JP4099491B2 - ヘリコプタによる鉄塔組立工法及び作業用治具 - Google Patents

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本発明は、送電線が架設される鉄塔を新たに組み立てる場合や、既設の鉄塔を嵩上げする場合のヘリコプタを利用した鉄塔組立工法及び作業用治具に関する。
従来、送電線の鉄塔の組み立てや嵩上げにおいては、設置場所の周辺に作業スペースを確保し、さらに山間地においては近隣の道路までの仮設の作業用道路を設営して工事を行っている。鉄塔の新設による組立作業は、設置個所に基礎を設け、下から順に鉄塔の構成部材をクレーンにより吊り上げてボルトとナットにより組み立てて行くものである。また嵩上げ作業は、新設の場合と同様にクレーンで鉄塔構成部材を吊り下げて、既設鉄塔の所定部位から鉄塔構成部材を側面に固定して、順に組み立てて行くものである。
特開平8−158700号公報 特開平9−137633号公報 特開2001−37030号公報 特開2003−74213号公報
従来の鉄塔組立工法においては、鉄塔の周辺及び近くの道路までの作業スペースを広く必要とし、作業のための準備期間やクレーン等の大型の重機を長期間必要とし、さらに用地の確保にも多くのコストがかかり、全体として膨大な費用を要する上、組み立て作業自体も工数のかかるものであった。
この発明は上記従来の問題点に鑑みて成されたものであり、短期間に効率よく、しかも安全に鉄塔の組立作業を行うことができるようにしたヘリコプタによる鉄塔組立工法及び作業用治具を提供することを目的とする。
この発明は、地上から組み上げられた鉄塔構成部材の上部に、互いに対向して長手方向に対して各々塔心方向に傾斜して延びた複数の荷受け用ガイド部を設置し、前記鉄塔構成部材の主柱材の端部には、枠組みされて組み付けられる鉄塔枠部材の下端部を受ける受け部材を固定し、この受け部材の外側にガイドリングを取り付け、予め所定の枠組みに組み立てられた鉄塔枠部材をヘリコプタにより搬送し、前記鉄塔枠部材の下端部に連結されたガイドロープを前記ガイドリングに挿通して、ヘリコプタにより搬送された前記鉄塔枠部材の下端部を前記荷受け用ガイド部に沿って前記鉄塔構成部材上に降ろし、このとき前記ガイドロープにより前記鉄塔枠部材を引くことにより安定に降下させ、この後、前記荷受け用ガイド部により位置決めされた前記鉄塔枠部材を、既に組み立てられた鉄塔構成部材に組み付けるヘリコプタによる鉄塔組立工法である。
またこの発明は、地上において既設の鉄塔または所定部分組み立てられた鉄塔の上部に取り付けられ、予め所定の枠組みに組み立てられヘリコプタにより搬送される鉄塔枠部材を受ける荷受け用ガイド部を備え、この荷受け用ガイド部は、既存の鉄塔構成部材の四方にその長手方向に対して各々塔心方向に傾斜して延出して設けられているヘリコプタによる鉄塔組立作業用治具である。
さらに、組み上げられた鉄塔構成部材の主柱材の端部には、枠組みされて組み付けられる鉄塔枠部材の下端部を受ける受け部材が固定され、この受け部材の外側にはガイドリングが取り付けられ、このガイドリングには、枠組みされた前記鉄塔枠部材の下端部に連結されたガイドロープが挿通されるものである。
本発明のヘリコプタによる鉄塔組立工法及び作業用治具は、鉄塔設置場所における作業スペースを最小限にして作業可能であり、大型のクレーン等の重機を必要とせず、鉄塔の組立作業も迅速に行うことができる。従って、従来のように作業スペースの確保ための費用や準備期間を必要とせず、コストも安価に作業を行うことができる。また、この発明のヘリコプタによる鉄塔組立工法に用いる作業用治具は、作業を確実且つ迅速に行うことができるとともに、安全に遂行可能とするものである。
以下、この発明の一実施形態のヘリコプタによる鉄塔組立工法と作業治具について、図面を基にして説明する。この実施形態は、既設の鉄塔10を嵩上げする場合のものである。まず、図2に示すように、鉄塔10に架設された地線12を鉄塔10の頂部10aに設けられた金車14を介して頂部10aの僅かに下方の位置に移線する。このとき、鉄塔10の頂部10aの、前後の地線12に3個ずつの目標物16を吊り下げる。吊り下げ位置は、例えば鉄塔頂部10aから68m、12m、及び鉄塔10の近隣部の3箇所ずつ対称に設ける。目標物16は、例えばピンク色のパイロンに、黄色の縞が形成されたもので、自然界になく目立つものとする。目標物16は、ガイドローラ18により地線12に沿って容易に移動可能に設けられている。目標物16は、ヘリコプタ20が鉄塔10の上空で、一定の位置に正確にホバリング可能とするためのものである。
ヘリコプタ20には、吊り下げ用の一定長さのワイヤ22が垂下され、ワイヤ22の先端には、吊り下げ対象に係合させる係合部材24が連結されている。係合部材24ヘリコプタ20側から係合及び係合解除が可能なものである。
鉄塔10には、電力線31,32,33の邪魔にならない位置に、荷受け台40を設ける。荷受け台40は、ヘリコプタ20により搬送される鉄塔構成部材26を一時的に係止するもので、搬送される鉄塔構成部材26の一端部には、フック28が予めボルト等により固定されている。フック28には吊り下げ用のワイヤ23を通す孔29が形成され、ワイヤ23がヘリコプタ20から吊り下げられた係合部材24に掛けられる。フック28が係合する荷受け台40は、鉄塔10の上部の対向する主柱材11に各々固定されたブラケット材42と、ブラケット材42間に架け渡して設けられた棒状の荷受け部材44からなる。ブラケット材42は、主柱材11にボルトとナットにより固定される。
既設の鉄塔10の電力線31,32,33は、2本ずつが、互いに対称の位置で、鉄塔10の側方に延びた3対の腕金34,35,36の先端部に係止され、架設されている。
鉄塔10には、搬送された鉄塔構成部材26を吊り下げて降ろすための滑車46が、ブラケット48により主柱材11に取り付けられて設けられている。滑車46及びブラケット48の位置は、荷受け台40に係合された鉄塔構成部材26を吊り下げ可能な位置であれば良く、図1に示すように、鉄塔10の頂部10a近傍や図3に示すように、鉄塔10最上部の腕金36の位置でも良い。ブラケット48は、水平方向に90°揺動可能に設けられている。
鉄塔10の嵩上げに際しては、図4に示すように、既設の鉄塔10の4本の主柱材11の所定部位に、ボルト挿通孔を空けて、嵩上げを始める基端部材50をボルトにより固定する。この基端部材50の先端部の取付孔52に、各鉄塔構成部材26をボルトにより固定し、さらに鉄塔構成部材26同士をボルトにより固定して順に嵩上げを行う。鉄塔構成部材26を荷受け台40から降ろすには、図5に示すように、荷受け台40に係合した鉄塔構成部材26に、そのままワイヤ23と滑車46に掛けられたワイヤ54を連結し、鉄塔構成部材26の下端部にも安定用のガイドロープ56を取り付けて、基端部材50の位置又はその上方の組立中の鉄塔構成部材26の先端部まで降ろす。
また、既設の鉄塔10の頂部10aの近くまで、嵩上げした鉄塔構成部材26ができあがると、図6、図8に示すように、嵩上げした鉄塔構成部材26の先端部に、予め枠組みした鉄塔枠部材55を組み付けることができる。先ず、嵩上げした鉄塔構成部材26の4本の主柱材27となる部材の最先端部56に、く字状に屈曲したガイド部58をボルトにより固定する。ガイド部58は、図8、図9に示すように、断面がL字状の鋼材であり、主柱材27の内側に固定され、ガイド部58の屈曲した端部58aは、各々嵩上げした主柱材27の塔心側に向いて傾斜している。
さらに、主柱材27の端部の外側には、スペーサ60を介して枠組みされた鉄塔枠部材55の下端部を受ける受け部材62が固定される。受け部材62は、図6、図7に示すように、断面がL字状の鋼材であり、外側に角部の孔64にはガイドリング66が取り付けられている。ガイドリング66には、枠組みされた鉄塔枠部材55の下端部に連結された安定用のガイドロープ68が挿通される。これにより主柱材27と枠組みされた鉄塔枠部材55の下端部とがスペーサ60、受け部材62を挟んで対向するように連結される。
ヘリコプタ20により搬送されてきた鉄塔枠部材55は、ガイド部58が設けられた位置に待機した作業員により、受け部材62のガイドリング66に挿通されたガイドロープ68が下端部に取り付けられ、ヘリコプタ20の降下とともに鉄塔枠部材55がガイド部58に当接しながら主柱材27の端部に位置決めされる。このとき、ガイド部58は各々塔心側を向いて端部58aが傾斜しているので、鉄塔枠部材55の多少の位置ズレを矯正しながら主柱部材27の端部へ導く。また、このときガイドロープ68により、鉄塔枠部材55を引くことにより、より安定に降下させることができる。
この実施形態の鉄塔組立工法によれば、既設の鉄塔10の周囲に多くの場所を取らなくても嵩上げ作業を容易に行うことができ、施工期間も短いものである。また、専用の治具を用いることにより、容易にヘリコプタ20により搬送した鉄塔構成部材26を既設の鉄塔10に係合させることができ、その後の作業を容易なものとする。嵩上げされた新鉄塔70は、既設の鉄塔10の外側に強固に固定され、使用した治具等の部材も、容易に撤去可能であり、またはそのまま設置しておいても良く、極めて作業性がよい。
この発明の一実施形態のヘリコプタによる鉄塔組立工法の一工程を示す概略図である。 この発明の一実施形態のヘリコプタによる鉄塔組立工法に用いる目標物の設置例を示す概略図である。 この発明の一実施形態のヘリコプタによる鉄塔組立工法に用いる荷受け台を示す概略側面図である。 この発明の一実施形態のヘリコプタによる鉄塔組立工法の嵩上げを示す概略図である。 この発明の一実施形態のヘリコプタによる鉄塔組立工法による鉄塔構成部材を降ろす工程を示す概略図である。 この発明の一実施形態のヘリコプタによる鉄塔組立工法に用いるガイド部の作業状態を示す部分破断側面図である。 この発明の一実施形態のヘリコプタによる鉄塔組立工法に用いる受け部材の平面図(a)と側面図(b)である。 この発明の一実施形態のヘリコプタによる鉄塔組立工法に用いるガイド部の側面図である。 図8のA−A線端面図である。 この発明の一実施形態のヘリコプタによる鉄塔組立工法の作業状態を示す部分破断側面図である。 この発明の一実施形態のヘリコプタによる鉄塔組立工法により嵩上げした鉄塔を示す側面図である。
符号の説明
10 鉄塔
16 目標物
20 ヘリコプタ
22 ワイヤ
24 フック部
26 鉄塔構成部材
40 荷受け台
46 滑車
55 鉄塔枠部材
58 ガイド部

Claims (3)

  1. 地上から組み上げられた鉄塔構成部材の上部に、互いに対向して長手方向に対して各々塔心方向に傾斜して延びた複数の荷受け用ガイド部を設置し、前記鉄塔構成部材の主柱材の端部には、枠組みされて組み付けられる鉄塔枠部材の下端部を受ける受け部材を固定し、この受け部材の外側にガイドリングを取り付け、予め所定の枠組みに組み立てられた鉄塔枠部材をヘリコプタにより搬送し、前記鉄塔枠部材の下端部に連結されたガイドロープを前記ガイドリングに挿通して、ヘリコプタにより搬送された前記鉄塔枠部材の下端部を前記荷受け用ガイド部に沿って前記鉄塔構成部材上に降ろし、このとき前記ガイドロープにより前記鉄塔枠部材を引くことにより安定に降下させ、この後、前記荷受け用ガイド部により位置決めされた前記鉄塔枠部材を、既に組み立てられた鉄塔構成部材に組み付けることを特徴とするヘリコプタによる鉄塔組立工法。
  2. 地上において既設の鉄塔または所定部分組み立てられた鉄塔の上部に取り付けられ、予め所定の枠組みに組み立てられヘリコプタにより搬送される鉄塔枠部材を受ける荷受け用ガイド部を備え、この荷受け用ガイド部は、既存の鉄塔構成部材の四方にその長手方向に対して各々塔心方向に傾斜して延出して設けられ、組み上げられた鉄塔構成部材の主柱材の端部には、枠組みされて組み付けられる鉄塔枠部材の下端部を受ける受け部材が固定され、この受け部材の外側にはガイドリングが取り付けられ、このガイドリングに、枠組みされた前記鉄塔枠部材の下端部に連結されたガイドロープが挿通されることを特徴とするヘリコプタによる鉄塔組立作業用治具。
  3. 組み上げられた鉄塔構成部材の主柱材の端部には、枠組みされて組み付けられる鉄塔枠部材の下端部を受ける受け部材が固定され、この受け部材の外側にはガイドリングが取り付けられ、このガイドリングには、枠組みされた前記鉄塔枠部材の下端部に連結されたガイドロープが挿通される請求項2記載の鉄塔組立作業用治具。
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