JP5019727B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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この発明は、乗用車用や貨物車用等の高強度化を図った車輪用軸受装置に関する。
車輪用軸受装置において、ハブの車輪取付用フランジの付け根部などは、車両の急旋回時に応力が大きくなる。そのため、破損対策として疲れ強さを向上させるために、上記フランジの付け根部などに、高周波熱処理を施す方法(例えば特許文献1)や、ショットピーニングを行う方法がある(例えば特許文献2)。また、疲労強度を上げるために、部品全体を調質し、硬度を高める方法も提案されている(例えば特許文献3)。
図16は、従来の第3世代型の車輪用軸受装置におけるハブの一般的な製造方法の例を示す。同図(A)に示すバー材W0を所定寸法に切断して、1個のハブの素材となるビレットW1を得る(同図(B))。ビレットW1は、熱間鍛造の工程として、複数の工程(鍛造1パス、鍛造2パス、鍛造3パス)を経て、次第にハブの形状に近づけ、最終鍛造工程でハブのおおまかな形状となる鍛造仕上がり品W4を得る(同図(C)〜(E))。
鍛造仕上がり品W4は、スケール落としのためのショットブラストを行い、必要に応じて焼準または調質を行い(同図(F))、その後、旋削(同図(G))、および軌道面等の高周波熱処理(同図(H))を行う。必要なものは、フランジ面等の二次旋削を行う(同図(I))。この後、研削を行ってハブ14を仕上げ、車輪用軸受装置として組み立てる。
特開2004−182127号公報 特開2005−145313号公報 特開2005−003061号公報
従来の疲れ強さ向上のための高周波熱処理は、処理を施す部分の部品形状によっては採用できない場合がある。例えば、車輪取付用フランジの付け根部の側面には、ブレーキやホイールを案内するパイロット部が突出していて、フランジとパイロット部間の隅の曲率半径が小さかったり、またパイロット部が切欠を介して円周方向に分散した爪状となっている場合等がある。このような形状の場合、高周波加熱によって部品の一部が局部的に高温になり過ぎて溶け落ちるなどの問題が生じるため、高周波熱処理が行えない。
また、高周波熱処理やショットピーニングなどでは、工程が増えたり、熱ひずみ等によってフランジの振れ精度劣化を生じることがある。
部品全体を調質して硬度アップをする方法の場合は、工程が増える上に、硬度アップにより全体の加工性(例えば、被削性や、加締め加工などの冷間加工性)が低下し、ハブボルトの食い込み性低下によるスリップトルクの低下等が生じることがある。
図16に示した従来方法では、ハブ14の全体の疲れ強さの向上のために、焼準または調質を行うが、これら焼準または調質の工程の増加のために、生産に手間が掛かるうえ、鍛造が完了して冷却された後に再度の加熱を行うことになるため、消費エネルギも多くなる。焼準や調質を省く場合もあるが、これらを省くと、組織の結晶粒が大きくて、強度、靱性が低下し、疲れ強さの弱いものとなる。
また、近年、燃費の向上、環境への負荷の低減のために、車輪用軸受装置においても、小型、軽量化が強く望まれており、疲れ強さ、寿命を維持しながら、小型、軽量化を図ることが必要となる。
この発明の目的は、高応力や繰り返し応力に対して、車輪取付用フランジの強度や疲れ強さを向上させることができ、かつ工程増による生産性の低下が抑えられる車輪用軸受装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、制動部品を取付ける部分の耐摩耗性の向上が図れ、かつ工程増による生産性の低下が抑えられる車輪用軸受装置を提供することである。
この発明の車輪用軸受装置は、複列の転動体を介して互いに回転自在な内方部材および外方部材を有し、これら内方部材または外方部材の全体または一部を構成する部品に、車輪取付用フランジを有する車輪用軸受装置において、前記車輪取付用フランジを有する部品が鋼材の熱間鍛造品であり、この部品は、母材部分がフェライト・パーライト組織である標準組織であって、車輪取付用フランジの根元部の表面と少なくとも車輪取付用フランジの車輪取付面とに非標準組織を有し、前記非標準組織が、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織であることを特徴とする。前記微細フェライト・パーライト組織はフェライト・パーライト組織の焼準によって得られる組織である。
前記非標準組織は、例えば、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却して自己復熱させるかまたは復熱保持焼戻しをすることで得られた組織である。
具体的には、前記微細フェライト・パーライト組織は、前記熱間鍛造工程の最後に、前記部品に冷媒を浴びせることで部分的に冷却することにより得られる。または、熱間鍛造工程が複数段階の鍛造工程からなる場合に、最終段階の鍛造工程の前に冷却を行い、その後に最終段階の鍛造工程を行うことで得られる。前記焼戻マルテンサイト組織は、熱間鍛造工程の最後に、前記部品を部分的に、マルテンサイト・スタート・ポイント以下まで冷却し、その後、復熱焼戻しを行うことで得られる。前記上部ベイナイト組織および下部ベイナイト組織は、熱間鍛造工程の最後に、所定の冷却速度に制御し、室温程度まで冷却することで得られる。下部ベイナイト組織は、上部ベイナイト組織の場合よりも冷却速度を遅くすることで得られる。
この構成の車輪用軸受装置によると、次の作用が得られる。上記微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織等の非標準組織の部分は、標準組織からなる母材部分に比べて組織が微細であり、また硬度が同等以上のものとなる。このような組織微細化や硬度アップにより、非標準組織の部分の疲れ強さが向上し、通常の標準組織のみからなる車輪取付用フランジに比べて、高い応力振幅に耐え、つまり高強度化され、長寿命化できる。そのため、通常の標準組織の車輪用軸受装置に比べて、小型化、および軽量化が図れる。したがって、車輪用軸受装置の製品製作の投入重量が削減されて、コストの削減が図れ、安価に提供することが可能となる。
また、車輪取付用フランジの車輪取付面には、通常、ブレーキディスクが重ねて取付けられるが、車輪取付用フランジの組織微細化や硬度アップにより、ブレーキディスクとのフレッティングによりフランジ面が摩耗して面精度が悪化することが抑えられる。そのため、ブレーキの使用感の悪化、例えばシャダーやキックバック等も抑えられる。
前記非標準組織の部分は、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却することで得られるため、簡易な処理の追加で済み、工程増による生産性の低下が抑えられる。また、熱間鍛造の熱を利用するため、組織の改質のための処理に用いるエネルギが削減できる。
前記非標準組織とする部分は、車輪取付用フランジを有する部品の全体の表面としても良いが、車輪取付用フランジの一部または全体という必要箇所のみとすると、被削性などの加工性の低下が最小限に抑えられる。
記車輪取付用フランジの根元部も、前記非標準組織の部分である。ここで言う根元部は、車輪取付用フランジの側面だけでなく、車輪取付用フランジの付近の部分を含む意味である。
自動車の旋回時等には、車輪取付用フランジに大きな振幅の撓みが繰り返し生じ、このフランジの根元部には高応力が繰り返し発生する。このような繰り返し発生する高応力に対して、車輪取付用フランジの根元部が前記の非標準組織であると、組織微細化や硬度アップによって強度や疲れ強さが向上し、車輪取付用フランジの根元部に亀裂が発生することが抑制される。つまり、亀裂発生→車輪取付用フランジの変位増加→車両の振動増加→車輪用軸受装置の損傷、という作用が抑えられ、長寿命化される。
前記車輪取付用フランジの根元部の表面と車輪取付用フランジの車輪取付面とに非標準組織を有し、かつ前記車輪取付用フランジの車輪取付面と反対側の側面も、前記非標準組織の部分であっても良い。車輪取付用フランジの車輪取付面と反対側の側面の場合、根元部は必ずしも非標準組織の部分としなくても良い。この場合も、繰り返し発生する高応力に対して、強度や疲れ強さが向上する。
前記車輪取付用フランジの根元部の表面と車輪取付用フランジの車輪取付面とに非標準組織を有し、かつ車輪取付用フランジの両側面または全面が前記非標準組織の部分であっても良い。
この発明における車輪用軸受装置は、車輪取付用フランジを有するものであれば良く、各種の形式のものに適用できる。例えば、前記内方部材が、ハブと、このハブの軸部の外周に嵌合した内輪とでなり、前記車輪取付用フランジを有する部品が前記ハブである車輪用軸受装置にも適用することができる。この場合のハブは、例えば複列軸受からなる軸受の完成品とは独立した部品のハブであっても良い。
この発明の前記各構成の車輪用軸受装置において、非標準組織の部分、および標準組織の部分の硬さは、適宜設定すれば良いが、例えば、非標準組織の硬さを20〜40HRCとし、母材部分の硬さを13〜25HRCとしても良い。
非標準組織の部分の硬さの下限は、硬度アップによる疲れ強さ向上のために、母材硬さの中央程度の値となる20HRC以上、できれば25HRC以上とすることが好ましい。非標準組織の部分の硬さの上限は、被削性確保のために40HRC以下であることが好ましい。
使用材料は炭素鋼(C量0.4〜0.8%)の場合であるが、S53Cの場合、標準部分の硬さは、13〜25HRCとなる。加締等の冷間加工を行う場合や、ハブボルトを圧入する部分等を考慮すると、最大で25HRCとすることが好ましい。
この発明の車輪用軸受装置は、車輪取付用フランジを有する部品が鋼材の熱間鍛造品であり、この部品は、母材部分がフェライト・パーライト組織である標準組織であって、車輪取付用フランジの根元部の表面と少なくとも車輪取付用フランジの車輪取付面とに非標準組織を有し、前記非標準組織を、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織とし、または前記非標準組織が、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却して自己復熱させるかまたは復熱保持焼戻しをすることで得られた組織としたため、高応力や繰り返し応力に対して、前記非標準組織の組織微細化や硬度アップにより、車輪取付用フランジの強度や疲れ強さを向上させることができ、かつ工程増による生産性の低下を抑えることができる。
また、車輪取付用フランジの組織微細化や硬度アップにより、ブレーキディスクとのフレッティングによりフランジ面が摩耗して面精度が悪化することが抑えられる。そのため、ブレーキの使用感の悪化、例えばシャダーやキックバック等も抑えられる。
この発明の基礎となる第1の提案例を図1ないし図5と共に説明する。図1は車輪用軸受装置の一例を示しており、この例は第3世代型の駆動輪支持用に適用するものである。この車輪用軸受装置は、複列の転動体3を介して互いに回転自在な内方部材1および外方部材2を有し、転動体3は各列毎に保持器4により保持されている。ここで言う複列とは、2列以上のことを言い、3列以上であっても良いが、図示の例では2列とされている。内方部材1および外方部材2は、それぞれ複列の軌道面6,7および軌道面8,9を有している。この車輪用軸受装置は、複列アンギュラ玉軸受型とされていて、転動体3はボールからなり、軌道面6,7は、接触角が外向きとなるように形成されている。内方部材1と外方部材2との間の軸受空間の両端は、シール10,11により密封されている。
外方部材2は、全体が一体の一つの部品からなり、幅方向の任意の位置に車体取付用フランジ12が設けられている。外方部材2の車体取付用フランジ12よりもインボード側の外径面部分は、車体の懸架装置となるナックル(図示せず)が嵌合する面となる。なお、この明細書で、車体に取付けた状態で車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車幅方向の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。車体取付用フランジ12の円周方向の複数箇所には、ボルト挿通孔またはねじ孔からなる車体取付孔13が設けられている。
内方部材1は、ハブ14と、このハブ14の軸部14aのインボード側端の外周に嵌合した内輪15との2つの部品で構成される。これらハブ14および内輪15に、内方部材1側の上記各軌道面6,7がそれぞれ形成されている。ハブ14の軸部14aの外周におけるインボード側端には、段差を持って小径となる内輪嵌合面16が設けられ、この内輪嵌合面16に内輪15が嵌合している。ハブ14の中心部には、等速ジョイントの外輪のステム部(図示せず)を挿通させる貫通孔21が設けられている。
ハブ14は、軸部14aのアウトボード側端の外周に車輪取付用フランジ17を有しており、この車輪取付用フランジ17の円周方向複数箇所に設けられた各ボルト圧入孔18に、ハブボルト19が圧入状態に取付けられている。
ハブ14の車輪取付用フランジ17の根元部からは、ハブ14と同心の円環状のパイロット部20が突出している。パイロット部20は、車輪取付用フランジ17のアウトボード側の側面に重ねて取付けられるブレーキディスクを案内する部分となるブレーキパイロット20aと、このブレーキパイロット20aよりもアウトボード側に突出するホイールパイロット20bとからなる。なお、パイロット部20は、円周方向複数箇所に切欠が設けられて複数個に分割されたものであっても良い。
なお、従動輪用の車輪用軸受装置では、図7に示すように、ハブ14は図1の例における貫通孔21を有しないものとされる。また、図7の例の従動輪用の車輪用軸受装置では、内輪15は、ハブ14の軸部14aのインボード側端を外径側へ加締めた加締部14bによって、ハブ14に対して軸方向に固定されている。
図1,図2,図7において、内方部材1を構成する部品であるハブ14、内輪15、および外方部材2は、いずれも鋼材の熱間鍛造品であり、このうち、ハブ14の車輪取付用フランジ17の根元部における表面が、非標準組織部分30とされている。ハブ14の母材部分は標準組織である。非標準組織部分30の非標準組織は、熱間鍛造工程の途中または最後に、冷媒を浴びせることで、ハブ14を局部的に冷却することなどで得た組織であり、例えば、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織とされる。
図3は、ハブ14の製造工程のうち、熱間鍛造工程を示し、図4はハブ14の熱間鍛造後の製造工程を示す。なお、図3,図4は、図7に示した従動輪用の車輪用軸受装置を例として示しているが、図1の駆動輪用の車輪用軸受装置においても、従動輪用の場合と同様である。
図3(A)に示すように、ハブ14の1個分の素材となるビレットW1が、バー材(図示せず)を定寸に切断することで準備される。このビレットW1は、熱間鍛造の工程として、複数の工程、ここでは鍛造1パス、鍛造2パス、鍛造3パスを経て、次第にハブの形状に近づけ、最終鍛造工程(鍛造3パス)で、ハブ14のおおまかな形状となる鍛造仕上がり品W4を得る(同図(B)〜(D))。
鍛造仕上がり品W4は、図4(A)のように旋削され、軌道面6および内輪嵌合面16が高周波熱処理される(同図(B))。この後、軌道面6などの研削が行われる(同図(D))。必要なものは、研削の前に車輪取付用フランジ17の表面等の二次旋削が行われる(同図(C))。軌道面の研削の完了したハブ14は、車輪用軸受装置に組み立てられる(同図(E))。
ハブ14の前記非標準組織の部分30は、図3(D)に示すように、鍛造工程の終了時に、改質対象箇所に冷媒を部分的に吹き付けることにより改質され、または図3(C)のように最終鍛造工程(鍛造3パス)の前の鍛造工程(鍛造2パス)の終了後に、改質対象箇所に冷媒を部分的に吹き付けることにより改質される。
冷媒は、液体、そのミストや気体、例えば、油、または低温エアー等が用いられる。また、冷媒には、用途に応じて、潤滑剤、メディア、防錆剤などを混入し、素材の潤滑・離型効果、金型の摩耗防止、冷却効果、鍛造後のショットブラスト等によるスケール落としの省略、防錆効果等を得るようにしても良い。
冷媒の吹き付け時は、全周に均一に冷却が行われるように、ハブ14となる素材W3,W4を、その軸心回りに回転させながら、冷媒を吹き付けても良い。また、素材W3,W4は回転させずに、冷媒吹付け装置(図示せず)を回転させても良い。
冷媒の吹き付けは、噴出し孔を多数開けたリング状の冷却ジャケット(図示せず)を使用しても良いし、またハブ14となる素材W3,W4を回転させるのであれば、1箇所のノズルから吹き付けるものであっても良い。
冷却時にハブ14となる素材W3,W4を回転させる場合は、縦軸,横軸のどちらでも良い。また、冷媒の噴出し方向も、回転縦軸のときに上向き,下向きのいずれとしても良く、回転横軸のときに横向きの他、いずれの方向としても良い。なお、図7の例のようなハブ14のパイロット部20の内径が貫通していない内径部分を冷却する場合は、冷媒が溜まらないように、上向きに噴出するのが良い。
冷却時のハブ14となる素材W3,W4の保持方法は、冷却部が均一に冷却されるのを阻害しなければ良く、軸部14aの保持、車輪取付用フランジ17の外径部の保持、パイロット部20の外径部の保持としても良い。ハブ14が、駆動輪用のように中心に貫通孔21を有するものである場合は、この貫通孔21をガイドとしてセンタリング保持するようにしても良い。
冷却により、非標準組織部分30の組織を、前記微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織にするかは、図5と共に示すように、冷却方法によって選択することができる。
図5において、横軸は時間の経過を、縦軸は温度を示す。図中のA3 は、A3 変態点となる温度、A1 はA1 変態点となる温度である。Ms はマルテンサイト・スタート・ポイント(以下「Ms 点」と称す)であり、Mf はマルテンサイト・フィニッシュ・ポイント(以下「Mf 点」と称す)である。
素材となる鋼材は、例えばS53C等のC量が0.4〜0.8%の炭素鋼である。
図5において、曲線(0) に示すように、部品を鍛造温度T1(A3 変態点よりも高い)から単に空冷すると、従来の鍛造による組織である標準組織、すなわちフェライト・パーライト組織となる。
曲線(1) は、非標準組織として微細フェライト・パーライト組織を得る場合の冷却曲線である。熱間鍛造工程の最後、つまり熱間鍛造を終えて冷却されるまでの間に、図3(D)のように冷媒を浴びせることで改質対象の部品(素材)を部分的に冷却し、冷却時間を制限して、冷却後に自己復熱させることにより、前記非標準組織として微細フェライト・パーライト組織が得られる。微細フェライト・パーライト組織は、焼準によって得られる組織、つまり焼準組織である。
曲線(2) は、非標準組織として微細フェライト・パーライト組織を得る場合の別の冷却曲線を示す。この場合、図3のように熱間鍛造工程が複数段階の鍛造工程からなるときに、最終段階の鍛造工程(図3(D))の前(図3(C))に、部品(素材W3)の一部または全体の冷却を行い、その後に最終段階の鍛造工程(図3(D))を行う。最終鍛造工程は、前記冷却の後の自己復熱の途中などで行われる。これにより、冷却後に鍛造工程の一つが加わることで、動的な歪みが与えられ、微細フェライト・パーライト組織が得られる。
曲線(3) ,(4) は、それぞれ非標準組織として、調質組織である焼戻マルテンサイト組織を得る場合の冷却曲線を示す。熱間鍛造工程の最後に部品を部分的にMs 点以下でMf 点以上の範囲まで冷却し、その後、所定温度範囲内で復熱焼戻しを行うことで、非標準組織として調質組織、すなわち焼戻マルテンサイト組織が得られる。復熱焼戻しの温度を約500〜600℃程度とすると、組織はソルバイトとなる。復熱焼戻しの温度を約350〜400℃程度とすると、組織はトルースタイトとなる。
曲線(5) ,(6) は、それぞれ非標準組織として上部ベイナイトおよび下部ベイナイトを得る場合の冷却曲線を示す。熱間鍛造工程の最後に、制御冷却として、焼入れの冷却速度(マルテンサイトが生成する冷却速度)よりややゆっくり冷却することで、組織は上部ベイナイトとなる。この冷却速度よりもさらにゆっくりとした冷却速度の焼入れを行うと、組織は下部ベイナイトとなる。
なお、図5では各種の冷却方法を述べたが、図1の例における車輪取付用フランジ17の根元部等のように局部的に非標準組織の部分30を設ける場合は、図5の各曲線(1) 〜(6) で示す冷却方法のうち、曲線(1) 〜(4) に示す方法が好ましい。部品の全体の表面を非標準組織の部分30とする場合は、冷却曲線(5) , (6) に示す方法であってもよい。
この構成の車輪用軸受装置によると、次の作用効果が得られる。車輪取付用フランジ17の根元部の表面部分30を非標準組織とし、その非標準組織を、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織としたため、車輪取付用フランジ17の根元部の強度が向上し、長寿命化が得られる。すなわち、自動車の旋回時等には、車輪取付用フランジ17に大きな振幅の撓みが繰り返し生じ、このフランジ17の根元部には高応力が繰り返し発生する。このような繰り返し発生する高応力に対して、車輪取付用フランジ17の根元部の表面部分30が前記の非標準組織であると、標準組織からなる母材部分に比べて組織が微細であり、また硬度が同等以上のものとなり、これらの組織微細化や硬度アップによって疲れ強さが向上する。そのため、通常の標準組織のみからなる車輪取付用フランジに比べて、高強度化されて、高い応力振幅に耐え、車輪取付用フランジ17の根元部に亀裂が発生することが抑制され、長寿命化できる。つまり、亀裂発生→車輪取付用フランジ17の変位増加→車両の振動増加→車輪用軸受装置の損傷、という作用が抑えられ、長寿命化される。
そのため、通常の標準組織の車輪用軸受装置に比べて、小型化、および軽量化が図れ、したがって、車輪用軸受装置の製品製作の投入重量が削減されて、コストの削減が図れ、安価に提供することが可能となる。
前記非標準組織の部分30は、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却することで得られるため、簡易な処理の追加で済み、工程増による生産性の低下が抑えられる。例えば焼準や調質を行う場合に比べて、工程が簡略化できる。また、熱間鍛造の熱を利用するため、組織の改質のための処理に用いるエネルギが削減できる。高周波熱処理と異なり、車輪取付用フランジ17とパイロット部20との隅の曲率半径が小さな箇所であっても、過熱による溶け落ち等の問題を生じることなく、改質の処理が行える。
前記非標準組織とする部分30は、車輪取付用フランジ17の一部であるため、被削性などの加工性の低下が最小限に抑えられる。
図6は、この発明の一実施形態を示す。この実施形態は、図1ないし図5と共に説明した第1の提案例において、非標準組織とする部分30を増やしたものである。この実施形態では、ハブ14の車輪取付用フランジ17の両側面の全体と、この車輪取付用フランジ17のアウトボード側の側面からその根元部におけるブレーキパイロット20aの外周面に渡る範囲を、非標準組織の部分30としている。
また、外方部材2における車体取付用フランジ12の車体取付側の側面とは反対側の側面であるアウトボード側の側面の全体と、車体取付用フランジ12よりもアウトボード側における外方部材2の外径面の全体とに渡る範囲を、非標準組織の部分30としている。さらに、車体取付用フランジ12の車体取付側の側面であるインボード側の側面における根元部の表面を、非標準組織の部分30としている。
これらの非標準組織の部分30は、ハブ14の場合と同様に、熱間鍛造工程の途中または最後に部分的に冷媒を浴びせて冷却することで、前記非標準組織を得た部分である。非標準組織は、第1の提案例で挙げた各例と同じである。その他の構成は第1の提案例と同じである。
この構成の場合、車輪取付用フランジ17の両側面の全体を非標準組織の部分30としたため、車輪取付用フランジ17の全体が高強度化され、より一層長寿命化される。また、車輪取付用フランジ17の車輪取付面となるアウトボード側の側面には、ブレーキディスク(図示せず)が重ねて取付けられるが、車輪取付用フランジ17の表面の組織微細化や硬度アップにより、ブレーキディスクとのフレッティングによりフランジ面が摩耗して面精度が悪化することが抑えられる。そのため、ブレーキの使用感の悪化、例えばシャダーやキックバック等も抑えられる。
外方部材2の車体取付用フランジ12においても、自動車の旋回時等には大きな振幅の撓みが繰り返し生じ、このフランジ12の根元部には高応力が繰り返し発生する。しかし、この実施形態では、車体取付用フランジ12の根元部やアウトボード側の側面の全体に非標準組織の部分30を設けているため、その組織微細化や硬度アップにより、非標準組織の部分30の強度や疲れ強さが向上し、高い応力振幅に耐え、長寿命化できる。そのため、車輪用軸受装置のより一層の小型,軽量化が図れ、製品製作の投入重量が削減されて、コストの削減が図れる。
なお、この実施形態において、各部の非標準組織の部分30は、いずれか一つ、または任意の組み合わせとなる複数の部分30を選択的に設けても良い。
7(A)は他の実施形態に係り、従動輪支持用としたものである。この実施形態では、前述したように、ハブ14が、図1の提案例における貫通孔21を有しないものとされる。また、内輪15は、ハブ14の軸部14aのインボード側端を外径側へ加締めた加締部14bによって、ハブ14に対して軸方向に固定されている。
図7の実施形態において、非標準組織の部分30は、同図(B)の提案例に示すように、車輪取付用フランジ17の根元部の表面だけとしても良い。また、同図(A)のように、図6の例と同じく、車輪取付用フランジ17の両側の側面の全面や、外方部材2における図6の例と同様の各部に非標準組織となる部分30を設けても良い。
非標準組織の部分30を設けたことによる効果は、図1の例と同じである。また、図7の例のような加締部14bを有する車輪用軸受装置の場合、ハブ14の熱間鍛造工程の途中または最後に、冷媒を浴びせることでハブ14の一部を冷却して非標準組織の部分30を得るようにすると、加締部14bが硬化されず、加締作業の障害とならない。
図8ないし図15は、それぞれこの発明の他の実施形態または提案例を示す。各図において、(A),(B)はそれぞれ非標準組織の部分30を設ける箇所が異なる例を示いずれも(A)は実施形態を、(B)は提案例を示す。これらの各実施形態または提案例においても、非標準組織の部分30を設けることで、その組織微細化や硬度アップにより、強度や疲れ強さが向上し、長寿命化できる、あるいは硬度アップによりフレッティング摩耗等が軽減されるという効果が得られる。
なお、これらの各実施形態または提案例において、特に説明した事項の他は、図1ないし図5と共に説明した第1の提案例と同じである。また、これらの各実施形態または提案例において、非標準組織とした部分30が複数箇所にある場合、各部の非標準組織の部分30は、いずれか一つ、または任意の組み合わせとなる複数の部分30を選択的に設けても良い。
図8の車輪用軸受装置は、駆動輪支持用の円すいころ軸受型のものであって、内方部材1が、ハブ14と、このハブ14の軸部14aの外周に嵌合した複列の内輪15とからなる。内輪15は各列毎に設けられている。外方部材2は、一つの1体の部品からなる。
同図(B)は、ハブ14の車輪取付用フランジ17の根元部を非標準組織の部分30とした例である。同図(A)は、図6の例と同じく、車輪取付用フランジ17の両側面、外方部材2における車体取付用フランジ12の反車体取付側の側面であるアウトボード側の側面から外径面に渡る部分、および車体取付用フランジ12のインボード側の側面における根元部に、非標準組織の部分30が設けてある。
図9は、図8の例の車輪用軸受装置を従動輪支持用としたものであり、ハブ14は中央の貫通孔21を有しないものとされている。また、内輪15は、ハブ14の加締部14bによってハブ14に固定されている。その他の構成は、図8の例と同じである。
図10の車輪用軸受装置は、駆動輪支持用のアンギュラ玉軸受型のものであって、内方部材1が、ハブ14と、このハブ14の軸部14aの外周に嵌合した複列の内輪15とからなる。内輪15は各列毎に設けられていて、インボード側の内輪15の方が、アウトボード側の内輪15よりも、厚さおよび軸方向寸法が大きいものでも良い。また、内輪15は、ハブ14に設けられた加締部14bでハブ14に軸方向に固定されている。外方部材2は、一つの一体の部品からなり、外径面は全体に渡って円筒状面とされ、図1の例における車体取付用フランジ12は有していない。
同図(B)は、ハブ14の車輪取付用フランジ17の根元部を非標準組織の部分30とした例である。同図(A)は、車輪取付用フランジ17の両側面と、外方部材2における外径面を、非標準組織の部分30としている。
同図(A)のように、外方部材2における外径面を、非標準組織の部分30とした場合は、外方部材2を固定するナックル(図示せず)と外方部材2との嵌合面におけるフレッティング摩耗が、外径面の非標準組織の部分30の硬度が高いことによって抑えられる。
図11は、図10の例の車輪用軸受装置を従動輪支持用としたものであり、ハブ14は中央の貫通孔21を有しないものとされている。その他の構成は図8の例と同じである。
図12の車輪用軸受装置は、図10の車輪用軸受装置と同じく、内方部材1が、ハブ14と、このハブ14の軸部14aの外周に嵌合した複列の内輪15とからなる。外方部材2は一つの一体の部品からなるものであって、車体取付用フランジ12を有しないものとされている。この例では、2個の内輪15は同じ大きさとされ、内輪15のハブ14に対する軸方向の固定は、加締によらずに、ハブ14に結合される等速ジョイント(図示せず)で行われる。非標準組織とする部分30は、図10の例と同じである。
図13の車輪用軸受装置は、第2世代型の内輪回転タイプのものであり、外方部材2が車体取付用フランジ12を有するものとされ、内方部材1は、複列の内輪15と、この内輪15を軸部の外周に嵌合させるハブ(図示せず)とでなる。ハブは、図12の例と同様に車輪取付用フランジを有するものである。
同図(A)の例では、外方部材2の車体取付用フランジ12の両側面から外径面に渡って非標準組織の部分30が設けられている。
同図(B)の例では、車体取付用フランジ12の根元部に非標準組織の部分30が設けられている。
なお、内輪15を嵌合させるハブ(図示せず)は、図12等の例と同じく、車輪取付用フランジ17の根元部、または両側面に非標準組織の部分30を設けても良い。
図14の車輪用軸受装置は、第4世代型のものであり、内方部材1が、ハブ14と、等速ジョイント31の一方の継手部材である継手外輪32とで構成され、ハブ14および継手外輪32に各列の軌道面6,7が形成されている。外方部材2は一つの部品からなり、車体取付用フランジ12を有している。
同図(B)は、ハブ14の車輪取付用フランジ17の根元部を非標準組織の部分30とした例である。同図(A)は、車輪取付用フランジ17の両側面と、外方部材2における車体取付用フランジ12の両側面から外径面に渡って非標準組織の部分30とした例である。
図15の車輪用軸受装置は、第2世代型の外輪回転タイプのものであり、内方部材1は複列の内輪15からなる。外方部材2は、車輪取付用フランジ17およびパイロット部20を有している。
同図(B)は、外方部材2の車輪取付用フランジ17の根元部を非標準組織の部分30とした例である。同図(A)は、車輪取付用フランジ17の両側面と、外方部材2における外径面を、非標準組織の部分30とした例である。
なお、前記各実施形態および各提案例は、いずれも内方部材1または外方部材2を構成する部品の表面に部分的に非標準組織の部分30を設けるようにしたが、これら内方部材1または外方部材2を構成する部品、例えばハブ14や、外方部材2等の表面の全体を非標準組織の部分30としても良い。
なお、前記各実施形態および各提案例で、熱間鍛造工程の最後を冷却することで得られるとしたものは通常の熱間鍛造品を加熱したものを冷却しても良い。
1の提案例に係る車輪用軸受装置を示す断面図である。 同車輪用軸受装置のハブの断面図である。 同車輪用軸受装置のハブの鍛造工程の工程説明図である。 同車輪用軸受装置のハブの鍛造後の工程の工程説明図である。 熱間鍛造された部品の各種非標準組織を得る冷却曲線の説明図である。 この発明の一実施形態に係る車輪用軸受装置の部分断面図である。 (A)はこの発明の他の実施形態に係る車輪用軸受装置の断面図、(B)は その変形例となる提案例の部分断面図である。 (A)はこの発明のさらに他の実施形態に係る車輪用軸受装置の断面図、 B)はその変形例となる提案例の部分断面図である。 (A)はこの発明のさらに他の実施形態に係る車輪用軸受装置の断面図、 B)はその変形例となる提案例の部分断面図である。 (A)はこの発明のさらに他の実施形態に係る車輪用軸受装置の断面図、(B)はその変形例となる提案例の部分断面図である。 (A)はこの発明のさらに他の実施形態に係る車輪用軸受装置の断面図、(B)はその変形例となる提案例の部分断面図である。 (A)はこの発明のさらに他の実施形態に係る車輪用軸受装置の断面図、(B)はその変形例となる提案例の部分断面図である。 (A)はこの発明のさらに他の実施形態に係る車輪用軸受装置の断面図、(B)はその変形例となる提案例の変形例の断面図である。 (A)はこの発明のさらに他の実施形態に係る車輪用軸受装置の断面図、(B)はその変形例となる提案例の部分断面図である。 (A)はこの発明のさらに他の実施形態に係る車輪用軸受装置の断面図、(B)はその変形例となる提案例の断面図である。 従来の車輪用軸受装置のハブの鍛造工程およびその後の工程を示す工程説明図である。
符号の説明
1…内方部材
2…外方部材(部品)
3…転動体
6〜9…軌道面
12…車体取付用フランジ
14…ハブ(部品)
14a…軸部
14b…加締部
15…内輪(部品)
17…車輪取付用フランジ
20…パイロット部
30…非標準組織となる部分
31…等速ジョイント
32…継手外輪(部品)

Claims (6)

  1. 複列の転動体を介して互いに回転自在な内方部材および外方部材を有し、これら内方部材または外方部材の全体または一部を構成する部品に、車輪取付用フランジを有する車輪用軸受装置において、前記車輪取付用フランジを有する部品が鋼材の熱間鍛造品であり、この部品は、母材部分がフェライト・パーライト組織である標準組織であって、車輪取付用フランジの根元部の表面と少なくとも車輪取付用フランジの車輪取付面とに非標準組織を有し、前記非標準組織が、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織であり、前記微細フェライト・パーライト組織はフェライト・パーライト組織の焼準によって得られる組織であることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 複列の転動体を介して互いに回転自在な内方部材および外方部材を有し、これら内方部材または外方部材の全体または一部を構成する部品に、車輪取付用フランジを有する車輪用軸受装置において、前記車輪取付用フランジを有する部品が鋼材の熱間鍛造品であり、この部品は、母材部分がフェライト・パーライト組織である標準組織であって、車輪取付用フランジの根元部の表面と少なくとも車輪取付用フランジの車輪取付面とに非標準組織を有し、前記非標準組織が、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却して自己復熱させるかまたは復熱保持焼戻しをすることで得られた組織であって、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織であり、前記微細フェライト・パーライト組織はフェライト・パーライト組織の焼準によって得られる組織である車輪用軸受装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記車輪取付用フランジの根元部の表面と車輪取付用フランジの車輪取付面とに非標準組織を有し、かつ前記車輪取付用フランジの車輪取付面の反対側の側面が前記非標準組織の部分である車輪用軸受装置。
  4. 請求項1または請求項2において、前記車輪取付用フランジの根元部の表面と車輪取付用フランジの車輪取付面とに非標準組織を有し、かつ前記車輪取付用フランジの両側面または全面が前記非標準組織の部分である車輪用軸受装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記内方部材が、ハブと、このハブの軸部の外周に嵌合した内輪とでなり、前記車輪取付用フランジを有する部品が前記ハブである車輪用軸受装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記非標準組織の部分の硬さが20〜40HRCであり、母材部分の硬さが13〜25HRCである車輪用軸受装置。
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