JP6394970B2 - 測定機の校正方法及び校正用ゲージユニット - Google Patents

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Description

本発明は、測定機の校正方法及びその装置に係り、特にアームの先端に下向き触針と上向き触針とを備えた表面粗さ輪郭形状測定機等の測定機の校正方法及び校正に用いる校正用ゲージユニットに関する。
特許文献1及び特許文献2では、表面粗さ輪郭形状測定機において、従来、以下の手法に従って校正を実行している。
すなわち、段差寸法が既知の段差ゲージの2面を測定機の触針にてトレースし、測定機のLH(支点から触針先端までのX軸方向(水平方向)の距離(アームの長さ))又は感度によるZ軸方向(上下方向)の高さを校正している。また、半径寸法が既知のボールゲージの表面を前記触針でトレースし、測定機のLV(支点から触針先端までのZ軸方向(上下方向)の距離(離触針長さ))によるX軸方向の対称性を校正し、触針の先端半径値を校正している。
なお、ここでは、X軸とは水平軸を意味し、Z軸とは上下(鉛直)軸を意味し、Y軸とはX軸に直交する水平軸を意味する。また、X方向とは水平方向を意味し、Z方向とは上下(鉛直)方向を意味する。
特開平8−43078号公報 特開平10−332304号公報
しかしながら、特許文献1と特許文献2の校正方法では、板状の測定ワークの上面を下向き触針にてトレースして得られたデータと、下面を上向き触針にてトレースして得られたデータとに基づいて、測定ワークの厚さを測定する際に、それぞれの触針による測定データを合わせて形状を評価する場合には、十分な測定精度を得ることができないという問題があった。
以下、前記問題の発生原因について説明する。
図5は測定機の測定部の概略図である。同図によれば、アーム1が支点2を介してZ軸方向に揺動自在に設けられ、アーム1の基端には検出器3が取り付けられ、アーム1の先端には下向き触針4と上向き触針5とが取り付けられている。
このとき、アーム1が水平状態の下向き触針4の先端位置4A、上向き触針5の先端位置5Aを円弧補正の基準点として、下向き触針4ではX軸方向の円弧補正量ΔXdを0、Z軸方向の円弧補正量ΔZdをLVdとし、上向き触針5ではX軸方向の円弧補正量ΔXuを0、Z軸方向の円弧補正量ΔZuをLVuとしている。なお、「d」は「down」の略字であり、「u」は「up」の略字である。
下向き触針4と上向き触針5とを有する触針を用いて、上下それぞれの校正値を従来の校正方法に従い、別々に算出し、下向き触針4と上向き触針5とによって測定したデータを合わせて輪郭解析を行うと、以下の問題が発生した。
厚さが既知(公称値)のブロックゲージの厚さを測定したところ、公称値に対して数十μm程度の誤差が発生した。また、半径が既知のボールゲージの半径を測定したところ、最小二乗円の中心のX座標、Z座標がそれぞれ数十μm程度ずれることを確認した。これでは、下向き触針4のみ、又は上向き触針5のみで測定した場合と比較して精度が低下する。
上記誤差の発生原因は、図6の測定部の概略図に示すように、下向き触針4及び上向き触針5の、矢印Aで示すY軸回りの傾きによって、LHdとLHuに差ΔLHが生じるとき、特許文献1と特許文献2の校正方法による円弧補正では、下向き触針4と上向き触針5のX軸方向の原点にずれが生じるからである。つまり、特許文献1と特許文献2の校正方法では、X軸方向の原点と、Z軸方向の原点を一致させることができないので、高精度な測定を行うことができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、下向き触針と上向き触針とから得られた測定精度を保持しつつ、下向き触針と上向き触針とを合わせた測定においても、高精度な測定を行うことができる測定機の校正方法及び校正用ゲージユニットを提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、水平方向に移動自在に設けられた検出器と、前記検出器に設けられた支点に上下方向に揺動自在に支持されたアームと、前記アームの先端に設けられ前記アームの揺動方向に向けて延設された下向き触針及び上向き触針と、が備えられ、前記下向き触針及び前記上向き触針にてワークの表面をトレースしたときの前記検出器の水平方向移動量及び前記下向き触針及び前記上向き触針の上下方向変化量に基づき、ワークの表面粗さ及び輪郭形状を測定する測定機の校正方法において、半径値が既知のボールゲージの上側表面を前記下向き触針によってトレースして得られた真円度を示す第1のデータと円の対称性を示す第2のデータと、前記ボールゲージの下側表面を前記上向き触針によってトレースして得られた真円度を示す第3のデータと円の対称性を示す第4のデータと、段差寸法が既知の第1の段差ゲージを前記下向き触針によってトレースして得られた段差の偏差を示す第5のデータと、段差寸法が既知の第2の段差ゲージを前記上向き触針によってトレースして得られた段差の偏差を示す第6のデータと、対向する上下の測定面が上下方向に傾斜して配置され、厚さ寸法が既知の第1のブロックゲージの上面及び下面の前記測定面を、それぞれ前記下向き及び上向き触針によってトレースして得られた厚さの偏差を示す第7のデータと、対向する上下の測定面が水平方向に配置され、厚さ寸法が既知の第2のブロックゲージの上面及び下面の前記測定面を、それぞれ前記下向き及び上向き触針によってトレースして得られた厚さの偏差を示す第8のデータと、に基づき、前記第1のデータから前記第8のデータの二乗和が最小となるように、前記アームが水平状態における前記支点から前記下向き触針の先端までの水平方向の距離、前記支点から前記下向き触針の先端までの上下方向の距離である前記下向き触針の触針長さ、前記アームが水平状態における前記支点から前記上向き触針の先端までの水平方向の距離、及び前記支点から前記上向き触針の先端の上下方向の距離である前記上向き触針の触針長さを校正することを特徴とする測定機の校正方法を提供する。
本発明は、前記目的を達成するために、水平方向に移動自在に設けられた検出器と、前記検出器に設けられた支点に上下方向に揺動自在に支持されたアームと、前記アームの先端に設けられ前記アームの揺動方向に向けて延設された下向き触針及び上向き触針と、が備えられ、前記下向き触針及び前記上向き触針にてワークの表面をトレースしたときの前記検出器の水平方向移動量及び前記下向き触針及び前記上向き触針の上下方向変化量に基づき、ワークの表面粗さ及び輪郭形状を測定する測定機の校正用ゲージユニットにおいて、前記下向き触針によって上側表面がトレースされるとともに前記上向き触針によって下側表面がトレースされる半径値が既知のボールゲージと、前記下向き触針によってトレースされる段差寸法が既知の第1の段差ゲージと、前記上向き触針によってトレースされる段差寸法が既知の第2の段差ゲージと、対向する上下の測定面が上下方向に傾斜して配置され、厚さ寸法が既知の第1のブロックゲージであって、上面の前記測定面が前記下向き触針によってトレースされるとともに、下面の前記測定面が前記上向き触針によってトレースされる第1のブロックゲージと、対向する上下の測定面が水平方向に配置され、厚さ寸法が既知の第2のブロックゲージであって、上面の前記測定面が前記下向き触針によってトレースされるとともに、下面の前記測定面が前記上向き触針によってトレースされる第2のブロックゲージと、を備えたことを特徴とする測定機の校正用ゲージユニットを提供する。
本発明では粗さ輪郭形状測定機等の測定機において、以下のパラメータをより高精度に校正する校正方法及び校正用ゲージユニットを提案する。
a)LH1(アームが水平状態における支点から下向き触針の先端までの水平方向の距離又は上下方向感度)
b)LV1(支点から下向き触針の先端までの上下方向の距離である下向き触針の触針長さ)
c)LH2(アームが水平状態における支点から上向き触針の先端までの水平方向の距離又は上下方向感度)
d)LV2(支点から上向き触針の先端までの上下方向の距離である上向き触針の触針長さ)
e)下向き触針と上向き触針の測定データの座標原点のずれ
f)下向き触針の先端半径値
g)上向き触針の先端半径値
本発明の一態様によれば、第1のデータから第8のデータの二乗和が最小となるように、LH1、LV1、LH2、及びLV2を校正し、以下の校正値を得る。
〔校正値〕
a)LHd(LH1の校正値)
b)LVd(LV1の校正値)
c)LHu(LH2の校正値)
d)LVu(LV2の校正値)
e)Rd(下向き触針の先端半径値の校正値)
f)Ru(上向き触針の先端半径値の校正値)
LH1、LV1、LH2、及びLV2の校正値(LHd、LVd、LHu、LVu)を用いることで、下向き触針と上向き触針の水平方向の原点のずれを抑えることができる。よって、下向き触針と上向き触針とから得られた測定精度を保持しつつ、下向き触針と上向き触針とを合わせた測定においても、高精度な測定を行うことができる。
本発明の一態様は、前記第1のデータに基づいて前記下向き触針の先端半径値の校正を行い、前記第2のデータに基づいて前記上向き触針の先端半径値の校正を行うことが好ましい。
本発明の測定機の校正方法及び校正用ゲージユニットによれば、下向き触針と上向き触針とから得られた測定精度を保持しつつ、下向き触針と上向き触針とを合わせた測定においても、高精度な測定を行うことができる。
本発明が適用された表面粗さ輪郭形状測定機の測定部の構成図 図1に示した測定部の概略構成を示した側面図 実施形態の校正用ゲージユニットの全体斜視図 図3に示した校正用ゲージユニットを使用して校正値を取得する手順を示した説明図 測定機の測定部の概略構造図 触針がY軸回りに傾いた状態を示す測定部の概略構造図 実施例における校正値比較を示した表図 下向き触針によるボールゲージの測定結果を示した表図 下向き触針による段差ゲージの測定結果を示した表図 上向き触針によるボールゲージの測定結果を示した表図 上向き触針による段差ゲージの測定結果を示した表図 斜面ブロックゲージの測定結果を示した表図 水平ブロックゲージの測定結果を示した表図
以下、添付図面に従って本発明に係る測定機の校正方法及び校正用ゲージユニットの好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明が適用された表面粗さ輪郭形状測定機の測定部10の構成図である。
〔測定部10〕
測定部10は、ベース12に立設されたコラム14に送り装置16がZ軸(上下)方向に移動自在に設けられている。また、触針18を有し触針18のZ軸方向の変位を検出する検出器20が送り装置16にX軸(水平)方向移動自在に設けられている。
送り装置16には、検出器20のX軸方向の移動量を検出するスケール22が内蔵されている。これによって、不図示のワークの測定位置に触針18を当接した状態で検出器20をX軸方向に移動させ、ワークをトレースすると、触針18のZ軸方向の変位が検出器20にて検出され、かつ検出器20のX軸方向の移動量が送り装置16のスケール22にて検出されて、ワークの測定データが得られる。
ワークの測定データは、データ処理装置24によって演算され、ワークの輪郭形状を示す信号がコンピュータ26のディスプレイ28に出力され、ディスプレイ28に前記輪郭形状が表示される。
触針18は、アーム32の先端にT字状をなして固定されている。また、アーム32は、検出器20に設けられた支点30に上下方向に揺動自在に支持されている。触針18は、アーム32の揺動方向に向けて延設された下向き触針34と上向き触針36とから構成される。
図2は、触針18、検出器20、及びアーム32の構成を示した側面図である。
実施形態の測定部10では、データ処理装置24(図1参照)に予め記憶されている以下の設計値を校正することにより、高精度な測定を行う。
〔設計値〕
a)LH1(アーム32が水平状態における支点30から下向き触針34の先端34Aまでの水平方向の距離又は上下方向感度)
b)LV1(支点30から下向き触針34の先端34Aまでの上下方向の距離である下向き触針34の触針長さ)
c)LH2(アーム32が水平状態における支点30から上向き触針36の先端36Aまでの水平方向の距離又は上下方向感度)
d)LV2(支点30から上向き触針36の先端36Aの上下方向の距離である上向き触針36の触針長さ)
e)下向き触針34と上向き触針36の測定データの座標原点のずれ
f)下向き触針34の先端半径値
g)上向き触針36の先端半径値
図3は、実施形態の校正用ゲージユニット40の斜視図である。校正用ゲージユニット40を用いることにより、LH1、LV1、LH2、及びLV2を校正し、校正値であるLHd(LH1の校正値)、LVd(LV1の校正値)、LHu(LH2の校正値)、及びLVu(LV2の校正値)を得る。
実施形態の校正用ゲージユニット40は、図1に示した測定部10のベース12に載置される基台42を有し、基台42にはコラム44が上下方向に立設されている。コラム44の上端には、水平方向に延設されたゲージ保持部46が固定され、ゲージ保持部46には、マスターボール(ボールゲージ)48、第1の段差ゲージ50、第2の段差ゲージ52、斜面ブロックゲージ(第1のブロックゲージ)54、及び水平ブロックゲージ(第2のブロックゲージ)56が水平方向に並設されている。
図4は、図3に示した校正用ゲージユニット40を使用して、校正値(LHd、LVd、LHu、及びLVu)を取得する手順を示した説明図である。
〈マスターボール48及びマスターボール48の測定方法〉
マスターボール48は、半径値が既知のボールゲージである。
マスターボール48の上側表面を、下向き触針34によってトレースし、これによって得られた測定データ(a)を、評価関数の項(1)、(2)の如く、真円度(第1のデータ)及び円の対称性(第2のデータ)として取得する。また、マスターボール48の下側表面を、上向き触針36によってトレースし、これによって得られた測定データ(b)を、評価関数の項(3)、(4)の如く、真円度(第3のデータ)及び円の対称性(第4のデータ)として取得する。
〈第1の段差ゲージ50及び第2の段差ゲージ52及び第1の段差ゲージ50及び第2の段差ゲージ52の測定方法〉
第1の段差ゲージ50及び第2の段差ゲージ52は、中央に配置されたブロックゲージ58を共用する上下一対のブロックゲージ60、62を備える。第1の段差ゲージ50を構成するブロックゲージ58、60の上下方向の段差寸法は既知であり、第2の段差ゲージ52を構成するブロックゲージ58、62の上下方向の段差寸法も既知である。
ブロックゲージ58の上面を、下向き触針34にてトレースし、これによって得られた測定データ(c)と、ブロックゲージ60の上面を、下向き触針34にてトレースし、これによって得られた測定データ(d)とに基づき、評価関数の項(5)の如く、段差の偏差(第5のデータ)として取得する。
また、ブロックゲージ58の下面を、上向き触針36にてトレースし、これによって得られた測定データ(e)と、ブロックゲージ62の下面を、上向き触針36にてトレースし、これによって得られた測定データ(f)とに基づき、評価関数の項(6)の如く、段差の偏差(第6のデータ)として取得する。
〈斜面ブロックゲージ54及び斜面ブロックゲージ54の測定方法〉
斜面ブロックゲージ54は、厚さ寸法が既知のブロックゲージであり、任意の角度(たとえば上下方向において30度)に傾斜して配置される。
斜面ブロックゲージ54の上面(測定面)を、下向き触針34にてトレースし、これによって得られた測定データ(g)と、斜面ブロックゲージ54の下面(測定面)を、上向き触針36にてトレースし、これによって得られた測定データ(h)とに基づき、評価関数の項(7)の如く、厚さの偏差(第7のデータ)として取得する。前記上面及び前記下面は対向されている。
〈水平ブロックゲージ56及び水平ブロックゲージ56の測定方法〉
水平ブロックゲージ56は、厚さ寸法が既知のブロックゲージであり、その上面及び下面が水平方向に配置される。
水平ブロックゲージ56の上面(測定面)を、下向き触針34にてトレースし、これによって得られた測定データ(i)と、水平ブロックゲージ56の下面(測定面)を、上向き触針36にてトレースし、これによって得られた測定データ(j)とに基づき、評価関数の項(8)の如く、厚さの偏差(第8のデータ)として取得する。前記上面及び前記下面は対向されている。
〈データ処理装置24〉
図1のデータ処理装置24は、以下の1)〜5)の構成及び機能を備える。
1)LH1、LV1、LH2、LV2、下向き触針34の先端半径値、及び上向き触針36の先端半径値のそれぞれの設計値を入力するキーボード38とマウス39。
2)取得した図4の項(1)〜(8)の各測定データ(第1のデータから第8のデータ)を記憶する記憶部。
3)取得した図4の項(1)〜(8)の各測定データ(第1のデータから第8のデータ)の二乗和が最小となるようにLH1、LV1、LH2、LV2の校正値であるLHd、LVd、LHu、LVuを計算する計算部。
4)図4のデータ(a)に基づき下向き触針34の先端半径値、及びデータ(b)に基づき上向き触針36の先端半径値の各校正値を計算する計算部。
5)各計算部によって計算された校正値を記憶し、以降の測定において、校正値を考慮した測定を行うためのデータ処理部。
〔実施形態の校正用ゲージユニット40を用いた校正方法〕
実施形態の測定機では、データ処理装置24に入力されたLH1、LV1、LH2、LV2のパラメータをより高精度に校正する。
すなわち、図4の項(1)〜(8)の各測定データ(第1のデータから第8のデータ)の二乗和が最小となるように、LH1、LV1、LH2、及びLV2を校正計算し、LHd、LVd、LHu、LVuを得る。
得られた各校正値(LHd、LVd、LHu、LVu)を用いることによって、下向き触針34と上向き触針36の水平方向の原点のずれを抑えることができる。よって、下向き触針34と上向き触針36とから得られた測定精度を保持しつつ、下向き触針34と上向き触針36とを合わせた測定においても、高精度な測定を行うことができる。
以下、各校正の内容について詳説する。
〔マスターボール48を使用した校正〕
下向き触針34と上向き触針36のそれぞれの測定における、水平方向の対称性を校正する。校正パラメータのうち、特にLV1、LV2に誤差がある場合には、ボール状の形状の測定データ(a)、(b)が、頂点を中心に左右に非対称な歪が生じる。そこで、マスターボール48の測定データ(a)、(b)が、真円となるように校正パラメータを算出することで、歪を解消する。
〔第1の段差ゲージ50及び第2の段差ゲージ52を使用した校正〕
下向き触針34と上向き触針36のそれぞれの測定における、上下方向の指示精度を校正する。校正パラメータのうち、特にLH1、LH2に誤差がある場合には、上下方向の感度に誤差が生じるので、高さ測定に誤差が生じる。そこで、第1の段差ゲージ50及び第2の段差ゲージ52の測定データ(c)〜(f)が、既知の段差量(公称値)と等しくなるように校正パラメータを算出することで、高さ測定の誤差を解消する。
〔水平ブロックゲージ56を使用した校正〕
下向き触針34と上向き触針36とによって測定した測定データ(i)、(j)の相互の上下方向の空間精度を校正する。校正パラメータのうち、特にLVdとLVuに誤差がある場合には、水平に設置した水平ブロックゲージ56の厚さを下向き触針34と上向き触針36とによって挟んで測定した測定データ(i)、(j)の厚さに誤差が生じる。そこで、水平ブロックゲージ56の厚さの測定データ(i)、(j)が、既知の厚さ(公称値)と等しくなるように校正パラメータを算出することで、測定データ(i)、(j)の誤差を解消する。
〔斜面ブロックゲージ54を使用した校正〕
下向き触針34と上向き触針36とによってそれぞれ別々に測定した測定データ(g)、(h)の相互の水平方向の空間精度を校正する。校正パラメータのうち、LHd、LHu、LVd、LVuに誤差がある場合には、斜面ブロックゲージ54の厚さの測定データ(g)、(h)に誤差が生じる。斜面ブロックゲージ54は、斜めに配置されているため、本来、水平軸と上下軸の双方の空間精度の誤差が、測定データ(g)、(h)の誤差要因となるが、上下方向の空間精度は、前述の〔水平ブロックゲージ56の厚さ〕によって校正されるため、誤差要因は水平方向のみの空間精度の誤差であると推定できる。そこで、斜面ブロックゲージ54の厚さの測定データ(g)、(h)が、既知の厚さ(公称値)と等しくなるように校正パラメータを算出することで、測定データ(g)、(h)の誤差を解消する。
上記の如く、マスターボール48、第1の段差ゲージ50、第2の段差ゲージ52、斜面ブロックゲージ54、及び水平ブロックゲージ56を使用して、LH1、LV1、LH2、及びLV2の値を校正することにより、下向き触針34と上向き触針36とを合わせた測定においても、高精度な測定を行うことができる。
また、実施形態の校正方法によれば、図4のデータ(a)に基づき下向き触針34の先端半径値の校正値を得ることができ、データ(b)に基づき上向き触針36の先端半径値の校正値を得ることができる。
〔実施例〕
図7は、実施例における校正値比較を示した表図である。すなわち、校正前の設計値LH1、LV1、LH2、LV2に対する、従来手法による校正値(LHd、LVd、LHu、LVu)と本発明による校正値(LHd、LVd、LHu、LVu)がそれぞれ示されている。
図7によれば、設計値が350.000mmである、従来手法によるLH1の校正値LHd(mm)は350.237mmであり、本発明による校正値LHd(mm)は350.244mmであった。
また、設計値が−16.000mmである、従来手法によるLV1の校正値LVd(mm)は−14.031mmであり、本発明による校正値LVd(mm)は13.981mmであった。
また、設計値が350.000mmである、従来手法によるLH2の校正値LHu(mm)は350.225mmであり、本発明による校正値LHu(mm)は350.219mmであった。
また、設計値が16.000mmである、従来手法によるLV2の校正値LVu(mm)は18.035mmであり、本発明による校正値LVu(mm)は18.046mmであった。
図8は、下向き触針によるボールゲージの測定結果を示した表図である。
図8は、半径値が既知(6.3500mm)のボールゲージに対する校正前の半径値、及び真円度が示され、また、従来手法による半径値と真円度の校正値が示され、更に、本発明による半径値と真円度の校正値が示されている。
同図によれば、校正前の半径値は、6.3541mmであり、真円度は、0.0111mmであった。従来手法による半径値の校正値は、6.3500mmであり、真円度の校正値は、0.0004mmであった。本発明による半径値の校正値は、6.3500mmであり、真円度の校正値は、0.0004mmであった。
図8から、従来手法と本発明により算出した校正値をそれぞれ用いた、ボールゲージの測定結果に差異は無いと言える。
図9は、下向き触針による段差ゲージの測定結果を示した表図である。
図9は、段差寸法が既知(25.0000mm)の段差ゲージに対する校正前の段差が示され、また、従来手法による段差の校正値が示され、更に、本発明による段差の校正値が示されている。
同図によれば、校正前の段差は、24.9831mmであった。従来手法による段差の校正値は、24.9997mmであった。本発明による段差の校正値は、25.0002mmであった。
図9から、従来手法と本発明により算出した校正値をそれぞれ用いた、段差ゲージの測定結果は、既知の段差寸法に対する誤差がそれぞれ、|0.5|μmを下回る程度であるため、差異は無いと言える。
図10は、上向き触針によるボールゲージの測定結果を示した表図である。
図10は、半径値が既知(6.3500mm)のボールゲージに対する校正前の半径値、及び真円度が示され、また、従来手法による半径値と真円度の校正値が示され、更に、本発明による半径値と真円度の校正値が示されている。
同図によれば、校正前の半径値は、6.3517mmであり、真円度は、0.0114mmであった。従来手法による半径値の校正値は、6.3500mmであり、真円度の校正値は、0.0005mmであった。本発明による半径値の校正値は、6.3500mmであり、真円度の校正値は、0.0005mmであった。
図8から、従来手法と本発明により算出した校正値をそれぞれ用いた、ボールゲージの測定結果に差異は無いと言える。
図11は、上向き触針による段差ゲージの測定結果を示した表図である。
図11は、段差寸法が既知(25.0000mm)の段差ゲージに対する校正前の段差が示され、また、従来手法による段差の校正値が示され、更に、本発明による段差の校正値が示されている。
同図によれば、校正前の段差は、24.9845mmであった。従来手法による段差の校正値は、25.0001mmであった。本発明による段差の校正値は、24.9997mmであった。
図11から、従来手法と本発明により算出した校正値をそれぞれ用いた、段差ゲージの測定結果は、既知の段差寸法に対する誤差がそれぞれ、|0.5|μmを下回る程度であるため、差異は無いと言える。
図12は、斜面ブロックゲージの測定結果を示した表図である。
図12は、厚さが既知(4.0000mm)の斜面ブロックゲージに対する校正前の厚さが示され、また、従来手法による厚さの校正値が示され、更に、本発明による厚さの校正値が示されている。
同図によれば、校正前の厚さは、3.8449mmであった。従来手法による厚さの校正値は、3.9618mmであった。本発明による厚さの校正値は、4.0001mmであった。
図12から、従来手法と本発明により算出した校正値をそれぞれ用いた、斜面ブロックゲージの測定結果は、既知の厚さ寸法に対する誤差が、従来手法では−38.2μmなのに対し、本発明手法では0.1μmであり、大幅に改善していることがわかる。
図13は、水平ブロックゲージの測定結果を示した表図である。
図13は、厚さが既知(4.0000mm)の水平ブロックゲージに対する校正前の厚さが示され、また、従来手法による厚さの校正値が示され、更に、本発明による厚さの校正値が示されている。
同図によれば、校正前の厚さは、4.0060mmであった。従来手法による厚さの校正値は、3.9616mmであった。本発明による厚さの校正値は、4.0001mmであった。
図13から、従来手法と本発明により算出した校正値をそれぞれ用いた、水平ブロックゲージの測定結果は、既知の厚さ寸法に対する誤差が、従来手法では−38.4μmなのに対し、本発明手法では0.1μmであり、大幅に改善していることがわかる。
10…測定部、12…ベース、14…コラム、16…送り装置、18…触針、20…検出器、22…スケール、24…データ処理装置、26…コンピュータ、28…ディスプレイ、30…支点、32…アーム、34…下向き触針、36…上向き触針、38…キーボード、39…マウス、40…校正用ゲージユニット、42…基台、44…コラム、46…ゲージ保持部、48…マスターボール、50…第1の段差ゲージ、52…第2の段差ゲージ、54…斜面ブロックゲージ、56…水平ブロックゲージ、58、60、62…ブロックゲージ

Claims (3)

  1. 水平方向に移動自在に設けられた検出器と、前記検出器に設けられた支点に上下方向に揺動自在に支持されたアームと、前記アームの先端に設けられ前記アームの揺動方向に向けて延設された下向き触針及び上向き触針と、が備えられ、前記下向き触針及び前記上向き触針にてワークの表面をトレースしたときの前記検出器の水平方向移動量及び前記下向き触針及び前記上向き触針の上下方向変化量に基づき、ワークの表面粗さ及び輪郭形状を測定する測定機の校正方法において、
    半径値が既知のボールゲージの上側表面を前記下向き触針によってトレースして得られた真円度を示す第1のデータと円の対称性を示す第2のデータと、
    前記ボールゲージの下側表面を前記上向き触針によってトレースして得られた真円度を示す第3のデータと円の対称性を示す第4のデータと、
    段差寸法が既知の第1の段差ゲージを前記下向き触針によってトレースして得られた段差の偏差を示す第5のデータと、
    段差寸法が既知の第2の段差ゲージを前記上向き触針によってトレースして得られた段差の偏差を示す第6のデータと、
    対向する上下の測定面が上下方向に傾斜して配置され、厚さ寸法が既知の第1のブロックゲージの上面及び下面の前記測定面を、それぞれ前記下向き及び上向き触針によってトレースして得られた厚さの偏差を示す第7のデータと、
    対向する上下の測定面が水平方向に配置され、厚さ寸法が既知の第2のブロックゲージの上面及び下面の前記測定面を、それぞれ前記下向き及び上向き触針によってトレースして得られた厚さの偏差を示す第8のデータと、
    に基づき、前記第1のデータから前記第8のデータの二乗和が最小となるように、前記アームが水平状態における前記支点から前記下向き触針の先端までの水平方向の距離、前記支点から前記下向き触針の先端までの上下方向の距離である前記下向き触針の触針長さ、前記アームが水平状態における前記支点から前記上向き触針の先端までの水平方向の距離、及び前記支点から前記上向き触針の先端の上下方向の距離である前記上向き触針の触針長さを校正することを特徴とする測定機の校正方法。
  2. 前記第1のデータに基づいて前記下向き触針の先端半径値の校正を行い、前記第2のデータに基づいて前記上向き触針の先端半径値の校正を行う請求項1に記載の測定機の校正方法。
  3. 水平方向に移動自在に設けられた検出器と、前記検出器に設けられた支点に上下方向に揺動自在に支持されたアームと、前記アームの先端に設けられ前記アームの揺動方向に向けて延設された下向き触針及び上向き触針と、が備えられ、前記下向き触針及び前記上向き触針にてワークの表面をトレースしたときの前記検出器の水平方向移動量及び前記下向き触針及び前記上向き触針の上下方向変化量に基づき、ワークの表面粗さ及び輪郭形状を測定する測定機の校正用ゲージユニットにおいて、
    前記下向き触針によって上側表面がトレースされるとともに、前記上向き触針によって下側表面がトレースされる半径値が既知のボールゲージと、
    前記下向き触針によってトレースされる段差寸法が既知の第1の段差ゲージと、
    前記上向き触針によってトレースされる段差寸法が既知の第2の段差ゲージと、
    対向する上下の測定面が上下方向に傾斜して配置され、厚さ寸法が既知の第1のブロックゲージであって、上面の前記測定面が前記下向き触針によってトレースされるとともに、下面の前記測定面が前記上向き触針によってトレースされる第1のブロックゲージと、
    対向する上下の測定面が水平方向に配置され、厚さ寸法が既知の第2のブロックゲージであって、上面の前記測定面が前記下向き触針によってトレースされるとともに、下面の前記測定面が前記上向き触針によってトレースされる第2のブロックゲージと、
    を備えたことを特徴とする測定機の校正用ゲージユニット。
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