JP4099279B2 - 携帯端末装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はセキュリティ機能を有する携帯端末装置に関し、特に、外部から交番磁界が印加されると急峻な磁化反転をして固有の信号を出力する磁気素子を有する携帯端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気カードに置き換わるものとして、マイクロコンピュータ、メモリ等の集積回路を内蔵した、いわゆるICカードが様々な分野で利用されつつある。その応用範囲は、交通、金融、医療、サービスなど多岐の分野にわたり、これらの分野において、例えばクレジットカード、定期券、保険証、社員証などに利用されている。
【0003】
また最近では、データ処理端末装置とのデータの送受を遠隔で可能にした非接触ICカードが開発され、極めて利便性の高いものとして期待されている。これらの非接触ICカードは、ICカードにさらにデータ通信用のアンテナを内蔵したものであり、リモートセンシングが可能なものである。
【0004】
また、スキー場のリフト券やスポーツクラブの管理タグなどで利用されるデータキャリアや、人の入出管理、家畜の管理、製造や販売における仕分けなどに利用されるIDタグやトランスポンダが、カード形状ではないが同様の機能を有するものとして利用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの携帯端末装置およびそのシステムが広く利用されるに伴って、不正使用が大きな問題となり、如何にしてセキュリティを確保するかが課題になっている。例えばICカードでは、従来、信号を暗号化処理する、いわゆるソフト的な方法がセキュリティ対策として施されていた。しかし、暗号化処理のプログラムの内容が暴かれてICカードが不正使用されるという問題があった。また、このような不正使用が発生したときに、ICカードを含む上記のようなシステムの運用者側でこのような不正使用に対抗する新しいプログラムを開発しても、不正使用者はさらにその内容を解読してしまう、というようにシステムの運用者側と不正使用者側との間にプログラムの解読を巡る攻防が繰り返されることになり、システムのセキュリティを確保するためのコストが高くなるという問題があった。
【0006】
このような従来の問題を解決するものとして、本発明者らは特願平9−238607号などで、ハード面からセキュリティ対策する方法を提案した。すなわち、一般には入手不可能で、模倣することが困難な信号を発する磁気素子をICカードなどの携帯端末装置に組み込み、携帯端末装置を使用する際にその携帯端末装置に交番磁界を印加することで問い合わせをし、携帯端末装置に組み込まれた磁気素子が急峻な磁化反転により発した固有の信号を検知することでセキュリティを確認する方法である。
【0007】
この方法を実施するためには、磁気素子を携帯端末装置に付加することが必要である。そのためには、携帯端末装置の基体の外面に磁気素子を貼り付けることも不可能ではないが、安全を考えると磁気素子が携帯端末装置の内部に挿入された構造の方が好ましい。しかし、軟磁性体は一般に、応力状態に非常に敏感で、特性が変化しやすい性質がある。これは、その材料が本質的に有する磁歪などが主な要因である。携帯端末装置が比較的大きく、その内部空間にも余裕がある場合には、できるだけ素子に応力をかけないような配置をして、また加工時もそのように注意しながら慎重に組み立てることも可能である。
【0008】
しかし、ICカードのような場合、通常、カードの作製はホットプレスに代表されるような簡易な方法が採用されており、またカードの使用時には折曲げなどの粗い使われ方も想定されることから、磁気素子に応力が加わることは回避できない。例えば、本発明者らは、セキュリティ用の磁気素子として大バルクハウゼン反転を示すアモルファスワイヤを、2枚のポリエチレンテレフタレート樹脂のシートの間に挟んで、ポリエステル系の接着剤を使って温間加圧下で成形加工したところ、アモルファスワイヤの磁気特性が劣化し、大バルクハウゼン反転を発生しなくなるという問題が頻発することが分かった。
【0009】
このように、セキュリティ用の磁気素子をカード内部に挿入する加工を施すと、磁気素子が劣化して使用不能になることが多く、このような加工は非常に困難なことであった。また、磁気素子をカード内部に挿入した状態で、カードを折り曲げると、磁気素子の特性が劣化する場合があり、使用にも制限があった。
【0010】
本発明の目的は、外部から印加されるストレスによる磁気素子の持つ磁気特性の劣化がなく、信頼性が高く安価な携帯端末装置を提供することにある。
【0011】
本発明のいま一つの目的は、上記目的に加えて、製造や使用の際に高い温度に晒されても磁気素子の持つ磁気特性の劣化がない安定した性能を有する携帯端末装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、データを蓄積し、および/または、演算処理する集積回路手段と、外部端末装置との間でデータを送受するためのデータ送受手段とを備えてなる携帯端末装置において、
外部から交番磁界が印加されると急峻な磁化反転をして固有の信号をセキュリティ信号として出力する磁気素子を含み、該磁気素子がフィルムにラミネートされて、保持されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に係る発明では、請求項1に記載の携帯端末装置において、上記磁気素子全体が、フィルムに包含された状態でラミネートされていることを特徴とする。
【0014】
さらに、請求項3に係る発明では、請求項1または2に記載の携帯端末装置において、上記フィルムの厚みが3μm以上150μm以下であることを特徴とする。
【0015】
さらにまた、請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれか一に記載の携帯端末装置において、上記磁気素子が二液硬化型溶剤タイプのアクリル酸エステル系樹脂を主成分とする粘着剤が塗布されたフィルムにラミネートされていることを特徴とする。
【0016】
上記携帯端末装置とは、CPUやメモリからなる集積回路を含み、あるいはさらにアンテナを内蔵した小型の携帯端末装置であり、いわゆる接触型ICカードや非接触ICカード、RFトランスポンダ、IDタグなどがこれに相当する。ICの性能やメモリ容量などは、応用目的に応じて適宜選択される。金銭処理のような高度で複雑なシステムの場合は、高度な演算処理能力を有するCPUと比較的大容量のメモリを有する集積回路が用いられる。一方、識別目的などではより簡単なCPUと容量が少ないメモリを有する集積回路を用いることができる。
【0017】
上記磁気素子は、外部から交番磁界が印加されると急峻な磁化反転を示す軟磁性材料を含んでいる。このような軟磁性材料としては、例えば特公平3−27958号公報や特開平4−218905号公報に開示されているような、いわゆる大バルクハウゼン反転材料を用いることができる。これらの材料は、Fe基やCo基の非晶質あるいは結晶質の合金であり、細線、薄帯、あるいは薄膜の形態を使用している。
【0018】
このような材料では、特定の正と負の方向で磁化が極めて安定になるような磁区構造を有しており、印加磁界強度がある臨界値に達すると材料の全体あるいは一部で一斉に磁化が反転する。磁区構造の安定の度合いにより厳密に大バルクハウゼン反転というべきかどうかの判定をすることができるが、本発明では、厳密には大バルクハウゼン反転といい得なくとも、類似した磁気特性を備え、急峻な磁化の反転を示す材料であれば使用することができる。また、上記磁気素子として、特公平3−55873号公報や特公平3−58072号公報に開示された物品監視マーカに用いられる材料もまた、使用することができる。これらの材料は、Co基あるいはNi基の非晶質合金、パーマロイやセンダスト、bcc−Feやfcc−Coの微細な結晶からなる合金などの低磁歪軟磁性金属からなり、保磁力が低いため非常に小さな磁界で急激な磁化変化を示す。
【0019】
上記のような磁気素子を具備した携帯端末装置に、外部から交番磁界を印加すると、磁気素子の含む軟磁性材料が、予め設定された磁界強度で急峻な磁化反転を示し周囲に磁界を放射する。軟磁性材料の磁化変化は急激なために、放射される磁界はパルス的なものであり、この磁気パルスを信号として検知することにより、セキュリティ機能を得ている。
【0020】
本発明における磁気素子としては、例えば細線の場合、線径10μmから50μmのものが好適であり、さらには20μmから40μmがより好適な結果を得ることができる。薄帯であれば、厚さ5μmから50μmが好適であり、さらに15μmから30μmのものがより好適な結果を得ることができる。さらに、薄膜の場合は、厚さが0.1μmから10μmが好適であり、0.5μmから5μmであればより好適な結果を得ることができる。磁気素子の長さについては10mm以上で、携帯端末装置に使用される場合は、その長さ以下のものであればいくらでもよい。
【0021】
偽造防止などの目的で、上記磁気素子が発生する磁気パルス信号の発生の有無を調べてセキュリティ信号とする場合には、磁気素子の数は1つでもよい。一方、例えば携帯端末装置の種類や状態などを識別したい場合には、複数の種類の信号が要求される。このような識別は、上記磁気素子の数を複数にすることで実現できる。
【0022】
磁気素子が含む軟磁性材料が急峻な磁化反転を示す磁界強度は、例えば特公平3−27958号公報に開示されたFe系非晶質金属細線では大バルクハウゼン反転臨界磁界に相当し、特公平3−55873号公報に開示されたパーマロイ薄帯ではほぼ保磁力に相当する。従って、大バルクハウゼン反転臨界磁界あるいは保磁力の異なる軟磁性材料を含む磁気素子を複数個携帯端末装置に内蔵すれば、外部から周期的な交番磁界を印加したとき、外部磁界がそれぞれの大バルクハウゼン反転臨界磁界あるいは保磁力に達する度に、それぞれの磁気素子が磁気パルスを発生するので、内蔵した磁気素子の個数や種類に応じた情報を送信することができる。
【0023】
磁気素子をラミネートするフィルムとしては、例えばポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂および塩化ビニール樹脂等を用いることができる。磁気素子をラミネートするフィルムの大きさは磁気素子単体全てを覆うのに充分な大きさ以上であって携帯端末装置の大きさ以下であればいくらでもよい。従って上記したように磁気素子を複数個使用する場合、全ての磁気素子を一対のフィルムで覆う大きさであっても、それぞれを個別に覆う大きさであってもよい。フィルムの厚さは3μm以上150μm以下のものを用いることができるが、携帯端末、例えばカードの厚さが予め決定されている場合はその寸法も考慮に入れて選択されるべきであり、一般的には5μmから30μmが望ましい。
【0024】
磁気素子をラミネートするには、片面に粘着剤が塗布してあるフィルムを磁気素子を挟むように張り合わせる方法や、予め磁気素子を挟んだ状態のフィルムに熱を加えて接着させる方法を用いることができる。磁気素子をラミネートするフィルムに粘着処理しておけば、細線や薄帯形状の連続した軟磁性体および磁気素子をフィルムに内装する際に、軟磁性体および/または磁気素子の位置が固定できるため、加工が非常に容易になる利点がある。このように粘着処理されたフィルムによってラミネートされた磁気素子が、携帯端末装置の内部に装填される。
【0025】
また、非常に薄いICカードなどでは、カードの生産に熱プレス法が使用されることが多い。このような場合では、粘着剤を含むフィルムでラミネートされた磁気素子が、ICカードの材料とともに熱プレス装置に供給され、加熱圧縮される。しかし粘着剤によっては、この際にフィルム内部で流動化して磁気素子の位置をずらしたり、不要な応力を加えたりして、磁気素子の性能を顕著に劣化させることがある。
【0026】
このようにフィルムラミネートされた磁気素子が、その後の成形過程あるいは使用時などで加熱される可能性がある場合は、粘着剤として二液硬化型溶剤タイプのアクリル酸エステル系樹脂を主成分として含むものを用いれば、極めて有効であることが見いだされた。
【0027】
すなわち、ラミネート用フィルムに粘着処理する目的は、磁気素子を固定して保持することにあるため、室温において適度な粘着力があり、また、磁気素子に加えられた不要な応力を緩衝する適度な柔らかさが必要であるが、例えばアクリル樹脂を主成分とすることでこれらの性能は満たされる。さらに二液硬化型溶剤タイプのアクリル酸エステル系樹脂を主成分とする粘着剤は、例えばエマルジョンタイプのアクリル樹脂を主成分とする他の粘着剤に比べて、100〜150℃での耐熱性があるため、カード加工時の熱プレスでもほとんど流動しない。従って、磁気素子を内蔵したICカードを熱プレス装置で成形することができ、また高温環境に晒されるような用途にでも使用することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0029】
(第1実施形態)
本発明に係る携帯端末装置の実施形態を図1に示す。該携帯端末装置はICカードであり、該ICカード11は、集積回路からなる回路素子12と通信用のアンテナ素子13とを備え、これら回路素子12とアンテナ素子13とは支持基材14の上に配置されている。該支持基材14とその下側に配置された図示しないいま一つの支持基材との間には、上記回路素子12を機能させるのに必要な回路が収容されている。上記アンテナ素子13は10ターンのスパイラルループアンテナである。
【0030】
上記携帯端末装置11は、磁気素子15を内蔵しており、磁気素子15はフィルム16により予めラミネートされている。上記該磁気素子15には外部から交番磁界が印加されると急峻な磁化反転を示す軟磁性材料が含まれている。ICカード11に対して外部から所定の大きさの交番磁界が問いかけ信号として入力されると、磁気素子15に含まれる軟磁性体は、外部磁界強度が予め設定されたレベルに達すると急峻な磁化反転を示して外部に磁気パルスを放射する。この磁気パルスがセキュリティ信号として捉えられる。
【0031】
図1では、磁気素子15はアンテナ素子13の上に配置されているが、その場所は携帯端末装置11のどこであってもよく、またフィルム16の大きさは磁気素子15全体を覆える大きさであれば、どのような大きさであってもよい。上記フィルム16としては、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、塩化ビニール樹脂などを使用することができる。上記フィルム16は、厚みが3μmないし150μmのものを使用することができる。
【0032】
(第2実施形態)
本発明に係る携帯端末装置の第2実施形態を図2に示す。このICカード11Aは図1のICカード11において、磁気素子15に代えて、3つの磁気素子15A,15B,15Cを用いたものである。これらの磁気素子15A,15B,15Cは、それぞれ異なる磁界強度レベルで磁気パルス信号を放射するものであり、具体的にはそれぞれの磁気素子15A,15B,15Cは、磁化反転磁界が異なる軟磁性体を含んでいる。このように、複数の磁気素子15A,15B,15Cを使用することで、各携帯端末装置に識別性を付与することが可能となる。図2では3つの磁気素子15A,15B,15Cを利用した例を示したが、その数は特に限定するものではなく、またその設置場所も必ずしも図2のように同じ場所に配置しなくてもよい。
【0033】
また磁気素子15A〜15Cをラミネートするフィルム16の大きさは複数の磁気素子15A〜15C全てをラミネートできる大きさのものであってもよく、磁気素子を個別にラミネートする大きさのものであってもよい。
【0034】
磁化反転の臨界磁界が大きな素子では、素子長が短くなるにつれて応力などの影響によって磁気特性が劣化しやすい傾向がある。本発明のラミネート技術はそのような場合にも有効であるが、素子全体がフィルムで内包された状態でラミネートした場合に特に効果がある。すなわち、図3のように、フィルム16の断端と磁気素子15の断端が同一位置にある配置では、磁気素子の長さが極めて短い場合には、非常に小さな応力でも敏感に影響されるため、効果が十分でないことがある。特に、磁化反転の臨界磁界が大きな素子でこの傾向が強い。
【0035】
その場合には、図4のように、磁気素子15全体がフィルム16に内包された状態でラミネートすると、応力の影響を回避する効果が十分に作用し、良好な性能を維持することができる。フィルム断端と磁気素子の断端の最短距離は、特に制限するものではないが、0.5mm以上あれば効果があり、2mm以上が特に好適である。
【0036】
このように、磁気素子をフィルムで完全に内包してラミネートすると、素子長が短くても良好な性能が維持できるため、特に小型素子に適している。
【0037】
(第3実施形態)
本実施形態は、図1ないし図4により説明した第1実施形態もしくは第2実施形態の携帯端末装置11もしくは11Aにおいて、図5に示すように、フィルム16に、二液硬化型溶剤タイプのアクリル酸エステル系樹脂を主成分とする粘着剤17を塗布し、磁気素子15を粘着剤17によって固定するとともに保持するようにしたものである。
【0038】
このように、粘着剤17に二液硬化型溶剤タイプのアクリル酸エステル系樹脂を主成分とするものを使用することによって、100℃以上の高温でも磁気素子15は安定して固定および保持されるので、性能が劣化することがない。なお、図5は、片面粘着加工されたフィルム2枚を、粘着面を向かい合わせて貼り合わせた構成を示しているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、粘着剤17は1層でもよく、フィルム16の両面に塗布して3層以上となっていてもよい。また、フィルム16も目的に応じて3層以上に多層化してもよい。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明する。本発明に係る携帯端末装置11,11Aはセキュリティ機能を司る磁気素子15や磁気素子15A,15B,15Cを内蔵したものであり、カード状、チップ状、あるいはその他の形態が可能であり、またその作製方法もそれに伴って多数考えられるため、後述の例に限定されるものではない。以下に示す実施例は、あくまで本発明の理解を深めるために示したものであり、本発明の携帯端末装置の実施形態の1つである非接触ICカードを想定している。すなわち、磁気素子がフィルムにラミネートされた状態でプラスチック基体の中に内蔵された実施例について以下に説明する。
【0040】
(実施例1)
エマルジョンタイプの一液性アクリル樹脂からなる粘着剤(タック化成(株)社製)が片面に塗布された縦85mm、横55mm、厚さ25μm、粘着剤の厚み20μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム2枚でラミネートし、固定された線径30μmφ、長さ15mmのCo39Fe39Si715(原子%)非晶質金属細線を、さらにPETフィルムと同じ大きさの厚さ約450μmのPET樹脂2枚で挟み、その状態で温度135℃、圧力20kg/cm2の条件で約30分間ホットプレスを行い、カード状の試料を得た。
【0041】
この試料を、長さ300mm、巻数560ターンの励磁コイルおよび長さ150mm、巻数567ターンの検出コイル中央に挿入した。励磁コイルには、ヒューレットパッカード社製HP−3324Aシンセサイズド・ファンクション・スウィープ・ジェネレータから交流電流を供給し、60Hz、4エルステッド(Oe)の三角波磁界を発生させた。検出コイルには、ヒューレットパッカード社製HP−54110デジタイジング・オシロスコープを接続し、試料の磁化反転により検出コイルに誘導される電圧波形を測定した。
【0042】
図6は、検知コイルに発生した電圧パルスの波形を示している。非晶質金属細線の磁化反転は極めて急峻であるため、半値幅の小さな鋭いパルス波形が観測され、この波形の有無によってカードの正当性の確認などのセキュリティ機能を得ることができた。この磁気パルス信号の同定は、波形の照合の他、周波数分布の解析、特定の高調波成分の測定などによっても行うことができた。この試料に曲率30パーセントとなるように曲げ応力を印加して、同じ測定を行った場合でも、上記電圧パルス波形を観測することができ、応力印加に対しての耐性は良好であった。
【0043】
(実施例2ないし4)
実施例1の試料において、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの厚みを、5μm、9μm、50μmとして厚み20μmの粘着剤を塗布したものにそれぞれ置き換えた試料を作製した。これらの試料について、実施例1と同様の方法で、磁気素子の磁化反転による電圧パルス波形を観測したところ、カード製造時の加工によっても性能の劣化は認められず、曲げ応力を印加しても耐性は良好であった。
【0044】
(比較例1)
実施例1の試料において、磁気素子をフィルムにラミネートしないカード状の試料を作製し、カード内の磁気素子の磁化反転による電圧パルス波形を観測したところ、図7に示すように、図6に見られたような電圧パルス波形を検出することができず、セキュリティ機能を有するカードを得ることはできなかった。
【0045】
(比較例2)
また、実施例1の試料において、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの厚みを2μmとして、粘着剤を塗布しないで磁気素子をラミネートした試料を作製した。この試料について、実施例1と同様の方法で、磁気素子の磁化反転による電圧パルス波形を観測したところ、カード製造時の加工によっても性能の劣化は認められなかったが、曲率30パーセントとなるように曲げ応力を印加すると、上記電圧パルス波形は一部消失することがあり、曲げ応力の印加による耐性劣化が認められた。
【0046】
(比較例3)
さらに、実施例1の試料において、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの厚みを200μmとし、20μmの厚みに粘着剤を塗布して磁気素子をラミネートした試料を作製した。この試料について、実施例1と同様の方法で、磁気素子の磁化反転による電圧パルス波形を観測したところ、カード製造時の加工によって上記電圧パルス波形が一部消失することがあった。また、曲率30パーセントとなるように曲げ応力を印加すると、上記電圧パルス波形の発生する磁界強度にばらつきが認められ、曲げ応力の印加による耐性劣化が認められた。
【0047】
(実施例5)
二液硬化型溶剤タイプのアクリル酸エステル系樹脂を主成分とする粘着剤(王子タック販売(株)社製)が片面に塗布された縦85mm、横55mm、厚さ25μm、粘着剤の厚み20μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム2枚でラミネートし、固定された線径30μmφ、長さ15mmのCo39Fe39Si715(原子%)非晶質金属細線を、さらにPETフィルムと同じ大きさの厚さ約450μmのPET樹脂2枚で挟み、その状態で温度135℃、圧力20kg/cm2の条件で約30分間ホットプレスを行い、カード状の試料を得た。この試料を、実施例1と同じ方法で、試料の磁化反転により検出コイルに誘導される電圧波形を測定した。
【0048】
次の表1は、実施例5で用いた三本の非晶質金属細線を、カードに加工しないそのままの状態で測定した際の、磁化反転の臨界磁界と測定されたパルス電圧の強度を示している。
【0049】
【表1】
Figure 0004099279
【0050】
表2は、細線をフィルムにラミネートし、さらに熱プレスによってPETカード内部に装填した試料の磁気特性を示している。臨界磁界の大きさに関わらず、プレス加工後にも性能の変化は小さかった。
【0051】
【表2】
Figure 0004099279
【0052】
(実施例6)
粘着剤としてエマルジョンタイプの一液性アクリル樹脂を主成分とする粘着剤(タック化成(株)社製)を用いたほかは、実施例5と同様にして、磁気素子を含んでなるカード状の試料を作製した。表3は、熱プレスによってPETカード内部に装填した試料の磁気特性を示している。磁気素子の磁化反転による電圧パルス波形は消失せずにすべて観測され、フィルムでラミネートした効果が認められた。一方、パルス信号の電圧強度は、実施例5と比較すると、特に臨界磁界の大きな細線の発するパルス信号の強度が低下した。加工後の試料における磁気素子の状態を観察したところ、実施例5と比較すると、磁気素子の位置および形状に変化があった。
【0053】
【表3】
Figure 0004099279
【0054】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、外部から交番磁界を印加すると、ある磁界強度で急峻な磁化反転を示して周囲に磁気パルスを放射する磁気素子を、予めフィルムにてラミネートしておくことで、磁気素子の持つ磁気特性を劣化させることなく、この磁気パルスを得ることができ、これをセキュリティ信号として検知することにより、携帯端末装置の偽造や変造を検知することができ、偽造や変造が困難で高い安全性を有する低コストの小型無線端末を得ることができる。
【0055】
さらには、この磁気素子を複数個用いることで、多様なセキュリティ信号を発生させることができ、偽造や変造がより困難で信頼性の高い小型無線端末を得ることができる。
【0056】
また、成形時あるいは使用時に100℃以上の高い温度になるような場合でも、磁気素子の性能が劣化しないため、非常に幅広い用途に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る携帯端末装置の第1実施形態の構成を示す説明図である。
【図2】 本発明に係る携帯端末装置の第2実施形態の構成を示す説明図である。
【図3】 本発明に係る携帯端末装置の磁気素子とフィルムの構成を示す説明図である。
【図4】 本発明に係る携帯端末装置の磁気素子とフィルムの別の構成を示す説明図である。
【図5】 本発明に係る携帯端末装置の第3実施形態における磁気素子とフィルムの構成を示す説明図である。
【図6】 実施例1において検知コイルにより検知された電圧パルス波形の測定波形図である。
【図7】 比較例1において検知コイルの測定波形図である。
【符号の説明】
11 ICカード(携帯端末装置)
11A ICカード(携帯端末装置)
12 回路素子(集積回路)
13 アンテナ素子
14 支持基材
15 磁気素子
15A 磁気素子
15B 磁気素子
15C 磁気素子
16 ラミネート用フィルム
17 粘着剤

Claims (4)

  1. データを蓄積し、および/または、演算処理する集積回路手段と、外部端末装置との間でデータを送受するためのデータ送受手段とを備えてなる携帯端末装置において、
    外部から交番磁界が印加されると急峻な磁化反転をして固有の信号をセキュリテイ信号として出力する磁気素子を含み、該磁気素子がフィルムにラミネートされて、保持されていることを特徴とする携帯端末装置。
  2. 上記磁気素子全体が、フィルムに包含された状態でラミネートされていることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
  3. 上記フィルムの厚みが3μm以上150μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末装置。
  4. 上記磁気素子が二液硬化型溶剤タイプのアクリル酸エステル系樹脂を主成分とする粘着剤が塗布されたフィルムにラミネートされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一に記載の携帯端末装置。
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