JP4098104B2 - 農作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、馬鈴薯,里芋,さつまいも,タマネギ,にんにく等の農作物を畑の畦土中から掘り出す農作物収穫機として、又はこれらの農作物が掘り出された後の畑の畦土上に置かれたものを拾い上げて回収する農作物拾い上げ機として使用できる農作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、馬鈴薯等の農作物の栽培では収穫時に一度農作物を畦土中より掘り出して数時間地上に露出させ、その後コンテナ等に収容する方法が一般的である。その理由としては、掘取り直後の農作物は十分に乾燥していないのでその表皮が柔らかく、そのままの状態で収穫すると表皮が剥げ落ちてその外観品質を著しく低下せしめ、農作物の商品価値が落ちてしまうからである。また、通常掘取り直後の農作物には多分に湿った土が付着して、そのままの状態でコンテナに詰めるとコンテナ内で多量の土が収穫物と混ざってしまうからである。
【0003】
そこで、通常は一度農作物を畦土中より掘り出して数時間地上に露出させ、農作物の表皮及び表皮に付着した土を乾燥させることによって、次のコンテナ収容作業を円滑にする農法が一般的である。しかしながら、この方法では一度地表に掘り出した農作物をその外観品質を損なうことなく収容しなければならないので、100%人手に頼る作業が一般的だった。従って、一度地表に掘り出した農作物をひとつひとつ手でつかんでコンテナに詰める作業はかなりの重労働であり、この重労働を低減できる拾い上げ作業の機械化が求められていた。
【0004】
これに対し、前記の農法を機械化した農作業機が開発されたが、先の掘取り後の農作物は地表に農作業機の作業幅に整然と並べられている訳ではなく、バラバラに散在しているのが現状である。従って、地表に散在している農作物を走行体(車輪・エンドレスクローラ等)で地表を移動する農作業機で作業すると、その走行体が地表に散在している農作物を踏み潰してしまうという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、畑を走行する走行機体の車輪で畦土上の農作物を踏み潰さないようにしながら拾い上げ又は収穫等の作業を行える農作業機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 農作物が土の表面に散在する畑上を車輪で走行しながら作業する農作業機において、前記車輪の前方に農作物を車輪に接触させないように車輪の横方向へ誘導する誘導板を設け、誘導板を操作レバーで持ち上げる持ち上げ手段を設け、しかも持ち上げ手段が、誘導板と操作レバーの間に所定長さに伸縮可能な連結部材を設け、誘導板の一定範囲の上下動が操作レバーに伝わらないようにし且つ未使用時には誘導板を持ち上げできるようにし、車輪で農作物を踏み潰さないようにしたことを特徴とする農作業機
2) 農作業機の機体の車輪前方位置に補助輪を上下動自在に取り付け、同補助輪の前方に誘導板を補助輪の軸受側に取り付け、誘導板が補助輪とともに畑の起伏に沿って上下動しながら農作物を円滑に誘導させるようにした前記1)記載の農作業機
3) 連結部材が所定の範囲で略くの字状に中折れ可能なアームである前記1)又は2)記載の農作業機
にある。
【0007】
【作用】
本発明によれば、車輪前方に畦土中又は畦土上の農作物を車輪に接触させないように車輪の横方向へ誘導させる誘導板を設けたから、畦土上に散在している農作物を走行中の車輪で踏み潰すことなく拾い上げ又は収穫等の作業が行える。
【0008】
【発明の実施の形態】
連結部材としては、略くの字状に中折れ可能なアーム,ワイヤー,ロープ,チェーン等の部材があり、走行機体の構造やコスト等に応じて任意に選ばれる。
【0009】
また、誘導板の平面形状は略V字状で、外側に弾性体と内側に剛性板とを積層させた構造のものが、確実に誘導できるとともに触れる農作物の傷付けないようにできる。その内側の剛性板の前方下部を略平行又は一部斜めに切欠くと、走行時に畦土の土圧で外側の弾性材の前方下部が剛性板の前記切欠部を覆うように変形することで誘導板の先端が畦土中に埋入しないようにできる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。図1〜8に示す実施例は、馬鈴薯を収穫する農作物拾い上げ収穫機に本発明を適用した例である。図1は実施例の農作物拾い上げ収穫機の側面図、図2は実施例の農作物拾い上げ収穫機の平面図,図3は実施例の誘導板の側面図、図4は実施例の誘導板の平面図、図5は実施例のリンク機構を示す説明図、図6は実施例の農作物拾い上げ収穫機の使用状態を示す平面図、図7は実施例の誘導板の動作を示す説明図、図8は実施例の誘導板の変形を示す説明図である。
【0011】
図中、1は走行機体であって、前方中央に原動機1aを有し、その両側に原動機1aの駆動力で回転するタイヤを用いた前輪1bを軸支し、後方にタイヤを用いた後輪1cを軸支し、後輪1cの上方に走行機体1を操作するブレーキレバーを備えたハンドル1dを取り付けている。
【0012】
図中、2は搬送コンベヤであって、原動機1aの駆動力で回転する大径の駆動チェーン車2aと小径の従動チェーン車2bとの間に一対の駆動チェーン2cを左右に掛架し、同駆動チェーン2c間に農作物の大きさより小間隔の複数の棒体2dを架設し、従動チェーン車2bにスキ先2eを突設し、同スキ先2eが下方となるように傾斜させて走行機体1の後方下部に取り付けている。
【0013】
図中、3は掻き込みコンベヤであって、左右に水平回動する一対のアーム3aの先端に複数の掻き込み羽根3bを放射状に備えた駆動体3cを原動機1aの駆動力で自転自在にそれぞれ軸支し、搬送コンベヤ2の前方上方に各駆動体3cが下方となるように傾斜させて軸支している。
【0014】
図中、4は第2搬送コンベヤであって、原動機1aの駆動力で回転する図示しない駆動チェーン車と従動チェーン車との間に一対の駆動チェーンを左右に掛架し、同駆動チェーン間に櫛歯状の水平な持ち上げ体4aを複数架設し、搬送コンベヤ2の終端部に略垂直となるように立設している。
【0015】
図中、5は誘導板であって、金属製の剛性板5aの下方外面に変形可能なゴム製の弾性板5bを積層して平面形状が前方へ鋭角に突出する略V字状となるように折曲し、剛性板5aの前方下部を一部斜めに切欠して切欠部5cを形成し、剛性板5aの内側先端部に車軸5eを備えた軸支体5dを取り付けてタイヤを用いた補助輪5fを軸支し、各前輪1bの軸部左右に上下動自在にそれぞれ軸支した各支持ステー5gの先端に垂設している。
【0016】
図中、6はリンク機構であって、各支持ステー5gに第1アーム6aを介して中央部が中折回動することで前後端が伸縮する伸縮アーム6bを後方に取り付け、同各伸縮アーム6bの後端に第2アーム6cと第3アーム6dを介して持ち上げ操作レバー6eを傾倒自在に取り付け、第2アーム6c及び持ち上げ操作レバー6eの途中を傾倒可能に軸支している。また、伸縮アーム6bの両側部と第2アーム6cの片側部には複数の穴を形成し、第1アーム6aと第2アーム6cの取り付け位置を任意に変更できるようにしている。
【0017】
図中、7は第2搬送コンベヤ4で持ち上げられた農作物を排出するシュート、8はシュート7で排出された農作物を回収する回収台、9は回収台8で回収された農作物を選別して収容するコンテナ、10はコンテナ9を載置するコンテナ台、11は農作物に付着した小石・砂がコンテナ9に落下しないように遮蔽するビニール製の可撓性シート、Gは畑の畦土、GDは畦溝、Pは馬鈴薯である農作物である。
【0018】
本実施例では、畦土G中から掘り出して畦土G上で所定時間風乾させた後、図1に示すように走行機体1の前輪1bと後輪1cを畦溝GDに配置するとともに、持ち上げ操作レバー6eを前方へ傾倒して各誘導板5を降下させて補助輪5fを接地させる。
【0019】
そして、原動機1aを作動させて搬送コンベヤ2と掻き込みコンベヤ3と第2搬送コンベヤ4を駆動させながら畦土G上を走行し、掻き込みコンベヤ3の掻き込み羽根3bで畦土G上の農作物Pを中央側へ寄せながらスキ先2eで拾い上げて搬送コンベヤ2で付着した土を篩い落としながら後上方へ搬送する。
【0020】
搬送コンベヤ2の終端部まで搬送された農作物Pは第2搬送コンベヤ4の持ち上げ体4aで上方へ持ち上げられ、シュート7で排出されて回収台8に回収され、選別しながらコンテナ9に収容され、これらの工程を継続することで畦土G上で風乾された農作物Pが次々に収穫される。
【0021】
ここで、農作物Pを畦土G中から掘り出して風乾させる際、農作物Pは畦土G上だけでなく車輪が通る畦溝GDにも転がって散在してしまうから、そのままの状態で走行機体1を走行させると畦溝GD上の農作物Pが前輪1bと後輪1cに踏み潰されて収穫率が低下する。
【0022】
しかし、本実施例では図6に示すように前輪1bの前方に略V字状の誘導板5を設けているから、その誘導板5の先端で畦溝GD上に散在した農作物P群を分割するように補助輪5fの両側へ誘導させることで踏み潰されることがなく、誘導板5の外面に農作物Pが接触しても外側は弾性板5bで構成されているから傷付けない。
【0023】
また、図7(a),(b)に示すように畦溝GDの起伏に沿って伸縮アーム6bの中央部が中折れしたり元に戻ることで誘導板5及び補助輪5fが支持ステー5gの軸支点を基端に上下動し、抵抗を受けることなく円滑に走行して農作物Pが誘導される。このとき、第1アーム6aと第2アーム6cの取り付け位置を調整して誘導板5の下側への傾動を畦溝GDの状態に応じて所定範囲に規制すると、誘導板5が必要以上に下側へ向いて地中に埋入してしまうことを防止できる。
【0024】
さらに、図8に示すように剛性板5aの前方下部を切欠しているから、弾性板5bが畦土Gとの抵抗で切欠部5cを覆うように後方へ変形し、誘導板5の先端下部が畦土G中に埋入することなく走行機体1が円滑に走行できる。
【0025】
図9に示すのは、実施例の誘導板の他の例である。図9は実施例の他の例の誘導板の側面図である。実施例の他の例では、図9に示すように剛性板5aの下端を長手方向に渡って略平行に切欠いている。従って、弾性板5bが畦土Gとの抵抗で切欠部5cを覆うように全体が内側へ変形し、実施例と比較してより抵抗を低減して走行機体1が更に円滑に走行できる。その他、符号、構成は実施例と同じである。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば車輪で畦土上の農作物を踏み潰さないようにしながら拾い上げ又は収穫等の作業を行い得る農作業機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の農作物拾い上げ収穫機の側面図である。
【図2】実施例の農作物拾い上げ収穫機の平面図である。
【図3】実施例の誘導板の側面図である。
【図4】実施例の誘導板の平面図である。
【図5】実施例のリンク機構の動作を示す説明図である。
【図6】実施例の農作物拾い上げ収穫機の使用状態を示す平面図である。
【図7】実施例の誘導板の動作を示す説明図である。
【図8】実施例の誘導板の変形を示す説明図である。
【図9】実施例の他の例の誘導板の側面図である。
【符号の説明】
1 走行機体
1a 原動機
1b 前輪
1c 後輪
1d ハンドル
2 搬送コンベヤ
2a 駆動チェーン車
2b 従動チェーン車
2c 駆動チェーン
2d 棒体
2e スキ先
3 掻き込みコンベヤ
3a アーム
3b 掻き込み羽根
3c 駆動体
4 第2搬送コンベヤ
4a 持ち上げ体
5 誘導板
5a 剛性板
5b 弾性板
5c 切欠部
5d 軸支体
5e 車軸
5f 補助輪
5g 支持ステー
6 リンク機構
6a 第1アーム
6b 伸縮アーム
6c 第2アーム
6d 第3アーム
6e 持ち上げ操作レバー
7 シュート
8 回収台
9 コンテナ
10 コンテナ台
11 可撓性シート
G 畦土
GD 畦溝
P 農作物
Claims (3)
- 農作物が土の表面に散在する畑上を車輪で走行しながら作業する農作業機において、前記車輪の前方に農作物を車輪に接触させないように車輪の横方向へ誘導する誘導板を設け、誘導板を操作レバーで持ち上げる持ち上げ手段を設け、しかも持ち上げ手段が、誘導板と操作レバーの間に所定長さに伸縮可能な連結部材を設け、誘導板の一定範囲の上下動が操作レバーに伝わらないようにし且つ未使用時には誘導板を持ち上げできるようにし、車輪で農作物を踏み潰さないようにしたことを特徴とする農作業機。
- 農作業機の機体の車輪前方位置に補助輪を上下動自在に取り付け、同補助輪の前方に誘導板を補助輪の軸受側に取り付け、誘導板が補助輪とともに畑の起伏に沿って上下動しながら農作物を円滑に誘導させるようにした請求項1記載の農作業機。
- 連結部材が所定の範囲で略くの字状に中折れ可能なアームである請求項1又は2記載の農作業機。
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