JP5105727B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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この発明は、乗用車用や貨物車用等の回転検知の高精度化を図った車輪用軸受装置に関する。
車輪用軸受装置には、摩耗やクリープの発生の抑制が必要な部位がある。
外輪回転タイプの車輪用軸受装置の場合、回転検出用のパルサーリングの嵌合部は外輪の生材の部分とされているが、自動車の旋回時などは荷重がかかることで外輪が楕円状に変形し、パルサーリングが外輪に対して僅かにクリープを生じることがある。これが繰り返されると嵌合部が摩耗して締代が低下し、パルサーリングの軸方向への移動、磁気的検出のエアギャップの変化による検出不良、センサへの接触等が起こることがある。
内輪回転タイプの車輪用軸受装置において、センサを固定するために外輪にセンサキャップを嵌合しているものがあるが、これも上記と同様に、嵌合部の摩耗による締代低下が生じ、センサキャップの軸方向への移動・エアギャップ変化による検出不良、センサへの接触等が起こることがある。
そのため、外輪の嵌合面の強化を図ることを試みた。従来、パルサーリングやセンサキャップの嵌合部の硬化対策ではないが、車輪用軸受装置の構成部品の疲労強度を上げるために、部品全体を調質し、硬度を高める方法も提案されている(例えば特許文献1)。また、高周波熱処理を施す方法(例えば特許文献2)や、ショットピーニングを行う方法が提案されている(例えば特許文献3)。
特開2005−003061号公報 特開2004−182127号公報 特開2005−145313号公報
しかし、部品全体を調質する方法では、工程が増え、また硬度アップにより全体の加工性、例えば、被削性が低下したり、ハブボルトの食い込み性低下によるスリップトルクの低下等が生じることがある。高周波熱処理やショットピーニング等では工程が増えるという課題がある。
この発明の目的は、回転検出用の被検出部または検出部が設けられたパルサリングやセンサキャップ等の支持用部品を嵌合させた軸受構成部材につき、疲れ強さや硬度の向上により、自動車の旋回時等の高応力が繰り返し作用し変形する場合でも、クリープの発生による摩耗を抑制することができて、異常検出が抑制できる車輪用軸受装置を提供することである。
この発明の車輪用軸受装置は、複列の転動体を介して互いに回転自在な内方部材および外方部材を有し、前記外方部材の周面に、回転検出用の被検出部または検出部が設けられた支持用部品を嵌合させる車輪用軸受装置において、前記支持用部品を嵌合させる外方部材が鋼材の熱間鍛造品であってその母材部分がフェライト・パーライト組織である標準組織であり、前記外方部材の前記支持用部品を嵌合させる面が非標準組織の部分とされ、前記非標準組織が、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織であり、前記微細フェライト・パーライト組織はフェライト・パーライト組織の焼準によって得られる組織であることを特徴とする。
この車輪用軸受装置は、外輪回転型であっても、内輪回転型であっても良い。例えば、外輪回転型の場合、前記外方部材が、アウトボード側部に車輪取付用フランジを有しており、前記支持用部品がパルサーリングであっても良い。この場合、前記支持用部品を嵌合させる面は、前記外方部材のインボード側端の外周面である。
内輪回転型の場合、前記内方部材が回転側部材であり、前記支持用部品を嵌合させる部材が外方部材であり、前記支持用部品が、前記外方部材の端部の周面に嵌合するセンサキャップであっても良い。
前記非標準組織は、例えば、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却して自己復熱させるかまたは復熱保持焼戻しをすることで得られた組織である。
具体的には、前記微細フェライト・パーライト組織は、前記熱間鍛造工程の最後に、前記部品に冷媒を浴びせることで部分的に冷却することにより得られる。または、熱間鍛造工程が複数段階の鍛造工程からなる場合に、最終段階の鍛造工程の前に冷却を行い、その後に最終段階の鍛造工程を行うことで得られる。前記焼戻マルテンサイト組織は、熱間鍛造工程の最後に、前記部品を部分的に、マルテンサイト・スタート・ポイント以下まで冷却し、その後、復熱焼戻しを行うことで得られる。前記上部ベイナイト組織および下部ベイナイト組織は、熱間鍛造工程の最後に、所定の冷却速度に制御し、室温程度まで冷却することで得られる。下部ベイナイト組織は、上部ベイナイト組織の場合よりも冷却速度を遅くすることで得られる。
この構成の車輪用軸受装置によると、次の作用が得られる。上記微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織の非標準組織の部分は、標準組織からなる母材部分に比べて組織が微細であり、また硬度が同等以上のものとなる。このような組織微細化や硬度アップにより、非標準組織の部分の疲れ強さが向上し、自動車の旋回時等の高応力が繰り返し発生し変形する場合でも、パルサーリングやセンサキャップ等の支持用部品を嵌合させた部材がクリープにより摩耗することが抑えられる。つまり、摩耗発生→締代低下→さらにクリープ発生→支持用部品の移動→検出部の異常検出という過程を生じることが抑えられる。
前記非標準組織の部分は、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却することで得られるため、高周波熱処理、調質、ショットピーニング等に比べて簡易な処理の追加で済み、工程増による生産性の低下が抑えられる。また、熱間鍛造の熱を利用するため、組織の改質のための処理に用いるエネルギが削減できる。
前記非標準組織とする部分は、支持用部品を嵌合させる部材の全体の表面としても良いが、支持用部品を嵌合させる面という必要箇所のみとすると、被削性などの加工性の低下が最小限に抑えられる。
この発明の前記各構成の車輪用軸受装置において、非標準組織の部分、および標準組織の部分の硬さは、適宜設定すれば良いが、例えば、非標準組織の硬さを20〜40HRCとし、母材部分の硬さを13〜25HRCとしても良い。
非標準組織の部分の硬さの下限は、硬度アップによる疲れ強さ向上のために、母材硬さの中央程度の値となる20HRC以上、できれば25HRC以上とすることが好ましい。非標準組織の部分の硬さの上限は、被削性確保のために40HRC以下であることが好ましい。
使用材料は炭素鋼(C量0.4〜0.8%)であるが、S53Cの場合、標準部分の硬さは、13〜25HRCとなる。ボルトを圧入する部分等を考慮すると、最大で25HRCとすることが好ましい。
なお、前記各構成の車輪用軸受装置において、熱間鍛造工程の最後に冷却することで得られる組織としたものは、通常の熱間鍛造品を再加熱したものを冷却しても良い。
この発明の車輪用軸受装置は、複列の転動体を介して互いに回転自在な内方部材および外方部材を有し、前記外方部材の周面に、回転検出用の被検出部または検出部が設けられたパルサリングやセンサキャップ等の支持用部品を嵌合させる車輪用軸受装置において、前記支持用部品を嵌合させる外方部材が鋼材の熱間鍛造品であってその母材部分がフェライト・パーライト組織である標準組織であり、前記外方部材の前記支持用部品を嵌合させる面が非標準組織の部分とされ、前記非標準組織が、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織であり、前記微細フェライト・パーライト組織はフェライト・パーライト組織の焼準によって得られる組織であるため、パルサリングやセンサキャップ等の支持用部品を嵌合させた軸受構成部材につき、疲れ強さや硬度の向上により、自動車の旋回時等の高応力が繰り返し発生し変形する場合でも、クリープの発生による摩耗を抑制することができて、異常検出が抑制できる。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図4と共に説明する。図1は車輪用軸受装置の一例を示しており、この例は第2世代型の外輪回転タイプのものである。この車輪用軸受装置は、複列の転動体3を介して互いに回転自在な内方部材1、および外方部材2を有し、転動体3は各列毎に保持器4により保持されている。ここで言う複列とは、2列以上のことを言い、3列以上であっても良いが、図示の例では2列とされている。内方部材1および外方部材2は、それぞれ複列の軌道面6,7および軌道面8,9を有している。この車輪用軸受装置は、複列アンギュラ玉軸受型とされていて、転動体3はボールからなり、軌道面6,7は、接触角が外向きとなるように形成されている。内方部材1と外方部材2との間の軸受空間の両端は、シール10,11により密封されていてもよい。内方部材1は、2個の内輪15を並設したものである。
なお、この明細書で、車体に取付けた状態で車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車幅方向の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
外方部材2は、アウトボード側端の外周に車輪取付用フランジ17を有しており、この車輪取付用フランジ17の円周方向複数箇所に設けられた各ボルト圧入孔18に、ハブボルト19が圧入状態に取付けられている。
外方部材2の車輪取付用フランジ17の根元部からは、外方部材2と同心の円環状のパイロット部20が突出している。パイロット部20は、車輪取付用フランジ17のアウトボード側の側面に重ねて取付けられるブレーキディスクを案内する部分となるブレーキパイロット20aと、このブレーキパイロット20aよりもアウトボード側に突出するホイールパイロット20bとからなる。
外方部材2の筒部2aのインボード側端の外周に、被検出部41bの支持用部品であるパルサーリング41が圧入状態に嵌合させられる。パルサーリング41は、リング状の芯金41aの外周に、円周方向に交互に磁極が形成されたゴム磁石,プラスチック磁石等の多極磁石からなる被検出部41bを設けたもの等である。芯金41aは断面L字状に形成され、外方部材2の筒部2aのインボード側の端面に当接している。パルサーリング41の外周と対向して、磁気センサ等の検出部42が、自動車の懸架装置(図示せず)等に設けられる。パルサーリング41と検出部42とで、外方部材2の回転速度を検出する回転検出器43が構成される。外方部材2は、熱間鍛造品であり、パルサーリング41を嵌合させる外周面部分が非標準組織の部分30とされている。外方部材2の母材部分は標準組織である。
非標準組織部分30の非標準組織は、熱間鍛造工程の途中または最後に、冷媒を浴びせることで、外方部材2を局部的に冷却することなどで得た組織であり、例えば、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織とされる。
図3は、外方部材2の製造工程のうち、熱間鍛造工程を示す。
図3(A)に示すように、外方部材2の1個分の素材となるビレットW1が、バー材あるいはパイプ材(図示せず)を定寸に切断することで準備される。このビレットW1は、熱間鍛造の工程として、複数の工程、ここでは鍛造1パス、鍛造2パス、鍛造3パスを経て、次第に外方部材の形状に近づけ、最終鍛造工程(鍛造3パス)で、外方部材2のおおまかな形状となる鍛造仕上がり品の素材W4を得る(同図(B)〜(D))。
鍛造仕上がりの素材W4は、旋削の後、軌道面8,9が高周波熱処理され、この後、軌道面8,9などの研削が行われる(図示せず)。必要なものは、研削の前に車輪取付用フランジ17の表面等の二次旋削が行われる。軌道面の研削の完了した外方部材2は、車輪用軸受装置に組み立てられる。
外方部材2の前記非標準組織の部分30は、図3(D)に示すように、鍛造工程の終了時に、改質対象箇所に冷媒を部分的に吹き付けることにより改質され、または図3(C)のように最終鍛造工程(鍛造3パス)の前の鍛造工程(鍛造2パス)の終了後に、改質対象箇所に冷媒を部分的に吹き付けることにより改質される。
冷媒は、液体、そのミストや気体、例えば、油、または低温エアー等が用いられる。また、冷媒には、用途に応じて、潤滑剤、メディア、防錆剤などを混入し、素材の潤滑・離型効果、金型の摩耗防止、冷却効果、鍛造後のショットブラスト等によるスケール落としの省略、防錆効果等を得るようにしても良い。
冷媒の吹き付け時は、全周に均一に冷却が行われるように、外方部材2となる素材W3,W4を、その軸心回りに回転させながら、冷媒を吹き付けても良い。また、素材W3,W4は回転させずに、冷媒吹付け装置(図示せず)を回転させても良い。
冷媒の吹き付けは、噴出し孔を多数開けたノズル(図示せず)を使用しても良いし、また外方部材2となる素材W3,W4を回転させるのであれば、1箇所の噴出し孔を持つノズルから吹き付けるものであっても良い。
冷却時に外方部材2となる素材W3,W4を回転させる場合は、縦軸,横軸のどちらでも良い。また、冷媒の噴出し方向も、回転縦軸のときに上向き,下向きのいずれとしても良く、回転横軸のときに横向きの他、いずれの方向としても良い。冷媒凹部にが溜まらないようにするためには、上向きに噴出するのが良い。
冷却時の外方部材2となる素材W3,W4の保持方法は、冷却部が均一に冷却されるのを阻害しなければ良く、筒部2aの保持、車輪取付用フランジ17の外径部の保持、パイロット部20の外径部の保持としても良い。内径孔をガイドとしてセンタリング保持するようにしても良い。
冷却により、非標準組織部分30の組織を、前記微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織にするかは、図4と共に示すように、冷却方法によって選択することができる。
図4において、横軸は時間の経過を、縦軸は温度を示す。図中のA3 は、A3 変態点となる温度、A1 はA1 変態点となる温度である。Ms はマルテンサイト・スタート・ポイント(以下「Ms 点」と称す)であり、Mf はマルテンサイト・フィニッシュ・ポイント(以下「Mf 点」と称す)である。
素材となる鋼材は、例えばS53C等のC量が0.4〜0.8%の炭素鋼である。
図4において、曲線(0) に示すように、部品を鍛造温度T1(A3 変態点よりも高い)から単に空冷すると、従来の鍛造による組織である標準組織、すなわちフェライト・パーライト組織となる。
曲線(1) は、非標準組織として微細フェライト・パーライト組織を得る場合の冷却曲線である。熱間鍛造工程の最後、つまり熱間鍛造を終えて冷却されるまでの間に、図3(D)のように冷媒を浴びせることで改質対象の部品(素材)を部分的に冷却し、冷却時間を制御して、冷却後に自己復熱させることにより、前記非標準組織として微細フェライト・パーライト組織が得られる。微細フェライト・パーライト組織は、焼準によって得られる組織、つまり焼準組織である。
曲線(2) は、非標準組織として微細フェライト・パーライト組織を得る場合の別の冷却曲線を示す。この場合、図3のように熱間鍛造工程が複数段階の鍛造工程からなるときに、最終段階の鍛造工程(図3(D))の前(図3(C))に、部品(素材W3)の一部または全体の冷却を行い、その後に最終段階の鍛造工程(図3(D))を行う。最終鍛造工程は、前記冷却の後の自己復熱の途中などで行われる。これにより、冷却後に鍛造工程の一つが加わることで、動的な歪みが与えられ、微細フェライト・パーライト組織が得られる。
曲線(3) ,(4) は、それぞれ非標準組織として、調質組織である焼戻マルテンサイト組織を得る場合の冷却曲線を示す。熱間鍛造工程の最後に部品を部分的にMs 点以下でMf 点以上の範囲まで冷却し、その後、所定温度範囲内で復熱焼戻しを行うことで、非標準組織として調質組織、すなわち焼戻マルテンサイト組織が得られる。復熱焼戻しの温度を約500〜600℃程度とすると、組織はソルバイトとなる。復熱焼戻しの温度を約350〜400℃程度とすると、組織はトルースタイトとなる。
曲線(5) ,(6) は、それぞれ非標準組織として上部ベイナイトおよび下部ベイナイトを得る場合の冷却曲線を示す。熱間鍛造工程の最後に、制御冷却として、焼入れの冷却速度(マルテンサイトが生成する冷却速度)よりややゆっくり冷却することで、組織は上部ベイナイトとなる。この冷却速度よりもさらにゆっくりとした冷却速度の焼入れを行うと、組織は下部ベイナイトとなる。
なお、図4では各種の冷却方法を述べたが、図1の例における外方部材2の端部のように、局部的に非標準組織の部分30を設ける場合は、図4の各曲線(1) 〜(6) で示す冷却方法のうち、曲線(1) 〜(4) に示す方法が好ましい。部品の全体の表面を非標準組織の部分30とする場合は、冷却曲線(5) , (6) に示す方法であってもよい。
この構成の車輪用軸受装置によると、次の作用が得られる。上記微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織の非標準組織の部分30は、標準組織からなる母材部分に比べて組織が微細であり、また硬度が同等以上のものとなる。このような組織微細化や硬度アップにより、非標準組織の部分30の疲れ強さが向上し、自動車の旋回時等の高応力が繰り返し発生し変形する場合でも、パルサーリング41を嵌合させた部材がクリープにより摩耗することが抑えられる。つまり、摩耗発生→締代低下→さらにクリープ発生→パルサーリング41の移動→検出部42の異常検出という過程を生じることが抑えられる。
前記非標準組織の部分30は、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却することで得られるため、高周波熱処理、調質、ショットピーニング等に比べて簡易な処理の追加で済み、工程増による生産性の低下が抑えられる。また、熱間鍛造の熱を利用するため、組織の改質のための処理に用いるエネルギが削減できる。
前記非標準組織とする部分30は、パルサーリング41を嵌合させる部材である外方部材2の全体の表面としても良いが、パルサーリング41を嵌合させる面という必要箇所のみとすると、被削性などの加工性の低下が最小限に抑えられる。
図5,図6は、この発明の他の実施形態を示す。この車輪用軸受装置は、第3世代型の内輪回転タイプのものである。なお、図1の例と対応する部分は同一符号を付してその説明を省略する。この車輪用軸受装置は、複列の転動体3を介して互いに回転自在な内方部材1Aおよび外方部材2Aを有し、転動体3は各列毎に保持器4により保持されている。内方部材1Aおよび外方部材2Aは、それぞれ複列の軌道面6,7および軌道面8,9を有している。この車輪用軸受装置は、複列アンギュラ玉軸受型とされていて、転動体3はボールからなり、軌道面6,7は、接触角が外向きとなるように形成されている。内方部材1Aと外方部材2Aとの間の軸受空間の両端は、シール10,11により密封されている。
外方部材2Aは、全体が一体の一つの部品からなり、幅方向の任意の位置に車体取付用フランジ12が設けられている。外方部材2Aの車体取付用フランジ12よりもインボード側の外径面部分は、車体の懸架装置となるナックル(図示せず)が嵌合する面となる。車体取付用フランジ12の円周方向の複数箇所には、ボルト挿通孔またはねじ孔からなる車体取付孔13(図示せず)が設けられている。
内方部材1Aは、ハブ14と、このハブ14の軸部14aのインボード側端の外周に嵌合した内輪15との2つの部品で構成される。これらハブ14および内輪15に、内方部材1A側の上記各軌道面6,7がそれぞれ形成されている。ハブ14の軸部14aの外周におけるインボード側端には、段差を持って小径となる内輪嵌合面16が設けられ、この内輪嵌合面16に内輪15が嵌合している。
ハブ14は、軸部14aのアウトボード側端の外周に車輪取付用フランジ17を有しており、この車輪取付用フランジ17の円周方向複数箇所に設けられた各ボルト圧入孔18に、ハブボルト19が圧入状態に取付けられている。
内方部材1Aの内輪15の外周には、回転検出用のパルサリング45が圧入嵌合により取付けられている。パルサリング45は、断面L字状に形成されたリング状の芯金45aと、この芯金45aの立板部の表面に設けられて円周方向に交互に磁極が形成された多極磁石の被検出部45b等とでなる。
外方部材2Aには、インボード側の端部の内周面に、センサキャップ46の外周の筒部46aが圧入状態に嵌合して取付けられる。筒部46aには、2重に折り返したフランジ部46bが外周に突出して設けられ、筒部46aが外方部材2Aの端面に当接することでセンサキャップ46の軸方向の位置が規制される。センサキャップ46は、被検出部45bに対面して磁気センサ等の検出部47を取付ける部品であり、検出部47の挿通孔48と、検出部47の取付用のナット49とが設けられている。センサキャップ46は、車輪用軸受装置のインボード側端の全体を覆うように設けられる。前記被検出部45bと検出部47とで回転検出器50が構成される。
内方部材1Aを構成する部品であるハブ14、内輪15、および外方部材2Aは、いずれも鋼材の熱間鍛造品である。このうち、外方部材2Aは、センサキャップ46の嵌合面が非標準組織の部分30とされている。ハブ14の母材部分は標準組織である。非標準組織の部分30は、外方部材2Aの内周部のみであっても良いが、この例では外周に渡って非標準組織の部分30が形成されている。この部分30の非標準組織は、第1の実施形態と共に説明したうちのいずれかの組織とされる。
この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、非標準組織の部分30の組織微細化や硬度アップにより、疲れ強さが向上し、自動車の旋回時等の高応力が繰り返し作用し変形する場合でも、センサキャップ46を嵌合させた部材である外方部材2Aがクリープにより摩耗することが抑えられる。つまり、摩耗発生→締代低下→さらにクリープ発生→センサキャップ46の移動→検出部47の異常検出という過程を生じることが抑えられる。
なお、前記各実施形態で、熱間鍛造工程の最後で冷却することで得られるとしたものは通常の熱間鍛造品を加熱したものを冷却しても良い。
この発明の第1の実施形態に係る車輪用軸受装置を示す部分断面図である。 同車輪用軸受装置の外方部材の断面図である。 同車輪用軸受装置の外方部材の鍛造工程の工程説明図である。 熱間鍛造された部品の各種非標準組織を得る冷却曲線の説明図である。 この発明の他の実施形態に係る車輪用軸受装置の部分断面図である。 同車輪用軸受装置の外方部材の部分断面図である。
符号の説明
1…内方部材
2…外方部材
1A…内方部材
2A…外方部材
3…転動体
6〜9…軌道面
14…ハブ
15…内輪
17…車輪取付用フランジ
30…非標準組織となる部分
41…パルサーリング(支持用部品)
41a…芯金
41b…被検出部
42…検出部
43…回転検出器
45a…芯金
45b…被検出部
46…センサキャップ(支持用部品)
47…検出部
50…回転検出器

Claims (4)

  1. 複列の転動体を介して互いに回転自在な内方部材および外方部材を有し、前記外方部材の周面に、回転検出用の被検出部または検出部が設けられた支持用部品を嵌合させる車輪用軸受装置において、
    前記支持用部品を嵌合させる外方部材が鋼材の熱間鍛造品であってその母材部分がフェライト・パーライト組織である標準組織であり、前記外方部材の前記支持用部品を嵌合させる面が非標準組織の部分とされ、前記非標準組織が、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織であり、前記微細フェライト・パーライト組織はフェライト・パーライト組織の焼準によって得られる組織であることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 請求項1において、前記非標準組織が、熱間鍛造の工程中または工程の最後に冷却して自己復熱させるかまたは復熱保持焼戻しをすることで得られた組織であることを特徴とする車輪用軸受装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記外方部材がアウトボード側部に車輪取付用フランジを有しており、前記支持用部品を嵌合させる面が、前記外方部材のインボード側端の外周面であり、前記支持用部品がパルサーリングである車輪用軸受装置。
  4. 請求項1または請求項2において、前記内方部材が回転側部材であり、前記支持用部品を嵌合させる部材が外方部材であり、前記支持用部品が、前記外方部材の端部の周面に嵌合するセンサキャップである車輪用軸受装置。
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