JP4094488B2 - 釣竿用トップカバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術の分野】
この発明は、いわゆるアウターガイドタイプの釣竿に装着される釣竿用トップカバーの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
図5は、収納状態におけるアウターガイドタイプの釣竿の一部断面要部拡大側面図である。同図は、いわゆるアウターガイドタイプの釣竿にトップカバーが装着された状態を図示している。
特にアウターガイドタイプの釣竿1では、釣竿1の収納時において、第1番節2(いわゆる穂先)及び釣糸ガイド3〜14を保護するためのトップカバー15が装着される(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
トップカバー15は、筒状に形成されたガイド保護部16を有し、このガイド保護部16に釣竿1を構成する部材(上記第1番節等)の先端部及び釣糸ガイド3等(同図では、釣糸ガイド3〜13)が収容される。ガイド保護部16は、ガイド支持部材17を備えている。ガイド支持部材17は、同図が示すように各釣糸ガイド3等に挿通され、これにより、各釣糸ガイド3等は、整列された状態で保持される。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−147867号公報
【特許文献2】
特開平7−163275号公報
【0005】
ところで、釣竿1に設けられる釣糸ガイド3〜14は、元竿18側から順に第1番ガイド14、第2番ガイド13と称され、第1番節2の先端に設けられた釣糸ガイド3は、特にトップガイド3と称される。
各釣糸ガイド3〜14は、釣竿1に装着される釣用リールから繰り出される釣糸を案内するためのものであるが、釣糸がスムーズに案内されるために、特に第1番ガイド14は、脚19が長く且つガイド口径が大きく設定されている(いわゆる脚高タイプの釣糸ガイド)。そして近年では、釣糸のよりスムーズな案内等が実現されるために、同図が示すように、第1番ガイド14の脚19はより長く且つガイド口径はより大きく形成される傾向にある。
【0006】
なお、第1番ガイド14は、実釣時(釣竿が伸長された状態)においては、元竿18の所定位置(同図において右側に移動された位置)に固定される。この所定位置とは、釣糸がもっともスムーズに案内されるために好ましい位置である。そして、釣竿の収納時においては、第1番ガイド14は、同図が示すように元竿18の先端部側へ移動される。
つまり、第1番ガイド14は元竿18に対して移動可能に設けられているのであるが、その理由は、仮に第1番ガイド14が上記所定位置に常時固定されていれば、釣竿1の搬送時に第1番ガイド14が損傷を受けるおそれが強く、また、ロッドケースに対して釣竿1の出入作業が容易ではなくなるということである。特に、脚高タイプの釣糸ガイドでは、かかる不都合は、顕著となる。
【0007】
このように第1番ガイド14の脚19が長く設定されると、ガイド支持部材17は、第1番ガイド14に挿通することが困難となる。したがって、同図が示すように、第1番ガイド14は、ある程度フリーな状態で元竿18に支持された状態とならざるを得ない。そのため、釣竿1の搬送中等において、第1番ガイド14が安定せず、第1番ガイド14が損傷を受けるおそれもある。
また、仮にガイド支持部材17が第1番ガイド14に強制的に挿通された場合は、ガイド支持部材17が極端に変形することになる。このとき、トップガイド3及びトップガイド3の近傍に配置されている釣糸ガイド4等並びに第1番節2に局部的な外力が作用することとなり、トップガイド3等が損傷するおそれがある。
一方、仮にガイド支持部材17が第1番ガイド14の位置に対応した位置(脚19の長さに対応した位置)に配置されたとしても、トップガイド3と第1番節14との位置(脚の長さ)が異なることから、すべての釣糸ガイド3〜14にガイド支持部材17が挿通されたときは、ガイド支持部材17が極端に変形せざるを得ない。その結果、トップガイド3等が損傷するおそれがある。
【0008】
本発明は、かかる背景のもとになされたものであって、その目的は、第1番ガイドが脚高タイプのものであっても、すべての釣糸ガイドが損傷を受けることなく安全且つ確実に保持される釣竿用トップカバーを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記目的が達成されるため、本願に係る釣竿用トップカバーは、複数の釣糸ガイドを有するアウターガイドタイプの釣竿に固定されて用いられる釣竿用トップカバーであって、収納状態の釣竿の先端部周面に当接される装着基部と、装着基部に連続し、トップガイドから第2番ガイドまでを囲繞保持するガイド保護部と、装着基部に設けられ、竿に対してスライドする第1番ガイドに係合して当該第1番ガイドを保持する保持部とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
この構成によれば、釣竿が収納状態となったとき、各釣糸ガイドは釣竿の長手方向に沿って整列される。
この状態で、装着基部が釣竿の先端部周面に沿って配置されると、トップガイドから第2番ガイドは、ガイド保護部によって囲繞保持される。
なお、上記「収納状態の釣竿の先端部周面」とは、具体的には、釣竿を構成する部材である元竿の先端部又は元上竿の先端部の周面を意味する。
また、装着基部が上記先端部周面に配置されると、保持部が当該先端部周面に沿って配置されることになる。この保持部は、釣竿に設けられた第1番ガイドのみに係合する。これにより、第1番ガイドは、釣竿に対する所定の位置に位置決め保持される。
【0011】
(2) 上記第1番ガイドは、上記先端部周面に嵌め合わされる環状部を備えたフレームと当該フレームに設けられたガイドリングとを有する。この場合、上記保持部は、上記先端部周面と上記環状部の内周面との間に圧入される挿入部材を備えて構成される。
上記第1番ガイドは、フレームの円環部が上記先端部周面に嵌め合わされることによって当該釣竿に係合される。そして、実釣時において釣竿が伸長されたときに、第1番ガイドは、元竿又は元上竿の所定位置に位置決め固定される。
当該釣竿が収納状態となったときは、第1番ガイドは、釣竿の先端側へスライドされる。釣竿は、一般に先端部の外径が後端部の外径よりも小さく設定されているから、第1番ガイドが釣竿の先端部側へスライドされると、上記円環部の内周面と上記先端部周面との間に所定の隙間が形成される。この隙間に挿入部材が挿入され、これにより、第1番ガイドは、釣竿の先端部に位置決め固定される。
【0012】
(3) 上記挿入部材は、その厚み寸法が先端から漸次大きくなるように楔状に形成されているのが好ましい。
挿入部材の先端が楔状に形成されていることにより、当該挿入部材は、上記隙間に容易に且つ確実に押し込まれる。これにより、第1番ガイドは、釣竿に一層確実に位置決め固定される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る釣竿用トップカバー(以下、単に「トップカバー」と称される)20の斜視図である。また、図2は、図1におけるII−II断面図、図3は、トップカバー20の要部平面図である。
このトップカバー20は、アウターガイドタイプの釣竿が収納状態となったときに、当該釣竿を構成する各部材(特に穂先を構成する第1番節)及び各釣糸ガイドを略位置決め状態で保持し、搬送時等における釣糸ガイド等の損傷を防止するためのものである。
なお、本明細書では、「釣竿」とは、収納状態の釣竿を意味し、トップカバー20の釣竿への装着作業の要領については、後に詳述される。
【0015】
トップカバー20は、装着基部21と、ガイド保護部22と、保持部23とを備えている。
装着基部21は、トップカバー20が釣竿に装着される際に、当該釣竿の先端部(具体的には、元竿又は元上竿の先端部)に沿って当接される。
装着基部21は、図1が示すように真直な板状に形成されており、この部分が釣竿の先端部周面に沿って且つ長手方向に沿って配置される。
本実施形態では、装着基部21の内面24は、湾曲面に形成されている。この内面24の曲率半径は、釣竿の先端部の外径寸法に対応されている。したがって、装着基部21は、安定して上記先端部周面と当接され、これにより、釣竿へのトップカバー20の取付作業はきわめて簡単なものとなる。
【0016】
ガイド保護部22は、装着基部21に連続して形成されている。なお、本実施形態では、ガイド保護部22及び装着基部21は、樹脂により一体的に形成されている。もっとも、これらが別々の部材として構成され、既知の方法により連結されていてもよいことは勿論である。
ガイド保護部22は、図1が示すように細長筒状に形成されている。このガイド保護部22は、装着基部21が釣竿の先端部周面に取り付けられた状態で、釣竿の各釣糸ガイドや第1番節等を囲繞し、保護するようになっている。
【0017】
また、ガイド保護部22は、ガイド支持部材25を備えている。このガイド支持部材25は、細長棒状(針状)に形成されている。ガイド支持部材25は、ガイド保護部22の底面にいわゆる片持ち状に固定されており、ガイド保護部22の長手方向に沿って延びている。
このガイド支持部材25は、例えば樹脂により構成される。ガイド支持部材25は、各釣糸ガイドに挿通されるようになっており、ガイド支持部材25が挿通されることによって、各釣糸ガイドは、略位置決め状態で保持される。
なお、ガイド支持部材25の先端部には小孔26が設けられており、釣糸が各釣糸ガイドに挿通される際のいわゆる糸通しとして利用され得る。
【0018】
上記装着基部21は、固定バンド27を備えている。この固定バンド27は、例えばゴムにより構成され、薄肉帯状に形成されている。
固定バンド27は、その基端部が装着基部21に固定されており、また、その先端部には、貫通孔30が設けられている。
一方、装着基部21の外面28には、図2が示すように、突起29が突設されている。
上記固定バンド27は、装着基部21が釣竿の先端部周面に沿わされた状態で、両者に巻き回され、固定バンド27の上記貫通孔30に上記突起29が嵌め込まれる。これにより、装着基部21は、釣竿に締結され、確実に固定されるようになっている。
【0019】
保持部23は、例えばゴムにより構成される。もっとも、保持部23を構成する材料は、ゴムに限定されるものではなく、樹脂等により構成されていてもよい。ただし、保持部23は、ゴム等の弾性に富む材料で構成されるのが好ましい。
図1及び図2が示すように、保持部23は、全体として細長板状に形成されており、基部31と挿入部32(挿入部材)とを備えている。
【0020】
基部31は、上記装着基部21の内面24に沿って配置されている。基部31は、例えば、接着剤や両面テープ等によって装着基部21に固着されている。
挿入部32は、本実施形態では、基部31と一体的に形成されており、基部31に連続して装着基部21の長手方向に延びている。挿入部32の先端部の厚み寸法dは、所定の寸法に設定されており、釣竿の仕様に応じて適宜1.5mm〜6.0mmの範囲で設定され得る。
【0021】
本実施形態では、挿入部32は、いわゆる楔状に形成されている。具体的には、図1及び図2が示すように、挿入部32の下面33は、上面34に対して傾斜されており、これにより、挿入部32の厚み寸法は、先端部から基部31側に向かって漸次大きくなるように設定されている。なお、挿入部32の最大厚み寸法は、3mm〜8mmの範囲で設定され得る。
なお、本実施形態では、挿入部32は、基部31と一体的に形成されているが、挿入部32が別部材として構成され、基部31に連結されていてもよいことは勿論である。その場合、挿入部32は、ゴム等の弾性に富む材料で構成されるのが好ましい。
【0022】
図4は、釣竿35に装着された状態におけるトップカバー20の一部断面側面図である。
本実施形態に係るトップカバー20は、次のような要領で取り付けられる。
まず、釣竿35が収納状態とされる。具体的には、釣竿35を構成する各部材が隣り合う部材の内部に挿入される。
釣竿35を構成する部材には、釣糸ガイド36〜47が装着されている。本実施形態では、釣糸ガイド47は、いわゆる脚高タイプのものである。釣糸ガイド47は、特に第1番節47と称され、釣糸ガイド36は、特にトップガイドと称される。
【0023】
具体的には、第1番ガイド47が元上竿48(釣竿の仕様によっては、第1番ガイドが元竿に設けられる場合がある。)に設けられ、第2番ガイド46〜第11番ガイド37が順に各節に設けられている。なお、第1番節の先端には、トップガイド36が固定されている。
釣竿35が収納状態となったときは、各釣糸ガイド36〜47は、図4が示すように略整列される。
【0024】
この状態で、トップカバー20の装着基部21が元上竿48の先端部周面49に沿わされ、当接される。前述のように、装着基部21の内面24は、上記先端部周面49の外径に対応されているから、装着基部21は、簡単に且つ安定して元上竿48に当接される。
このとき、ガイド支持部材25が各釣糸ガイド36〜46に挿通される。ここで、第1番ガイド47は脚高タイプのものであるから、ガイド支持部材25は、第1番ガイド47に挿通されることはない。
これにより、トップガイド36から第2番ガイド46は、ガイド保護部22によって囲繞され保護されると共に、ガイド支持部材25によって保持される。
【0025】
ここで、第1番ガイド47は、脚を構成するフレーム50と、ガイドリング51とを備えている。フレーム50は、環状部52を有し、この環状部52が元上竿48の外側に嵌め込まれている。
環状部52の内径寸法は、元上竿48の所定の位置の外径寸法に対応されている。この「所定の位置」とは、第1番ガイド47によって案内される釣糸がもっともスムーズに案内される位置である。したがって、第1番ガイド47が元上竿48の後端側へスライドされることによって、当該第1番ガイド47は、環状部52の内径と元上竿48の外径との関係(はめあい)によって、元上竿48の所定位置に固定されるようになっている。
【0026】
釣竿35がコンパクトに収納されるために、釣竿35の収納時においては、第1番ガイド47は、元上竿48の先端部側へスライドされる。これにより、第1番ガイド47の環状部52の内周面と元上竿48の外周面との間に、所定の隙間53が形成されることになる。なぜなら、元上竿48の外径は、先端部側ほど小さいからである。
そして、この隙間53に上記保持部23が係合する。つまり、第1番ガイド47は、保持部23によって位置決め保持されることになる。
【0027】
このように、本実施形態に係るトップカバー20では、トップガイド36から第2番ガイド46まではガイド保護部22によって囲繞保持され、第1番ガイド47は保持部22によって保持される。
すなわち、第1番ガイド47が特に脚高タイプのものであっても、第1番ガイド47は、専ら保持部22によって保持される。つまり、すべての釣糸ガイド36〜47が、ガイド支持部材25が無理に変形されることによって支持される構造ではない。したがって、各釣糸ガイド36〜47に予定されていない外力が作用することがないので、すべての釣糸ガイド36〜47は、応力が生じることなく安定して保持される。その結果、釣竿35の搬送時等においても、釣竿35を構成する部材(特に第1番節等)や各釣糸ガイド36〜47が損傷することはない。
【0028】
特に、本実施形態では、上記保持部23の挿入部33が第1番ガイド47と元上竿48との間の隙間53に押し込まれる。つまり、挿入部33は、上記隙間53に圧入される。これにより、挿入部33が弾性変形し、その弾性反力によって第1番ガイド47が元上竿48に固定される。したがって、第1番ガイド47が元上竿48に位置決めされる作業は、きわめて簡単であり、その結果、釣竿35の収納作業は、簡単であり且つ円滑に行われるという利点がある。
加えて、上記挿入部33の先端部の肉厚寸法がdに設定されているから、挿入部33を上記隙間53に挿入する作業は、一層容易なものとなる。
【0029】
さらに、本実施形態では、上記挿入部23が楔状に形成されているから、挿入部23は、上記隙間53に容易に挿入され、且つ確実に押し込まれる。
したがって、第1番ガイド47は、元上竿48に一層確実に位置決め固定されるという利点がある。
【0030】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、釣竿の収納時において、トップガイドから第2番ガイドまではガイド保護部によって保持され、第1番ガイドは保持部によって保持される。すなわち、第1番ガイドが特に脚高タイプのものであっても、当該第1番ガイドは、上記ガイド保護部によって保持されるのではなく、当該第1番ガイドに専ら係合する保持部によって保持される。したがって、すべての釣糸ガイドは、予定されていない外力が作用することなく確実に安定して保持される。その結果、釣竿の搬送時等においても、第1番節や各釣糸ガイドが損傷することはないとい効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る釣竿用トップカバーの斜視図である。
【図2】図2は、図1におけるII−II断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る釣竿用トップカバーの要部平面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る釣竿用トップカバーの一部断面側面図である。
【図5】図5は、従来の収納状態におけるアウターガイドタイプの釣竿の一部断面要部拡大側面図である。
【符号の説明】
20・・・トップカバー
21・・・装着基部
22・・・ガイド保護部
23・・・保持部
25・・・ガイド支持部材
27・・・固定バンド
28・・・外面
31・・・基部
32・・・挿入部
33・・・下面
34・・・上面
35・・・釣竿
36・・・トップガイド
47・・・第1番節
48・・・元上竿
49・・・先端部周面
50・・・フレーム
51・・・ガイドリング
52・・・環状部
53・・・隙間

Claims (3)

  1. 複数の釣糸ガイドを有するアウターガイドタイプの釣竿に固定されて用いられる釣竿用トップカバーであって、
    収納状態の釣竿の先端部周面に当接される装着基部と、
    装着基部に連続し、トップガイドから第2番ガイドまでを囲繞保持するガイド保護部と、
    装着基部に設けられ、竿に対してスライドする第1番ガイドに係合して当該第1番ガイドを保持する保持部とを備える釣竿用トップカバー。
  2. 上記第1番ガイドは、上記先端部周面に嵌め合わされる環状部を備えたフレームと当該フレームに設けられたガイドリングとを有し、
    上記保持部は、上記先端部周面と上記環状部の内周面との間に圧入される挿入部材を備えている請求項1に記載の釣竿用トップカバー。
  3. 上記挿入部材は、その厚み寸法が先端から漸次大きくなるように楔状に形成されている請求項2に記載の釣竿用トップカバー。
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