JP4099269B2 - サンルーフパネルの昇降装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カム機構を備えたサンルーフパネルの昇降装置に関し、特にカム溝とピンとの間にカラーを介装したサンルーフパネルの昇降装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の固定ルーフに設けた開口を閉鎖するサンルーフパネルに開閉動作を与えるため、サンルーフパネルを昇降可能でかつ前後動可能としたサンルーフ装置が既に実用化されている。
【0003】
このようなサンルーフ装置においては、固定ルーフに固設されるガイドレールに沿って車体前後方向に摺動可能な下部支持部材と、サンルーフパネルに固設される上部支持部材との間に、リンク機構やカム機構を介装し、プッシュプルケーブルの押し引き動作による下部支持部材の前後動に連動してサンルーフパネルに昇降動作を行わせるようになっている。
【0004】
そして上記のカム機構を採用する場合には、上下の支持部材の一方にカム溝を設けると共に、他方に車体幅方向に突出してカム溝に摺合するピンを設けることが一般的であるが、カム溝にピンを直接摺合させる構成では、カム溝やピンの製作並びに取付の精度を高めないと、サンルーフパネルの円滑な昇降動作が確保し得ないことから、摺動抵抗の小さな合成樹脂製のカラーをピンに外装し、このカラーを介してピンをカム溝に摺合させる構成が採用されることがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようにカム溝とピンとの間にカラーを介装した構成でも、上下の支持部材の車体幅方向の精度が低いと、ピンの軸線方向のずれが生じるためにカラーの一部がガイド溝から抜け出し、これによってカム溝に沿ったカラーの摺動が円滑でなくなるため、がたや異音を十分に抑制することができない。特に、カム溝を型抜きで形成する場合にガイド溝の内周面に抜き勾配があると、カラーが軸線方向にずれることでカラーの外周面とカム溝の内周面との間に大きな隙間が生じることから、がたや異音が増大する。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、ガイド溝側並びにピン側の支持部材の精度に影響されずにがた及び異音の発生を抑制することのできるサンルーフの昇降装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明においては、車両の固定ルーフ1に設けた開口2を閉鎖するサンルーフパネル3に開閉動作を与えるために、固定ルーフに固設されるガイドレール4に沿って車体前後方向に移動可能な下部支持部材(発明の実施の形態中のスライダ5)、並びにサンルーフパネルに固設される上部支持部材(発明の実施の形態中のステー8)のいずれか一方に設けられたカム溝7と、上下の支持部材の他方に車体幅方向に突設されたピン9と、このピンとカム溝との間に介装されたカラー12とを有するサンルーフパネルの昇降装置において、カム溝に対するカラーの軸線方向の変位を規制してカラーを所定の摺動位置に規定するべく、カム溝の内周面並びにカラーの外周面の断面形状が相互補完的な凹凸形状に形成されると共に、カラーに対してピンが軸線方向に変位可能に組み付けられるものとした。
【0008】
これによると、カム溝に対する所定の摺合位置からカラーがずれないため、カム溝に沿ったカラーの摺動が円滑でなくなる不具合を回避することができる。一方、車体幅方向の製作並びに取付上の誤差は、カラーとピンとの間の軸線方向のずれで調整されることになるが、このカラーとピンとの間のずれではがたや異音は生じ難い。このため、ガイド溝側並びにピン側の支持部材の精度に影響されることなくがたや異音の発生を抑制することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面を参照して本発明の構成を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明が適用されたサンルーフ装置の要部を示している。このサンルーフ装置は、固定ルーフ1の開口2を閉鎖するサンルーフパネル3を、固定ルーフ1の上方かつ後方(図1中の右方)へ移動させて開口2を解放させるようにしたアウタスライド式のものである。
【0011】
開口2の車体幅方向(図1の紙面に直交する向き)の両側部には、車体前後方向に延在するガイドレール4が固定ルーフ1に固設された状態で一対設けられており、このガイドレール4には、スライダ5(下部支持部材)のガイドシュー6が摺合されている。スライダ5には、前上がりに傾斜したガイド溝7が形成されている。一方、サンルーフパネル3の下面側に設けられたステー(上部支持部材)8の下端には、車体幅方向にピン9が突設されており、このピン8がスライダ5のガイド溝7に係合されている。
【0012】
スライダ5は、図示しないプッシュプルケーブルに連結されており、電動モータなどにて押し引き駆動されるようになっている。プッシュプルケーブルの引き込み動作により、図1中に想像線で示すようにスライダ5を後方に変位させると、ガイド溝7がピン9を押し上げてサンルーフパネル3が上昇する。さらにスライダ5を後方に引き込むと、ピン9がガイド溝7の終端部分に突き当たった状態でステー8を後方に牽引し、これによりサンルーフパネル3が後方に移動して開口2が開放される。これとは逆のプッシュプルケーブルの押し込み動作によりサンルーフパネル3が降下して開口2が閉鎖される。
【0013】
スライダ5は、図2に示すように、ガイド溝7が貫設された周壁部10と、ガイドシュー6が装着される脚部11とをダイカスト成型により一体形成したものである。ガイド溝7の内周面は全周に渡って、奥行き方向(車体幅方向)の中心部が僅かに盛り上がった山形をなす断面形状に形成されている。
【0014】
ピン9は、円柱状をなしており、円筒状内面を有するカラー12の内部に緊密にかつ軸線方向に相対変位可能に嵌入されるようになっている。カラー12は、スライダ5のガイド溝7に嵌合する筒状部13と、ガイド溝7の周壁部10の側面に当接するフランジ部14とがポリアセタール(POM)等の合成樹脂材にて一体形成されたものである。筒状部13並びにフランジ部14は共に長円形をなす断面形状に形成されている。筒状部13の外周面は、ガイド溝7の内周面に対応して軸線方向中心部が縮径した鼓状に形成されている。筒状部13のフランジ部14と相反する側の端部には、ガイド溝7への嵌入を容易にするテーパー15が形成されている。
【0015】
カラー12をガイド溝7へ嵌入すると、図3に示すように、ガイド溝7の内周面と筒状部13の外周面とが互いに補完的に係合し、ガイド溝7に対してカラー12が軸線方向に変位不能となる。このため、ガイド溝7に沿ってカラー12が摺動する際にカラー12がずれる心配はなく、がたや異音を抑制することができる。そして、スライダ5とステー8とが互いに組み付けられた状態では、カラー12のフランジ部14の端面14aとステー8の側面8aとの間に所定寸法の間隙が形成される。この間隙の幅は、ステー8側あるいはスライダ5側の製作並びに取付誤差により増減し、予想される製作誤差に応じて適宜な寸法に設定される。
【0016】
なお、本実施形態においては、下部支持部材としてのスライダ5にカム溝7を設けると共に上部支持部材としてのステー8にピン9を設けたが、これとは逆の態様も可能である。また、スライダ5の製作時の型抜きの便宜からガイド溝7の内周面を山形断面形状に形成すると共にカラー12の外周面を鼓形状としたが、本発明はこのような形態のものに限定されるものではなく、ガイド溝に沿ったカラーの摺動運動を拘束しない態様でカラーのカム溝に対する軸線方向の相対位置を規定するものであれば良い。これには、カム溝の内周面並びにカラーの外周面を、カラーの軸線を含む平面で切断した断面形状が相互補完的な凹凸状となるように形成すれば良いが、このようにカム溝の内周面とカラーの外周面とを密接させる態様の他にも種々の形態が考えられる。
【0017】
【発明の効果】
このように本発明によれば、カム溝に対するカラーの軸線方向の変位が拘束されるためにカラーの摺動が円滑になり、他方、上下の支持部材間に生じる車体幅方向の製作並びに取付上の誤差が、カラーとピンとの間の軸線方向のずれで調整されることから、ガイド溝側並びにピン側の支持部材の車体幅方向の精度に影響されることなくがた及び異音の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるサンルーフの昇降装置を示す断面図。
【図2】スライダ、カラー並びにピンを示す斜視図。
【図3】組付状態の断面図。
【符号の説明】
1 固定ルーフ
2 開口
3 サンルーフパネル
4 ガイドレール
5 スライダ
7 ガイド溝
8 ステー
9 ピン
12 カラー

Claims (1)

  1. 車両の固定ルーフに設けた開口を閉鎖するサンルーフパネルに開閉動作を与えるべく、前記固定ルーフに固設されるガイドレールに沿って車体前後方向に移動可能な下部支持部材、並びに前記サンルーフパネルに固設される上部支持部材のいずれか一方に設けられたカム溝と、前記上下の支持部材の他方に車体幅方向に突設されたピンと、該ピンと前記カム溝との間に介装されたカラーとを有するサンルーフパネルの昇降装置であって、
    前記カム溝に対する前記カラーの軸線方向の変位を規制して該カラーを所定の摺動位置に規定するべく、前記カム溝の内周面並びに前記カラーの外周面の断面形状が相互補完的な凹凸形状に形成されると共に、前記カラーに対して前記ピンが軸線方向変位可能に組み付けられるようにしたことを特徴とするサンルーフパネルの昇降装置。
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