JP4099288B2 - 農薬散布方法、農薬セット及び農薬組成物 - Google Patents

農薬散布方法、農薬セット及び農薬組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はキャプタン、クロロタロニル又はフルアジナムを殺菌活性成分として含有する殺菌剤の殺虫剤との混用散布若しくは近接散布における農作物への殺菌活性成分による薬害を回避もしくは著しく低減する殺虫剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、農薬は低薬量で効果があり、さらに使用者に対する安全性が高く、施用法が簡便な製剤が望まれるようになってきている。例えば、有機溶剤をベースとした製剤から水懸濁製剤への移行や低沸点溶剤から無臭の高沸点溶剤への切り替えなどその一例である。一方、農薬を使用する農家では高齢化が進み、農薬散布の省力化が叫ばれており、一度に数種類の病害虫防除が可能な混用散布も盛んに行われるようになっている。特に果樹、園芸分野では3種、4種混用以上の散布が行われているのが現状であり、果樹分野では殺菌剤、殺虫剤との混用散布が良く行われる。
【0003】
果樹分野において殺菌剤として使用されるキャプタンを有効成分とする殺菌剤は、単独で使用するとりんご葉面にキャプタンスポットと呼ばれる褐色の点のような薬害を起こすことが知られている。そして、キャプタンを有効成分とする殺菌剤とある種の高沸点溶剤が含まれている他の薬剤とを混用あるいは近接散布すると、キャプタンを有効成分とする殺菌剤を単独散布した場合に比べて明らかに薬害が助長されてることが確認されている。同様な現象はキャプタンを有効成分とする殺菌剤の他にフルアジナム、又はクロロタロニルを有効成分とする殺菌剤についても確認されている。
【0004】
このほかに原体単独で茎葉に薬害症状が発生する薬剤としては、殺虫剤ではDDVP、フェンチオン、フェニトロチオン、ダイアジノン、イソキサチオン、ESP、ジメトエート、チオメトン、メカルバム、フェンバレレート、クロルべンジレート等、殺菌剤ではボルドー、PCP、プロピネブ、フルオルイミド、メプロニル、チノメチオネート等が知られている。
【0005】
農薬による農作物に対する薬害は原体に由来するものや製剤型、施用法あるいは農薬製剤中に含有される界面活性剤、溶剤に起因する要因が挙げられる。その中で製剤型や施用法、界面活性剤に起因する農作物への薬害についてはいくつかの論文が出され、シンポジウム等での発表もなされている。例えば製剤型の薬害への影響については、乳剤は水和剤より一般に薬害が大きく現れる傾向にあるとの報告がなされている(第2回果樹病害虫防除に関するシンポジウム(1987年))。
【0006】
薬害軽減の方法としては、農薬活性成分の溶出制御による方法や薬害軽減剤の添加による方法などが知られている。例えばジフェニルエーテル系除草をにかわ・ゼラチン皮膜に含浸させ農薬成分を徐放化することで稲に対する薬害を軽減させる方法(特開昭50−121426号公報)や雪腐れ病防除用として使用されるPCPに薬害軽減剤として炭酸ソーダ、吸水性高分子を添加する方法(特開昭58−43902号公報)等が知られている。
【0007】
しかしながら、他薬剤との混用散布あるいは近接散布による薬害を軽減する為に殺虫剤等の農薬を改良し、薬害軽減剤などの添加物を添加しないで薬害を回避あるいは軽減した例は少ない。このような薬害を回避する手段としては、有効な対策は見出されておらず、混用散布を避けるか、近接散布の間隔を延長するかいずれかの手段しかない。混用散布ができなければ散布回数が多くなり、近接散布の間隔が延長されるとその間の新たな病害虫の発生が危惧され、農家にとってはかなりの負担となる。従って、これら殺菌剤もしくは同様な機構で薬害が発生する農薬製剤と混用散布を行っても薬害が発生しないような製剤が望まれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、キャプタン、クロロタロニルまたはフルアジナムを殺菌活性成分として含有する殺菌剤と殺虫活性成分を含む殺虫剤の混用散布もしくは近接散布における、農作物への殺菌活性成分による薬害を回避もしくは著しく低減できる殺虫剤及び該殺菌剤と該殺虫剤とを含有する農薬組成物を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため鋭意研究した。その結果、溶剤の種類により異なるものの比較的引火点の低い溶剤はキャプタン、クロロタロニルまたはフルアジナムを有効成分とする殺菌剤と混用しても薬害が発生しないことを見出し本発明を完成させた。
【0010】
すなわち本発明は、以下の通りである。
<1>キャプタン、クロロタロニル、またはフルアジナムを殺菌活性成分とする殺菌剤を散布する殺菌剤散布工程とエトフェンプロックスまたはハルフェンプロックスを殺虫活性成分として含み、アルケン56N、ポリブテンLV−7、ポリブテンLV−10、ハイゾール100、ハイゾールSAS−296、テクリーンN−20、テクリーンN−22、ナフテゾールL、ソルベッソ150、ソルベッソ200、およびキシレンから選ばれる少なくとも1種を含む殺虫剤を散布する殺虫剤散布工程と、を含み、前記殺菌剤散布工程と前記殺虫剤散布工程とが混用散布または近接散布である農薬散布方法
<2> 前記殺虫剤は、マイクロカプセル剤またはEW剤であることを特徴とする前記<1>に記載の農薬散布方法
<3> キャプタン、クロロタロニル、またはフルアジナムを有効成分とする殺菌剤と、エトフェンプロックスまたはハルフェンプロックスを有効成分として含有し、アルケン56N、ポリブテンLV−7、ポリブテンLV−10、ハイゾール100、ハイゾールSAS−296、テクリーンN−20、テクリーンN−22、ナフテゾールL、ソルベッソ150、ソルベッソ200、およびキシレンから選ばれる少なくとも1種を含む殺虫剤とを含み、前記<1>または<2>に記載の農薬散布方法に用いる農薬セット
<4> 殺菌活性成分としてのキャプタン、クロロタロニル、またはフルアジナムと、殺虫成分としてのエトフェンプロックスまたはハルフェンプロックスと、アルケン56N、ポリブテンLV−7、ポリブテンLV−10、ハイゾール100、ハイゾールSAS−296、テクリーンN−20、テクリーンN−22、ナフテゾールL、ソルベッソ150、ソルベッソ200、およびキシレンから選ばれる少なくとも1種とを含む農薬組成物
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の殺虫剤及び農薬組成物について具体的に説明する。
本発明に係る溶剤としては、引火点が120℃以下のノルマルパラフィン系溶剤としてノルマルパラフィンSL、ノルマルパラフィンL、ノルマルパラフィンM、ノルマルパラフィンH(以上、日本石油(株)製品)、引火点が60℃以下のイソパラフィン系溶剤としてアイソゾール300(以上、日本石油(株)製品)、アイソパーG、アイソパーH(以上、エクソン石油(株)製品)、引火点が90℃以下のナフテン系溶剤としてナフテゾールLL、ナフテゾールL、ナフテゾールM、ナフテゾールMS−20、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22(以上、日本石油(株)製品)、引火点が150℃以下の芳香族系溶剤としてトルエン、キシレン、パラキシレン、オルソキシレン、アルケンL、ハイゾールE、ハイゾールF、ハイゾールP、アルケン56N、アルケン60NH、ハイゾール100(以上、日本石油(株)製品)、カクタスP−180、カクタスP−200、カクタスP−220(以上、日鉱石油化学(株)製品)、ソルべッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200(以上、エクソン石油(株)製品)、スワゾール200、スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500、スワゾール1800(以上、丸善石油化学(株)製品)、引火点が150℃以下のポリブテン系溶剤としてポリブテンLV−7、ポリブテンLV−10、ポリブテンLV−25(以上、日本石油(株)製品)、引火点が150℃以下のナフタレン系溶剤としてKMC−113(呉羽化学工業(株)製品)、脂肪族炭化水素系溶剤とナフテン系溶剤の混合物で引火点が110℃以下の溶剤としてエクソールD30、エクソールD40、エクソールD80、エクソールD110(以上、エクソン石油(株)製品)、1−フェニル1−キシリルエタンとしてハイゾールSAS−296(以上、日本石油(株)製品)が挙げられる。本発明に係る溶剤としてはこれらに限定されない。また、本発明に係る溶剤として上記の溶剤を単独で使用する以外に2種以上を混合して使用してもよい。製剤中の溶剤の含有率は、通常1〜50重量%であり、好ましくは5〜40重量%である。
【0012】
本発明の殺虫剤に含有される殺虫活性成分としては以下のものが挙げられる。則ち、合成ピレスロイド系殺虫剤として、アレスリン、レスメトリン、テフルトリン、ビフェントリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シハロトリン、シフルトリン、フェンプロパトリン、トラロメトリン、シクロプロトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート、フェノスリン、フラメトリン、デルタメトリン、アクリナトリン、エンペントリン、ベータサイフルスリン、ゼータサイパーメスリン等これらの異性体あるいは除虫菊エキス、有機リン剤としてDDVP、シアノフォス、フェンチオン、フェニトロチオン、ジクロルフェンチオン、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、クロルフェンビンフォス、プロパフォス、メチルパラチオン、テメフォス、ホキシム、アセフェート、イソフェンフォス、サリチオン、DEP、EPN、エチオン、メカルバム、ピリダフェンチオン、ダイアジノン、ピリミフォスメチル、エトリムフォス、イソキサチオン、キナルフォス、クロルピリフォスメチル、クロルピリフォス、ホサロン、フェスメット、メチダチオン、オクシデブロフォス、バミドチオン、マラチオン、フェントエート、ジメトエート、ホルモチオン、チオメトン、エチルチオメトン、ホレート、テルブフォス、プロフェノフォス、プロチオフォス、スルプロフォス、ピラクロフォス、モノクロトフォス、ナレド、フォスチアゼート等、カーバメート剤として、NAC、MTMC、MIPC、BPMC、XMC、PHC、HPMC、エチオフェンカルブ、ベンダイオカルブ、ピリミカーブ、カルボスルファン、ベンフラカルブ、メソミル、オキサミル、アルジカルブ等、アリールプロピルエーテル系殺虫剤として、エトフェンプロックス、フルフェンプロックス、ハルフェンプロックス等、シリルエーテル系殺虫剤として、シラフルオフェン等、殺虫天然物として、硫酸ニコチン、ポリナクチン複合体、アベルメクチン、ミルベメクチン、エマメクチンベンゾーエート、BT等、その他の殺虫剤として、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、フルフェノクスロン、ノバルロン、フルシクロクスロン、へキサフルムロン、フルアズロン、イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、ピメトロジン、フィプロニル、ブプロフェジン、フェノキシカルブ、ピリプロキシフェン、メトプレン、ヒドロプレン、キノプレン、エンドスルファン、ジアフェンチウロン、トリアズロン、テブフェノジド、機械油等、殺ダニ剤として、CPCBS、ケルセン、フェニソブロモレート、テトラジホン、BPPS、キノキサリン系、ベンゾメート、フェノチオカルブ、へキシチアゾックス、酸化フェンブタスズ、ジェノクロル、フェンピロキシメート、フルアジナム、ピリダベン、クロフェンテジン、DPC、ポリナクチン複合体、ビアラフォス、ピリミジフェン、クロルべンジレート、ミルべメクチン、ジオコフォル、クロルジメフォルム、アミトラズ等が挙げられる。これらの殺虫活性成分は単独、又は2種以上を混合することもでき、本発明に係る殺虫活性成分はこれら例示の殺虫活性成分に限定されるものではない。
【0013】
本発明の殺虫剤の製剤型としては、必要に応じて界面活性剤、添加剤、増量剤等の補助剤を用いて乳剤、フロアブル剤、EW剤、マイクロカプセル剤等の液体製剤、粉剤、水和剤、顆粒水和剤等の固形製剤など任意の形態に製剤して利用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明で使用することができる界面活性剤としては、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性イオン性のいずれのものであってもよいが、非イオン性および/または陰イオン性のものが好適である。例えば、非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型、またグリセロール脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル等の多価アルコール型、またアニオン系界面活性剤としてはセッケン等のカルボン酸塩型、高級アルコール硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル塩型、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等のスルホン酸塩型、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル型等、スチレンスルホン酸から導かれるポリアニオン型高分子界面活性剤、アクリル酸とアクリロニトリル、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸から導かれるポリアニオン型高分子界面活性剤等の使用が可能で、これらに限定されるものではない。これらは製剤型により好適なものを単独または2種以上を併用しても良い。また液体製剤並びに固形製剤には必要に応じて、増粘剤、凍結防止剤、発泡抑制剤、分解防止剤、紫外線吸収剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース類、デキストリン等の添加剤、並びにクレー、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、珪藻土等の増量剤が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
液体製剤の製造法は公知の方法を用いれば良い。例えば乳剤は農薬活性成分と界面活性剤、有機溶剤を混合し、溶解させる方法で得ることができる。またEW剤の製造方法は、例えば界面活性剤を含む水の中にホモミキサー等の乳化機で撹拌しながら、殺虫活性成分と有機溶剤を溶解した液を徐々に加え、粒子径を調製することで得ることができる。マイクロカプセル剤は公知のいずれかの方法を用いてもよく、例えば界面重合法、液中硬化被膜法、in−situ重合法等が挙げられる。マイクロカプセルの膜成分としては公知のものであれば全て適用できる。例えばポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホネート、ポリスルホンアミド、尿素ホルマリン縮合物、メラミン尿素縮合物、メラミンホルマリン縮合物、フェノールホルマリン縮合物、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、酢酸ビニル重合体、スチレン重合体、ジビニルベンゼン重合体、エチレンジメタクリレート重合体、アルキル化メチロールメラミン縮合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。いずれの液体製剤の製造方法も、これらに限定されるものではない。
【0015】
また本発明の殺虫剤は水和剤、顆粒水和剤、粒剤、粉剤等の任意の固形製剤にすることもできる。この場合、必要に応じて増量剤、結合剤、界面活性剤などを混合し、粉砕、又は造粒して目的とする形態の製剤を得ることができるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
また、本発明においては、本発明の殺虫剤とキャプタン、クロロタロニルまたはフルアジナムを殺菌活性成分として含有する殺菌剤とを混合した農薬組成物も本発明の範疇である。
【0017】
【実施例】
次に本発明に係わる溶剤の優れた効果を示すために、製剤及び薬害回避への適用の例を具体的に挙げて説明するが、有効成分の含量、補助成分の種類と含量及び対象の植物はこれに限定されるものではない。
【0018】
実施例1〜9
第1表(表1)に示す溶剤を用い下記の調製方法により、実施例1〜9のマイクロカプセル剤を調製した。
(調製方法)
純水 15重量部に、アニオン性高分子界面活性剤(アクリル酸、アクリロニトリル、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸重合物) 3重量部を溶解し、5N NaOHにより、pHを4付近に調整した。さらにこの溶液に、カプセル壁先駆物質としてユーラミンT−34(ユーラミン工業製;メチル化メチロールメラミン)を0.1重量部加え、さらに芯物質としてハルフェンプロックスと溶剤Xの重量比50:50の混合溶解物を11重量部加え、T.K.オートホモミキサー(特殊機化工業(株)商品名)を用いて、6000rpmの回転数にて数分間混合溶解物を乳化分散させた。次いで、60℃の恒温槽中で2〜3時間緩やかに攪拌しながら反応させるとマイクロカプセル化物の分散液が得られた。これにケルザンS((株)三晶製品;キサンタンガム) 0.07重量部及びジャガー8111((株)三晶製品;グァーガム) 0.07重量都を溶解した水溶液 70.9重量部を加え、ハルフェンプロックス 5量部を含むマイクロカプセル剤 100重量部を得た。
【0019】
【表1】
Figure 0004099288
【0020】
実施例10〜13
第2表(表2)に示す溶剤を用い下記の調製方法により、実施例10〜13のEW剤を調製した。
(調製方法)
純水 30重量部にアニオン性界面活性剤((株)花王製品;酢酸ビニルアニオン共重合物) 8重量部を溶解後、エトフェンプロックスと溶剤Xの重量比50:50の混合溶解物 22重量部を加え、T.K.オ一トホモミキサー(特殊機化工業(株)商品名)を用いて、8000rpmの回転数にて数分間混合溶解物を乳化分散させた。次いで、最終濃度が0.3重量部となるようにケルザンS((株)三晶製品;キサンタンガム) 0.8重量部を溶解した水溶液 39.7重量部を加え、エトフェンプロックス 10重量部を含むEW剤を得た。
【0021】
【表2】
Figure 0004099288
【0022】
比較例1
溶剤Xにアルケン22(日本石油(株)、芳香族炭化水素系溶剤、引火点:174℃、測定方法:タグ密閉式)を用いた以外は実施例1〜9と同様に調製し、ハルフェンプロックス 5重量部を含有するマイクロカプセル剤を得た。
【0023】
比較例2
溶剤Xにビニサイザー90((株)花王製、ジイソノニルフタレート、引火点:244℃、測定方法:クリブランド開放式)を用いた以外は実施例10〜13と同様に調製し、エトフェンプロックス10重量部を含有するEW剤を得た。
【0024】
試験例1.リンゴ葉を用いた倍量薬害試験
実施例1〜13、比較例1〜2で調製した製剤品を用いてダコニールフロアブル剤(農薬活性成分:クロロタロニル)との混用試験を実施した。
(試験方法)
実施例1〜13、比較例1〜2で調製した製剤品及びダコニールフロアブルをそれぞれ500倍に希釈、混合した水溶液を、ハンドスプレイヤーを用いてリンゴ(ポット植え、つがる2年生)に薬液が葉から滴り落ちるまで十分量散布した。風乾後、温室内に放置した。処理 14日後に全葉について下記に示す判定法により評価した。
第3表(表3、4)の結果から、実施例1〜13で示された溶剤を用いることで薬害の発症を著しく抑制することができることがわかる。
薬害判定方法
0:薬害がみられない正常葉
±:薬害程度が、葉の面積当たり数%
+:薬害程度が、葉の面積当たり数%〜10%
++:薬害程度が、葉の面積当たり10〜30%
+++:薬害程度が、葉の面積当たり30%以上
【0025】
【表3】
Figure 0004099288
【0026】
【表4】
Figure 0004099288
【0027】
試験例2.リンゴ樹を用いた混用薬害試験
実施例2、13及び比較例1にて得られた製剤品を用いて、各種殺虫殺菌剤との混用薬害試験を実施した。
(試験方法)
実施例2、13及び比較例1にて得られた製剤品が1000倍希釈、混用する他剤がそれぞれオーソサイドWP 600倍希釈、フロンサイドWP 1000倍希釈、ベルクートWP 1000倍希釈、モスピラン水溶剤 2000倍希釈、アリエッティーCWP 400倍希釈、パスポートFL 1000倍希釈、ダコニールFL 1000倍希釈になるように水で希釈した混合液を肩掛け散布器を用いて、リンゴ(つがる、10年生)の新梢2枝に散布した。新梢内の異常葉をあらかじめ除去しておいた。処理 14日後に試験例1で示した調査方法及び薬害判定方法にて薬害を判定した。結果を第4表(表5、表6)に示す。
第4表から、製剤例2及び13で示された溶剤を用いることにより薬害の発症を著しく抑制することが可能となった。
【0028】
【表5】
Figure 0004099288
【0029】
【表6】
Figure 0004099288
【0030】
【発明の効果】
本発明はキャプタン、クロロタロニルまたはフルアジナムを有効成分とする殺菌剤と殺虫剤を混用散布もしくは近接散布した際の殺菌活性成分による農作物への薬害を引火点の低い溶剤を使用することで、回避もしくは著しく低減できる。本発明に係わる製剤は混用薬害を回避できる製剤として非常に有用である。

Claims (4)

  1. キャプタン、クロロタロニル、またはフルアジナムを殺菌活性成分とする殺菌剤を散布する殺菌剤散布工程と
    エトフェンプロックスまたはハルフェンプロックスを殺虫活性成分として含み、アルケン56N、ポリブテンLV−7、ポリブテンLV−10、ハイゾール100、ハイゾールSAS−296、テクリーンN−20、テクリーンN−22、ナフテゾールL、ソルベッソ150、ソルベッソ200、およびキシレンから選ばれる少なくとも1種を含む殺虫剤を散布する殺虫剤散布工程と、
    を含み、前記殺菌剤散布工程と前記殺虫剤散布工程とが混用散布または近接散布である農薬散布方法
  2. 前記殺虫剤は、マイクロカプセル剤またはEW剤であることを特徴とする請求項1に記載の農薬散布方法
  3. キャプタン、クロロタロニル、またはフルアジナムを有効成分とする殺菌剤と、エトフェンプロックスまたはハルフェンプロックスを有効成分として含有し、アルケン56N、ポリブテンLV−7、ポリブテンLV−10、ハイゾール100、ハイゾールSAS−296、テクリーンN−20、テクリーンN−22、ナフテゾールL、ソルベッソ150、ソルベッソ200、およびキシレンから選ばれる少なくとも1種を含む殺虫剤とを含み、請求項1または請求項2に記載の農薬散布方法に用いる農薬セット
  4. 殺菌活性成分としてのキャプタン、クロロタロニル、またはフルアジナムと、殺虫成分としてのエトフェンプロックスまたはハルフェンプロックスと、アルケン56N、ポリブテンLV−7、ポリブテンLV−10、ハイゾール100、ハイゾールSAS−296、テクリーンN−20、テクリーンN−22、ナフテゾールL、ソルベッソ150、ソルベッソ200、およびキシレンから選ばれる少なくとも1種とを含む農薬組成物
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