JP4094124B2 - 押出成形板の製造方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメントなどの水硬性材料を用いて製造する押出成形板の製造方法及びその装置に関し、特に内部に複数の細長い中空部を形成した押出成形板を任意の巾に成形することができる製造方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常押出成形板では、働き巾が1200,900,600,500mmが規格品として製造されている。この規格品の巾を外壁材や間仕切壁材などとして建築物に割りつけて施工しているが、これらの規格品だけでは納まらない部分が生じ、規格品以外の巾の製品が必要となることが多い。規格品以外の製品がまとまって必要な場合には、専用の口金を製作し製造することも可能である。しかし、この場合でも、口金の製作に時間を要し、さらに、規格以外の専用の口金を製作しなければならずコストアップとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、通常規格品以外の巾が必要な場合には、図9に示すように規格品を線(a)又は(b)で縦切断することにより所定巾の製品を得ていた。しかし、このようにした場合には、図8(a)、(b)、(c)に示すように、規格品(巾L)を縦切断することにより、切断された製品の側部の凹部がほとんどなくなったり(L2 )、又は長くなったりしていた(L1 )。凹部がほとんどない場合(c)には、施工時に隣の成形板との凸部、凹部の嵌め合わせが不十分となり、また長くなる場合(b)には、運搬時や施工時に凹部に欠けや割れが生じる恐れがあり、問題となっていた。さらに、押出成形板が硬化した後に切断するため、切断した余分な部分は残材となり廃棄物としなければならないという問題点があった。
【0004】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、前記問題を解決し、押出成形時に任意の巾の製品を製造することができるとともに、側部の凸部、凹部とも所定の形状を維持することができ、さらに縦切断を行わないことによって廃棄物の発生しない押出成形板の製造方法とその装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究した結果、押出成形板の製造装置のトップダイ両端の凹部形成用ブロック及び凸部形成用ブロックを左右にスライド可能に取付け、さらに、トップダイ両端の中玉を前後にスライド可能に、しかも前記両端の中玉に押出機内部から外側に向かうに従って外側が細くなるように傾斜部を設けることにより上記目的を達成できることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の構成からなり、作用を有するものである。
【0006】
(1)押出成形板を製造する方法において、トップダイ内部に複数の中玉を設け、それらのうちの両端の中玉が押出機内部から外側に向かうに従って外側が細くなるように傾斜部が設けられたものであり、トップダイ両端の凸部形成用ブロック及び凹部形成用ブロックを左右にスライドさせ、前記両端の中玉の少なくとも一つを前後にスライドさせることにより、内部に複数の細長い中空部を形成し、かつそのうちの側部側の中空部が他の中空部よりも幅の狭いものであり、押出成形板の両側の凸部、凹部とも所定の形状を維持した任意の巾を持つ押出成形板を製造することを特徴とする押出成形板の製造方法。
(2)押出成形板の製造装置において、トップダイ両端の凸部形成用ブロック及び凹部形成用ブロックが左右にスライド可能に取付けられ、前記トップダイ内部に中玉を設け、前記中玉のうちの両端の中玉が押出機内部から外側に向かうに従って外側が細くなるように傾斜部が設けられると共に前後にスライド可能に取付けられており、内部に複数の細長い中空部を形成し押出成形板の両側の凸部、凹部とも所定の形状を維持した任意の巾を持つ押出成形板を製造することを特徴とする押出成形板の製造装置。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の押出成形板の製造装置内部におけるトップダイ付近の平面図であり、図2は前記製造装置のトップダイ付近の正面図である。トップダイ3には、成形板の巾方向両側部に凸部と凹部を成形するための凸部ブロック4と凹部ブロック5が取付けられている。なお、2は絞り管である。このブロック4、5は調整ボルト6により左右に自在に調節が可能なようになっている。両端の中玉10は、図1に示すように奥側から外側に向かって傾斜部が設けられており、外側になるほど先が細くなっている。凸部ブロック4、凹部ブロック5は送りネジ6、6で自在に調節が可能となっている。なお、7はナット金具である。
【0008】
ブロック4、5の位置調整は位置決めブロック9で行う。この位置決めブロック9は、巾5mmの厚さがあり、これを抜き差しすることにより、凸凹ブロック4、5の位置を調整することができる。さらにこの2つのブロック4、5が水硬性材料の押出圧でトップダイ3から押出されないようにそれぞれ押さえ金具8が取付けられている。なお、図2においては、内部の位置決めブロック9などを示すために、左側の押さえ金具8の一部が切り欠けられている状態で表されている。傾斜部が設けられたスライド中玉10は、中玉止めセットボルト13によってワイヤ12と繋がっており、このワイヤ12は案内管14を通り口金外の調節ボルト15を通ってワイヤ止め金具16に繋がっている。
【0009】
この調節ボルト15を調節することにより、スライド中玉10の前後の位置を調節する。中玉の位置決めは調整ボルト15に嵌められた位置決めブロック17を抜き差しすることによって行う。このブロック17は抜いたとき又は入れたときに、5mm単位で押出巾が変えられるように換算した厚みとなっている。スライド中玉10は中玉シャフト11に前後にスライド可能に取り付けられているだけなので、ワイヤ12は中玉10の位置調整以外に押出時に中玉10が水硬性材料と共に押出されないようにする役目も持っている。スライド中玉10は中玉シャフト11で中玉ステイに取付けられている。シャフト11は角形になっており中玉10のシャフト挿入部も角形に形成されているので、中玉10が水硬性材料の押出に伴って回転しないようになっている。
【0010】
中玉10は、ワイヤ12ではなく、直接ボルトなどによって中玉ステイに固定してもよいが、この場合、固定するボルトの位置によっては中玉のスライド時に口金内の水硬性材料を除去しなければならない場合もある。
また、中玉10を外した時には、予備ワイヤー18を案内管14に入れておき、水硬性材料が案内管14内に逆流しにくくすると共に、逆流した水硬性材料の除去が容易に行えるようにしておくとよい。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例
本発明の装置を用いた押出成形板の製造方法の一例について説明する。
図1及び図2に示す装置において、凸部ブロック4及び凹部ブロック5を図7(a)、(b)、(c)に示すように、所定の製品巾になるように調整ボルト6と位置決めブロック9で調整する。スライド中玉10の位置は、規格巾(L)の製品を製造するときは根元の太い部分を使用し、巾の狭い製品(L1 又はL2 )を製造するときは、先端の細い部分を使用する(図3及び図4参照)。中空部が不要なときはスライド中玉10を取り外してしまえば、両端部の中空部はないが、両端に凹凸部が形成された成形板を得ることができる(図5及び図6参照)。スライド中玉10の調整は位置決めブロック17と調整ボルト15を調整することによって行う。このようにして調整した口金から水硬性材料を押出すと、任意の巾であるにもかかわらず、両端には中空部が形成され、さらに側部の凹凸部も所定の形状に形成された押出成形板を得ることができる。
【0012】
生産の途中で巾の異なる製品を製造する場合には、口金全体を取替える必要はなく、一旦成形機を停止し、スライド中玉10及び凸部ブロック4及び凹部ブロック5で口金の調整を行う。製品の製造については、口金の調整がスライド中玉10を押出方向に調整するのが容易なので、巾の狭い製品から巾の広い製品(L2 、L1 、L)を順に製造し、最後にスライド中玉10を取り外した製品(図5及び図6)を製造するのが効率的である。これは、スライド中玉10は押出方向にスライドさせるのは容易であるが、逆方向にスライドさせるには口金内の水硬性材料の除去が必要となるからである。
【0013】
このようにして、例えば規格巾が600mmで中空部の巾が50mmであれば500mmから600mmの範囲で任意の巾の製品を得ることができる。従って、例えば300〜1200mmの間で100mm単位の規格巾の口金を所有していれば、200〜1200mmの間で任意の巾の製品を得ることが可能となる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、トップダイ両端のブロックを左右にスライドさせ、且つトップダイ内部に複数の中玉を設け、それらのうちの両端の中玉が押出機内部から外側に向かうに従って外側が細くなるように傾斜部が設けられたものであり、この両端の中玉の少なくとも一つを前後にスライドさせることにより、中空部を形成した押出成形板を製造するので規格品以外の巾の製品でも、規格品を縦切断することなく巾の異なる製品を得ることができる。さらに、縦切断によって発生する凹部の欠如や、長い凹部ができることもなく、成形板の両側部に規格通りの凸部、凹部を形成した製品を得ることができる。また、口金を交換する必要もないので生産性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の押出成形板の製造装置のトップダイ付近の横断面図を示す。
【図2】図1に示した押出成形板の製造装置のトップダイ付近の正面図を示す。
【図3】図1に示した製造装置のスライド中玉の先端の細い部分を使用する場合のトップダイ付近の横断面図を示す。
【図4】図3に示したスライド中玉位置の製造装置を用いて得た中空押出成形板の縦断面図を示す。
【図5】図1に示した製造装置のスライド中玉を取り外した場合のトップダイ付近の横断面図を示す。
【図6】図5に示した製造装置を用いて得た中空押出成形板の縦断面図を示す。
【図7】図1に示した本発明の製造装置を用いて得た中空押出成形板の巾の変化に伴う縦断面図を示す。
(a) 規格巾Lの製品の断面図
(b) 規格巾より凹端部の短い巾L1 の製品の断面図
(c) 規格巾より凸凹両端部とも短い巾L2 の製品の断面図
【図8】従来の製造装置を用いて得た中空押出成形板の巾の変化に伴う断面図である。
(a) 規格巾Lの製品の断面図
(b) 図9の線(b)で縦切断後凹部が長くなった規格巾より短い巾L1 の製品の断面図
(c) 図9の線(a)で縦切断後凹部がなくなってしまった規格巾より短い巾L2 の製品の断面図
【図9】従来の中空押出成形板の縦切断線(a)及び(b)と凹部の長さの関係を示す斜視図を示す。
【符号の説明】
1 中玉ステイ
2 絞り管
3 トップダイ
4 凸部ブロック
5 凹部ブロック
6 送りネジ
7 ナット金具
8 押さえ金具
9 位置決めブロック
10 スライド中玉
11 スライド用中玉シャフト
12 中玉固定用ワイヤー
13 中玉止めセットボルト
14 ワイヤ案内管
15 調整ボルト
16 ワイヤ止め金具
17 位置決めブロック
18 予備ワイヤ
19 ワイヤ止め金具
Claims (2)
- 押出成形板を製造する方法において、トップダイ内部に複数の中玉を設け、それらのうちの両端の中玉が押出機内部から外側に向かうに従って外側が細くなるように傾斜部が設けられたものであり、トップダイ両端の凸部形成用ブロック及び凹部形成用ブロックを左右にスライドさせ、前記両端の中玉の少なくとも一つを前後にスライドさせることにより、内部に複数の細長い中空部を形成し、かつそのうちの側部側の中空部が他の中空部よりも幅の狭いものであり、押出成形板の両側の凸部、凹部とも所定の形状を維持した任意の巾を持つ押出成形板を製造することを特徴とする押出成形板の製造方法。
- 押出成形板の製造装置において、トップダイ両端の凸部形成用ブロック及び凹部形成用ブロックが左右にスライド可能に取付けられ、前記トップダイ内部に中玉を設け、それらのうちの両端の中玉が押出機内部から外側に向かうに従って外側が細くなるように傾斜部が設けられると共に前後にスライド可能に取付けられており、内部に複数の細長い中空部を形成し押出成形板の両側の凸部、凹部とも所定の形状を維持した任意の巾を持つ押出成形板を製造することを特徴とする押出成形板の製造装置。
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