JP4099842B2 - 自封式逆止弁、その製造方法およびそれを使用した空気緩衝材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてプラスチック材料で製造した自封式の逆止弁、その製造方法およびそれを使用した空気緩衝材に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえばプラスチックフィルムをヒートシールして袋を形成し、その内部に空気を封入してなる空気緩衝材において、空気の封入に使用する逆止弁として、図1および図2に示すような構造のもの、つまり、ヒートシール可能なほぼ長方形のプラスチックフィルム(1A,1B)の中央部を貫いてヒートシールを阻害するための印刷(2)を施したものを2枚重ね、両側縁(3)をヒートシールして筒状にしたものが使用されている。 プラスチックとしては、ヒートシールが容易なポリエチレンなどが通常用いられている。 空気の吹き込みは、一方のフィルムに設けた孔(4)からストローを差し込んで行なう。
【0003】
しかし、このような逆止弁の製造方法は、印刷およびヒートシールという異質の工程を含んでいて面倒であるから、大量のロットで製造する場合でないと、コスト高になって実用的でない。 逆止性能からいっても、この弁は内外の圧力差で2枚のフィルムが押されて空気の流路を閉ざしているだけであるから、機械的な歪が加わったりすると開いて、空気が漏れたりすることがあって、あまり信頼性の高いものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、上述した簡易な構造の自封式の逆止弁において、少量のロットでもコスト高とならずに製造することができ、かつ動作の確実なものを提供し、あわせてその製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明の第二の目的は、この自封式の逆止弁を使用した、信頼性の高い空気緩衝材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の自封式逆止弁は、図3および図4に示すように、ヒートシール性および自己粘着性を有するプラスチックでつくったほぼ長方形のバルブフィルム(1A,1B)を2枚、バルブフィルムに対して非ヒートシール性の材料でつくった、バルブフィルムと長さはほぼ同じであるが幅はそれらより狭い離型シート(6)を、それらの間のほぼ中央に挟んで重ね合わせ、少なくとも一方の端(5)が非ヒートシール部分として残るようにバルブフィルムの両縁(3)をヒートシールしてなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
この自封式逆止弁を製造する本発明の方法は、ヒートシール性および自己粘着性を有するプラスチックでつくったバルブフィルム用のリボン2本と、バルブフィルムに対して非ヒートシール性の材料でつくった、バルブフィルムより幅が狭い離型シート用のリボン1本とを、バルブフィルム用リボンの間のほぼ中央に離型シート用のリボンが位置するように挟んで重ね合わせ、バルブフィルム用リボンの両縁を、ヒートシール部分と非ヒートシール部分とが交互にできるように断続的にヒートシールし、それとともに、またはその後、非ヒートシール部分であってヒートシール部分に近い位置において切断し、一方の端が非ヒートシール部分として残るようにすることからなる。図5に、ヒートシールの後に切断を行なう場合の、ヒートシール後であって切断前の中間製品の形状を示す。切断は、図5の一点鎖線に沿って行なう。
【0008】
上記の自封式逆止弁を使用した本発明の空気緩衝材は、図6に示すように、自封式逆止弁を構成するバルブフィルムに対しヒートシール性をもつプラスチックでつくったバッグフィルム(7)を2枚、間にこの自封式逆止弁を、その非ヒートシール部分である一方の端(5)を外に出した形で挟んで重ね合わせ、周縁(8)を自封式逆止弁とともにヒートシールして、1個または複数個の空気室(9)を形成してなる構造を有する。
【0009】
バルブフィルムおよび離型シートの材料は、相互にヒートシール性がないという条件を満たす限り、任意に選んで組み合わせることができるが、好適な例を示せば、バルブフィルムとしてエチレン−ビニルアルコール共重合体のフィルム、またはポリブテン等の粘着剤を添加したポリエチレン(とくにLDPE,L−LDPE)のフィルムを使用し、離型シートとしてポリエステルフィルムを使用したものである。
【0010】
バルブフィルムとして無着色のフィルムを使用し、離型シートとして着色したシートを使用すると、構造が明確になって好ましい。
【0011】
バッグフィルムの材料も任意であるが、バルブフィルムとして上記した好適なものを使用した場合、すなわちエチレン−ビニルアルコール共重合体のフィルムまたはポリブテン等の粘着剤を転化したポリエチレンを使用した場合には、バッグフィルムとしてポリエチレンのフィルムを使用することが好ましい。 ヒートシールによる空気緩衝材の形成は、プラスチック材料から袋状の製品を製造する既知の技術に従って行なえばよい。
【0012】
本発明の空気緩衝材を使用するときは、まず、自封式逆止弁の、緩衝材の袋の外に出ている、両側縁のヒートシールのない部分をつまんで両側に開き、あらわれた離型シート(6)を引き抜いて空気の流路をつくる。 そこへストローなどを差し込み、袋の内部に空気を吹き込んで緩衝材を膨らませる。 必要なだけ空気が入ったら、ストローを抜くと、逆止弁の袋の内部にある部分は空気に圧力で自ずから重ね合わされ、空気の流出が抑えられる。 あとは、フィルムのもつ自己粘着性によって、空気流路の閉鎖が確実に継続する。 緩衝材の使用後に空気を抜くには、逆止弁に再度ストローを差し込んで、逃れでる空気に流路を与えればよいことはもちろんである。
【0013】
【発明の効果】
本発明の自封式逆止弁は、印刷という小ロットで実施するには不利な工程を含まないから、少量多品種の場合でも、低いコストで製造することができる。
【0014】
この自封式逆止弁を備えた空気緩衝材は、バルブフィルムとして自己粘着性をもつプラスチックフィルムを使用することにより、袋の内部で空気圧が加わるほどに弁の閉止が強く行なわれ、かつそれが継続するから、緩衝材を変形させる多少の力が加わっても弁の作用が損なわれる心配がなく、長期にわたってその緩衝性能を確保することができる。 使用前の製品は、逆止弁の中に離型シートが入っているから、未使用であることが証明される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の逆止弁の構造を示す平面図。
【図2】 図1の逆止弁のI−I方向の断面図。
【図3】 本発明の逆止弁の構造を示す、図1に対応する平面図。
【図4】 図3の逆止弁のII−II方向の断面図。
【図5】 本発明の逆止弁の製造過程にある中間製品を示す平面図。
【図6】 本発明の逆止弁を使用した空気緩衝材の構造を示す平面図。
【符号の説明】
1A,1B バルブフィルム
2 シール防止印刷
3 両縁
4 孔
5 バルブフィルムの一方の端
6 離型シート
7 バッグフィルム
8 周縁
9 空気室
Claims (6)
- ヒートシール性および自己粘着性を有するプラスチックでつくったほぼ長方形のバルブフィルム(1A,1B)を2枚、バルブフィルムに対して非ヒートシール性の材料でつくった、バルブフィルムと長さはほぼ同じであるが幅はそれらより狭い離型シート(6)を、それらの間のほぼ中央に挟んで重ね合わせ、少なくとも一方の端(5)が非ヒートシール部分として残るようにバルブフィルムの両縁(3)をヒートシールしてなる自封式逆止弁。
- バルブフィルムとして、エチレンービニルアルコール共重合体のフィルムまたはポリブテン等の粘着剤を添加したポリエチレンのフィルムを使用し、離型シートとしてポリエステルフィルムを使用した請求項1の自封式逆止弁。
- バルブフィルムとして無着色のフィルムを使用し、離型シートとして着色したシートを使用した請求項1または2の自封式逆止弁。
- ヒートシール性および自己粘着性を有するプラスチックでつくったバルブフィルム用のリボン2本と、バルブフィルムに対して非ヒートシール性の材料でつくった、バルブフィルムより幅が狭い離型シート用のリボン1本とを、バルブフィルム用リボンの間のほぼ中央に離型シート用のリボンが位置するように挟んで重ね合わせ、バルブフィルム用リボンの両縁を、ヒートシール部分と非ヒートシール部分とが交互にできるように断続的にヒートシールし、それとともに、またはその後、非ヒートシール部分であってヒートシール部分に近い位置において切断し、一方の端が非ヒートシール部分として残るようにすることからなる自封式逆止弁の製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の自封式逆止弁を構成するバルブフィルムに対しヒートシール性をもつプラスチックでつくったバッグフィルム(7)を2枚、間にこの自封式逆止弁を、その非ヒートシール部分である一方の端(5)を外に出した形で挟んで重ね合わせ、周縁(8)を自封式逆止弁とともにヒートシールして、1個または複数個の空気室(9)を形成してなる空気緩衝材。
- バッグフィルムとしてポリエチレンまたはポリ塩化ビニルのフィルムを使用した請求項5の空気緩衝材。
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