JP2004275914A - 粒子分散液含有マイクロカプセルとその製造方法、それを使用した画像表示媒体とその製造方法、およびそれを用いた画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来と比較して簡便な方法で作製可能な粒子分散液含有マイクロカプセルとその製造方法、それを使用した電気泳動画像表示媒体とその製造方法、およびそれを用いた画像表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一種類以上の白色ないし着色粒子を非極性溶媒中に分散させた粒子分散液が、少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材に内包されている粒子分散液含有マイクロカプセルにおいて、該基材が、10℃の温度の水に不溶であり、かつ100℃の温度の水に可溶であることを特徴とする粒子分散液含有マイクロカプセル。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも一種類以上の白色ないし着色粒子を非極性溶媒中に分散させた粒子分散液が、少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材に内包されている粒子分散液含有マイクロカプセルにおいて、該基材が、10℃の温度の水に不溶であり、かつ100℃の温度の水に可溶であることを特徴とする粒子分散液含有マイクロカプセル。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子分散液含有マイクロカプセルとその製造方法、それを使用した画像表示媒体とその製造方法、およびそれを用いた画像表示装置、詳しくは、電界の作用によって帯電した白色ないし着色粒子が分散液中を移動することにより可逆的に視認状態を変化させうる電気泳動画像表示媒体、装置、ならびに粒子分散液を隔壁により多数のセルに細分化する方法およびその隔壁材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、文字や静止画、動画等のいわゆる画像の表示用端末としてCRTや液晶ディスプレイが用いられている。これらはデジタルデータを瞬時に表示し、書き換えることができるが、装置を常に持ち歩くことは困難であり、長時間の作業では眼が疲労したり、電源をオフにしては表示できないなど多くの欠点もある。一方、文字や静止画を書類などとして配布や保存するときはプリンターにて紙媒体に記録され、いわゆるハードコピーとして、広く使用されている。ハードコピーはディスプレイより文章を読みやすく疲れにくく、自由な姿勢で読むことができ、さらに、軽量で自由に持ち運びが可能である特徴を有する。しかし、ハードコピーは使用された後は廃棄され、リサイクルされるがそのためには多くの労力と費用を要するので省資源の点では問題が残る。
【0003】
以上のディスプレイとハードコピーの両方の長所を持った書き換えが可能なペーパーライクな表示媒体へのニーズは高く、これまでに高分子分散型液晶素子、双安定性コレステリック液晶素子、エレクトロクロミック素子、電気泳動素子を用いたもの等が反射型で明るい表示ができ、かつメモリー性のある表示媒体として注目されている。中でも電気泳動素子を用いたものは表示品質、表示動作時の消費電力の点で優れており、例えば、特開平5−173194号公報、特許第2612472号公報などに開示されている。電気泳動表示媒体では一組の透明電極の間に、着色した分散媒中に分散媒の色とは異なる色を有する複数の泳動粒子を分散させた分散液を封入してある。泳動粒子は分散媒中で表面に電荷を帯びており、透明電極の一方に泳動粒子の電荷と逆向きの電圧を与えた場合には泳動粒子がそちらに堆積して泳動粒子の色が観測され、泳動粒子の電荷と同じ向きの電圧を与えた場合には泳動粒子は反対側に移動するため分散媒の色が観測される。これにより表示を行うことができる。
【0004】
従来、電気泳動表示媒体において分散液を単に電極間に封入するだけでは泳動粒子の凝集や表示面内における粒子の偏在などにより表示ムラを発生させることがあり、それを解決する手段として特許第2551783号公報には、分散液をマイクロカプセル内に封入する構成が開示されている。このマイクロカプセルによる分散液の隔離は構成としては効果が大きいが、その製造段階ではカプセル壁となる高分子膜の形成において構成モノマーの化学反応を伴うことが多く、必ずしも簡便な方法とは言えなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−173194号公報
【特許文献2】
特許第2612472号公報
【特許文献3】
特開平7−322846号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来と比較して簡便な方法で作製可能な粒子分散液含有マイクロカプセルとその製造方法、それを使用した電気泳動画像表示媒体とその製造方法、およびそれを用いた画像表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
マイクロカプセルの形成方法には物理的方法、化学的方法などいろいろな方法がある。その中で、乳酸カルシウムの水に対する溶解度が水温が上昇するにつれて著しく高くなることに着目し、水溶性高分子などと乳化カルシウムを含む基材を水に加えて加熱溶解させ、これに芯物質である液体香料を加えて冷却することにより、該基材で芯物質を内包してカプセル化させて粉末香料を製造する方法が特開平7−322846号公報で開示されている。この方法は、食品や香粧品に適用するものであり、本発明における画像表示媒体の構造材への適用は全く検討されていなかった。本発明者はこの技術を利用し非極性溶媒に粒子を分散させた粒子分散液を芯物質に用いてマイクロカプセルの作製を試みたところ、粒子分散液についても同様な原理でカプセル化が可能であることを確認した。また、一般に電気泳動粒子分散液をカプセル化するとカプセル壁である高分子の形成時に重合反応に使用する種々の化合物が不純物として粒子分散液に残存し、カプセル化後の画像表示媒体の応答性、すなわち粒子の電気泳動特性は悪化しやすい。しかし、本発明におけるマイクロカプセルを使用して画像表示媒体、装置を作製したところ、このような悪影響がほとんど見られないことを確認した。これは高分子カプセル壁形成時に重合などの化学反応を伴わないことから粒子分散液への油溶性の不純物への混入が極めて少ないことに起因すると思われる。本発明は以上のような知見に基づくものである。
【0008】
即ち、本発明によれば下記の技術的手段が提供される。
[1]少なくとも一種類以上の白色ないし着色粒子を非極性溶媒中に分散させた粒子分散液が、少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材に内包されている粒子分散液含有マイクロカプセルにおいて、該基材が、10℃の温度の水に不溶であり、かつ100℃の温度の水に可溶であることを特徴とする粒子分散液含有マイクロカプセル。
[2]少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材が、カルシウム、マグネシウムおよび鉄の中より選ばれる金属の乳酸塩を含むことを特徴とする前記[1]に記載の粒子分散液含有マイクロカプセル。
[3]少なくとも水溶性高分子化合物とカルシウム、マグネシウム及び鉄の中より選ばれる金属の乳酸塩とを含む基材における該乳酸塩の含有率が50重量%以下であることを特徴とする前記[2]に記載の粒子分散液含有マイクロカプセル。
[4](1)少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材に水を加え加熱溶解させる工程と、(2)少なくとも一種類以上の白色ないし着色粒子を非極性溶媒中に分散させて粒子分散液を得る工程と、(3)前記(2)の工程で得られた粒子分散液を前記(1)の工程で得られた溶液に加えて乳化させる工程と、(4)前記(3)の工程で得られた乳化液を冷却し粒子分散液を内包した基材を析出させる工程からなることを特徴とする粒子分散液含有マイクロカプセルの製造方法。
[5]前記(1)の工程においてさらに界面活性剤を加えることを特徴とする前記[4]に記載の粒子分散液含有マイクロカプセルの製造方法。
[6]前記(2)の工程においてさらに非極性溶媒に粒子分散剤を加えて粒子分散液を得ることを特徴とする前記[4]に記載の粒子分散液含有マイクロカプセルの製造方法。
[7]所望の間隔を設けて配備された少なくとも一方ないし両方が光透過性である二つの基板間に、少なくとも非極性溶媒からなる分散媒中に白色ないし着色の粒子を分散させた分散液が中に入ったカプセルを含有してなり、前記二つの基板間に電圧を印加することによる粒子の電気泳動により表示動作を行う画像表示媒体において、前記カプセルが前記[1]〜[3]のいずれかに記載の粒子分散液含有カプセルを含有することを特徴とする電気泳動型画像表示媒体。
[8]前記[4]の方法における前記(4)の工程で得られるスラリーを乾燥して粒子分散液含有マイクロカプセルを回収し、該粒子分散液含有マイクロカプセルと接着剤とを混合した混合物を電極基板に塗布し、対向電極基板を貼り合わせることを特徴とする電気泳動型画像表示媒体の製造方法。
[9]接着剤が光硬化型であることを特徴とする前記[8]に記載の電気泳動型画像表示媒体の製造方法。
[10]前記[4]の方法における前記(4)の工程で得られるスラリーをそのままないし濃縮した液を電極基板に塗布した後に乾燥し、次いで対向電極を貼り合わせる工程からなることを特徴とする電気泳動型画像表示媒体の製造方法。
[11]前記[7]に記載の画像表示媒体を有することを特徴とする電気泳動型画像表示装置。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をさらにくわしく説明する。
先ず、本発明の第1の実施の形態に係る粒子分散液含有マイクロカプセルについて述べる。本実施形態に係る粒子分散液含有マイクロカプセルは、少なくとも一種類以上の白色ないし着色粒子を非極性溶媒中に分散させた粒子分散液が、少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材に内包されている粒子分散液含有マイクロカプセルにおいて、該基材が、10℃の温度の水に不溶であり、かつ100℃の温度の水に可溶であることを特徴とするものである。本実施形態に係る粒子分散液含有マイクロカプセル(以下、単に「マイクロカプセル」とも称する)を図1に基づき説明する。
【0010】
図1はマイクロカプセル形成時の各構成要素を模式的に示したものである。
図1において、1はマイクロカプセルのカプセル壁、2は水相、3は白色ないし着色粒子、4は非極性溶媒(以下、分散媒とも称する)である。
カプセル壁1は加熱時に水に溶解していた基材が冷却されて水と粒子分散液の界面に析出して形成されるものである。加熱時に水に溶解していた基材は、冷却により大部分がカプセル壁1となるが、一部は溶解したままである。
【0011】
粒子分散液を構成する粒子の例としては、以下のような白色粒子ないし着色粒子が使用できる。
白色粒子としては、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物の固体粒子が使用できる。
黒色の着色粒子としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用できる。
シアンの着色粒子としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。
マゼンタの着色粒子としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。
イエローの着色粒子としては、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用できる。
【0012】
また、上記金属酸化物からなる白色粒子、あるいは着色粒子を、少なくとも分散媒となる非極性溶媒に不溶なバインダー樹脂に分散ないし混合したものも使用できる。この場合、バインダー樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のうち分散媒に不溶なものが全て使用できるが、とりわけ非粘着材系樹脂材料が好ましく使用できる。このような非粘着材系樹脂材料の端的な例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、あるいはポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体などを例示することができる。上記金属酸化物からなる白色粒子、あるいは着色粒子が使用できる量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜300重量部、好ましくは1〜100重量部である。
【0013】
また、粒子分散液における固形分の重量割合は、上記粒子分散液含有マイクロカプセルを画像表示媒体に適用した場合に所望の濃度の色が得られるように適宜設定されるが、1〜20重量%程度が適当である。
【0014】
本実施形態において使用される分散媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン等のパラフィン系炭化水素、イソヘキサン、イソオクタン、イソドデカン等のイソパラフィン系炭化水素、流動パラフィン等のアルキルナフテン系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジアルキルシリコーンオイル、アルキルフェニルシリコーンオイル、環状ポリジアルキルシロキサン又は環状ポリアルキルフェニルシロキサン等のシリコーン系のオイルが挙げられる。
【0015】
粒子分散液の分散媒は白色ないし着色粒子の色とは異なる色に着色されていることが好ましい。この場合、使用される染料としては、上記分散媒に可溶な油溶性染料が挙げられ、Coulour IndexにおいてSolvent dyeに分類される染料が好適に使用される。これらの染料には、アゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリアリルメタン系の各色の染料が存在する。
着色分散媒には染料の溶解性を向上させるために他の物質を加えることができる。このような物質は非極性溶媒に溶解ないし混和可能な物質が好ましい。このような物質の例としては、エーテル類、エステル類、アルコール類、ケトン類、アミド類などの他の溶媒が挙げられる。このような他の溶媒の混合比は、分散媒100重量部に対し0.1〜10重量部程度である。
【0016】
本発明における粒子分散液を作るには、前記各成分を非極性溶媒中に混合分散すればよい。この場合、分散手段としてボールミル、サンドミル、アトライター等を用いてもよい。なお混合順序は特に限定されるものではない。
【0017】
基材に用いられる高分子化合物は水溶性のものであれば良い。このような高分子化合物の例としては、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、水溶性セルロース、寒天などが挙げられる。該基材は、10℃の温度の水、ないしは5〜15℃程度の温度の水において不溶であることが望ましく、100℃の温度の水、ないしは80〜100℃程度の温度の水において可溶であることが望ましい。ここで「不溶」とは、固形状の物質が析出する程度のことをいい、「可溶」とは、液が透明になる程度のことをいう。該基材が上記のような性質を有していれば、カプセル壁形成に化学反応を伴わないので、簡便な方法で粒子分散液含有マイクロカプセルを製造することができる。
【0018】
本実施形態におけるマイクロカプセルの粒径は、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜100μmである。マイクロカプセルの粒径が上記範囲であると、画像表示媒体に適用した場合に、鮮明な画像表示特性を得ることができる。また、該マイクロカプセルの基材からなるカプセル壁の厚みは、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.2〜1μm程度である。カプセル壁の厚みが上記範囲であると、画像表示媒体に適用した場合に機械的強度と鮮明な画像表示特性を両立できるという利点がある。
【0019】
次に、本発明の第2の実施の形態について述べる。この第2の実施の形態においては、少なくとも基材は、カルシウム、マグネシウム及び鉄の中より選ばれる金属の乳酸塩を含む。これらの乳酸塩は特に水に対する溶解度の温度依存性が特に大きく、100℃の温度の水、ないしは80〜100℃程度の温度の水への溶解性は高いが低温時での水(10℃の温度の水、ないしは5〜15℃程度の温度の水)への溶解性は低いので冷却時に析出する基材の量が増え、粒子分散液含有マイクロカプセルの収率を上げることが可能となる。また、基材中に上記金属の乳酸塩を含むことから基材に占める高分子の比率が高く機械的強度に優れた粒子分散液含有マイクロカプセルが得られる。
【0020】
本発明の第3の実施の形態においては、少なくとも水溶性高分子化合物とカルシウム、マグネシウム及び鉄より選ばれる乳酸塩を含む基材における該乳酸塩の含有率が、好ましくは50重量%以下、より好ましくは10〜40重量%である。50重量%を超えると高分子膜に占める塩の割合が多いことからカプセル壁の透明性が低下し、また膜質も弱くなってしまう。すなわち、該基材における該乳酸塩の含有率が50重量%以下であることにより、光学的にも透明で且つ機械的強度にもより優れたカプセル壁を有する粒子分散液含有マイクロカプセルを得ることが可能となる。
【0021】
次に、本発明の第4の実施の形態に係る粒子分散液含有マイクロカプセルの製造方法を説明する。この製造方法は、大別して下記の4つの工程からなる。
工程(1):少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材に水を加え加熱溶解させる工程。ここでは基材に水を加えた場合、すべてが常温(25℃)で水に溶解するわけではなく、少なくとも一部が水に不溶であるが、加熱(80℃以上)することにより水に対する溶解性が増し、均一な溶液が得られる。水溶性高分子化合物と加える水の量は、水溶性高分子化合物の種類にもよるが、通常重量基準で、5:95〜20:80が適当である。
工程(2):少なくとも一種類以上の白色ないし着色粒子を非極性溶媒中に分散させて粒子分散液を得る工程。粒子分散液を構成する材料としては本発明の第1の実施の形態において使用される材料が挙げられる。これら各成分を非極性溶媒中に加え混合分散することにより粒子分散液を得る。この場合、分散手段としてボールミル、サンドミル、アトライター等を用いてもよい。なお混合順序は特に限定されるものではない。なお、工程(1)と工程(2)は必ずしもこの順序で行わなければならないものではなく、逆であっても、あるいは同時であっても構わない。
工程(3):工程(2)で得られた粒子分散液を工程(1)で得られた溶液に加えて乳化させる工程。基材を加熱溶解した水溶液に非極性溶媒系の粒子分散液を加えて攪拌することによりO/Wの乳化コロイド分散系、すなわち基材を含む水相中に粒子分散液からなるの油滴が微小分散した状態を得る。O/W乳化コロイド分散系を得る手段としてはホモジナイザーなど公知のエマルジョン、サスペンジョンを得るあらゆる手段が利用可能である。
工程(4):工程(3)で得られた乳化コロイド分散系を冷却し粒子分散液を内包した基材を析出させてカプセル化する工程。基材を含む水相と粒子分散液からなる油相からなるO/W乳化コロイド分散系を冷却(5〜15℃)すると溶解していた基材はやがて水に溶解することができずに析出する。このとき水相と油相の界面に基材が析出することとなり、最終的には粒子分散液を内部に取り囲んでカプセルを形成する。
【0022】
これらの工程に基づくことにより、カプセル壁の形成に際して化学反応を伴うことなく簡便な方法で粒子分散液含有マイクロカプセルを得ることができる。
【0023】
本発明の第5の実施の形態においては、上記の工程(1)においてさらに界面活性剤を加える。すなわち少なくとも水溶性高分子からなる基材と界面活性剤が加熱溶解された溶液を得る。これにより界面活性剤が乳化剤として働き、後の工程(3)において安定したO/W乳化状態となり、分散性が良好な粒子分散液が得られ、工程(4)においてカプセル径が比較的揃ったマイクロカプセルを得ることができる。
【0024】
本実施の形態で使用できる界面活性剤としては、乳化剤などを含む公知の界面活性剤が使用可能である。このような界面活性剤としては、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホこはく酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール縮合物、ポリオキシエチレンラノリンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、イソプロノールアミドなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。上記の工程(1)において加える界面活性剤の量は、水溶性化合物と水とを100重量部とすると0.01〜2重量部程度が適当である。
【0025】
本発明の第6の実施の形態においては、上記の工程(2)においてさらに非極性溶媒に粒子分散剤を加えて粒子分散液を得る。粒子分散剤とは粒子分散液において溶媒に対して溶解性があり、粒子存在時には該粒子に吸着性がある化合物であり、静電反発ないし分散剤分子の立体効果により粒子同士の凝集を防ぐもののことである。粒子分散剤を加えることにより、非水溶媒中で粒子が安定に分散し、分散性が良好な粒子分散液が得られると共に、内包物にばらつきのない粒子分散液含有マイクロカプセルを得ることが可能となる。本実施形態で使用できる粒子分散剤としては、公知の粒子分散剤として使用される界面活性剤のうち非極性溶媒に可溶なものが使用でき、好ましくは高分子系の分散剤である。具体的には、市販の変性ポリウレタン系高分子分散剤、ポリアクリレート系高分子分散剤などが挙げられる。これは、特に非極性溶媒系での粒子の分散安定性は高分子化合物のもつ立体効果によるところが大きいからである。粒子分散剤を加える場合、その量は、分散媒100重量部に対して0.1〜5重量部程度が適当である。
【0026】
次に、本発明の第7の実施の形態に係る画像表示媒体を図2に基づき説明する。図2において5および6は導電層で少なくとも一方は光透過性である。導電層としてはAl、Ag、Ni、Cu等の金属やITO、SnO2、ZnO:Al等の透明導電体をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、塗布法等で薄膜状に形成したもの、あるいは導電剤を溶媒あるいは合成樹脂バインダーに混合して塗布したものが用いられる。
導電剤としては、ポリメチルベンジルトリメチルクロライド、ポリアリルポリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性高分子電解質、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩等のアニオン性高分子電解質や電子伝導性の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム微粉末等が用いられる。導電層は自体が自己保持機能を有する程度に厚い場合もあるし、図示しない自己保持機能を有する基体上に導電層が設けられている場合もあり、いずれの場合も好適に使用できる。また、導電層5、6は、異方導電性を示す層であってもよいし、厚さ方向に導電性部分が貫通したパターン状ないしマルチドット状のセグメントを有する層であってもよい。いずれにおいても導電層5、6の一部に電源電極をコンタクトすれば導電層5、6の間に電界を生じさせることが可能となるので、白色ないし着色粒子33は確実に移動できる。表示を行うには導電層5、6間の電圧印加手段を用意すればよいので、簡便である。
【0027】
図2において、7は白色ないし着色粒子である。白色ないし着色粒子の例としては、本発明の第1の実施の形態における白色ないし着色粒子が挙げられる。図2において、8は着色分散媒であり、白色ないし着色粒子の色とは異なる色に着色されている。着色分散媒には分散粒子の分散性を制御するために界面活性剤などが必要に応じて添加されることもある。使用される染料の例としては、本発明の第1の実施の形態における染料が挙げられる。
【0028】
本実施形態の画像表示媒体においては、表示材料である粒子分散液含有マイクロカプセルが簡便に得られるので、従来よりも簡便な方法および低コストで画像表示媒体が得られる。
【0029】
次に、本発明の第8の実施の形態に係る画像表示媒体の製造方法を説明する。まず、上記の工程(4)で得られるマイクロカプセルのスラリーを水で洗浄した後、乾燥して粒子分散液含有マイクロカプセルを回収する。得られた粒子分散液含有マイクロカプセルは必要に応じて分級しても良い。次いで該粒子分散液含有マイクロカプセルと接着剤とを混合した混合物を電極基板に塗布し、対向電極基板を貼り合わせる。塗布方法としてはブレード、ワイヤーバー、ディッピング、スピンコートなど公知の塗膜形成方法が使用でき、また特に限定されない。これらの工程により簡便にかつ低コストで画像表示媒体を製造することが可能となる。
【0030】
本発明の第9の実施の形態においては、上記本発明の第8の実施の形態における画像表示媒体の製造方法において、接着剤として無溶剤型の接着剤を使用する。これにより接着剤に含まれる溶剤によるカプセル壁の劣化が抑制される。従って、表示欠陥の少ない画像表示媒体が得られる。無溶剤型の接着剤としては公知のものがすべて使用可能であるが、中でも光硬化型のものが好ましい。
【0031】
本発明の第10の実施の形態においては、上記の工程(4)で得られるスラリーをそのまま、ないし濃縮した液を電極基板に塗布し、対向電極基板を貼り合わせる。上記の工程(4)で得られるスラリー中には冷却時に析出せずに水に溶解している基材が一部分存在している。これら溶存している基材も水が蒸発すれば最終的に析出することになる。スラリー状態で塗膜を形成し水が蒸発すれば、溶存していた基材は粒子分散液含有マイクロカプセル同士を結着するバインダーとして機能する。この場合塗膜形成に際し接着剤を必要としないので、さらに簡便に画像表示媒体を製造することが可能となる。なお、塗布方法としてはブレード、ワイヤーバー、ディッピング、スピンコートなど公知の塗膜形成方法が使用でき、また特に限定されない。
【0032】
本発明の第11の実施の形態に係る画像表示装置を図3に基づき説明する。図3に示されるように、本実施形態の画像表示装置10は画像表示媒体11を備え、そして、図示しない駆動回路、演算回路、内部メモリ、電源等を備えている。表示媒体における電極は、ドットマトリックスを形成し、指定のドットをON表示することにより、全体として画像を表示する。図3において、12は筺体であり、また、13は情報入力手段である。画像表示媒体11以外の要素は従来提案されている各種公知のものが使用可能である。本実施形態の画像表示装置においては、表示媒体が従来よりも簡便な方法で得られるので、従来よりも簡便な方法および低コストで画像表示装置が得られる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例で用いる部は、全て重量部である。
【0034】
(実施例1)
粒子分散液含有マイクロカプセルの作製
イソパラフィン系炭化水素(エクソンケミカル アイソパーH)950部に染料(バイエル マクロレックスブルーRR)1部を溶解して着色し、酸化チタン50部を加えボールミルで分散して粒子分散液を調製した。
一方、乳酸カルシウム5部とゼラチン5部を水20部に加え加熱沸騰させて(温度100℃として)溶解した。ここへ上記粒子分散液10部を加え攪拌しながら10℃まで冷却した。ろ過したものを乾燥して目的とするマイクロカプセルを得た。このマイクロカプセルは25℃の水で不溶であった。
【0035】
画像表示媒体の作製
実施例1で得られたマイクロカプセルを紫外線硬化エポキシ樹脂中(商品名3121:スリーボンド社製)に分散させ、ITO電極付きガラス基板上にワイヤーバーで塗布した。次にもう一枚のITO電極で塗布膜を挟み、その後紫外線を照射しエポキシ樹脂を硬化させた。
上部ITO電極に+100Vを印加すると、酸化チタン粒子は速やかに上部電極に電着し、上部基板面から見ると白色に見えた。次に上部電極に−100Vを印加すると、酸化チタン粒子は下部電極に移動し、上部基板側から見ると染料の色に起因する着色状態が鮮明に見られた。
【0036】
(実施例2)
粒子分散液含有マイクロカプセルおよび画像表示媒体の作製
冷却工程までは実施例1と同様に操作した粒子分散液含有マイクロカプセルのスラリーを半分の重量になるまで濃縮したものをITO電極付きガラス基板上にワイヤーバーで塗布した。次にもう一枚のITO電極で塗布膜を挟み画像表示媒体を作製した。
上部ITO電極に+100Vを印加すると、酸化チタン粒子は速やかに上部電極に電着し、上部基板面から見ると白色に見えた。次に上部電極に−100Vを印加すると、酸化チタン粒子は下部電極に移動し、上部基板側から見ると染料の色に起因する着色状態が鮮明に見られた。
【0037】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明による粒子分散液含有マイクロカプセルおよびその製造方法においては、製造の際にカプセル壁形成に化学反応を伴わないので、簡便な方法で粒子分散液含有マイクロカプセルを製造することができる上、この粒子分散液含有マイクロカプセルを画像表示媒体に適用した場合、表示ムラの発生の少ない画像表示が行える利点がある。
また、本発明による画像表示媒体およびその製造方法においては、表示材料である粒子分散液含有マイクロカプセルが簡便に得られるので、従来よりも簡便な方法および低コストで画像表示媒体が得られる。
さらに、本発明による画像表示装置においては、表示媒体が従来よりも簡便な方法で得られるので、従来よりも簡便な方法および低コストで画像表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による粒子分散液含有マイクロカプセルの製造方法で得られるマイクロカプセルの一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明による画像表示媒体の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明による画像表示装置の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 カプセル壁
2 水相
3 白色ないし着色粒子
4 分散媒
5 導電層
6 導電層
7 白色ないし着色粒子
8 分散媒
10 画像表示装置
11 画像表示媒体
12 筐体
13 情報入力手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子分散液含有マイクロカプセルとその製造方法、それを使用した画像表示媒体とその製造方法、およびそれを用いた画像表示装置、詳しくは、電界の作用によって帯電した白色ないし着色粒子が分散液中を移動することにより可逆的に視認状態を変化させうる電気泳動画像表示媒体、装置、ならびに粒子分散液を隔壁により多数のセルに細分化する方法およびその隔壁材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、文字や静止画、動画等のいわゆる画像の表示用端末としてCRTや液晶ディスプレイが用いられている。これらはデジタルデータを瞬時に表示し、書き換えることができるが、装置を常に持ち歩くことは困難であり、長時間の作業では眼が疲労したり、電源をオフにしては表示できないなど多くの欠点もある。一方、文字や静止画を書類などとして配布や保存するときはプリンターにて紙媒体に記録され、いわゆるハードコピーとして、広く使用されている。ハードコピーはディスプレイより文章を読みやすく疲れにくく、自由な姿勢で読むことができ、さらに、軽量で自由に持ち運びが可能である特徴を有する。しかし、ハードコピーは使用された後は廃棄され、リサイクルされるがそのためには多くの労力と費用を要するので省資源の点では問題が残る。
【0003】
以上のディスプレイとハードコピーの両方の長所を持った書き換えが可能なペーパーライクな表示媒体へのニーズは高く、これまでに高分子分散型液晶素子、双安定性コレステリック液晶素子、エレクトロクロミック素子、電気泳動素子を用いたもの等が反射型で明るい表示ができ、かつメモリー性のある表示媒体として注目されている。中でも電気泳動素子を用いたものは表示品質、表示動作時の消費電力の点で優れており、例えば、特開平5−173194号公報、特許第2612472号公報などに開示されている。電気泳動表示媒体では一組の透明電極の間に、着色した分散媒中に分散媒の色とは異なる色を有する複数の泳動粒子を分散させた分散液を封入してある。泳動粒子は分散媒中で表面に電荷を帯びており、透明電極の一方に泳動粒子の電荷と逆向きの電圧を与えた場合には泳動粒子がそちらに堆積して泳動粒子の色が観測され、泳動粒子の電荷と同じ向きの電圧を与えた場合には泳動粒子は反対側に移動するため分散媒の色が観測される。これにより表示を行うことができる。
【0004】
従来、電気泳動表示媒体において分散液を単に電極間に封入するだけでは泳動粒子の凝集や表示面内における粒子の偏在などにより表示ムラを発生させることがあり、それを解決する手段として特許第2551783号公報には、分散液をマイクロカプセル内に封入する構成が開示されている。このマイクロカプセルによる分散液の隔離は構成としては効果が大きいが、その製造段階ではカプセル壁となる高分子膜の形成において構成モノマーの化学反応を伴うことが多く、必ずしも簡便な方法とは言えなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−173194号公報
【特許文献2】
特許第2612472号公報
【特許文献3】
特開平7−322846号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来と比較して簡便な方法で作製可能な粒子分散液含有マイクロカプセルとその製造方法、それを使用した電気泳動画像表示媒体とその製造方法、およびそれを用いた画像表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
マイクロカプセルの形成方法には物理的方法、化学的方法などいろいろな方法がある。その中で、乳酸カルシウムの水に対する溶解度が水温が上昇するにつれて著しく高くなることに着目し、水溶性高分子などと乳化カルシウムを含む基材を水に加えて加熱溶解させ、これに芯物質である液体香料を加えて冷却することにより、該基材で芯物質を内包してカプセル化させて粉末香料を製造する方法が特開平7−322846号公報で開示されている。この方法は、食品や香粧品に適用するものであり、本発明における画像表示媒体の構造材への適用は全く検討されていなかった。本発明者はこの技術を利用し非極性溶媒に粒子を分散させた粒子分散液を芯物質に用いてマイクロカプセルの作製を試みたところ、粒子分散液についても同様な原理でカプセル化が可能であることを確認した。また、一般に電気泳動粒子分散液をカプセル化するとカプセル壁である高分子の形成時に重合反応に使用する種々の化合物が不純物として粒子分散液に残存し、カプセル化後の画像表示媒体の応答性、すなわち粒子の電気泳動特性は悪化しやすい。しかし、本発明におけるマイクロカプセルを使用して画像表示媒体、装置を作製したところ、このような悪影響がほとんど見られないことを確認した。これは高分子カプセル壁形成時に重合などの化学反応を伴わないことから粒子分散液への油溶性の不純物への混入が極めて少ないことに起因すると思われる。本発明は以上のような知見に基づくものである。
【0008】
即ち、本発明によれば下記の技術的手段が提供される。
[1]少なくとも一種類以上の白色ないし着色粒子を非極性溶媒中に分散させた粒子分散液が、少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材に内包されている粒子分散液含有マイクロカプセルにおいて、該基材が、10℃の温度の水に不溶であり、かつ100℃の温度の水に可溶であることを特徴とする粒子分散液含有マイクロカプセル。
[2]少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材が、カルシウム、マグネシウムおよび鉄の中より選ばれる金属の乳酸塩を含むことを特徴とする前記[1]に記載の粒子分散液含有マイクロカプセル。
[3]少なくとも水溶性高分子化合物とカルシウム、マグネシウム及び鉄の中より選ばれる金属の乳酸塩とを含む基材における該乳酸塩の含有率が50重量%以下であることを特徴とする前記[2]に記載の粒子分散液含有マイクロカプセル。
[4](1)少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材に水を加え加熱溶解させる工程と、(2)少なくとも一種類以上の白色ないし着色粒子を非極性溶媒中に分散させて粒子分散液を得る工程と、(3)前記(2)の工程で得られた粒子分散液を前記(1)の工程で得られた溶液に加えて乳化させる工程と、(4)前記(3)の工程で得られた乳化液を冷却し粒子分散液を内包した基材を析出させる工程からなることを特徴とする粒子分散液含有マイクロカプセルの製造方法。
[5]前記(1)の工程においてさらに界面活性剤を加えることを特徴とする前記[4]に記載の粒子分散液含有マイクロカプセルの製造方法。
[6]前記(2)の工程においてさらに非極性溶媒に粒子分散剤を加えて粒子分散液を得ることを特徴とする前記[4]に記載の粒子分散液含有マイクロカプセルの製造方法。
[7]所望の間隔を設けて配備された少なくとも一方ないし両方が光透過性である二つの基板間に、少なくとも非極性溶媒からなる分散媒中に白色ないし着色の粒子を分散させた分散液が中に入ったカプセルを含有してなり、前記二つの基板間に電圧を印加することによる粒子の電気泳動により表示動作を行う画像表示媒体において、前記カプセルが前記[1]〜[3]のいずれかに記載の粒子分散液含有カプセルを含有することを特徴とする電気泳動型画像表示媒体。
[8]前記[4]の方法における前記(4)の工程で得られるスラリーを乾燥して粒子分散液含有マイクロカプセルを回収し、該粒子分散液含有マイクロカプセルと接着剤とを混合した混合物を電極基板に塗布し、対向電極基板を貼り合わせることを特徴とする電気泳動型画像表示媒体の製造方法。
[9]接着剤が光硬化型であることを特徴とする前記[8]に記載の電気泳動型画像表示媒体の製造方法。
[10]前記[4]の方法における前記(4)の工程で得られるスラリーをそのままないし濃縮した液を電極基板に塗布した後に乾燥し、次いで対向電極を貼り合わせる工程からなることを特徴とする電気泳動型画像表示媒体の製造方法。
[11]前記[7]に記載の画像表示媒体を有することを特徴とする電気泳動型画像表示装置。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をさらにくわしく説明する。
先ず、本発明の第1の実施の形態に係る粒子分散液含有マイクロカプセルについて述べる。本実施形態に係る粒子分散液含有マイクロカプセルは、少なくとも一種類以上の白色ないし着色粒子を非極性溶媒中に分散させた粒子分散液が、少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材に内包されている粒子分散液含有マイクロカプセルにおいて、該基材が、10℃の温度の水に不溶であり、かつ100℃の温度の水に可溶であることを特徴とするものである。本実施形態に係る粒子分散液含有マイクロカプセル(以下、単に「マイクロカプセル」とも称する)を図1に基づき説明する。
【0010】
図1はマイクロカプセル形成時の各構成要素を模式的に示したものである。
図1において、1はマイクロカプセルのカプセル壁、2は水相、3は白色ないし着色粒子、4は非極性溶媒(以下、分散媒とも称する)である。
カプセル壁1は加熱時に水に溶解していた基材が冷却されて水と粒子分散液の界面に析出して形成されるものである。加熱時に水に溶解していた基材は、冷却により大部分がカプセル壁1となるが、一部は溶解したままである。
【0011】
粒子分散液を構成する粒子の例としては、以下のような白色粒子ないし着色粒子が使用できる。
白色粒子としては、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物の固体粒子が使用できる。
黒色の着色粒子としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用できる。
シアンの着色粒子としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。
マゼンタの着色粒子としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。
イエローの着色粒子としては、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用できる。
【0012】
また、上記金属酸化物からなる白色粒子、あるいは着色粒子を、少なくとも分散媒となる非極性溶媒に不溶なバインダー樹脂に分散ないし混合したものも使用できる。この場合、バインダー樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のうち分散媒に不溶なものが全て使用できるが、とりわけ非粘着材系樹脂材料が好ましく使用できる。このような非粘着材系樹脂材料の端的な例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、あるいはポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体などを例示することができる。上記金属酸化物からなる白色粒子、あるいは着色粒子が使用できる量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜300重量部、好ましくは1〜100重量部である。
【0013】
また、粒子分散液における固形分の重量割合は、上記粒子分散液含有マイクロカプセルを画像表示媒体に適用した場合に所望の濃度の色が得られるように適宜設定されるが、1〜20重量%程度が適当である。
【0014】
本実施形態において使用される分散媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン等のパラフィン系炭化水素、イソヘキサン、イソオクタン、イソドデカン等のイソパラフィン系炭化水素、流動パラフィン等のアルキルナフテン系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジアルキルシリコーンオイル、アルキルフェニルシリコーンオイル、環状ポリジアルキルシロキサン又は環状ポリアルキルフェニルシロキサン等のシリコーン系のオイルが挙げられる。
【0015】
粒子分散液の分散媒は白色ないし着色粒子の色とは異なる色に着色されていることが好ましい。この場合、使用される染料としては、上記分散媒に可溶な油溶性染料が挙げられ、Coulour IndexにおいてSolvent dyeに分類される染料が好適に使用される。これらの染料には、アゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリアリルメタン系の各色の染料が存在する。
着色分散媒には染料の溶解性を向上させるために他の物質を加えることができる。このような物質は非極性溶媒に溶解ないし混和可能な物質が好ましい。このような物質の例としては、エーテル類、エステル類、アルコール類、ケトン類、アミド類などの他の溶媒が挙げられる。このような他の溶媒の混合比は、分散媒100重量部に対し0.1〜10重量部程度である。
【0016】
本発明における粒子分散液を作るには、前記各成分を非極性溶媒中に混合分散すればよい。この場合、分散手段としてボールミル、サンドミル、アトライター等を用いてもよい。なお混合順序は特に限定されるものではない。
【0017】
基材に用いられる高分子化合物は水溶性のものであれば良い。このような高分子化合物の例としては、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、水溶性セルロース、寒天などが挙げられる。該基材は、10℃の温度の水、ないしは5〜15℃程度の温度の水において不溶であることが望ましく、100℃の温度の水、ないしは80〜100℃程度の温度の水において可溶であることが望ましい。ここで「不溶」とは、固形状の物質が析出する程度のことをいい、「可溶」とは、液が透明になる程度のことをいう。該基材が上記のような性質を有していれば、カプセル壁形成に化学反応を伴わないので、簡便な方法で粒子分散液含有マイクロカプセルを製造することができる。
【0018】
本実施形態におけるマイクロカプセルの粒径は、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜100μmである。マイクロカプセルの粒径が上記範囲であると、画像表示媒体に適用した場合に、鮮明な画像表示特性を得ることができる。また、該マイクロカプセルの基材からなるカプセル壁の厚みは、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.2〜1μm程度である。カプセル壁の厚みが上記範囲であると、画像表示媒体に適用した場合に機械的強度と鮮明な画像表示特性を両立できるという利点がある。
【0019】
次に、本発明の第2の実施の形態について述べる。この第2の実施の形態においては、少なくとも基材は、カルシウム、マグネシウム及び鉄の中より選ばれる金属の乳酸塩を含む。これらの乳酸塩は特に水に対する溶解度の温度依存性が特に大きく、100℃の温度の水、ないしは80〜100℃程度の温度の水への溶解性は高いが低温時での水(10℃の温度の水、ないしは5〜15℃程度の温度の水)への溶解性は低いので冷却時に析出する基材の量が増え、粒子分散液含有マイクロカプセルの収率を上げることが可能となる。また、基材中に上記金属の乳酸塩を含むことから基材に占める高分子の比率が高く機械的強度に優れた粒子分散液含有マイクロカプセルが得られる。
【0020】
本発明の第3の実施の形態においては、少なくとも水溶性高分子化合物とカルシウム、マグネシウム及び鉄より選ばれる乳酸塩を含む基材における該乳酸塩の含有率が、好ましくは50重量%以下、より好ましくは10〜40重量%である。50重量%を超えると高分子膜に占める塩の割合が多いことからカプセル壁の透明性が低下し、また膜質も弱くなってしまう。すなわち、該基材における該乳酸塩の含有率が50重量%以下であることにより、光学的にも透明で且つ機械的強度にもより優れたカプセル壁を有する粒子分散液含有マイクロカプセルを得ることが可能となる。
【0021】
次に、本発明の第4の実施の形態に係る粒子分散液含有マイクロカプセルの製造方法を説明する。この製造方法は、大別して下記の4つの工程からなる。
工程(1):少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材に水を加え加熱溶解させる工程。ここでは基材に水を加えた場合、すべてが常温(25℃)で水に溶解するわけではなく、少なくとも一部が水に不溶であるが、加熱(80℃以上)することにより水に対する溶解性が増し、均一な溶液が得られる。水溶性高分子化合物と加える水の量は、水溶性高分子化合物の種類にもよるが、通常重量基準で、5:95〜20:80が適当である。
工程(2):少なくとも一種類以上の白色ないし着色粒子を非極性溶媒中に分散させて粒子分散液を得る工程。粒子分散液を構成する材料としては本発明の第1の実施の形態において使用される材料が挙げられる。これら各成分を非極性溶媒中に加え混合分散することにより粒子分散液を得る。この場合、分散手段としてボールミル、サンドミル、アトライター等を用いてもよい。なお混合順序は特に限定されるものではない。なお、工程(1)と工程(2)は必ずしもこの順序で行わなければならないものではなく、逆であっても、あるいは同時であっても構わない。
工程(3):工程(2)で得られた粒子分散液を工程(1)で得られた溶液に加えて乳化させる工程。基材を加熱溶解した水溶液に非極性溶媒系の粒子分散液を加えて攪拌することによりO/Wの乳化コロイド分散系、すなわち基材を含む水相中に粒子分散液からなるの油滴が微小分散した状態を得る。O/W乳化コロイド分散系を得る手段としてはホモジナイザーなど公知のエマルジョン、サスペンジョンを得るあらゆる手段が利用可能である。
工程(4):工程(3)で得られた乳化コロイド分散系を冷却し粒子分散液を内包した基材を析出させてカプセル化する工程。基材を含む水相と粒子分散液からなる油相からなるO/W乳化コロイド分散系を冷却(5〜15℃)すると溶解していた基材はやがて水に溶解することができずに析出する。このとき水相と油相の界面に基材が析出することとなり、最終的には粒子分散液を内部に取り囲んでカプセルを形成する。
【0022】
これらの工程に基づくことにより、カプセル壁の形成に際して化学反応を伴うことなく簡便な方法で粒子分散液含有マイクロカプセルを得ることができる。
【0023】
本発明の第5の実施の形態においては、上記の工程(1)においてさらに界面活性剤を加える。すなわち少なくとも水溶性高分子からなる基材と界面活性剤が加熱溶解された溶液を得る。これにより界面活性剤が乳化剤として働き、後の工程(3)において安定したO/W乳化状態となり、分散性が良好な粒子分散液が得られ、工程(4)においてカプセル径が比較的揃ったマイクロカプセルを得ることができる。
【0024】
本実施の形態で使用できる界面活性剤としては、乳化剤などを含む公知の界面活性剤が使用可能である。このような界面活性剤としては、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホこはく酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール縮合物、ポリオキシエチレンラノリンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、イソプロノールアミドなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。上記の工程(1)において加える界面活性剤の量は、水溶性化合物と水とを100重量部とすると0.01〜2重量部程度が適当である。
【0025】
本発明の第6の実施の形態においては、上記の工程(2)においてさらに非極性溶媒に粒子分散剤を加えて粒子分散液を得る。粒子分散剤とは粒子分散液において溶媒に対して溶解性があり、粒子存在時には該粒子に吸着性がある化合物であり、静電反発ないし分散剤分子の立体効果により粒子同士の凝集を防ぐもののことである。粒子分散剤を加えることにより、非水溶媒中で粒子が安定に分散し、分散性が良好な粒子分散液が得られると共に、内包物にばらつきのない粒子分散液含有マイクロカプセルを得ることが可能となる。本実施形態で使用できる粒子分散剤としては、公知の粒子分散剤として使用される界面活性剤のうち非極性溶媒に可溶なものが使用でき、好ましくは高分子系の分散剤である。具体的には、市販の変性ポリウレタン系高分子分散剤、ポリアクリレート系高分子分散剤などが挙げられる。これは、特に非極性溶媒系での粒子の分散安定性は高分子化合物のもつ立体効果によるところが大きいからである。粒子分散剤を加える場合、その量は、分散媒100重量部に対して0.1〜5重量部程度が適当である。
【0026】
次に、本発明の第7の実施の形態に係る画像表示媒体を図2に基づき説明する。図2において5および6は導電層で少なくとも一方は光透過性である。導電層としてはAl、Ag、Ni、Cu等の金属やITO、SnO2、ZnO:Al等の透明導電体をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、塗布法等で薄膜状に形成したもの、あるいは導電剤を溶媒あるいは合成樹脂バインダーに混合して塗布したものが用いられる。
導電剤としては、ポリメチルベンジルトリメチルクロライド、ポリアリルポリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性高分子電解質、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩等のアニオン性高分子電解質や電子伝導性の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム微粉末等が用いられる。導電層は自体が自己保持機能を有する程度に厚い場合もあるし、図示しない自己保持機能を有する基体上に導電層が設けられている場合もあり、いずれの場合も好適に使用できる。また、導電層5、6は、異方導電性を示す層であってもよいし、厚さ方向に導電性部分が貫通したパターン状ないしマルチドット状のセグメントを有する層であってもよい。いずれにおいても導電層5、6の一部に電源電極をコンタクトすれば導電層5、6の間に電界を生じさせることが可能となるので、白色ないし着色粒子33は確実に移動できる。表示を行うには導電層5、6間の電圧印加手段を用意すればよいので、簡便である。
【0027】
図2において、7は白色ないし着色粒子である。白色ないし着色粒子の例としては、本発明の第1の実施の形態における白色ないし着色粒子が挙げられる。図2において、8は着色分散媒であり、白色ないし着色粒子の色とは異なる色に着色されている。着色分散媒には分散粒子の分散性を制御するために界面活性剤などが必要に応じて添加されることもある。使用される染料の例としては、本発明の第1の実施の形態における染料が挙げられる。
【0028】
本実施形態の画像表示媒体においては、表示材料である粒子分散液含有マイクロカプセルが簡便に得られるので、従来よりも簡便な方法および低コストで画像表示媒体が得られる。
【0029】
次に、本発明の第8の実施の形態に係る画像表示媒体の製造方法を説明する。まず、上記の工程(4)で得られるマイクロカプセルのスラリーを水で洗浄した後、乾燥して粒子分散液含有マイクロカプセルを回収する。得られた粒子分散液含有マイクロカプセルは必要に応じて分級しても良い。次いで該粒子分散液含有マイクロカプセルと接着剤とを混合した混合物を電極基板に塗布し、対向電極基板を貼り合わせる。塗布方法としてはブレード、ワイヤーバー、ディッピング、スピンコートなど公知の塗膜形成方法が使用でき、また特に限定されない。これらの工程により簡便にかつ低コストで画像表示媒体を製造することが可能となる。
【0030】
本発明の第9の実施の形態においては、上記本発明の第8の実施の形態における画像表示媒体の製造方法において、接着剤として無溶剤型の接着剤を使用する。これにより接着剤に含まれる溶剤によるカプセル壁の劣化が抑制される。従って、表示欠陥の少ない画像表示媒体が得られる。無溶剤型の接着剤としては公知のものがすべて使用可能であるが、中でも光硬化型のものが好ましい。
【0031】
本発明の第10の実施の形態においては、上記の工程(4)で得られるスラリーをそのまま、ないし濃縮した液を電極基板に塗布し、対向電極基板を貼り合わせる。上記の工程(4)で得られるスラリー中には冷却時に析出せずに水に溶解している基材が一部分存在している。これら溶存している基材も水が蒸発すれば最終的に析出することになる。スラリー状態で塗膜を形成し水が蒸発すれば、溶存していた基材は粒子分散液含有マイクロカプセル同士を結着するバインダーとして機能する。この場合塗膜形成に際し接着剤を必要としないので、さらに簡便に画像表示媒体を製造することが可能となる。なお、塗布方法としてはブレード、ワイヤーバー、ディッピング、スピンコートなど公知の塗膜形成方法が使用でき、また特に限定されない。
【0032】
本発明の第11の実施の形態に係る画像表示装置を図3に基づき説明する。図3に示されるように、本実施形態の画像表示装置10は画像表示媒体11を備え、そして、図示しない駆動回路、演算回路、内部メモリ、電源等を備えている。表示媒体における電極は、ドットマトリックスを形成し、指定のドットをON表示することにより、全体として画像を表示する。図3において、12は筺体であり、また、13は情報入力手段である。画像表示媒体11以外の要素は従来提案されている各種公知のものが使用可能である。本実施形態の画像表示装置においては、表示媒体が従来よりも簡便な方法で得られるので、従来よりも簡便な方法および低コストで画像表示装置が得られる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例で用いる部は、全て重量部である。
【0034】
(実施例1)
粒子分散液含有マイクロカプセルの作製
イソパラフィン系炭化水素(エクソンケミカル アイソパーH)950部に染料(バイエル マクロレックスブルーRR)1部を溶解して着色し、酸化チタン50部を加えボールミルで分散して粒子分散液を調製した。
一方、乳酸カルシウム5部とゼラチン5部を水20部に加え加熱沸騰させて(温度100℃として)溶解した。ここへ上記粒子分散液10部を加え攪拌しながら10℃まで冷却した。ろ過したものを乾燥して目的とするマイクロカプセルを得た。このマイクロカプセルは25℃の水で不溶であった。
【0035】
画像表示媒体の作製
実施例1で得られたマイクロカプセルを紫外線硬化エポキシ樹脂中(商品名3121:スリーボンド社製)に分散させ、ITO電極付きガラス基板上にワイヤーバーで塗布した。次にもう一枚のITO電極で塗布膜を挟み、その後紫外線を照射しエポキシ樹脂を硬化させた。
上部ITO電極に+100Vを印加すると、酸化チタン粒子は速やかに上部電極に電着し、上部基板面から見ると白色に見えた。次に上部電極に−100Vを印加すると、酸化チタン粒子は下部電極に移動し、上部基板側から見ると染料の色に起因する着色状態が鮮明に見られた。
【0036】
(実施例2)
粒子分散液含有マイクロカプセルおよび画像表示媒体の作製
冷却工程までは実施例1と同様に操作した粒子分散液含有マイクロカプセルのスラリーを半分の重量になるまで濃縮したものをITO電極付きガラス基板上にワイヤーバーで塗布した。次にもう一枚のITO電極で塗布膜を挟み画像表示媒体を作製した。
上部ITO電極に+100Vを印加すると、酸化チタン粒子は速やかに上部電極に電着し、上部基板面から見ると白色に見えた。次に上部電極に−100Vを印加すると、酸化チタン粒子は下部電極に移動し、上部基板側から見ると染料の色に起因する着色状態が鮮明に見られた。
【0037】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明による粒子分散液含有マイクロカプセルおよびその製造方法においては、製造の際にカプセル壁形成に化学反応を伴わないので、簡便な方法で粒子分散液含有マイクロカプセルを製造することができる上、この粒子分散液含有マイクロカプセルを画像表示媒体に適用した場合、表示ムラの発生の少ない画像表示が行える利点がある。
また、本発明による画像表示媒体およびその製造方法においては、表示材料である粒子分散液含有マイクロカプセルが簡便に得られるので、従来よりも簡便な方法および低コストで画像表示媒体が得られる。
さらに、本発明による画像表示装置においては、表示媒体が従来よりも簡便な方法で得られるので、従来よりも簡便な方法および低コストで画像表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による粒子分散液含有マイクロカプセルの製造方法で得られるマイクロカプセルの一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明による画像表示媒体の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明による画像表示装置の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 カプセル壁
2 水相
3 白色ないし着色粒子
4 分散媒
5 導電層
6 導電層
7 白色ないし着色粒子
8 分散媒
10 画像表示装置
11 画像表示媒体
12 筐体
13 情報入力手段
Claims (11)
- 少なくとも一種類以上の白色ないし着色粒子を非極性溶媒中に分散させた粒子分散液が、少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材に内包されている粒子分散液含有マイクロカプセルにおいて、該基材が、10℃の温度の水に不溶であり、かつ100℃の温度の水に可溶であることを特徴とする粒子分散液含有マイクロカプセル。
- 少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材が、カルシウム、マグネシウムおよび鉄の中より選ばれる金属の乳酸塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の粒子分散液含有マイクロカプセル。
- 少なくとも水溶性高分子化合物とカルシウム、マグネシウム及び鉄の中より選ばれる金属の乳酸塩とを含む基材における該乳酸塩の含有率が50重量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の粒子分散液含有マイクロカプセル。
- (1)少なくとも水溶性高分子化合物からなる基材に水を加え加熱溶解させる工程と、(2)少なくとも一種類以上の白色ないし着色粒子を非極性溶媒中に分散させて粒子分散液を得る工程と、(3)前記(2)の工程で得られた粒子分散液を前記(1)の工程で得られた溶液に加えて乳化させる工程と、(4)前記(3)の工程で得られた乳化液を冷却し粒子分散液を内包した基材を析出させる工程からなることを特徴とする粒子分散液含有マイクロカプセルの製造方法。
- 前記(1)の工程においてさらに界面活性剤を加えることを特徴とする請求項4に記載の粒子分散液含有マイクロカプセルの製造方法。
- 前記(2)の工程においてさらに非極性溶媒に粒子分散剤を加えて粒子分散液を得ることを特徴とする請求項4に記載の粒子分散液含有マイクロカプセルの製造方法。
- 所望の間隔を設けて配備された少なくとも一方ないし両方が光透過性である二つの基板間に、少なくとも非極性溶媒からなる分散媒中に白色ないし着色の粒子を分散させた分散液が中に入ったカプセルを含有してなり、前記二つの基板間に電圧を印加することによる粒子の電気泳動により表示動作を行う画像表示媒体において、前記カプセルが請求項1〜3のいずれかに記載の粒子分散液含有カプセルを含有することを特徴とする電気泳動型画像表示媒体。
- 請求項4の方法における前記(4)の工程で得られるスラリーを乾燥して粒子分散液含有マイクロカプセルを回収し、該粒子分散液含有マイクロカプセルと接着剤とを混合した混合物を電極基板に塗布し、対向電極基板を貼り合わせることを特徴とする電気泳動型画像表示媒体の製造方法。
- 接着剤が光硬化型であることを特徴とする請求項8に記載の電気泳動型画像表示媒体の製造方法。
- 請求項4の方法における前記(4)の工程で得られるスラリーをそのままないし濃縮した液を電極基板に塗布した後に乾燥し、次いで対向電極を貼り合わせる工程からなることを特徴とする電気泳動型画像表示媒体の製造方法。
- 請求項7に記載の画像表示媒体を有することを特徴とする電気泳動型画像表示装置。
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JP2003071996A JP2004275914A (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | 粒子分散液含有マイクロカプセルとその製造方法、それを使用した画像表示媒体とその製造方法、およびそれを用いた画像表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010510877A (ja) * | 2006-11-28 | 2010-04-08 | チバ ホールディング インコーポレーテッド | マイクロカプセル、それらの使用及びそれらの製造方法 |
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2003
- 2003-03-17 JP JP2003071996A patent/JP2004275914A/ja active Pending
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