JP4094468B2 - 駆動車輪用軸受装置およびその製造方法 - Google Patents

駆動車輪用軸受装置およびその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等、車両の駆動車輪を支持する駆動車輪用軸受装置およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の懸架装置に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置は、燃費向上のための軽量化が進んでいる。特に、後輪駆動車の後輪、前輪駆動車の前輪、あるいは4輪駆動車の全輪といった自動車の駆動車輪用軸受装置においては、さらに操縦安定性のため、剛性アップを図るユニット化が急速に進んでいる。
【0003】
従来の駆動車輪用軸受装置は、図8に示すように、ハブ輪50と複列の転がり軸受60と等速自在継手70とをユニット化して構成している。複列の内側転走面のうち、一方の内側転走面51をハブ輪50の外周に形成し、他方の内側転走面72を等速自在継手70の外側継手部材71の外周にそれぞれ形成している。ハブ輪50は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ53を一体に有し、この車輪取付フランジ53の円周等配位置には車輪を固定するためのハブボルト54を植設している。
【0004】
等速自在継手70は外側継手部材71と、図示しない継手内輪、ケージ、およびトルク伝達ボールとからなる。外側継手部材71はカップ状のマウス部73と、このマウス部73の底部をなす肩部74と、この肩部74から軸方向に延びるステム部75を有し、マウス部73の内周には軸方向に延びる曲線状のトラック溝76を形成すると共に、肩部74の外周に前記内側転走面72を形成している。この肩部74にハブ輪50のインロウ部52の端面を突合せた状態で、ステム部75をハブ輪50のインロウ部52に内嵌している。このようにハブ輪50と外側継手部材71との軸方向の位置決めをすることにより、内側転走面51、72の溝ピッチを規定し、軸受内部すきまを設定している。また、ステム部75は、マウス部73と連通した貫通孔77を設けることにより中空としている。このため、マウス部73に充填した潤滑グリースの漏洩を防止するため、貫通孔77のマウス部73側端部にはエンドプレート78を装着している。
【0005】
複列の転がり軸受60は、外方部材61と複列の転動体62を備えている。外方部材61は外周に車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ63を一体に有し、内周には複列の外側転走面64、64を形成している。これら外側転走面64、64と、これに対向するハブ輪50の内側転走面51、および外側継手部材71の内側転走面72間に、保持器65、65によって複列の転動体62、62を転動自在に保持している。また、外方部材61の端部にはシール66、67を装着し、軸受内部に封入した潤滑グリースの漏洩と、外部からの雨水やダスト等の侵入を防止している。
【0006】
ハブ輪50の内径には硬化させた凹凸部55を形成し、ステム部75の嵌合部75bを拡径することにより、この嵌合部75bを凹凸部55に食い込ませ、外側継手部材71とハブ輪50とを一体に塑性結合している。凹凸部55は、例えば、図9に示すように、旋削等により独立して形成した複数の環状溝55aと、ブローチ加工等により形成した複数の軸方向溝55bとを略直交させて構成した交叉溝でアヤメローレット状に形成している。また、凹凸部55の凸部は良好な食い込み性を確保するために、三角形状等の尖塔形状に形成している(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−18605号公報(第4、5頁、第1−3図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
駆動車輪用軸受装置において、車両旋回時、装置に曲げモーメント荷重が負荷された場合、車輪取付フランジ53側(アウトボード側)の荷重は塑性結合部で受けることになる。この塑性結合部を含む外側継手部材71のステム部75が曲げられ、繰返し応力が発生する。こうした回転曲げ外力が作用する条件下で、塑性結合部に充分な強度を確保する必要がある。
【0009】
ここで、装置のサイズを変更せずにステム部75の肉厚を厚くすることによって強度を増大させようとすると、貫通孔77の径が小さくなって拡径加工に支障を来たすだけでなく、装置の軽量化を阻害することになり強度アップには限界がある。また、ステム部75の外径を上げて強度を増大させるには、転がり軸受の負荷容量不足等、レイアウト上の制約があり困難な場合が多い。
【0010】
また、図10は、前述した交叉溝のうち、ブローチ加工等により形成した複数の軸方向溝55bの断面形状を示しているが、この凸部の先端形状を鋭利にすれば、拡径時の食い込み量が増し、ハブ輪50とステム部75の嵌合部75bの抜け耐力等、静的結合力は強固となり、回転曲げ外力が作用する条件下で、塑性結合部に充分な強度を確保することができる。しかし、凸部の先端形状を鋭利に成形するためには、ブローチの歯元が鋭利である必要がある。ところが、ブローチを製作する砥石歯元は、摩耗等の加工工具の耐久性や加工性を考慮し少なくともR0.3程度は必要となるため、実際には鋭利な先端形状となっていないのが現状である。したがって、充分な塑性結合部の強度を得るには、こうした加工上の課題を解決する必要があった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、軽量・コンパクト化を達成すると共に、大きなモーメント荷重が装置に作用しても塑性結合部が充分な強度を有し、耐久性のある駆動車輪用軸受装置を提供すると共に、ブローチ等の加工工具の耐久性を向上させることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、一端に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪と等速自在継手と複列の転がり軸受とをユニット化した駆動車輪用軸受装置であって、前記複列の転がり軸受の一方の内側転走面を前記ハブ輪の外周に、他方の内側転走面を前記等速自在継手の外側継手部材の外周にそれぞれ一体に形成し、前記ハブ輪の内周に硬化させた凹凸部を形成し、このハブ輪に前記外側継手部材に形成したステム部を内嵌すると共に、このステム部に形成した嵌合部を拡径させて前記凹凸部に食い込ませることにより、前記ハブ輪と外側継手部材とを一体に塑性結合した駆動車輪用軸受装置において、前記凹凸部を、旋削加工により独立して形成した複数の環状溝と、ブローチ加工により形成した軸方向溝とを略直交させた交叉溝で構成し、前記環状溝の溝底径を前記軸方向溝の溝底径よりも小径に形成すると共に、前記軸方向溝の凸部の先端形状を鋭利に形成した。
【0013】
このような第4世代の駆動車輪用軸受装置において、車両旋回時、装置に曲げモーメント荷重が負荷され、塑性結合部を含む外側継手部材のステム部が曲げられ、繰返し応力が発生しても、凹凸部に嵌合部を充分食い込ませることができ、捩り強度と引抜き強度等の動的強度と静的強度を増大させることができると共に、ブローチ等の加工工具の耐久性を向上させることができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明のように、一端に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪と等速自在継手と複列の転がり軸受とをユニット化した駆動車輪用軸受装置であって、前記複列の転がり軸受の一方の内側転走面を前記ハブ輪の外周に、他方の内側転走面を前記ハブ輪に外嵌した別体の内輪の外周にそれぞれ一体に形成すると共に、前記内輪の内周に硬化させた凹凸部を形成し、前記ハブ輪のインロウ部を拡径させて前記凹凸部に食込ませることにより、前記ハブ輪と内輪とを一体に塑性結合した第3世代の駆動車輪用軸受装置であっても良い。
【0015】
さらに、請求項3に記載の発明のように、 一端に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪と等速自在継手と複列の転がり軸受とをユニット化した駆動車輪用軸受装置であって、前記複列の転がり軸受の一方の内側転走面を前記ハブ輪の外周に、他方の内側転走面を前記ハブ輪に内嵌した内輪部材の外周にそれぞれ一体に形成し、前記ハブ輪の内周に硬化させた凹凸部を形成し、前記内輪部材に形成した嵌合部を拡径させて前記凹凸部に食い込ませることにより、前記ハブ輪と内輪部材とを一体に塑性結合した第3世代の駆動車輪用軸受装置であっても良い。
【0016】
このように、軸受部の内部すきまを維持した状態でハブ輪とサブユニット化した、所謂セルフリテイン形式の第3世代構造の駆動車輪用軸受装置を提供することができる。また、等速自在継手と着脱が可能となり、軸受部の標準化ができ、組立性向上と共に、市場における補修性を各段に向上させることができる。
【0017】
好ましくは、請求項4に記載の発明のように、前記内輪部材の大径端部と前記等速自在継手における外側継手部材の肩部の外周にセレーションを形成し、これらセレーションに噛合するセレーションを内周に形成した連結環によって、前記等速自在継手からのトルクを前記ハブ輪に伝達するようにすれば、歯数を多く設定することができ、その分セレーションの軸方向寸法を短縮することができる。したがって、装置の軽量コンパクト化を一層達成することができる。
【0018】
また、請求項5に記載の方法発明は、前記凹凸部の環状溝を旋削で形成した後、ブローチで軸方向溝を形成し、この交叉溝の最内径部の寸法を、前記軸方向溝で設定した駆動車輪用軸受装置の製造方法を採用したので、凹凸部の寸法をBPD(ビトウィンピン直径:Between Pins Diameter)で精度良く管理することができる。したがって、所望の凹凸部の凸部先端形状を確保することができ、食い込み力のバラツキを抑え、塑性結合部の安定した強度を確保することができる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明のように、前記ブローチは、所定の形状・寸法に成形された切削歯を軸方向に多数独立して形成し、前記軸方向溝の凸部の先端を形成する2辺を、隣接する凸部の対向する辺を交互に加工しても良いし、また、請求項7に記載の発明のように、予め溝底を加工し、次いで前記軸方向溝の凸部の先端を形成する2辺を異なった切削歯で交互に加工しても良い。
【0020】
このように、軸方向溝の凸部の先端を形成する2辺を、異なった切削歯で交互に加工することにより、先端を鋭利に形成することが可能となり、食い込み性を向上させて、塑性結合部の安定した強度を確保することができる。
【0021】
好ましくは、請求項8に記載の発明のように、前記軸方向溝の凸部の先端を形成する2辺を、予め前記ブローチの切削歯で同時に加工した後、最終工程部の数列の切削歯で交互に加工するようにすれば、ブローチの製作が簡単になると共に、軸方向溝の加工性が向上する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。
【0023】
この駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪1と、複列の転がり軸受2と、等速自在継手3とをユニット化して構成している。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で、車両の外側寄りとなる側をアウトボード側(図面左側)、中央寄り側をインボード側(図面右側)という。
【0024】
ハブ輪1は、アウトボード側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を一体に有し、円周等配に車輪固定用のハブボルト4aを植設している。ハブ輪1の内周面には凹凸部5を形成し、熱処理によって表面に54〜64HRCの範囲の硬化層を形成している。熱処理としては、局部加熱ができ、硬化層深さの設定が比較的容易にできる高周波誘導加熱による焼入れが好適である。
【0025】
なお、凹凸部5は、図2に示すような複数列の溝を組み合せて構成した形状を例示することができる。(a)は旋削等により独立して形成した複数の環状溝5aと、ブローチ加工等により形成した複数の軸方向溝5bとを略直交させて構成した交叉溝でアヤメローレット状に形成する。
【0026】
図1において、複列の転がり軸受2は、外方部材7と内方部材8と複列の転動体9、9とを備えている。外方部材7は外周に車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ7aを一体に有し、内周には複列の外側転走面7b、7bを形成している。一方、内方部材8は、ハブ輪1と後述する等速自在継手3の外側継手部材14を指し、外方部材7の外側転走面7b、7bに対向するアウトボード側の内側転走面1aをハブ輪1の外周に、またインボード側の内側転走面14aを外側継手部材14の外周にそれぞれ一体に形成している。複列の転動体9、9をこれら転走面7b、1aと7b、14a間にそれぞれ収容し、保持器10、10で転動自在に保持している。複列の転がり軸受2の端部にはシール11a、11bを装着し、軸受内部に封入した潤滑グリースの漏洩と、外部からの雨水やダスト等の侵入を防止している。ここで複列の転がり軸受2は転動体9、9をボールとした複列アンギュラ玉軸受を例示したが、これに限らず転動体に円すいころを使用した複列円すいころ軸受であっても良い。
【0027】
等速自在継手3は外側継手部材14と図示しない継手内輪、ケージ、およびトルク伝達ボールとを備えている。外側継手部材14はカップ状のマウス部15と、このマウス部15の底部をなす肩部16と、この肩部16から軸方向に延びるステム部17を有し、マウス部15の内周には軸方向に延びる曲線状のトラック溝15aを形成している。
【0028】
外側継手部材14を中空に形成し、この肩部16の外周には前記した内側転走面14aを形成している。また、外側継手部材14のステム部17に小径段部17aと嵌合部17bを形成している。ハブ輪1に形成したインロウ部1bをこの小径段部17aに圧入し、インロウ部1bの端面19を外側継手部材14の肩部16に突合せる。次にハブ輪1の内径に嵌合したステム部17の嵌合部17bにマンドレルを挿入・抜脱させる等、適宜な手段で嵌合部17bを拡径してハブ輪1の凹凸部5に食い込ませ、ハブ輪1と外側継手部材14とを一体に塑性結合させる。これにより、この塑性結合部はトルク伝達手段と、ハブ輪1と外側継手部材14の結合手段とを併せ持つため、従来のセレーション等のトルク伝達手段をハブ輪1や外側継手部材14に形成する必要はなく、また、締結ナット等の固定手段も不要となるため、装置の一層の軽量・コンパクト化を実現することができる。
【0029】
ここで、図2に示すように、ハブ輪1の内径に形成した凹凸部5において、独立して形成した複数の環状溝5aの溝底径φd1を複数の軸方向溝5bの溝底径φd2よりも大径に形成した場合(φd1>φd2)、ブローチ加工が複数の環状溝5aを乗り越える、所謂断続切削となる。このブローチ加工の断続切削は、加工時の振動を誘発し、ブローチの寿命低下と共に、寸法精度の低下を招来して凹凸部5の食い込み力のバラツキが大きくなり、塑性結合部の安定した強度を確保することができなくなる恐れがある。本実施形態では、独立して形成した複数の環状溝5aの溝底径φd1を、複数の軸方向溝5bの溝底径φd2よりも小径に形成している(φd1<φd2)。これにより、ブローチ22の断続切削を回避して加工時の振動を抑え、ブローチの耐久性向上と共に、寸法精度を高めて塑性結合部の安定した強度を確保することができる。
【0030】
また、ハブ輪1の内径に形成した凹凸部5において、環状溝5aと軸方向溝5bの凸部12a、12bの内径が完全に一致し、先端形状が四角錐となること、すなわち、周方向、軸方向の凸部の高さを一致させることが理想的である。しかし、実際には旋削とブローチ等の加工面が混在する構成であるため、内径寸法の管理は難しく、その製造公差の影響で完全な四角錐に形成することは難しい。
【0031】
本実施形態では、旋削等で独立した複数の環状溝5aを形成した後、ブローチ等で複数の軸方向溝5bを形成し、凸部12a、12bの最内径部の寸法を、常に軸方向溝5bで設定するようにしたため、凹凸部5の寸法管理をBPD(ビトウィンピン直径:Between Pins Diameter)で行うことができる。したがって、凹凸部5の凸部12a、12bの先端形状を可及的に四角錐とすることができ、食い込み力のバラツキを抑え、塑性結合部の安定した強度を確保することができる。
【0032】
図1において、外側継手部材14は、S53C等の炭素0.40〜0.60wt%を含む中炭素鋼、あるいは、SCR430等の肌焼き鋼で形成している。21は、中空状の外側継手部材14の内径に装着したエンドプレートで、マウス部15に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と外部からのダスト侵入を防止している。ここで、シール11bが摺接するシールランド部から転走面14a、およびステム部17の小径段部17aに亙って表面に硬化層を形成している。硬化処理として高周波誘導加熱による焼入れが好適である。また、拡径する嵌合部17bは、鍛造後の素材表面硬さ24HRC以下の未焼入れ部とし、前記したハブ輪1の凹凸部5の表面硬さ54〜64HRCとの硬度差を30HRC以上に設定するのが好ましい。これにより、嵌合部17bが凹凸部5に容易に、かつ深く食い込み、凹凸部5の先端が潰れることなく強固に両者を塑性結合することができる。
【0033】
次に、凹凸部5の軸方向溝5bの加工方法について、図3乃至図5を用いて説明する。図3は、軸方向溝5bを加工するためのブローチを示している。このブローチ22は、所定の形状・寸法に形成した切削歯22aを多数有している。各切削歯22aは環状溝22bによって軸方向に独立している。例えば、軸方向に30列の切削歯22aを形成し、その1列目から徐々にハブ輪1の内周面を切削していき、最終30列目までに所望の軸方向溝5bの寸法・形状に仕上げていく。
【0034】
図4および図5は、前述したブローチ22を用いて軸方向溝5bを加工していく過程を模式的に示している。図4(a)は、軸方向溝5bを形成する最初の切削歯22a−1が加工する面を示している。この図で判るように、軸方向溝5bの凸部12bの先端を形成する2辺を従来のように同時に加工するのではなく、隣接する凸部12bの対向する辺を加工している。
【0035】
次に(b)に示すように、2列目の切削歯22a−2は、最初の切削歯22a−1で加工した2辺に挟まれた溝を加工する。このように、凸部12bの先端を形成する2辺を、異なる切削歯22a−1、22a−2で交互に加工することにより、先端を鋭利に形成することが可能となる。
【0036】
図5(a)は、最初の切削歯22a−1で予め溝底を加工し、次いで2列目の切削歯22a−3で凸部12bの先端を形成する2辺の一方を加工し、(b)で、他方の辺を加工し、先端を形成する2辺を異なった切削歯22a−3、22a−4でもって交互に加工している。これにより、軸方向溝5bの凸部12bの先端を鋭利に形成することが可能となる。なお、先端を形成する2辺を、最初から異なった切削歯22a−3、22a−4でもって交互に加工した例を示したが、これに限らず、例えば、最終工程の数列だけで交互に2辺を加工するようにしても良い。なお、軸方向溝5bを切削歯22a−3、22a−4のそれぞれ1回の切削で加工するのではなく、削り代等を考慮し、適宜多段に分けて切削することは言うまでもない。
【0037】
図6は、本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。なお、前述した第1の実施形態と異なるのは軸受部の構成のみで、その他同一部位、同一部品には同一符号を付け、その詳細な説明を省略する。この駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪1’と複列の転がり軸受2’と等速自在継手(図示せず)とをユニット化した第3世代構造をなしている。
【0038】
ハブ輪1’は、車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を一体に有し、この車輪取付フランジ4の円周等配位置には車輪を固定するためのハブボルト4aを植設している。ハブ輪1’の外周にはアウトボード側の内側転走面1aとインロウ部23を形成している。このインロウ部23に別体の内輪24を圧入している。内輪24の外周には内側転走面24aを形成し、内周には前述した加工方法によって凹凸部25を形成している。内輪24の内径に嵌合したインロウ部23にマンドレルを挿入・抜脱させる等、適宜な手段でインロウ部23を拡径して内輪24の凹凸部25に食い込ませ、ハブ輪1’と内輪24とを一体に塑性結合させる。
【0039】
複列の転がり軸受2’は、外方部材7と内方部材8’と複列の転動体9、9を備えている。外方部材7は外周に車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ7aを一体に有し、内周には、複列の内側転走面1a、24aに対向する複列の外側転走面7b、7bを一体に形成している。ここで、内方部材8’は、ハブ輪1’と別体の内輪24を指す。また、それぞれの転走面7b、1aと7b、24a間には、保持器10によって転動自在に保持した複列の転動体9、9を収容している。
【0040】
ハブ輪1’は、S53C等の炭素0.40〜0.60wt%を含む中炭素鋼で形成している。このハブ輪1’は、シール11aが摺接するシールランド部から内側転走面1aおよびインロウ部23に亙り、高周波焼入れによって表面を硬化処理している。一方、内輪24は、炭素0.95〜1.10wt%からなる高炭素クロム軸受鋼で形成し、芯部まで54〜64HRCの範囲で焼入れ硬化させている。
【0041】
こうして内輪24を塑性結合したハブ輪1’に図示しない等速自在継手の外側継手部材をセレーション(またはスプライン)26を介して内嵌し、ねじ等の固定手段で等速自在継手を着脱自在に軸方向に固定し、軸受部の内部すきまを維持した状態でハブ輪1’ 複列の転がり軸受2’とをサブユニット化した、所謂セルフリテイン形式の第3世代構造の駆動車輪用軸受装置を提供することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、第3、4世代構造を例示したが、これに限らず、装置のアウトボード側にハブ輪と外側継手部材の塑性結合部を有する構造であれば、従来の第1、2世代構造であっても良い。すなわち、それぞれの構造の特徴を損なうことなく、車両旋回時、装置に曲げモーメント荷重が負荷され、塑性結合部を含む外側継手部材のステム部が曲げられ、繰返し応力が発生しても、塑性結合部の静的、動的な強度アップを図ることができる。
【0043】
図7は、本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第3の実施形態を示す縦断面図である。なお、前述した第1の実施形態と異なるのは軸受部の構成で、その他同一部位、同一部品には同一符号を付け、その詳細な説明を省略する。この駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪1と複列の転がり軸受27と等速自在継手29とをユニット化した第3世代構造をなしている。
【0044】
ハブ輪1は、車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を一体に有し、外周にはアウトボード側の内側転走面1aと、軸方向に延びる円筒状のインロウ部1bを、そして内周には硬化させた凹凸部5を形成している。このインロウ部1bに内輪部材28を圧入している。この内輪部材28は、外周に内側転走面28aと、ハブ輪1のインロウ部1bに内嵌する小径段部28b、および嵌合部28cを形成している。後述する外側継手部材30の肩部32と突合せ状態で組立てる。この内輪部材28の大径端部28dからシールランド部、内側転走面1aおよび小径段部28bに亙ってその表面に高周波焼入れによる硬化層を形成しているが、嵌合部28cは未焼入れで生のままとしている。
【0045】
等速自在継手29は外側継手部材30と継手内輪33、ケージ34、およびトルク伝達ボール35とを備えている。外側継手部材30は、カップ状をなすマウス部31と、このマウス部31の底部になる肩部32とを有している。マウス部31の内周には軸方向に延びる曲線状のトラック溝31aを形成している。
【0046】
内輪部材28の大径端部28dの外周にはセレーション(またはスプライン)36を形成している。一方、内輪部材28の大径端部28dに当接する外側継手部材30の肩部32の外周にもセレーション(またはスプライン)37を形成している。これらセレーション36、37に噛合するセレーション(またはスプライン)38を内周に形成した連結環39が、内輪部材28の大径端部28dと外側継手部材30の肩部32に跨って外嵌され、等速自在継手29からのトルクが内輪部材28を介してハブ輪1に伝達される。そして、サブユニット化したハブ輪1と複列の転がり軸受27を、外側継手部材30の肩部32の底部に締結した固定ボルト40により、着脱自在に軸方向に固定する。
【0047】
外側継手部材30の外周には、このセレーション38を含む肩部32に亙って高周波誘導加熱による焼入れにより、表面硬さを54〜64HRCの範囲に硬化層を形成している。一方、連結環39のセレーション38にも高周波誘導加熱等による焼入れにより、表面硬さを54〜64HRCの範囲に硬化層を形成している。これにより、歯面の耐摩耗性を向上させると共に、セレーション36、37、38の軸方向長さを短く設定することができ、装置の軸方向寸法が短くなって軽量コンパクト化を図ることができる。
【0048】
ここで、内輪部材28のセレーション36と肩部32のセレーション37に、その軸線に対して所定角度傾斜した捩れ角を設け、連結環39のセレーション38との嵌合部に予圧が付与されるようにしている。捩れ角は0〜50’、好ましくは10’〜30’の範囲に設定している。これにより、両セレーション36、37と連結環39のセレーション38の嵌合部における周方向のガタを殺し、装置の信頼性を高めると共に、操縦安定性を向上させることができる。なお、捩れ角が設けられた構成に限らず、例えば、両セレーション36、37の歯厚と連結環39のセレーション38の歯厚とがタイトになるように形成し、圧入してその嵌合部に予圧が付与されるようにしても良い。
【0049】
従来、外側継手部材のステム部にセレーションが形成され、等速自在継手からのトルク伝達を行なっていたが、本発明に係る実施形態では、内輪部材28および肩部32の外径にセレーション36、37を形成しているため、歯数を多く設定することができ、その分セレーション36、37の軸方向寸法を短縮することができるので装置の軽量コンパクト化を達成することができる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る駆動車輪用軸受装置は、一端に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪と等速自在継手と複列の転がり軸受とをユニット化した駆動車輪用軸受装置であって、前記複列の転がり軸受の一方の内側転走面を前記ハブ輪の外周に、他方の内側転走面を前記等速自在継手の外側継手部材の外周にそれぞれ一体に形成し、前記ハブ輪の内周に硬化させた凹凸部を形成し、このハブ輪に前記外側継手部材に形成したステム部を内嵌すると共に、このステム部に形成した嵌合部を拡径させて前記凹凸部に食い込ませることにより、前記ハブ輪と外側継手部材とを一体に塑性結合した駆動車輪用軸受装置において、前記凹凸部を、旋削加工により独立して形成した複数の環状溝と、ブローチ加工により形成した軸方向溝とを略直交させた交叉溝で構成し、前記環状溝の溝底径を前記軸方向溝の溝底径よりも小径に形成すると共に、前記軸方向溝の凸部の先端形状を鋭利に形成したので、第4世代の駆動車輪用軸受装置において、車両旋回時、装置に曲げモーメント荷重が負荷され、塑性結合部を含む外側継手部材のステム部が曲げられ、繰返し応力が発生しても、凹凸部に嵌合部を充分食い込ませることができ、捩り強度と引抜き強度等の動的強度と静的強度を増大させることができると共に、ブローチ等の加工工具の耐久性を向上させることができる。
【0052】
また、一端に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪と等速自在継手と複列の転がり軸受とをユニット化した駆動車輪用軸受装置であって、前記複列の転がり軸受の一方の内側転走面を前記ハブ輪の外周に、他方の内側転走面を前記ハブ輪に外嵌した別体の内輪の外周にそれぞれ一体に形成すると共に、前記内輪の内周に硬化させた凹凸部を形成し、前記ハブ輪のインロウ部を拡径させて前記凹凸部に食込ませることにより、前記ハブ輪と内輪とを一体に塑性結合した第3世代の駆動車輪用軸受装置、あるいは、一端に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪と等速自在継手と複列の転がり軸受とをユニット化した駆動車輪用軸受装置であって、前記複列の転がり軸受の一方の内側転走面を前記ハブ輪の外周に、他方の内側転走面を前記ハブ輪に内嵌した内輪部材の外周にそれぞれ一体に形成し、前記ハブ輪の内周に硬化させた凹凸部を形成し、前記内輪部材に形成した嵌合部を拡径させて前記凹凸部に食い込ませることにより、前記ハブ輪と内輪部材とを一体に塑性結合した第3世代の駆動車輪用軸受装置であれば、軸受部の内部すきまを維持した状態でハブ輪とサブユニット化した、所謂セルフリテイン形式の第3世代構造の駆動車輪用軸受装置を提供することができる。また、等速自在継手と着脱が可能となり、軸受部の標準化ができ、組立性向上と共に、市場における補修性を各段に向上させることができる。
【0053】
また、本発明に係る駆動車輪用軸受装置の製造方法は、前記凹凸部の環状溝を旋削で形成した後、ブローチで軸方向溝を形成し、この交叉溝の最内径部の寸法を、前記軸方向溝で設定した方法を採用したので、凹凸部の寸法をBPD(ビトウィンピン直径:Between Pins Diameter)で精度良く管理することができる。したがって、所望の凹凸部の凸部先端形状を確保することができ、食い込み力のバラツキを抑え、塑性結合部の安定した強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】(a)は、本発明に係る凹凸部を構成する独立して形成した複数の環状溝を示す縦断面図である。
(b)は、同上複数の軸方向溝を示す横断面図である。
【図3】本発明に係る凹凸部の軸方向溝を加工するブローチを示した平面図である。
【図4】(a)(b)は、本発明に係る凹凸部の軸方向溝を加工していく過程を示した模式図である。
【図5】(a)(b)は、同上他の加工過程を示した模式図である。
【図6】本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。
【図7】本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第3の実施形態を示す縦断面図である。
【図8】従来の駆動車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
【図9】(a)は、従来の駆動車輪用軸受装置における凹凸部を構成する独立して形成した複数の環状溝を示す縦断面図である。
(b)は、同上複数の軸方向溝を示す横断面図である。
【図10】従来の凹凸部を構成する複数の軸方向溝を示す要部を拡大した横断面図である。
【符号の説明】
1、1’・・・・・・・・・・・・ハブ輪
1a、14a、24a、28a・・内側転走面
1b、23・・・・・・・・・・・インロウ部
2、2’、27・・・・・・・・・複列の転がり軸受
3、29・・・・・・・・・・・・等速自在継手
4・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
4a・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
5、25・・・・・・・・・・・・凹凸部
5a・・・・・・・・・・・・・・環状溝
5b・・・・・・・・・・・・・・軸方向溝
7・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
7a・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
7b・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
8、8’・・・・・・・・・・・・内方部材
9・・・・・・・・・・・・・・・転動体
10・・・・・・・・・・・・・・保持器
11a、11b・・・・・・・・・シール
12・・・・・・・・・・・・・・環状溝
12a・・・・・・・・・・・・・環状溝の凸部
12b・・・・・・・・・・・・・軸方向溝の凸部
14、30・・・・・・・・・・・外側継手部材
15、31・・・・・・・・・・・マウス部
15a、31a・・・・・・・・・トラック溝
16、32・・・・・・・・・・・肩部
17・・・・・・・・・・・・・・ステム部
17a、28b・・・・・・・・・小径段部
17b、28c・・・・・・・・・嵌合部
19・・・・・・・・・・・・・・端面
21・・・・・・・・・・・・・・エンドプレート
22・・・・・・・・・・・・・・ブローチ
22a・・・・・・・・・・・・・切削歯
22a−1、−2、…−n・・・・切削歯
22b・・・・・・・・・・・・・環状溝
24・・・・・・・・・・・・・・内輪
26、36、37、38・・・・・セレーション
28・・・・・・・・・・・・・・内輪部材
28d・・・・・・・・・・・・・大径端部
33・・・・・・・・・・・・・・継手内輪
34・・・・・・・・・・・・・・ケージ
35・・・・・・・・・・・・・・トルク伝達ボール
39・・・・・・・・・・・・・・連結環
40・・・・・・・・・・・・・・固定ボルト
50・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
51、72・・・・・・・・・・・内側転走面
52・・・・・・・・・・・・・・インロウ部
53・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
54・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
55・・・・・・・・・・・・・・凹凸部
55a・・・・・・・・・・・・・環状溝
55b・・・・・・・・・・・・・軸方向溝
60・・・・・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
61・・・・・・・・・・・・・・外方部材
62・・・・・・・・・・・・・・転動体
63・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
64・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
65・・・・・・・・・・・・・・保持器
66、67・・・・・・・・・・・シール
70・・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
71・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
73・・・・・・・・・・・・・・マウス部
74・・・・・・・・・・・・・・肩部
75・・・・・・・・・・・・・・ステム部
75a・・・・・・・・・・・・・小径段部
75b・・・・・・・・・・・・・嵌合部
76・・・・・・・・・・・・・・トラック溝
77・・・・・・・・・・・・・・貫通孔
78・・・・・・・・・・・・・・エンドプレート
d1・・・・・・・・・・・・・・環状溝の溝底径
d2・・・・・・・・・・・・・・軸方向溝の溝底径
R・・・・・・・・・・・・・・・先端の曲率半径

Claims (8)

  1. 一端に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪と等速自在継手と複列の転がり軸受とをユニット化した駆動車輪用軸受装置であって、前記複列の転がり軸受の一方の内側転走面を前記ハブ輪の外周に、他方の内側転走面を前記等速自在継手の外側継手部材の外周にそれぞれ一体に形成し、前記ハブ輪の内周に硬化させた凹凸部を形成し、このハブ輪に前記外側継手部材に形成したステム部を内嵌すると共に、このステム部に形成した嵌合部を拡径させて前記凹凸部に食い込ませることにより、前記ハブ輪と外側継手部材とを一体に塑性結合した駆動車輪用軸受装置において、
    前記凹凸部を、旋削加工により独立して形成した複数の環状溝と、ブローチ加工により形成した軸方向溝とを略直交させた交叉溝で構成し、前記環状溝の溝底径を前記軸方向溝の溝底径よりも小径に形成すると共に、前記軸方向溝の凸部の先端形状を鋭利に形成したことを特徴とする駆動車輪用軸受装置。
  2. 一端に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪と等速自在継手と複列の転がり軸受とをユニット化した駆動車輪用軸受装置であって、前記複列の転がり軸受の一方の内側転走面を前記ハブ輪の外周に、他方の内側転走面を前記ハブ輪に外嵌した別体の内輪の外周にそれぞれ一体に形成すると共に、前記内輪の内周に硬化させた凹凸部を形成し、前記ハブ輪のインロウ部を拡径させて前記凹凸部に食込ませることにより、前記ハブ輪と内輪とを一体に塑性結合した駆動車輪用軸受装置において、
    前記凹凸部を、旋削加工により独立して形成した複数の環状溝と、ブローチ加工により形成した軸方向溝とを略直交させた交叉溝で構成し、前記環状溝の溝底径を前記軸方向溝の溝底径よりも小径に形成すると共に、前記軸方向溝の凸部の先端形状を鋭利に形成したことを特徴とする駆動車輪用軸受装置。
  3. 一端に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪と等速自在継手と複列の転がり軸受とをユニット化した駆動車輪用軸受装置であって、前記複列の転がり軸受の一方の内側転走面を前記ハブ輪の外周に、他方の内側転走面を前記ハブ輪に内嵌した内輪部材の外周にそれぞれ一体に形成し、前記ハブ輪の内周に硬化させた凹凸部を形成し、前記内輪部材に形成した嵌合部を拡径させて前記凹凸部に食い込ませることにより、前記ハブ輪と内輪部材とを一体に塑性結合した駆動車輪用軸受装置において、
    前記凹凸部を、旋削加工により独立して形成した複数の環状溝と、ブローチ加工により形成した軸方向溝とを略直交させた交叉溝で構成し、前記環状溝の溝底径を前記軸方向溝の溝底径よりも小径に形成すると共に、前記軸方向溝の凸部の先端形状を鋭利に形成したことを特徴とする駆動車輪用軸受装置。
  4. 前記内輪部材の大径端部と前記等速自在継手における外側継手部材の肩部の外周にセレーションを形成し、これらセレーションに噛合するセレーションを内周に形成した連結環によって、前記等速自在継手からのトルクを前記ハブ輪に伝達するようにした請求項3に記載の駆動車輪用軸受装置。
  5. 前記請求項1乃至4いずれかに記載の駆動車輪用軸受装置の製造方法であって、前記凹凸部の環状溝を旋削で形成した後、ブローチで軸方向溝を形成し、この交叉溝の最内径部の寸法を、前記軸方向溝で設定したことを特徴とする駆動車輪用軸受装置の製造方法。
  6. 前記ブローチは、所定の形状・寸法に成形された切削歯を軸方向に多数独立して形成し、前記軸方向溝の凸部の先端を形成する2辺を、隣接する凸部の対向する辺を交互に加工した請求項5に記載の駆動車輪用軸受装置の製造方法。
  7. 前記ブローチは、所定の形状・寸法に成形された切削歯を軸方向に多数独立して形成し、予め溝底を加工し、次いで前記軸方向溝の凸部の先端を形成する2辺を異なった切削歯で交互に加工した請求項5に記載の駆動車輪用軸受装置の製造方法。
  8. 前記軸方向溝の凸部の先端を形成する2辺を、予め前記ブローチの切削歯で同時に加工した後、最終工程部の数列の切削歯で交互に加工した請求項6または7に記載の駆動車輪用軸受装置の製造方法。
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