JP4097330B2 - ゴム変性スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来のゴム変性スチレン系樹脂組成物に比較し透明性に優れ、特に、シートとした場合の透明性、耐折強度、耐油性等の特性に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴム変性スチレン系樹脂は、剛性、成形性、寸法安定性等に優れるという非変性スチレン系樹脂の特性に加え、耐衝撃性が付与され、家電機器、OA機器をはじめ、食品包材、玩具等の各種成形品の材料として広範に使用されている。しかしながら、ゴム変性スチレン系樹脂は、衝撃強度の付与と引き替えに、非変性のスチレン系樹脂に比べて透明性が劣り、透明性を要求される用途への使用は制限されていた。特に、食品包材等の用途では、ゴム変性スチレン系樹脂の特性はそのままに、加えて、内容物が確認できるような透明性の高い成形品を提供できる樹脂の開発が求められてきた。
【0003】
ゴム変性スチレン系樹脂が透明性を失うのは、連続相をなしているスチレン系樹脂と分散相をなしているゴム状物質との屈折率に差があることに帰因する。そこで、この点に着目して、ゴム変性スチレン系樹脂を製造する際に、メタアクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルをスチレン系単量体に共重合させ、連続相を成すスチレン−アクリル系樹脂の屈折率とゴム状物質の屈折率とを一致させ、透明性を実現する技術が特開平4−180907号公報、特開平4−224849号公報、特開平4−277508号公報、特開平6−16744号公報、特開平8−92329号公報等に開示されている。しかしながら、これらの方法では、確かに透明性に関しては従来のゴム変性スチレン系樹脂と比較し格段に優れているが、スチレン系単量体以外に第2の単量体としてアクリル酸アルキルエステルを共重合させるために原材料費のコストアップを招くだけでなく、製造上の煩雑さや、既存設備の改造や設備の新設を余儀なくされ、比較的安価であることが特徴の一つでもある従来のゴム変性スチレン系樹脂に比較し、製造コストが高くなってしまうといった欠点があった。
【0004】
一方、第2の単量体を共重合させることなく、ゴム変性スチレン系重合体の透明性を向上させようとする試みも行われている。例えば、特開昭46−15017号公報、特開昭54−37906号公報では、ゴム状物質としてスチレン−ブタジエン共重合体を用いる方法が開示されている。この方法では、確かに透明性は向上するものの、スチレン−ブタジエン共重合体を単独で用いているため衝撃強度が低く、特にゴム状物質のガラス転移温度の上昇による低温下での強度低下が著しいという欠点があった。また、特開平2−34612号公報、特開平2−34613号公報、特開平2−34614号公報では、ゴム状物質としてスチレン−ブタジエンブロック共重合体を用いる方法が開示されている。しかしながら、この方法では分散したゴム状物質が小粒径化することが避けられず、衝撃強度が低く、特にシートとした場合の耐折強度が低くなるという欠点があった。また、低温下での強度にも問題があった。さらに、特開平9−12810号公報では、透明性改質剤として、グリセリン脂肪酸エステルを添加する方法が開示されている。しかし、この方法では透明性改善効果が小さく、また、スチレン系樹脂とスチレン−ジエン系ブロック共重合体のブレンドを用いているため、強度が不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、スチレン系単量体に第2の単量体を共重合させることなく、透明性に優れ、特に、シート化した場合の耐折強度、耐油性等の特性に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定のゴム状物質を特定の比率でスチレン系単量体に溶解させ、重合させて成るゴム変性スチレン系樹脂にミネラルオイルを配合した樹脂組成物であって、かつ、該樹脂組成物中のゴム状粒子の粒子径、ジエン系単量体単位の重量割合、およびミネラルオイルの含有量を規定することにより、上記課題を解決し得ることを見い出し本発明を完成するに至った。
【0007】
〔A〕ゴム状物質として、ポリブタジエン(A−1)を、スチレン系単量体に溶解し、次いでこれを重合させてなるゴム変性スチレン系樹脂に、ミネラルオイルを含有させてなるゴム変性スチレン系樹脂組成物であって、〔B〕該ゴム変性スチレン系樹脂を得るに当たり、ゴム状物質およびスチレン系単量体の重合器への仕込み条件が下記(B−1)〜(B−3)の条件を全て満たすものであり、かつ、〔C〕得られた該ゴム変性スチレン系樹脂組成物が、下記(C−1)〜(C−3)の条件を全て満たすものであることを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組成物に関する。
(B−1) ゴム状物質として用いた重合体(A−1)の各重量の全ゴム状物質重量に対する割合をそれぞれW1 、W2 、・・・ Wi、・・・ Wn 重量%とし、また重合体(A−1)の各スチレン系単量体単位の重量割合をそれぞれS1 、S2 、・・Si 、・・・ Sn 重量%とした場合、下記式で表されるSの値が0〜15重量%の範囲にある。
S=Σ(Wi ×Si )/ΣWi
(B−2) ゴム状物質として用いた重合体(A−1)の温度20℃で測定した屈折率をそれぞれn1 、n2 、・・ni 、・・・ nnとし、スチレン系単量体からなる重合体の温度20℃測定した屈折率をnP とした場合、下記式で表されるFn の値が0.068以下である。
n =|nP −Σ(ni ×Wi )/ΣWi |但し、Wi は前記のとおり、重合体(A−1)の各重量の全ゴム状物質重量に対する割合を示し(以後同じ意味で使用する)、また||は絶対値を示す。
(B−3) ゴム状物質として用いた重合体(A−1)の温度25℃で測定した5重量%スチレン溶液粘度をη1 、η2 、・・ηi 、・・ηn センチポイズ(cP)とした場合、下記式で表されるFηの値が100〜400cPの範囲にある。
Fη=Σ(ηi ×Wi )/ΣWi(C−1) 該ゴム変性スチレン系樹脂組成物中で粒子状に分散しているゴム状物質の体積平均粒子径が1.0〜5.0μmの範囲にある。
(C−2) 該ゴム変性スチレン系樹脂組成物中で粒子状に分散しているゴム状物質に含まれるジエン系単量体単位の重量が、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物重量に対して5〜10重量%である。
(C−3) 該ゴム変性スチレン系樹脂組成物中のミネラルオイル含有量が〜3重量%である。
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明のスチレン系単量体としては、スチレンが一般的であるが、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどの核アルキル置換スチレン、p−クロロスチレンなどの核ハロゲン化スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレンをいい、これらから1種が選ばれる。本発明においてはとくにスチレンが好ましい。
【0009】
本発明に用いるゴム状物質は、ジエン系単量体からなる重合体(A−1)を1種類以上、または重合体(A−1)の1種類以上とスチレン系単量体1〜50重量%及びジエン系単量体99〜50重量%からなる共重合体(A−2)から選ばれた1種類以上との混合物である。重合体(A−1)を使用せず、共重合体(A−2)のみをゴム状物質として選択すると、得られた樹脂組成物の衝撃強度が低いものとなる。
【0010】
ジエン系単量体としては、ブタジエンが一般的であるが、イソプレン、クロロプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上併用して重合することによりジエン系単量体からなる重合体(A−1)が得られる。
【0011】
ジエン系単量体とスチレン系単量体との共重合体(A−2)としては、スチレン−ブタジエン共重合体が一般的であるが、前述のスチレン系単量体およびジエン系単量体を各々1種類以上組み合わせて重合させることにより、種々のランダムあるいはブロック共重合体が得られ、これらを用いることができる。
【0012】
本発明において、ゴム状物質として用いた重合体(A−1)あるいは共重合体(A−2)の各重量の全ゴム状物質重量に対する割合をそれぞれW1 、W2 、・・・・Wi 、・・・ Wn 重量%とし、また重合体(A−1)あるいは共重合体(A−2)各重量中のスチレン系単量体単位の重量割合をそれぞれS1 、S2 、・・Si 、・・・ Sn 重量%とした場合、下記式で表されるSの値が0〜15重量%の範囲にあることが必要である。
S=Σ(Wi ×Si )/ΣWi
Sの値が15重量%を超える場合、即ち、ゴム状物質中のスチレン系単量体単位の全含有量がゴム状物質全重量の15重量%を超えると、得られるゴム変性スチレン系樹脂組成物は耐折強度および耐油性が低下する。また、ゴム状物質のガラス転移温度の上昇による成形品の低温強度の低下が著しい。
【0013】
本発明において、ゴム状物質として用いる重合体(A−1)あるいは共重合体(A−2)の温度20℃で測定した屈折率をn1 、n2 、・・・ ni 、・・nn とし、スチレン系単量体の重合体の20℃で測定した屈折率をnP とした場合、下記式で示されるFn の値が0.068以下となる様に重合体(A−1)あるいは共重合体(A−2)を適宜選択する必要がある。
n =|nP −Σ(ni ×Wi )/ΣWi
但し、Wi の示す意味は前記のとおりである。また||記号は絶対値を示す。
n が0.068を超えると、得られるゴム変性スチレン系樹脂組成物は、その成形品の透明性が低下する。
【0014】
ここで、ゴム状物質の屈折率n1 、n2 、・・・ ni 、・・nn は、該ゴム状物質を0.5mm以下の薄片とし、下記に示す方法で測定することができる。
測定装置: アタゴ社製、NAR−1T型
試験片 : 0.5mm以下の薄片
温度 : 20℃
また、スチレン系単量体の重合体の屈折率nP は、用いたスチレン系単量体の種類に基づいて、例えばポリマーハンドブック(Polymer Handbook、3rd Edition 、VI、451 −461 頁)のような文献より知ることができる。
【0015】
さらに、本発明においてゴム状物質として用いる重合体(A−1)あるいは共重合体(A−2)は、各々のゴム状物質の温度25℃で測定した5重量%スチレン溶液粘度をη1 、η2 、・・・ ηi 、・・ηn cPとした場合、下記式で示されるFηの値が100〜400cPの範囲に入るように重合体(A−1)あるいは共重合体(A−2)を適宜選択する必要がある。
Fη=Σ(ηi ×Wi )/ΣWi
Fηが100cP未満である場合は、ゴム状物質による補強効果が小さくなり、衝撃強度が低いものとなる。また、Fηが400cPを超えると、ゴム状物質をスチレン系単量体に溶解する工程に過大な動力と時間を要し、製造上好ましくない。
【0016】
また、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、該スチレン系樹脂相中に粒子状に分散しているゴム状物質( 以後、ゴム状粒子という) の体積平均粒子径を1.0〜5.0μmの範囲に制御する必要がある。ゴム状粒子の体積平均粒子径が1.0μm未満では、ゴム状物質による押出成形品(シート)の補強効果が小さくなり、衝撃強度や耐折強度が著しく低いものとなる。耐油性についても低下する傾向がある。反対に、5.0μmを超えると、剛性が低くなるだけでなく、成形品の表面が粗くなり実用的でない。なおゴム状粒子を構成しているゴム状物質は、重合反応に際し重合器に仕込んだゴム状物質の相当部分がスチレン系単量体の重合反応でグラフトされており、当然、仕込み当初のゴム状物質と同一のものを指すわけではない。
ゴム状粒子の体積平均粒子径は、用いるゴム状物質の種類や重合時の仕込み組成の他、重合温度、攪拌の強弱などによって変わり、一義的に決めるのは困難であるが、重合温度、攪拌の強弱などの条件をトライアンドエラー法で選定することにより、本発明の規定する範囲に設定できる。
【0017】
ここで、ゴム状粒子の体積平均粒径の測定方法について説明する。即ち、ゴム変性スチレン系樹脂組成物のペレット2〜3粒を室温でジメチルホルムアミド約30mLに完全に溶解させ、得られた該溶液試料を下記の粒度分布測定装置の試料注入口に所用量注入して行った。得られた粒径分布の体積統計値のメジアン径をゴム状粒子の体積平均粒子径とした。
測定装置: コールター社製、レーザー回折方式粒子アナライザー LS−230型
溶媒: ジメチルホルムアミド
【0018】
さらに、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、該ゴム変性スチレン系樹脂中に占めるジエン系単量体単位の含有量が5〜10重量%である。ジエン系単量体単位の含有量が10重量%を超えると、剛性および透明性が低下する。また、5重量%未満では耐衝撃性が低下し、特にシートの耐折強度および耐油性の低下が著しい。
【0019】
ここで、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物中のジエン系重合体の含有量は以下の方法により測定した。すなわち、ゴム変性スチレン系樹脂組成物をクロロホルムに溶解させ、一定量の一塩化ヨウ素/四塩化炭素溶液を加え暗所に放置した。約1時間経過後、ヨウ化カリウム溶液を加え、過剰の一塩化ヨウ素を0.1Nチオ硫酸ナトリウム/エタノール水溶液で滴定し、付加した一塩化ヨウ素量からジエン系重合体の含有量を求めた。
【0020】
さらに、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物中のミネラルオイル含有量は1〜3重量%である。ミネラルオイル含有量が3重量%を超えると、透明性の低下が著しい。また、ミネラルオイル含有量が1重量%未満では、シートの耐折強度が著しく低下する。また、シートの耐油性も低下する。
【0021】
上記ミネラルオイルとしては、特に限定するものではないが、ASTM D1160により測定した10mmHg減圧下における2.5重量%留出点が240℃以上であるものが好ましい。
【0022】
ここで、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物中のミネラルオイル含有量の測定について説明する。ミネラルオイル含有量はつぎの手順によった。即ち、得られた該樹脂組成物を凍結粉砕して微細粉末とし、これを約5g採り石油エーテルを適量加えてミネラルオイル分をソックスレー抽出し、該抽出分を石油エーテルより分離後、 1H−NMRを測定して求めた。
測定装置: 日本電子社製、FX−90Q型
【0023】
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物には必要に応じて滑剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、強度補強剤、などの添加剤等を加えることができる。
【0024】
次に、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法について説明する。最初に本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物を構成するゴム変性スチレン系樹脂の製造方法について説明する。
該ゴム変性スチレン系樹脂の製造方法は、本発明の用件が満足されていれば特に制限されるものではないが、公知の塊状重合法、あるいは塊状−懸濁重合法等により得ることができる。
【0025】
以下、塊状重合法および塊状−懸濁重合法の実施方法について述べる。塊状重合法においては、ゴム状物質をスチレン系単量体に溶解させ、必要に応じて溶剤を加え、熱重合の場合には100〜200℃で、触媒重合の場合には60〜180℃で加熱重合が実施される。重合終了後、未反応のスチレン系単量体や溶剤等は減圧下加熱除去し、次いで通常は押出機で押出してゴム変性スチレン系樹脂のペレットを得る。
【0026】
塊状−懸濁重合法においては、前半の反応を塊状重合で行い、後半の反応を懸濁重合で行うもので、先の塊状重合法の場合と同様に、ゴム状物質をスチレン系単量体に溶解させたものを熱重合あるいは触媒重合にて、スチレンの通常50重量%以下まで部分的に重合が実施される。次いで、この部分的に重合した混合物を懸濁安定剤またはこれと界面活性剤の両者の存在下、攪拌下、水性媒体中に分散させ、重合反応を完結させる。重合終了後、洗浄、乾燥させ、必要に応じて押出機により通常のペレット形状とされる。
【0027】
いずれの方法でも、ゴム状物質を適宜選択し、重合反応時の仕込み組成と、攪拌速度、温度、可塑剤量、連鎖移動剤量などを調整することにより、本発明の条件を満足するゴム変性スチレン系樹脂を得ることができる。
【0028】
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、前記ゴム変性スチレン系樹脂にミネラルオイルを配合してなる。配合方法についてはとくに規定はなく、例えばヘンシェルミキサー等のブレンダーによりゴム変性スチレン系樹脂とミネラルオイルをドライブレンドする方法が挙げられる。他に、前記ゴム変性スチレン系樹脂の製造時において、その重合開始前、重合途中、あるいは重合終了後のいずれか1つ以上の段階でミネラルオイルを配合してゴム変性スチレン系樹脂の製造と同時に該樹脂組成物とする方法も挙げられるが、この方法は一般にミネラルオイルの損失を伴うので、含有量を確認するための分析操作が欠かせない。
【0029】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。最初に、実施例および比較例に示されたデータの測定方法、評価方法を、既に説明した以外のものについて説明する。
【0030】
(1)衝撃強度:ASTM D256に基づき、試験片にVノッチを入れ、ノッチの下部を固定してハンマーで叩き、試験片を破断するのに要したエネルギーより衝撃強度を求めた。
測定装置: 東洋精機社製、全自動衝撃試験機
測定条件: ハンマー30kg・cm/cm、持ち上げ角150度
試験片 : 縦63.5×横12.7×厚6.4mm
Vノッチ: 試験片の一端より31.8mmの位置に深さ2.54mm、開き角45度、先端0.25R
(2)衝撃強度(低温): 温度−20℃にて試験片を一昼夜放置後、同温度下で、前記と同様の方法にて測定を実施した。
(3)曲げ弾性率: ASTM D790に基づき、試験片を装置に装着し中央に荷重を加え、試験片が破壊するまで測定を続けた。得られた応力−たわみ曲線から曲げ弾性率を求めた。
測定装置: A&D社製、テンシロン RTM−100型
試験片 : 縦123.8mm×横12.7mm×厚6.4mm
(4)全光線透過率: JIS K7105に基づき、試験片を装置に設置し、厚さ方向に測定を行った。全光線透過率が大きいほど、透明性は高いと判断される。
測定装置: 日本電色工業社製、COLOR AND DIFFERENCEMETER 1001DP型
試験片 : 縦120mm×横40mm×厚1.0mm
(5)シート耐折強度: 押出成形機により、厚さ0.35mmのシートを成形し、所定の大きさの試験片を10片切り取った。JIS P8115の「紙及び板紙のMIT型試験機による耐折強さ試験方法」に準拠し、短冊状の試験片を1.0kgfの張力をかけて装置に装着し、左右に各々120゜の繰り返し折り曲げ、試験片が切断するまでの曲げ回数を測定した。
押出機 : 田辺プラスチックス機械社製、エキストルーダーVE−40型単軸押出機
巻取機 : 田辺プラスチックス機械社製、S500型シート引取・巻取機
試験機 : 東洋精機社製、MIT耐揉疲労試験機 MIT−D型
試験片 : 縦15mm×横110mm×厚0.35mm(押出し方向と同一の方向を縦方向と定義)
【0031】
(6)シート耐油性
前記(5)に記載した押出成形機により、厚さ0.5mmのシートを成形し、下記記載の大きさの試験片を15片切り取った。切り取った試験片を5片ずつ3グループに分け、23℃、湿度50%の恒温恒湿室内で、図1に示すホルダーに試験片を装着した。試験片の中央部に1cmの幅でガーゼを2重に巻き、各グループ毎に下記油脂類▲1▼〜▲3▼をガーゼに0.5mLずつ塗布した。1日1回、一定の間隔で同一の油脂を塗布し続け、10日間試験片の状態を観察した。破断の有無を下記基準で判定し、評価した。
試験片: 縦15mm×横180mm×厚0.5mm(押出し方向と同一の方向を縦方向と定義)
塗布油▲1▼:昭和産業社製、サラダ油、▲2▼:雪印乳業社製、北海道バター(商品名)、▲3▼:東京めいらく社製、ニュースジャータP(商品名)
〔判断基準〕
○・・・・全15片中、クラックが発生したものなし、
△・・・・全15片中、クラックが発生したものが1〜4片、
×・・・・全15片中、クラックが発生したものが5片以上
【0032】
参考例1
ゴム状物質として、20℃で測定した屈折率1.5243、25℃で測定した5重量%スチレン溶液粘度202cPであるポリブタジエン(宇部興産社製、ウベポールBR−22H(商品名))3.8重量部、およびスチレン含有量25%、20℃で測定した屈折率1.5399、25℃で測定した5重量%スチ レン溶液粘度85cPであるスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成社製、タフデン2100AS(商品名))1.9重量部を、スチレン86.8重量部に溶解させ、ミネラルオイルを2.5重量部、および溶剤としてエチルベンゼン5.0重量部を加え、原料液とした。この原料液をギヤポンプにて毎時12kgの速度で、内容積20Lの完全混合槽型反応器(以下、CSTRとする)に連続的に供給した。同時に、重合開始剤1,1−ビス(ターシャリブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを原料液100重量部に対して0.01重量部の割合で、プランジャーポンプにてCSTRに連続的 に供給し、重合液の温度を125℃に制御した。CSTR出口での固形分量は30重量%であった。次いで、CSTRより取り出された重合液を内容積42Lの塔型反応器(以下、PFRとする)に供給した。同時に、滑剤としてステアリン酸亜鉛を重合液100重量部に対して0.05重量部の割合でプランジャーポン プにて連続的に供給し、重合液の温度を120℃〜170℃まで連続的に上昇させた。PFR出口での固形分量は80重量%であった。次いで、PFRから取り出された重合液を、脱揮装置に供給し、未反応の単量体や溶剤などの揮発成分を分離後、押出機で押出し通常のペレット形状とした。得られた製品の物性を表1 に示す。
【0033】
参考例2
ゴム状物質として、参考例1で使用したポリブタジエン(宇部興産社製、ウベポールBR−22H(商品名))3.0重量部、およびスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成社製、タフデン2100AS(商品名))3.0重量部を、スチレン87.0重量部に溶解させ、ミネラルオイルを2.0重量部、および 溶剤としてエチルベンゼン5.0重量部を加え、原料液としたこと以外は、参考例1と同様の方法で行った。得られた製品の物性を表1に示す。
【0034】
実施例
ゴム状物質として、参考例1で使用したポリブタジエン(宇部興産社製、ウベポールBR−22H(商品名))5.2重量部を、スチレン87.8重量部に溶解させ、ミネラルオイルを2.0重量部、および溶剤としてエチルベンゼン5.0重量部を加え、原料液としたこと以外は、参考例1と同様の方法で行った。得られた製品の物性を表1に示す。
【0035】
比較例1
ゴム状物質として、20℃で測定した屈折率1.5202、25℃で測定した5重量%スチレン溶液粘度170cPであるポリブタジエン(旭化成社製、ジエン55AS(商品名))5.2重量部を、スチレン87.8重量部に溶解させ、ミネラルオイルを2.0重量部、および溶剤としてエチルベンゼン5. 0重量部を加え、原料液としたこと以外は、参考例1と同様の方法で行った。得られた製品の物性を表1に示す。
【0036】
比較例2
ゴム状物質として、参考例1で使用したポリブタジエン(宇部興産社製、ウベポールBR−22H(商品名))2.1重量部、およびスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成社製、タフデン2100AS(商品名))4.2重量部を、スチレン86.7重量部に溶解させ、ミネラルオイルを2.0重量部、および溶剤としてエチルベンゼン5.0重量部を加え、原料液としたこと以外は、参考例1と同様の方法で行った。得られた製品の物性を表1に示す。
【0037】
比較例3
ゴム状物質として、20℃で測定した屈折率1.5202、25℃で測定した5重量%スチレン溶液粘度85cPであるポリブタジエン(旭化成社製、ジエン35AS(商品名))5.2重量部を、スチレン87.8重量部に溶解させ、ミネラルオイルを2.0重量部、および溶剤としてエチルベンゼン5.0重量部を加え、原料液としたこと以外は、参考例1と同様の方法で行った。得られた製品の物性を表2に示す。
【0038】
比較例4
ゴム状物質として、参考例1で使用したポリブタジエン(宇部興産社製、ウベポールBR−22H(商品名))3.0重量部、およびスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成社製、タフデン2100AS(商品名))3.0重量部を、スチレン84.5重量部に溶解させ、ミネラルオイルを4.5重量部、および溶剤としてエチルベンゼン5.0重量部を加え、原料液としたこと以外は、参考例1と同様の方法で行った。得られた製品の物性を表2に示す。
【0039】
比較例5
ゴム状物質として、参考例1で使用したポリブタジエン(宇部興産社製、ウベポールBR−22H(商品名))2.8重量部、およびスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成社製、タフデン2100AS(商品名))0.8重量部を、スチレン88.9重量部に溶解させ、ミネラルオイルを2.5重量部、および溶剤としてエチルベンゼン5.0重量部を加え、原料液としたこと以外は、参考例1と同様の方法で行った。得られた製品の物性を表2に示す。
【0040】
比較例6
ゴム状物質として、参考例1で使用したポリブタジエン(宇部興産社製、ウベポールBR−22H(商品 名))3.8重量部、およびスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成製、タフデン2100AS(商品名))1.9重量部を、スチレン89.3重量部に溶解させ、溶剤としてエチルベンゼン5.0重量部を加え、原料液としたこと以外は、参考例1と同様の方法で行った。得られた製品の物性を表2に示す。
【0041】
比較例7
ゴム状物質として、参考例1で使用したスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成製、タフデン2100AS(商品名))7.0重量部を、スチレン86.0重量部に溶解させ、ミネラルオイルを2.0重量部、および溶剤としてエチルベンゼン5.0重量部を加え、原料液としたこと以外は、参考例1と同様の方法で行った。得られた製品の物性を表2に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004097330
【0043】
【表2】
Figure 0004097330
【0044】
【発明の効果】
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、従来のゴム変性スチレン系樹脂組成物に比較し透明性に優れ、特に、シートとした場合の透明性、耐折強度、耐油性等の特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明においてシート耐油性試験に使用したホルダーに試験片を装着したところを横から見た概略説明図である。図中の寸法の単位はmmである。
【図1】

Claims (3)

  1. 〔A〕ゴム状物質として、ポリブタジエン(A−1)を、スチレン系単量体に溶解し、次いでこれを重合させてなるゴム変性スチレン系樹脂に、ミネラルオイルを含有させてなるゴム変性スチレン系樹脂組成物であって、〔B〕該ゴム変性スチレン系樹脂を得るに当たり、ゴム状物質およびスチレン系単量体の重合器への仕込み条件が下記(B−1)〜(B−3)の条件を全て満たすものであり、かつ、〔C〕得られた該ゴム変性スチレン系樹脂組成物が、下記(C−1)〜(C−3)の条件を全て満たすものであることを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組成物。
    (B−1) ゴム状物質として用いた重合体(A−1)の各重量の全ゴム状物質重量に対する割合をそれぞれW1 、W2 、・・・ Wi、・・・ Wn 重量%とし、また重合体(A−1)の各スチレン系単量体単位の重量割合をそれぞれS1 、S2 、・・Si 、・・・ Sn 重量%とした場合、下記式で表されるSの値が0〜15重量%の範囲にある。
    S=Σ(Wi ×Si )/ΣWi
    (B−2) ゴム状物質として用いた重合体(A−1)の温度20℃で測定した屈折率をそれぞれn1 、n2 、・・ni 、・・・ nnとし、スチレン系単量体からなる重合体の温度20℃測定した屈折率をnP とした場合、下記式で表されるFn の値が0.068以下である。
    n =|nP −Σ(ni ×Wi )/ΣWi |但し、Wi は前記のとおり、重合体(A−1)の各重量の全ゴム状物質重量に対する割合を示し(以後同じ意味で使用する)、また||は絶対値を示す。
    (B−3) ゴム状物質として用いた重合体(A−1)の温度25℃で測定した5重量%スチレン溶液粘度をη1 、η2 、・・ηi 、・・ηn センチポイズ(cP)とした場合、下記式で表されるFηの値が100〜400cPの範囲にある。
    Fη=Σ(ηi ×Wi )/ΣWi(C−1) 該ゴム変性スチレン系樹脂組成物中で粒子状に分散しているゴム状物質の体積平均粒子径が1.0〜5.0μmの範囲にある。
    (C−2) 該ゴム変性スチレン系樹脂組成物中で粒子状に分散しているゴム状物質に含まれるジエン系単量体単位の重量が、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物重量に対して5〜10重量%である。
    (C−3) 該ゴム変性スチレン系樹脂組成物中のミネラルオイル含有量が〜3重量%である。
  2. 請求項1記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物からなることを特徴とするシート
  3. 請求項2記載のシートを成形して成ることを特徴とする成形体。
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