅い位置では溶射装置11の走査速度を速くし、損耗深さが深い位置では溶射装置11の走査速度を遅くする。これにより、補修部位の各位置について損耗深さに応じた肉盛補修を行うことができ、補修すべき部位を溶射肉盛して周辺煉瓦面に近い平坦な溶射補修面を得ることができる。
【0011】
上記のように、補修部位の各位置毎に補修深さが異なっていても溶射肉盛補修を行うことだができるので、溶射の前に機械ハツリ除去装置10を用いて損傷部の底部形状を平坦化する必要がない。そのため、炉壁煉瓦の残存厚みが少なく機械ハツリを行いにくい場所についても機械ハツリを行わずに補修を行うことが可能になる。
【0012】
溶射装置11は、炉内の補修部位付近に停止した台車3に配置した駆動装置4によって駆動されるので、溶射装置11の走査は極めて精密に行うことができる。また、駆動装置4は溶射装置11を壁面位置において2軸方向に走査可能である。そのため、壁面の補修すべき部位において2軸のうち一方の軸を固定して他の軸方向に走査して耐火物を溶射し、その後一方の軸を所定量移動して固定し、他の軸方向に走査して耐火物を溶射する操作を繰り返す場合であっても、隣り合った走査線同士の肉盛耐火物相互に段差が生じることもなく、平坦な溶射補修面を得ることができる。従って、特許文献1に記載のような、補修ノズルの動作として基本パターンと移動パターンを組み合わせた補修パターンを採用しなくても、上記本発明の単純な移動のみによって補修が可能であり、短時間で良好な溶射補修面を形成することができる。
【0014】
前述の通り、本発明の診断補修装置において平行移動機構5の移動側構造物の重心は前部側に片寄っている。本発明においては、図5に示すように、前部保持部20における受けローラ22が上記移動側構造物の重量を受けることができる。受けローラ22として、十分にこの重量に耐える構造のものを形成することができる。受けローラ22が水冷レール24に接して回転しつつ両者が相対的に移動することによって平行移動機構5における移動を円滑に行うことができる。また、受けローラ22は水冷箱23と水冷レール24とによって周囲の高温環境から断熱保護されているので、炭化室内の高温環境にも関わらず十分な耐久性を確保することができる。さらに、受けローラ22の転がり軸受部の近傍に水冷フェンスを設ければ、受けローラ22の耐熱対策はより良好となる。
【0015】
本発明の平行移動機構5の後部保持部21として図6に示すような直動案内軸受26を用いると好ましい。直動案内軸受26は軸受ブロック27とレール28とから構成される。軸受ブロック27は内部にボール38又はローラーを備え、レール28と転がり接触する。直動案内軸受26において、軸受ブロック27はレール28の平行方向に円滑に動作することができ、レール28の上下左右方向いずれについても拘束することができる。さらに、コークス炉炭化室内部に挿入する診断補修装置においては、平行移動中の駆動装置4の角度精度を高精度に保つことが困難である場合が多い。そこで、本発明の後部保持部21においては、軸受ブロック27は駆動装置4又は台車3に回動可能に配置する。図6(a)に示す例では、軸受ブロック27が駆動装置4の平行移動機構5部分にピン37を用いて回動可能に取り付けられている。これにより、たとえ平行移動機構5における駆動装置4の保持方位角度の一定性が低下したとしても、直動案内軸受26に無理な負荷がかかることがない。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のコークス炉炭化室の診断補修装置について図1〜図4に基づいて説明する。
【0017】
診断補修装置の台車3は、車輪又は橇36によってコークス炉炉底に接地し、炉室2内を前進後退することができる。台車3の前進後退は、コークス炉炉外に配置された図示しない挿入駆動部によって行う。台車3の前部は炉室の最も奥まで前進することを要する一方、挿入駆動部は常に炉外に位置するため、台車3は炉室2の長さに相当する長さを有するものとなる。
【0018】
台車3は、図1に示すように走行台車30の上に設置することができる。走行台車30はレール35の上を走行可能であり、これにより補修を実施すべき炉室まで移動する。台車3と走行台車30との接触部については、台車に車輪を設け、走行台車にレールを設け、レール上を車輪が走行する形状とすることができる。また、図1に示すように、走行台車30に受けローラ34を設け、台車3が受けローラ34上に載置されて走行する形状としても良い。
【0019】
台車3の炉内先端部には、観察診断装置9や補修装置を炉内空間で移動するための駆動装置4を有する。図1において、駆動装置4は炉内前後方向の平行移動機構5、炉内上下方向に回転するアーム7を利用した回転移動機構6、アーム7先端部に取り付けられた左右回転機構8を有する。距離計16などの観察診断装置9及び溶射装置11等の補修装置は左右回転機構8に取り付けられる。この駆動装置4により、左右回転機構7の先端に取り付けられた観察診断装置9や補修装置は炉内の上下方向全域を移動可能であり、更に観察診断あるいは補修する対象として左右いずれの炉壁をも選択することが可能になる。回転移動機構6の動作による先端部の軌跡は円弧となるが、回転移動機構6の動作にあわせて平行移動機構5を動作させることにより、先端部の軌跡を直線とすることもできる。図1(b)に示す炉内診断専用装置32は、台車3前方の連結アーム29に脱着可能なように設置する。
【0020】
左右回転機構7の先端には、観察診断装置及び溶射装置11のほか、カーボン燃焼除去装置12、機械ハツリ除去装置10等を取り付けることができる。
【0021】
左右回転機構8の先端に取り付けられる観察診断装置9には、該壁面との距離を測定する距離計16が配置される。距離計16としてはレーザー距離計等を用い、炉壁レンガの損耗量を測定する。図3に示すように、補修を予定する位置付近の壁面を二次元的に走査しながら該距離を測定することにより、壁面の損傷深さを三次元情報として取得することができる。走査は駆動装置4の動作によって行う。
【0022】
観察診断装置9としては、該壁面との距離を測定する距離計16のほか、炭化室壁面を撮像する撮像装置や該壁面の温度を測定する温度計を配置することもできる。撮像装置としてはCCDカメラ等を用い、補修を行う壁面の観察を行う。温度計としてはサーモビュアー、放射温度計を用いることができる。壁面の温度分布を測定することにより、カーボン燃焼除去装置12の作動中の壁面温度の監視や、溶射、機械ハツリ中の温度監視が可能になる。
【0023】
左右回転機構8の先端に取り付けられたカーボン燃焼除去装置12は、壁面に酸素ガス又は酸素過剰燃料ガスを吹き付けるためのノズルを有する。図3(b)に示すように、ノズル先端を対象とする壁面に近づけた上でガス吹きつけ方向を対象とする壁面に向け、駆動装置4の動作によって吹き付ける壁面位置を移動しながらガスを吹き付けて付着カーボンを燃焼除去することができる。
【0024】
左右回転機構8の先端に取り付けられる溶射装置11は、その先端に溶射バーナーを有し、図4に示すように先端の溶射バーナーから酸素とプロパンガスを噴射させてプロパン酸素炎を形成する。同時に溶射バーナー先端から粉体耐火物を噴射させると、粉体耐火物がプロパン酸素炎によって溶融し、溶融した粉体が壁面の耐火物に付着して溶射耐火物43が形成され、溶射補修が行われる。駆動装置4の動作によって溶射する位置を移動しつつ補修を実行することができる。溶射バーナーは、上述したカーボン燃焼除去装置12の酸素ガス又は酸素過剰燃料ガス吹き付けノズルを兼ねることも可能である。
【0025】
次に、本発明のコークス炉の診断補修方法について説明する。
【0026】
本発明の診断補修方法による補修に先立ち、炭化室内炉壁のカーボン付着状況、レンガ肌荒れ・劣化状況、亀裂状況を観察し、概略の補修計画を立案する必要がある。図7に示す例では、台車3の前方下部に連結アーム29が配置され、この連結アーム29に炉内診断専用装置32を接続して行うことができる。台車3を炉内に挿入することにより、CCDカメラを装着した炉内診断専用装置32を炉内に挿入する。炉壁をCCDカメラでスキャンしながら該炉内診断専用装置32を移動することにより、炉壁全体のレンガ損傷状況等を把握することができる。
【0027】
炭化室内の炉壁に付着しているカーボンの多くは予め行う自然通風による燃焼で除去されているので、炭化室壁面の凹凸形状がわかりやすくなっている。
【0028】
炉壁のうちの補修すべき部位の概略を把握した後、本発明の診断補修装置を炉内に挿入し、診断補修装置の駆動装置4の移動範囲に補修すべき部位が含まれるような位置に台車3を静置する。次いで、図3(a)に示すように、駆動装置4の平行移動機構5と上下回転移動機構6によって観察診断装置9を移動し、例えば5〜50mm程度のピッチで壁面を走査しながら観察を行う。観察診断装置9の距離計16を用いることによって壁面の侵食深さについての情報が位置の座標とともに得られる。カーボンの付着状況は、観察診断装置9の温度計による測定データあるいは距離計の測定結果に基づいて知ることができる。これら観察結果に基づき、付着カーボンを除去すべき部位、溶射補修を行うべき部位及びそれらの深さについて、その座標とともに正確に決定することができる。この結果をコンタ図等に処理加工して運転室にいる運転者等にわかりやすく表示する。運転者はパソコンに表示されたコンタ図内に矩形等で補修範囲と補修深さとを重ね書きして補修方法を定める。
【0029】
上記定めた補修計画に基づき、必要に応じて図3(b)に示すようにカーボン燃焼除去を行う。もちろんカーボン燃焼除去を行わずに直接溶射補修を行っても良い。カーボン燃焼除去装置12の吹き付けノズルを炉壁のカーボンを燃焼除去すべき部位に移動し、付着カーボン25を燃焼する。カーボン燃焼除去装置12は、溶射装置11の溶射バーナーをもって代用することができる。燃焼除去能力は、酸素ガス流速40Nm3/hrで付着カーボン燃焼速度は40cc/min程度となる。吹き付けノズルの噴射口数を増やし、また酸素流量を増大することにより、燃焼除去能力を増大することも可能である。この際、本発明の観測診断装置の温度計(サーモビュアー、放射温度計等)によってガスを吹き付ける壁面の温度を監視し、煉瓦が過熱し過ぎないように制御することが重要である。吹き付けガスとして酸素ガスを用いる場合、通常は酸素ガス流量を20〜200Nm3/hrの範囲とする。流量が多すぎると燃焼完了時に煉瓦を冷却するからである。酸素過剰燃料ガスを吹き付ける場合、燃料ガスとしてはプロパンガスを用い、燃料ガスと酸素ガスの流量比は1:5〜1:8の範囲とする。酸素ガスが多すぎると炎が不安定になるからである。
【0030】
カーボン燃焼除去装置12によるカーボン除去を行った場合には、図3(c)に示すように再度本発明の観察診断装置9の距離計16を走査させながら壁面の凹凸形状の測定を行い、コンタ図を作成して溶射補修すべき部位及び各部位毎の溶射量を決定する。各部位を溶射耐火物で埋めることにより補修後の耐火物表面が平坦になるように、位置座標毎に補修深さと一致するように溶射肉盛高さを定める。
【0031】
本発明において溶射肉盛高さは、溶射バーナーの走査速度を調整することによって調整することができる。即ち補修深さが深い位置では走査速度を遅くして溶射肉盛高さを高くすることができ、補修深さが浅い位置では走査速度を速くして溶射肉盛高さを低くすることができる。これにより、補修部位の各位置について1回の走査によって損耗深さに応じた肉盛補修を行うことができ(図4(c))、補修すべき部位を溶射肉盛して周辺煉瓦面に近い平坦な溶射補修面を得ることができる。
【0032】
補修箇所における溶射装置11の走査は、駆動装置4の動作によって行う。駆動装置4は、2軸方向において溶射装置11の溶射バーナーを壁面表面を走査させることができる。図2に記載の装置を例にとれば、回転移動機構6による回転動作が一方の1軸、平行移動機構5による直線動作が他の1軸を構成する。壁面の補修すべき部位において、2軸のうち一方の軸(回転移動機構6)の位置を固定し、他の軸(平行移動機構5)を移動させることで当該方向に溶射バーナーを走査して耐火物を溶射する(図4(a))。直線状の溶射バーナー走査で当該部位の補修が完了したら、一方の軸(回転移動機構6)の動作で溶射バーナーを所定量移動し、再度固定し、平行移動機構5の動作による溶射バーナーの直線移動を行う。このように順次溶射装置11の走査を行いつつ溶射を実施する。この結果、壁面の炉壁損傷部41における走査線13の軌跡は、図4(b)に示すような形状となる。
【0033】
本発明の溶射装置11は、炉内の補修部位付近に停止した台車3に配置した駆動装置4によって駆動されるので、溶射装置11の走査は極めて精密に行うことができる。そのため、隣り合った走査線同士の肉盛耐火物相互に段差が生じることもなく(図4(d))、平坦な溶射補修面を得ることができる。従って、特許文献1に記載のような、補修ノズルの動作として基本パターンと移動パターンを組み合わせた補修パターンを採用する必要がなく、上記本発明の単純な移動のみによって補修が可能であり、短時間で良好な溶射補修面を形成することができる。
【0034】
溶射方式としては、耐火物をバーナー炎でプロパン、酸素で予め溶融して吹き付けるラバーフレーム溶射方式と、金属Siを含有した耐火物を酸素と混合して吹き付け、テルミット反応により溶融させるテルミット溶射方式がある。
【0035】
ラバーフレーム溶射方式の場合、溶射耐火物としては、SiO2:96%、CaO:1.8%、Na2O:1.0%の組成のものが最も好ましい。粉体の粒度は10〜200μmとし、吹き付け量は毎時20〜50kg程度とする。溶射バーナーからはプロパンガスと酸素ガスを燃焼させたプロパン酸素炎を噴射し、粉体を溶融した上でレンガ表面に付着させる。吹き付け量毎時20kgの場合、プロパンガスと酸素ガスの流量はそれぞれ25Nm3/hr、100Nm3/hr程度とする。このような溶射条件を採用した場合、1回の直線走査で被着できる溶射耐火物の幅は50mm程度となるので、隣り合った走査線相互間の距離は15mm程度とすると好ましい結果を得ることができる。また、補修深さと走査速度の関係においては、補修深さが40mmであれば走査速度を1.5m/min程度とし、補修深さが20mmであれば走査速度を3m/min程度とするとよい。
【0036】
テルミット溶射方式の場合、溶射材料としてはSiO2:84.7%、Al23:0.8%、Fe23:0.7%、CaO:1.9%、Na2O:0.1%、金属Si:18.0%の組成を用いることができる。粉体の粒度は10〜1000μmとし、吹き付け量が毎時40kgの場合、酸素ガス量は40Nm3/hr程度とする。耐火物の機械ハツリを行っていない損耗部に溶射を行う場合、1回の直線走査で被着できる溶射耐火物の幅は45mm程度となるので、隣り合った走査線相互間の距離は20mm程度とすると好ましい結果を得ることができる。また、補修深さと走査速度の関係においては、補修深さが40mmであれば走査速度を0.6m/min程度とし、補修深さが20mmであれば走査速度を1.2m/min程度とするとよい。
【0037】
もちろん本発明の診断補修方法において、診断補修装置はさらに壁面煉瓦表面及び/又は付着カーボンを機械的ハツリで除去する機械ハツリ除去装置10を備え、機械ハツリ除去装置は駆動装置4によって空間的に移動可能であり、距離計16による補修深さの測定に先立ち、補修すべき部位におけるレンガ表面の劣化耐火物及び/又は付着カーボンを機械的にハツリ除去を行い、その後距離計で補修深さを測定し、最後に溶射補修を行うこととしても良い。
【0038】
次に、本発明の診断補修装置について説明する。
【0039】
本発明の診断補修装置は、室炉式コークス炉の炉内を前進後退する台車3と、炭化室壁面状況を観察診断する観察診断装置9と、壁面の補修すべき部位を補修する補修装置と、台車3前部にあって観察診断装置9及び補修装置を空間的に移動するための駆動装置4とを有するコークス炉の診断補修装置であって、駆動装置4は平行移動機構5によって台車上を炭化室の前後方向に移動する。この診断補修装置において、平行移動機構5における駆動装置4の保持機構として以下に説明する機構が本発明の特徴である。
【0040】
駆動装置4の前部側には観察診断装置9や補修装置が取り付けられているため、平行移動機構4の移動側構造物の重心は前部側に片寄っている。本発明においては、この移動側構造物の重量の大部分を受けるための保持機構として、前部保持部20を有している。前部保持部20は水冷箱23中に収納された受けローラ22と水冷レール24を有する。受けローラ22と水冷レール24の一方が駆動装置4に配置され他方が台車3に配置される。即ち、受けローラを台車に配置する場合には、水冷レールを駆動装置側に配置する。
【0041】
例えば図5(a)に示すように、台車3の前部下方に連結アーム29が配置される場合、連結アーム29の内部であって上部表面付近に受けローラ22を配置する。受けローラ22は水冷箱23中に収納され、上部のみが連結アーム29の上部表面に露出している。一方、駆動装置4の前部下方に水冷レール24を配置する。水冷レール24は、その下面が受けローラ22と接し、水冷レール24の方向は平行移動機構5の移動方向と平行であり、図5(b)に示すように受けローラ22が水冷レール24に接することで駆動装置4の重量が台車3に保持される。また、水冷レール24内部には図5(c)に示すように水路30が設けられ、冷却水を循環させて水冷を行う。受けローラ22が水冷箱23から露出する唯一の露出面は水冷レール24によって覆われるので、受けローラ22は水冷箱23と水冷レール24とによって周囲の高温環境から断熱保護される。駆動装置4を平行移動機構5によって移動させるに際しては、受けローラ22が水冷レール24に接して回転しつつ両者が相対的に移動し、これによって駆動装置4の重量が前部保持部20で保持されつつ移動が行われる。
【0042】
前部保持部20を駆動装置4の重心付近に配置することができるので、平行移動機構5が片持ち構造とならず、保持部に過度な荷重がかかることがない。また、受けローラ22として耐荷重強度の高い構造を採用することができるので、駆動装置4を十分に保持しつつ円滑な平行移動を行うことが可能である。
【0043】
駆動装置4の平行移動機構5において、平行移動に際しては左右の炉壁方向にぶれることなく直線的に移動することが必要である。本発明においては、水冷箱23中に図5(b)に示すようにサイドローラ25を有し、水冷レール24をこのサイドローラ25によって保持することにより、駆動装置4の横ぶれを防止することができる。図5に示す例においては、水冷箱中に2組のサイドローラ25を配置し、各サイドローラは回転軸を鉛直方向としている。水冷レール24の断面形状を下向きの凸形状とし、2つのサイドローラ25によって凸部を左右から拘束することにより、水冷レール24の横ぶれが防止される。
【0044】
平行移動機構5において駆動装置4を保持する保持部としては、前述の前部保持部20に加え、後部保持部21を有し、前部保持部20と後部保持部21とによって駆動装置4を保持することとすることができる。
【0045】
後部保持部21については、図6に示すように台車3内部において直動案内軸受26によって平行移動可能に駆動装置4を保持する機構とすると好ましい。直動案内軸受26は軸受ブロック27とレール28とによって構成される。軸受ブロック27中にはボール38またはローラが配置され、軸受ブロック27がレール28と転がり接触する。図6(c)に示す例においては、ボール38a〜ボール38dの4組のボールが配置され、軸受ブロック27とレール28との相対移動に伴ってボール(38a〜38d)が軸受ブロック27内を循環する。ボール38aに対応する循環ボールが、図6(c)ではボール38a’として記載されている。軸受ブロックとレールの一方が駆動装置に配置され他方が台車に配置される。
【0046】
軸受ブロック27はレール28によって上下左右方向に拘束され、前後方向のみに移動することが可能である。これにより、駆動装置4は後部保持部21において上下左右に拘束され、前後方向のみ移動可能に保持される。
【0047】
直動案内軸受26において、軸受ブロック27とレール28との間の角度は精密に一定に保持される。一方、前部保持部20と後部保持部21とによって保持される駆動装置4は、その保持される方位角度を平行移動中に常に精密に一定に保持することが困難な場合がある。このような場合、軸受ブロック27を台車3又は駆動装置4に固定してしまうと、軸受ブロック27とレール28との間に無理な力がかかる恐れがある。そこで本発明の直動案内軸受26においては、軸受ブロック27は駆動装置4又は台車3に回動可能に配置する。例えば図6(a)に示す例では、直動ブロック27がピン31を用いて駆動装置4の平行移動機構5に回動可能に配置されている。これにより、たとえ平行移動機構5における駆動装置4の保持方位角度の一定性が低下したとしても、直動案内軸受26に無理な負荷がかかることがない。
【0048】
本発明の観察診断装置において、駆動装置4は平行移動機構5によってそれ自体が台車上を炭化室の前後方向に移動可能であるとともに、観察診断装置9及び補修装置を上下方向に回転する回転移動機構6と、観察診断装置9及び補修装置を対面する左右の壁面の間で回転する左右回転機構8とを有することとすると好ましい。これにより、観察診断装置9及び補修装置を炉壁表面に沿って2次元方向に自由に移動可能とすることができ、さらに機械ハツリ除去装置10等の炉壁表面との距離を自由に調整することが可能になる。
【0049】
本発明の観察診断装置において、炭化室壁面を撮像する撮像装置、該壁面との距離を測定する距離計16、該壁面の温度を測定する温度計の1又は2以上を有し、前記補修装置は壁面に局部的に酸素ガス又は酸素過剰燃料ガスを吹き付けて付着カーボンを燃焼除去するカーボン燃焼除去装置12と、前記壁面レンガ表面及び/又は付着カーボンを機械的ハツリで除去する機械ハツリ除去装置10と、前記壁面に耐火物を溶射して耐火物補修を行なう溶射装置11の1又は2以上を有することとすると好ましい。
【0050】
【実施例】
炉室長さ16m、高さ6m、幅0.4mのコークス炉の診断補修のために、図1〜7に示す本発明の診断補修装置を用いて炉壁の補修を行った。台車3は全長が24m、駆動装置4の平行移動可能距離は1.5m、上下回転角度は±55°、アーム7の長さは2.4m、左右回転角度は±8.8°である。駆動装置に配置する観察診断装置9のうち、撮像装置としてCCDカメラを3台装備した。さらに距離計16としてレーザー距離計、温度計としてサーモビュアーを有する。補修装置としては溶射装置11を備え、溶射バーナーのノズルは付着カーボン燃焼除去装置12のノズルを兼ねる。さらに機械ハツリ除去装置10を備えている。
【0051】
駆動装置4の平行移動機構5は、図1に示すように前部保持部20及び後部保持部21によって保持される。前部保持部20には図5に示すように受けローラ22と水冷レール24とが用いられ、後部保持部21には図6に示すように直動案内軸受26が用いられている。
【0052】
台車3の前部下方には連結アーム29を備え、連結アーム29には図7に示すように炉内診断専用装置32を連結することが可能であると同時に、連結アーム29中に水冷箱23に保護された受けローラ22が配置され、駆動装置4の下部に設置された水冷レール24とともに前部保持部20を形成している。水冷箱中には、水冷レール24を両側から保持するようにサイドロール25が配置される。
【0053】
後部保持部21の直動案内軸受26は台車3内部に配置され、台車3の水冷構造によって高温環境から保護されている。直動案内軸受26のレール28は台車3に固定され、軸受ボックス27はピン37によって駆動装置側に回動可能に保持されている。
【0054】
本発明の診断補修装置を用いた補修に先立ち、図7に示すCCDカメラを装着した炉内診断専用装置32を診断補修装置の連結アーム29に装着して炉内に挿入する。炉壁をCCDカメラでスキャンしながら該炉内診断専用装置32を移動することにより、炭化室内炉壁のカーボン付着状況、レンガ肌荒れ・劣化状況、亀裂状況を観察し、概略の補修計画を立案した。
【0055】
炉内の付着カーボンは予め自然通風による燃焼で予備的に除去を行った。炉壁のうちの補修すべき部位の概略を把握した後、本発明の診断補修装置を炉内に挿入し、診断補修装置の駆動装置4の移動範囲に補修すべき部位が含まれるような位置に台車3を静置する。次いで、図3(a)に示すように、駆動装置4によって観察診断装置9を移動し、5〜50mm程度のピッチで壁面を走査しながら観察を行う。観察診断装置9の距離計16を用いることによって壁面の侵食深さについての情報が位置の座標とともに得られる。カーボンの付着状況は、観察診断装置9の温度計による測定データあるいは距離計の測定結果に基づいて知ることができる。
【0056】
カーボン付着状況観察結果に基づき、まず図3(b)に示すように付着カーボン除去を行う。本実施例においては、溶射装置11の溶射バーナーが付着カーボン除去装置12を兼ねている。付着カーボンを燃焼除去するに際しては、溶射バーナーの先端から純酸素を流量80Nm3/hrで吹き付ける。本実施例においては、炉壁の煉瓦残存厚みが薄くなっているので、機械ハツリ除去装置を用いた機械ハツリは行わない。付着カーボン除去後に、図3(c)に示すように再度距離計16を用いた診断を行い、該診断結果に基づいて溶射補修を行う。
【0057】
距離計16を用いた損耗深さの診断結果に基づき、溶射補修計画について、その座標とともに正確に決定する。この結果をコンタ図等に処理加工して運転室にいる運転者等にわかりやすく表示する。運転者はパソコンに表示されたコンタ図内に矩形等で補修範囲と補修深さとを重ね書きして補修方法を定めることができる。
【0058】
診断補修装置の溶射パターン制御部においては、予め補修深さと溶射バーナーの走査速度との対応を定めておき、炉壁損傷部の各位置毎の補修深さに応じて溶射バーナーの走査速度を調整するようにしている。走査速度の急激な変化を防止するためには、例えば溶射部位を中心として縦横10mmおきに測定した9点の損耗深さ情報を用い、これらの値を平均化した深さ情報に基づいて走査速度を定めることとすれば、溶射バーナーの走査速度は急激に変化しないので好ましい。
【0059】
炉壁損傷部41における溶射装置11の走査方法としては、まず駆動装置4の回転移動機構6を動作させて溶射バーナーの上下方向の位置を定め、その位置における補修箇所の左右方向全幅について駆動装置4の平行移動機構5を動作させて溶射バーナーを前後方向に走査させる。1走査線について走査が完了したら、上下回転機構を動作させて溶射バーナーを上下方向に位置変更し、となりの走査線について走査しつつ溶射を行う。隣り合う走査線同士の間隔については、溶射肉盛表面の隣り合う境界位置が平坦になるように最適な間隔を選択することができる。通常は隣り合う走査線同士の間隔を、ラバーフレーム溶射では15mm程度、テルミット溶射では20mm程度とすると良好な結果を得ることができる。
【0060】
1箇所の炉壁損傷部41における補修箇所について、回転移動機構6を移動しつつすべての高さについて走査しつつ溶射を完了すれば、図4(b)に示すような走査線13の軌跡を描くことができ、当該補修箇所について溶射肉盛して図4(c)(d)に示すような周辺煉瓦面に近い平坦な溶射補修面を得ることができる。
【0061】
溶射後に再度距離計16を走査させて補修部の形状を測定し、機械ハツリ除去装置10で表面を平坦にすることもできるが、通常は溶射後の補修部の表面形状は極めて平坦な形状となり、さらに機械ハツリ除去を必要とすることはない。
【0062】
【発明の効果】
本発明は、補修部位の各位置毎に補修深さが異なっていても溶射肉盛補修を行うことだができるので、溶射の前に機械ハツリ除去装置10を用いて損傷部の底部形状を平坦化する必要がない。そのため、炉壁煉瓦の残存厚みが少なく機械ハツリを行いにくい場所についても機械ハツリを行わずに補修を行うことが可能になる。また、炉内の補修部位付近に停止した台車3に配置した駆動装置4によって駆動されるので、溶射装置11の走査は極めて精密に行うことができる。そのため、本発明の単純な移動のみによって補修が可能であり、短時間で良好な溶射補修面を形成することができる。
【0063】
本発明はまた、診断補修装置の平行移動機構について、前部保持部における受けローラが移動側構造物の重量を受ける。受けローラとして、十分にこの重量に耐える構造のものを形成することができ、受けローラ22は水冷箱23と水冷レール24とによって周囲の高温環境から断熱保護されているので、炭化室内の高温環境にも関わらず十分な耐久性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコークス炉の観察診断装置を示す概略図である。
【図2】本発明のコークス炉の観察診断装置のうち、駆動装置に配置した観察診断装置と補修装置を示す部分図である。
【図3】本発明の補修方法を示す部分断面図であり、(a)は付着カーボン除去前の炉壁診断状況、(b)は付着カーボン除去状況、(c)は付着カーボン除去後の炉壁診断状況を示す図である。
【図4】本発明の補修方法を示す図であり、(a)は炉壁を溶射する状況を示す部分断面図、(b)は炉壁損傷部における溶射バーナーの走査線を示す図、(c)はC−C部分断面図、(d)はD−D部分断面図である。
【図5】本発明の診断補修装置における前部保持部を示す図であり、(a)は観察診断装置の部分断面図、(b)は前部保持部を構成する主要部品の斜視図、(c)は水冷レールの断面図である。
【図6】本発明の診断補修装置における後部保持部を示す図であり、(a)は観察診断装置の部分断面図、(b)は直動案内軸受の斜視図、(c)は直動案内軸受の断面図である。
【図7】本発明の診断補修装置に炉内診断専用装置を装着した状況を示す図である。
【符号の説明】
2 炉室
3 台車
4 駆動装置
5 平行移動機構
6 回転移動機構
7 アーム
8 左右回転機構
9 観察診断装置
10 機械ハツリ除去装置
11 溶射装置
12 付着カーボン燃焼除去装置
13 走査線
16 距離計
20 前部保持部
21 後部保持部
22 受けローラ
23 水冷箱
24 水冷レール
25 サイドローラ
26 直動案内軸受
27 軸受ブロック
28 レール
29 連結アーム
30 水路
32 炉内診断専用装置
33 走行台車
34 受けローラ
35 レール
36 橇
37 ピン
38 ボール
40 炉壁煉瓦
41 炉壁損傷部
42 付着カーボン
43 溶射耐火物

Claims (9)

  1. 室炉式コークス炉の炉内を前進後退する台車と、炭化室壁面状況を観察診断する観察診断装置と、壁面の補修すべき部位を補修する補修装置と、前記台車前部にあって前記観察診断装置及び補修装置を空間的に移動するための駆動装置とを有するコークス炉の診断補修装置であって、
    前記駆動装置は平行移動機構によって台車上を炭化室の前後方向に移動し、該平行移動機構においては駆動装置を台車の前部において平行移動可能に保持する前部保持部を有し、該前部保持部は水冷箱中に収納された受けローラと水冷レールを有し、受けローラと水冷レールの一方が駆動装置に配置され他方が台車に配置され、受けローラは前記水冷箱と水冷レールとによって周囲の高温環境から断熱保護され、受けローラが水冷レールに接することで駆動装置が台車に保持され、受けローラが水冷レールに接して回転しつつ両者が相対的に移動することによって前記平行移動機構における移動が行われることを特徴とするコークス炉の診断補修装置。
  2. 前記水冷箱中にはサイドローラを有し、水冷レールはサイドローラによって保持されることにより横ぶれが防止されてなることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉の診断補修装置。
  3. 前記平行移動機構は台車内部において直動案内軸受によって平行移動可能に駆動装置を保持する後部保持部を有し、直動案内軸受においては軸受ブロックがレールと転がり接触し、軸受ブロックとレールの一方が駆動装置に配置され他方が台車に配置され、軸受ブロックは駆動装置又は台車に回動可能に配置されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のコークス炉の診断補修装置。
  4. 前記駆動装置は、平行移動機構によってそれ自体が台車上を炭化室の前後方向に移動可能であるとともに、前記観察診断装置及び補修装置を上下方向に回転する回転移動機構と、観察診断装置及び補修装置を対面する左右の壁面の間で回転する左右回転機構とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコークス炉の診断補修装置。
  5. 前記観察診断装置は炭化室壁面を撮像する撮像装置、該壁面との距離を測定する距離計、該壁面の温度を測定する温度計の1又は2以上を有し、前記補修装置は壁面に局部的に酸素ガス又は酸素過剰燃料ガスを吹き付けて付着カーボンを燃焼除去するカーボン燃焼除去装置と、前記壁面レンガ表面及び/又は付着カーボンを機械的ハツリで除去する機械ハツリ除去装置と、前記壁面に耐火物を溶射して耐火物補修を行なう溶射装置の1又は2以上を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコークス炉の診断補修装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の診断補修装置を用いてコークス炉の炭化室内の壁面を熱間で診断し補修する方法であって、
    前記観察診断装置は炭化室壁面との距離を測定する距離計を有し前記補修装置は前記壁面に耐火物を溶射して耐火物補修を行なう溶射装置を有し
    診断補修装置の前記台車を炉内に挿入し、前記壁面の補修すべき部位における壁面位置毎の補修深さを前記距離計を用いて測定し、補修すべき部位において前記駆動装置によって前記溶射装置を走査しつつ耐火物を溶射して耐火物補修を行ない、補修すべき部位の壁面位置毎の補修深さに応じて走査速度を調整することによって溶射肉盛量を調整することを特徴とするコークス炉の診断補修方法。
  7. 前記溶射肉盛量の調整は、補修すべき部位を溶射肉盛して周辺煉瓦面に近い平坦な溶射補修面を得るように調整することを特徴とする請求項に記載のコークス炉の診断補修方法。
  8. 前記駆動装置は前記溶射装置を壁面位置において2軸方向に走査可能であり、壁面の補修すべき部位において2軸のうち一方の軸を固定して他の軸方向に走査して耐火物を溶射し、その後一方の軸を所定量移動して固定し、他の軸方向に走査して耐火物を溶射する操作を繰り返すことを特徴とする請求項6又は7に記載のコークス炉の診断補修方法。
  9. 前記距離計による補修深さの測定に先立ち、補修すべき部位の壁面に局部的に酸素ガス又は酸素過剰燃料ガスを吹き付けて付着カーボンを燃焼除去することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のコークス炉の診断補修方法。
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