JP4095254B2 - 摺動式等速ジョイント - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に自動車の動力伝達系において用いられる摺動式等速ジョイントに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の摺動式等速ジョイントとしては、例えば、特開2000−27881号公報に記載された摺動式等速ジョイントが開示されている。この従来例の摺動式等速ジョイントは、図20(A)、(B)に示すように、内周面に円周方向等分位置に軸方向に延びるトラック溝101を備えた外輪部材102と、外周面に円周方向等分位置に軸方向に延びるトラック溝103を備えた内輪部材104と、内・外輪部材102、104のトラック溝101、103に介在するトルク伝達部105とを有し、トルク伝達部105を、ギヤ部106を備えたジャーナル部材107と、ジャーナル部材107に回転自在に担持されたローラ108とで構成し、ローラ108を外輪部材102のトラック溝101に収容させ、内輪部材104のトラック溝103の底面にギヤ部109を設けると共にジャーナル部材107のギヤ部106を内輪部材104のギヤ部109と噛み合わせることによりジャーナル部材107が内輪部材104に対して傾くことを可能にした構造となっている。
【0003】
即ち、従来例では、両ギヤ部106、109の噛み合いによりジョイントが作動角をとるとジャーナル部材107が内輪部材104に対して軸線方向に傾くことにより、ローラ108の中心をジョイントの二等分面上に保持させることができ、これにより、振動発生の少ない4脚での摺動式等速ジョイントが成立する。また、トルク伝達部105に相当する3本のジャーナル部分が内輪部材104側に固定された旧来のトリポード型摺動式等速ジョイントにおいて構造上不可避の問題点であった、所謂、偏芯振れ回りにより発生する振動を低減させることができるようになるというものであった。なお、この振動は、ジョイントが高回転領域で使用されると、特に顕著に現れるものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例の摺動式等速ジョイントにあっては、上述のように、ジョイントが作動角をとった時に両ギヤ106、109の噛み合いによってジャーナル部材107が内輪部材104に対して軸線方向において傾くことを可能にしたもので、両ギヤ106、109の噛み合い構造により、内輪部材104におけるトラック溝103の側壁面とジャーナル部材107の内側端部側壁面が内輪部材104と各ジャーナル部材107との間のトルク伝達面となる構造であるため、以下に述べるような問題点があった。
【0005】
即ち、ローラ108と内輪部材104の干渉を回避しつつ内輪部材104に対しジャーナル部材107を傾かせるためには内輪部材104のトラック溝103を深く形成することが困難なためトルク伝達容量が極めて小さく、かつ、トルク伝達面が内周側となるため伝達トルクを大きくすることができない。そこで、トラック溝103の深さ(トラック溝103の両側壁長さ)を大きく取ることにより、トルク伝達面を広くかつ外周側に位置させて伝達トルクを大きくすることができるが、そうするとローラ108と内輪部材104との干渉を回避しつつ内輪部材104に対しジャーナル部材107を傾かせるためにはジョイントを大型化させることになる。
【0006】
本発明は、上述の従来の問題点に着目してなされたもので、2軸間で作動角をとった状態における振動を抑制すると共に、ジョイントを大型化させることなしに大きな伝達トルクが得られる摺動式等速ジョイントを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明請求項1記載の摺動式等速ジョイントは、連結すべき2軸の一方の軸に連結されていて内周面に円周方向等間隔のもとに複数の軸方向溝を備えた外輪部材と、前記2軸のもう一方の軸に連結されていて前記外輪部材の内部に収容される内輪部材と、該内輪部材の外周面に前記軸方向溝と同数で円周方向等間隔のもとに放射状に突出形成された固定軸部材と該各固定軸部材の外周に設けられていて該固定軸部材の軸方向および前記内輪部材の軸方向により規定される面内で揺動自在であり、かつ前記外輪部材の軸方向に沿って移動可能な中空ホルダと該各中空ホルダの外周に設けられていて前記外輪部材における各軸方向溝に沿って回転移動可能な軸受部材とで構成されるトルク伝達機構と、を備えている手段とした。
【0008】
請求項2記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記各固定軸部材の外周面に、前記内輪部材の軸周り方向で対向する互いに平行な2つの平面を形成し、前記各中空ホルダの内周面に、前記2つの平面とそれぞれ対向する互いに平行な2つの平面を形成し、前記内輪部材の軸方向における、前記各固定軸部材の外周面と前記各中空ホルダの内周面との間に、前記固定軸部材の先端側に向かうにつれて次第に増大する揺動隙間形成した手段とした。
【0009】
請求項3記載の摺動式等速ジョイントは、請求項2記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記各固定軸部材が、その先端側に向かうにつれて前記内輪部材の軸方向における幅が次第に狭くなる先細り形状に形成されることにより前記揺動隙間が形成されている手段とした。
【0010】
請求項4記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜3のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記各中空ホルダの前記外輪部材側の端部には前記各軸方向溝の底面に沿って摺接することにより前記各軸受部材の傾きを防止する傾き防止部材が設けられている手段とした。
【0011】
請求項5記載の摺動式等速ジョイントは、請求項4記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記外輪部材の軸方向における前記傾き防止部材長さは前記軸受部材の直径より短く形成されている手段とした。
【0012】
請求項6記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜3のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記各軸方向溝に前記各軸受部材が摺接することにより該各軸受部材の傾きを防止する案内面が形成されている手段とした。
【0013】
請求項7記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜6のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記各固定軸部材の先端は前記各軸受部材の位置まで達している手段とした。
【0014】
請求項8記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜7のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記各中空ホルダはその前記内輪部材側の端部前記内輪部材に枢支されることにより、前記固定軸部材の軸方向および前記内輪部材の軸方向により規定される面内で揺動自在に設けられ、かつ前記各軸受部材は前記各中空ホルダに対し該中空ホルダの軸方向に移動可能な状態に設けられている手段とした。
【0015】
請求項9記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜8のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて前記内輪部材の回転中心から前記各中空ホルダの揺動中心までの距離と該揺動中心から前記軸受部材の回転中心までの距離が同一に形成されている手段とした。
【0016】
請求項10記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜7のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記内輪部材の外周に形成されていてその球心が前記軸受部材の軸心線に対して前記内輪部材の軸方向に偏心するように設けられた内輪部材側球面部と、該内輪部材側球面部に摺接する内側球面と前記外輪部材の内周面に摺接しその球心が前記内輪部材側球面部の球心に対して前記軸受部材の軸心線に関し反対側に偏心するように設けられた外側球面を備えたケージとで構成されるダブルオフセット式ケージが設けられ、前記各中空ホルダが前記ケージに固定されることにより位置決めされている手段とした。
【0017】
請求項11記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜10のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記軸方向溝およびトルク伝達機構が3つのトリポード型である手段とした。
【0018】
【作用】
この発明請求項1記載の摺動式等速ジョイントでは、各軸受部材が中空ホルダの外周に設けられていて、この中空ホルダの中空部内に固定軸部材が該固定軸部材の軸方向および内輪部材の軸方向により規定される面内で揺動自在に配置されることで、軸受部材と内輪部材との干渉を回避しつつ内輪部材に対軸受部材および中空ホルダを傾かせることができると共に、トルク伝達面を広くかつ外周側に位置させて伝達トルクを大きくすることができるようになる。
【0019】
従って、ジョイントを大型化させることなしに大きな伝達トルクを得ることができるようになる。
【0020】
請求項2記載の摺動式等速ジョイントでは、上述のように、各固定軸部材の外周面に、内輪部材の軸周り方向で対向する二面幅形成し、各中空ホルダの内周面に、上記二面幅とそれぞれ対向する二面幅形成し、内輪部材の軸方向における、各固定軸部材の外周面と各中空ホルダの内周面との間に、固定軸部材の先端側に向かうにつれて次第に増大する揺動隙間形成した構成とすることにより、固定軸部材に対し各軸受部材および中空ホルダを該固定軸部材の軸方向および内輪部材の軸方向により規定される面内で揺動させるための揺動機構を容易に作ることができるようになる。
【0021】
請求項3記載の摺動式等速ジョイントでは、上述のように、各固定軸部材がその先端側に向かうにつれて内輪部材の軸方向における幅が次第に狭くなる先細り形状に形成することで、トルク強度を低下させることなしに揺動隙間を形成することができるようになる。
【0022】
請求項4記載の摺動式等速ジョイントでは、各中空ホルダの外周端部に設けられた傾き防止部材が各軸方向溝の底面に沿って摺接することにより、軸受部材の傾きが防止され、これにより、各中空ホルダおよび軸受部材の軸心線方向が外輪部材の軸線方向とが直交状態に確実に維持された状態となる。
従って、二等分面が確実に得られ、振動を最小限に抑えることが可能になる。
【0023】
請求項5記載の摺動式等速ジョイントでは、外輪部材の軸方向における傾き防止部材長さが軸受部材の直径より短く形成されることで、各軸方向溝に対する各軸受部材のストロークロスの発生を防止することができる。
【0024】
請求項6記載の摺動式等速ジョイントでは、各軸方向溝に形成された案内面に沿って軸受部材が摺接することにより、軸受部材の傾きが防止され、これにより、各軸受部材および中空ホルダの軸心線方向と外輪部材の軸線方向とが直交状態に確実に維持された状態となる。
従って、特別な部材を追加することなしに二等分面が確実に得られ、振動を最小限に抑えることが可能になる。
【0025】
請求項7記載の摺動式等速ジョイントでは、各固定軸部材の先端が各軸受部材の位置まで達するように構成されることで、軸受部材にかかる回転トルクをほぼ同一半径で受ける状態となるため、特にトルク強度的に有利となる。
【0026】
請求項8記載の摺動式等速ジョイントでは、上述のように、枢支構造とすることで、従来のギヤ式に比べ、製造コストを低減できると共に、内輪部材と中空ホルダとの間にがたつきを発生させることがないので、2軸間の微小作動角領域においても軸受部材の中心をジョイントの二等分面上に精度良く位置させることが可能となり、これにより、2軸間の微小作動角領域においても振動を確実に抑制することができるようになる。
【0027】
請求項9記載の摺動式等速ジョイントでは、上述のように、前記軸受部材は軸方向溝に沿って回転移動可能であり内輪部材の回転中心から各中空ホルダの揺動中心までの距離と該揺動中心から軸受部材の回転中心までの距離が同一に形成されることで、前記二等分面が確実に得られるようになる。
【0028】
請求項10記載の摺動式等速ジョイントでは、上述のように、ダブルオフセット式ケージに各中空ホルダが固定された構造とするより、ジョイントが作動角をとった状態において軸受部材の回転中心がほぼジョイントの二等分面上に保持された状態となり、これにより、連結される2軸の回転速度がほぼ等しい擬似等速ジョイントが成立すると共に、振動を抑制することができる。
また、ケージが軸受部材を直接保持するものではないため、摺動抵抗に悪影響を及ぼすこともない。
【0029】
請求項11記載の摺動式等速ジョイントは、上述のように、軸方向溝およびトルク伝達機構が3で特に振動を発生させ易いトリポード型に適用することにより、前記二等分面が有利に得られ、これにより、振動を有効に低減できるようになる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(発明の実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1の構成を図1に基づいて説明する。
【0031】
図1は、発明の実施の形態1の摺動式等速ジョイントを示す一部切欠正面図、図2は作動角0°状態の図1のII−II線における縦断面図、図3は作動角6°状態の図1のII−II線における縦断面図、図4は作動角6°状態で図1のII−II線における外輪部材のみを縦断した縦断面図、図5は図2のA矢視図、図6は図2のVI−VI線における横断面図であり、これらの図に示すように、この発明の実施の形態1の摺動式等速ジョイントは、連結すべき2軸のうちの一方の回転軸1と結合する外輪部材3と、もう一方の回転軸2と結合する内輪部材4と、トルク伝達機構5とを主な構成として備えている。
【0032】
前記外輪部材3は中空で、円筒状内周面の円周方向三等分位置に軸方向溝31、31、31が形成されている。
前記内輪部材4は、回転軸2の端部にスプライン結合されると共に、Cリング21により位置決めされていて、外輪部材3の中空部内に収容配置されている。
【0033】
前記トルク伝達機構5は、外輪部材3と内輪部材4間に介在してトルクを伝達するもので、内輪部材4の外周面に外輪部材3の軸方向溝31と同数で円周方向等間隔のもとに放射状(半径方向)に突出形成された固定軸部材51と、該各固定軸部材51の外周に対し内輪部材4の軸方向にのみ揺動自在に設けられた中空ホルダ52と、該各中空ホルダ52の外周に設けられていて外輪部材3における各軸方向溝31に沿って回転移動可能な球面ローラ(軸受部材)53とで構成されている。
【0034】
さらに詳述すると、前記球面ローラ53は各中空ホルダ52の外周に対し、針状コロ54を介して回転自在に設けられると共に、各球面ローラ53の曲率中心は、該球面ローラ53の回転中心Oと一致している。また、各球面ローラ53は、各軸方向溝31に沿って回転移動可能な状態に収容配置されると共に、各中空ホルダ52の外周端部側には、その外周面が各軸方向溝31の底面に沿って摺接することにより球面ローラ53の傾きを防止する軸方向に長いヘッド(傾き防止部材)55が設けられている。なお、前記ヘッド55の軸方向長さが球面ローラ53の直径よりは短く形成されている。また、前記各球面ローラ53は、各中空ホルダ52に対し該中空ホルダ52の軸方向への移動が可能な状態に設けられることにより、内輪部材4に対し半径方向移動可能な状態に設けられている。
【0035】
また、図5、6に示すように、前記各中空ホルダ52は略円筒状で、前記各固定軸部材51は外周側(先端側)に向かうにつれて径が小さくなる先細りの略裁頭円錐状に形成されることにより、各中空ホルダ52の内面と固定軸部材51の外面との間に外周側(先端側)に向かうにつれて次第に増大する揺動隙間w、wが形成されると共に、内輪部材4の円周方向において対向する両外面が軸方向において互いに平行な平面(二面幅)51a、51aに形成される一方、固定軸部材51の両平面51a、51aと対向する中空ホルダ52の内面には、該両平面51a、51aと平行な平面(二面幅)52a、52aが形成され、さらに、前記各中空ホルダ52の内周側端部を内輪部材4に枢軸41で枢支することにより各中空ホルダ52が各固定軸部材51の外周に対し内輪部材4の軸方向にのみ揺動自在な状態に組み付けられている。
【0036】
また、前記各固定軸部材51の先端は各球面ローラ53の外周側端面位置まで達する長さを有していて、中空ホルダ52の両平面52a、52aのうち、トルク伝達面となる内輪部材4の回転方向側平面52aには、図1、6に示すように、中空ホルダ52の揺動時における固定軸部材51の平面51aとの摩擦抵抗を低減する針状コロ52bが設けられている。
【0037】
また、図2、3に示すように、前記内輪部材4の回転中心Pから各中空ホルダ52の枢支点Qまでの距離L1と各枢支点Qから各球面ローラ53の回転中心Oまでの距離L2が同一に形成されている。
【0038】
次に、この発明の実施の形態1の作用・効果を説明する。
この発明の実施の形態1の摺動式等速ジョイントでは、上述のように構成されるため、図3、4に示すように、ジョイントが作動角θをとった状態でトルクを伝達する時、外輪部材3側では各球面ローラ53が各軸方向溝31に沿って往復回転移動し、内輪部材4側では各球面ローラ53および中空ホルダ52が各固定軸部材51に対し枢支点Qを中心として軸方向に揺動することにより、各球面ローラ53および中空ホルダ52の軸心線方向と外輪部材3の軸線方向とが直交状態にほぼ維持された状態となる。
【0039】
図7はジョイントが作動角θをとった状態を示す模式図であり、この図において、内輪部材4の回転中心Pから各中空ホルダ52の枢支点Qまでの距離L1と各枢支点Qから各球面ローラ53の回転中心Oまでの距離L2が、この発明の実施の形態1におけるように同一距離(L1=L2)に設定された時に、近似的に球面ローラ53の回転中心Oがジョイントの二等分面(2軸のなす作動角θを二等分する面)M上に配置された状態(α=θ/2)となり、振動を最小限に抑えることが可能となる。
【0040】
また、ジョイントが作動角θをとった状態のトルク伝達において、各球面ローラ53が各軸方向溝31に沿って回転移動する際に、各中空ホルダ52の外周端部に設けられたヘッド55が各軸方向溝31の底面に沿って摺接することにより、球面ローラ53の傾きが防止されるため、各中空ホルダ52および球面ローラ53の軸心線方向と外輪部材3の軸線方向とが直交状態に確実に維持された状態となり、二等分面が確実に得られ、振動を最小限に抑えることが可能となる。
【0041】
なお、微小作動角θ=3°の状態で、内輪部材4の回転中心Pから各中空ホルダ52の枢支点Qまでの距離L1と各枢支点Qから各球面ローラ53の回転中心Oまでの距離L2の比率を変化(L2mm/L1mm=0/25、7.5/17.5、10/15、12.5/12.5)させた場合の、左右方向(作動角θ形成方向とは直交する方向)の偏心振れ回りの測定結果を図8に、また、上下方向(作動角θ形成方向)の偏心振れ回りの測定結果を図9にそれぞれ示す。
【0042】
また、図10は、作動角θを変化(0〜20°)させた場合の前記両距離L1、L2の各比率(L2mm/L1mm=7.5/17.5、10/15、12.5/12.5)における球面ローラ53の回転中心Oの機構的位置関係(α/θ)を示す特性図であり、この特性図に示すように、両距離L1、L2を同一(12.5/12.5)にすることによって、球面ローラ53の回転中心Oを二等分面(α/θ=0.5)Mに配置させることができる。
そして、以上のような揺動作動において、枢支点Q部分にがたつきが生じることがないため、微小作動角状態においても二等分面Mへの配置状態を確実に維持させることができるようになる。
【0043】
また、音振動レベルでみると、両距離L1、L2の比率L2mm/L1mmが7.5/17.5の時に−8dB、10/15の時に−14dB、12.5/12.5の時に−60dBとなるもので、両距離L1、L2を同一(12.5/12.5)にすることによって、音振動レベルを大幅に低減することができる。
【0044】
以上のように、ジョイントが作動角θをとった状態においても、外輪部材3の軸線方向と球面ローラ53の軸線方向との直交状態がほぼ維持されるため、振動を最小限に抑えることが可能になると共に、球面ローラ53の回転中心Oがほぼジョイントの二等分面M上に保持された状態となる。
従って、2軸間で作動角θをとった状態における振動を抑制することができるようになる。
【0045】
また、各球面ローラ53が中空ホルダ52の外周に設けられていて、この中空ホルダ52の中空部内に固定軸部材51が軸方向揺動自在に配置されることで、球面ローラ53と内輪部材4との干渉を回避しつつ内輪部材4に対する球面ローラ53および中空ホルダ52を傾むかせることができると共に、トルク伝達面を広くかつ外周側に位置させて伝達トルクを大きくすることができるようになる。
従って、ジョイントを大型化させることなしに大きな伝達トルクを得ることができるようになる。
【0046】
また、各固定軸部材51の外周面と各中空ホルダ52の内周面とが内輪部材4の円周方向においては内輪部材4の軸方向に沿った面において互いに対向する平面51a、51aおよび52a、52a(二面幅)が形成され、内輪部材4の軸方向においては外周側(先端側)に向かうにつれて次第に増大する揺動隙間w、wが形成された構成とすることにより、固定軸部材51に対し各球面ローラ53および中空ホルダ52を軸方向に揺動させるための揺動機構を容易に作ることができるようになる。
【0047】
また、各固定軸部材51がその外周側に向かうにつれて内輪部材4の軸方向幅が次第に狭くなる先細り形状に形成することで、トルク強度を低下させることなしに揺動隙間w、wを形成することができるようになる。
【0048】
また、前記ヘッド55の軸方向長さが球面ローラ53の直径より短く形成されることで、各軸方向溝31に対する各球面ローラ53のストロークロスの発生を防止することができる。
【0049】
また、各固定軸部材51の先端が各球面ローラ53の外周側端面位置まで達するように構成されることで、球面ローラ53にかかる回転トルクをほぼ同一半径で受ける状態となるため、特にトルク強度的に有利となる。
【0050】
また、内輪部材4と各中空ホルダ52との関係を枢軸41による枢支構造とすることで、従来のギヤ式に比べ、製造コストを低減できると共に、内輪部材4と中空ホルダ52との間の枢支点Q部分にがたつきを発生させることがないので、2軸間の微小作動角領域においても球面ローラ53の回転中心Oをジョイントの二等分面M上に精度良く位置させることが可能となり、これにより、2軸間の微小作動角領域においても振動を確実に抑制することができるようになる。
【0051】
また、特に、軸方向溝31およびトルク伝達機構が3つで特に振動を発生させ易いトリポード型に適用することにより、前記二等分面Mが有利に得られ、これにより、振動を有効に低減できるようになる。なお、トルクを伝達する際、トルクは固定軸部材51を介して行われるので、枢軸41に過大なトルクが作用することがないので枢軸41をより細くすることができる。
【0052】
(発明の実施の形態2)
次に、発明の実施の形態2の摺動式等速ジョイントについて説明する。なお、この発明の実施の形態2の説明にあたっては、前記発明の実施の形態1と同様の構成部分には同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0053】
図11は発明の実施の形態2の摺動式等速ジョイントを示す一部切欠正面図、図12は作動角0°状態の図11の XII−XII 線における縦断面図、図13は作動角6°状態の図11の XII−XII 線における縦断面図であり、これらの図に示すように、この発明の実施の形態2の摺動式等速ジョイントは、前記発明の実施の形態1におけるヘッド55に代えて、各軸方向溝31の底部側に各球面ローラ53の外周側面が摺接することで球面ローラ53の傾きを防止する案内面32、32が形成された構造としたものである。
【0054】
即ち、各軸方向溝31に形成された両案内面32、32に沿って各球面ローラ53の外周側面が摺接することにより、球面ローラ53の傾きが防止され、これにより、各中空ホルダ52および球面ローラ53の軸心線方向が外輪部材3の半径線方向に確実に維持された状態となる。
従って、特別な部材(ヘッド55)を追加することなしに二等分面が確実に得られ、振動を最小限に抑えることが可能になる。
【0055】
(発明の実施の形態3)
次に、発明の実施の形態3の摺動式等速ジョイントについて説明する。なお、この発明の実施の形態3の説明にあたっては、前記発明の実施の形態2と同様の構成部分には同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0056】
図14は発明の実施の形態3の摺動式等速ジョイントを示す一部切欠正面図、図15は作動角0°状態の図14のXV−XV線における縦断面図、図16は作動角6°状態の図14のXV−XV線における縦断面図であり、これらの図に示すように、この発明の実施の形態3の摺動式等速ジョイントは、前記発明の実施の形態2における枢軸41による軸支構造を省略した点で相違したものであり、その他の点は前記発明の実施の形態2とほぼ同様である。
【0057】
即ち、この発明の実施の形態3では、内輪部材4に対する各中空ホルダ52の揺動を可能とする範囲において各中空ホルダ52における下端の中空部開口径と各固定軸部材51の基部外径との差を極力小さく形成することにより、内輪部材4と中空ホルダ52との間の枢支点Q相当部分(中空ホルダ52の揺動中心部分)における軸方向のがたつきを防止し、これにより、2軸間の微小作動角領域においても球面ローラ53の回転中心をジョイントの二等分面M上に精度良く位置させることを可能としたものである。
従って、2軸間の微小作動角領域においても振動を確実に抑制することができるようになると共に、枢軸41による軸支構造を省略することで製造コストを低減できるようになる。
【0058】
(発明の実施の形態4)
次に、発明の実施の形態4の摺動式等速ジョイントについて説明する。なお、この発明の実施の形態4の説明にあたっては、前記発明の実施の形態と同様の構成部分には同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0059】
図17は発明の実施の形態4の摺動式等速ジョイントを示す一部切欠正面図、図18は作動角0°状態の図17のXIIX−XIIX線における縦断面図、図19は作動角6°状態の図17のXIIX−XIIX線における縦断面図であり、これらの図に示すように、この発明の実施の形態4の摺動式等速ジョイントは、前記内輪部材4の外周面側に形成されていて球面ローラ53の回転中心‐Oに対して球心Rが内輪部材4の軸方向に偏心する内輪部材側球面部42と、該内輪部材側球面部42に摺接する内側球面Sと外輪部材3の内周円弧面33に摺接し前記内輪部材側球面部42の球心Rに対して球面ローラ53の回転中心‐Oに関し反対側に球心C偏心する外側球面Dを備えたケージ6とで構成されるダブルオフセット式ケージが設けられ、前記各中空ホルダ52の基部が前記ケージ6に設けられた窓部6aにそれぞれ固定されることにより位置決めされた構成となっている。即ち、前記球心Rと回転中心‐Oとの間の距離と、回転中心‐Oと球心Cとの間の距離が同一に形成されている。
【0060】
前記ケージ6は、軸方向に組み付け可能な2分割部材61、62で構成されることにより、固定軸部材51が突出形成された内輪部材4に対する組み付け、および、このケージ6の窓部6aに対する各中空ホルダ52の組み付け固定を可能にしている。
【0061】
次に、この発明の実施の形態4の作用・効果を説明する。この発明の実施の形態4の摺動式等速ジョイントでは、上述のように構成されるため、図19に示すように、ジョイントが作動角θをとった状態でトルクを伝達する時、前記球心Rと回転中心‐Oとの間の距離と、回転中心‐Oと球心Cとの間の距離が同一に形成されているため、外輪部材3に対し内輪側部材4が作動角θだけ傾くと、ケージ6は作動角θの1/2(α)だけ傾いた状態となり、従って、この状態においては、近似的に球面ローラ53の回転中心Oがジョイントの二等分面(2軸のなす作動角θを二等分する面)M上に配置された状態(α=θ/2)となり、これにより、擬似等速ジョイントが成立した状態となる。
【0062】
そして、外輪部材3側では各球面ローラ53が各軸方向溝31に沿って往復回転移動するが、この時の各軸方向溝31に対する球面ローラ53の傾き角αは、ジョイント作動角θの1/2であるため、軸方向溝31に対する球面ローラ53の摺動抵抗もさほど大きくなく、また、ケージ6は球面ローラ53を直接保持するものではないため、摺動抵抗に悪影響を及ぼすこともない。
従って、2軸間で作動角θをとった状態における振動を抑制することができるようになる。
【0063】
以上発明の実施の形態を図面により説明したが、具体的な構成はこれらの発明の実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0064】
例えば、発明の実施の形態では、軸方向溝31およびトルク伝達機構が3つで特に振動を発生させ易いトリポード型に適用したが、4本以上のものにも適用することができる。また、軸受部材を球面ローラ換え、滑り軸受を用いたり、固定軸部材と軸方向溝間にリニアベアリングを設けてもよい。
【0065】
また、発明の実施の形態では、各固定軸部材51側を先細り形状に形成することにより、揺動隙間w、wを形成したが、中空ホルダの中空部の軸方向幅を先端に向かうにつれて幅広に形成することにより、揺動隙間w、wを形成するようにしても良い。
【0066】
また、発明の実施の形態1〜3では、内輪部材4の回転中心Pから各中空ホルダ52の枢支点Qまでの距離L1と各枢支点Qから各球面ローラ53の回転中心Oまでの距離L2を同一に形成した最適例を示したが、同一でなくても所定の効果を得ることができる。
【0067】
また、発明の実施の形態1では傾き防止用のヘッド55が設けられ、発明の実施の形態2、3では傾き防止用の案内面32、32が設けられた例を示したが、これらを備えなくても、所定の効果を得ることができる。
【0068】
また、発明の実施の形態2、3では、傾き防止用として球面ローラ53の外周側面に摺接する案内面32、32のみを形成したが、球面ローラ53の内周側面に摺接する案内面を形成し、もしくは、球面ローラ53の内・外周両側面に共に摺接する状態で案内面を形成するようにしてもよい。
【0069】
また、発明の実施の形態では、中空ホルダ52の両平面52a、52aのうちの一方(内輪部材4の回転方向側平面52a)にのみ針状コロ52bを設けたが、両方に設けても良い。また、固定軸部材51の平面51a、51a側に設けるようにしても良い。
【0070】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明請求項1記載の摺動式等速ジョイントでは、上述のように、連結すべき2軸の一方の軸に連結されていて内周面に円周方向等間隔のもとに複数の軸方向溝を備えた外輪部材と、前記2軸のもう一方の軸に連結されていて前記外輪部材の内部に収容される内輪部材と、該内輪部材の外周面に前記軸方向溝と同数で円周方向等間隔のもとに放射状に突出形成された固定軸部材と該各固定軸部材の外周に設けられていて該固定軸部材の軸方向および前記内輪部材の軸方向により規定される面内で揺動自在であり、かつ前記外輪部材の軸方向に沿って移動可能な中空ホルダと該各中空ホルダの外周に設けられていて前記外輪部材における各軸方向溝に沿って回転移動可能な軸受部材とで構成されるトルク伝達機構と、を備えている手段としたことで、ジョイントが作動角をとった状態においても、外輪部材の軸線方向と軸受部材の軸線方向との直交状態がほぼ維持されるため、振動を最小限に抑えることが可能になると共に、軸受部材の中心がほぼジョイントの二等分面上に保持された状態となり、2軸間で作動角をとった状態における振動を抑制することができるようになる。
【0071】
また、各軸受部材が中空ホルダの外周に設けられていて、この中空ホルダの中空部内に固定軸部材が該固定軸部材の軸方向および内輪部材の軸方向により規定される面内で揺動自在に配置されることで、軸受部材と内輪部材との干渉を回避しつつ内輪部材に対軸受部材および中空ホルダを傾かせることができると共に、トルク伝達面を広くかつ外周側に位置させて伝達トルクを大きくすることができるようになる。従って、ジョイントを大型化させることなしに大きな伝達トルクを得ることができるようになる。
【0072】
請求項2記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記各固定軸部材の外周面に、前記内輪部材の軸周り方向で対向する互いに平行な2つの平面を形成し、前記各中空ホルダの内周面に、前記2つの平面とそれぞれ対向する互いに平行な2つの平面を形成し、前記内輪部材の軸方向における、前記各固定軸部材の外周面と前記各中空ホルダの内周面との間に、前記固定軸部材の先端側に向かうにつれて次第に増大する揺動隙間形成した手段としたことで、固定軸部材に対し各軸受部材および中空ホルダを該固定軸部材の軸方向および内輪部材の軸方向により規定される面内で揺動させるための揺動機構を容易に作ることができるようになる。
【0073】
請求項3記載の摺動式等速ジョイントは、請求項2記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記各固定軸部材が、その先端側に向かうにつれて前記内輪部材の軸方向における幅が次第に狭くなる先細り形状に形成されることにより前記揺動隙間が形成されている手段としたことで、トルク強度を低下させることなしに揺動隙間を形成することができるようになる。
【0074】
請求項4記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜3のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記各中空ホルダの前記外輪部材側の端部には前記各軸方向溝の底面に沿って摺接することにより前記各軸受部材の傾きを防止する傾き防止部材が設けられている手段としたことで、各中空ホルダおよび軸受部材の軸心線方向が外輪部材の半径線方向に確実に維持された状態となり、これにより、軸方向溝に対する軸受部材の摺動抵抗を最小限の状態に維持し、振動を最小限に抑えることが可能になる。
【0075】
請求項5記載の摺動式等速ジョイントは、請求項4記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記外輪部材の軸方向における前記傾き防止部材長さは前記軸受部材の直径より短く形成されている手段としたことで、各軸方向溝に対する各軸受部材のストロークロスの発生を防止することができるようになる。
【0076】
請求項6記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜3のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記各軸方向溝に前記各軸受部材が摺接することにより該各軸受部材の傾きを防止する案内面が形成されている手段としたことで、軸受部材の傾きが防止され、これにより、各軸受部材および中空ホルダの軸心線方向と外輪部材の軸線方向との直交状態が確実に維持された状態となる。
従って、特別な部材を追加することなしに二等分面が確実に得られ、振動を最小限に抑えることが可能になる。
【0077】
請求項7記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜6のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記各固定軸部材の先端が前記各軸受部材の位置まで達している手段としたことで、軸受部材にかかる回転トルクをほぼ同一半径で受ける状態となるため、特にトルク強度的に有利となる。
【0078】
請求項8記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜7のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記各中空ホルダはその前記内輪部材側の端部前記内輪部材に枢支されることにより、前記固定軸部材の軸方向および前記内輪部材の軸方向により規定される面内で揺動自在に設けられ、かつ前記各軸受部材は前記各中空ホルダに対し該中空ホルダの軸方向に移動可能な状態に設けられている手段としたことで、従来のギヤ式に比べ、軸支構造により製造コストを低減できると共に、内輪部材と中空ホルダとの間にがたつきを発生させることがないので、2軸間の微小作動角領域においても軸受部材の中心をジョイントの二等分面上に精度良く位置させることが可能となり、これにより、2軸間の微小作動角領域においても振動を確実に抑制することができるようになる。
【0079】
請求項9記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜8のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記内輪部材の回転中心から前記各中空ホルダの揺動中心までの距離と該揺動中心から前記軸受部材の回転中心までの距離が同一に形成されている手段としたことで、前記二等分面が確実に得られるようになる。
【0080】
請求項10記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜7のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記内輪部材の外周に形成されていてその球心が前記軸受部材の回転中心線に対して前記内輪部材の軸方向に偏心するように設けられた内輪部材側球面部と、該内輪部材側球面部に摺接する内側球面と前記外輪部材の内周面に摺接しその球心が前記内輪部材側球面部の球心に対して前記軸受部材の回転中心線に関し反対側に偏心するように設けられた外側球面を備えたケージとで構成されるダブルオフセット式ケージが設けられ、前記各中空ホルダが前記ケージに固定されることにより位置決めされている手段としたことで、ジョイントが作動角をとった状態において軸受部材の回転中心がほぼジョイントの二等分面上に保持された状態となり、振動を抑制することができるようになる。また、ケージが軸受部材を直接保持するものではないため、摺動抵抗に悪影響を及ぼすこともない。
【0081】
請求項11記載の摺動式等速ジョイントは、請求項1〜10のいずれかに記載の摺動式等速ジョイントにおいて、前記軸方向溝およびトルク伝達機構が3つのトリポード型である手段としたことで、特に振動を発生させ易いトリポード型に適用することにより、前記二等分面が有利に得られ、これにより、振動を有効に低減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態の1の摺動式等速ジョイントを示す一部切欠正面図である。
【図2】作動角0°状態の図1のII−II線における縦断側面図である。
【図3】作動角6°状態の図1のII−II線における縦断側面図である。
【図4】作動角6°状態の図1のII−II線における外輪部材のみを縦断した縦断側面図である。
【図5】図2のA矢視図である。
【図6】図2のVI−VI線における横断平面図である。
【図7】発明の実施の形態1の摺動式等速ジョイントにおける作動角をとった状態を示す模式図である。
【図8】発明の実施の形態1の摺動式等速ジョイントを含む左右方向(作動角形成方向とは直交する方向)の偏心振れ回りの測定結果を示す図である。
【図9】発明の実施の形態1の摺動式等速ジョイントを含む上下方向(作動角形成方向)の偏心振れ回りの測定結果を示す図である。
【図10】作動角を変化させた場合の両距離L1、L2の各比率における球面ローラの回転中心の機構的位置関係を示す特性図である。
【図11】発明の実施の形態2の摺動式等速ジョイントを示す一部切欠正面図である。
【図12】作動角0°状態の図11の XII−XII 線における縦断側面図である。
【図13】作動角6°状態の図11の XII−XII 線における縦断側面図である。
【図14】発明の実施の形態3の摺動式等速ジョイントを示す一部切欠正面図である。
【図15】作動角0°状態の図14のXV−XV線における縦断側面図である。
【図16】作動角6°状態の図14のXV−XV線における縦断側面図である。
【図17】発明の実施の形態4の摺動式等速ジョイントを示す一部切欠正面図である。
【図18】作動角0°状態の図17のXIIX−XIIX線における縦断側面図である。
【図19】作動角6°状態の図17のXIIX−XIIX線における縦断側面図である。
【図20】従来例の摺動式等速ジョイントを示す断面図であり、(A)はジョイント正面図、(B)は縦断側面図である。
【符号の説明】
1 回転軸
2 回転軸
3 外輪部材
4 内輪部材
5 トルク伝達機構
6 ケージ
6a 窓部
21 Cリング
31 軸方向溝
32 案内面
33 内周円弧面
41 枢軸
42 内輪部材側球面部
51 固定軸部材
52a 平面(二面幅)
52 中空ホルダ
52a 平面(二面幅)
52b 針状コロ
53 球面ローラ(軸受部材)
54 針状コロ
55 ヘッド(傾き防止部材)
61 2分割部材(ケージ)
62 2分割部材(ケージ)
D 外側球面
M 二等分面
S 内側球面

Claims (11)

  1. 連結すべき2軸の一方の軸に連結されていて内周面に円周方向等間隔のもとに複数の軸方向溝を備えた外輪部材と、
    前記2軸のもう一方の軸に連結されていて前記外輪部材の内部に収容される内輪部材と、
    該内輪部材の外周面に前記軸方向溝と同数で円周方向等間隔のもとに放射状に突出形成された固定軸部材と該各固定軸部材の外周に設けられていて該固定軸部材の軸方向および前記内輪部材の軸方向により規定される面内で揺動自在であり、かつ前記外輪部材の軸方向に沿って移動可能な中空ホルダと該各中空ホルダの外周に設けられていて前記外輪部材における各軸方向溝に沿って回転移動可能な軸受部材とで構成されるトルク伝達機構と、
    を備えていることを特徴とする摺動式等速ジョイント。
  2. 前記各固定軸部材の外周面に、前記内輪部材の軸周り方向で対向する互いに平行な2つの平面を形成し、前記各中空ホルダの内周面に、前記2つの平面とそれぞれ対向する互いに平行な2つの平面を形成し、
    前記内輪部材の軸方向における、前記各固定軸部材の外周面と前記各中空ホルダの内周面との間に、前記固定軸部材の先端側に向かうにつれて次第に増大する揺動隙間形成したことを特徴とする請求項1に記載の摺動式等速ジョイント。
  3. 前記各固定軸部材が、その先端側に向かうにつれて前記内輪部材の軸方向における幅が次第に狭くなる先細り形状に形成されることにより前記揺動隙間が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の摺動式等速ジョイント。
  4. 前記各中空ホルダの前記外輪部材側の端部には前記各軸方向溝の底面に沿って摺接することにより前記各軸受部材の傾きを防止する傾き防止部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の摺動式等速ジョイント。
  5. 前記外輪部材の軸方向における前記傾き防止部材長さは前記軸受部材の直径より短く形成されていることを特徴とする請求項4に記載の摺動式等速ジョイント。
  6. 前記各軸方向溝には前記各軸受部材が摺接することにより該各軸受部材の傾きを防止する案内面が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の摺動式等速ジョイント。
  7. 前記各固定軸部材の先端は前記各軸受部材の位置まで達していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の摺動式等速ジョイント。
  8. 前記各中空ホルダはその前記内輪部材側の端部前記内輪部材に枢支されることにより、前記固定軸部材の軸方向および前記内輪部材の軸方向により規定される面内で揺動自在に設けられ、かつ前記各軸受部材は前記各中空ホルダに対し該中空ホルダの軸方向に移動可能な状態に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の摺動式等速ジョイント。
  9. 前記内輪部材の回転中心から前記各中空ホルダの揺動中心までの距離と該揺動中心から前記軸受部材の回転中心までの距離が同一に形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の摺動式等速ジョイント。
  10. 前記内輪部材の外周に形成されていてその球心が前記軸受部材の回転中心線に対して前記内輪部材の軸方向に偏心するように設けられた内輪部材側球面部と、
    該内輪部材側球面部に摺接する内側球面と
    前記外輪部材の内周面に摺接しその球心が前記内輪部材側球面部の球心に対して前記軸受部材の回転中心線に関し反対側に偏心するように設けられた外側球面
    を備えたケージと
    で構成されるダブルオフセット式ケージが設けられ、
    前記各中空ホルダが前記ケージに固定されることにより位置決めされていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の摺動式等速ジョイント。
  11. 摺動式等速ジョイントは前記軸方向溝およびトルク伝達機構が3つのトリポード型であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の摺動式等速ジョイント。
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