JP3964721B2 - 駆動車輪用軸受装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の駆動車輪を支持するための駆動車輪用軸受装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の懸架装置に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置は、燃費向上のための軽量化が進んでいる。特に、FR車の後輪、FF車の前輪、あるいは4WD車の全輪といった自動車の駆動車輪用軸受装置においては、さらに操縦安定性のため、剛性アップを図るユニット化が急速に進んでいる。
【0003】
従来の駆動車輪用軸受装置は、図6に示すように、ハブ輪50と複列の転がり軸受60と等速自在継手70とをユニット化して構成している。複列の内側転走面のうち一方51をハブ輪50に形成し、他方72を等速自在継手70の外側継手部材71に形成している。ハブ輪50は、円筒部52の一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ53を一体に有し、この車輪取付フランジ53の円周等配位置には車輪を固定するためのハブボルト54を植設している。円筒部52の車輪取付フランジ寄りの外周に内側転走面51を形成している。
【0004】
等速自在継手70は外側継手部材71と、図示しない継手内輪、ケージ、およびトルク伝達ボールとからなる。外側継手部材71はカップ状のマウス部73と、このマウス部73の底部をなす肩部74と、この肩部74から軸方向に延びるステム部75を有し、マウス部73の内周には軸方向に延びる曲線状のトラック溝76を形成すると共に、肩部74の外周に内側転走面72を形成している。この肩部74にハブ輪50の円筒部52の端面を突合せた状態で、ステム部75を円筒部52に内嵌している。このようにハブ輪50と外側継手部材71との軸方向の位置決めをすることにより、内側転走面51、72の溝ピッチを規定し、軸受内部すきまを設定している。ステム部75は、マウス部73と連通した貫通孔77を設けることにより中空としている。このため、マウス部73に充填した潤滑グリースの漏洩を防止するため、貫通孔77のマウス部73側端部にはエンドプレート78を装着している。
【0005】
複列の転がり軸受60は、外方部材61と複列の転動体62を含む。外方部材61は外周に車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ63を一体に有し、内周には複列の外側転走面64、64を形成している。これら外側転走面64、64と、これに対向するハブ輪50の内側転走面51、および外側継手部材71の内側転走面72間に、保持器65、65によって複列の転動体62、62を転動自在に保持している。また、外方部材61の端部にはシール66、67を装着し、軸受内部に封入した潤滑グリースの漏洩と、外部からの雨水やダスト等の侵入を防止している。
【0006】
ハブ輪50の円筒部52内周面には硬化させた凹凸部55を形成し、ステム部75の内径側を拡径することにより、円筒部52との嵌合部を凹凸部55に食い込ませ、外側継手部材71とハブ輪50とを塑性結合している。このような拡径をプレス加工により行う場合、図7に示すように、ステム部75をハブ輪50の円筒部52に内嵌した後、受け部材80によりハブ輪50の車輪取付フランジ53の側面を支持すると共に、ハブ輪50の外径部を拘束した状態で、ステム部75の貫通孔77の内径よりも僅かに大径に形成した大径部81aを有する加締治具(ポンチ)81を貫通孔77に押し込むことにより拡径させる(特願2001−50846号参照)。
【特許文献1】
特開2002−254901号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
駆動車輪用軸受装置において、車両旋回時、装置に曲げモーメント荷重が負荷された場合、車輪取付フランジ53側(アウトボード側)の荷重は拡径部で受けることになる。その結果、拡径部を含む外側継手部材71のステム部75が曲げられ、ステム部75の内径に交番で引張と圧縮応力が作用することになる。こうした繰返し応力によってステム部75が疲労破損する恐れがあるため、剛性増大を図る必要があった。
【0008】
一方、装置のサイズを変更せずにステム部75等の肉厚を厚くして剛性を増大させようとすると、貫通孔77の径が小さくなってプレス加工に支障を来たすだけでなく、装置の軽量化を阻害することになり剛性向上には限界があった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、軽量・コンパクト化を達成すると共に、大きなモーメント荷重が装置に作用しても固定部に緩みが発生せず、かつ装置の剛性向上が図れ、耐久性に富んだ駆動車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、一端に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪複列の転がり軸受、別体の内輪を前記ハブ輪の円筒部に圧入し、このハブ輪等速自在継手の外側継手部材を内嵌して、車体に対して車輪を回転自在に支承してなる駆動車輪用軸受装置において、前記ハブ輪の内周面の表面に硬化させた凹凸部を形成すると共に、前記外側継手部材の嵌合部を拡径させて前記凹凸部に食い込ませることにより、前記ハブ輪と外側継手部材とを一体結合し、さらに前記外側継手部材の嵌合部の芯部を未焼入れで生のままとし、前記外側継手部材の嵌合部内周面の表面の硬さを、その芯部の硬さよりも少なくとも3HRC高くした構成を採用した。
【0011】
このように、1〜3世代の駆動車輪用軸受装置において、車両旋回時、装置に曲げモーメント荷重が負荷された場合、拡径部を含む外側継手部材の嵌合部が曲げられ、嵌合部の内径に交番で引張と圧縮応力が作用しても、外側継手部材の嵌合部内周面の表面の硬さを、その芯部の硬さよりも高くしたので、耐久性が格段に増大し、繰返し応力による疲労寿命を向上させることができる。また、前記外側継手部材の嵌合部内周面の表面の硬さを、その芯部の硬さよりも少なくとも3HRC高くすることによって、曲げモーメントによって拡径部を含む外側継手部材の嵌合部が曲げられ、嵌合部の内径に交番で引張と圧縮応力が作用しても、耐久性が格段に増大し、繰返し応力による疲労寿命を向上させることができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明のように、一端に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪複列の転がり軸受、前記ハブ輪等速自在継手の外側継手部材を内嵌し、前記複列の転がり軸受の一方の内側転走面を前記ハブ輪の外周に、他方の内側転走面を前記外側継手部材の外周にそれぞれ形成し、車体に対して車輪を回転自在に支承してなる駆動車輪用軸受装置において、前記ハブ輪の内周面の表面に硬化させた凹凸部を形成すると共に、前記外側継手部材の嵌合部を拡径させて前記凹凸部に食い込ませることにより、前記ハブ輪と外側継手部材とを一体結合し、さらに前記外側継手部材の嵌合部の芯部を未焼入れで生のままとし、前記外側継手部材の嵌合部内周面の表面の硬さを、その芯部の硬さよりも少なくとも3HRC高くした構成を採用した。
【0013】
このように、特に4世代の駆動車輪用軸受装置においては、軽量・コンパクト化を達成すると共に、大きなモーメント荷重が装置に作用しても固定部に緩みが発生せず、かつ装置の剛性向上が図れ、耐久性に富んだ駆動車輪用軸受装置を提供することができる。
【0014】
好ましくは、請求項3に記載の発明のように、前記外側継手部材が底部を有する中空状とすれば、耐久性が格段に増大し、繰返し応力による疲労寿命を向上させることができると共に、外側継手部材の嵌合部の剛性を向上させることができる。特に、従来4世代構造の実用化を阻害していた一つの要因である曲げモーメント荷重に対して剛性不足を回避することができる。
【0016】
また、請求項に記載の発明のように、前記外側継手部材の嵌合部内周面の表面の硬さを25〜40HRCの範囲に設定すれば、耐久性が格段に増大し、繰返し応力による疲労寿命を向上させることができる。
【0017】
また、請求項に記載の発明のように、前記外側継手部材の嵌合部の内周面に硬化処理した拡径部材を押し通し、その加工硬化により、当該内周面の表面を硬化させるようにすれば、拡径部材の表面硬度と寸法精度、および挿入速度等の作業条件を管理するだけで良く、特別な硬化処理のための工程が不要となり、コストアップを抑制することができる。
【0018】
また、請求項に記載の発明のように、前記外側継手部材の嵌合部内周面の表面に、ショットピーニングによる硬化層を形成すれば、拡径部を含む外側継手部材の嵌合部全面に所望の硬化層を形成することができると共に、高硬度を形成することができ、繰返し応力による疲労寿命をさらに向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。
【0020】
この駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪1と、複列の転がり軸受2と、等速自在継手3とをユニット化して構成している。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で、車両の外側寄りとなる側をアウトボード側(図面左側)、中央寄り側をインボード側(図面右側)という。
【0021】
ハブ輪1は、アウトボード側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を一体に有している。ハブ輪1の内周面には凹凸部5を形成し、熱処理によって表面硬さを54〜64HRCの範囲に硬化層10を形成する(図中クロスハッチングにて示す)。熱処理としては、局部加熱ができ、硬化層深さの設定が比較的容易にできる高周波誘導加熱による焼入れが好適である。
【0022】
なお、凹凸部5は、図2に示すような複数列の溝を直交させた形状を例示することができる。(a)は互いに傾斜した螺旋溝6で、(b)は軸方向溝と独立した環状溝との交叉溝6’でアヤメローレット状を形成することができる。また、凹凸部5の凸部は良好な食い込み性を確保するために、三角形状等の尖塔形状に形成する。
【0023】
複列の転がり軸受2は、外方部材7と内方部材8と複列の転動体9、9とからなる。外方部材7は外周に車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ7aを一体に有し、内周には複列の外側転走面7b、7bを形成している。一方、内方部材8は、ハブ輪1と後述する外側継手部材14を指し、外方部材7の外側転走面7b、7bに対向するアウトボード側の内側転走面1aをハブ輪1の外周に、またインボード側の内側転走面14aを外側継手部材14の外周にそれぞれ一体に形成している。複列の転動体9、9をこれら転走面7b、1aと7b、14a間にそれぞれ収容し、保持器11、11で転動自在に保持している。複列の転がり軸受2の端部にはシール12、13を装着し、軸受内部に封入した潤滑グリースの漏洩と、外部からの雨水やダスト等の侵入を防止している。ここで複列の転がり軸受2は転動体9、9をボールとした複列アンギュラ玉軸受を例示したが、これに限らず転動体に円すいころを使用した複列円すいころ軸受であっても良い。
【0024】
等速自在継手3は外側継手部材14と図示しない継手内輪、ケージ、およびトルク伝達ボールとを備えている。外側継手部材14はカップ状のマウス部15と、このマウス部15の底部をなす肩部16と、この肩部16から軸方向に延びるステム部17を有し、マウス部15の内周には軸方向に延びる曲線状のトラック溝15aを形成している。
【0025】
外側継手部材14を中空に形成し、この肩部16の外周には前記した内側転走面14aを形成している。また、外側継手部材14のステム部17は小径段部17aと嵌合部17bを有している。ハブ輪1のインロウ部1bをこの小径段部17aに圧入し、インロウ部1bの端面19を外側継手部材14の肩部16に突合せる。次にハブ輪1の内径に嵌合したステム部17の嵌合部17bの内径にマンドレルを挿入・抜脱させる等、適宜な手段で嵌合部17bを拡径してハブ輪1の凹凸部5に食い込ませ、ハブ輪1と外側継手部材14とを一体に塑性結合させる。これにより、この結合部はトルク伝達手段と、ハブ輪1と外側継手部材14の結合手段とを併せ持つため、従来のセレーション等のトルク伝達手段をハブ輪1や外側継手部材14に形成する必要はなく、また、締結ナット等の固定手段も不要となるため、装置の一層の軽量・コンパクト化を実現することができる。
【0026】
また、図3(a)(b)に示すように、受け台Uに内方部材8を載置し、マンドレルMをインボード側からアウトボード側に挿入する。その押込力でハブ輪1のインロウ部1bが、外側継手部材14の肩部16と受け台Uとで軸方向に圧縮される。この状態で嵌合部17b(クロスハッチング部)を拡径させるため、塑性結合後も圧縮応力が残留することになる。したがって、こうした塑性結合の際に、インロウ部1bと肩部16との突き合せ部に軸方向のすきまは発生せず、複列の転がり軸受2の内部すきまは当初設定した負すきまを維持することができる。
【0027】
外側継手部材14は、S53C等の炭素0.40〜0.60wt%を含む中炭素鋼、あるいは、SCR430等の肌焼き鋼で形成している。ここで、図4に示すように、シール13が摺接するシールランド部13aから転走面14a、およびステム部17の小径段部17aに亙って表面に硬化層10’を形成している。硬化処理として高周波誘導加熱による焼入れが好適である。また、拡径する嵌合部17bは、鍛造後の素材表面硬さ24HRC以下の未焼入れ部とし、前記したハブ輪1の凹凸部5の表面硬さ54〜64HRCとの硬度差を30HRC以上に設定するのが好ましい。これにより、嵌合部17bが凹凸部5に容易に、かつ深く食い込み、凹凸部5の先端が潰れることなく強固に両者を塑性結合することができる。
【0028】
さらに、本出願人が実施した耐久試験から、以下の拡径条件が判明している。
▲1▼拡径部材であるマンドレルの表面硬さが高い程、マンドレルの摩耗を抑制でき、かつ拡径量のバラツキを抑制することができる。
▲2▼凹凸部の深さの80%以上食い込ませることにより、繰り返し曲げ荷重に対して充分な結合力を保持することができる。
▲3▼拡径量と拡径代は比例し、両者の形状誤差や表面粗さによって若干バラツキはあるも、拡径量は、拡径代、すなわちマンドレルの大径部と嵌合部の内径との寸法差の80〜90%の範囲にある。
▲4▼嵌合部の拡径により内径表面が加工硬化し、拡径により表面の引張応力がその材料の許容引張応力の60%で、芯部との硬度差が略3HRCとなる。また、この硬度差が高い程、すなわち、嵌合部内径表面硬さが高い程、嵌合部の繰り返し曲げ荷重に対しての耐久性が向上する。
▲5▼マンドレルの挿入速度を上げると嵌合部のクラックが発生する恐れがあり、一定の低速度が好ましい。
こうした検証に基き、本実施例では、図3に示した拡径部材であるマンドレルMの表面硬さを少なくとも54HRCに設定している。また、拡径量が凹凸部5の深さの略80%になるよう、大径部M1寸法と嵌合部17bの内径寸法を設定している。
【0029】
車両旋回時に過大な曲げモーメント荷重が生じた時、ハブ輪1と外側継手部材14との突き合せ部が節となって繰り返し曲げ荷重を受けることになる。この時、ハブ輪1のインロウ部1bと外側継手部材14のステム部17、特に小径段部17aの隅部18には過大な応力が発生し、耐久性が低下する恐れがある。また、繰り返し曲げ荷重によって、インロウ部1bや小径段部17aが変形して突合せ部に異常摩耗が発生し、軸受内部にその摩耗粉が混入して寿命低下を招来する恐れもある。しかし、本実施形態のように、シールランド部13aから隅部18を含む小径段部17aの表面に硬化層10’を形成することによって、捩じりトルクに対して強度、耐久性が向上すると共に、繰り返し曲げ荷重によってインロウ部1bと肩部16の突き合せ部に相対滑りが生じても、摩耗の発生を抑制することができる。
【0030】
さらに、前述した嵌合部17bの内径に硬化層10”を形成している。その表面硬さを25〜40HRCの範囲に設定し、芯部よりも少なくとも3HRCの硬度差を設けた。これにより、曲げモーメントにより嵌合部に繰り返し引張・圧縮応力が生じても耐久性が向上する。
【0031】
図示はしていないが、中空状の外側継手部材14の内径にエンドキャップを装着して、マウス部15に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と外部からのダスト侵入を防止している。
【0032】
図5(a)は本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。なお、前述した実施形態と同一部位、同一部品には同一符号を付け、その詳細な説明を省略する。
【0033】
この駆動車輪用軸受装置は、内方部材20と複列の転がり軸受30と等速自在継手40とをユニット化した第3世代構造をなしている。ここで内方部材20はハブ輪21と等速自在継手40の外側継手部材41を指している。
【0034】
ハブ輪21は、車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ22を一体に有し、この車輪取付フランジ22の円周等配位置には車輪を固定するためのハブボルトを植設している。ハブ輪21の外周にはアウトボード側の内側転走面21aとインロウ部23を形成している。このインロウ部23に別体の内輪25を圧入し、後述する外側継手部材41の肩部43と突合せ状態で組立る。
【0035】
複列の転がり軸受30は、外方部材7と内方部材20と複列の転動体9、9を備えている。外方部材7は外周に車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ7aを一体に有し、内周には複列の外側転走面7b、7bを形成している。一方、内方部材20は、これら外方部材7の外側転走面7b、7bに対向する複列の内側転走面21a、25aをハブ輪21と内輪25の外周にそれぞれ一体形成し、それぞれの転走面7b、21aと7b、25a間には複列の転動体(ボール)9、9を収容している。
【0036】
ハブ輪21は、S53C等の炭素0.40〜0.60wt%を含む中炭素鋼で形成し、アウトボード側転走面21aをはじめとし、シール12が摺接するシールランド部とインロウ部23を高周波焼入れによって表面を硬化処理している。一方、内輪25は、炭素0.95〜1.10wt%からなる高炭素クロム軸受鋼で形成し、芯部まで焼入れ硬化させている
【0037】
等速自在継手40の外側継手部材41は、カップ状をなすマウス部42と、このマウス部42の底部になる肩部43と、この肩部43から軸方向に延びるステム部44とからなっている。ステム部44はハブ輪21のインロウ部23を圧入する小径段部44aと嵌合部44bからなり、この嵌合部44bはアウトボード側に開口した中空状に形成している。
【0038】
また、外側継手部材41は、S53C等の炭素0.40〜0.60wt%を含む中炭素鋼からなり、マウス部42の内周に形成した軸方向曲線状に延びるトラック溝42aと肩部43と小径段部44aの表面に高周波焼入れによる硬化層を形成している。嵌合部44bは未焼入れで生のままとしている。
【0039】
ハブ輪21のアウトボード側内径に硬化させた凹凸部24を形成し、ステム部44の嵌合部44bを後述する手法で拡径させて食い込ませ、ハブ輪21と外側継手部材41を一体化している。
【0040】
次に嵌合部44bを拡径させる手法を図5(b)に基いて説明する。嵌合部44bの内径にポンチAを挿入し、ステム部44の中空状の底部44cとで閉塞した空間を形成する。ポンチAは、段付部Bと貫通孔Cを設けている。段付部Bで外側継手部材41を支持した状態で、貫通孔Cからシリコン油等の粘性流体Rを閉塞空間内に充填する。この粘性流体Rに瞬間的に圧力Pをかけることにより、嵌合部44bを矢印→のように拡径させる。なお、粘性流体Rはシリコン油に限らず静水圧で拡径できる流体であれば良く、その性状や仕様等に制約されない。ただし、シリコン油のように高粘度を有する流体であれば、閉塞空間をシールする密封手段を、本実施形態のように段付部Bで代用することができ簡素化を図ることができる。
【0041】
本実施形態では、ステム部44の嵌合部44bをこうした手法で拡径させて凹凸部24に食い込ませ、ハブ輪21と外側継手部材41を一体に塑性結合した後、嵌合部44bの内径に微小な鋼球を高速で吹き付けるショットピーニング加工を施している。こうして形成する硬化層の表面硬さを25HRC以上に設定している。鍛造後の素材硬さである芯部よりも少なくとも3HRCの硬度差を設けることができる。これにより、前述した第1の実施形態よりも高硬度を形成することができ、繰返し応力による疲労寿命をさらに向上させることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、第3世代構造を例示したが、これに限らず、第1の実施形態と同様、外側継手部材41の肩部43に直接内側転走面25aを形成する第4世代構造であっても良い。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る駆動車輪用軸受装置は、以下に挙げるような格別な効果を奏する。
▲1▼ハブ輪と複列の転がり軸受と等速自在継手をユニット化した駆動車輪用軸受装置において、曲げモーメント荷重に対しても、特に結合部の緩みは発生せず、変形も少なく、また、外側継手部材の嵌合部に繰返し引張・圧縮応力が生じても充分な耐久性を確保することができる。
▲2▼さらに、外側継手部材を、底部を有する中空状に形成した場合は、軽量・コンパクト化といった所期の技術課題を解決すると同時に、中実構造と同等の剛性を有している。
▲3▼また、外側継手部材の嵌合部の内径に硬化処理した拡径部材を押し通し、その加工硬化により、当該内径表面を硬化させるようにすれば、拡径部材の表面硬度と寸法精度、および挿入速度等の作業条件を管理するだけで良く、特別な硬化処理のための工程が不要となり、コストアップを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】(a)は本発明に係るハブ輪の凹凸部形状を示す縦断面図で、互いに傾斜した螺旋溝で構成したアヤメローレット形状を示す。
(b)は同上、軸方向、および独立した環状溝で構成したアヤメローレット形状を示す。
【図3】(a)は本発明に係る駆動車輪用軸受装置の塑性結合方法を示す説明図である。
(b)は、(a)の要部拡大図である。
【図4】本発明に係る駆動車輪用軸受装置の外側継手部材の縦断面図である。
【図5】(a)本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。
(b)拡径方法を説明するための要部断面図である。
【図6】従来の駆動車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
【図7】拡径方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1、21・・・・・・・・・・・・ハブ輪
1a、14a、21a、25a・・内側転走面
1b、23・・・・・・・・・・・インロウ部
2、30・・・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
3、40・・・・・・・・・・・・等速自在継手
4、22・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
5、24・・・・・・・・・・・・凹凸部
6、6’・・・・・・・・・・・・溝
7・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
7a・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
7b・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
8、20・・・・・・・・・・・・内方部材
9・・・・・・・・・・・・・・・転動体
10、10’、10”・・・・・・・硬化層
11・・・・・・・・・・・・・・保持器
12、13・・・・・・・・・・・シール
13a・・・・・・・・・・・・・シールランド部
14、41・・・・・・・・・・・外側継手部材
15、42・・・・・・・・・・・マウス部
15a、42a・・・・・・・・・トラック溝
16、43・・・・・・・・・・・肩部
17、44・・・・・・・・・・・ステム部
17a、44a・・・・・・・・・小径段部
17b、44b・・・・・・・・・嵌合部
18・・・・・・・・・・・・・・隅部
19・・・・・・・・・・・・・・端面
25・・・・・・・・・・・・・・内輪
50・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
51、72・・・・・・・・・・・内側転走面
52・・・・・・・・・・・・・・円筒部
53・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
54・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
55・・・・・・・・・・・・・・凹凸部
60・・・・・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
61・・・・・・・・・・・・・・外方部材
62・・・・・・・・・・・・・・転動体
63・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
64・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
65・・・・・・・・・・・・・・保持器
66、67・・・・・・・・・・・シール
70・・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
71・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
73・・・・・・・・・・・・・・マウス部
74・・・・・・・・・・・・・・肩部
75・・・・・・・・・・・・・・ステム部
76・・・・・・・・・・・・・・トラック溝
77・・・・・・・・・・・・・・貫通孔
78・・・・・・・・・・・・・・エンドプレート
80・・・・・・・・・・・・・・受け部材
81・・・・・・・・・・・・・・加締治具
81a・・・・・・・・・・・・・大径部
A・・・・・・・・・・・・・・・ポンチ
B・・・・・・・・・・・・・・・段付部
C・・・・・・・・・・・・・・・貫通孔
M・・・・・・・・・・・・・・・マンドレル
M1・・・・・・・・・・・・・・大径部
R・・・・・・・・・・・・・・・粘性流体
P・・・・・・・・・・・・・・・圧力
U・・・・・・・・・・・・・・・受け台

Claims (6)

  1. 一端に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪複列の転がり軸受、別体の内輪を前記ハブ輪の円筒部に圧入し、このハブ輪等速自在継手の外側継手部材を内嵌して、車体に対して車輪を回転自在に支承してなる駆動車輪用軸受装置において、
    前記ハブ輪の内周面の表面に硬化させた凹凸部を形成すると共に、前記外側継手部材の嵌合部を拡径させて前記凹凸部に食い込ませることにより、前記ハブ輪と外側継手部材とを一体結合し、さらに前記外側継手部材の嵌合部の芯部を未焼入れで生のままとし、前記外側継手部材の嵌合部内周面の表面の硬さを、その芯部の硬さよりも少なくとも3HRC高くしたことを特徴とする駆動車輪用軸受装置。
  2. 一端に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪複列の転がり軸受、前記ハブ輪等速自在継手の外側継手部材を内嵌し、前記複列の転がり軸受の一方の内側転走面を前記ハブ輪の外周に、他方の内側転走面を前記外側継手部材の外周にそれぞれ形成し、車体に対して車輪を回転自在に支承してなる駆動車輪用軸受装置において、
    前記ハブ輪の内周面の表面に硬化させた凹凸部を形成すると共に、前記外側継手部材の嵌合部を拡径させて前記凹凸部に食い込ませることにより、前記ハブ輪と外側継手部材とを一体結合し、さらに前記外側継手部材の嵌合部の芯部を未焼入れで生のままとし、前記外側継手部材の嵌合部内周面の表面の硬さを、その芯部の硬さよりも少なくとも3HRC高くしたことを特徴とする駆動車輪用軸受装置。
  3. 前記外側継手部材が底部を有する中空状である請求項1または2に記載の駆動車輪用軸受装置。
  4. 前記外側継手部材の嵌合部内周面の表面の硬さを25〜40HRCの範囲に設定した請求項1乃至いずれかに記載の駆動車輪用軸受装置。
  5. 前記外側継手部材の嵌合部の内周面に硬化処理した拡径部材を押し通し、その加工硬化により、当該内周面の表面を硬化させた請求項1乃至いずれかに記載の駆動車輪用軸受装置。
  6. 前記外側継手部材の嵌合部内周面の表面に、ショットピーニングによる硬化層を形成した請求項1乃至いずれかに記載の駆動車輪用軸受装置。
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