JP4096711B2 - 回路基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路部品が実装された基板に、樹脂と無機フィラーの混合物を組み合わせて、放熱性を向上させた回路基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高性能化、小型化の要求に従い、回路部品の高密度、高機能化が一層叫ばれている。そのため、回路部品の高密度化、高機能化に対応した回路基板が要求されている。その結果、回路部品の放熱を高める方法が重要となってきている。回路部品の放熱性を高める技術として、従来のアルミ板を切削加工したものを部品実装している回路基板に貼り付け、部品の天面から熱を拡散する方式が知られている。しかし、この方式では、複数の部品の天面にアルミ板を接触させるためにはアルミ板に複雑な加工をする必要があり、コストが高くなるという課題を残している。
【0003】
さらに、図面を用いて説明する。図4は従来の回路基板を示す概略側面図であり、一般的にはアルミ板を切削加工した放熱板401を部品実装済みの回路実装基板107に熱伝導性接着剤110を用いて貼り付け、部品108の天面から熱を拡散する方式が知られている。しかし、この方式ではすべての部品の天面にアルミ板を接触させるためには、アルミ板に複雑な切削加工をする必要があり、コストが高くなるという課題を残している。
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報として次のものがある(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−46049号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の金属板の貼り付け方法は、性能及びコストの面で両立させることが難しい。回路部品実装済み基板では、回路部品の実装密度が高密度になればなるほど部品から発生する熱を放熱させる必要が高くなるが、従来の金属板の貼り付け方法では複数の部品の天面に接触できるような放熱板を作るのはその加工方法が切削加工によるため、非常に手間がかかり、コストが高くなる。したがって、一部の部品、または、部分的な接触で妥協することが多く、結果として十分に放熱をすることができず、回路部品実装済み基板の信頼性が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するため、放熱性に対して高効率の回路基板とその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の回路基板は、無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材との混合物からなり、それが加熱される前は軟体であるため、容易にそれが組み合わされる回路基板の回路部品の天面に当接するように成形することができる。したがって、多数の回路部品の天面に接触することにより高い放熱効果と、成形方式による複雑な形状を容易に形成することができ、生産性の高い製造方法を提供するものである。
【0009】
また、上記回路基板では回路部品から発生する熱が、無機フィラーによって速やかに放熱されるため、信頼性の高い回路部品実装基板が得られるだけでなく、無機フィラーの材質を選択することによって、回路の特性に合わせてこの電気絶縁性を持つ放熱用基板の熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧等を変化させることができる。
【0010】
また、回路基板の片面に回路パターンを形成したり、貫通孔を形成することにより、部品内蔵モジュールを容易に形成することができる。
【0011】
特に、本発明の請求項1に記載の発明は、回路実装基板に複数の回路部品を実装し、これらの回路部品の外形高さより小さい凹部を有するように、型を用いて無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材の混合物からなる半硬化状態のシートを成形し、次にこの半硬化状態のシートを型から取り外した後、加熱硬化して放熱用基板を形成し、この放熱用基板を、回路実装基板の部品実装表面との間に空間を有するように配置するとともに、放熱用基板の凹部内天面に回路部品の天面を当接させ、この回路部品の天面と放熱用基板の凹部内天面とを接着剤で装着する工程を有した回路基板の製造方法とした。
これにより本発明は、混合物が加熱される前は軟体であるため、容易にそれが組み合わされる回路部品の外面と当接するように成形することができる。また、放熱用基板の凹部高さが、それに対応する回路部品の外形高さより小さく、放熱用基板と回路実装基板の部品実装表面との間には空間を有するため、放熱用基板を回路基板へ組み込む際に、放熱用基板の各凹部が、回路基板に実装された回路部品の各天面(上面)に当接し、密着して装着できるので、放熱性の高い放熱用基板が容易に提供できる。
さらに回路部品から発生する熱が、凹凸形状に成された混合物の無機フィラーによって速やかに放熱されるため、信頼性の高い回路部品実装基板が得られる。また、無機フィラーの材質を選択することによって、回路の特性に合わせて電気絶縁性高放熱封止材の熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧等を変化させることができるという効果を奏する。
また本発明は、複数の回路部品を実装した回路実装基板と、回路実装基板の部品実装表面側に配設された放熱用基板とを備えた回路基板であって、放熱用基板は、硬化された、無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材との混合物からなるとともに、放熱用基板は、回路部品の外形高さより小さい凹部を有し、回路部品は、少なくともその天面を凹部内天面に当接されて装着され、放熱用基板と回路実装基板の部品実装表面との間には空間を有する回路基板とすれば、放熱用基板は熱伝導度が高く、また回路部品から発生する熱は、回路部品の天面に当接するように凹凸形状に成された混合物の無機フィラーによって速やかに放熱されるため、信頼性の高い回路部品実装基板が得られる。
また、放熱用基板の凹部高さが、それに対応する回路部品の外形高さより小さく、放熱用基板と回路実装基板の部品実装表面との間には空間を有するため、放熱用基板を回路基板へ組み込む際に、放熱用基板の各凹部が、回路基板に実装された回路部品の各天面(上面)に当接し、密着して装着できるので、放熱性の高い放熱用基板が容易に提供できる。
さらに、無機フィラーの材質を選択することによって、回路の特性に合わせて電気絶縁性高放熱封止材の熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧等を変化させることができるという効果を奏する。
【0012】
また本発明は、複数の回路部品を実装した回路実装基板と、前記回路実装基板の部品実装表面側に配設した、前記回路部品の外形高さより小さい凹部を有する無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材の混合物からなる放熱用基板と、からなる回路基板であって、前記回路部品は少なくともその天面を前記放熱用基板の凹部に装着した回路基板とした構成であり、回路部品から発生する熱が、凹凸形状に成された混合物の無機フィラーによって速やかに放熱されるため、信頼性の高い回路部品実装基板が得られる。さらに、無機フィラーの材質を選択することによって、回路の特性に合わせて電気絶縁性高放熱封止材の熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧等を変化させることができるという効果を奏する。
【0013】
また本発明は、複数の回路部品を実装した回路実装基板と、前記回路実装基板の部品実装表面側に配設した、凹部を有する無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材の混合物からなる放熱用基板と、からなる回路基板であって、前記回路部品は、前記回路部品の外形高さより小さい前記放熱用基板の凹部に装着した回路基板とした構成であり、回路部品から発生する熱が、凹凸形状に成された混合物の無機フィラーによって速やかに放熱されるため、信頼性の高い回路部品実装基板が得られる。さらに、無機フィラーの材質を選択することによって、回路の特性に合わせて電気絶縁性高放熱封止材の熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧等を変化させることができるという効果を奏する。
【0014】
また本発明は、複数の回路部品を実装した回路実装基板と、前記回路実装基板の部品実装表面側に配設した、前記回路部品の外形高さより小さい凹部を有する無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材の混合物からなる放熱用基板と、からなる回路基板であって、前記凹部は回路部品に当接させそのまま硬化させた回路基板とした構成であり、回路部品から発生する熱が、凹凸形状に成された混合物の無機フィラーによって速やかに放熱されるため、信頼性の高い回路部品実装基板が得られる。さらに、無機フィラーの材質を選択することによって、回路の特性に合わせて電気絶縁性高放熱封止材の熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧等を変化させることができるという効果を奏する。
【0015】
また本発明は、複数の回路部品を実装した回路実装基板と、前記回路実装基板の部品実装表面側に配設した、前記回路実装基板における複数の回路部品に基づく構造形状に対応した凹凸形状を有する無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材の混合物からなる放熱用基板と、からなる回路基板であって、前記放熱用基板の凹部は、前記回路部品の外形高さより小さく、前記回路部品は前記放熱用基板の凹部に接着剤を用いて装着した回路基板とした構成であり、回路部品から発生する熱が、凹凸形状に成された混合物の無機フィラーによって速やかに放熱されるため、信頼性の高い回路部品実装基板が得られる。さらに、無機フィラーの材質を選択することによって、回路の特性に合わせて電気絶縁性高放熱封止材の熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧等を変化させることができるという効果を奏する。
【0016】
さらに本発明は、放熱用基板の一方の面に導電パターンを有した回路基板とすれば、導電パターンにより放熱性を向上させ、放熱特性の優れた回路基板を実現することができるという効果を奏する。
【0017】
また上記導電パターンは、混合物に埋め込まれた金属板とすれば、埋め込まれた金属板により放熱効果を向上させることができる効果を奏する。
【0018】
また上記導電パターンは、銅箔よりなる構成の場合、銅は熱伝導率が高く、また導電性にも優れているため、放熱効果を高めるとともに、微細なパターンを形成することができる。また、板厚を厚くすれば、大電流を流すことができるという効果を奏する。
【0019】
さらに本発明は、表裏面を貫通し、導電性を有するスルーホールを備えた回路基板を用いた構成とすれば、放熱用基板にスルーホールが形成されていることにより、回路部品内蔵モジュールが得られる。この場合、回路部品から発生する熱が、無機フィラーによって速やかに放熱されるため、信頼性の高い回路部品内蔵モジュールとなる。また、半導体素子を含む多層の回路部品モジュールでは、絶縁層を厚くとれるため、ノイズ低減、損失低減ができる。また、多層構造にすることによって、さらに高密度に回路部品を実装することができるだけでなく、回路を多段に分けることによって配線インダクタンスが低くなり、ノイズを低減することができる。また、スルーホールに導電性樹脂組成物が充填されているか又は銅メッキによるスルーホールを形成し、さらにその両面に金属の配線パターンが形成されていることが好ましい。なぜなら、金属の配線パターンは電気抵抗が低く、低損失の回路を実現することができるからである。
【0020】
また本発明は、放熱用基板は、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、フェノール樹脂及びシアネート樹脂から選ばれる少なくとも1つの熱硬化性樹脂を含む構成とすることにより耐熱性や電気絶縁性に優れた回路基板を実現することができる。
【0021】
また本発明は、前記無機フィラーがAl2O3,MgO,BN,AlN及びSiO2から選ばれる少なくとも1つの無機フィラーを含む構成とすることによって、放熱性に優れた電気絶縁性基板が得られる。また、無機フィラーとしてMgOを用いた場合は電気絶縁性基板の線膨張係数を大きくすることができる。また、無機フィラーとしてSiO2を用いた場合は電気絶縁性基板の誘電率を小さくすることができる。また、無機フィラーとしてBNを用いた場合は電気絶縁性基板の線膨張係数を小さくすることができる。
【0022】
また本発明は、前記フィラーの平均粒子径が0.1〜100μmである構成とすれば、粒子径が小さいほど樹脂への充填率が高くでき、熱伝導率を向上することができる。
【0023】
また本発明は、電気絶縁性基板の線膨張係数が8×10-6/℃〜20×10-6/℃である構成とすれば、硬化後の反りや歪を小さくできるだけでなく、基板自体の熱膨張係数が導電パターンやスルーホールと近いため、基板が高温化した場合でも導電パターンやスルーホールの導電路が断線しにくくなる。
【0024】
また本発明は、混合物は、分散剤、カップリング剤及び離型剤から選ばれる少なくとも1つの添加剤をさらに含む構成とすることによって、熱硬化性樹脂中の無機フィラーを均一性よく分散させることができる。また、カップリング剤によって、熱硬化性樹脂と無機フィラーとの接着強度を高くすることができるため、電気絶縁性封止材の絶縁性を向上できる。離型剤によって、金型と混合物との離型性を向上できるため、生産性を向上できる。
【0025】
また本発明は、回路部品の天面に導電性接着剤を形成し、放熱用基板を接着する構成とすれば、回路部品の天面と放熱用基板とを確実に結合することにより、回路部品から発生する熱を高効率に放熱用基板に伝え放熱することができるという作用効果を奏する。
【0026】
また本発明は、回路実装基板に導電パターンを設けて複数の回路部品を実装し、前記回路実装基板における複数の回路部品に基づく構造形状に対応した凹部を有するように、無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材の混合物からなる半硬化状態のシートを成形して放熱用基板を形成し、前記放熱用基板の、前記回路部品の外形高さより小さい凹部内天面に前記回路部品を当接させるように前記放熱用基板を前記回路実装基板に加熱して装着する工程を有した回路基板の製造方法であり、混合物が加熱される前は軟体であるため、容易にそれが組み合わされる回路部品の外面と当接するように成形することができる。また、回路部品から発生する熱が、凹凸形状に成された混合物の無機フィラーによって速やかに放熱されるため、信頼性の高い回路部品実装基板が得られる。さらに、無機フィラーの材質を選択することによって、回路の特性に合わせて電気絶縁性高放熱封止材の熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧等を変化させることができるという効果を奏する。
【0027】
また本発明は、回路実装基板に導電パターンを設けて複数の回路部品を実装し、前記回路実装基板における複数の回路部品に基づく構造形状に対応し前記回路部品の外形高さより小さい凹部を有するように、無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材の混合物からなる半硬化状態のシートを成形して放熱用基板を形成し、前記放熱用基板の、前記回路部品の外形高さより小さい凹部内天面に前記回路部品を当接させるように前記放熱用基板を前記回路実装基板に加熱して装着する工程を有した回路基板の製造方法であり、混合物が加熱される前は軟体であるため、容易にそれが組み合わされる回路部品の外面と当接するように成形することができる。また、回路部品から発生する熱が、凹凸形状に成された混合物の無機フィラーによって速やかに放熱されるため、信頼性の高い回路部品実装基板が得られる。さらに、無機フィラーの材質を選択することによって、回路の特性に合わせて電気絶縁性高放熱封止材の熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧等を変化させることができるという効果を奏する。
【0028】
また本発明は、回路実装基板に導電パターンを設けて複数の回路部品を実装する工程と、前記回路実装基板における複数の回路部品に基づく構造形状に対応した、前記回路部品の外形高さより小さい凹凸形状を有するように、無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材の混合物からなる凹凸形状半硬化状態のシートを成形して放熱用基板を形成する工程と、前記回路部品を前記放熱用基板の凹部に装着する工程と、を有した回路基板の製造方法であり、混合物が加熱される前は軟体であるため、容易にそれが組み合わされる回路部品の外面と当接するように成形することができる。また、回路部品から発生する熱が、凹凸形状に成された混合物の無機フィラーによって速やかに放熱されるため、信頼性の高い回路部品実装基板が得られる。さらに、無機フィラーの材質を選択することによって、回路の特性に合わせて電気絶縁性高放熱封止材の熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧等を変化させることができるという効果を奏する。
【0029】
また本発明は、回路実装基板に導電パターンを設けて複数の回路部品を実装する工程と、無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材の混合物からなる半硬化状態のシートを、前記回路部品を型の代わりに用いそのまま硬化させ、前記回路部品の外形高さより小さい凹部を形成する工程と、を有した回路基板の製造方法であり、型の代わりに部品実装済みの回路基板を用いるものであり、型を作る手間が省けるとともに、そのまま硬化させることにより一体化することができ、成形後に接着する手間を省くことができる。また、150℃程度で加熱し、熱硬化によって結合させるため、耐熱性のある部品で成り立っている回路部品に大きなダメージを与えることなく硬化できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態における一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0031】
図1(a)〜(e)は、本発明の実施の形態における回路基板の製造工程図である。
【0032】
図2(a)〜(g)は、本発明の実施の形態における回路基板の片面に回路パターン及びスルーホールを持つ場合を示す製造工程図である。
【0033】
図3は同、無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材の混練物である混合物の供給形態を示す側面図である。
【0034】
なお、従来の技術で説明した構成部材については同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0035】
図1(a)において、無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材との混練物となる混合物からなるシート状物102は、PETフィルム101に貼り付けられており、これを図1(e)に示す回路部品108を実装した回路実装基板107に基づく構造形状に対応した凹凸形状を有した型103に押し当てて重ねられる。図1(b)はこれが熱盤104と105により上下から挟まれ、加熱加圧される状態を示す。この時、一般的なエポキシ樹脂などは温度を硬化温度より高くあげないと金型から取り出せるに十分な硬さにならないが、液状の硬化性組成物に熱可塑性樹脂パウダー、すなわちプレゲル材を混合した場合、その熱可塑性樹脂パウダーは液状の硬化性組成物の液状成分を吸収して膨潤し、組成物全体としては半硬化状態となる固形状を示す。この固形状硬化組成物を用いた場合、金型全体を硬化温度以下の状態で、回路実装基板107と同じ形をした型から取り外すに十分な硬度にすることができ、短時間で金型を開くことができ、生産性が上がる。図1(c)は、このようにして半硬化状態で型から取り外した状態を示す。その後、図1(d)に示すように、はみ出した余分な部分をPETフィルムごとカッター106により切断した後、PETフィルムを剥がしてから恒温槽で硬化温度以上の温度で加熱して十分硬化させる。この時、PETフィルムをつけたまま硬化させると、密着して取れなくなる可能性があるので、あらかじめPETフィルムは剥がしておく方が望ましい。図1(e)は、そのようにして硬化させて作った放熱用基板109を、回路部品108を実装した回路実装基板107に、導電性接着剤などの熱伝導性接着剤110を用いて組み合わせて回路基板を構成している状態を示す。回路実装基板107には、導電パターン111が貼り付けられている。このように放熱用基板109の凹部内天面を回路実装基板107の回路部品の天面に当接させて組み合わせることにより、回路実装基板107上に実装された回路部品108の発熱による熱量が、放熱用基板109全体に均一に伝達されるため、発熱した回路部品が高温になるのを防ぐことができ、回路基板の信頼性を高めることができる。この場合、放熱用基板109は回路部品108の全ての天面に当接させる必要はなく、高温になる部品に限ってもよい。
【0036】
尚、放熱用基板109の回路実装基板107への組み込みを容易にする通気孔(図示せず)は、放熱用基板109を回路実装基板107に載置する前工程に形成する。特に、放熱用基板109が半硬化状態の際に、突起を有する型で形成すると、容易に構成することができる。
【0037】
図2(a)〜(g)は放熱用基板に上面に配線パターンを有する回路基板の機能を持たせた場合の部品内蔵モジュールとなる回路基板の製造工程である。図2(a)は、シート状物102が銅箔201に貼り付けられている状態で、型103に重ねられる状態を示す。図2(b)〜(d)は、図1で示した製造工程と基本的に同じである。図2(e)は、半硬化状態で打抜きパンチ202によりスルーホール203を空けた状態を示す。この時、穴加工はドリルでも可能である。図2(f)は、硬化させた後に、銅箔201を化学処理により導電パターンとなる回路パターンを形成し、スルーホール203には銅メッキを施した状態を示す。図2(g)は、以上のようにして作られた放熱用基板109を、回路実装基板107に組み合わせた状態である。この時、回路実装基板107に立てられた導通ピン204は、スルーホール203に圧入されており、放熱用基板109上の回路パターンと回路実装基板107とが電気的に導通した状態になっている。いわば多層(この場合は2層)の部品内蔵モジュールである。なお、2層にすることによりいくつかの利点が生まれる。例えば、電源モジュールの場合、平面上で同一ラインを接続するとループが生じ、ノイズが発生しやすいが、上下二段にすると配線インダクタンスが低減され、ノイズが減る。また、各層がそれぞれ+側、−側で、その間の電気絶縁性の放熱用基板109の厚みは0.2〜10mmと、従来技術の金属ベース板に印刷された数100μmの絶縁層と比べて格段に厚いため、ノイズや損失の低減に大きな効果がある。また、二層構造を採ることにより高密度実装化が可能となる。
【0038】
図3は、無機フィラーと熱硬化性樹脂を含む混合物の供給形態を示す図である。無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材との混練物よりなるシート状物102は、押し出し成形法によってシート状に成形され、厚み方向に貫通する通気孔301を設けてPETフィルム101の上に造膜し、次工程に供給される。
【0039】
なお、導電パターンは、混合物に押し込まれた金属板であっても放熱効果に対して同等以上の効果を奏する。
【0040】
また、導電パターンは、銅箔の他にパターンの形状を有した金属板を使用し、シート状物102の片面に埋め込んだ後、そのシート状物102を硬化させて放熱用基板を形成しても同等以上の効果を奏する。
【0041】
また、図2(a)〜(g)においては、回路実装基板107と同じ形の型103にシート状物102を押し当てて、加圧加熱により成形したが、型103を使用せずに回路実装基板107に直接押し当てて加圧加熱によりシート状物102を成形してもよく、工程が短縮され、生産スピードが向上するという同等以上の効果を奏する。
【0042】
また、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂の他、必要な特性に応じて、フェノール樹脂またはシアネート樹脂を使用してもかまわない。
【0043】
また、無機フィラーは、必要特性に応じてAl2O3,MgO及びSiO2のどれを使用しても同等の効果を奏する。また、その粒径は、0.1〜100μmと小さい程、放熱効果を高める効果を奏する。
【0044】
また、混合物の各種配合比により、放熱用基板の線膨張係数は、8×10-6/℃〜20×10-6/℃と、導電パターンあるいはスルーホールと近い特性にすることにより、回路基板における放熱用基板の硬化後の反りや歪を小さくすることができ、また、導電パターンやスルーホールの断線を防止することができるという効果を奏する。
【0045】
また、シート状物102は、ドクターブレード法、コーター法、押し出し成形法、圧延法のいずれの方法でシート化してもよい。
【0046】
また、放熱用基板の必要特性に応じて、混合物に、分散剤、カップリング剤、離型剤などの添加剤を加えても同等以上の効果を奏する。
【0047】
また、図1(a)に示す状態から型103に対し、シート状物102の平面方向の一端から一方向に徐々に押し当てて重ね合わせて載置し、図1(b)に示すように成形した後、型103に載置する際に最初に押し当てはじめたシート状物102の一端から剥離することにより、型103に対応する凹凸形状がシート状物102に精度よく均一に形成できるという効果を奏する。
【0048】
なお、シート状物102を型103に重ね合わせはじめる一端とは無関係に、シート状物102の一端から徐々に一方向に沿って、型103から剥離するだけでも、型103とシート状物102を高精度に分離でき、きれいにシート状物102を剥離できるという効果を奏する。
【0049】
また、放熱用基板109の凹部高さが、それに対応する回路部品108の外形高さより小さくすることで、確実に放熱特性を向上させることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明による、放熱用基板は、無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材との混合物からなり、熱伝導度が高く、それが加熱される前は軟体であるため、容易にそれが組み合わされる回路実装基板の回路部品の天面に当接するように成形することができる。
【0051】
また、放熱用基板の凹部高さが、それに対応する回路部品の外形高さより小さく、放熱用基板と回路実装基板の部品実装表面との間には空間を有するため、放熱用基板を回路基板へ組み込む際に、放熱用基板の各凹部が、回路基板に実装された回路部品の各天面(上面)に当接し、密着して装着できるので、放熱性の高い放熱用基板が容易に提供できる。
【0052】
したがって、多くの回路部品の天面に接触することによる高い放熱効果と、成形方式による複雑な形状を容易に形成することができ、生産性の高い製造が可能になる。さらに、無機フィラーの材質を選択することによって、回路の特性に合わせて、電気絶縁性を持った放熱用基板の熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧等を変化させることができる。また、放熱用基板上面を平坦にすることにより、真空チャックによる吸引が可能になり、自動実装も実現できる。また、多層構造とすることにより、高密度に回路部品を実装することができ、しかも放熱性も高い上に、配線インダクタンスが低減されるためノイズも低減する。したがって、本発明の回路基板では、高密度に回路部品が実装され、且つ、モジュール自体の自動実装も可能にした、信頼性が高い部品内蔵モジュールが得られる。さらに、無機フィラーを選択することによって、電気絶縁性基板の熱伝導度、線膨張係数、誘電率などを制御することが可能である。したがって、本発明の回路基板は、線膨張率を半導体素子とほぼ同じにすることが可能であるため、半導体素子を内蔵した部品内蔵モジュール形成用として好ましい。また、熱伝導度を向上させることができるため、放熱を必要とする半導体素子などを内蔵した部品内蔵モジュール形成用として好ましい。さらに誘電率も低くすることができるため、高周波回路用の回路部品内蔵モジュール形成用として好ましい。さらに、電気絶縁性基板の厚みを厚くとれるためノイズや損失を低くすることができる。
【0053】
また、本発明による、回路基板の製造方法では、上記部品内蔵モジュールを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(e)は、本発明の実施の形態における回路基板の製造工程図
【図2】 (a)〜(g)は、本発明の実施の形態における放熱用基板を用いた部品内蔵モジュールの製造工程図
【図3】 同、無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材の混練物である混合物の供給形態を示す側面図
【図4】 従来の回路基板を示す概略側面図
【符号の説明】
101 PETフィルム
102 シート状物
103 型
104 熱盤(上)
105 熱盤(下)
106 カッター
107 回路実装基板
108 部品
109 放熱用基板
110 熱伝導性接着剤
111 導電パターン
201 銅箔
202 打抜きパンチ
203 スルーホール
204 導通ピン
301 通気孔
401 放熱板
Claims (2)
- 回路実装基板に複数の回路部品を実装し、
これらの回路部品の外形高さより小さい凹部を有するように、型を用いて無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材の混合物からなる半硬化状態のシートを成形し、
次にこの半硬化状態のシートを型から取り外した後、加熱硬化して放熱用基板を形成し、
この放熱用基板を、前記回路実装基板の部品実装表面との間に空間を有するように配置するとともに、
前記放熱用基板の前記凹部内天面に前記回路部品の天面を当接させ、
この回路部品の天面と前記放熱用基板の前記凹部内天面とを接着剤で装着する工程を有した回路基板の製造方法。 - 回路実装基板に複数の回路部品を実装し、
これらの回路部品の外径高さより小さい凹部を有するように、型を用いて無機フィラーと熱硬化性樹脂とプレゲル材の混合物からなる半硬化状態のシートを成形して放熱用基板を形成し、
次に前記放熱用基板を、前記回路実装基板の部品実装表面との間に空間を有するように配置するとともに、
前記放熱用基板の前記凹部内天面に前記回路部品の天面を当接させ、
その後前記放熱用基板を加熱して硬化させ、この放熱用基板の前記凹部内に前記回路部品を一体化して装着する工程を有した回路基板の製造方法。
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