JP4099057B2 - リチウムイオン電池内のコバルト回収方法およびコバルト回収システム - Google Patents

リチウムイオン電池内のコバルト回収方法およびコバルト回収システム Download PDF

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    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/84Recycling of batteries or fuel cells

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、2次電池から有価金属を回収する方法に関し、特に、廃リチウムイオン電池およびリチウムイオン電池の製造不良品に含有されるコバルトを回収するリチウムイオン電池内のコバルト回収方法およびコバルト回収システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、リチウムイオン電池は、単位重量または単位体積あたりの電気容量が高い二次電池として知られている。このリチウムイオン電池は、近年、小型化あるいは軽量化が進むモバイルコンピュータや携帯電話等の電子機器用の電池として注目され、その需要および消費は飛躍的に増加している。このため、市場で流通された使用済みのリチウムイオン電池(廃リチウムイオン電池)や電池製造メーカにおける製造不良品に含まれる正極活物質から、有価金属であるコバルトを回収することは、資源の有効利用の観点から極めて重要である。
【0003】
ここで、リチウムイオン電池は、正極活物質としてコバルト酸リチウムを用い、負極活物質としてグラファイト(炭素)を用い、それぞれの極板を何層かに積み重ねた構造を有している。
【0004】
なお、2001年4月に施行された「資源有効利用促進法」に基づく再資源化率の法定目標を保持するため、この廃リチウムイオン電池または製造不良品に含まれるコバルトの回収および再資源化の体制は、一層強化される傾向にある。
【0005】
従来、廃リチウムイオン電池は、含有樹脂成分および電解液成分等を除去するために焼成された後、破砕され、所定の粒度に篩い分けられて金属粉末とされ、さらに、この金属粉末を磁気的に選別することによって、磁着物であるコバルトが回収されている(特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に記載された使用済みリチウム二次電池からのコバルトの回収方法では、磁力選別された磁着物が、そのまま電気炉で溶解された後、スラグを取り除いて鉄、銅、アルミニウム等の金属不純物を除去し、含有コバルトを濃縮した後、酸浸出等の一般的な方法によって、この含有コバルトを精錬している。
【0007】
一方、硫酸や硝酸等の酸化性酸と過酸化水素とを含む処理溶液に、上述した廃リチウムイオン電池の電極活物質を浸漬させることによって、電極活物質中のコバルト成分を無機金属塩として抽出した後、この処理溶液に対して苛性ソーダを混合し、得られた水酸化コバルトの沈殿物をコバルトとして回収する方法もある(特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−245126号公報 (第2−3頁)
【特許文献2】
特開平11−265736号公報 (第2−4頁、第8−9図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した電池製造メーカにおける製造不良品には、正極板および負極板が外装缶内部に組み込まれた状態の製造不良品(製造不良電池)と、正極板単体の製造不良品(正極不良品)とが存在する。
しかしながら、リチウムイオン電池の正極板単体は、アルミニウムテープを支持体とし、その表面にコバルト酸リチウムが付着された構成を有しているため、正極不良品からのコバルト回収において、焼成処理、破砕処理、篩い分け処理は不必要である場合が多い。したがって、上述した特許文献1に記載のコバルト回収方法では、コバルト回収処理に消費される時間および労力がかかり、コバルト回収効率が悪いという問題点がある。
【0010】
さらに、正極板における電極活物質の支持体として用いられるアルミニウムテープは、破砕処理によって比較的破砕され難い物質であるため、このアルミニウムテープとコバルト酸リチウムとの剥離が完全になされていない場合、その後の篩い分け処理によってアルミニウムテープとともにコバルト酸リチウムも除去される可能性があり、コバルト回収率の低下を招来するという問題点がある。
【0011】
一方、酸性溶媒に浸漬させることによって、リチウムイオン電池の電極活物質からコバルトを抽出する場合、この電極活物質に通常含まれる3価のコバルトを酸性溶媒に溶出し易い2価のコバルトに還元する還元剤が不可欠であり、この還元剤として過酸化水素が用いられる。しかし、酸性溶媒中で過酸化水素を還元剤として機能させるためには、強力な酸化力のある酸薬剤、たとえば、硝酸または熱濃硫酸等と共存させる必要があるため、その取り扱いには危険をともない、コバルト回収作業時の危険度が増大するという問題点がある。
【0012】
また、過酸化水素は、処理溶媒の状態や被処理体との接触状態によって自己分解し易く、所望の還元剤として機能しない場合がある。そのため、この自己分解を抑制し、コバルトの高回収率を安定して得ることは困難な場合が多いという問題点がある。
【0013】
さらに、被処理体に対して、過酸化水素の還元作用を十分機能させるためには、この過酸化水素の自己分解を考慮した場合、理論値の少なくとも3倍以上の量の過酸化水素が必要であり、コバルト回収作業時の危険度は一層高くなるとともに、作業コストも高くなるという問題点がある。
【0014】
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、廃リチウムイオン電池、製造不良電池、および正極不良品からコバルトを高い回収率で効率よく回収することができ、さらに、コバルト回収作業の安全性を高めたリチウムイオン電池内のコバルト回収方法およびコバルト回収システムを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法は、焼成処理後の破砕処理によって得られるリチウムイオン電池の破砕粉末を所定粒度以下に篩い分けた後、該破砕粉末を磁着物および非磁着物に磁力選別する磁選工程と、リチウムイオン電池を構成する正極板に含まれるコバルトを第1の酸性溶媒下で抽出分離する第1の抽出工程と、前記磁選工程によって選別された磁着物に含まれるコバルトおよび前記第1の酸性溶媒中に浮遊または沈殿する抽出残渣に含まれるコバルトを第2の酸性溶媒下で抽出分離する第2の抽出工程と、を含んだことを特徴とする。
【0016】
この請求項1の発明によれば、廃リチウムイオン電池および製造不良電池は、焼成処理後の破砕処理によって破砕粉末とされ、所定粒度以下に篩い分けられた後、得られた所定粒度以下の破砕粉末が、磁着物と非磁着物とに磁力選別される一方、正極不良品は、その含有コバルトが第1の酸性溶媒下で抽出された後、前記第1の酸性溶媒中に浮遊または沈殿する抽出残渣が回収され、その後、前記磁着物および前記抽出残渣が、第2の酸性溶媒に共に混合され、それぞれに含有されるコバルトが抽出されるようにし、廃リチウムイオン電池、製造不良電池、および正極不良品から高回収率で効率よくコバルトを抽出するとともに、作業時の安全性も高め、さらに、作業コストを低減するようにしている。
【0017】
また、請求項2にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法は、上記発明において、前記第1の抽出工程によって抽出分離されたコバルトを含有する第1のコバルト抽出液と前記第2の抽出工程によって抽出分離されたコバルトを含有する第2のコバルト抽出液とに溶解している金属不純物を析出させた後、前記コバルトを含有するコバルト清浄液と前記金属不純物からなる浄液残渣とに分離する浄液工程と、前記浄液残渣をリパルプ残渣とリパルプ濾液とに分離するリパルプ洗浄工程と、を含み、前記リパルプ洗浄工程によって得られたリパルプ濾液は、前記第1の酸性溶媒または前記第2の酸性溶媒に混合されることを特徴とする。
【0018】
この請求項2の発明によれば、正極不良品から抽出されたコバルトを含有する第1のコバルト抽出液と、前記第1の抽出工程による抽出残渣および前記磁着物から抽出されたコバルトを含有する第2のコバルト抽出液とに溶解される金属不純物を析出させた後、前記金属不純物を浄液残渣として分離するとともにコバルト清浄液を回収する一方、前記浄液残渣をリパルプ洗浄し、リパルプ残渣とリパルプ濾液とに分離した後、該リパルプ濾液を前記第1の酸性溶媒または前記第2の酸性溶媒に混合するようにし、濃縮されたコバルトを含有するコバルト清浄液を効率よく回収できるとともに、前記浄液残渣に付着したコバルトを再度回収できるようにしている。
【0019】
また、請求項3にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法は、上記発明において、前記コバルト清浄液にアルカリ性薬剤を混合して水酸化コバルトを析出させた後、脱水処理を行って水酸化コバルトケーキを生成させる水酸化コバルトケーキ生成工程と、前記水酸化コバルトケーキが第3の酸性溶媒に溶解されたコバルト溶液を電解液として用い、該電解液から電解採取処理によって金属コバルトを回収する電解採取工程と、前記電解採取処理後の電解液中に浮遊または沈殿する電解スラッジと処理済電解液とに分離する固液分離工程と、を含み、前記電解スラッジは、前記第2の酸性溶媒に混合されることを特徴とする。
【0020】
この請求項3の発明によれば、廃リチウムイオン電池、製造不良電池、および正極不良品から抽出されたコバルトが濃縮されたコバルト清浄液は、アルカリ性薬剤が混合されて水酸化コバルトを析出させた後、脱水されて水酸化コバルトケーキを生成するようにし、さらに、該水酸化コバルトケーキを第3の酸性溶媒に溶解してコバルトの電解液とした後、該電解液は、電解採取処理によって金属コバルトを析出させる一方、該電解液中に浮遊または沈殿する電解スラッジは、固液分離処理によって回収された後、前記第2の酸性溶媒に混合されるようにし、コバルト清浄液に含有されるコバルトを水酸化コバルトケーキとして回収できるとともに、該水酸化コバルトケーキを電解質に用いた電解液から金属コバルトを効率よく回収できるようにし、さらに、該電解スラッジに含有されるコバルトを再度回収できるようにしている。
【0021】
また、請求項4にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法は、上記発明において、前記処理済電解液は、前記水酸化コバルトケーキと混合されて水酸化コバルトスラリーを生成し、該水酸化コバルトスラリーは、前記電解採取工程における希薄電解液に混合されることを特徴とする。
【0022】
この請求項4の発明によれば、前記固液分離処理によって電解スラッジが除去された処理済電解液は、前記水酸化コバルトケーキと混合して水酸化コバルトスラリーとした後、前記電解採取処理における希薄電解液に混合されるようにし、前記電解採取処理による電解液のpHの低下を抑制するとともに、該電解液にコバルト(Co2+)を補給するようにし、前記電解採取処理の電流能率の低下を抑制するようにしている。
【0023】
また、請求項5にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法は、上記発明において、前記第1および第2の酸性溶媒が硫酸溶媒である場合、前記浄液工程は、前記第1および第2のコバルト抽出液に水酸化カルシウムを混合させた後、前記金属不純物としての鉄またはアルミニウムの析出処理を行うことを特徴とする。
【0024】
この請求項5の発明によれば、前記第1および第2の酸性溶媒が硫酸溶媒である場合、前記第1および第2のコバルト抽出液は、まず、水酸化カルシウムが添加された後、アルカリ性薬剤が添加され、前記金属不純物としての鉄またはアルミニウムを析出させるようにし、該硫酸と該アルカリ性薬剤との化学反応による芒硝の析出を抑制し、前記浄液残渣を効率よく分離できるようにしている。
【0025】
また、請求項6にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収システムは、焼成処理後の破砕処理によって得られるリチウムイオン電池の破砕粉末を所定粒度以下に篩い分けた後、該破砕粉末を磁着物および非磁着物に磁力選別する磁力選別装置と、リチウムイオン電池を構成する正極板に含まれるコバルトを第1の酸性溶媒下で抽出分離する第1の抽出装置と、前記磁力選別装置によって選別された磁着物に含まれるコバルトおよび前記第1の抽出装置の処理液中に浮遊または沈殿する抽出残渣に含まれるコバルトを第2の酸性溶媒下で抽出分離する第2の抽出装置と、を備えたことを特徴とする。
【0026】
この請求項6の発明によれば、廃リチウムイオン電池および製造不良電池に対して焼成処理、破砕処理、篩い分け処理を逐次行うことによって得られた所定粒度以下の破砕粉末を磁着物と非磁着物とに磁力選別する磁力選別装置、正極不良品に含有されるコバルトを抽出する第1の抽出装置を有し、さらに、前記第1の抽出装置の酸性溶媒中に浮遊または沈殿する抽出残渣と前記磁着物とに含有されるコバルトを同時に抽出する第2の抽出装置を有するように構成し、廃リチウムイオン電池、製造不良電池、および正極不良品から高回収率で効率よくコバルトを抽出するとともに、作業時の安全性を高め、さらに、作業コストを低減したコバルト回収システムにしている。
【0027】
また、請求項7にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収システムは、上記発明において、前記第1の抽出装置によって抽出分離されたコバルトを含有する第1のコバルト抽出液と前記第2の抽出装置によって抽出分離されたコバルトを含有する第2のコバルト抽出液とに溶解している金属不純物を析出させた後、前記コバルトを含有するコバルト清浄液と前記金属不純物からなる浄液残渣とに分離する浄液装置と、前記浄液残渣をリパルプ残渣とリパルプ濾液とに分離するリパルプ洗浄装置と、を備え、前記リパルプ濾液は、前記第1の抽出装置における第1の酸性溶媒または前記第2の抽出装置における第2の酸性溶媒に混合されることを特徴とする。
【0028】
この請求項7の発明によれば、前記第1のコバルト抽出液および前記第2のコバルト抽出液に溶解される金属不純物を浄液残渣として分離するとともにコバルト清浄液を回収する浄液装置を有し、かつ、該浄液残渣をリパルプ洗浄した後、リパルプ残渣とリパルプ濾液とに分離する一方、該リパルプ濾液を前記第1の抽出装置の酸性溶媒または前記第2の抽出装置の酸性溶媒に混合させるリパルプ洗浄装置を有するように構成し、濃縮されたコバルトを含有するコバルト清浄液を効率よく回収できるとともに、該浄液残渣に付着したコバルトを再度回収できるコバルト回収システムにしている。
【0029】
また、請求項8にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収システムは、上記発明において、前記コバルト清浄液にアルカリ性薬剤を混合して水酸化コバルトを析出させた後、脱水処理を行って水酸化コバルトケーキを生成する水酸化コバルトケーキ生成装置と、前記水酸化コバルトケーキが第3の酸性溶媒に溶解されたコバルト溶液を電解液として用い、該電解液から電解採取処理によって金属コバルトを回収する電解採取装置と、前記電解採取処理後の電解液中に浮遊または沈殿する電解スラッジと処理済電解液とに分離する固液分離装置と、を備え、前記電解スラッジは、前記第2の抽出装置における第2の酸性溶媒に混合されることを特徴とする。
【0030】
この請求項8の発明によれば、廃リチウムイオン電池、製造不良電池、および正極不良品から抽出されたコバルトが濃縮されたコバルト清浄液にアルカリ性薬剤を添加して水酸化コバルトを析出させた後、脱水し、水酸化コバルトケーキを生成させる水酸化コバルトケーキ生成装置を有し、また、該水酸化コバルトケーキを電解質として用いたコバルトの電解液に対して電解採取処理を行い、析出させた金属コバルトを回収する電解採取装置を有し、さらに、該電解液中に浮遊または沈殿する電解スラッジを固液分離処理によって回収した後、前記第2の抽出装置の酸性溶媒に混合させる固液分離装置を有するように構成し、コバルト清浄液に含有されるコバルトを水酸化コバルトケーキとして回収できるとともに、該水酸化コバルトケーキを電解質に用いたコバルトの電解液から金属コバルトを効率よく回収でき、さらに、該電解スラッジに含有されるコバルトを再度回収できるコバルト回収システムにしている。
【0031】
また、請求項9にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収システムは、上記発明において、前記固液分離装置によって前記電解スラッジから分離された処理済電解液は、前記水酸化コバルトケーキ生成装置によって生成された水酸化コバルトケーキと混合して水酸化コバルトスラリーを生成し、該水酸化コバルトスラリーは、前記電解採取装置における希薄電解液に混合されることを特徴とする。
【0032】
この請求項9の発明によれば、前記固液分離装置によって電解スラッジが除去された処理済電解液は、前記水酸化コバルトケーキと混合して水酸化コバルトスラリーとした後、前記電解採取装置の希薄電解液に混合されるように構成し、前記電解採取装置の電解液のpHの低下を抑制するとともに、該電解液にコバルト(Co2+)を補給するようにし、前記電解採取処理の電流能率の低下を抑制するコバルト回収システムにしている。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態であるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法およびコバルト回収システムについて説明する。
【0034】
まず、この発明の実施の形態であるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法について詳細に説明する。図1は、この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法によって、廃リチウムイオン電池および正極不良品等のコバルト回収対象廃材から金属コバルトを回収するまでの処理手順の概略を示すフローチャートである。なお、図1において、太線矢印は、各処理によってコバルト回収対象廃材からコバルトを抽出分離した後、金属コバルトを回収する処理手順を示し、細線矢印は、各処理の残渣等からコバルトを再抽出する処理手順を示す。
【0035】
図1において、廃リチウムイオン電池、製造不良電池、および正極不良品をコバルト回収対象廃材として回収した後、この正極不良品は硫酸溶媒下でコバルトの溶媒抽出処理が行われ、第1のコバルト抽出液および第1の抽出残渣を得る。その後、この第1の抽出残渣と、廃リチウムイオン電池および製造不良電池から得られた粉末状の磁着物とを同一の硫酸溶媒下でコバルトの溶媒抽出再処理を行い、第2のコバルト抽出液を得る(ステップS100)。
【0036】
つぎに、第1のコバルト抽出液および第2のコバルト抽出液に含有される金属不純物を析出または沈殿し、除去した後、コバルト成分が濃縮されたコバルト清浄液と金属不純物からなる浄液残渣とを得る。また、この浄液残渣の表面に付着しているコバルトをリパルプ洗浄処理によって洗い流した後、このコバルトを含有する濾液を得る。この濾液に含有されるコバルトは、ステップS100における溶媒抽出処理または溶媒抽出再処理によって、再度抽出される(ステップS200)。
【0037】
一方、ステップS200によって得られたコバルト清浄液は、水酸化ナトリウム溶液の混合によって水酸化コバルトを析出した後、脱水処理を行うことによって水酸化コバルトの脱水物を得る。さらに、この脱水物の表面に付着した不純物をリパルプ洗浄処理によって洗い流し、水酸化コバルトケーキを生成する(ステップS300)。
【0038】
この水酸化コバルトケーキは、硫酸溶媒に溶解することによって、コバルトの電解液(以下、コバルト電解液と記す)とした後、電解採取処理を行い、陰極側電極表面にコバルトを析出させる。この陰極側電極に析出したコバルトは、金属コバルトとして回収される。さらに、電解採取処理によってコバルトが十分析出した後の処理後電解液(以下、電解尾液と記す)は、適当な凝集剤を混合した後、固液分離処理を行うことによって、清浄な電解尾液とオキシ水酸化コバルト等の電解スラッジとに分離する。この清浄な電解尾液は、上述した水酸化コバルトケーキと混合して水酸化コバルトスラリーを得た後、該電解採取処理におけるpH調整剤として、またはコバルト補給剤として用いられる。一方、該電解スラッジは、ステップS100における溶媒抽出再処理によって、その含有コバルトが再度抽出される(ステップS400)。
【0039】
以上、この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法によって、コバルト回収対象廃材から金属コバルトが回収されるまでの処理手順の概略を説明したが、つぎに、上述したステップS100〜S400の各処理手順について、さらに詳細に説明する。
【0040】
図2は、この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法において、コバルト回収対象廃材が、各処理手順に応じて分類されてから、廃リチウムイオン電池および製造不良電池から粉末状の磁着物が選別される一方、正極不良品からコバルトが溶媒抽出され、第1のコバルト抽出液と第1の抽出残渣とを得た後、この磁着物と第1の抽出残渣がともに、同一の硫酸溶媒下で再度溶媒抽出され、第2のコバルト抽出液を得るまでの処理手順を示すフローチャートであり、上述したステップS100の処理手順を詳細に示すものである。
【0041】
図2において、コバルト回収対象廃材として回収された廃リチウムイオン電池、製造不良電池、および正極不良品は、まず、その正負極板構造が外装缶内部に組み込まれた構成を有する廃リチウムイオン電池、製造不良電池と、正極板単体の正極不良品とに分類される(ステップS101)。
【0042】
分類された廃リチウムイオン電池および製造不良電池(ステップS102,No)は、その外装缶に、焼成時における電池内部の高圧化を防止する処理を行った後、500〜1000℃の範囲の焼成温度で焼成し、その焼成物を得る(ステップS103)。この焼成処理によって、各廃電池を構成するセパレータに用いられる多孔質ポリプロピレン等、電解液成分である6フッ化リン酸リチウム等、電極活物質の結着剤であるポリフッ化ビニリデン等の有機材料は、分解、燃焼、または揮発し、除去される。
【0043】
なお、廃リチウムイオン電池または製造不良電池の外装缶として、もしくはその一部に、プラスチックが用いられている場合、上述した焼成処理の前処理として、そのプラスチック部分を破砕し、剥ぎ取ることが望ましい。
【0044】
つぎに、この燃焼物を破砕し、破砕粉末を得る(ステップS104)。この場合、燃焼物に含有されるコバルトの粒度が、2000μm以下となるように破砕する。なお、この破砕処理において、周知の衝撃、摩擦、せん断、圧縮を単独または組み合わせて利用する破砕機が、適宜使用できる。
【0045】
さらに、この破砕粉末は、JIS Z8801における篩目2000μmの標準篩を用いて篩い分けられ(ステップS105)、コバルトを含む粒度2000μm以下の破砕粉末が、篩下粉末として得られる。この場合、篩上の残留物として除去される破砕粉末は、正極板を構成するアルミニウム箔、負極板を構成する銅ネット、銅箔、あるいは外装缶等である。なお、この標準篩いの篩目は、2000μm以下とすることが望ましいが、過度に細かい篩目に設定した場合、篩下粉末からのコバルト回収率を低下させる恐れがある。したがって、篩目の下限は、400μm程度に設定することが望ましい。
【0046】
その後、粒度2000μm以下の破砕粉末(ステップS106,Yes)は、磁力選別され(ステップS107)、コバルト、鉄等の磁着物と、炭素、銅またはアルミニウム等の非磁着物とに分離され、磁着物が回収される。ただし、この磁力選別によって、磁着物と非磁着物とを完全に分離するのは困難であり、回収された磁着物は、微量の銅およびアルミニウムを含む。
【0047】
一方、コバルト回収対象廃材から分類された正極不良品(ステップS102,Yes)は、上述したステップS103〜S107の各処理を実施することなく、硫酸溶媒に浸漬させることによって、正極の活物質であるコバルト酸リチウムを構成するコバルトが溶媒抽出され、さらに、この溶媒抽出処理液を濾過することによって、第1のコバルト抽出液と第1の抽出残渣とに分離される(ステップS109)。この場合、この溶媒抽出処理に用いられる硫酸溶媒は、硫酸濃度が100〜250g/lの硫酸水溶液である。また、この溶媒抽出処理を効率よく進めるために、溶媒温度を40〜70℃程度に設定することが望ましい。
【0048】
ここで、コバルト酸リチウムを構成するコバルトは3価であり、酸性溶媒に不溶である。したがって、上述した硫酸溶媒下でのコバルト抽出処理を進めるためには、この3価のコバルトを2価に還元する還元剤が必要である。そこで、ステップS109において、正極不良品を未処理の状態で硫酸溶媒に浸漬させることによって、正極板を構成するアルミニウムが、3価のコバルトを2価に還元する還元剤として機能し、コバルトの溶媒抽出が達成される。
【0049】
ただし、上述したコバルトの溶媒抽出処理では、正極不良品に含有されるコバルトの80%程度を抽出することが可能であり、すなわち、第1のコバルト抽出液は、回収率80%のコバルトを含有し、第1の抽出残渣は20%のコバルトを含有する。
【0050】
つぎに、得られた第1の抽出残渣(ステップS110,Yes)と磁着物(ステップS108,Yes)とを同一の硫酸溶媒に浸漬させることによって、この第1の抽出残渣および磁着物に含有されるコバルトが溶媒抽出された溶媒抽出再処理液を得る。さらに、この溶媒抽出再処理液は濾過されることによって、第2のコバルト抽出液と第2の抽出残渣とに分離される(ステップS111)。この場合、コバルトの溶媒抽出に用いられる硫酸溶媒は、硫酸濃度が100〜250g/lの硫酸水溶液であり、また、浸漬させる第1の抽出残渣は、溶質濃度が50〜150g/lのスラリーである。なお、上記溶媒抽出再処理を効率よく進めるために、硫酸溶媒の温度を40〜70℃程度に設定することが望ましい。
【0051】
また、この溶媒抽出再処理(ステップS111)において、磁着物(ステップS108,Yes)に含有される微量の鉄およびアルミニウムが、3価のコバルトを2価に還元する還元剤として機能する。
【0052】
ただし、この溶媒抽出再処理(ステップS111)によって、廃リチウムイオン電池および製造不良電池から回収率90%程度でコバルトを抽出するとともに、第1の抽出残渣(ステップS110,Yes)に残留する20%のコバルトのうち、19%のコバルトを第2のコバルト抽出液(ステップS112,No)に抽出することが可能である。すなわち、ステップS109による正極不良品からのコバルト回収率80%を考慮した場合、溶媒抽出処理と溶媒抽出再処理を継続的に行う(ステップS109〜S111)ことによって、廃リチウムイオン電池および製造不良電池から回収率90%程度でコバルトを抽出液に回収できるとともに、正極不良品から回収率99%でコバルトを抽出液に回収できる。
【0053】
なお、上記篩い分け処理によって篩上に残された破砕粉末(ステップS106,No)は、資源として回収され、一方、上記磁力選別処理によって分離された非磁着物(ステップS108,No)、上記溶媒抽出再処理によって分離された第2の抽出残渣(ステップS112,Yes)は、溶鉱炉等を用いて溶融し、スラグ化することによって、環境に対して無害化される(ステップS113)。
【0054】
つぎに、この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法において、上述したコバルト抽出液の清浄処理(ステップS200)の処理手順を詳細に説明する。図3は、硫酸溶媒によるコバルト抽出処理(ステップS100)における第1および第2のコバルト抽出液に含まれる金属不純物が除去されてから、コバルト成分が濃縮されたコバルト清浄液を得るまでの処理手順を示すフローチャートであり、上述したステップS200の処理手順を詳細に示すものである。
【0055】
図3において、上述した溶媒抽出処理および溶媒抽出再処理によって回収された第1および第2のコバルト抽出液(ステップS110,No、ステップS112,No)は、粉末状あるいは板状の金属コバルトが浸漬されることによって、金属不純物である銅を析出する(ステップS201)。この場合、金属コバルトは、銅よりもイオン化傾向の高い金属であり、銅を還元する還元剤として機能する。したがって、第1および第2のコバルト抽出液に含有される銅(Cu2+)は、酸化還元反応によって金属コバルトに置換され、金属銅として析出する。この酸化還元反応は、次式(1)によって表される。
Cu2++Co→Co2++Cu↓ ・・・(1)
【0056】
なお、上記銅の除去処理(ステップS201)で用いられる金属コバルトの添加量は、この銅(Cu2+)を完全に金属銅として析出させるため、銅に対して少なくとも当量に設定する必要があり、好ましくは、2〜3倍当量に設定する。また、金属コバルトは、銅との酸化還元反応によって2価のコバルト(Co2+)に置換されているため、酸性溶媒に溶解し易く、後述する電解採取処理によって金属コバルトとして再度回収することができる。
【0057】
つぎに、銅が除去された第1および第2のコバルト抽出液に対して、200〜300g/lの水酸化カルシウムスラリーを混合して硫酸カルシウムを沈殿(ステップS202)させた後、水酸化ナトリウム溶液を混合することによって水酸化鉄および水酸化アルミニウムを沈殿させる(ステップS203)。
【0058】
この場合、水酸化カルシウムスラリーは、第1および第2のコバルト抽出液中に含有される硫酸と反応し、硫酸カルシウムを生成することによって、後段のステップS203で添加される水酸化ナトリウムと硫酸との反応による硫酸ナトリウム結晶(芒硝)の析出を抑制する。硫酸ナトリウムは、過飽和状態とした場合、コバルト抽出液中に芒硝を析出させるため、その後の濾過処理に多大な時間を要し、コバルト回収処理効率の低下を招来する。なお、水酸化カルシウムスラリーの添加量は、第1および第2のコバルト抽出液のpHを2〜3に調整可能な程度とする。
【0059】
また、ステップ203における水酸化ナトリウムの添加量は、第1および第2のコバルト抽出液のpHを4〜5.5、好ましくは4〜4.5に調整可能な程度とする。このことは、第1および第2のコバルト抽出液中に含有される金属不純物のうち、鉄およびアルミニウムは、pHが4〜4.5の範囲で容易に水酸化物を沈殿させるが、pHが5.5を越えた場合、コバルトは水酸化物となり沈殿し易くなることに起因する。なお、この水酸化鉄および水酸化アルミニウムの沈殿反応は、それぞれ次式(2)、(3)によって表される。
Fe3++3NaOH→3Na++Fe(OH)3↓ ・・・(2)
Al3++3NaOH→3Na++Al(OH)3↓ ・・・(3)
【0060】
ただし、鉄は、酸性溶媒中において、2価の鉄(Fe2+)および3価の鉄(Fe3+)が共存しており、水酸化ナトリウムを添加することによって、(2)式に示すようにFe(OH)3を生成する。ここで、Fe(OH)2は、酸性溶媒に対して溶解し易く、沈殿しないため、上記ステップS203によって2価の鉄を沈殿させ、除去することは困難である。したがって、過酸化水素を添加することによって、2価の鉄を3価に酸化させるとともに、水酸化鉄を沈殿させる(ステップS204)。なお、この過酸化水素の添加量は、第1および第2のコバルト抽出液に含有される2価の鉄に対して、少なくとも当量に設定すればよい。また、上記の2価の鉄を酸化した後、水酸化鉄を沈殿させる反応は、次式(4)によって表される。
2Fe2++H22+2H++6NaOH
→6Na++2H2O+2Fe(OH)3↓ ・・・(4)
【0061】
上述したステップS201〜S204の各処理が行われた第1および第2のコバルト抽出液は、金属銅、水酸化鉄、水酸化アルミニウム、および硫酸カルシウムの各沈殿物と、コバルト成分が濃縮されたコバルト清浄液との混合溶液となっており、濾過することによって、これら沈殿物とコバルト清浄液とに分離する(ステップS205)。この場合、濾液としてコバルト清浄液を得るとともに、浄液残渣として上記沈殿物を分離することができる。
【0062】
ここで、得られたコバルト清浄液は、第1および第2のコバルト抽出液中のコバルトの80%を含有し、また、分離された浄液残渣は、第1および第2のコバルト抽出液中のコバルトの10%を固体として含有する。さらに、この浄液残渣の表面には、第1および第2のコバルト抽出液中のコバルトの10%が付着している。すなわち、このコバルト清浄液によって、廃リチウムイオン電池および製造不良電池から回収率72%程度でコバルトを回収するとともに、正極不良品から回収率79.2%でコバルトを回収している。
【0063】
また、上記浄液残渣(ステップS206,Yes)は、浄液残渣の混合水溶液を作成し、リパルプ洗浄を行った後、濾過することによって、上述した浄液残渣表面に付着したコバルトを濾液中に回収する(ステップS207)。この濾液(ステップS208,No)は、上述したステップS100における溶媒抽出処理(ステップS109)または溶媒抽出再処理(ステップS111)を行うことによって、第1および第2のコバルト抽出液中のコバルトの10%、すなわち、廃リチウムイオン電池および製造不良電池に含有されるコバルトの9%程度を回収するとともに、正極不良品に含有されるコバルトの9.9%を回収することができる。
【0064】
したがって、上述したコバルト清浄液(ステップS206,No)およびリパルプ洗浄処理によって得られた洗浄濾液(ステップS208,No)は、廃リチウムイオン電池および製造不良電池に含有されるコバルトの81%程度を回収するとともに、正極不良品に含有されるコバルトの89.1%を回収する。
【0065】
一方、リパルプ洗浄処理によって分離された洗浄残渣(ステップS208,Yes)は、金属銅、水酸化鉄、水酸化アルミニウム、および硫酸カルシウムの各沈殿物を含有するとともに、第1および第2のコバルト抽出液中のコバルトの10%を固体として含有する。ただし、このコバルト固体成分は、上述した処理によって回収することが困難であるため、これら沈殿物とともに溶鉱炉等で溶融し、スラグ化することによって、環境に対して無害化される(ステップS209)。
【0066】
つぎに、この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法において、上述した水酸化コバルトケーキの生成処理(ステップS300)の処理手順を詳細に説明する。図4は、第1および第2のコバルト抽出液の浄液処理(ステップS200)によるコバルト清浄液中に水酸化コバルトを析出させてから、水酸化コバルトケーキを得るまでの処理手順を示すフローチャートであり、上述したステップS300の処理手順を詳細に示すものである。
【0067】
図4において、第1および第2のコバルト抽出液の浄液処理(ステップS200)によって得られたコバルト清浄液(ステップS206,No)は、pHが4〜4.5に調整されており、水酸化ナトリウムを添加することによって中和するとともに、水酸化コバルトを析出させる(ステップS301)。この場合、水酸化ナトリウムの添加によるコバルト清浄液の中和反応は、次式(5)で表される。
Co2++2H++2SO4 2-+4NaOH
→2Na2SO4+Co(OH)2↓+2H2O ・・・(5)
【0068】
なお、水酸化ナトリウムの添加量は、上記コバルト清浄液のpHを8〜9に調整できる程度に設定する。この場合、(5)式で表される中和反応において生成する硫酸ナトリウムは、過飽和状態に達しないため、芒硝を析出させない。
【0069】
つぎに、得られた水酸化コバルト沈殿物は、周知の加圧分離、真空吸着、または遠心分離等による固液分離方法によって脱水され(ステップS302)、水酸化コバルト脱水物と脱水廃液とを得る。ただし、この水酸化コバルト脱水物は、その表面に不純物を付着させている。
【0070】
さらに、得られた水酸化コバルト脱水物(ステップS303,Yes)は、水に溶解させて水酸化コバルト脱水物の混合水溶液とした後、リパルプ洗浄する。その後、この混合水溶液は、周知の加圧分離、真空吸着、または遠心分離等による固液分離方法によって脱水され、水酸化コバルトケーキと洗浄廃液とを得る(ステップS304)。この場合、上述した水酸化コバルト脱水物の表面に付着した不純物は、洗浄廃液として除去され、水酸化コバルトケーキが生成される。
【0071】
一方、上述した脱水廃液(ステップS303,No)および洗浄廃液(ステップS305,No)は、周知の排水処理方法によって環境に対して無害化した後、排水される(ステップS306)。
【0072】
つぎに、この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法において、上述した金属コバルトの電解採取処理(ステップS400)の処理手順を詳細に説明する。図5は、水酸化コバルトケーキの生成処理(ステップS300)によって得られた水酸化コバルトケーキから金属コバルトを回収する処理手順を示すフローチャートであり、上述したステップS400の処理手順を詳細に示すものである。
【0073】
図5において、得られた水酸化コバルトケーキ(ステップS305,Yes)は、硫酸水溶液に溶解され、コバルト電解液が得られる(ステップS401)。この場合、コバルト電解液のpHが2〜3であり、かつ、含有コバルトの濃度が50g/l程度となるように、水酸化コバルトケーキ、硫酸、および水の各量を調整し、混合する。さらに、このコバルト電解液の温度は、40〜60℃に調整されることが望ましい。
【0074】
つぎに、得られたコバルト電解液は、白金コーティングされたチタン等の不溶性電極(DSE)を陽極として用い、アルミニウム等の金属を陰極として用いた周知の電解採取装置に供給された後、200〜400A/m2の電流密度で電気分解される。この電気分解によって、陰極の表面に金属コバルトを析出させた後、金属コバルトを剥ぎ取る等の物理的方法によって回収する(ステップS402)。この場合、上記陽極および陰極において、それぞれ次式(6)、(7)に示す酸化還元反応が進行し、金属コバルトが析出する。
2H2O→4H++4e-+O2↑ ・・・(6)
2Co2++4e-→2Co(陰極に析出) ・・・(7)
【0075】
なお、上述したコバルト電解液を電気分解し続けた場合、このコバルト電解液において、水素イオン(H+)の濃度が増加し、pHが2未満に減少するとともに、電離したコバルト(Co2+)の濃度が減少し、金属コバルトの電解採取効率(電流能率)が低下する。一般に、金属コバルトの電流能率は、1Aの電流に対し、析出する金属コバルトが1.099gであるという理論析出量があり、この理論析出量に対する金属コバルト析出量の比が大幅に低下することを抑制する、すなわち、電流能率の低下を抑制するために、コバルト電解液に対して水酸化物イオン(OH-)およびコバルト(Co2+)を補給する必要があり、後述する水酸化コバルトスラリーが供給される。
【0076】
また、上述した電解採取処理(ステップS402)後の電解尾液は、オキシ水酸化コバルト等の硫酸溶媒に不溶な電解スラッジが含有されているため、この電解尾液(ステップS403,電解尾液)を回収し、周知の加圧分離、真空吸着、または遠心分離等による固液分離方法によって、電解スラッジと清浄な電解尾液とに分離する(ステップS404)。その後、この電解スラッジ(ステップS405,Yes)は、上述したステップS100における溶媒再抽出処理(ステップS111)によって、含有コバルトが溶媒抽出される。
【0077】
一方、この清浄な電解尾液(ステップS405,No)は、ステップS300によって生成した水酸化コバルトケーキと混合することによって、100〜150g/lの水酸化コバルトスラリーとなる(ステップS406)。ここで得られた水酸化コバルトスラリーは、上述したコバルト電解液に対して水酸化物イオンおよびコバルト(Co2+)を補給する補給剤として用いられる。
【0078】
ここで、固液分離処理(ステップS404)における電解スラッジが溶媒抽出再処理(ステップS111)された後、その含有コバルトが再度回収されることを考慮した場合、電解採取処理(ステップS402)によって回収される金属コバルト(ステップS403,金属コバルト)の回収率は、一層高められる。
【0079】
以上に説明したように、この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法によれば、コバルト回収対象廃材に含まれるコバルトを金属の状態で効率よく回収でき、しかも、高い回収率で回収することができる。具体的には、廃リチウムイオン電池および製造不良電池から回収率70%以上で回収できるとともに、正極不良品から回収率80%以上で、金属コバルトを回収することができる。
【0080】
さらに、溶媒抽出処理(ステップS109)および溶媒抽出再処理(ステップS111)において、3価のコバルトを2価に還元する還元剤として、コバルト回収対象廃材に含有される板状等のアルミニウムまたは鉄が用いられるので、取り扱いに危険性をともなう過酸化水素等の薬剤を新規に用いることがなく、金属コバルト回収作業を安全、かつ、低コストで実施することができる。
【0081】
つぎに、この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収システムについて、詳細に説明する。図6は、この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収システムの概略構成を示すブロック図である。ただし、図6における実線矢印はベルトコンベアによる資材等の流れを示し、点線矢印はパイプによる資材の流れを示す。
【0082】
図6において、リチウムイオン電池内のコバルト回収システムは、廃リチウムイオン電池、製造不良電池、および正極不良品からなるコバルト回収対象廃材に含有されるコバルトを溶媒抽出し、第1および第2のコバルト抽出液を得る溶媒抽出装置100を有し、また、この第1および第2のコバルト抽出液を浄液処理し、その金属不純物を除去するとともに、コバルト成分が濃縮されたコバルト清浄液を得る浄液装置200を有し、また、このコバルト清浄液から水酸化コバルトケーキを回収する水酸化コバルトケーキ生成装置300を有し、さらに、この水酸化コバルトケーキによるコバルト電解液から金属コバルトを回収する金属コバルト電解採取装置400を有しており、このコバルト回収システム単独で、コバルト回収対象廃材から金属コバルトの回収ができるように構成されている。
【0083】
つぎに、この溶媒抽出装置100の構成について、図6を参照して詳細に説明する。図6において、溶媒抽出装置100は、廃リチウムイオン電池および製造不良電池を焼成炉101で焼成後、破砕機102で破砕し、その破砕粉末を篩い機103で所定粒度以下に篩い分けた後、磁選機104によって、その篩下粉末を磁着物と非磁着物とに選別分離するようにし、その一方で、正極不良品に含有されるコバルトを溶媒抽出機105で溶媒抽出した後、得られた溶媒抽出処理液を濾過機107で濾過して、第1のコバルト抽出液と第1の抽出残渣とに分離するようにし、その後、磁選機104で選別された磁着物と濾過機107で得られた第1の抽出残渣とを溶媒抽出機106で溶媒抽出再処理し、得られた溶媒抽出再処理液を濾過機108で濾過して、第2のコバルト抽出液と第2の抽出残渣とに分離するように構成されている。さらに、この溶媒抽出装置100は、篩い機103で篩上に分けられた残留物を資源として回収し、一方、磁選機104で選別された非磁着物、および濾過機108で分離された第2の抽出残渣を溶鉱炉等によってスラグ化し、無害化するように構成されている。
【0084】
焼成炉101は、搬入された廃リチウムイオン電池および製造不良電池を500〜1000℃の範囲の焼成温度で焼成することによって、これら廃リチウムイオン電池および製造不良電池を構成するセパレータに用いられる多孔質ポリプロピレン等、電解液成分である6フッ化リン酸リチウム等、電極活物質の結着剤であるポリフッ化ビニリデン等の有機材料を分解、燃焼、または揮発させ、除去する機能を有する。
【0085】
破砕機102は、焼成炉101で得られた焼成物に対して、この焼成物に含有されるコバルトが所定粒度(たとえば、2000μm)以下となるように破砕処理し、その破砕粉末を搬出する機能を有する。なお、この破砕機102として、周知の衝撃、摩擦、せん断、圧縮を単独または組み合わせて利用する破砕機を用いることができる。
【0086】
篩い機103は、破砕機で得られた破砕粉末を篩い分け処理することによって、所定粒度(たとえば、2000μm)以下の破砕粉末を篩下に分けるとともに、この所定粒度を超える篩上の破砕粉末を排出する機能を有する。なお、この篩い機として、JIS Z8801に規定される篩目2000μm以下の標準篩を用いることができるが、その篩目の下限は、400μm程度に設定されることが望ましい。
【0087】
磁選機104は、篩い機103による篩い分け処理によって篩下に分けられた破砕粉末を磁力選別処理し、コバルト、鉄等の磁着物と炭素、銅、アルミニウム等の非磁着物とに選別分離し、この磁着物を回収するとともに、この非磁着物を除外する機能を有する。なお、この磁選機104として、乾式または湿式による永久磁石式磁選機、あるいは乾式または湿式による電磁石式磁選機等を用いることができる。
【0088】
一方、溶媒抽出機105は、硫酸と水を混合して所定濃度(たとえば、100〜250g/l)の硫酸水溶液に調整した後、正極不良品をこの硫酸水溶液に浸漬させることによって含有コバルトの溶媒抽出処理を行い、第1のコバルト抽出液と第1の抽出残渣からなる溶媒抽出処理液を搬出する機能を有する。ここで、第1のコバルト抽出液は、正極不良品から抽出分離されたコバルトを含む溶液であり、また、第1の抽出残渣は、この溶媒抽出処理における硫酸溶媒としての上記硫酸水溶液に浮遊または沈殿するコバルト成分および樹脂成分等からなる溶媒抽出処理滓である。
【0089】
濾過機107は、溶媒抽出機105から搬出された溶媒抽出処理液を濾過し、第1のコバルト抽出液と第1の抽出残渣とに分離した後、この第1のコバルト抽出液を浄液装置200に搬出するとともに、第1の抽出残渣を溶媒抽出機106に搬出する機能を有する。なお、この濾過機107として、重力濾過、加圧濾過、または真空濾過機能を有するトレイ型濾過機、あるいは遠心濾過機能を有する回転ドラム式濾過機等を用いることができる。
【0090】
また、溶媒抽出機106は、硫酸と水を混合して所定濃度(たとえば、100〜250g/l)の硫酸水溶液に調整した後、濾過機107から搬出された第1の抽出残渣とともに磁選機104によって選別分離された磁着物をこの硫酸水溶液に浸漬させることによって含有コバルトの溶媒抽出再処理を行い、第2のコバルト抽出液と第2の抽出残渣からなる溶媒抽出再処理液を搬出する機能を有する。ここで、第2のコバルト抽出液は、第1の抽出残渣および磁着物から抽出分離されたコバルトを含む溶液であり、また、第2の抽出残渣は、この溶媒抽出再処理における硫酸溶媒としての上記硫酸水溶液に浮遊または沈殿する樹脂成分等からなる溶媒抽出再処理滓である。
【0091】
濾過機108は、溶媒抽出機106から搬出された溶媒抽出再処理液を濾過し、第2のコバルト抽出液と第2の抽出残渣とに分離した後、この第2のコバルト抽出液を浄液装置200に搬出する一方、第2の抽出残渣を排出する機能を有する。なお、この濾過機108として、重力濾過、加圧濾過、または真空濾過機能を有するトレイ型濾過機、あるいは遠心濾過機能を有する回転ドラム式濾過機等を用いることができる。
【0092】
つぎに、浄液装置200の構成について、図6を参照して詳細に説明する。図6において、浄液装置200は、溶媒抽出装置100から搬出された第1および第2のコバルト抽出液に含有される銅、鉄、およびアルミニウム等の金属不純物を沈殿分離した後、コバルト成分が濃縮されたコバルト清浄液およびこの金属不純物を含む浄液処理液を搬出する浄液機201を有し、この浄液処理液を濾過することによって、コバルト清浄液と浄液残渣とに分離する濾過機203を有し、この浄液残渣の表面に付着したコバルトをリパルプ洗浄処理し、その洗浄処理液中に該コバルトを回収するリパルプ洗浄機202を有し、このリパルプ洗浄処理による洗浄処理液に含まれるコバルトを洗浄濾液として回収するとともに洗浄残渣を排出する濾過機204を有し、さらに、所定濃度に調整された水酸化カルシウムスラリーを浄液機201に供給する水酸化カルシウム供給機205を有しており、第1および第2のコバルト抽出液からコバルト成分が濃縮されたコバルト清浄液を回収する一方、この浄液残渣に付着したコバルトを洗浄濾液中に回収した後、溶媒抽出機105または106に搬出し、再度、含有コバルトを回収するように構成している。
【0093】
浄液機201は、濾過機107から搬出された第1のコバルト抽出液および濾過機108から搬出された第2のコバルト抽出液に粉末状または板状のコバルトを所定量浸漬させ、第1および第2のコバルト抽出液中の金属不純物である銅を析出させた後、水酸化カルシウム供給機205から水酸化カルシウムスラリーが供給され、その後、水酸化ナトリウムを所定量添加し、さらに過酸化水素を所定量添加することによって、第1および第2のコバルト抽出液中のもう一方の金属不純物である鉄およびアルミニウムを沈殿させた後、コバルト清浄液と上記金属不純物等を含む浄液処理液を搬出する機能を有する。ここで、コバルト清浄液は、第1および第2のコバルト抽出液から金属不純物等が分離されることによって、液中のコバルト成分が濃縮された溶液である。
【0094】
濾過機203は、浄液機201から搬出された浄液処理液を濾過し、コバルト清浄液と浄液残渣とに分離した後、このコバルト清浄液を水酸化コバルトケーキ生成装置300に搬出する一方、浄液残渣をリパルプ洗浄機202に搬出する機能を有する。ここで、浄液残渣は、この浄液処理液中に浮遊または沈殿する銅、鉄、またはアルミニウムからなる金属不純物と硫酸カルシウムを含む浄液処理滓である。なお、この濾過機108として、重力濾過、加圧濾過、または真空濾過機能を有するトレイ型濾過機、あるいは遠心濾過機能を有する回転ドラム式濾過機等を用いることができる。
【0095】
リパルプ洗浄機202は、濾過機203から搬出された浄液残渣を水に溶解させることによって、この浄液残渣の表面に付着したコバルトを洗浄処理液中に回収した後、この洗浄処理液を濾過機204に搬出する機能を有する。
【0096】
濾過機204は、リパルプ洗浄機202から搬出された洗浄処理液を濾過することによって、浄液残渣の表面に付着したコバルトを洗浄濾液中に回収した後、この洗浄濾液を溶媒抽出機105または106に搬出する一方、銅、鉄、またはアルミニウムからなる金属不純物および硫酸カルシウムを含む洗浄残渣を排出する機能を有する。なお、この濾過機108として、重力濾過、加圧濾過、または真空濾過機能を有するトレイ型濾過機、あるいは遠心濾過機能を有する回転ドラム式濾過機等を用いることができる。
【0097】
水酸化カルシウム供給機205は、水酸化カルシウムを所定濃度(たとえば、200〜300g/l)の水酸化カルシウムスラリーに調整した後、この水酸化カルシウムスラリーを浄液機201に供給する機能を有する。なお、この水酸化カルシウムスラリーの供給処理は、浄液機201において、水酸化ナトリウムが第1および第2のコバルト抽出液に添加される前に実行するように制御される。
【0098】
つぎに、水酸化コバルトケーキ生成装置300の構成について、図6を参照して詳細に説明する。図6において、水酸化コバルトケーキ生成装置300は、浄液装置200から搬出されたコバルト清浄液から水酸化コバルト析出させ、沈殿させる水酸化コバルト析出機301を有し、この水酸化コバルト沈殿物を含む析出処理液を脱水処理することによって、水酸化コバルト脱水物を回収する濾過機303を有し、この水酸化コバルト脱水物の表面に付着した不純物を洗浄するリパルプ洗浄機302を有し、このリパルプ洗浄処理によって不純物が除去された水酸化コバルトを脱水処理し水酸化コバルトケーキを回収する濾過機304を有しており、コバルト清浄液から生成された水酸化コバルトケーキを回収した後、金属コバルト電解採取装置400に搬出するように構成している。
【0099】
水酸化コバルト析出機301は、濾過機203から搬出されたコバルト清浄液に水酸化ナトリウムを所定量添加させることによって、水酸化コバルトを析出させた後、この水酸化コバルト沈殿物を含む析出処理溶液を濾過機303に搬出する機能を有する。
【0100】
濾過機303は、水酸化コバルト析出機301から搬出された析出処理溶液を濾過することによって、この溶液に含まれる水酸化コバルト沈殿物を脱水し、水酸化コバルト脱水物を回収した後、リパルプ洗浄機302に搬出する一方、この脱水処理によって生じた脱水廃液を排水する機能を有する。この場合、水酸化コバルト脱水物の表面には、不純物が付着されている。また、この脱水廃液は、不純物を含む廃液であり、周知の排水処理方法によって、環境に対して無害化できる廃液である。なお、この濾過機303として、加圧分離、真空吸着、または遠心分離による固液分離機能を単独あるいは組み合わせて利用する濾過機を用いることができる。
【0101】
リパルプ洗浄機302は、濾過機303から搬出された水酸化コバルト脱水物を水に溶解させることによって、この水酸化コバルト脱水物の表面に付着した不純物を洗浄処理液中に回収した後、この洗浄処理液を濾過機304に搬出する機能を有する。
【0102】
濾過機304は、リパルプ洗浄機302から搬出された洗浄処理液を濾過することによって、その表面から不純物が除去された水酸化コバルトを脱水し、水酸化コバルトケーキとして回収した後、金属コバルト電解採取装置400に搬出する一方、除去された不純物を洗浄廃液として排水する機能を有する。なお、この濾過機304として、加圧分離、真空吸着、または遠心分離による固液分離機能を単独あるいは組み合わせて利用する濾過機を用いることができる。
【0103】
つぎに、金属コバルト電解採取装置400の構成について、図6を参照して詳細に説明する。図6において、金属コバルト電解採取装置400は、水酸化コバルトケーキ生成装置300から搬出された水酸化コバルトケーキをコバルト電解液生成機401における所定濃度の硫酸溶媒に溶解させてコバルト電解液を生成し、このコバルト電解液を電気分解機402で電気分解処理して金属コバルトを析出させるようにし、また、この電気分解機402から搬出された電解尾液を固液分離機403で固液分離処理し、電解スラッジと清浄な電解尾液とに分離した後、この電解スラッジを溶媒抽出機106に搬出し、この電解スラッジに含まれるコバルトを再度回収するようにし、その一方で、固液分離機403から搬出された清浄な電解尾液と水酸化コバルトケーキ生成装置300から搬出された水酸化コバルトケーキを水酸化コバルトスラリー供給機404で混合して水酸化コバルトスラリーを生成した後、電気分解機402に供給するように構成している。さらに、コバルト電解液生成機401または水酸化コバルトスラリー供給機404に供給される上記水酸化コバルトケーキは、それぞれの必要に応じて、水酸化コバルトスラリー生成装置300から搬出された水酸化コバルトケーキを分配機405で分配されるように構成している。
【0104】
コバルト電解液生成機401は、濾過機304から搬出され、分配機405によって分配された水酸化コバルトケーキを所定濃度の硫酸水溶液に溶解し、コバルト電解液を生成させた後、電気分解機402にコバルト電解液を搬出する機能を有する。なお、このコバルト電解液生成処理に用いられる硫酸水溶液の濃度および添加量は、生成後のコバルト電解液のpHが2〜3の範囲になるように制御される。
【0105】
電気分解機402は、コバルト電解液生成機401から搬出されたコバルト電解液に対して200〜400A/m2の電流密度で電気分解処理を行い、電気分解機402を構成する陰極に金属コバルトを析出させた後、析出した金属コバルトを剥ぎ取る等の物理的方法で回収する一方、この電気分解処理によって電解スラッジが析出した場合、その電解尾液を固液分離機403に搬出する機能を有する。なお、電気分解機402を構成する陽極として、白金コーティングされたチタン等の不溶性電極(DSE)を用いることができ、また、陰極として、アルミニウム等の金属を用いることができる。
【0106】
固液分離機403は、電気分解機402から搬出された電解尾液中に沈殿する電解スラッジを固液分離処理によって回収した後、この電解スラッジを溶媒抽出機106に搬出する一方、電解スラッジが除去された電解尾液を清浄な電解尾液として水酸化コバルトスラリー供給機404に搬出する機能を有する。ただし、この固液分離処理を行う場合、電解尾液に必要量の凝集剤を添加し、電解尾液中の電解スラッジの沈降を促進させることによって、この電解スラッジを容易に分離回収することができる。なお、この固液分離機403として、周知の加圧分離、真空吸着、または遠心分離を単独あるいは組み合わせて利用する固液分離機を用いることができる。
【0107】
水酸化コバルトスラリー供給機404は、固液分離機403から搬出された清浄な電解尾液と分配機405から分配された水酸化コバルトケーキを混合し、所定濃度(たとえば、100〜150g/l)の水酸化コバルトスラリーを生成した後、この水酸化コバルトスラリーを電気分解機402に供給する機能を有する。この水酸化コバルトスラリーの供給処理は、電気分解機402において、電気分解処理されたコバルト電解液のpHが2未満となった場合、電気分解機402に対して必要量の水酸化コバルトスラリーを供給するように制御される。これによって、電気分解機402における金属コバルトの電流能率は、その理論析出量(1.099gコバルト析出/A)に対して、著しく低下することがない。
【0108】
分配機405は、コバルト電解液生成機401および水酸化コバルトスラリー供給機に対して、濾過機304から搬出された水酸化コバルトケーキをそれぞれの必要に応じて分配するとともに、分配処理後の余剰水酸化コバルトケーキを蓄積する機能を有する。
【0109】
以上に説明したように、この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収システムは、廃リチウムイオン電池および製造不良電池からコバルトを含有する磁着物を得るまでの処理を進める一方、溶媒抽出機105によって正極不良品に含有されるコバルトを溶媒抽出し、該コバルトが抽出された第1のコバルト抽出液と第1の抽出残渣とを得た後、第1の抽出残渣および上記磁着物をともに溶媒抽出機106によって溶媒抽出再処理し、第2のコバルト抽出液を得るように構成された溶媒抽出装置100を有し、また、第1および第2のコバルト抽出液から不純物を除去してコバルト清浄液を得る一方、この不純物の表面に付着したコバルトを浄液中に回収した後、この浄液を再度溶媒抽出装置100に搬出して溶媒抽出処理されるように構成された浄液装置200を有し、また、コバルト清浄液から水酸化コバルトケーキを生成するように構成された水酸化コバルトケーキ生成装置300を有し、さらに、水酸化コバルトケーキから得られたコバルト電解液を電解採取処理することによって、金属コバルトを析出させ、回収する一方、この電解採取処理後の電解尾液から電解スラッジを分離回収した後、この電解スラッジに含有されるコバルトを溶媒抽出装置100で再度回収できるように構成された金属コバルト電解採取装置400を有しているので、コバルト回収対象廃材に含まれるコバルトを金属の状態で効率よく回収でき、しかも、高い回収率で回収することができる。
【0110】
さらに、溶媒抽出装置100において、溶媒抽出機105による溶媒抽出処理は、正極不良品に含有される板状のアルミニウムが還元剤として用いられ、さらに、溶媒抽出機106による溶媒抽出再処理は、磁選機104から搬出される磁着物に含有される板状等のアルミニウムまたは鉄が還元剤として用いられるように装置構成されているので、取り扱いに危険性をともなう過酸化水素等の薬剤を新規に用いることがなく、金属コバルト回収作業を安全、かつ、低コストで実施するコバルト回収システムを実現できる。
【0111】
なお、この発明の実施の形態では、コバルトを抽出分離する溶媒として硫酸を用いた場合を示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、塩酸、硝酸等の無機酸を溶媒として用いた場合に適用することもできる。
【0112】
また、この発明の実施の形態では、水酸化コバルトを析出させるために水酸化ナトリウムを添加した場合を示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、水酸化リチウム等のアルカリ性薬剤を添加した場合に適用することもできる。
【0113】
また、この発明の実施の形態では、第1および第2のコバルト抽出液に含有される金属不純物を沈殿させるために水酸化ナトリウムを添加した場合を示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、水酸化リチウム等のアルカリ性薬剤を添加した場合に適用することもできる。
【0114】
また、この発明の実施の形態では、コバルト抽出液の浄液処理(ステップS200)における芒硝の析出を抑制するため、水酸化カルシウムスラリーを添加する場合を示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、粉末状等の固体の水酸化カルシウムを添加する場合に適用することもでき、さらに、溶媒抽出処理および溶媒抽出再処理の酸溶媒として硫酸以外の無機酸を用いれば、水酸化カルシウムのスラリーあるいは固体を添加しない場合に適用することもできる。
【0115】
また、この発明の実施の形態では、各装置における資材の運搬手段としてベルトコンベアあるいはパイプを用いた場合を示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、樋またはシュート等の運搬手段を用いた場合に適用することもできる。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、この請求項1の発明によれば、廃リチウムイオン電池および製造不良電池は、焼成処理後の破砕処理によって破砕粉末とされ、所定粒度以下に篩い分けられた後、得られた所定粒度以下の破砕粉末が、磁着物と非磁着物とに磁力選別される一方、正極不良品は、その含有コバルトが第1の酸性溶媒下で抽出された後、前記第1の酸性溶媒中に浮遊または沈殿する抽出残渣が回収され、その後、前記磁着物および前記抽出残渣が、第2の酸性溶媒に共に混合され、それぞれに含有されるコバルトが抽出されるようにしているので、廃リチウムイオン電池、製造不良電池、および正極不良品から高回収率で効率よくコバルトを抽出するとともに、作業時の安全性を高め、さらに、作業コストを低減することができるという効果を奏する。
【0117】
また、この請求項2の発明によれば、正極不良品から抽出されたコバルトを含有する第1のコバルト抽出液と、前記第1の抽出工程による抽出残渣および前記磁着物から抽出されたコバルトを含有する第2のコバルト抽出液とに溶解される金属不純物を析出させた後、前記金属不純物を浄液残渣として分離するとともにコバルト清浄液を回収する一方、前記浄液残渣をリパルプ洗浄し、リパルプ残渣とリパルプ濾液とに分離した後、該リパルプ濾液を前記第1の酸性溶媒または前記第2の酸性溶媒に混合するようにしているので、濃縮されたコバルトを含有するコバルト清浄液を効率よく回収できるとともに、前記浄液残渣に付着したコバルトを再度回収でき、コバルト回収対象廃材からのコバルト回収率を一層高めることができるという効果を奏する。
【0118】
また、この請求項3の発明によれば、廃リチウムイオン電池、製造不良電池、および正極不良品から抽出されたコバルトが濃縮されたコバルト清浄液は、アルカリ性薬剤が混合されて水酸化コバルトを析出させた後、脱水されて水酸化コバルトケーキを生成するようにし、さらに、該水酸化コバルトケーキを第3の酸性溶媒に溶解してコバルトの電解液とした後、該電解液は、電解採取処理によって金属コバルトを析出させる一方、該電解液中に浮遊または沈殿する電解スラッジは、固液分離処理によって回収された後、前記第2の酸性溶媒に混合されるようにしているので、コバルト清浄液に含有されるコバルトを水酸化コバルトケーキとして回収した後、該水酸化コバルトケーキを電解質に用いた電解液から金属コバルトを高回収率で効率よく回収できるとともに、該電解スラッジに含有されるコバルトを再度回収でき、金属コバルトの回収率を一層高めることができるという効果を奏する。
【0119】
また、この請求項4の発明によれば、前記固液分離処理によって電解スラッジが除去された処理済電解液は、前記水酸化コバルトケーキと混合して水酸化コバルトスラリーとした後、前記電解採取処理における希薄電解液に混合されるようにしているので、前記電解採取処理による電解液のpHの低下を抑制するとともに、該電解液にコバルト(Co2+)を補給することができ、前記電解採取処理の電流能率の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【0120】
また、この請求項5の発明によれば、前記第1および第2の酸性溶媒が硫酸溶媒である場合、前記第1および第2のコバルト抽出液は、まず、水酸化カルシウムが添加された後、アルカリ性薬剤が添加され、前記金属不純物としての鉄またはアルミニウムを析出させるようにしているので、該硫酸と該アルカリ性薬剤との化学反応による芒硝の析出を抑制することができ、前記浄液残渣を効率よく分離することができるという効果を奏する。
【0121】
また、この請求項6の発明によれば、廃リチウムイオン電池および製造不良電池に対して焼成処理、破砕処理、篩い分け処理を逐次行うことによって得られた所定粒度以下の破砕粉末を磁着物と非磁着物とに磁力選別する磁力選別装置、正極不良品に含有されるコバルトを抽出する第1の抽出装置を有し、さらに、前記第1の抽出装置の酸性溶媒中に浮遊または沈殿する抽出残渣と前記磁着物とに含有されるコバルトを同時に抽出する第2の抽出装置を有するように構成しているので、廃リチウムイオン電池、製造不良電池、および正極不良品から高回収率で効率よくコバルトを抽出するとともに、作業時の安全性を高め、さらに、作業コストを低減したコバルト回収システムを実現できるという効果を奏する。
【0122】
また、この請求項7の発明によれば、前記第1のコバルト抽出液および前記第2のコバルト抽出液に溶解される金属不純物を浄液残渣として分離するとともにコバルト清浄液を回収する浄液装置を有し、かつ、該浄液残渣をリパルプ洗浄した後、リパルプ残渣とリパルプ濾液とに分離する一方、該リパルプ濾液を前記第1の抽出装置の酸性溶媒または前記第2の抽出装置の酸性溶媒に混合させるリパルプ洗浄装置を有するように構成しているので、濃縮されたコバルトを含有するコバルト清浄液を効率よく回収できるとともに、該浄液残渣に付着したコバルトを再度回収できるコバルト回収システムを実現できるという効果を奏する。
【0123】
また、この請求項8の発明によれば、廃リチウムイオン電池、製造不良電池、および正極不良品から抽出されたコバルトが濃縮されたコバルト清浄液にアルカリ性薬剤を添加して水酸化コバルトを析出させた後、脱水し、水酸化コバルトケーキを生成させる水酸化コバルトケーキ生成装置を有し、また、該水酸化コバルトケーキを電解質として用いたコバルトの電解液に対して電解採取処理を行い、析出させた金属コバルトを回収する電解採取装置を有し、さらに、該電解液中に浮遊または沈殿する電解スラッジを固液分離処理によって回収した後、前記第2の抽出装置の酸性溶媒に混合させる固液分離装置を有するように構成しているので、コバルト清浄液に含有されるコバルトを水酸化コバルトケーキとして回収した後、該水酸化コバルトケーキを電解質に用いたコバルトの電解液から金属コバルトを高回収率で効率よく回収できるとともに、該電解スラッジに含有されるコバルトを再度回収でき、金属コバルトの回収率を一層高めたコバルト回収システムを実現できるという効果を奏する。
【0124】
また、この請求項9の発明によれば、前記固液分離装置によって電解スラッジが除去された処理済電解液は、前記水酸化コバルトケーキと混合して水酸化コバルトスラリーとした後、前記電解採取装置の希薄電解液に混合されるように構成しているので、前記電解採取装置の電解液のpHの低下を抑制するとともに、該電解液にコバルト(Co2+)を補給することができ、前記電解採取処理の電流能率の低下を抑制できるコバルト回収システムを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法における硫酸溶媒によるコバルト抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法におけるコバルト抽出液の浄液処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法における水酸化コバルトケーキの生成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収方法における金属コバルトの電解採取処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態にかかるリチウムイオン電池内のコバルト回収システムの概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100 溶媒抽出装置
101 焼成炉
102 破砕機
103 篩い機
104 磁選機
105,106 溶媒抽出装置
107,108,203,204,303,304 濾過機
200 浄液装置
201 浄液機
202,302 リパルプ洗浄機
205 水酸化カルシウム供給機
300 水酸化コバルトケーキ生成装置
301 水酸化コバルト析出機
400 金属コバルト電解採取装置
401 コバルト電解液生成機
402 電気分解機
403 固液分離機
404 水酸化コバルトスラリー供給機
405 分配機

Claims (9)

  1. コバルト回収対象廃材からリチウムイオン電池の廃品とリチウムイオン電池用正極板の不良品とを分類する分類工程と、
    焼成処理後の破砕処理によって得られる前記リチウムイオン電池の廃品の破砕粉末を所定粒度以下に篩い分けた後、該破砕粉末を磁着物および非磁着物に磁力選別する磁選工程と、
    前記リチウムイオン電池用正極板の不良品に含まれるコバルトを第1の酸性溶媒下で抽出分離する第1の抽出工程と、
    前記磁選工程によって選別された磁着物に含まれるコバルトおよび前記第1の酸性溶媒中に浮遊または沈殿する抽出残渣に含まれるコバルトを第2の酸性溶媒下で抽出分離する第2の抽出工程と、
    を含んだことを特徴とするリチウムイオン電池内のコバルト回収方法。
  2. 前記第1の抽出工程によって抽出分離されたコバルトを含有する第1のコバルト抽出液と前記第2の抽出工程によって抽出分離されたコバルトを含有する第2のコバルト抽出液とに溶解している金属不純物を析出させた後、前記コバルトを含有するコバルト清浄液と前記金属不純物からなる浄液残渣とに分離する浄液工程と、
    前記浄液残渣をリパルプ残渣とリパルプ濾液とに分離するリパルプ洗浄工程と、
    を含み、前記リパルプ洗浄工程によって得られたリパルプ濾液は、前記第1の酸性溶媒または前記第2の酸性溶媒に混合されることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池内のコバルト回収方法。
  3. 前記コバルト清浄液にアルカリ性薬剤を混合して水酸化コバルトを析出させた後、脱水処理を行って水酸化コバルトケーキを生成させる水酸化コバルトケーキ生成工程と、
    前記水酸化コバルトケーキが第3の酸性溶媒に溶解されたコバルト溶液を電解液として用い、該電解液から電解採取処理によって金属コバルトを回収する電解採取工程と、
    前記電解採取処理後の電解液中に浮遊または沈殿する電解スラッジと処理済電解液とに分離する固液分離工程と、
    を含み、前記電解スラッジは、前記第2の酸性溶媒に混合されることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン電池内のコバルト回収方法。
  4. 前記処理済電解液は、前記水酸化コバルトケーキと混合されて水酸化コバルトスラリーを生成し、該水酸化コバルトスラリーは、前記電解採取工程における希薄電解液に混合されることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン電池内のコバルト回収方法。
  5. 前記第1および第2の酸性溶媒が硫酸溶媒である場合、前記浄液工程は、前記第1および第2のコバルト抽出液に水酸化カルシウムを混合させた後、前記金属不純物としての鉄またはアルミニウムの析出処理を行うことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載のリチウムイオン電池内のコバルト回収方法。
  6. コバルト回収対象廃材からリチウムイオン電池の廃品とリチウムイオン電池用正極板の不良品とを分類する装置と、
    焼成処理後の破砕処理によって得られる前記リチウムイオン電池の廃品の破砕粉末を所定粒度以下に篩い分けた後、該破砕粉末を磁着物および非磁着物に磁力選別する磁力選別装置と、
    前記リチウムイオン電池用正極板の不良品に含まれるコバルトを第1の酸性溶媒下で抽出分離する第1の抽出装置と、
    前記磁力選別装置によって選別された磁着物に含まれるコバルトおよび前記第1の抽出装置の処理液中に浮遊または沈殿する抽出残渣に含まれるコバルトを第2の酸性溶媒下で抽出分離する第2の抽出装置と、
    を備えたことを特徴とするリチウムイオン電池内のコバルト回収システム。
  7. 前記第1の抽出装置によって抽出分離されたコバルトを含有する第1のコバルト抽出液と前記第2の抽出装置によって抽出分離されたコバルトを含有する第2のコバルト抽出液とに溶解している金属不純物を析出させた後、前記コバルトを含有するコバルト清浄液と前記金属不純物からなる浄液残渣とに分離する浄液装置と、
    前記浄液残渣をリパルプ残渣とリパルプ濾液とに分離するリパルプ洗浄装置と、
    を備え、前記リパルプ濾液は、前記第1の抽出装置における第1の酸性溶媒または前記第2の抽出装置における第2の酸性溶媒に混合されることを特徴とする請求項6に記載のリチウムイオン電池内のコバルト回収システム。
  8. 前記コバルト清浄液にアルカリ性薬剤を混合して水酸化コバルトを析出させた後、脱水処理を行って水酸化コバルトケーキを生成する水酸化コバルトケーキ生成装置と、
    前記水酸化コバルトケーキが第3の酸性溶媒に溶解されたコバルト溶液を電解液として用い、該電解液から電解採取処理によって金属コバルトを回収する電解採取装置と、
    前記電解採取処理後の電解液中に浮遊または沈殿する電解スラッジと処理済電解液とに分離する固液分離装置と、
    を備え、前記電解スラッジは、前記第2の抽出装置における第2の酸性溶媒に混合されることを特徴とする請求項6または7に記載のリチウムイオン電池内のコバルト回収システム。
  9. 前記固液分離装置によって前記電解スラッジから分離された処理済電解液は、前記水酸化コバルトケーキ生成装置によって生成された水酸化コバルトケーキと混合して水酸化コバルトスラリーを生成し、該水酸化コバルトスラリーは、前記電解採取装置における希薄電解液に混合されることを特徴とする請求項8に記載のリチウムイオン電池内のコバルト回収システム。
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