JP4099847B2 - 表示機構 - Google Patents
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Description
本発明は、分散媒中で電界の印加に対して、電極間を移動する帯電粒子を利用した表示機構に関し、制御用電界の印加により帯電粒子の移動方向を制御し画像形成するようにした表示機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像や文字情報等を表示する方式としては、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)方式から、液晶(Liquid Crystal)方式、プラズマ発光方式、EL(エレクトロルミネセンス)方式等を利用して可視化する方式まで、多岐にわたるものが存在している。
【0003】
近年、半導体技術の急速な進歩による各種電子装置の小型化に伴い、ディスプレイデバイスに対しても、小型化、軽量化、低駆動電圧化、低消費電力化、薄型フラットパネル化等が求められている。
【0004】
上述した要請から、PDP(Plasma Display Panel)に代表される発光型や、LCD(Liquid Crystal Display)に代表される受光型等、非常に多くの種類のフラットパネル型電子ディスプレイデバイスが提案され、実用に供されている。これらの中でも低消費電力であるという点で、近年、特に反射型LCDの研究が盛んに行われている。
【0005】
反射型LCDのメリットとしては、小型化、軽量化、低駆動電圧化、低消費電力化、薄型フラットパネル化等が可能な点や、通常の光源下において印刷物と同様に、目になじみやすく、外光の影響のない表示品質を有する点等が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、反射型LCDでは、ゲスト−ホスト液晶にTFTパネルを組み合わせた構成としても、理論的には、反射率66%、コントラスト比5:1の画像しか得られない。
【0007】
これは反射率57%、コントラスト比5:1の新聞紙の画像に限りなく近い画質であり、カレンダーやレーザープリンタによる出力画像の持つ反射率80%、コントラスト比21:1の画質にはほど遠く、画像が見にくいという問題があった。
また、LCDは、メモリー機能を有さないため、制御電界を遮断すると画像表示を維持することができず、画像表示をおこなう間、常に、表示面に外部から電界等の刺激を加え続けなくてはならず、使いにくく、経済的にも不利であるという問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
これらの問題を解決するため、本発明者は、「低駆動電圧」「反射型方式における高反射率、高コントラスト」「制御電界遮断時のメモリ効果」に着目し、これらの機能を実現する表示機構を開発することを目的として鋭意検討を行った結果、マイクロカプセル中において、顔料を含む帯電粒子を、電界の印加により電極間で移動させることにより、表示面への画像書き込みをおこなう画像表示形態が好都合であり、かつ、実現可能であることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の表示機構は、分散媒中で電界の印加に対して、電極間を移動する帯電粒子を封入した分散系内で、上記帯電粒子の分布状態を制御用電圧の作用下で変えることによって、光学的反射特性に変化を与えて所要の表示動作を行わせるようにした表示機構において、
上記分散系はマイクロカプセルに内包された色及び極性の異なる2種類の帯電粒子と、界面活性剤を含んだ分散媒とで構成されていることを特徴としている。
【0010】
上記請求項1記載の表示機構によれば、顔料を含有した帯電粒子はマイクロカプセル壁への吸着力が発生するため、結果的に電界に対するヒステリシスが発生し、電圧の印加状態を変化させることにより、この表示機構を利用した表示装置の光学的反射特性に変化を与えることができ、しかもこのときの印加電圧は低電圧で充分である。
【0011】
また、マイクロカプセル中に色及び極性の異なる2種類の帯電粒子が存在していることと相まって、画像形成後、電界による制御を遮断しても画像をそのままの状態で保持することが可能である。
【0012】
また、帯電粒子はマイクロカプセルの中に入っているため、電界の作用時には帯電粒子同士の大きな凝集が発生しにくく、繰り返して電圧の印加状態を変化させても、画質の低下現象は発生しない。さらに、マイクロカプセルを紙等のフィルム状基材に固着させることにより、書き換え可能な可撓性媒体を形成することも可能である。
【0013】
また、請求項1記載の表示機構は、各帯電粒子の体積は、マイクロカプセルの容積に対して、それぞれ1.5容量%以上25容量%以下であり、すべての帯電粒子の体積の総和は、マイクロカプセルの容積に対して、3.0容量%以上50容量%以下であることを特徴としている。
【0014】
上記請求項1記載の表示機構によれば、各帯電粒子の体積及びすべての帯電粒子の体積の総和が上記のように規定されているので、帯電粒子は電界に対し良好な応答性を示し、高いコントラスト比を有する表示機構を実現することが可能となる。
【0015】
また、請求項2記載の表示機構は、上記請求項1記載の表示機構において、色及び極性の異なる2種類の帯電粒子は、酸化チタンを含有する帯電粒子とカーボンブラックを含有する帯電粒子とからなることを特徴としている。
上記請求項2記載の表示機構によれば、帯電粒子は、酸化チタンを含有する帯電粒子とカーボンブラックを含有する帯電粒子とからなるので、高い反射率と高コントラストを実現することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の表示機構の実施の形態について図を参考にしながら説明する。
本発明の表示機構は、分散媒中で電界の印加に対して、電極間を移動する帯電粒子を封入した分散系内で、上記帯電粒子の分布状態を制御用電圧の作用下で変えることによって、光学的反射特性に変化を与えて所要の表示動作を行わせるようにした表示機構である。
【0017】
そして、この表示機構を構成する上記分散系は、マイクロカプセルに内包された色及び極性の異なる2種類の帯電粒子と、界面活性剤を含んだ分散媒とで構成されているものである。
【0018】
まず初めに、上記表示機構の主要部分を構成する分散系、すなわちマイクロカプセルについて説明する。本明細書では、マイクロカプセル及びその内包物を含めてマイクロカプセルということにする。
【0019】
図1は、本発明の表示機構を構成するマイクロカプセルの一例を模式的に示した説明図である。
このマイクロカプセル10には、多数の黒色帯電粒子12a及び白色帯電粒子12bからなる帯電粒子12と、液体分散媒14とが封入されている。
【0020】
帯電粒子12は、通常、着色剤と当該着色剤を固定するためのバインダーにより構成されているが、着色剤のみから構成されていてもよい。上記着色剤としては、例えば、一般に周知のコロイド粒子;種々の有機・無機質顔料、染料、金属粉、ガラス、樹脂等の粉砕微粉末等が挙げられる。
【0021】
上記有機顔料としては、特に限定されず、例えば、Hansa Yellow、Benzine Yellow等の黄色顔料;Parmanent Red、benzine orange、pyrazolone orange、vulcan orange、orange lake、para red、lakered、toluidine red、brill fast scarlet、brill carmine、brill scarlet、bordo、watchung red、lithol red、bon maroon、lake bordo、rhodamine、madder lake等の赤色顔料;rhodamine b lake、dioxazine violet、crystal violet lake等の紫色顔料;victoria pure blue lake、victoria blue lake、phthalocyanine blue、fast sky blue、threne blue rs等の青色顔料、diamonde green lake、phthalocyanine green、pigment green b、green gold等の緑色顔料、diamond black等の黒色顔料等が挙げられる。
【0022】
上記無機顔料としては、特に限定されず、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料;酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化すず等の白色顔料等が挙げられる。上記無機顔料及び有機顔料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
上記染料としては特に限定されず、例えば、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノイミン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペノリン染料、フタロシアニン染料等が挙げられる。
上記染料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明では、色及び極性の異なる2種類の帯電粒子として、特に酸化チタンを含有する帯電粒子とカーボンブラックを含有する帯電粒子を使用することが好ましい。
酸化チタンは白色帯電粒子12bに、カーボンブラックは黒色帯電粒子12aにそれぞれ使用されているが、黒色帯電粒子12a又は白色帯電粒子12bとして、ほかの種類の着色剤を含む2種以上の帯電粒子12が使用されていてもよく、上記黒色又は白色以外の色の着色剤を含む帯電粒子12が使用されていてもよい。
【0025】
酸化チタンは、白色度又は隠蔽性の点で極めて優れており、また、カーボンブラックは完全な黒色を示すので、これらのうちの少なくとも一方を含む帯電粒子12を使用することにより、反射率やコントラスト比が高く、見やすい画像等を有する表示機構を実現することができる。
【0026】
さらに、着色剤として、酸化チタン及びカーボンブラックの両方をそれぞれ含む帯電粒子12を使用することにより、より高い反射率と高コントラストを実現することができる。
白色の着色剤として、酸化チタン以外のものを使用すると、白色紙程までの高い白色度を得ることは難しくなり、また、酸化チタンを含まない白色ポリマー粒子だけでは液体分散媒14中で、幾分透明性を帯びるため白色度が低下することがある。
また、黒色の着色剤として、カーボンブラック以外のものを使用すると、帯電粒子12が赤みを帯びたり、青みを帯びたりすることがある。
【0027】
着色剤として、染料を使用した場合、帯電粒子12を構成するバインダーには分散し液体分散媒14には溶解しない特性、及び、帯電粒子12の帯電性に悪影響を及ぼさないことも要求されるが、一般に、帯電粒子12も液体分散媒14も有機物質を使用するため、こういった特性を満たす染料は限定されることになる。
【0028】
また、液体分散媒14に溶解しない染料は、帯電粒子12を着色しにくい場合があり、さらに、顔料に比べ耐光性が劣るものもあり、長期間における使用には不向きとなる場合もある。
【0029】
上記バインダーとしては特に限定されるものではないが、下記する有機物が好ましい。
この有機物としては、例えば、合成樹脂、合成ワックス等の合成物、天然ワックス等が挙げられる。
【0030】
上記合成樹脂、合成ワックスを構成するモノマー成分としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、エチレン、プロピレン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン等が挙げられる。
【0031】
また、上記モノマー成分は、例えば、カルボキシル基、水酸基、メチロール基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、グリシジル基等の官能基を含むものであってもよい。
【0032】
上記カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等が挙げられ、上記水酸基を有するモノマーとしては、例えば、β−ハイドロキシエチルアクリレート、β−ハイドロキシエチルメタクリレート、β−ハイドロキシプロピルアクリレート、β−ハイドロキプロピルメタクリレート、アリルアルコール等が挙げられる。
【0033】
上記メチロール基を有するモノマーとしては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられ、アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0034】
上記酸アミド基を有するモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられ、グリシジル基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル等が挙げられる。
これらのモノマー成分は、単独で使用されるほか、2種以上が併用される。
【0035】
上記天然ワックスは、植物系、動物系、鉱物系、石油系に分類される。植物系ワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライス ワックス、木ろう、ホホバ油等が挙げられる。
動物系ワックスとしては、例えば、みつろう、ラノリン、鯨ろう等が挙げられる。
【0036】
鉱物系ワックスとしては、例えば、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等が挙げられる。
石油ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラム等が挙げられる。
【0037】
上記バインダー中に、フッ素を含む末端基やカルボキシル基等が存在すると、帯電粒子はマイナスに帯電しやすくなり、上記バインダー中に、アミノ基やアミド結合が存在すると、粒子はプラスに帯電しやすくなる。
【0038】
着色剤を帯電粒子に固定する方法としては、例えば、スプレードライ法や懸濁重合法等により、着色剤表面にコート層を形成させる方法、バインダー中に着色剤を分散させる方法等が挙げられる。
帯電粒子の帯電性付与やその安定化の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、前述した方法のほかに、粒子の表面改質等が挙げられる。
【0039】
帯電粒子12に含有される着色剤の含有量は、酸化チタンの場合には、5〜60重量%が好ましく、カーボンブラックの場合には、3〜30重量%が好ましい。
上記酸化チタンやカーボンブラックの含有量が前述した値に満たない場合、高い反射率や黒印字濃度が得られにくい。また、酸化チタンやカーボンブラックが過度に含有された場合には、帯電粒子全体の誘電率が大きくなるため、マイクロカプセル中で帯電粒子が電界に対し泳動するのではなく、電界方向に紐状に並んでしまうという問題が発生しやすくなる。
【0040】
マイクロカプセル10中に封入される液体分散媒14は、少なくとも高絶縁性と無色透明性とが求められるこのような特性を有する液体分散媒14としては、例えば、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。
【0041】
液体分散媒14中には、帯電粒子12の分散状態を良好にするために、界面活性剤が含まれている。
界面活性剤は、パラフィン、オレフィン、アルキルベンゼン等の疎水基に結合している水酸基の種類により、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤等に分類され、本発明では、上記いずれの界面活性剤も使用することができる。
【0042】
ただし、その添加量は界面活性剤の種類、構造によっても異なるが、絶縁性の液体分散媒14の絶縁度を極度に低下させない範囲において添加することが好ましい。
【0043】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、親水基がカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等で構成されているものが挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、水酸基が第一級アミン塩、第二級アミン塩、第三級アミン塩、第四級アンモニウム塩等で構成されたものが挙げられる。
【0044】
両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
非イオン系界面活性剤しては、例えば、親水基にグリセリン等の多価アルコールや、エチレンオキサイド等のポリエチレングリコールの残基が使用され、疎水基に多価アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸、油脂等の残基が使用されたものが挙げられる。
【0045】
マイクロカプセルは、すでに当業界において公知の技術となっている方法で作製することが可能である。
例えば、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書等に示されるような水溶液からの相分離法、特公昭38−19574号、特公昭42−446号、特公昭42−771号公報等に示されるような界面重合法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号公報等に示されるモノマーの重合によるin−situ法、英国特許第952807号、同第965074号明細書に示される融解分散冷却法等があるが、これに限定されるものではない。
【0046】
マイクロカプセル10の外壁部の形成材料としては、上記カプセル製造方法にて外壁部が作製可能であれば特に限定されず、無機物質でも有機物質でもよいが、光を充分に透過させるような材質が好ましい。
【0047】
上記外壁部の形成材料の具体例としては、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、デンプン、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリユリア、ポリウレタン、ポリスチレン、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、これらの共重合物等が挙げられる。
【0048】
マイクロカプセル10中の各帯電粒子12の体積は、マイクロカプセル10の容積に対して、それぞれ1.5〜25容量%であり、すべての帯電粒子12の体積の総和は、マイクロカプセル10の容積に対して、3.0〜50容量%である。
【0049】
各帯電粒子12の体積が1.5容量%未満であると、目的とする表示色ではない反対色粒子も観察者の目に触れてしまい、そのためにコントラストが低下して見える。一方、25容量%を超えると、帯電粒子12が大きすぎるためにマイクロカプセル10の内部を移動しにくくなる。
また、すべての帯電粒子12の体積の総和が3.0容量%未満であると、帯電粒子12の量が少なすぎるため、はっきりした画像が形成されず、一方、50容量%を超えると、帯電粒子12の量が多すぎるためにマイクロカプセル10の内部を移動しにくくなり、そのため、制御電界に対する応答性が低下する。
【0050】
帯電粒子12の粒子径は、マイクロカプセル10の粒子径に対して1/1000〜1/5であるのが好ましく、帯電粒子12の粒度分布の分散度は、体積平均粒子径/個数平均粒子径で表した場合、1〜2であるのが好ましい。
また、マイクロカプセル10の粒子径は、5〜200μmであるのが好ましい。
【0051】
次に、このマイクロカプセル10に電界を作用させたときの動作について説明する。
図2は、マイクロカプセル10に電界を作用させた後の黒色帯電粒子12a及び白色帯電粒子12bの状態を模式的に示した説明図である。
電界が作用していない場合には、図1に示されるように、黒色帯電粒子12aと白色帯電粒子12bとは、無秩序に分散している。
【0052】
しかし、例えば、このマイクロカプセル10を含む液体分散媒14中に、一定方向に電圧が印加された場合、液体分散媒4中に分散浮遊している黒色帯電粒子12aと白色帯電粒子12bとは、電界の作用により、各々逆方向に泳動し、例えば、図2に示されるように、上方に白色帯電粒子12bが凝集し、一方、下方には、黒色帯電粒子12aが凝集する。
【0053】
このため、上方からこのマイクロカプセル10を見た場合、下側で凝集している黒色帯電粒子12aは、白色帯電粒子12bに隠蔽されて見えず、マイクロカプセル10の部分は白色に見える。
【0054】
一方、図には示していないが、図2と反対方向の電圧が印加された場合、黒色帯電粒子12aは上側に凝集し、白色帯電粒子12bは下側に凝集するため、このマイクロカプセル10の部分は上方から黒色に見える。
したがって、電界の方向を変えることにより、表示面に所定の画像を形成することが可能になる。また、マイクロカプセル10中に赤、青、黄色等の色を含む帯電粒子12を封入することにより、赤、青、黄色等の色を含む画像を表示することも可能になる。
【0055】
図3は、本発明の表示機構を利用した表示装置の一例を模式的に示した断面図である。
この表示装置20においては、マイクロカプセル10が内部に分散、固定された可撓性媒体22の上面側に、多数の透明電極24が平面視アレー状に設けられており、下面側に透明又は不透明の電極25が設けられている。
【0056】
また、これら個々の透明電極24と電極25には、図示しない電源が接続され、各透明電極24と電極25との間に、電極25の電圧を基準として、+又は−の電圧がそれぞれ独立して印加されるようになっている。
【0057】
また、透明電極24は、マイクロカプセル10を平面視した形状よりも大きくなっており、1個の透明電極24につき、少なくとも1個のマイクロカプセル10が対応して設けられている。
【0058】
可撓性媒体22としては、樹脂製のフィルム、紙等が挙げられる。表示しようとする画像等に応じた電圧を、この表示装置20の各透明電極24と電極25との間にそれぞれ印加すると、図3に示したように、上側に黒色帯電粒子12a又は白色帯電粒子12bが凝集し、これにより表示しようとする画像に対応した画像が形成される。
また、電源をオフにしても、帯電粒子12の凝集状態は変化しないので、別の画像に対応する電圧を、各透明電極24と電極25との間にそれぞれ印加しないかぎり、その画像の表示状態が維持される。
【0059】
図4は、本発明の表示機構を利用した表示装置の別の一例を模式的に示した断面図である。
この表示装置30においては、図3に示した表示装置と異なり、マイクロカプセル10が分散、固定された可撓性媒体32の両面に電極が形成されておらず、可撓性媒体32を通過させる目的で、細長い板状の一対の固定電極34が電源36を介して設けられている。
【0060】
この固定電極34は、平板の長さ方向に設けられた多数の電極の集合であり、それぞれの対となる固定電極34間に、独立して所定電圧を印加することができるようになっている。
【0061】
したがって、マイクロカプセル10を含む可撓性媒体32を固定電極34の間を所定速度で通過させ、通過の際に、固定電極34から必要に応じた電界を印加し、表示しようとする画像に対応した画像を表示装置30に形成させることができる。
【0062】
以上のように、本発明の表示機構においては、酸化チタン及びカーボンブラッを含む帯電粒子を使用することにより、反射率やコントラスト比が高く、見やすく、書換えが可能な画像等を有する表示機構の実現が可能となる。また、上記表示機構においては、画像形成後、電界による制御を遮断しても画像をそのままの状態で保持することが可能となる。
【0063】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0064】
実施例1〜8、参考例及び比較例1
表1に示す着色剤が、白色の着色剤の場合にはポリアミド樹脂に、黒色の着色剤の場合にはポリスチレン樹脂中に、それぞれ分散、固定された平均粒子径が約7μmの白色帯電粒子及び黒色帯電粒子を多数製造した。
【0065】
次に、乳化剤である5%ポリスチレンスルホン酸の一部ナトリウム塩水溶液と液体分散媒である脂肪族炭化水素溶媒の1:1水溶液100cc中に、上記方法により製造された帯電粒子を加え、ホモジナイザーで6000回転、5分間攪拌して、水溶液中に白色帯電粒子及び黒色帯電粒子を含む液体分散媒が均一に分散したエマルジョンを得た。
【0066】
別に、ホルムアルデヒド37%水溶液に市販のメラミン粉末を加え、水酸化ナトリウム溶液によってPH9.0に調整し、水温60℃で30分間加熱してメラミン/ホルムアルデヒドプレポリマーを得た。
次に、上記エマルジョンにメラミン/ホルムアルデヒドプレポリマーを加え、アジホモミキサーなどによって100〜300回転で攪拌しつつ水温が80℃になるように加熱した状態で5時間保持し、その後PH7に調整して常温まで冷却した。
【0067】
この結果、白色帯電粒子及び黒色帯電粒子を含む液体分散媒のまわりにメラミン/ホルムアルデヒド樹脂からなる壁部材が析出し、帯電粒子を内包するマイクロカプセルが得られた。
【0068】
このとき、マイクロカプセルの容積に対する各帯電粒子が含有する着色材の割合を、表1に示す。また、マイクロカプセルの平均粒子径は40〜70μmであった。
次に、上記方法により製造されたマイクロカプセルを取り出し、可撓性媒体上に分散、固定した後、電極間に配置し、100V/mmの制御電界を引加して画像表示を行い、下記に示す画像の評価を行った。
【0069】
評価方法
(1)白色反射率測定器として反射濃度計(マクベス社製 RD914)を使用してOD値(オプティカル デンシティ)を測定し、反射率T(%)を、−log10T=ODで算出した。
(2)コントラスト比白色反射率の場合と同様に、黒印字部分についても、反射率Tblack を測定し、コントラスト比=Tblack :Twhite =1:(Twhite /Tblack )で求めた。
上記した画質の評価基準(スレッシ値)には、様々な条件下でのレーザプリンタ画像サンプルの平均値(白色反射率72%、コントラスト比15:1)を適用した。
【0070】
使用した各着色剤の種類、各帯電粒子のマイクロカプセル中の容量%(含有率)、及び、評価結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
表1に示した結果より明らかなように、本発明の表示機構を利用した表示装置では、マイクロカプセル内が2種以上の帯電粒子と界面活性剤とを含んだ分散媒とで構成されており、上記帯電粒子が酸化チタン及びカーボンブラックのうちの少なくとも一方を含むので、高反射率、高コントラスト比の画像が形成されている。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の表示機構によれば、分散媒中で電界の印加に対して、電極間を移動する帯電粒子を封入した分散系内で、上記帯電粒子の分布状態を制御用電圧の作用下で変えることによって、光学的反射特性に変化を与えて所要の表示動作を行わせるようにした表示機構において、
上記分散系はマイクロカプセルに内包された色及び極性の異なる2種類の帯電粒子と、界面活性剤を含んだ分散媒とで構成されているので、電圧の印加状態を変化させることにより、この表示機構を利用した表示装置の光学的反射特性を変化を与えることができ、しかもこのときの印加電圧は低電圧で充分である。
【0074】
【0075】
また、帯電粒子はマイクロカプセルの中に入っているため、電界の作用時には帯電粒子が凝集し、繰り返して電圧の印加状態を変化させても、画質の低下現象は発生しない。また、マイクロカプセルを紙等のフィルム状基材に固着させることにより、書き換え可能な可撓性媒体を含む表示装置を提供することができる。さらに、上記表示機構を利用した表示装置は、比較的簡単に製造することができるため、安価な表示装置を提供することができる。
【0076】
また、請求項1記載の表示機構によれば、各帯電粒子の体積は、マイクロカプセルの容積に対して、それぞれ1.5容量%以上25容量%以下であり、すべての帯電粒子の体積の総和は、マイクロカプセルの容積に対して、3.0容量%以上50容量%以下であるので、帯電粒子は電界に対し良好な応答性を示し、高いコントラスト比を有する表示装置を提供することができる。
【0077】
また、請求項2記載の表示機構によれば、色及び極性の異なる2種類の帯電粒子は、酸化チタンを含有する帯電粒子とカーボンブラックを含有する帯電粒子とからなるので、反射率やコントラスト比が高く、見やすい画像等を形成することができる。
また、画像形成後、電界による制御を遮断しても画像をそのままの状態で保持することが可能であり、メモリー機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示機構を構成するマイクロカプセルの一例を模式的に示した説明図である。
【図2】本発明の表示機構を構成するマイクロカプセルに電界を作用させた後の黒色帯電粒子及び白色帯電粒子の状態を模式的に示した説明図である。
【図3】本発明の表示機構を利用した表示装置の一例を模式的に示した断面図である。
【図4】本発明の表示機構を利用した表示装置のほかの一例を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
10 マイクロカプセル
12 帯電粒子
12a 黒色帯電粒子
12b 白色帯電粒子
14 液体分散媒
20、30 表示装置
22、32 可撓性媒体
24 透明電極
25 電極
34 固定電極
Claims (2)
- 分散媒中で電界の印加に対して、電極間を移動する帯電粒子を封入した分散系内で、前記帯電粒子の分布状態を制御用電圧の作用下で変えることによって、光学的反射特性に変化を与えて所要の表示動作を行わせるようにした表示機構において、
前記分散系はマイクロカプセルに内包された色及び極性の異なる2種類の帯電粒子と、界面活性剤を含んだ分散媒とで構成され、
各帯電粒子の体積は、マイクロカプセルの容積に対して、それぞれ1.5容量%以上25容量%以下であり、すべての帯電粒子の体積の総和は、マイクロカプセルの容積に対して、3.0容量%以上50容量%以下である
ことを特徴とする表示機構。 - 色及び極性の異なる2種類の帯電粒子は、酸化チタンを含有する帯電粒子とカーボンブラックを含有する帯電粒子とからなることを特徴とする請求項1記載の表示機構。
【0001】
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