JP4098649B2 - 表面性状測定機の校正用治具、表面性状測定機の校正方法、表面性状測定機の校正プログラムおよびこの校正プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
表面性状測定機の校正用治具、表面性状測定機の校正方法、表面性状測定機の校正プログラムおよびこの校正プログラムを記録した記録媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面性状測定機の校正用治具、表面性状測定機の校正方法、表面性状測定機の校正プログラム、この校正プログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、被測定物の表面粗さ、うねり、輪郭形状、真円度および真直度などの表面性状を測定する表面性状測定機が知られている。
表面性状測定機1は、図1に示されるように、基端部311が揺動可能に支持されたアーム3と、このアーム3の他端に設けられ被測定物11上を走査する測定子41と、測定子41の変位を検出する変位検出手段6、7とを備えている。変位検出手段6、7は、アーム3のx方向変位を検出する第1検出手段6と、アーム3の揺動をz方向直線変位として検出する第2検出手段7とを備えて構成されている。
ここで、第1検出手段6と第2検出手段7とは、測定子41の座標を直接に検出するものではなく、また、アーム3の円弧運動によるずれが生じるものである。そこで、アーム3の円弧運動によるずれ量をx座標についてdx、z座標についてdzとし、このdx、dzを第1検出手段6および第2検出手段7の検出結果に加味することにより、測定子41の座標値を算出して被測定物表面の測定データを得る方法がとられる。
【0003】
当然のことながら、精密な表面性状測定を行うためには、アーム3の円弧運動によるずれ量dx、dzを正確に見積もらなければならない。ずれ量の見積もりが正確でない場合には、例えば、同じ被測定物表面を上り斜面として測定した場合と、下り斜面として測定した場合とで測定値が異なってくるなどの測定誤差(対称性誤差)が生じる。そこで、従来より、このずれ量の見積もりを校正する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
【特許文献1】
特許第3215354号公報
【特許文献2】
特許第3215325号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、特許文献1や特許文献2に開示される方法によると、まず、高さ既知のゲージを測定してz方向のずれ量を校正する。そして、角度既知あるいは球のゲージを測定することにより、対称性誤差を校正することが行われる。
しかしながら、z方向を校正し、次に対称性を校正するなど、非常に手間がかかる上にそれなりの熟練を要するという問題がある。
さらに、複数のゲージを繰り返し測定しなければならないため、逐次ゲージをセッティングして測定することがわずらわしいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、簡便に、かつ、短時間で表面性状測定機を校正するための表面性状測定機の校正用治具、表面性状測定機の校正方法、表面性状測定機の校正プログラム、この校正プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の表面性状測定機の校正用治具は、少なくとも被測定物表面上をx方向に走査されかつ前記被測定物表面の形状に従って前記被測定物表面の法線方向であるz方向に変位可能に設けられた測定子と、前記測定子を少なくともx方向に移動させる移動手段と、前記測定子の変位量を少なくともx方向およびz方向について検出する変位検出手段とを備えた表面性状測定機を校正する際に用いる表面性状測定機の校正用治具であって、一面に平坦面を有する基台部と、前記基台部に設けられ前記平坦面に対して既知の高さを有する段差部と、前記段差部とは隙間を隔てかつ並設して前記基台部に設けられ前記段差部に交差しかつ前記平坦面に対して垂直な面内に真円の少なくとも一部を含む第1円状部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、基台部に並設して段差部と第1円状部とが並べて設けられている。よって、この校正用治具を一旦セッティングすれば、測定子が移動手段にて移動されることにより、自ずと段差部に続いて第1円状部が走査される。
そして、まず、高さ既知の段差部を測定した結果からz方向高さの検出が校正される。続けて第1円状部が走査される。第1円状部を走査して取得されたデータは、真円部分を測定して得られたデータであり、逆に言うとこのデータは円の式を満たすはずである。そこで、第1円状部を測定して得られた真円部分のデータが円の式を満たすように校正を行うことにより、対称性誤差を校正することができる。これは、第1円状部の真円部分を走査すると、真円を上り斜面で測定する箇所と下りで測定する箇所があり、この上り斜面の部分と下り斜面の部分とで得られたデータが共に円の式を満たすものとなれば対称性誤差が校正されるものである。なお、このような第1円状部の測定で得られたデータから対称性誤差を校正する方法としては、第1円状部の測定で得られたデータを円の式に基づく評価式に代入して、この評価式に最小自乗法を適用することにより所定のパラメータを校正することが例示される。
【0009】
校正用治具には、段差部と第1円状部とが並設されているので、この校正用治具を一度セッティングしたあと測定子を移動手段にて移動させれば自ずと段差部と第1円状部とを走査することができる。よって、校正する対象によって治具を交換してセッティングしなおすなどの手間を必要としない。その結果、校正を短時間で簡便に行うことができる。
治具を交換してセッティングしなおす際にセッティングの誤差が生じた場合にはこの誤差が校正の誤差に含まれる可能性もあるところ、校正用治具の交換を必要としないので、セッティング誤差による校正誤差を最小限にすることができる。その結果、校正を精密に行うことができる。
簡便に校正を行うことができるので、常に精密に校正された表面性状測定機にて被測定物の表面性状を精密に測定することに大いに資することができる。
また、第1マークが示す方向を表面性状測定機のx方向(測定子が走査される方向)に合わせてセッティングすれば、測定子が正確に第1円状部を真円の一部として測定する方向に走査されることとなる。すると、測定子は、段差部を走査した後、正確に第1円状部の真円部分を走査する。
ここで、第1円状部は第1マークが示す方向では真円の一部となっているものの、他の方向では真円とはなっていない可能性がある。そのため、走査方向が第1マークにて示される方向からずれてしまうと真円のデータを得られず、対称性の校正を行うことができないこととなる。
しかし、本発明によれば、第1円状部を真円の一部をして走査する方向が第1マークにより示されるので、この方向に測定子の走査方向を従わせればよい。そして、校正用治具をセッティングする際に測定子の走査方向を第1マークの方向に設定しておけば、あとは自ずと測定子が走査され、段差部、第1円状部、場合によっては第2円状部を走査して校正が行われる。
第1マークにより走査するべき方向が示されているので、第1円状部を正確に真円の一部として走査することができ、その結果、校正を正確に行うことができる。
また、第1マークに加えてさらに第2マークにより走査すべき方向が示されているので、この両マークが示す方向を表面性状測定機のx方向(測定子が走査される方向)に合わせてセッティングすれば、測定子が正確に第1円状部を真円の一部として走査することとなる。すると、測定子は、段差部を走査した後、正確に第1円状部の真円部分を走査することから校正を正確に行うことができる。測定子の走査の出発点に当たる位置の第1マークに加えて、終了点に当たる位置に第2マークが設けられることにより、校正用治具をセッティングするときに正確に測定子の走査方向をセットすることができる。その結果、測定子が第1円状部を正確に真円部分として走査し、この真円部分の測定データによって正確な校正を行うことができる。
また、走査が終了したときに測定子が第2マークの上を通るならば正しい方向で校正用治具を走査したことがわかり、校正が正確に行われたことが判断できる。逆に、走査終了時点で測定子が第2マークからずれている場合には、走査方向が正しくないことが分かり、改めて校正用治具のセッティングからやり直すべきであることが判断される。その結果、誤った校正のままで校正処理を終了することがなく、正確な校正を確実に行うことができる。
【0010】
本発明では、前記第1円状部の前記真円は半径が既知である
ことが好ましい。
【0011】
このような構成において、測定子が第1円状部を走査した際の測定子の座標を求めるとすると、この測定子が描く軌跡は、第1円状部に対する測定子のオフセット量が第1円状部の半径にオフセットされた軌跡となる。そこで、測定子の軌跡から第1円状部の真円の半径を減じるなどにより、測定子のオフセット量を校正することができる。
よって、z方向高さの検出および対称性の校正に加えて、測定子のオフセット量についても同時に校正することができ、この場合でも校正用治具のセッティングは一度で良いので簡便かつ短時間で校正することができ、またセッティング誤差を排することにより校正が正確である。
【0012】
本発明では、前記段差部に対し前記第1円状部を間にして反対側、かつ、前記段差部および前記第1円状部とは並設して設けられ、前記段差部および前記第1円状部に交差し前記平坦面に垂直な面内に半径既知の真円の少なくとも一部を含む第2円状部を備えている
ことが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、基台部に段差部と第1円状部と第2円状部とが並べて設けられている。よって、この校正用治具を一旦セッティングすれば、測定子が移動手段にて移動されることにより、自ずと段差部に続いて第1円状部、第2円状部を走査する。つまり、高さ既知の段差部を測定した結果からz方向高さの検出が校正され、続けて第1円状部が走査され、第1円状部を走査して得たデータから対称性誤差が校正される。さらに、半径既知の第2円状部を測定した測定結果から測定子のオフセット量が校正される。
【0014】
校正用治具には、段差部と第1円状部と第2円状部とが並設されているので、この校正用治具を一度セッティングすればよく、複数の治具をセッティングしなおす手間を省き、校正を短時間で簡便に行うことができる。そして、校正用治具の交換を必要としないので、セッティング誤差による校正誤差を最小限にすることができ、その結果、校正を精密に行うことができる。
また、段差部および第1円状部にてz方向高さの検出および対称性誤差について校正した後で第2円状部を測定することから、すでに他の校正対象が校正された状態で第2円状部を測定することとなる。その結果、第2円状部を測定する際に取得されるデータはz方向高さや対称性については正確なデータであり、この正確なデータに基づいて測定子オフセット量を校正するので、測定子オフセット量を正確に校正することができる。
【0021】
本発明の表面性状測定機の校正方法は、前記表面性状測定機の校正用治具を用いて表面性状測定機の校正を行う表面性状測定機の校正方法であって、前記段差部を測定した際のz方向高さの検出結果から前記変位検出手段のz方向検出を校正するz方向校正工程と、前記第1円状部を測定した検出結果から前記変位検出手段の検出の対称性を校正する対称性校正工程と、を備えた
ことを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、前記発明と同様の作用効果を奏することができる。つまり、z方向校正工程において、高さ既知の段差部を測定した結果から変位検出手段のz方向検出を校正する。対称性校正工程では、第1円状部を走査して得たデータから対称性の校正が行われる。これは例えば、第1円状部を走査して得たデータを円の式に基づく評価式に代入し、この評価式に最小自乗法を適用することが例示される。
段差部に続いて第1円状部が走査され、併せて段差部および第1円状部を走査した測定結果に対してz方向校正工程および対称性校正工程が自ずと実行されれば、ユーザー自身は、最初に校正用治具をセッティングしさえすればもはや表面性状測定機の傍にいる必要さえなく、校正を簡便に行うことができる。
【0023】
本発明の表面性状測定機の校正方法は、前記表面性状測定機の校正用治具を用いた表面性状測定機の校正方法であって、前記段差部を測定した際のz方向高さの検出結果から前記変位検出手段のz方向検出を校正するz方向校正工程と、前記第1円状部を測定した検出結果から前記変位検出手段の検出の対称性を校正する対称性校正工程と、前記第1円状部を測定した検出結果から前記測定子の被測定物表面に対するオフセット量を校正するオフセット量校正工程と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、前記発明と同様の作用効果を奏することができる。つまり、z方向校正工程および対称性校正工程が行われたのち、さらに、オフセット量校正工程において、測定子のオフセット量が校正される。測定子が第1円状部を走査した際の測定子の座標が求められるとすれば、測定子が描く軌跡は、第1円状部の半径に測定子のオフセット量分がオフセットされた値である。そこで、オフセット量校正工程では、第1円状部の半径が既知であれば、測定子の軌跡から第1円状部の半径を減じるなどにより、測定子のオフセット量を校正することができる。そして、z方向高さの検出および対称性の校正に加えて、測定子のオフセット量についても同時に校正することができ、この場合でも校正用治具のセッティングは一度で良いので簡便かつ短時間で校正することができ、またセッティング誤差を排することにより校正を正確に行うことができる。
【0025】
本発明の表面性状測定機の校正方法は、前記表面性状測定機の校正用治具を用いた表面性状測定機の校正方法であって、前記段差部を測定した際のz方向高さの検出結果から前記変位検出手段のz方向検出を校正するz方向校正工程と、前記第1円状部を測定した検出結果から前記変位検出手段の検出の対称性を校正する対称性校正工程と、前記第2円状部を測定した検出結果から前記測定子被測定物表面に対するオフセット量を校正するオフセット量校正工程と、を備えたことを特徴とする。
【0026】
このような構成によれば、前記発明と同様の作用効果を奏することができる。つまり、z方向校正工程および対称性校正工程のあと、さらに、オフセット量校正工程にて半径既知の第2円状部を測定した測定結果から測定子のオフセット量が校正される。
【0027】
本発明の表面性状測定機の校正プログラムは、前記表面性状測定機の校正用治具を用いた校正を行う前記表面性状測定機にコンピュータを組み込んで、このコンピュータに、前記段差部を測定した際のz方向高さの検出結果から前記変位検出手段のz方向検出を校正するz方向校正工程と、前記第1円状部を測定した検出結果から前記変位検出手段の検出の対称性を校正する対称性校正工程と、を自動的に実行させることを特徴とする。
【0028】
本発明の記録媒体は、前記表面性状測定機の校正用治具を用いた校正を行う前記表面性状測定機にコンピュータを組み込んで、このコンピュータに、前記段差部を測定した際のz方向高さの検出結果から前記変位検出手段のz方向検出を校正するz方向校正工程と、前記第1円状部を測定した検出結果から前記変位検出手段の検出の対称性を校正する対称性校正工程と、を自動的に実行させる表面性状測定機の校正プログラムを記録したことを特徴とする。
【0029】
このような校正によれば、測定子を所定の方向に走査すべく校正用治具をセッティングすれば、あとは自動的に校正用治具の段差部および第1円状部を走査してこのデータをもとに校正が行われる。従って校正を行うに当たっては、最初のセッティングのみを行えばよいので、非常に簡便に校正を行うことができる。
また、プログラムによってソフト的に処理するので、例えば、校正工程において校正対象とするパラメータを容易に変更することができる。
なお、このプログラムを記録した記録媒体をコンピュータに直接差し込んでプログラムをコンピュータにインストールしてもよく、記録媒体の情報を読み取る読取装置をコンピュータに外付けし、この読み取り装置からコンピュータにプログラムをインストールしてもよい。なお、プログラムは、インターネット、LANケーブル、電話回線等の通信回線や無線によってコンピュータに供給されてインストールされてもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
[表面性状測定機の構成]
まず、本発明の表面性状測定機の校正用治具を用いて校正される表面性状測定機の構成について説明する。
表面性状測定機は、図1に示されるように、被測定物11を載置するステージ2と、基端部311を支点として揺動可能に支持されたアーム3と、アーム3の他端側に設けられ揺動による円弧Cの略接線方向から被測定物11に接触する測定子41を先端に有するスタイラス4と、測定子41を被測定物表面に当接した状態でアーム3をx方向に移動させる移動手段5と、測定子41の変位量を検出する変位検出手段6、7と、変位検出手段6、7の検出結果に対してアーム3の揺動に起因するずれ量を補正して被測定物11表面の測定データを得る補正演算手段8と、補正演算手段8にて演算処理された結果を出力する出力手段としての表示部9を備えて構成されている。
【0031】
アーム3は、図2に示されるように、基端部311を揺動可能に支持された基軸部31と、この基軸部31の基線Aに平行かつ基線Aから若干のずれをもつ筋違いの継手32を介して基軸部31と一体化された腕部33とを備えている。
スタイラス4は、腕部33の基端部311側とは反対側である他端に腕部33に対して略直角をなして設けられている。スタイラス4の先端には、被測定物11に当接される測定子41が設けられている。すなわち、スタイラス4は、アーム3の揺動によって測定子41の先端により描かれる円弧Cの弦の方向に設けられ、測定子41は、腕部33の他端における円弧Cの接線方向から被測定物11に当接するものである。
【0032】
移動手段5は、基軸部31の基端部311を揺動可能に支持するxスライダ51と、このxスライダ51をx方向にガイドするxガイド軸52とを備えて構成されている(図1参照)。ここで、x方向とは、被測定物表面を走査する方向であり、少なくともアーム3の揺動面内に含まれ、アーム3の揺動角をゼロとしたときの基軸部31の基線A方向である。
変位検出手段は、基端部311のx方向の変位を検出する第1検出手段6と、アーム3の揺動によるz方向への変位をアーム3の途中点Dのz方向への直線変位量に基づいて検出する第2検出手段7とを備えて構成されている。
第1検出手段6は、xスライダ51の変位量からアーム3の基端部311の揺動中心の変位を検出するものであり、例えば、xスライダ51のxガイド軸52に沿った移動量を検出する光電式、静電容量式あるいは磁気式のエンコーダなどが例示される。
【0033】
第2検出手段7は、基軸部31の途中点においてこの途中点Dのz方向変位を検出するものであって、例えば、この途中点Dとともに一体的に移動する可動側電極71と、アーム3の揺動面に平行かつx方向に垂直に設けられ可動側電極71のz方向変位を検出するスケール72とを備えたエンコーダなどが例示される。ここで、z方向とは、x方向とは垂直方向であって、少なくともアーム3の揺動面内に含まれる方向である。
【0034】
補正演算手段8は、所定のパラメータを記憶したメモリ81と、所定の演算式に従って演算する演算部82とを備え、第1検出手段6および第2検出手段7での検出結果に基づいて被測定物表面の測定データを算出する。また、メモリ81に対して各パラメータを校正する校正演算部83が設けられているが、校正演算部83の動作については後述する。
【0035】
補正演算手段8は、第1検出手段6および第2検出手段7の検出結果から次のようにして被測定物表面の測定データを得る。
まず、アーム3の基準長Lを設定するための基準点Pを設定する。揺動角0度において、測定子41を通りZ軸に平行な線と基線Aとの交点を基準点Pとする。この基準点Pと基端部311の揺動中心との距離をアーム基準長Lとする。すると、アーム3の揺動角をゼロとするとき基準点Pのx座標(補正前x座標)は、第1検出手段6での検出結果からアーム基準長Lを減算したものとなる。そして、これは、アーム3の揺動角をゼロとするとき測定子41の中心点でのx座標に等しい値である。
【0036】
また、基端部311の揺動中心から途中点D(第2検出手段での検出点)までの距離をL0とすると、第2検出手段7での検出値がziのとき、基準点Pのz座標(補正前z座標)は、(第2検出手段の検出値zi)×(アーム基準長L)÷(基端部から途中点の距離L0)で算出される。したがって、第2検出手段7の検出値がziのとき、基準点Pのz座標は、所定のゲインgを用いてgziで求められる。
【0037】
このように、第1検出手段6の検出結果から、アーム3の揺動角をゼロとした場合の基準点Pのx座標を(補正前x座標)とし、また、第2検出手段7の検出値がziのときに基準点Pのz座標をgzi(補正前z座標)として求めたが、これら補正前x座標および補正前z座標に対して測定子41の座標がずれていることはもちろんであるので、次にこのずれを補正する補正量をx座標、y座標のそれぞれについて求める。
まず、基準点Pから測定子41までの長さを先端補正量hとする。そして、アーム3の揺動角がθのときの第2検出手段7での検出値がziであるとする。すると、図2の幾何学的関係より、アーム3の揺動角をθとするときの測定子41のx座標と補正前x座標とのずれ(x方向補正量)は次の式で表される。
【0038】
【数1】
【0039】
また、測定子41のz座標と補正前z座標とのずれ(z方向補正量)は、次の式で表される。
【0040】
【数2】
【0041】
よって、第1検出手段6および第2検出手段7での結果に式(1)および式(2)のずれ量を加味して測定子41の座標は求められる。
【0042】
補正演算手段8のメモリ81には、初期的に設定されたアーム基準長Lや、ゲインg、先端補正量hが記憶されている。または、前回の校正処理により校正されたアーム基準長Lや、所定ゲインg、先端補正量hが記憶されている。そして、まず演算部82は、第1検出手段6および第2検出手段7の検出結果とメモリ81に記憶されたパラメータを用いて式(1)および式(2)の演算を実行することにより、測定子41の座標を求める。
さらに、演算部82において、測定子41の半径(オフセット量)、測定子41の被測定物表面に対する接触角度、第2検出手段の検出値がゼロであるときの測定子41のz座標値(ゼロセットずれ量)等を加味して被測定物表面の測定データを得る。
【0043】
[表面性状測定機の校正用治具]
(第1実施形態)
次に、本発明の表面性状測定機の校正用治具にかかる第1実施形態ついて説明する。
図3(A)に校正用治具100の概観図を示し、図3(B)にこの校正用治具100の側面図を示す。
校正用治具100は、上面に平坦面111を有する基台部110と、基台部110に設けられ平坦面111に対して既知の高さHを有する段差部120と、基台部110に段差部120とは並設して設けられた第1円状部としての半球部130と、段差部120上に設けられ段差部120から半球部130の頂点Vに向かう方向を指し示す第1マーク140と、半球部130を間にして段差部120とは反対側に設けられ半球部130の頂点Vから段差部120に向かう方向を指し示す第2マーク150とを備えている。
【0044】
基台部110は、上面の大きな面に平坦面111を有する略扁平四角柱状である。なお、以後の説明のため、図3(A)中において、平坦面111の長手方向をa方向とし、短手方向をb方向とし、平坦面111に垂直な高さ方向をc方向と称する。
基台部110の上面において一端側に段差部120が設けられている。段差部120は、基台部110の上に重ねられた四角柱状である。なお、段差部120のb方向長さは基台部110のb方向長さよりも短く形成され、かつ、段差部120は、図3(A)中でb方向中心からやや奥よりに設けられている。つまり、図3(A)中で手前側には平坦面111が残っている。
【0045】
半球部130は、基台部110の上面においてa方向中央からやや他端よりに設けられている。半球部130の頂点Vと段差部120の中心とを結んだ方向は基台部110の長手方向(a方向)と略平行である。半球部130は、真球の半分が基台部110の上に重ねられた形である。半球部130の半径R1は既知である。なお、半球部130は、真球の真半分でなく、一部分をカットしたものであってもよいが、段差部120から見たときに上り斜面Suと下り斜面Sdの両者を有する。半球部130は、図3(A)中でb方向中心からやや奥よりに設けられており、図3(A)中で基台部110の手前側には、段差部120の横および半球部130の横を通って一端から他端まで平坦面111が残っている。
【0046】
第1マーク140は、段差部120の上面に標されたT字のマークであり、T字の縦棒141がa方向を示している。この第1マーク140のT字の縦棒141が示す方向は、この第1マーク140から半球部130の頂点Vに向かう方向である。
第2マーク150は、基台部110の上面において、半球部130よりも他端側に標されたT字のマークであり、第2マーク150のT字の縦棒151が示す方向は、半球部130の頂点Vから段差部120に向かっており、第1マーク140のT字の縦棒141が示す方向に一致する。すなわち、第1マーク140と第2マーク150とを結んだ線を含んで平坦面111に垂直な面内に、半球部130の頂点Vが位置している。
【0047】
この校正用治具100を用いた表面性状測定機1の校正方法について説明する。表面性状測定機1の校正に当たっては、校正用治具100をステージ2上に載置する。このとき、第1マーク140と第2マーク150とを結ぶ線は、アーム3の移動方向(x方向)に平行に設置される。すなわち、第1マーク140と第2マーク150とを結んだ線がXガイド軸52に平行である。なお、図3(A)中で手前側に残った平坦面111を測定子41で走査することにより校正用治具100がステージ2上で水平に載置されているか確認することができるので、校正用治具100をセッティングする前に予め水平度を確認しておくことが望ましい。
【0048】
次に、測定子41を第1マーク140上にセットする。そして、校正演算部83に予め設定された校正プログラムによる校正を実行させる。つまり、図3(B)に示されるように測定子41がx方向に移動され、所定ピッチで第1検出手段6および第2検出手段7での検出が行われ、この検出結果に基づいて校正演算部83による演算により、メモリ81に記憶されている各パラメータ、すなわち、ゲインg、先端補正量h、測定子半径rが校正される。
以下、測定子41の移動とともに各パラメータが校正される工程について説明する。
【0049】
まず、測定子41が段差部120の上面に続いて基台部110の平坦面111を走査する。段差部120の平坦面111に対する高さHは既知であるので、段差部120の上面を走査した際の測定子41のz座標と基台部110の平坦面111を走査した際の測定子41のz座標との差を段差部120の高さHに等しくすれば、ゲインgが校正される(z方向校正工程)。
【0050】
続いて、測定子41が半球部130を走査する。このときの測定子41の座標は、半球部130の表面を測定したデータであることから、円の式を満たすはずである。そこで、半球部130を測定した際のデータ(Xi、Zi)を円の式に基づく評価式に代入し、円の式を満たすように各パラメータを校正することで、対称性誤差が校正される。
【0051】
なお、評価式に代入するデータ(Xi、Zi)としては、補正演算手段8で得られる半球部130の表面データそのものとしてもよいが、簡略化することで計算量を低減させることができる。つまり、測定子の半径rは、半球部130の半径R1にオフセットされるだけであるので、考慮しなくてもよい。ただし、この場合、評価式中に現れる半径R’は、半球部の半径R1に測定子の半径rを加えたものであることに留意する。
x座標値については、半球部130の表面データからアーム長Lを減じるものとする。また、z座標値については、先端補正量hとゼロセットずれ量z0とを考慮せず、代わりに、半球部130の中心座標におけるz座標値zcから先端補正量hとゼロセットずれ量z0とが減じられるものとする。
以上の点に留意して、評価式に代入するデータ(Xi、Zi)は、次の式で表される。
【0052】
【数3】
【0053】
半球部130の断面の円について中心座標を(xc、zc)とし、この円の半径R1に測定子41の半径rを加えた値をR’とすると、評価式は次のように表される。
【0054】
【数4】
【0055】
評価式について最小自乗法を適用する。ここで、最小自乗法を適用するに当たっては、半球部130の断面の円についての中心座標(xc、zc)、半径R’および先端補正量hを校正対象とする。
すなわち、評価式fiの二乗和をsとするとき、このsを最小にする上記各パラメータの値を求める。すると、先端補正量hが校正される(対称性校正工程)。
【0056】
さらに、評価式に対する最小自乗法にて算出された半径R’は、半球部130の半径Rと測定子41の半径rとの和であるので、図4に示されるように、既知である半球部130の半径R1を半径R’から減じることにより、測定子半径rが校正される(半径値校正工程)。
以上により、ゲインg、先端補正量h、測定子半径rが校正され、メモリに記憶されたこれらパラメータの値が書き換えられる。
【0057】
被測定物11の表面性状測定に当たっては、まず被測定物11をステージ上に載置し、測定子41を被測定物表面に当接させる。移動手段5にてアーム3をx方向に移動させて、x方向への所定移動間隔ごとに第1検出手段および第2検出手段で検出が実行される。第1検出手段6および第2検出手段7での検出結果は、補正演算手段に送られ、メモリに記憶された各パラメータおよび補正式(1)(2)を用いた演算部82での演算により被測定物表面の測定データが求められる。この測定データは表示部9に表示され、被測定物表面の表面性状が求められる。
【0058】
以上、このような構成からなる第1実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
(1)段差部120、半球部130が並んで設けられ、測定子41をx方向に走査すれば自ずと段差部120に続いて半球部130が走査される。よって、校正用治具100は一度セッティングすればよく、取り替える手間を必要とない。その結果、校正に要する手間と時間を省き、校正を簡便に行うことができる。また、校正用治具100を取り替える必要がないので、セッティングの誤差を排して校正を精密に行うことができる。
【0059】
(2)第1マーク140および第2マーク150が設けられているので、測定子41が走査されるx方向を半球部130の頂点Vを通る方向に正確にセッティングすることができる。よって、半球部130を正確に半径既知の真円の一部として測定し、校正を精密に行うことができる。
半球部130は真球の半分であるので、測定子41が半球部130の頂点Vを通らなくても真円の一部としてのデータを得られるので、最小自乗法により先端補正量hについては校正を行うことが可能である。しかしながら、測定子41の半径を校正するためには半球部130の頂点Vを通って半球部130の半径Rに測定子41の半径rがオフセットされたデータを正確に得る必要がある。そこで、第1マーク140および第2マーク150の方向に従って半球部130の頂点を通って測定子41を走査させることにより、測定子41の半径rについても正確に校正することができる。
【0060】
(3)半球部130は、真球の半分であるので、仮に測定子41が頂点からずれて半球部130を走査した場合であっても真円のデータを得ることはできる。よって、測定子41の走査方向が第1マーク140および第2マーク150の方向からずれていた場合でも先端補正量hについては校正をおこない得るところ対称性誤差を校正することができる。この点、半球部130に代えて例えば円柱であった場合には、走査方向が円柱の軸に対して直角方向からずれてしまうと楕円のデータを取得してしまうので先端補正量hを校正することができず対称性誤差を校正することができない。
【0061】
(4)段差部120および半球部130が基台部110のb方向において片方に寄せて配置され、基台部110の上面に平坦面111が残されている。そして、校正用治具100をステージ2にセッティングする際にこの平坦面111を走査することにより、校正用治具100をステージ2に水平にセッティングすることができる。よって、校正用治具100のセッティングが正確に行えることから、段差部120および半球部130の走査が正確となり、その結果、校正を精密に行うことができる。
【0062】
(第2実施形態)
次に、図5を参照して、本発明の表面性状測定機1の校正用治具に係る第2実施形態について説明する。この校正用治具101の基本的構成は第1実施形態と同様であるが、第1円状部としての第1円柱部160に加えて、第2円状部としての第2円柱部170を備えているところに特徴がある。図5(A)は、第2実施形態の外観図であり、(B)は、第2実施形態の側面図である。
第2実施形態において、段差部120とはa方向に並設された第1円状部としての第1円柱部160が設けられているが、この第1円柱部160は、軸方向に切断された円柱の一部である。円柱の軸方向がa方向に対して略直交する向きで第1円柱部160は配置されている。円柱の軸方向長さ(b方向長さ)は基台部110のb方向長さに比べて短く形成され、第1円柱部160は、図4(A)中において奥側に配置されている。第1円柱部160をac平面で切断したときの円の半径は既知でなくてもよい。
【0063】
第2円柱部170は、段差部120および第1円柱部160とはa方向に並設され、第1円柱部160を挟んで段差部120とは反対側に設けられている。第2円柱部170は円柱であり、円柱の軸方向はa方向に対して略直交する方向である。第2円柱部170をac面で切断したときの円の半径値Rは既知である。第2円柱部170の半径が第1円柱部160の半径に比べて小さく形成されている。
なお、第2円柱部170の軸方向長さ(b方向長さ)は基台部110のb方向長さに比べて短く形成され、第2円柱部170は、図4(A)中において奥側に配置されている。すなわち、図4(A)中で基台部110の手前側には、段差部120の横、第1円柱部160の横および第2円柱部170の横を通って一端から他端まで基台部110の上面(平坦面111)が残っている。
【0064】
第1マーク140および第2マーク150が設けられている点は、第1実施形態と同様であるが、第2マーク150は、第2円柱部170を挟んで段差部120とは反対側に設けられている。
【0065】
第2実施形態を用いた表面性状測定機1の校正方法は、基本的に第1実施形態と同様であり、まず、校正用治具101をステージ2上に水平に載置して測定子41を第1マーク140にのせる。そして、既知である段差部120の高さHからゲインgが校正される。
次に、測定子41が第1円柱部160を走査したデータについて、第1実施形態と同様に円の式に基づく評価式の最小自乗法から校正を行う。すると、先端補正量hが校正される。
【0066】
ここで第1実施形態においては先端補正量hに加えてさらに測定子41の半径rについても校正を行うところであったが、第2実施形態において測定子41の半径rの校正は次段の第2円柱部170の測定データに基づいて行うものである。
つまり第2円柱部170を走査した際の測定子41の中心座標が算出されるとすれば、測定子41の中心座標が描く軌跡は、第2円柱部170の半径R2に測定子41の半径rがオフセットされたものとなる。そこで、測定子41の中心座標の軌跡に対して第2円柱部170の半径R2分を減算するなどにより、測定子41の半径rについて校正することができる。
【0067】
以上、このような構成からなる第2実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)(2)(4)に加えて、次の効果を奏することができる。
(5)第2円柱部170が段差部120および第1円柱部160の後段に設けられているので、段差部120および第1円柱部160にてz方向高さ検出や先端補正量h(対称性)について校正が行われたのちに第2円柱部170を走査することとなる。よって、測定子41の半径r以外については校正済みの状態で第2円柱部170を測定することになり、第2円柱部170を走査する際の測定子41の中心座標を正確に得ることができる。その結果、測定子41の半径rを正確に校正することができる。
【0068】
(6)第1円柱部160および第2円柱部170は、円柱形状であるのでb方向に傾斜を有さない形状である。よって、第1円柱部160および第2円柱部170の円柱の軸に正確に直交して測定子41を走査させることができる。第1実施形態の如く半球状であるとb方向に傾斜を有するため測定子41がb方向に滑ってしまう危険も考えられるところであるが、第2実施形態の如く円柱形状であれば測定子41の走査方向がx方向からずれてしまう心配が少ない。
【0069】
(7)第1円柱部160に比べて第2円柱部170の半径rが小さく形成されており、小さな半径の円柱である方が半径を精密に加工しやすい。第2円柱部170の半径が精密に加工されることにより、結果として測定子41の半径rの校正が正確に行われる。
また、第2円柱部170をピンゲージとすることで製造を容易とすることができるとともに汎用品を使用することができる。その結果、校正用治具101の製造コストを削減することができる。
【0070】
(変形例1)
次に、図6を参照して、本発明の表面性状測定機の校正用治具に係る変形例1について説明する。変形例1の基本的構成は第1実施形態および第2実施形態と同様であるが、第1円状部として半球部130を備え、第2円状部としての第2円柱部170を備えているところに特徴がある。
なお、半球部130については第1実施形態で説明した半球部130と同様である。第2円柱部170については、第2実施形態で説明した第2円柱部170と同様である。
このような構成によれば、上記実施形態の効果(1)から(5)(7)と同様の作用効果を奏することができる。
【0071】
尚、本発明の表面性状測定機の校正用治具、表面性状測定機の校正方法は、上記実施形態および変形例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、段差部120は基台部110から上方に高さHを有するものでなくても、逆にこの段差は基台部110を凹状にへこませて形成された凹部であってもよい。なお、この凹部の深さは既知でなければならないことはもちろんである。
【0072】
第1円状部および第2円状部についても基台部110に対して凹状にへこまされて形成されていてもよい。このとき、断面はもちろん真円の一部であり、さらに、測定子41の半径rを校正する場合には半径の値が既知でなければならない。
【0073】
第1実施形態において、半球部130の半径R1は既知であるものとして説明したが、測定子41の半径rについて校正を行わない場合には半球部130の半径R1は既知でなくてもよい。半球部130の半径はわからなくても先端補正量hについては校正をおこなって対称性誤差は校正できるからである。
【0074】
また、第2実施形態で第1円柱部160の半径は既知でなくてもよいとして説明したが、第1円柱部160の半径が既知であってもよい。この場合、第1円柱部160の既知の半径から測定子41の半径rについても校正しておいた上で、第2円柱部170を測定することにより校正の正しさを判定するようにしてもよい。そして、判定が正確でない場合には、自動的に測定子41を第1マークに帰還させて段差部120および第1円柱部160の走査から校正をやり直すようにしてもよい。
【0075】
第2実施形態において、第2円柱部170の測定データから測定子41の半径rを校正するに当たっては、第1実施形態に倣って円の式に基づく評価式に最小自乗法を適用してもよい。このとき、評価式中の半径R’は、第2円柱部170の半径R2と測定子41の半径rとの和であり、第2円柱部170の半径R2は既知であることから測定子41の半径rが校正される。
【0076】
第1円状部および第2円状部の形状は、球、円柱、半円柱、円筒、半円筒などでもよく、要は、断面に真円の一部を含み得る形状であれば特に限定されるものではない。
【0077】
第1マーク140および第2マーク150のT字の縦棒141、151は凹状の溝として形成されていてもよい。このような構成によれば、校正用治具100をセッティングする際に走査方向を合わせるのが簡単でかつ確実となる。
【0078】
測定子が被測定物表面に接触して走査する表面性状測定機を例にして説明したが、測定子が非接触で被測定物表面上を走査してもよい。
【0079】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の表面性状測定機の校正用治具および表面性状測定機の校正方法によれば、簡便に、かつ、短時間で表面性状測定機を校正できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面性状測定機の構成を示す図である。
【図2】アームの円弧運動によるずれの幾何学的関係を示す図である。
【図3】(A)本発明の表面性状測定機の校正用治具に係る第1実施形態を示す図である。(B)校正用治具の側面図である。
【図4】半球部を走査した際の測定子中心の描く軌跡を示す図である。
【図5】(A)本発明の表面性状測定機の校正用治具に係る第2実施形態を示す図である。(B)第2実施形態の側面図である。
【図6】本発明の表面性状測定機の変形例である。
【符号の説明】
1 表面性状測定機
3 アーム
5 移動手段
6 第1検出手段
7 第2検出手段
8 補正演算手段
41 測定子
83 校正演算部
100 校正用治具
110 基台部
111 平坦面
120 段差部
130 半球部(第1円状部)
140 第1マーク
150 第2マーク
160 第1円柱部(第1円状部)
170 第2円柱部(第2円状部)
Claims (8)
- 少なくとも被測定物表面上をx方向に走査されかつ前記被測定物表面の形状に従って前記被測定物表面の法線方向であるz方向に変位可能に設けられた測定子と、前記測定子を少なくともx方向に移動させる移動手段と、前記測定子の変位量を少なくともx方向およびz方向について検出する変位検出手段とを備えた表面性状測定機を校正する際に用いる表面性状測定機の校正用治具であって、
一面に平坦面を有する基台部と、
前記基台部に設けられ前記平坦面に対して既知の高さを有する段差部と、
前記段差部とは隙間を隔てかつ並設して前記基台部に設けられ前記段差部に交差しかつ前記平坦面に対して垂直な面内に真円の少なくとも一部を含む第1円状部と、
前記段差部から前記第1円状部を通って前記第1円状部の断面が真円の一部となる方向上で前記段差部上、あるいは、前記段差部から前記第1円状部を通って前記第1円状部の断面が真円の一部となる方向上で前記段差部を間にして前記第1円状部とは反対側、に設けられ前記第1円状部の断面が真円の一部となる方向を指し示す第1マークと、
前記段差部から前記第1円状部を通って前記第1円状部を真円の一部として切断する方向上で前記第1円状部を間にして前記段差部とは反対側に設けられ前記第1円状部を真円の一部として切断する方向を指し示す第2マークと、を備えた
ことを特徴とする表面性状測定機の校正用治具。 - 請求項1に記載の表面性状測定機の校正用治具において、
前記第1円状部の前記真円は半径が既知である
ことを特徴とする表面性状測定機の校正用治具。 - 請求項1に記載の表面性状測定機の校正用治具において、
前記段差部に対し前記第1円状部を間にして反対側、かつ、前記段差部および前記第1円状部とは並設して設けられ、前記段差部および前記第1円状部に交差し前記平坦面に垂直な面内に半径既知の真円の少なくとも一部を含む第2円状部を備えたことを特徴とする表面性状測定機の校正用治具。 - 請求項1に記載の表面性状測定機の校正用治具を用いて表面性状測定機の校正を行う表面性状測定機の校正方法であって、
前記段差部を測定した際のz方向高さの検出結果から前記変位検出手段のz方向検出を校正するz方向校正工程と、
前記第1円状部を測定した検出結果から前記変位検出手段の検出の対称性を校正する対称性校正工程と、を備えた
ことを特徴とする表面性状測定機の校正方法。 - 請求項2に記載の表面性状測定機の校正用治具を用いた表面性状測定機の校正方法であって、
前記段差部を測定した際のz方向高さの検出結果から前記変位検出手段のz方向検出を校正するz方向校正工程と、
前記第1円状部を測定した検出結果から前記変位検出手段の検出の対称性を校正する対称性校正工程と、
前記第1円状部を測定した検出結果から前記測定子の半径値を校正する測定子半径校正工程と、を備えた
ことを特徴とする表面性状測定機の校正方法。 - 請求項3に記載の表面性状測定機の校正用治具を用いた表面性状測定機の校正方法であって、
前記段差部を測定した際のz方向高さの検出結果から前記変位検出手段のz方向検出を校正するz方向校正工程と、
前記第1円状部を測定した検出結果から前記変位検出手段の検出の対称性を校正する対称性校正工程と、
前記第2円状部を測定した検出結果から前記測定子の半径値を校正する測定子半径値校正工程と、を備えた
ことを特徴とする表面性状測定機の校正方法。 - 請求項1に記載の表面性状測定機の校正用治具を用いた校正を行う前記表面性状測定機にコンピュータを組み込んで、このコンピュータに、
前記段差部を測定した際のz方向高さの検出結果から前記変位検出手段のz方向検出を校正するz方向校正工程と、
前記第1円状部を測定した検出結果から前記変位検出手段の検出の対称性を校正する対称性校正工程と、を自動的に実行させる
ことを特徴とする表面性状測定機の校正プログラム。 - 請求項1に記載の表面性状測定機の校正用治具を用いた校正を行う前記表面性状測定機にコンピュータを組み込んで、このコンピュータに、
前記段差部を測定した際のz方向高さの検出結果から前記変位検出手段のz方向検出を校正するz方向校正工程と、
前記第1円状部を測定した検出結果から前記変位検出手段の検出の対称性を校正する対称性校正工程と、を自動的に実行させる表面性状測定機の校正プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
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