JP5105726B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Description

この発明は、乗用車用や貨物車用等の高強度化を図った車輪用軸受装置に関する。
車輪用軸受装置には、自動車の急旋回時等に応力が高くなる部位がある。特に、応力集中の生じる部位は、前記急旋回時の応力が高くなるときに強度が問題となる。
駆動輪支持用の車輪用軸受装置では、等速ジョイントのステム部と嵌合するハブの内径面セレーション部は、歯状となっているため、谷の部分が高応力となることがあり、また微細な変形・変位の繰り返しにより、ハブと等速ジョイントのセレーションの歯が擦れることにより摩耗する。これらの繰り返しにより、セレーションの歯の谷に亀裂が生じ、耐久性が低下する。また、摩耗が進み、歯が摩減し、駆動力が伝達できなくなったりする。
そのため、ハブのセレーションの設けられた内径面の強化を図ることを試みた。従来、前記セレーション部の強化対策ではないが、ハブの車輪取付用フランジのつけ根部や軸部外周面の疲れ強さの強化対策としては、上記車輪取付用フランジの根元部などに、高周波熱処理を施す方法(例えば特許文献1)や、ショットピーニングを行う方法が提案されている(例えば特許文献2)。また、疲労強度を上げるために、部品全体を調質し、硬度を高める方法も提案されている(例えば特許文献3)。
特開2004−182127号公報 特開2005−145313号公報 特開2005−003061号公報
しかし、ショットピーニングでは、ハブの内径部が狭いことにより、作業に制限がある。また、高周波熱処理では、熱ひずみにより熱処理後の歯の精度が悪化し、等速ジョイントの組み込み荷重が大きくなったり、ガタが生じる等の問題がある。ハブの全体を調質して硬度アップをする方法の場合は、工程が増える上に、硬度アップにより全体の加工性、例えば、被削性や、加締め加工などの冷間加工性が低下し、ハブボルトの食い込み性低下によるスリップトルクの低下等が生じることがある。
一方、近年、燃費の向上、環境への負荷の低減のために、車輪用軸受装置においても、小型、軽量化が強く望まれており、疲れ強さ、寿命を維持しながら、小型、軽量化を図ることが必要となる。
この発明の目的は、自動車の旋回時等の高応力や繰り返し応力に対して、ハブの等速ジョイントと結合する内径面のセレーションまたはスプラインの強度や疲れ強さ、耐摩耗性を向上させることができ、かつ工程増による生産性の低下が抑えられる車輪用軸受装置を提供することである。
この発明の車輪用軸受装置は、複列の転動体を介して互いに回転自在な内方部材および外方部材を有し、前記内方部材が、車輪取付用フランジを有するハブおよびこのハブの軸部の外周に嵌合した内輪からなり、前記ハブが中心部に、等速ジョイントの継手部材のステム部を挿通させる貫通孔を有し、この貫通孔の内径面に前記ステム部に設けられたセレーションまたはスプラインと噛み合うセレーションまたはスプラインを有する車輪用軸受装置において、前記ハブが鋼材の熱間鍛造品であってその母材部分がフェライト・パーライト組織である標準組織であり、前記ハブの前記貫通孔の内径面における前記セレーションまたはスプラインの形成部分が非標準組織の部分とされ、前記非標準組織が、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織であり、前記微細フェライト・パーライト組織はフェライト・パーライト組織の焼準によって得られる組織であり、前記ハブのセレーションまたはスプラインの形成部分は、前記非標準組織となった部分に前記セレーションまたはスプラインを形成したものであることを特徴とする。
前記非標準組織は、例えば、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却して自己復熱させるかまたは復熱保持焼戻しをすることで得られた組織である。
具体的には、前記微細フェライト・パーライト組織は、前記熱間鍛造工程の最後に、前記部品に冷媒を浴びせることで部分的に冷却することにより得られる。または、熱間鍛造工程が複数段階の鍛造工程からなる場合に、最終段階の鍛造工程の前に冷却を行い、その後に最終段階の鍛造工程を行うことで得られる。前記焼戻マルテンサイト組織は、熱間鍛造工程の最後に、前記部品を部分的に、マルテンサイト・スタート・ポイント以下まで冷却し、その後、復熱焼戻しを行うことで得られる。前記上部ベイナイト組織および下部ベイナイト組織は、熱間鍛造工程の最後に、所定の冷却速度に制御し、室温程度まで冷却することで得られる。下部ベイナイト組織は、上部ベイナイト組織の場合よりも冷却速度を遅くすることで得られる。
この構成の車輪用軸受装置によると、次の作用が得られる。ハブの内径面のセレーションまたはスプラインの形成箇所は、歯状となっているため、自動車の旋回時などにハブに作用するモーメント荷重等により、谷の部分が高応力となることがあり、また微細な変形・変位の繰り返しにより、ハブと等速ジョイントのセレーションの歯が擦れることにより摩耗する。
しかし、このような繰り返し発生する高応力に対して、ハブのセレーションまたはスプラインの形成された内径面が、前記非標準組織とされていると、組織微細化や硬度アップによって強度や疲れ強さが向上し、セレーションまたはスプラインの歯谷から亀裂が発生することが抑制される。つまり、亀裂発生→応力発生部位の変位増加→亀裂の振動伸展→ハブの破損、という作用が抑えられて、長寿命化される。
すなわち、上記微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織の非標準組織の部分は、標準組織からなる母材部分に比べて組織が微細であり、また硬度が同等以上のものとなる。このような組織微細化や硬度アップにより、非標準組織の部分の疲れ強さが向上し、通常の標準組織のみからなるハブに比べて、高い応力振幅に耐え、つまり高強度化され、長寿命化できる。そのため、通常の標準組織の車輪用軸受装置に比べて、小型化、および軽量化が図れる。したがって、車輪用軸受装置の製品製作の投入重量が削減されて、コストの削減が図れ、安価に提供することが可能となる。
また、上記非標準組織による硬度アップのため、セレーションまたはスプラインの摩耗が防止される。そのため、歯が摩減し、駆動力が伝達できなくなることが抑制される。
前記非標準組織の部分は、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却することで得られるため、簡易な処理の追加で済み、工程増による生産性の低下が抑えられる。また、熱間鍛造の熱を利用するため、組織の改質のための処理に用いるエネルギが削減できる。
非標準組織の部分を、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却することで得る場合、ショットピーニングと異なり、ハブの貫通孔の内径が狭くても容易に処理が行える。また高周波熱処理と異なり、熱ひずみによって熱処理後の歯の精度が悪化し、等速ジョイントの組み込み荷重が大きくなったり、ガタが生じる等の問題が回避される。
前記非標準組織とする部分は、ハブの全体の表面としても良いが、前記貫通孔の内径面におけるセレーションまたはスプラインの形成部分という必要箇所のみとすると、被削性などの加工性の低下が最小限に抑えられる。
この発明における車輪用軸受装置は、内方部材が、車輪取付用フランジを有するハブおよびこのハブの軸部の外周に嵌合した内輪からなり、前記ハブが中心部に、等速ジョイントの継手部材のステム部を挿通させる貫通孔を有し、この貫通孔の内径面にセレーションまたはスプラインを有するするものであれば良く、各種の形式のものに適用できる。例えば、前記ハブおよび内輪に各列の軌道面を有するものであっても良い。また、前記ハブが軌道面を有せず、前記内輪が複列の軌道面を有するもの、つまりハブが、複列軸受からなる軸受の完成品とは独立した部品のハブであっても良い。
この発明の前記各構成の車輪用軸受装置において、非標準組織の部分、および標準組織の部分の硬さは、適宜設定すれば良いが、例えば、非標準組織の硬さを20〜40HRCとし、母材部分の硬さを13〜25HRCとしても良い。
非標準組織の部分の硬さの下限は、硬度アップによる疲れ強さおよび耐磨耗性向上のために、母材硬さの中央程度の値となる20HRC以上、できれば25HRC以上とすることが好ましい。非標準組織の部分の硬さの上限は、被削性確保のために40HRC以下であることが好ましい。
使用材料は炭素鋼(C量0.4〜0.8%)であるが、S53Cの場合、標準部分の硬さは、13〜25HRCとなる。加締等の冷間加工を行う場合や、ハブボルトを圧入する部分等を考慮すると、最大で25HRCとすることが好ましい。
なお、前記各構成の車輪用軸受装置において、熱間鍛造工程の最後に冷却することで得られる組織としたものは、通常の熱間鍛造品を再加熱したものを冷却しても良い。
この発明の車輪用軸受装置は、複列の転動体を介して互いに回転自在な内方部材および外方部材を有し、前記内方部材が、車輪取付用フランジを有するハブおよびこのハブの軸部の外周に嵌合した内輪からなり、前記ハブが中心部に、等速ジョイントの継手部材のステム部を挿通させる貫通孔を有し、この貫通孔の内径面に前記ステム部に設けられたセレーションまたはスプラインと噛み合うセレーションまたはスプラインを有する車輪用軸受装置において、前記ハブが鋼材の熱間鍛造品であってその母材部分がフェライト・パーライト組織である標準組織であり、前記ハブの前記貫通孔の内径面における前記セレーションまたはスプラインの形成部分が非標準組織の部分とされ、前記非標準組織が、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織であり、前記微細フェライト・パーライト組織はフェライト・パーライト組織の焼準によって得られる組織であり、前記ハブのセレーションまたはスプラインの形成部分は、前記非標準組織となった部分に前記セレーションまたはスプラインを形成したものであるため、自動車の旋回時等の高応力や繰り返し応力に対して、ハブの等速ジョイントと結合する内径面のセレーションまたはスプラインの強度や疲れ強さ、耐摩耗性が、前記非標準組織の組織微細化や硬度アップにより向上し、かつ工程増による生産性の低下が抑えられる。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図5と共に説明する。図1は車輪用軸受装置の一例を示しており、この例は第3世代型の駆動輪支持用に適用するものである。この車輪用軸受装置は、複列の転動体3を介して互いに回転自在な内方部材1および外方部材2を有し、転動体3は各列毎に保持器4により保持されている。ここで言う複列とは、2列以上のことを言い、3列以上であっても良いが、図示の例では2列とされている。内方部材1および外方部材2は、それぞれ複列の軌道面6,7および軌道面8,9を有している。この車輪用軸受装置は、複列アンギュラ玉軸受型とされていて、転動体3はボールからなり、軌道面6,7は、接触角が外向きとなるように形成されている。内方部材1と外方部材2との間の軸受空間の両端は、シール10,11により密封されている。
外方部材2は、全体が一体の一つの部品からなり、幅方向の任意の位置に車体取付用フランジ12が設けられている。外方部材2の車体取付用フランジ12よりもインボード側の外径面部分は、車体の懸架装置となるナックル(図示せず)が嵌合する面となる。なお、この明細書で、車体に取付けた状態で車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車幅方向の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。車体取付用フランジ12の円周方向の複数箇所には、ボルト挿通孔またはねじ孔からなる車体取付孔13が設けられている。
内方部材1は、ハブ14と、このハブ14の軸部14aのインボード側端の外周に嵌合した内輪15との2つの部品で構成される。これらハブ14および内輪15に、内方部材1側の上記各軌道面6,7がそれぞれ形成されている。ハブ14の軸部14aの外周におけるインボード側端には、段差を持って小径となる内輪嵌合面16が設けられ、この内輪嵌合面16に内輪15が嵌合している。
ハブ14は、軸部14aのアウトボード側端の外周に車輪取付用フランジ17を有しており、この車輪取付用フランジ17の円周方向複数箇所に設けられた各ボルト圧入孔18に、ハブボルト19が圧入状態に取付けられている。
ハブ14の車輪取付用フランジ17の根元部からは、ハブ14と同心の円環状のパイロット部20が突出している。パイロット部20は、車輪取付用フランジ17のアウトボード側の側面に重ねて取付けられるブレーキディスクを案内する部分となるブレーキパイロット20aと、このブレーキパイロット20aよりもアウトボード側に突出するホイールパイロット20bとからなる。なお、パイロット部20は、円周方向複数箇所に切欠が設けられて複数個に分割されたものであっても良い。
ハブ14の中心部には、等速ジョイント41の片方の継手部材となる外輪42のステム部42aを挿通させる貫通孔21が設けられている。ステム部42aは、セレーション軸からなり、貫通孔21の内径面は、インボード側端の付近等を除き、ステム部42aのセレーションと噛み合うセレーション21aが設けられている。なお、ステム部42aをスプライン軸とし、ハブ14のセレーション21aの代わりにスプラインを設けても良い。
ハブ14のアウトボード側の端面における前記貫通孔21の開口周縁は、前記ステム部42aの先端の雄ねじ部に螺着したナット43またはその下に敷かれる座金44が接する座面45となる。ナット45の締め付けによって、等速ジョイント外輪42の段面42bが内輪15の幅面に押し付けられ、車輪用軸受装置と等速ジョイント41との結合が行われる。
ハブ14の前記座面45は、座繰り部46の底面からなる。ハブ14のアウトボード側の端面には、パイロット部20よりも内径側に凹部47が設けられていて、前記座繰り部46は、この凹部47の底部に設けられている。凹部47の形成により、前記パイロット部20は円筒状となっている。
内方部材1を構成する部品であるハブ14、内輪15、および外方部材2は、いずれも鋼材の熱間鍛造品である。このうち、ハブ14は、貫通孔21の内径面におけるセレーション21aを設けた箇所の表面部が、非標準組織の部分30とされている。ハブ14の母材部分は標準組織である。
非標準組織部分30の非標準組織は、熱間鍛造工程の途中または最後に、冷媒を浴びせることで、ハブ14を局部的に冷却することなどで得た組織であり、例えば、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織とされる。
図3は、ハブ14の製造工程のうち、熱間鍛造工程を示し、図4はハブ14の熱間鍛造後の製造工程を示す。
図3(A)に示すように、ハブ14の1個分の素材となるビレットW1が、バー材あるいはパイプ材(図示せず)を定寸に切断することで準備される。このビレットW1は、熱間鍛造の工程として、複数の工程、ここでは鍛造1パス、鍛造2パス、鍛造3パスを経て、次第にハブの形状に近づけ、最終鍛造工程(鍛造3パス)で、ハブ14のおおまかな形状となる鍛造仕上がり品の素材W4を得る(同図(B)〜(D))。
鍛造仕上がりの素材W4は、図4(A)のように旋削される。また、貫通孔21の内径面におけるセレーションも機械加工される。ついで、軌道面6および内輪嵌合面16が高周波熱処理される(同図(B))。この後、軌道面6などの研削が行われる(同図(D))。必要なものは、研削の前に車輪取付用フランジ17の表面等の二次旋削が行われる(同図(C))。軌道面の研削の完了したハブ14は、車輪用軸受装置に組み立てられる(同図(E))。
ハブ14の前記非標準組織の部分30は、図3(D)に示すように、鍛造工程の終了時に、改質対象箇所に冷媒を部分的に吹き付けることにより改質され、または図3(C)のように最終鍛造工程(鍛造3パス)の前の鍛造工程(鍛造2パス)の終了後に、改質対象箇所に冷媒を部分的に吹き付けることにより改質される。
冷媒は、液体、そのミストや気体、例えば、油、または低温エアー等が用いられる。また、冷媒には、用途に応じて、潤滑剤、メディア、防錆剤などを混入し、素材の潤滑・離型効果、金型の摩耗防止、冷却効果、鍛造後のショットブラスト等によるスケール落としの省略、防錆効果等を得るようにしても良い。
冷媒の吹き付け時は、全周に均一に冷却が行われるように、ハブ14となる素材W3,W4を、その軸心回りに回転させながら、冷媒を吹き付けても良い。また、素材W3,W4は回転させずに、冷媒吹付け装置(図示せず)を回転させても良い。
冷媒の吹き付けは、噴出し孔を多数開けたノズル(図示せず)を使用しても良いし、またハブ14となる素材W3,W4を回転させるのであれば、1箇所の噴出し孔を持つノズルから吹き付けるものであっても良い。
冷却時にハブ14となる素材W3,W4を回転させる場合は、縦軸,横軸のどちらでも良い。また、冷媒の噴出し方向も、回転縦軸のときに上向き,下向きのいずれとしても良く、回転横軸のときに横向きの他、いずれの方向としても良い。冷媒が凹部に溜まらないようにするためには、上向きに噴出するのが良い。
冷却時のハブ14となる素材W3,W4の保持方法は、冷却部が均一に冷却されるのを阻害しなければ良く、軸部14aの保持、車輪取付用フランジ17の外径部の保持、パイロット部20の外径部または内径部の保持等としても良い。貫通孔21をガイドとしてセンタリング保持するようにしても良い。
冷却により、非標準組織部分30の組織を、前記微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織にするかは、図5と共に示すように、冷却方法によって選択することができる。
図5において、横軸は時間の経過を、縦軸は温度を示す。図中のA3 は、A3 変態点となる温度、A1 はA1 変態点となる温度である。Ms はマルテンサイト・スタート・ポイント(以下「Ms 点」と称す)であり、Mf はマルテンサイト・フィニッシュ・ポイント(以下「Mf 点」と称す)である。
素材となる鋼材は、例えばS53C等のC量が0.4〜0.8%の炭素鋼である。
図5において、曲線(0) に示すように、部品を鍛造温度T1(A3 変態点よりも高い)から単に空冷すると、従来の鍛造による組織である標準組織、すなわちフェライト・パーライト組織となる。
曲線(1) は、非標準組織として微細フェライト・パーライト組織を得る場合の冷却曲線である。熱間鍛造工程の最後、つまり熱間鍛造を終えて冷却されるまでの間に、図3(D)のように冷媒を浴びせることで改質対象の部品(素材)を部分的に冷却し、冷却時間を制限して、冷却後に自己復熱させることにより、前記非標準組織として微細フェライト・パーライト組織が得られる。微細フェライト・パーライト組織は、焼準によって得られる組織、つまり焼準組織である。
曲線(2) は、非標準組織として微細フェライト・パーライト組織を得る場合の別の冷却曲線を示す。この場合、図3のように熱間鍛造工程が複数段階の鍛造工程からなるときに、最終段階の鍛造工程(図3(D))の前(図3(C))に、部品(素材W3)の一部または全体の冷却を行い、その後に最終段階の鍛造工程(図3(D))を行う。最終鍛造工程は、前記冷却の後の自己復熱の途中などで行われる。これにより、冷却後に鍛造工程の一つが加わることで、動的な歪みが与えられ、微細フェライト・パーライト組織が得られる。
曲線(3) ,(4) は、それぞれ非標準組織として、調質組織である焼戻マルテンサイト組織を得る場合の冷却曲線を示す。熱間鍛造工程の最後に部品を部分的にMs 点以下でMf 点以上の範囲まで冷却し、その後、所定温度範囲内で復熱焼戻しを行うことで、非標準組織として調質組織、すなわち焼戻マルテンサイト組織が得られる。復熱焼戻しの温度を約500〜600℃程度とすると、組織はソルバイトとなる。復熱焼戻しの温度を約350〜400℃程度とすると、組織はトルースタイトとなる。
曲線(5) ,(6) は、それぞれ非標準組織として上部ベイナイトおよび下部ベイナイトを得る場合の冷却曲線を示す。熱間鍛造工程の最後に、制御冷却として、焼入れの冷却速度(マルテンサイトが生成する冷却速度)よりややゆっくり冷却することで、組織は上部ベイナイトとなる。この冷却速度よりもさらにゆっくりとした冷却速度の焼入れを行うと、組織は下部ベイナイトとなる。
なお、図5では各種の冷却方法を述べたが、図1の例における貫通孔21のセレーション21aの形成部位のように、局部的に非標準組織の部分30を設ける場合は、図5の各曲線(1) 〜(6) で示す冷却方法のうち、曲線(1) 〜(4) に示す方法が好ましい。部品の全体の表面を非標準組織の部分30とする場合は、冷却曲線(5) , (6) に示す方法であってもよい。
この構成の車輪用軸受装置によると、次の作用が得られる。ハブ14の内径面のセレーション21aの形成箇所は、歯状となっているため、自動車の旋回時などにハブ14に作用するモーメント荷重等により、谷の部分が高応力となることがあり、また微細な変形・変位の繰り返しにより、ハブ14と等速ジョイント41のセレーション21aの歯が擦れることにより摩耗する。
しかし、このような繰り返し発生する高応力に対して、ハブ14のセレーション21aの形成された内径面が、前記非標準組織の部分30とされていると、組織微細化や硬度アップによって強度や疲れ強さが向上し、セレーション21aの歯谷から亀裂が発生することが抑制される。つまり、亀裂発生→応力発生部位の変位増加→亀裂の伸展→ハブの破損、という作用が抑えられて、長寿命化される。
すなわち、上記微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織の非標準組織の部分30は、標準組織からなる母材部分に比べて組織が微細であり、また硬度が同等以上のものとなる。このような組織微細化や硬度アップにより、非標準組織の部分30の疲れ強さが向上し、通常の標準組織のみからなる。ハブに比べて、高い応力振幅に耐え、つまり高強度化され、長寿命化できる。そのため、通常の標準組織の車輪用軸受装置に比べて、小型化、および軽量化が図れる。したがって車輪用軸受装置の製品製作の投入重量が削減されて、コストの削減が図れ、安価に提供することが可能となる。
また、上記非標準組織による硬度アップのため、セレーション21aの摩耗が防止される。そのため、歯が摩減し、駆動力が伝達できなくなることが抑制される。
前記非標準組織の部分30は、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却することで得られるため、簡易な処理の追加で済み、工程増による生産性の低下が抑えられる。また、熱間鍛造の熱を利用するため、組織の改質のための処理に用いるエネルギが削減できる。 非標準組織の部分30を、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却することで得る場合、ショットピーニングと異なり、ハブ14の貫通孔21の内径が狭くても容易に処理が行える。また、高周波熱処理と異なり、熱ひずみによって熱処理後の歯の精度が悪化し、等速ジョイント41の組み込み荷重が大きくなったり、ガタが生じる等の問題が回避される。
前記非標準組織とする部分30は、ハブ14の全体の表面としても良いが、貫通孔21の内径面におけるセレーション21aの形成部分という必要部分のみとすると、被削性などの加工性の低下が最小限に抑えられる。
図6ないし図8は、それぞれこの発明の他の実施形態を示す。これら図6〜図8の車輪用軸受装置は、いずれも内輪15、外方部材2、および転動体3等で構成される完成品の複列軸受とは独立した部品としてハブ14が設けられた形式のものである。これらの各実施形態においても、ハブ14の貫通孔21の内径面におけるセレーション21aの形成部分を非標準組織の部分30とすることで、その組織微細化や硬度アップにより、強度や疲れ強さが向上し、長寿命化できる。また、セレーション21aの形成部分の硬度アップによりセレーション21aの摩耗等が軽減される。
なお、これらの各実施形態において、特に説明する事項の他は、図1ないし図5と共に説明した第1の実施形態と同じである。
図6の車輪用軸受装置は、駆動輪支持用の円すいころ軸受型のものであって、内方部材1が、ハブ14と、このハブ14の軸部14aの外周に嵌合した複列の内輪15とからなる。内輪15は各列毎に設けられている。外方部材2は、一つの1体の部品からなり、車体取付用フランジ12を有している。
図7の車輪用軸受装置は、駆動輪支持用のアンギュラ玉軸受型のものであって、図6の車輪用軸受装置と同じく、内方部材1が、ハブ14と、このハブ14の軸部14aの外周に嵌合した複列の内輪15とからなる。外方部材2は一つの一体の部品からなるものであって、図1の例の車体取付用フランジ12を有せず、全体に渡って円筒面状とされている。この例では、2個の内輪15は同じ大きさとされている。
図8の車輪用軸受装置は、内方部材1が、ハブ14と、このハブ14の軸部14aの外周に嵌合した複列の内輪15とからなる。内輪15は各列毎に設けられていて、インボード側の内輪15の方が、アウトボード側の内輪15よりも、厚さおよび軸方向寸法が大きいものとされている。内輪15は、ハブ14に設けられた加締部14bでハブ14に軸方向に固定されている。外方部材2は、一つの一体の部品からなり、外径面は全体に渡って円筒状面とされ、図1の例における車体取付用フランジ12は有していない。
なお、前記各実施形態で、熱間鍛造工程の最後で冷却することで得られるとしたものは通常の熱間鍛造品を加熱したものを冷却しても良い。
この発明の第1の実施形態に係る車輪用軸受装置を示す断面図である。 同車輪用軸受装置のハブの断面図である。 同車輪用軸受装置のハブの鍛造工程の工程説明図である。 同車輪用軸受装置のハブの鍛造後の工程の工程説明図である。 熱間鍛造された部品の各種非標準組織を得る冷却曲線の説明図である。 この発明の他の実施形態に係る車輪用軸受装置の断面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る車輪用軸受装置の断面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る車輪用軸受装置の断面図である。
符号の説明
1…内方部材
2…外方部材
3…転動体
6〜9…軌道面
14…ハブ
14a…軸部
15…内輪
17…車輪取付用フランジ
21…貫通孔
21…セレーション
30…非標準組織となる部分
41…等速ジョイント
42…継手外輪
42a…ステム部
43…ナット

Claims (4)

  1. 複列の転動体を介して互いに回転自在な内方部材および外方部材を有し、前記内方部材が、車輪取付用フランジを有するハブおよびこのハブの軸部の外周に嵌合した内輪からなり、前記ハブが中心部に、等速ジョイントの継手部材のステム部を挿通させる貫通孔を有し、この貫通孔の内径面に前記ステム部に設けられたセレーションまたはスプラインと噛み合うセレーションまたはスプラインを有する車輪用軸受装置において、
    前記ハブが鋼材の熱間鍛造品であってその母材部分が標準組織であり、前記ハブの前記貫通孔の内径面における前記セレーションまたはスプラインの形成部分が非標準組織の部分とされ、前記非標準組織が、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織であることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 請求項1において、前記非標準組織が、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却して自己復熱させるかまたは復熱保持焼戻しをすることで得られた組織である車輪用軸受装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記ハブおよび内輪に各列の軌道面を有するものである車輪用軸受装置。
  4. 請求項1または請求項2において、前記ハブが軌道面を有せず、前記内輪が複列の軌道面を有するものである車輪用軸受装置。
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