JP3905832B2 - コークス炉の診断補修装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス炉炭化室内の壁面耐火物の損傷状況を熱間で観察診断し、あるいは観察診断結果に基づいて壁面耐火物を補修するための、コークス炉の診断及び/又は補修装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コークス炉炭化室の壁面は耐火物レンガでおおわれている。該壁面の耐火物に目地切れ、亀裂の発生、レンガの欠損等の損傷が生じると、発生コークス炉ガスが炭化室から燃焼室へ流入して不完全燃焼を生じたり、熱分解カーボンの炉壁への付着の増大あるいは製造したコークスの損傷部への食い込みによって押し詰まりの問題が生じる。
【0003】
炭化室壁面の耐火物の損傷を補修する種々の方法あるいは装置が提案されている。特許文献1には、炭化室炉壁の補修すべき位置を正確に把握して補修を行い、付着カーボンや劣化耐火物を除去して健全な補修部位を形成し、補修後のレンガ面を平坦化し、強固で寿命の長い補修を行うことのできるコークス炉の診断補修装置が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載の診断補修装置は、図1に示すように、観察診断ユニット1や補修ユニット2を備える台車(挿入台車3)を有し、挿入台車3は車輪又は橇46によってコークス炉炉底52に接地し、炉室内を前進後退することができる。診断補修ユニットを備えた挿入台車3は、走行台車30の上に設置することができる。走行台車30はレール33の上を走行可能であり、これにより補修を実施すべき炉室まで移動する。挿入台車3は走行台車30の上のレール又は受けローラ34の上を走行する。診断補修装置には、カーボン燃焼除去装置、機械ハツリ除去装置10、溶射装置が備えられる。
【0005】
挿入台車3を炭化室51内に挿入して予め定めた補修すべき位置の付近にて停止し、次いで観察診断装置を走査することによって補修すべき位置の付近を観察し、補修すべき位置を正確に決定し、観察診断装置によって決定した補修すべき位置の座標を正確に保ったままでカーボン燃焼除去装置、機械ハツリ除去装置、溶射装置等の補修装置2による補修を行うことができる。機械ハツリ除去装置10は、アーム先端に取り付けた板状回転羽根9を回転させ、板状回転羽根先端に取り付けた工具15によってレンガ表面の劣化した耐火物を機械的ハツリで除去することができるので、その後に行う溶射による補修耐火物層がレンガに強固に付着し、補修耐火物の寿命を向上することができる。
【0006】
観察診断ユニット1としては、特許文献2に記載のものを用いることができる。特許文献2において、カメラ収納筐体中には線状又はスリット状の視野を有するカメラが収納され、カメラの視野方向に配置されたミラー管で反射したコークス炉炭化室壁面の画像を撮像する。撮像を行いつつ観察診断装置を炭化室内で移動することにより、炭化室壁面の2次元画像を得ることができる。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−212566号公報
【特許文献2】
特開平11−106755号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
コークス炉の診断補修装置は、高温の炭化室内に挿入して炉壁の診断及び補修を行うため、挿入台車3、観察診断装置等はいずれも水冷構造とし、本体及び内部の機器を保護している。しかし、機械ハツリ除去装置10のアーム先端に取り付けた板状回転羽根9は、その果たすべき機能の点から水冷ボックス内に収納することができないので、炉内の高温雰囲気に直接さらされる。そのため、板状回転羽根先端に取り付けた工具15が摩滅して切削能力が落ちたり、工具本体の破損を生じることがあった。水を噴射する冷却水ノズルを用いて冷却水を直接板状回転羽根9に噴射することが考えられるが、アーム側からのみ水を噴射したのでは板状回転羽根9を十分に冷却することができず、片面冷却による熱ひずみにより、工具を保持する板状回転羽根9の変形を生じることがあった。アーム5の反対側からも水を噴射しようとすると、板状回転羽根回りの装置構造をいたずらに複雑化することとなり、メンテナンス上の不都合が生じ、高温の炉内に挿入する装置として好ましくない。また、水噴射量を増大すると余剰の水が炉壁・炉底のレンガに飛散し、炉底レンガを損傷する原因となる。
【0009】
機械ハツリ除去装置10は、先端に板状回転羽根9を有するアーム5を炉壁表面に押し付け、その押し付け圧によって炉壁表面をハツリ除去する。ところが、炉壁表面の状況によってハツリ状況が異なり、場所によって炉壁表面の削り過ぎが発生したり、あるいは機械ハツリ装置が振動を生じることがあった。
【0010】
炭化室内に挿入する診断・補修装置においては、炭化室の奥行きが約16m、高さが約6mであるのに対し、炭化室の幅が約0.4mと極めて狭い空間に挿入される。診断・補修装置の横幅は炭化室の幅ぎりぎりのサイズで設置されることが多い。そのため、観察診断ユニット1や補修ユニット2を挿入台車3の先端に設置し、その挿入台車3を走行台車上に配置して炭化室内に挿入する診断・補修装置においては、図11(a)に示すように、挿入する炭化室51の高さ方向と診断・補修装置の高さ方向との間にわずかでも狂いが生じると、診断・補修装置を炭化室内に挿入することができなくなる。一方、長期間にわたって使用されて老朽化が進行したコークス炉においては、走行台車30が走行するレール部分が沈下や隆起によって水平を保てなくなる場合があり、このような場合には炭化室51の高さ方向と診断・補修装置の高さ方向との間に傾きが生じ、診断・補修装置を炭化室内に挿入することができなくなる。また、図11(b)に示すように、炭化室51の長手方向と挿入台車3の挿入方向との間にわずかでも狂いが生じた場合においても、診断・補修装置を炭化室内に挿入することができなくなる。走行台車30がレール上を走行して所定の炭化室51の前で停止するに際し、停止時の走行台車角度に狂いが生じ、その結果として診断・補修装置を炭化室内に挿入することができなくなることがある。
【0011】
1つの走行台車30上に診断機能と補修機能を持たせる場合、それぞれ個別に挿入台車3を持つことが考えられるが、個別に複数の挿入台車3を走行台車30上に設置すると走行台車30の幅が広くなり、走行台車30をコークス炉に設置することが困難になる。また、設備費も増加する。
【0012】
本発明は、板状回転羽根9を有する機械ハツリ除去装置10を備えたコークス炉の補修装置において、板状回転羽根9を適切に冷却することのできる補修装置を提供することを第1の目的とする。また、炉壁表面の状況によらず常に安定した機械ハツリを可能にする補修装置を提供することを第2の目的とする。さらに、観察診断装置や補修装置を挿入台車3の先端に設置し、その挿入台車を走行台車上に配置して炭化室内に挿入する診断・補修装置において、走行台車の傾きや角度に狂いが生じても炭化室内に挿入することができる診断・補修装置を提供することを第3の目的とする。本発明は、走行台車の幅を広げずに診断と補修をともに実施することのできる診断・補修装置を提供することを第4の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の目的を達成するための本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)炭化室壁面レンガ表面及び/又は付着カーボンを機械的ハツリで除去する機械ハツリ除去装置10を備えたコークス炉の補修装置において、機械ハツリ除去装置10はアーム5先端に板状回転羽根9を備え、アーム側から板状回転羽根9に向けて冷却水を噴射する冷却水ノズル11を備え、板状回転羽根9には噴射された冷却水を通過させる切り欠き12又は開口部13が配置され、板状回転羽根9のさらに先端側には板状回転羽根9の一部又は大部分を覆うカバー14が配置されてなることを特徴とするコークス炉の補修装置。
(2)板状回転羽根9の下方には、比表面積の大きい蓄熱体16を有する冷却水蒸発装置18を有し、板状回転羽根9に噴射された余剰の冷却水が冷却水蒸発装置18の蓄熱体16に接触して蒸発し得ることを特徴とする上記(1)に記載のコークス炉の補修装置。
(3)炉内雰囲気温度、補修装置温度、炉壁温度、炉底温度のうちの1以上を測定する温度計21を備え、冷却水ノズル11から噴射する冷却水流量を温度計21による測温結果に基づいて定めることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のコークス炉の補修装置。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のコークス炉の補修装置を用いたコークス炉の補修方法であって、冷却水ノズル11から噴射する冷却水流量を0.1〜1.0リットル/分の範囲内とすることを特徴とするコークス炉の補修方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
まず、本発明を適用することのできるコークス炉炭化室の診断装置、補修装置、又は診断補修装置について図1に基づいて説明する。
【0018】
観察診断ユニット1や補修ユニット2等を備える挿入台車3は、車輪又は橇46によってコークス炉炉底52に接地し、炉室内を前進後退することができる。挿入台車3の前進後退は、コークス炉炉外に配置された図示しない挿入駆動部によって行う。挿入台車3の前部は炉室の最も奥まで前進することを要する一方、挿入駆動部は常に炉外に位置するため、挿入台車3は炉室の長さに相当する長さを有するものとなる。
【0019】
挿入台車3は、図1に示すように走行台車30の上に設置することができる。走行台車30はレール33の上を走行可能であり、これにより補修を実施すべき炉室まで移動する。挿入台車3と走行台車30との接触部については、挿入台車に車輪を設け、走行台車にレールを設け、レール上を車輪が走行する形状とすることができる。また、図1に示すように、走行台車30に受けローラ34を設け、挿入台車3が受けローラ34上に載置されて走行する形状としても良い。挿入台車の車輪と走行台車のレールとの間、あるいは挿入台車3と受けローラ34の間の関係について、挿入台車3が挿入と直角の横方向に走行台車30に拘束される形状とすることができる。これにより、挿入台車3を炭化室内に挿入するに際し、挿入方向を一定に保持することができる。
【0020】
挿入台車3の炉内先端部には、補修ユニット2を炉内空間で移動するための駆動装置4を有する。図1において、駆動装置4は炉内上下方向に回転する第1のアーム6を利用した上下回転機構4、第1のアーム6先端部に取り付けられ、第2のアーム8(アーム5)を利用した左右回転機構7を有する。溶射装置11等の補修ユニット2は第2のアーム8の先端に取り付けられる。この駆動装置4により、左右回転機構7の先端に取り付けられた補修ユニット2は炉内の上下方向全域を移動可能であり、更に観察診断あるいは補修する対象として左右いずれの炉壁をも選択することが可能になる。観察診断ユニット1は挿入台車3の前方に脱着可能なように設置する。
【0021】
左右回転機構7の先端には、カーボン燃焼除去装置、機械ハツリ除去装置10、溶射装置等を取り付けることができる。
【0022】
左右回転機構8の先端に取り付けられた機械ハツリ除去装置10は、図4に示すように、壁面レンガ表面及び付着カーボンの一方又は両方を機械的ハツリで除去する。機械ハツリ除去装置10として好ましくは、長さ100〜500mmの板状回転羽根13の先端に高硬度の工具15を配置し1000〜5000rpmで回転し、先端の工具15によって対象物を切削する。この方法を用いれば、先端工具は必ず一定半径の円弧軌跡を描くので、工具が均等に対象物に接触するとともに、工具によって耐火物表面を切削することが可能になり、除去したい付着カーボンや劣化耐火物のみを除去することができる。
【0023】
第1の目的を達成するための本発明について説明する。
【0024】
この発明は、炭化室壁面レンガ表面及び/又は付着カーボンを機械的ハツリで除去する機械ハツリ除去装置を備えたコークス炉の補修装置に適用することができる。補修専用装置であっても、あるいはコークス炉の診断と補修をともに行うことのできる診断補修装置であっても良い。
【0025】
図2に示すように、機械ハツリ除去装置10はアーム5の先端に板状回転羽根9を備える。上述した診断・補修装置を例にとれば、駆動装置4は炉内上下方向の回転する第1のアーム6を利用した上下回転、第1のアーム6の先端部に取り付けられる、第2のアーム8を利用した左右回転機構7を有する。この場合、板状回転羽根9を取り付けるアーム5は該第2のアーム8である。第2のアーム8を左右に旋回することにより、板状回転羽根9の外周に取り付けた工具15を炉壁表面に押し付け、炉壁表面をハツリ除去することができる。
【0026】
機械ハツリ除去装置10はアーム5の側から板状回転羽根9に向けて冷却水を噴射する冷却水ノズル11を備える。板状回転羽根9には噴射された冷却水を通過させる切り欠き12又は開口部13が配置される。これにより、アーム側から噴射された冷却水が、切り欠き12又は開口部13を通過してアーム5と反対側に到達することができる。そして、板状回転羽根9のさらに先端側には板状回転羽根9の一部又は大部分を覆うカバー14が配置されており、アーム5と反対側に到達した冷却水は、このカバー14によって反射され、板状回転羽根9のアームと反対側の面に到達し、この面を冷却することができる。
【0027】
上記本発明の機械ハツリ除去装置10においては、冷却水をアーム側からのみ噴射するので、冷却水ノズル11はアーム側に配置することが可能である。従って、アームと反対側から噴射する冷却水ノズルを配置する必要がないので、板状回転羽根周辺に複雑な冷却水配管を配置する必要がない。板状回転羽根9はその両面から冷却水を噴射されて均等に冷却されるので、熱歪みの発生を防止することができ、工具保持具の変形を防止することができる。
【0028】
板状回転羽根9に配置される、噴射された冷却水を通過させる切り欠き12又は開口部13としては、以下のような実施の形態を採用することができる。
【0029】
図3(a)(b)に示す例では、板状回転羽根9の形状として放射状の多数の枝を有する形状を採用することができる。各枝の先端にハツリのための工具15を取り付ける。枝と枝との間の空間が、噴射された冷却水を通過させる切り欠き12となる。アーム側から板状回転羽根9に向けて冷却水ノズル11から噴射される冷却水は、板状回転羽根9の回転に伴い、放射状の枝への衝突と切り欠き部12を通しての通過を繰り返す。冷却水が放射状の枝に衝突することにより、板状回転羽根9のアーム側が冷却される。冷却水が切り欠き12を通過してカバーに衝突して跳ね返ることにより、板状回転羽根のアームと反対側が冷却される。
【0030】
図3(c)(d)に示す例では、板状回転羽根9の形状として多数の孔を有する形状を採用することができる。板状回転羽根9に形成された孔が、噴射された冷却水を通過させる開口部13となる。冷却水ノズル11は、ちょうど板状回転羽根に開口した孔に向くように配置される。板状回転羽根9の回転に伴い、孔の位置が冷却水ノズルの噴射方向と一致したときには冷却水が孔を通過し、上記の場合と同様板状回転羽根のアームと反対側を冷却する。孔の位置と冷却水ノズルの噴射方向がずれているときには、冷却水は板状回転羽根のアーム側を冷却する。
【0031】
板状回転羽根9を冷却するに十分な冷却水を噴射すると、一部の冷却水は高温の板状回転羽根9に熱せられて蒸発するものの、大部分の冷却水は板状回転羽根9を冷却した後そのまま下方に落下する。炭化室の炉底52に落下した冷却水は、炉底レンガを冷やすこととなり、レンガ寿命を縮めることとなる。板状回転羽根9の下方に冷却水を受ける容器を設置することも考えられる。板状回転羽根を備えたアーム5は移動可能に設けられており、冷却水を受ける容器も移動するアームとともに移動させる必要があるので、アームそのものに連結して設置する必要がある。いきおい、容器の容量はある大きさ以内に制限されることとなり、炭化室内で補修を行っている間に容器は冷却水で満たされ、オーバーフローしてしまうこととなる。
【0032】
本発明おいては、図2に示すように、板状回転羽根9の下方に比表面積の大きい蓄熱体16を有する冷却水蒸発装置18を配置することにより、上記問題を解決することができた。比表面積の大きい蓄熱体16とは、例えば大きさが数cm程度の石や鉄の塊が相当する。石や鉄の塊は十分な比熱を有し、高温の炭化室内に挿入することで自身の温度が上昇し、蓄熱体として機能する。比表面積を大きくしているで、このような蓄熱体16の上方から余剰の冷却水が落下すると、蓄熱体16が有する十分に広い表面と冷却水とが接触し、冷却水が蓄熱体16に蓄えられた熱を吸収することによって蒸発するので、冷却水がさらに落下して炉底に到達することがない。比表面積が大きい蓄熱体16としては、比熱が0.45×103J/kg・K以上、個々の蓄熱体の大きさが平均2cm以下であればどのようなものでも良い。石、各種セラミックス、鉄の塊、ボルトなどの鉄製部品、各種金属の塊、金属ワイヤが相当する。このような蓄熱体16を嵩容量で1000cc程度以上とし、容器17内に収納して冷却水蒸発装置18とし、板状回転羽根9の下方に配置すればよい。
【0033】
本発明のコークス炉の補修装置を用いてコークス炉炭化室を補修するに際し、炭化室内の温度は一定ではない。炭化室の稼働状況によって温度が変動するとともに、同一の炭化室でも補修部位毎に温度が変動することがある。板状回転羽根9を冷却するために噴射する冷却水流量については、特定の炭化室炉内温度において最適な冷却水流量を設定したとしても、炭化室温度が当該特定温度より高い場合には、冷却水が不足して板状回転羽根9が十分に冷却されないこととなる。また、炭化室温度が当該特定温度より低い場合には、板状回転羽根9の下方に配置した冷却水蒸発装置18の蓄熱量が不足して余剰冷却水を十分に蒸発することができず、炉底52に冷却水がこぼれ落ちることとなる。一方、炭化室温度が低い場合には、冷却水流量を低減しても十分に板状回転羽根9を冷却することが可能である。即ち、炭化室内の温度によって最適な冷却水流量が異なり、各温度毎に最適冷却水量に制御することにより、板状回転羽根9を十分に冷却しつつ冷却水蒸発装置18で余剰の冷却水を十分に蒸発することが可能になる。
【0034】
本発明においては、炉内雰囲気温度、補修装置温度、炉壁温度、炉底温度のうちの1以上を測定する温度計21を備え、前記冷却水ノズルから噴射する冷却水流量を温度計による測温結果に基づいて定めることにより、炭化室内の温度に関わらず、常に最適な冷却水流量を保持することができ、板状回転羽根を十分に保護しつつ、炉底に飛散する余剰の冷却水量を最小限にすることができる。炭化室内の温度測定手段としては、炉内雰囲気温度、補修装置温度、炉壁温度、炉底温度のうちの1以上を測定する温度計を備えれば良い。
【0035】
板状回転羽根9を冷却するための冷却水ノズル11から噴射する冷却水流量は、0.1〜1.0リットル/分の範囲内とすると好ましい。冷却水流量が0.1リットル/分未満であると、たとえ炭化室内の温度が低下しているときであっても板状回転羽根の冷却が不十分になることがある。また、冷却水流量が1.0リットル/分を超えると、冷却水量が過剰となって冷却水蒸発装置18を適用しても余剰の冷却水を十分に蒸発できないことがあるからである。
【0036】
第2の目的を達成するための本発明について説明する。
【0037】
炭化室壁面レンガ表面及び/又は付着カーボンを機械的ハツリで除去する機械ハツリ除去装置10を備えたコークス炉の補修装置において、機械ハツリ除去装置10は回転する板状回転羽根9を炭化室壁面に押し付けることによってハツリを行う。従来の機械ハツリ除去装置においては、炭化室壁面への押し付け力を一定としてハツリを行っていた。
【0038】
本発明の補修装置は、炭化室壁面の硬度を評価する硬度評価装置26を有し、この硬度評価装置26はハツリを行う炭化室壁面の硬度を評価し、さらに補修装置は押し付け力調整装置25を有し、押し付け調整装置25においては、評価した炭化室壁面の硬度に基づいて板状回転羽根9の回転数と炭化室壁面への押し付け力Pの一方又は両方を定める。ハツリを行う炭化室壁面の硬度が高いときは、押し付け力Pの上昇と回転数の上昇のいずれか又は両方を行う。逆にハツリを行う炭化室壁面の硬度が低いときは、押し付け力Pの低下と回転数の低下のいずれか又は両方を行う。これにより、たとえハツリを行う炭化室壁面の硬度が低い場所であっても、ハツリによる壁面の削りすぎ発生を防止することができる。また、ハツリを行う炭化室壁面の硬度が通常より高い場合にも、ハツリ能率を下げずにハツリを行うことが可能になる。
【0039】
炭化室壁面の硬度が高いとき、または壁面の強度が低い場合でも押し付け力Pが過大である場合は、円滑なハツリを行うことができず、大きな装置振動を生じる。また壁面は欠けなどの局部的な損傷を起こし滑らかなハツリ面を得ることができなくなる。本発明によれば壁面の硬度に応じて板状回転羽根9の回転数と押し付け力Pのいずれかまたは両方の制御が可能であるため、装置振動を生じた場合は、板状回転羽根9の回転数低下と押し付け力Pの低下のいずれかまたは両方を低下させることによって装置振動を防止することができる。
【0040】
炭化室壁面の硬度を評価する硬度評価装置26は、機械ハツリ装置10による切削代実績に基づいて炭化室壁面の硬度を求めることとすると好ましい。機械ハツリ装置10によって一定の押し付け力Pと回転数を付与してハツリを行ったとき、壁面の硬度が低ければ1回のハツリ作業における切削代が大きくなる。逆に壁面の硬度が高ければ切削代が小さくなる。従って、ハツリ作業における切削代実績を検出することにより、壁面の硬度を評価することが可能である。この方法を用いれば、機械ハツリ装置本体と別に硬度計を装着することが不要であり、装置構成を複雑化しないので好適である。
【0041】
機械ハツリの好ましい実施の形態において、板状回転羽根9の回転数を4000〜4500rpmとし、板状回転羽根9の押し付け力Pについては、レンガが新品に近い品質を維持しているときは500N程度とし、レンガの劣化が進行した状態のときには200N程度とすると好ましい。
【0042】
第3の目的を達成するための本発明について説明する。
【0043】
本発明が対象とする診断・補修装置は、コークス炉炭化室の窯口に隣接して配置される走行台車30と、走行台車上からコークス炉炭化室内に挿入される挿入台車3と、挿入台車3に設置してコークス炉炭化室の壁面を観察する観察診断ユニット及び/又は壁面を補修する補修ユニットを有するコークス炉の診断及び/又は補修装置である。本発明の診断・補修装置において、挿入台車3の挿入方向軸回りの傾斜を補正する傾斜補正装置35あるいは挿入台車3の挿入方向を補正する方向補正装置41を有している。以下、順番に本発明の説明を行う。
【0044】
第3の目的を達成する本発明のうち、走行台車上に挿入台車の挿入方向軸回りの傾斜を補正する傾斜補正装置35を有するコークス炉の診断・補修装置について説明する。
【0045】
図11(a)に示すように、挿入台車に接続した観察診断ユニット1や補修ユニット2の挿入方向軸回り角度と炭化室51の挿入方向軸回り角度との間に角度差が生じているときには、観察診断ユニット1や補修ユニット2が窯口に衝突するので炉内に挿入することができない。このような場合であっても、上記傾斜補正装置35を作動させることによって挿入台車上の観察診断ユニット1や補修ユニット2の角度を修正し、観察診断ユニットや補修ユニットが窯口に衝突しない角度とすることができ、炉内への挿入を可能にすることができる。以下、傾斜補正装置35の具体的な実施の形態について説明する。
【0046】
傾斜補正装置35の第1の実施の形態を図5に基づいて説明する。
【0047】
挿入台車上の機器に電気を供給し、あるいは挿入台車上の機器と通信を行うため、走行台車上のステーションと挿入台車3との間には電気配線や通信配線が接続される。挿入台車3は炭化室51の奥行きと同じ長さだけ移動するので、これら電気配線や通信配線は移動に対応する必要があり、通常は図5に示すようなケーブルベア38を用いた方式が採用される。ケーブルベア38の挿入台車側の端末において、挿入台車3から挿入方向と直角の横方向に張り出しアーム36を配置し、この張り出しアーム36にケーブルベア38の一方の端が接続される。張り出しアーム36とケーブルベア38の重量を受けるので、この重量によって挿入台車3が傾かないよう、張り出しアーム36はその先端付近において架台37に支えられる。架台37は走行台車上に配置され、張り出しアーム36が挿入台車3とともに挿入方向に移動するのに対応できるよう、挿入台車3の移動長さに等しい長さを有する。通常において、架台37は走行台車上に固定されているが、走行台車上におけるこの架台37の高さを可変とし、図5に示すように架台37を昇降させることができれば、架台37の昇降に伴って挿入台車3の挿入軸方向傾きを変化させることが可能である。本発明はこの点に着目し、挿入台車3は挿入と直角方向に張り出す張り出しアーム36を有し、張り出しアーム36は走行台車上に配置した架台37に支えられ、傾斜補正装置35は架台37を昇降することによって挿入台車3の挿入方向軸回りの傾斜を補正する。張り出しアーム上に車輪を有し、架台上のレールがこの車輪と接触する形態を有する場合においては、レールを支える架台基部とレールとの間をパンタグラフ式機構とし、このパンタグラフ39のアーム角度を変化することによってレールの高さを変化させる機構を採用することができる。例えば、図5に示すように、油圧シリンダ48によってパンタグラフのアーム角度を変化させることができる。
【0048】
傾斜補正装置35の第2の実施の形態を図6に基づいて説明する。
【0049】
挿入台車3が走行台車上を移動するに際し、挿入台車の下部に配置した車輪が走行台車上のレール上を走行し、あるいは図6に示すように走行台車上に配置した受けローラ34の上に挿入台車3が載置されて走行する形態が採用される。いずれの場合であっても、車輪とレールとの間、あるいは受けローラ34と挿入台車3の間の接触部について、挿入と直角の横方向にずれないように相互に拘束させることができる。このように挿入台車3は走行台車30との接触部において挿入と直角の横方向には走行台車に拘束される拘束点62を有する場合において、挿入台車3を横方向に押して、横方向押し付け点61と拘束点62との間にモーメントを付与することにより、挿入台車3の挿入方向軸回りの傾斜を補正する傾斜補正装置35とすることができる。特に、走行台車上の炭化室窯口に最も近い位置に受けローラ34を配置する場合においては、走行台車上における拘束点62の位置が一定に保持され、さらに挿入台車3が炭化室51の最奥まで挿入された時点においても挿入台車3は当該受けローラ34の上で拘束されている。横方向押し付け点61の配置位置を、挿入方向においてこの受けローラ34と略同じ位置に配置すれば、挿入台車3の挿入方向位置にかかわらず、挿入方向軸回りのモーメントを付与することができるので好都合である。
【0050】
第3の目的を達成する本発明のうち、走行台車上に挿入台車の挿入方向を補正する方向補正装置41を有するコークス炉の診断・補修装置について説明する。
【0051】
走行台車30は、炭化室51の押出機側窯口に接して設けられ、コークス炉炉団の各炭化室間を移動する。炭化室51の幅方向に平行に2本のレール33が配置され、走行台車30の走行台車架台31に設けた車輪32がこのレール上を走行する。走行台車の車輪32は、レールから脱線しないようにレールに拘束されているが、拘束には若干の遊びを設けている。そのため、走行台車30を走行させて所定の炭化室51の前で停止させるに際し、この拘束の遊びの範囲内において、走行台車上の挿入方向芯と炭化室の長手方向芯との間に角度のずれが生じることがある。特に、挿入台車3が走行台車上において複数の受けローラ34で支えられており、挿入台車3の挿入方向がずれないように挿入台車3が受けローラ34によって拘束されているときには、挿入台車3の挿入方向を簡単に補正することができない。
【0052】
挿入台車3の挿入方向と炭化室51の長手方向との間に誤差が生じているときには、図11(b)に示すように、炭化室51に挿入した挿入台車3が途中で炭化室炉壁に衝突してしまい、十分に炉奥まで挿入することができない。このような場合であっても、本発明の方向補正装置41を有していれば、挿入台車3の挿入開始前に方向補正装置41を作動させることによって挿入台車3の挿入角度を修正し、挿入台車3を十分に炉奥まで挿入できる角度とすることができる。以下、方向補正装置41の具体的な実施の形態について説明する。
【0053】
方向補正装置41として、走行台車上に挿入台車架台を設け、挿入台車架台上で挿入装置の挿入方向を可変とすることのできる機構を設けることとしても良い。ただし、この場合には走行台車上に新たに挿入台車架台を設けることが必要となり、設備が複雑化するとともに全体としての設備の剛性低下を伴う可能性がある。また、走行台車上に複数の挿入台車を有する場合、例えば診断装置の挿入台車と補修装置の挿入台車が別々に設置されている場合には、複数の挿入台車毎に挿入台車架台を設置することが必要となり、設備費の増大を招くこととなる。
【0054】
本発明の方向補正装置41として、走行台車車輪を載せる2本のレールのそれぞれについて、走行台車車輪を別々に駆動させる機構を採用することもできる。一方のレール上の車輪を停止のままとし、他方のレール上の車輪を回転することにより、走行台車の角度ずれを補正することができる。ただし、角度補正を行うための移動は、せいぜい10mm以下の微小な移動量である。車輪の微動によってこのような微小な移動を行うには困難を伴うことがある。また、既存の走行台車走行装置においては、2本のレール上の車輪駆動を共通に行っている場合が多く、このような車輪駆動系を車輪を別々に駆動させる独立駆動系に変更するには、大きな改造を擁することとなる。
【0055】
本発明の方向補正装置41の好ましい実施の形態について説明する。
【0056】
走行台車30は走行台車架台31の下部に設けた車輪32によって2本の軌道(レール)(33−1、33−2)の上を走行する。このとき、一方の軌道(図7では軌道33−2)上における走行台車架台31に外力を付与して走行台車架台31−2を軌道33−2に対して相対移動させれば、それによって挿入台車3の挿入方向を補正することができる。その結果として走行台車の位置を30aから30に回転し(図7(b))、走行台車上部に配置した挿入台車の挿入方向角度を3aから3に僅かに変化させることができる。本発明の好ましい実施の形態はこの知見に基づいてなされたものであり、走行台車30は走行台車架台31の下部に設けた車輪32によって2本の軌道上を走行し、方向補正装置41は一方の軌道上における走行台車架台31に外力を付与して走行台車架台31を軌道33に対して相対移動させ、それによって挿入台車3の挿入方向を補正することができる。
【0057】
さらに、上記好ましい方向補正装置41の具体的態様について、図7、8に基づいて説明する。
【0058】
一方の軌道33−1上を走行する走行台車架台31−1には、図7(c)に示すように、軌道33−1と走行台車架台31−1との間を固定するための把持固定装置42を設置する。他方の軌道33−2上を走行する走行台車架台31−2には、図7(d)に示すように、軌道33−2上における走行台車架台31−1に外力を付与して走行台車架台31−2を軌道33−2に対して相対移動させるための把持移動装置43を設置する。
【0059】
把持固定装置42、把持移動装置43によって軌道33を把持する様子を図8(a)(b)に基づいて説明する。把持固定装置42には固定側把持アーム54、把持移動装置43には移動側把持アーム55がいずれも2個づつ配置され、ピン60で結合されている。また、これら把持アームはピン59によって走行台車架台31に接続されている。把持固定装置42、把持移動装置43いずれも、把持用油圧シリンダ58を動作させることによって、図8(a)に示すように軌道33との間を開放させ、あるいは図8(b)に示すように把持アーム材56部分で軌道33を把持することができる。
【0060】
把持固定装置42によって軌道33を把持すると、図8(c)に示すように、走行台車架台31−1と軌道33−1との間が固定されて相互の位置関係が固定される。把持移動装置43は、把持装置移動用油圧シリンダ57の動作により、図8(d)(e)に示すように、ピン59を中心として移動側把持アーム55を回動させることができる。把持移動装置43によって軌道33を把持したまま、把持装置移動用油圧シリンダ57を作動させて移動側把持アーム55を回動させると、これによって図8(e)に示すように走行台車架台31−2を軌道33−2に対して相対移動させることができる。
【0061】
走行台車30の通常運転においては、図8(a)に示すように把持用油圧シリンダ58を縮めて把持を開放しておく。
【0062】
所定の炭化室において診断又は補修を行うために走行台車30を当該炭化室前で停止したところ、図7(b)に示すように、走行台車は30aの位置に斜めに停止したと想定する。このときの上記方向補正装置41の動作について説明する。このとき、車輪32はすべて回転可能にブレーキを開放しておく。
【0063】
把持固定装置42、把持移動装置43ともに、把持用油圧シリンダ58を作動させ、図8(c)に示すように固定側把持アーム54によって軌道33−1を、図8(d)に示すように移動側把持アーム55によって軌道33−2をそれぞれ把持する。把持を維持したまま、把持移動装置43については把持装置移動用油圧シリンダ57を作動させ、図8(e)に示すように移動側把持アーム55をピン59を中心に回動させる。その結果、把持固定装置42の側の走行台車架台31−1は固定されたまま、把持移動装置43の側の走行台車架台31−2が軌道33−2に対して相対移動する。これにより、走行台車は、図7(b)に示すように30aの位置から30の位置に修正され、これに応じて挿入台車の挿入方向は3aの方向から3の方向に修正され、炭化室への挿入が可能になる。
【0064】
本発明のコークス炉の診断及び/又は補修装置において、傾斜補正装置35と方向補正装置41の一方のみを搭載することとしても良いが、その両方を搭載することによってより良好な結果を得ることができる。
【0065】
傾斜補正装置35と方向補正装置41の一方又は両方を作動させるに際し、その作動量を定めるためには、挿入台車3と炭化室51との間の相対位置関係をできるだけ正確に把握する必要がある。本発明においては、挿入台車上に窯幅測定装置50を有し、窯幅測定装置50によって挿入台車3と炭化室51との間の相対位置関係を測定することとすると好ましい。走行台車30の移動によってこれから挿入を行う炭化室前に停止し、挿入台車3を挿入方向に移動し、挿入台車3に配置された窯幅測定装置50によって炭化室窯口の位置を測定する。これにより、窯口の中心線と挿入台車の中心線とが一致しているかどうか、不一致の場合にはどの程度の不一致があるかを測定することができる。窯幅測定装置50の測定結果に基づき、本発明の傾斜補正装置35と方向補正装置41の一方又は両方を作動させ、挿入台車3の傾きと挿入方向を補正する。これにより、挿入台車3をスムーズに炭化室内に挿入することが可能になる。
【0066】
挿入機体の先端付近より、左右水平方向の障害物との相対距離を測定する窯幅測定装置50を配し、挿入時に窯口付近の窯幅を測定する。窯幅測定装置50は、接触式、非接触にかかわらず、炉内温度に耐える保護構造を伴うもので有ればよい。
【0067】
補修装置では、図2(b)に示すように窯幅測定装置50を配置することができる。また、図9に示すように補修装置先端に窯幅測定装置50を配し、補修装置を駆動することにより、窯の上部と下部で測定を行うことにより、窯口との機体相対傾斜も測定することが可能である。診断装置では、診断装置の上部と下部に窯幅測定装置を個々に配置することにより、同様の相対傾斜測定が可能である。
【0068】
窯幅測定装置50としては、コークス炉の診断装置が有している炉幅測定装置をそのまま用いることとしてもよい。また、窯幅測定装置50による測定結果に併せて、目視による干渉確認を行いつつ傾斜補正装置や方向補正装置を作動させることとしても良い。
【0069】
第4の目的を達成するための本発明について説明する。
【0070】
図1(a)に示すように、挿入台車3の先端には、上下回転機構4の下方に連結アーム29aが配置されている。一方、図1(b)に示すように、挿入台車3の先端に着脱することのできる観察診断ユニット1が準備される。観察診断ユニット1には連結アーム29bが配置されている。炭化室内の観察診断を行う際には、挿入台車3の先端に配置された連結アーム29aと、観察診断ユニット1に配置された連結アーム29bとを連結する。これにより、図10に示すように、挿入台車3の先端に観察診断ユニット1を取り付けることができ、この観察診断ユニット1が本発明の炭化室の壁面を観察する観察装置を構成する。また、図10に示す補修ユニット2が、本発明の壁面を補修する補修装置を構成する。
【0071】
このように、観察診断ユニット1を挿入台車3に補修ユニット2を接続した状態からさらに前方(炉側)に接続することで、各ユニットの炉内への挿入を同一の挿入台車(装置)で可能とし、走行台車幅削減、設備費低減を図ることができる。
【0072】
診断装置(観察診断ユニット1)の計装配線および冷却配管は、連結アーム29の脱着部で取り外し可能なように脱着部においてコネクタ接続およびカップリング接続とする。また挿入台車3の連結アーム29aにおける接続部と観察診断ユニット1の連結アーム29bにおける接続部が互いにボルト締結可能なフランジ構造とすると良い。
【0073】
診断実施時は、接続部で計装配線および冷却配管の接続を行い、その後挿入台車3と観察診断ユニット1の接続を行う。
【0074】
補修実施時は、その逆の手順で作業を行い、図1に示すように観察診断ユニット1の切り離しを行い、挿入台車接続部のフランジに断熱蓋を取り付ける。
【0075】
【発明の効果】
本発明は、板状回転羽根を有する機械ハツリ除去装置を備えたコークス炉の補修装置において、アーム側から板状回転羽根に向けて冷却水を噴射する冷却水ノズルと、冷却水を通過させる板状回転羽根の切り欠き又は開口部と、板状回転羽根を覆うカバーとを有することにより、板状回転羽根を適切に冷却することが可能になる。また、板状回転羽根の下方に比表面積の大きい蓄熱体を有する冷却水蒸発装置を有することにより、板状回転羽根に噴射された余剰の冷却水が該冷却水蒸発装置の蓄熱体に接触して蒸発し、炉底レンガの損傷を防止することができる。
【0076】
本発明はまた、機械ハツリ除去装置の回転羽根の押し付け力を炭化室壁面の硬度に基づいて定めることにより、炉壁表面の状況によらず常に安定した機械ハツリを可能にする。
【0077】
本発明はさらに、観察診断装置や補修装置を挿入台車の先端に設置し、その挿入台車を走行台車上に配置して炭化室内に挿入する診断・補修装置において、走行台車上には挿入台車の挿入方向軸回りの傾斜を補正する傾斜補正装置を有することにより、走行台車の傾きに狂いが生じても炭化室内に挿入することができる。また、走行台車上に挿入台車の挿入方向を補正する方向補正装置を有することにより、走行台車の挿入角度に狂いが生じても炭化室内に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコークス炉の診断補修装置を示す概略図であり、(a)は補修ユニットを装着した全体概略図、(b)は観察診断ユニットを示す部分図である。
【図2】本発明の機械ハツリ除去装置を示す部分図であり、(a)は上から見た図、(b)は横から見た図である。
【図3】本発明の機械ハツリ除去装置を示す部分図であり、(b)は板状回転羽根が切り欠きを有するもの、(d)は板状回転羽根が開口部を有するもの、(a)(c)はそれぞれA−A矢視断面図、C−C矢視断面図である。
【図4】本発明の機械ハツリ除去装置によって炭化室の補修を行う状況を示す部分平面断面図である。
【図5】本発明の傾斜補正装置を備えた診断補修装置を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図6】本発明の傾斜補正装置を備えた診断補修装置を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図7】本発明の方向補正装置を備えた診断補修装置を示す概略図であり、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はC−C矢視断面図、(d)はD−D矢視断面図である。
【図8】本発明の方向補正装置を備えた診断補修装置を示す概略図である。
【図9】本発明の窯幅測定装置を備えた診断補修装置を示す概略図である。
【図10】観察診断ユニットを補修ユニットの前方に装着した本発明のコークス炉の診断補修装置を示す概略図である。
【図11】従来の診断補修装置の問題点を示す図であり、(a)は挿入する炭化室の高さ方向と診断・補修装置の高さ方向との間に狂いが生じた場合、(b)は炭化室の長手方向と挿入台車3の挿入方向との間に狂いが生じた場合である。
【符号の説明】
1 観察診断ユニット
2 補修ユニット
3 挿入台車
4 上下回転機構
5 アーム
6 第1のアーム
7 左右回転機構
8 第2のアーム
9 板状回転羽根
10 機械ハツリ除去装置
11 冷却水ノズル
12 切り欠き
13 開口部
14 カバー
15 工具
16 蓄熱体
17 容器
18 冷却水蒸発装置
21 温度計
25 押し付け力調整装置
26 硬度評価装置
29 連結アーム
30 走行台車
31 走行台車架台
32 車輪
33 レール(軌道)
34 受けローラ
35 傾斜補正装置
36 張り出しアーム
37 架台
38 ケーブルベア
39 パンタグラフ
40 押し付け装置
41 方向補正装置
42 把持固定装置
43 把持移動装置
46 橇
47 挿入ランス
48 油圧シリンダ
49 油圧シリンダ
50 窯幅測定装置
51 炭化室
52 炉底
54 固定側把持アーム
55 移動側把持アーム
56 把持アーム材
57 把持装置移動用油圧シリンダ
58 把持用油圧シリンダ
59 ピン
60 ピン
61 押し付け点
62 拘束点

Claims (4)

  1. 炭化室壁面レンガ表面及び/又は付着カーボンを機械的ハツリで除去する機械ハツリ除去装置を備えたコークス炉の補修装置において、該機械ハツリ除去装置はアーム先端に板状回転羽根を備え、アーム側から板状回転羽根に向けて冷却水を噴射する冷却水ノズルを備え、板状回転羽根には噴射された冷却水を通過させる切り欠き又は開口部が配置され、板状回転羽根のさらに先端側には板状回転羽根の一部又は大部分を覆うカバーが配置されてなることを特徴とするコークス炉の補修装置。
  2. 板状回転羽根の下方には、比表面積の大きい蓄熱体を有する冷却水蒸発装置を有し、板状回転羽根に噴射された余剰の冷却水が該冷却水蒸発装置の蓄熱体に接触して蒸発し得ることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉の補修装置。
  3. 炉内雰囲気温度、補修装置温度、炉壁温度、炉底温度のうちの1以上を測定する温度計を備え、前記冷却水ノズルから噴射する冷却水流量を温度計による測温結果に基づいて定めることを特徴とする請求項1又は2に記載のコークス炉の補修装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のコークス炉の補修装置を用いたコークス炉の補修方法であって、前記冷却水ノズルから噴射する冷却水流量を0.1〜1.0リットル/分の範囲内とすることを特徴とするコークス炉の補修方法。
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