JP4095401B2 - 座のスライド機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、座のスライド機構に関する。さらに詳述すると、本発明は、座ベース部材と座本体との一方に連結部材を、他方に連結部材を案内する案内手段を有する座のスライド機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、座の前後位置を調節できる椅子がある(特許文献1参考)。座の前後位置を調節可能とすることで、例えば机上のパーソナルコンピュータのキーボード使用時等において、着座者の体格の相違による個人差に応じて、背凭れや肘掛け等に対する座の位置が最適となるように調節できる。
【0003】
この椅子では、図30および図31に示すように、座板180が座板取付金具70に対して前後に摺動可能であるように、次のように構成している。即ち、座板取付金具70に大径孔160aと大径孔160aよりも幅狭の長孔160bとからなる取付孔160を穿設し、座板180に鍔190aを先端に有する取付軸190を突設している。鍔190aは大径孔160aよりも若干小径とされており、取付軸190の径は、長孔160bの幅と同じか、若干小径とされている。そして、取付軸190の鍔190aを、取付孔160の大径孔160aに挿通し、取付軸190を長孔160bに移動させた状態で、ストッパ220を座板180の後部に固定している。取付軸190が長孔160b内を摺動することで、座板180が座板取付金具70に対して前後に摺動可能とする一方、ストッパ220が座板取付金具70に当接することで、取付軸190が取付孔160の大径孔160aまで達しないようにして、座板180が座板取付金具70から外れてしまうことがないようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−136385号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の座のスライド機構では、長孔160bよりも幅の大きい大径孔160aを設ける必要があるため、長孔160bや取付軸190の周辺の機械的強度が低下してしまう。また、取付軸190の取付後は、取付軸190が大径孔160aまで達することはなく、限られたスペースを浪費している。また、大径孔160aを設ける必要があるため、長孔160bの長さも制限され、座のスライド範囲を設定する自由度も狭まる。
【0006】
そこで本発明は、限られたスペースを有効利用でき、且つ機械的強度を高めることができる座のスライド機構を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明は、脚に支持される座ベース部材と、着座面を形成する座本体と、座ベース部材または座本体の一方に設けられ当該一方と一体となって座ベース部材または座本体の他方に対して相対移動する連結部材と、他方に設けられて連結部材を案内する案内手段とを有し、座本体が座ベース部材に対して摺動可能である座のスライド機構において、案内手段は、連結部材が摺動する案内溝と、案内溝に連結部材を取り付けるための取付用溝を有し、連結部材は、一端側が座ベース部材または座本体に取り付けられると共に案内溝内を摺動可能である摺動部と、その一端側とは反対側の端に設けられると共に案内溝および取付用溝を通過不能である頭部と、頭部に対して案内溝を挟んだ位置に設けられると共に案内溝は通過不能であるが取付用溝は通過可能である係合片とを有するようにしている。
【0008】
したがって、摺動部を案内溝に挿入し、係合片を取付用溝に挿入した後に、連結部材を座ベース部材または座本体の一方に取り付けることができる。これにより、座ベース部材と座本体とがスライド可能に連結される。当該連結後は、頭部および係合片が案内溝と係合するため、また、頭部の反対側は座ベース部材または座本体が取り付けられているため、連結部材が案内溝から抜けてしまうことはない。頭部を通過させるための大きな溝や孔を形成しないので、限られたスペースを浪費することなく有効活用でき、且つ案内溝や連結部材の周辺の機械的強度の低下を防止できる。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の座のスライド機構において、座ベース部材または座本体と接する頭部の面が曲面であるようにしている。したがって、頭部と対向する部材との接触は点接触または線接触となり、接触面積の減少により連結部材の摺動時の摩擦抵抗を低減できる。また、角張った部分で頭部と対向する部材を引っ掻いてしまうことを防止でき、頭部と対向する部材を傷付けてしまうことを防止できる。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の座のスライド機構において、摺動部は、角柱形状であるようにしている。したがって、摺動部が案内溝内で回転することが禁止される。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の座のスライド機構において、連結部材は、座ベース部材または座本体の一方に取付用ねじにより固定されると共に、取付用ねじは、当該取付用ねじの軸方向における連結部材の長さの少なくとも2分の1以上の長さを有するようにしている。したがって、取付用ねじは、連結部材の固定手段として機能すると共に、連結部材の芯材としても機能し、連結部材の機械的強度が高まる。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の座のスライド機構において、連結部材が取り付けられる取付位置の周辺に、連結部材を取付位置に導く傾斜を設けるようにしている。したがって、連結部材は傾斜上を移動することで取付位置に位置決めされる。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の座のスライド機構において、案内溝の長手方向における取付用溝の長さは、当該長手方向における摺動部の長さよりも短くなるようにしている。したがって、摺動部が取付用溝に入り込んで連結部材の円滑な摺動が妨げられる、といった事態が防止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1から図16に本発明の座のスライド機構の実施の一形態を示す。この座のスライド機構は、脚に支持される座ベース部材18と、着座面を形成する座本体19と、座ベース部材18または座本体19の一方に設けられ当該一方と一体となって座ベース部材18または座本体19の他方に対して相対移動する連結部材20と、当該他方に設けられて連結部材20を案内する案内手段21とを有し、座本体19が座ベース部材18に対して摺動可能であるように構成したものである。案内手段21は、連結部材20が摺動する案内溝30と、案内溝30に連結部材20を取り付けるための取付用溝31を有している。連結部材20は、一端側が座ベース部材18または座本体19に取り付けられると共に案内溝30内を摺動可能である摺動部32と、一端側とは反対側の端に設けられると共に案内溝30および取付用溝31を通過不能である頭部33と、頭部33に対して案内溝30を挟んだ位置に設けられると共に案内溝30は通過不能であるが取付用溝31は通過可能である係合片34とを有している。
【0016】
本実施形態の座ベース部材18は、例えば合成樹脂製であり、薄板構造の所謂シェル形状に形成される。但し、座ベース部材18の材質は必要とされる機械的強度等を満足するものであれば特に限定されず(例えば、金属材料を用いても良い)、また座ベース部材18の形状も座本体19がスライドし得る形状であれば特に限定されない(例えば枠体またはコ字型のフレーム形状であっても良い)。以下、本実施形態では、座ベース部材を座アウターシェル18と呼ぶ。座アウターシェル18の内部には、例えば補強用のリブ35が複数形成されている(図7参照)。尚、座アウターシェル18を支持する脚の形態は特に限定されない。例えば、図示しないが、接地面に向かって延びる1本の脚軸を座アウターシェル18に取り付け、放射状に延びる複数本(一般には5本か4本)の脚羽根をこの脚軸に取り付けて、所謂回転椅子を構成するようにしても良い。或いは、接地面に向かって延びる4本の脚を座アウターシェル18に取り付けても良い。また、図示しないが、座アウターシェル18に背凭れや肘掛け等を取り付けても良い。
【0017】
本実施形態の座本体19は、座アウターシェル18にスライド可能に取り付けられる座インナーシェル3と、座インナーシェル3に載置されるクッション性を有するクッション材2と、クッション材2をくるんだ状態で座インナーシェル3に止め付けられる上張地1とにより構成される。座インナーシェル3の底面側(即ち座アウターシェル18と対向する側)は、座アウターシェル18における座インナーシェル3と対抗する面の全部又は一部で受け支えるようにし、座インナーシェル3の上面側(即ちクッション材2と対向する側)は連結部材20の頭部33で受けるようにしている。
【0018】
例えば本実施形態では、連結部材20は座アウターシェル18に取り付けられ、案内手段21は座インナーシェル3に設けられる。但し、連結部材20を座インナーシェル3に取り付け、座アウターシェル18に案内手段21を設けるようにしても良い。連結部材20および案内手段21の個数は特に限定されるものではないが、座アウターシェル18に対して座本体19が捲れてしまったり回転してしまうことを防止する等の観点から、複数設けることが好ましい。例えば本実施形態では、座アウターシェル18に4つの連結部材20を設けると共に、座インナーシェル3に4つの案内手段21を設けている(図7および図8参照)。連結部材20と案内手段21との対は、例えば座面のほぼ4隅に位置するように配置される。
【0019】
連結部材20は、例えば合成樹脂製であり、摺動部32と頭部33と係合片34とが、型を用いて一体成形されている。頭部33および係合片34は、案内溝30の縁と係合するように、摺動部32から案内溝30の幅方向に突出している。このため、頭部33および係合片34が、案内溝30を通過することはない。また、本実施形態の頭部33および係合片34は、案内溝30の幅両方向に突出している。このため、連結部材20が案内溝30に対して傾いても連結部材20が案内溝30から抜け出てしまうことはない。また、案内溝30の両側の縁で連結部材20が支持されるので、連結部材20が安定し、座本体19のがたつきが防止され、また座本体19と座アウターシェル18との連結強度も高まる。
【0020】
摺動部32は、例えば角柱形状を成している。このため、摺動部32が案内溝30内で回転することが禁止される。例えば本実施形態の摺動部32は、案内溝30の長手方向に長辺を有する直方体を成している。摺動部32を案内溝30の長手方向に長く形成することで、摺動部32における案内溝30との接触面積が増加するので、連結部材20のがたつき量が抑えられ、がたつきに対する連結部材20の強度も増加する。また、摺動部32における案内溝30の幅方向の長さは、摺動部32が案内溝30内を円滑に摺動可能であるように、案内溝30の幅と等しいか若干小さく設定される。
【0021】
頭部33は、摺動部32のスライド方向における端から端の全域に亘って案内溝30の幅両方向に突出しており、頭部33と摺動部32とは略T字を成している(図3および図5参照)。例えば本実施形態では、頭部33における座インナーシェル3と対向する面33aは、連結部材20のスライド方向に丸みを有する曲面としている。したがって、頭部33と座インナーシェル3との接触は線接触となり、連結部材20の摺動時の摩擦抵抗を低減できる。さらに頭部33におけるクッション材2と対向する面33bの側も、角を丸めて、連結部材20のスライド方向に丸みを有する曲面としている。したがって、連結部材20の摺動時に角張った部分でクッション材2を引っ掻いてしまうことが防止され、クッション材2を傷付けてしまうことが防止される。
【0022】
案内溝30は、連結部材20を着座者の正面方向および背面方向に案内する方向に形成される。例えば本実施形態では、案内溝30の長手方向における取付用溝31の長さL1は、当該長手方向における摺動部32の長さL2よりも短くなるようにしている。したがって、摺動部32が取付用溝31に入り込むことが防止され、連結部材20の円滑な摺動が妨げられる事態が防止される。係合片34の大きさは、係合片34が取付用溝31を通過可能であるように取付用溝31と等しいか若干小さく設定される。係合片34の座アウターシェル18に向かう側には、係合片34の突端から摺動部32に向かって下る傾斜面34aが形成されている。これにより、取付用溝31に係合片34を挿入し易くしている。また、例えば本実施形態では、案内溝30の周囲に、頭部33の移動範囲に合わせて案内枠36が形成されている。摺動部32が案内溝30内を摺動することによって、頭部33はこの案内枠36内を摺動する。連結部材20は案内枠36によっても支持されるので、連結部材20が安定し、座本体19のがたつきが防止され、また座本体19と座アウターシェル18との連結強度も高まる。
【0023】
尚、図示の例では、着座者の背面側に配置される2つの連結部材20aは、着座者の正面側に配置される2つの連結部材20bよりも、スライド方向の長さが短いものとしている(図2から図5参照)。これは、図示しない肘掛けの取付用のスペース等を考慮したためである。このように、座アウターシェル18内のスペースを考慮して、連結部材20の大きさを適宜設定して良いのは勿論である。
【0024】
連結部材20は、摺動部32を案内溝30に挿入し、係合片34を取付用溝31に挿入した後に、座アウターシェル18に、例えばねじ止めにより固定される。この取付用ねじ37は、当該取付用ねじ37の軸方向における連結部材20の長さL3の少なくとも2分の1以上の長さを有しており、例えば本実施形態では、摺動部32の底面から頭部33の近傍にまで達する長さを有している。また、連結部材20に設けられるねじ穴38は、例えば連結部材20の平面視における図心位置に設定される。この場合、取付用ねじ37が連結部材20の芯材として機能し、連結部材20の機械的強度が高まる。取付用ねじ37の材質は、剛性の高い金属材料(例えば鋼材等)の利用が好ましい。連結部材20を座アウターシェル18にねじ止めするに際して、摺動部32が角柱状であるため連結部材20の回転が禁止され、且つ係合片34が座インナーシェル3に当接するため連結部材20が取付用ねじ37の軸方向に逃げないので、ねじ止め作業が極めてやり易くなる。
【0025】
本実施形態では、連結部材20が取り付けられる部材(本実施形態では座アウターシェル18)に、連結部材20を予め定めた取付位置に位置決めするための位置決め手段40を設けている。この位置決め手段40は、連結部材20が取り付けられる取付位置の周辺、例えば取付位置の全周に又は全周の一部に、連結部材20を取付位置に導く傾斜39aを少なくとも有している。例えば本実施形態の位置決め手段は、連結部材20のうち案内溝30を摺動する面と対向するように配置されて連結部材20の移動を規制する一対の壁部41と、連結部材20のうち案内溝30を摺動する方向の面と対向するように配置されて連結部材20を取付位置に導く傾斜39aを有する一対のテーパー部39とにより構成される。テーパー部39の傾斜は、壁部41とテーパー部39とに囲まれる空間が外側に向かって広がるように形成される。テーパー部39および壁部41の高さは、連結部材20の取付面から係合片34に至る高さに満たないものに設定される。したがって、連結部材20はテーパー部39の上を移動することで、テーパー部39および壁部41に囲まれる取付位置に位置決めされる(図6参照)。これにより、取付位置を直接視認できなくても、連結部材20を容易に座アウターシェル18に位置決めして取り付けることができる。更に、テーパー部39および壁部41は、例えば座アウターシェル18を補強するためのリブとしての機能も兼ねている。尚、位置決め手段40の構成は本実施形態の例に限定されるものではなく、例えば連結部材20を囲う4方のうち3方を壁部41で規制して残る一方に、テーパー部39を設けても良い。また例えば、連結部材20を囲う4方のすべてに、連結部材20を取付位置に導く傾斜39aを有するテーパー部39を設けても良い。
【0026】
また、本実施形態の椅子は、座本体19と座ベース部材18の相対移動を許容するアンロック状態と、座本体19と座ベース部材18の相対移動を禁止するロック状態とに切り替える座の位置決め手段22を備えている。この座の位置決め手段22は、例えば、座インナーシェル3に揺動可能に設けられる操作レバー23と、操作レバー23に設けられる第1係合部24と、座アウターシェル18に設けられる第2係合部25とを有して構成され、操作レバー23の操作により第1係合部24と第2係合部25とを係合させることで座本体19と座ベース部材18の相対移動を禁止するロック状態とし、操作レバー23の操作により第1係合部24と第2係合部25との係合を解くことで座本体19と座ベース部材18の相対移動を許容するアンロック状態とする。例えば、本実施形態では、座インナーシェル3の素材に可撓性および弾性を有する材質(例えば比較的軟質の合成樹脂)を採用し、この座インナーシェル3に2本の切り込み26を形成して、当該2本の切り込み26で挟まれる座インナーシェル3の一部を揺動可能な操作レバー23としている。この操作レバー23は、例えば座の後端側の中央位置に設けるようにしている。この場合、操作レバー23が図示しない背凭れ等に隠れるため、椅子の外観を良好にできる。第1係合部は、例えば、座アウターシェル18に向かって突出するように、操作レバー23と一体に設けられた凸条24としている。座アウターシェル18には、第2係合部として、この凸条24が嵌合する凹部25が設けられている。ここで凹部25を複数設けることで、複数段の座の位置調整が可能になる。そこで例えば本実施形態では、3段階の位置調整が可能なように、3つの凹部25を設けるようにしている。操作レバー23は、初期位置において凸条24が凹部25に嵌め込まれる位置に設定される。操作レバー23には、操作性を良好とするために、操作時に操作者の指がさし込まれる凹み42を設けている(図10参照)。また、座アウターシェル18の後端側の中央位置は切り欠き43が形成されていて(図7参照)、操作者が操作時に手を座の後端に挿入し易いようにしている。したがって、座本体19の後端側の中央を手で掴み捲り上げるようにして操作レバー23を揺動すると、凸条24と凹部25の係合が外れて、座本体19は座ベース部材18に対してスライド可能となる。一方、操作レバー23から手を離すと、操作レバー23が初期位置に弾性復帰して、凸条24がいずれかの凹部25に嵌め込まれて、座本体19は座ベース部材18に対してスライド不能となる。
【0027】
さらに本実施形態の椅子では、上張地1の端末位置決め構造を備えている。この構造は、上張地1の周縁9の筒状部材4の内方を通され両端開口4aから外部に引き出される緊締用紐5と、座インナーシェル3の裏側で緊締用紐5を内側からガイドしてこの緊締用紐5の位置決めをし緊締時における緊締用紐5の周回形状と周回長さを一定とする段部6と、該段部6に引っ掛かっている緊締用紐5がこの段部6から脱落するのを防止する脱落防止爪7とを備え、クッション材22と座インナーシェル3とをくるむように上張地1が被せられてから緊締用紐5を段部6に引っ掛けた状態で締め込むことによってこの段部6に沿うように緊締するものである。
【0028】
上張地1は図12に示すように座インナーシェル3で支持されたクッション材2を覆うように被せられ、座インナーシェル3の裏側において周縁9を窄められることによって座インナーシェル3から外れないように固定され、クッション材2を中に収めた座の座面側表皮として機能する。本実施形態では上張地1の周縁9の筒状部材4の内方に通された緊締用紐5がこの上張地1の周縁9を窄めるための手段として用いられている。
【0029】
筒状部材4は、例えばテープ状の布地、プラスチックシート、合成皮革、皮等といったテープ材4’を丸めて上張地1に縫い着けることによって形成されている。本実施形態においては筒状部材4としてのテープ材4’が、両側縁4sを合わせるように閉じて筒状にしてから両側縁4sが上張地1の周縁9寄りとなる位置、換言すれば筒状部材4の緊締用紐5が通る部分が縫い着け箇所(縫い目16で示される)よりも上張地1の周縁9から離れる位置に配置されミシンで縫いつけられている。このとき、緊締用紐5に直接糸を縫い込むことがないように注意しながら、テープ材4’の重ねられた縁4sが上張地1に縫い着けられている。また同時に、ミシンに附属するメス(図示省略)で縫い目16の近くで上張地1の余分な縁17が切り落とされている。また、筒状部材4を上張地1に縫いつける際には緊締用紐5が一緒に閉じ込められる。例えばテープ材4’を丸めながら供給する際にその内方に緊締用紐5を通過させるように供給することによって、筒状部材4内に緊締用紐5が出入り自在に閉じ込められる。
【0030】
ここでテープ材4’の縫製方法について簡単に説明しておくと、例えば、上張地1の周縁9に対し丸めた背を向けるようにテープ材4’を折り返した状態で縫製する方法を採り得るが(図13参照)、本実施形態においてはこれとは逆に、上張地1の周縁9に丸めたテープ材4’の縁(へり)が近接させた状態で縫製する方法を採用し(図14参照)、その後、上張地1をめくり返すようにしている(図15参照)。図13に示した縫製方法の場合、座裏に筒状部材4が全て露出してしまい見栄えが悪いばかりでなく、材筒状部材の縁(へり)や縫い目16が他部材(例えば座アウターシェル18等)と擦れ合って徐々にほつれていくおそれがあるのに対し、図14と図15に示した縫製方法によれば、上張地1や筒状部材4の縁(へり)が隠れるので見栄えがよくなることに加え、縁(へり)や縫い目16が覆い隠されることによってほつれが生じ難いというメリットがある。
【0031】
緊締用紐5は、テープ材4’の縫い着けが終わった時点でその両端が筒状部材4から外部に引き出された位置で裁断されている。この状態において、緊締用紐5は筒状部材4の中で長手方向に移動自在となり、自在に引き締めたり弛めたりすることができる。以上のようにして緊締用紐5を両端の開口4aから引き出した筒状部材4が上張地1の周縁9に沿って形成されている。
【0032】
段部6は上張地1の周縁9の緊締用紐5をガイドするように座インナーシェル3の裏側に設けられているもので、緊締用紐5を内側からガイドしてこの緊締用紐5の位置決めをし緊締時における緊締用紐5の周回長さを一定とする(図9参照)。
【0033】
例えば本実施形態では、座インナーシェル3に周回する溝を設け、この溝の段差を利用して段部6を形成している(図10の部分拡大図参照)。こうした場合、上張地1の周縁9がこの溝内に収容された状態で位置決めすることができるので座裏の見栄えがよりよくなる。しかも、座インナーシェル3の断面がクランク形状とされることによって曲げに対する剛性が増すので座本体19の骨格をなす芯材としてより好ましいものとなる。但し、段部6の形態はこの例に限定されるものではなく、座インナーシェル3の中央部分3aを裏側(つまりクッション材2と反対の側)に突出するように形成し、突出した中央部分3aとその周囲の部分との段差を利用して段部6を設けるようにしても良い。段部6の形状や大きさは、緊締時における上張地1の周縁9によって囲まれた開口部分の形状および大きさを規定するものであるから、緊締時における上張地1の張り具合やクッション材2の弾性などを考慮して所望のクッション性が得られるように適宜決定すればよい。
【0034】
なお、段部6は、その段差が緊締用紐5を含む上張地1の周縁9の厚みよりも高くなるように形成されていることが好ましい。こうした場合、テープ材4’が折り重ねられている上に緊締用紐5が通されることによって他の地部分よりも厚みの増している上張地1の周縁9が、段部6の陰に隠れるようにして収まるようになるため、座裏の凸凹がなくなり、より見栄えがよくなる。しかもこの場合には、上張地1の周縁9が座裏の最も突き出た面(例えば中央部分3aの表面)の延長ラインを超えて座裏側にはみ出ることがない。したがって、座インナーシェル3が前後する度に上張地1が座アウターシェル18と擦れ合ってしまうのを回避して円滑な動作を確保できる点で有利となる。
【0035】
脱落防止爪7は、段部6に引っ掛かっている緊締用紐5がこの段部6から脱落するのを防止するように設けられている引っ掛かり爪である。例えば本実施形態の場合は、中央部分3aの表面と面一となる高さでこの中央部分3aから外周側に放射状に突出した複数の突片によって脱落防止爪7が形成されている(図9、図10参照)。この場合、脱落防止爪7は段部6の周囲に等間隔に配置されていてもよいが、本実施形態の場合は特に緊締用紐5が外れやすい段部6の角(カーブ)部分付近に多く配置することによってより効果的に脱落防止できるようにしている(図9参照)。このような脱落防止爪7によれば、段部6の周りに緊締用紐5を締め付けるとき、あるいは緊締した後の椅子の使用時などにおいて緊締用紐5が座裏側(つまりクッション材2と逆の側)にずれるのが防止される。したがって、緊締用紐5が段部6から外れて緊締用紐5および上張地1の周縁9が脱落してしまうのを防止することができる。なお、座インナーシェル3上であってこの脱落防止爪7と対向する部分にはこの脱落防止爪7よりも僅かに大きい透孔13が設けられている。
【0036】
脱落防止爪7の先端部には、緊締用紐5がこの脱落防止爪7を乗り越えて外れるのを防止するための抜止め片8が設けられている(図10参照)。例えば本実施形態では上張地1のある側に向けてほぼ垂直に折り返すように一体成形された先端部分を抜止め片8としているが、別部材を脱落防止爪7の先端に後付けして抜止め片8としても構わない。なお、脱落防止爪7および抜止め片8は、これらと座インナーシェル3との間を上張地1の周縁9が通過可能なように設けられていることはいうまでもない。例えば、抜止め片8と座インナーシェル3との隙間が周縁9の厚みよりも大きい場合には周縁9は問題なく通過することができるが、この隙間が周縁9の厚みよりも小さい場合であっても、脱落防止爪7が十分な可撓性を有するものであれば、周縁9を抜止め片8と座インナーシェル3との間に押し込んだ場合に脱落防止爪7が座裏側に反り返るのでこの隙間を通過させることができる。また、本実施形態の端末位置決め構造においては脱落防止爪7毎に透孔13が設けられているので、脱落防止爪7と座インナーシェル3との間に周縁9を差し込む際、脱落防止爪7の傍を通過する周縁9を透孔13側に僅かに退避させることによって脱落防止爪7を避けるようにして通過させることができる。
【0037】
この上張地1の端末位置決め構造によれば、緊締用紐5を緊締する際、段部6の周囲に沿うように緊締することで緊締時の緊締用紐5がこの段部6によって一定の周回形状となるように位置決めされ一定の周回長さとなることから、位置決めされた以降はどんなに強く緊締用紐5を締め込んだとしても緊締力が平準化され、周回形状や周回長さは変わらずに均一化される。したがって、緊締時における締め込み強さの個人差を排除して一定の張り具合を実現し、製品間のばらつきをなくして品質を一定とすることができる。
【0038】
なお、このような端末位置決め構造において締め込んだ緊締用紐5を結ぶ場合は、紐の結び目が脱落防止爪7の陰に隠れるようにすることが好ましい(図16参照)。脱落防止爪7の陰に隠れていない場合は瘤状の結び目が段部6の周囲に露出してしまうが、このように脱落防止爪7の陰に隠すことによって見栄えがより良いものとなる。
【0039】
ここで本実施形態の椅子においては、操作レバー23の弾性による復帰力によって凸条24が凹部25に嵌め込まれた状態(つまり座本体19の移動が禁止されるロック状態)を維持するようにしているが、この復帰力が十分でない場合に復帰を補助しうる何らかの力が付与されていることが好ましい。すなわち、例えば樹脂製の座インナーシェル3の成形時または成形後の歪みにより操作レバー23が浮いて復帰位置が上方にずれたり、あるいは長期間の使用により操作レバー23の復帰力が適正値より弱くなるおそれがある場合(図11参照)に備え、復帰力を補助する力を作用させておくことによって適正なロック状態を維持することが可能となる。そこで、緊締用紐5の緊締力を利用して操作レバー23の復帰力を補助するようにしている。以下、具体的な構成を示す。
【0040】
操作レバー23には、上張地1の緊締用紐5を内側からガイドしてこの緊締用紐5の位置決めをし緊締時における緊締用紐5の周回形状と周回長さを一定とするための段部6’と、当該段部6’に引っ掛かっている緊締用紐5がこの段部6’から脱落するのを防止するための脱落防止爪7’とが設けられている(図9、図10参照)。例えば本実施形態における段部6’と脱落防止爪7’は、切り込み26を隔てて操作レバー23に最も近い段部6および脱落防止爪7とほぼ同じ高さかつほぼ同じ径方向位置となるように配置され、緊締時の緊締用紐5に急曲がりな部分が生じないようにしている。また、操作レバー23に設けられる脱落防止爪7’は、着座者等が操作レバー23を上下に操作した場合に緊締用紐5が段部6’から簡単に脱落することのないよう、他の脱落防止爪7よりも周方向への幅が広くかつ径方向への切り込みが深いものとされている(図9、図10参照)。なお、本実施形態ではこのように緊締用紐5が脱落し難い脱落防止爪7’としたため特に抜止め片8を設けていないが、この脱落防止爪7’の先端部に抜止め片8を設けて緊締用紐5が一層脱落し難いものとすることもできる。
【0041】
弾性変形する操作レバー23に上張地1の緊締用紐5を引っ掛けた状態でこの緊締用紐5を締め込むようにしているので、操作レバー23が浮こうとしても引っ張られる緊締用紐5によってこの操作レバー23を元の位置に戻す方向へ力を作用させることができる。この場合、操作レバー23には本来有する復帰力に加え緊締用紐5による復帰力が加わるので、例えば操作レバー23が座インナーシェル3の歪みにより反ったりあるいは弾性力が劣化したような場合にも復帰力を補助することによりこの操作レバー23を押さえ込みロック状態を維持することができる。
【0042】
以上のように構成される座のスライド機構における座の組み立て手順の一例を説明する。先ず、連結部材20の摺動部32を座インナーシェル3に設けられた案内溝30に挿入し、続いて係合片34を取付用溝31に挿入する。そして、座インナーシェル3の上面にクッション材2を載置し、クッション材2および座インナーシェル3を上張地1でくるんで上張地1の周縁9を芯材の裏側へ廻してから緊締用紐5を引き締めて、上張地1の周縁9を絞りクッション材2と座インナーシェル3とをくるんだ状態で当該上張地1を張り詰めて固定する。その後、連結部材20を座アウターシェル18の取り付け位置に位置決めして、座アウターシェル18の下面から連結部材20をねじ止めする。これにより、座アウターシェル18と座本体19とがスライド可能に連結される。当該連結後は、頭部33および係合片34が案内溝30と係合するため、また、頭部33の反対側は座アウターシェル18に固定されているため、連結部材20が案内溝30から抜けてしまうことはない。座インナーシェル3には、頭部33を通過させるための大きな溝や孔を形成しないので、案内溝30や連結部材20の周辺の機械的強度の低下を防止でき、且つ限られたスペースを有効活用できる。
【0043】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、脚に支持される座ベース部材18と、着座面を形成する座本体19と、座ベース部材18または座本体19の一方に設けられ当該一方と一体となって座ベース部材18または座本体19の他方に対して相対移動する連結部材20と、他方に設けられて連結部材20を案内する案内手段21とを有し、座本体19が座ベース部材18に対して摺動可能である座のスライド機構において、案内手段21および連結部材20を図17から図29に例示するように構成しても良い。
【0044】
図17および図18に示す座のスライド機構では、案内手段21は、連結部材20が摺動する案内溝30と、弾性変形することによって連結部材20が案内溝30に取り付けられることを許容する係止部50とを有している。連結部材20は、一端側が座ベース部材18または座本体19に取り付けられると共に案内溝30内を摺動可能である摺動部32と、当該一端側とは反対側の端に設けられると共に案内溝30を通過不能である頭部33とを有している。したがって、頭部33を係止部50に一定以上の力で押し込むことによって係止部50が弾性変形して、頭部33が案内溝30の反対側に移動する。当該移動後は、係止部50が弾性復帰して、係止部50は連結部材20の抜け防止として機能する。そして、摺動部32が案内溝30内を摺動可能となる。頭部33を通過させるための大きな溝や孔を形成しないので、案内溝30や連結部材20の周辺の機械的強度の低下を防止でき、且つ限られたスペースを有効活用できる。
【0045】
係止部50は、弾性変形することによって連結部材20が案内溝30に取り付けられることを許容し得る形状であれば、特に限定されない。例えば、図17に示す係止部50は、案内溝30の幅方向の両側に設けている。図18に示す係止部50は、案内溝30の長手方向の一端側に設けている。また、連結部材20を案内溝30へ取り付ける際に頭部33と対向する係止部50の面50aを、傾斜させて、係止部50を突端に向かって断面積を減少させる形状としても良い。この場合、連結部材20を案内溝30へ取り付ける方向には、係止部50が弾性変形し易くなる一方、連結部材20が案内溝30から抜ける方向には、係止部50が弾性変形し難くなる。また、連結部材20を案内溝30へ取り付ける際に係止部50と対向する頭部33の面33cを、曲面としても良い。この場合、頭部33が係止部50の表面を滑り易くなり、連結部材20を案内溝30に取り付け易くなる。また、係止部50を形成するための切り込み51の幅は、案内溝30の長手方向における摺動部32の長さよりも短くすることが好ましい。この場合、摺動部32が切り込み51に入り込んで連結部材20の円滑な摺動が妨げられる、といった事態が防止される。
【0046】
また、図19に示す座のスライド機構では、連結部材20は、一端側が座ベース部材18または座本体19に取り付けられると共に案内溝30内を摺動可能である摺動部32と、当該一端側とは反対側の端に設けられると共に案内溝30を通過不能である頭部33とを有している。また、案内手段21は、摺動部32が摺動する案内溝30と、頭部33が通過可能な取付用孔52と、弾性変形することによって取付用孔52に位置する連結部材20を案内溝30に移動することを許容する係止部50とを有している。したがって、取付用孔52に頭部33を通過させた後に、摺動部32を係止部50に対して一定以上の力で押し込むことによって係止部50が弾性変形して、摺動部32が案内溝30の反対側に移動する。当該移動後は、係止部50が弾性復帰して、係止部50は連結部材20の抜け防止として機能する。そして、摺動部32が案内溝30内を摺動可能となる。取付用孔52と案内溝30とが離れているので、取付用孔52がそのまま直接的に案内溝30に繋がる構成に比べて、案内溝30や連結部材20の周辺の機械的強度の低下を防止でき、且つ限られたスペースを有効活用できる。
【0047】
また、図20に示す座のスライド機構では、案内手段21は、連結部材20と係合することによって連結部材20の移動を規制すると共に、弾性変形することによって連結部材20の移動を許容するように構成している。この案内手段21は、例えば、連結部材20が移動する案内溝30を形成する一対の梁53と、この梁53における連結部材20と対抗する面に設けられる凸部54と、梁53の弾性変形を許容するための逃げ孔55とを有して構成される。この案内手段21は、連結部材20を案内する機能を有すると共に、座を特定の位置にて停止させ且つ一定の力を加えることにより当該特定の位置から座を移動可能とする位置決め機能も兼ね備えている。
【0048】
また、図21に示す座のスライド機構では、案内手段はガイド軸21’であり、連結部材20は、ガイド軸21’上を摺動する摺動孔56と、弾性変形することによってガイド軸21’を摺動孔56に導く取付部57を有するものとしている。この取付部は、例えば、連結部材20の端部から摺動孔56に繋がる切り欠き57である。したがって、連結部材20をガイド軸21’に対して一定以上の力で押し込むことによって切り欠き57が広がって、ガイド軸21’が摺動孔56に移動する。当該移動後は、切り欠き57が元の状態に弾性復帰して、ガイド軸21’が摺動孔56から抜けてしまうことを防止する。連結部材20を通過させるための大きな溝や孔を形成しないので、案内手段や連結部材20の周辺の機械的強度の低下を防止でき、且つ限られたスペースを有効活用できる。
【0049】
また、図22および図23に示す座のスライド機構では、案内手段は連結部材20が摺動する案内溝21”であり、連結部材20は、一端側が座ベース部材18または座本体19に取り付けられると共に案内溝21”内を摺動可能である摺動部32と、一端側とは反対側の端に設けられると共に弾性変形することによって案内溝21”を通過する頭部33とを有している。この頭部33は、例えば、摺動部32の一端から折り返すようして傾斜面を形成する傾斜部58と、傾斜部58の端に設けられて案内溝21”の縁に支持される被支持部59と、傾斜部58が弾性変形する際に被支持部59を逃がすための逃げ孔60とを有している。傾斜部58は、連結部材20の先端に向かって鋭角を成す傾斜面を形成している。被支持部59は、傾斜部58の端から摺動部32に向かって一旦延び、その後、摺動部32の基端側に向かうように直角に折れ曲がった形状となっている。したがって、連結部材20を案内溝21”に対して一定以上の力で押し込むことによって、被支持部59を逃げ孔60に逃がしながら傾斜部58が弾性変形して、頭部33が案内溝21”を通過する。当該通過後は、傾斜部58が弾性復帰し、被支持部59が案内溝21”の縁で支持されると共に案内溝21”の縁と係合することで、頭部33が案内溝30から抜けてしまうことを防止する。連結部材20を通過させるための大きな溝や孔を形成しないので、案内溝21”や連結部材20の周辺の機械的強度の低下を防止でき、且つ限られたスペースを有効活用できる。
【0050】
また、図24および図25に示す座のスライド機構では、案内手段は、座ベース部材18に設けられて各々逆方向に挿し入れ口を向ける一対のガイドレール61であり、連結部材は、座本体19に設けられて一対のガイドレール61に挿入されてガイドレール61内を摺動する摺動部32である。摺動部32は、例えば座本体19の一構成要素としての座インナーシェル3と一体に設けられる。また、座インナーシェル3の座ベース部材18に対向する面3bには第1係合部24が、座ベース部材18の座インナーシェル3に対向する面18aには第1係合部24と係合する第2係合部25が、それぞれ設けられている。座インナーシェル3は、弾性を有する素材で形成され、摺動部32を介してガイドレール61により支持されて、着座者がいない状態において、第1係合部24と第2係合部25とが係合しない位置まで、座インナーシェル3の面3bが座ベース部材18から浮き上がっているように設定される。第1係合部は、例えば突起24であり、第2係合部は、例えばこの突起24が嵌まる孔25である。但し、第1係合部24および第2係合部25の形態はこの例に限定されず、例えば互いに噛み合う凹凸や山部や谷部であっても良い。したがって、着座していない状態では座本体19は座ベース部材18に対してスライド可能であるが、着座することによって座インナーシェル3が沈み込み、第1係合部24と第2係合部25とが係合して、座本体19は座ベース部材18に対してスライド不能となる。この場合、座の位置決め手段を備えた座のスライド機構を簡易に構成することができる。
【0051】
また、図26および図27に示す座のスライド機構では、座本体19または座ベース部材18に設けられて、座本体19または座本体19の一構成要素としての座インナーシェル3と、座ベース部材18とを密着するように付勢すると共に、弾性変形することで座本体19または座インナーシェル3と、座ベース部材18とを離れた状態とし、座ベース部材18に対して座本体19をスライド可能とする付勢部材62を備えるようにしている。図26および図27に示す例では、座ベース部材18に4つの付勢部材62を固定して、この付勢部材62により座本体19の一構成要素としての座インナーシェル3を座ベース部材18に密着する方向に付勢している。また、座インナーシェル3の座ベース部材18に対向する面には第1係合部24が、座ベース部材18の座インナーシェル3に対向する面には第1係合部と係合する第2係合部25が、それぞれ設けられている。第1係合部は、例えば突起24であり、第2係合部は、例えばこの突起24が嵌まる孔25である。但し、第1係合部24および第2係合部25の形態はこの例に限定されず、例えば互いに噛み合う凹凸や山部や谷部であっても良い。したがって、通常は、座インナーシェル3と座ベース部材18とが密着して、第1係合部24と第2係合部25とが係合するため、座本体19は座ベース部材18に対してスライド不能となる。一方、付勢部材62の付勢力に抗して座インナーシェル3を持ち上げて、第1係合部24と第2係合部25との係合を外すと、座本体19は座ベース部材18に対してスライド可能となる。この場合も、座の位置決め手段を備えた座のスライド機構を簡易に構成することができる。
【0052】
また、図28および図29に示す座のスライド機構では、案内手段は連結部材20が摺動する案内溝21”であり、連結部材20は、案内溝21”内を摺動可能である摺動部32と、摺動部32の一端側に設けられ第1の姿勢をとることで案内溝21”を通過可能であるが第2の姿勢をとること案内溝21”を通過不能となる頭部33と、上記第2の姿勢の状態で座ベース部材18または座本体19に固定される取付部63とを有している。連結部材20は、例えば2つの直方体を、当該直方体の幅と等しい直径を有する円柱で結合した略H字型に形成される。この場合、2つの直方体の一方が頭部33であり他方が取付部63である。2つの直方体を接続する円柱が摺動部32である。頭部33の短辺は案内溝21”の幅よりも短く設定され、頭部33の長辺は案内溝21”の幅よりも長く設定される。この場合、頭部33の長辺を案内溝21”の長手方向に向けた状態が、案内溝21”を通過可能である第1の姿勢となる。第1の姿勢から摺動部32の軸周りに90度回転した状態を例えば第2の姿勢とする。連結部材20を固定する部材(例えば座ベース部材18)には、連結部材20が第1の姿勢をとった場合に取付部63が通過可能な取付用孔64が形成されている。連結部材20を固定する部材(例えば座ベース部材18)の裏側には、連結部材20が第2の姿勢をとった場合に取付部63が嵌め込まれる固定手段65が設けられている。この固定手段は、例えば、取付部63を挟持して固定する4つの突起65である。ただし、固定手段65はこの例に限定されず、例えば、直角を成す鉤状の爪を固定手段65として用いて、取付部63を第1の姿勢の状態から第2の姿勢の状態まで回転させることによって取付部63が鉤状の爪に嵌め込まれるようにしても良い。したがって、連結部材20を第1の姿勢として、取付用孔64および案内溝21”を通過させ、次に摺動部32の軸周りに90度回転して連結部材20を第2の姿勢として、取付部63を突起65に囲まれる空間に嵌め込む。これにより、連結部材20が固定されると共に、座ベース部材18と座本体19とがスライド可能に連結される。連結部材20を通過させるために、大きな溝や孔を形成する必要はなく、摺動部32が摺動可能な案内溝21”を設ければ足りるので、案内溝21”や連結部材20の周辺の機械的強度の低下を防止でき、且つ限られたスペースを有効活用できる。
【0053】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の座のスライド機構によれば、案内手段は、連結部材が摺動する案内溝と、案内溝に連結部材を取り付けるための取付用溝を有し、連結部材は、一端側が座ベース部材または座本体に取り付けられると共に案内溝内を摺動可能である摺動部と、その一端側とは反対側の端に設けられると共に案内溝および取付用溝を通過不能である頭部と、頭部に対して案内溝を挟んだ位置に設けられると共に案内溝は通過不能であるが取付用溝は通過可能である係合片とを有するようにしているので、頭部を通過させるための大きな溝や孔を形成する必要はなく、限られたスペースを浪費することなく有効活用でき、且つ案内溝や連結部材の周辺の機械的強度の低下を防止できる。
【0054】
さらに、請求項2記載の座のスライド機構によれば、座ベース部材または座本体と接する頭部の面を曲面としているので、頭部と対向する部材との接触は点接触または線接触となり、接触面積の減少により連結部材の摺動時の摩擦抵抗を低減できる。また、角張った部分で頭部と対向する部材を引っ掻いてしまうことを防止でき、頭部と対向する部材を傷付けてしまうことを防止できる。
【0055】
さらに、請求項3記載の発明の座のスライド機構によれば、摺動部を角柱形状としているので、摺動部が案内溝内で回転することが禁止され、ねじ止め等が容易となる。
【0056】
さらに、請求項4記載の座のスライド機構によれば、連結部材は、座ベース部材または座本体の一方に取付用ねじにより固定されると共に、取付用ねじは、当該取付用ねじの軸方向における連結部材の長さの少なくとも2分の1以上の長さを有するようにしているので、取付用ねじは連結部材の固定手段として機能すると共に連結部材の芯材としても機能し、連結部材の機械的強度が高まる。
【0057】
さらに、請求項5記載の座のスライド機構によれば、連結部材が取り付けられる取付位置の周辺に、連結部材を取付位置に導く傾斜を設けるようにしているので、連結部材の取付位置への位置決めが容易となる。
【0058】
さらに、請求項6記載の座のスライド機構によれば、案内溝の長手方向における取付用溝の長さは、当該長手方向における摺動部の長さよりも短くなるようにしているので、摺動部が取付用溝に入り込んで連結部材の円滑な摺動が妨げられる、といった事態が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の座のスライド機構の実施の一形態を示す概略分解組立斜視図である。
【図2】上記座のスライド機構の連結部材の一例を示す概略側面図である。
【図3】上記連結部材の一例を示す概略正面図である。
【図4】上記連結部材の他の例を示す概略側面図である。
【図5】上記連結部材の他の例を示す概略正面図である。
【図6】上記連結部材を位置決めする様子を示す概略側面図である。
【図7】座ベース部材の一例を示す概略平面図である。
【図8】座本体の一構成要素である座インナーシェルの一例を示す概略平面図である。
【図9】座本体の一例を示す概略底面図である。
【図10】図9のX−X線における断面図と部分拡大図である。
【図11】座本体の操作レバーが上下方向に動く様子を示す座インナーシェルの断面図と操作レバー部分の拡大図である。
【図12】上張地にテープ材と緊締用紐とを通してミシン縫いと上張地の周縁を切り落とす作業を示している要部拡大斜視図である。
【図13】上張地へのテープ材の縫製方法の一例を示す部分斜視図である。
【図14】上張地へのテープ材の縫製方法の他の例を示す部分斜視図である。
【図15】図14に示した縫製方法によって縫製した後に上張地をめくり返した様子を示す部分斜視図である。
【図16】紐の結び目が脱落防止爪の陰に隠れるように緊締用紐を結んだ様子を示す部分拡大図である。
【図17】本発明の座のスライド機構の他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図18】本発明の座のスライド機構のさらに他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図19】本発明の座のスライド機構のさらに他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図20】本発明の座のスライド機構のさらに他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図21】本発明の座のスライド機構のさらに他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図22】本発明の座のスライド機構のさらに他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図23】上記座のスライド機構の連結部材の一例を示す概略側面図である。
【図24】本発明の座のスライド機構のさらに他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図25】上記座のスライド機構において、座本体を座ベース部材から取り外した状態を示す概略斜視図である。
【図26】本発明の座のスライド機構のさらに他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図27】上記座のスライド機構において、座本体を座ベース部材に取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【図28】本発明の座のスライド機構のさらに他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図29】上記座のスライド機構の座ベース部材の裏面を示す概略斜視図である。
【図30】従来の座のスライド機構を示す平面図である。
【図31】従来の座のスライド機構を示す側面図である。
【符号の説明】
18 座アウターシェル(座ベース部材)
19 座本体
20 連結部材
21 案内手段
30 案内溝
31 取付用溝
32 摺動部
33 頭部
34 係合片
Claims (6)
- 脚に支持される座ベース部材と、着座面を形成する座本体と、前記座ベース部材または前記座本体の一方に設けられ当該一方と一体となって前記座ベース部材または前記座本体の他方に対して相対移動する連結部材と、前記他方に設けられて前記連結部材を案内する案内手段とを有し、前記座本体が前記座ベース部材に対して摺動可能である座のスライド機構において、前記案内手段は、前記連結部材が摺動する案内溝と、該案内溝に前記連結部材を取り付けるための取付用溝を有し、前記連結部材は、一端側が前記座ベース部材または前記座本体に取り付けられると共に前記案内溝内を摺動可能である摺動部と、前記一端側とは反対側の端に設けられると共に前記案内溝および前記取付用溝を通過不能である頭部と、該頭部に対して前記案内溝を挟んだ位置に設けられると共に前記案内溝は通過不能であるが前記取付用溝は通過可能である係合片とを有することを特徴とする座のスライド機構。
- 前記座ベース部材または前記座本体と接する前記頭部の面が曲面であることを特徴とする請求項1記載の座のスライド機構。
- 前記摺動部は、角柱形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の座のスライド機構。
- 前記連結部材は、前記座ベース部材または前記座本体の一方に取付用ねじにより固定されると共に、前記取付用ねじは、該取付用ねじの軸方向における前記連結部材の長さの少なくとも2分の1以上の長さを有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の座のスライド機構。
- 前記連結部材が取り付けられる取付位置の周辺に、前記連結部材を前記取付位置に導く傾斜を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の座のスライド機構。
- 前記案内溝の長手方向における前記取付用溝の長さは、当該長手方向における前記摺動部の長さよりも短いことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の座のスライド機構。
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