JP7104268B2 - 模様付製品成形用押出しダイス - Google Patents
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Description
そのため、この押出し加工は現在では広く採用されている。
例えば、アルミニウム合金の押出し加工により、幅方向に多数の穴が連続する扁平状多穴管、長尺の平板やパイプ部材等が成形されており、あるいは、表面にラック状や波形状等、凹凸形状の模様を成形することも行われている。
この特許文献1に開示された技術では、図18に示すように、固定ダイ110に、塑性変形可能なメタル115を導入するためのメタル導入用の凹所129と、それに続く開口111が形成されると共に、メタル115の流れをガイドする支持面118が形成されている。
なお、この支持面118は、一般的には、メタル115の製品としての形状を決定するベアリング部に相当する部位である。
また、特許文献1における支持面118の下流側端部は、歯車の頂部と略対向する位置までの長さとなっており、支持面118の下流側の長さが短い。そして、支持面118の下流側端部が終端部となっており、その終端部に外側に広がる逃げ部が連続して形成されている。
そのため、支持面118の終端部では、メタル115の表面にラック模様を成形する際の歯車119の押圧力がかかるが、その時点ではメタル115の裏面は支持面118に密着しているので裏面に凹凸模様が生じることはない。
そのため、歯車119により支持面118側に押されたメタル115が支持面118の終端部を経過した時点で、拡大部分に示すように、メタル115の裏面を支持する部位がなくなるため外側に広がった大きな開口部に押されてしまい、歯車119による押圧力があたかもずれ込んだ状態となって、メタル115の裏面側に凹凸部として表れてしまうという問題が生じる。
そうすると、本来は、メタル115の表面側にのみラック状の模様が付されたものが求められている商品であるにも関わらず、裏面側に凹凸部が生じたものとなり、不良品となってしまう。その結果、その不良品は廃棄処分することになり、材料の無駄や作業時間の無駄が生じ、また、生産性の低下を招いてしまうという問題も生じている。
前記熱可塑性部材を導入する上型ダイと、この上型ダイを支持する下型ダイと、を備えて構成され、前記上型ダイは、前記熱可塑性部材を前記製品用部材の形状に成形するベアリング部を有し、前記下型ダイには、前記ベアリング部により成形された前記製品用部材の移動を案内する製品部材用下側ガイド部と、前記製品用部材の一面に前記模様を成形する模様成形具とが設けられ、前記製品部材用下側ガイド部には、前記模様成形具による模様成形時の押圧力を吸収する逃げ部が形成されていることを特徴とする。
この平板40は、所定厚さで長尺状に形成され、その一表面にラック状の模様Dが形成されている。そして、この平板40は、例えば、連続して多数枚並べることで意匠性に優れた床板として利用され、また、滑り止め用部材として利用される。
押出しダイス1は、図1,5等に示すように、素材供給側であるメタル供給装置100から押出し供給される上記メタルMを導入する上型ダイ10と、この上型ダイ10を支持すると共に、メタルMを所定の製品用部材の形状に成形する下型ダイ20とを備えて構成されている。
そして、下型ダイ20には、上記製品用部材の一面(表面)にラック状の模様を成形する模様成形具である歯車30が装備されている。
上型ダイ10と下型ダイ20とは、それぞれ略円柱状部材で形成されており、下型ダイ20に対して上型ダイ10が小径に形成されている。
なお、上型ダイ10と下型ダイ20とは、例えば、下型ダイ20の裏面から差し込んだ連結ボルト(図示せず)により連結されている。
そして、メタルMは、メタル供給装置100内で、例えば、粘土状の柔らかさにされ、かつその状態が維持されるようになっている。また、メタル供給装置100は上型ダイ10を保持している。
まず、上型ダイ10の構成について説明する。
上型ダイ10には、図5、図6に示すように、メタル押出し装置100から押出されるメタルMの導入をガイドする第1メタル導入口10Aと、この第1メタル導入口10Aに連続しかつ当該第1メタル導入口10Aより開口が絞られた第2メタル導入口10Bとが形成されている。
具体的には、図7に示すように、押出される前記メタルMを、断面長方形の縦寸法H1と、横寸法W1とに成形し、上記平板40を形成するようになっている。
具体的には、図7に示すように、押出されるメタルMの断面形状、つまり、ベアリング部10Cの縦寸法H1、横寸法W1よりもそれぞれ寸法S1、Sだけ大きな縦寸法H2と、横寸法W2とからなる断面長方形形状の貫通孔となっている。なお、寸法S1、Sは略同じ寸法である。
下型ダイ20は、前述のように、略円柱状部材で形成されており、その上面には前記上型ダイ10を載置する際の位置決め用として深さの浅い円形状の凹部20Aが形成されている。
下型ダイ20には、その平面の略中央部近傍に前記歯車30を配置するための歯車配置空間20Bが形成されており、この歯車配置空間20Bは、略長方形形状の貫通穴となっている。
また、この歯車配置空間20Bの長さ方向に沿った両隣には、後述する歯車取付部材32を設置する歯車取付部材設置用穴20Cがそれぞれ形成されている。
そして、歯車取付部材設置用穴20Cには、上記歯車取付部材32が挿入されるようになっており、この歯車取付部材32は、図10等に示すように、上下一対の上側取付けブロック32Aと下側取付けブロック32Bとで構成されている。
そして、これらの平面壁部20Dと上記歯車取付部材設置用穴20Cの一側面部との間にはネジ孔20Eが切られ、このネジ孔20Eに、後述する歯車位置調整機構を構成する位置調整ボルト35(図4等参照)が螺合されるようになっている。
このネジ孔20Eは、図12、図13等にも示すように、上側取付けブロック32Aと下側取付けブロック32Bとのそれぞれに対応している。
図4に示すように、歯車30は歯車配置空間20Bの左寄りに配置されるようになっており、歯車30の右側には所定の広さの空間SPが設けられており、この空間SPの部位が、前記押出されてくるメタルMの挿通部P(図8も参照)となっている。
また、下側平板ガイド部20Fは、図8に示すように断面コ字状に形成されており、断面コ字形状の大きさは、上型ダイ10の上側平板ガイド部10Dと同じ寸法である。ただし、上側平板ガイド部10Dにおける歯車30側の一面が取り除かれた形状と同一形状に形成されている。すなわち、縦寸法がH2、横寸法がW3で形成されている。
上記模様Dは、平板40の表面40Aに形成された凹部40aと凸部40bとで形成されており、これらの凹部40aと凸部40bとは、前記歯車30の歯の頂部30aと谷部30bに対応し、これら頂部30aと谷部30bで成形されるようになっている。
そのため、歯車30がその頂部30aにより平板40の表面にラック状の模様Dを成形する際、歯車30の頂部30aが平板40を押圧すると、歯車30による押圧力が逃げ部Eで吸収され、つまり、平板40が押されて下側平板ガイド部20Fに押し付けられる。その結果、平板40の裏面40Bと下側平板ガイド部20Fの一面とが密着しているので、平板40の裏面40Bに生じる凹凸を防止することができる。
まず、歯車30および歯車の取付け構成の取付け構成について説明する。
歯車30は、前述のように、平板40を間にして下側平板ガイド部20Fの対向位置に配設されている。また、図9、図10等に示すように、歯車30は、その軸部30Aが、取付け部材32を構成する上下一対の取付けブロック32A,32Bで挟み込まれた状態で設けられている。
この取付け部材32は、図12等に示すように、前記歯車取付部材設置用穴20Cに挿入され、かつ平板40側にスライド自在に嵌込まれている。
なお、歯車30と軸部30Aとはキー39で連結されている(図6等参照)。
また、歯車30の軸部30Aには、高温用軸受36が嵌着されており、この高温用軸受36は、各取付けブロック32A,32Bの長さ方向中央部の凹部32Aa,32Baに嵌め込まれている。
歯車位置調整機構38は、上側および下側取付けブロック32A,32Bの長さ方向一方側端部と当接する歯車位置調整ボルト35,35と、前記歯車取付け部材設置穴20Cに挿脱自在に設けられる調整用ワッシャー37とで構成されている。
なお、図12(A)では、歯車位置調整用ボルト35を最大限ねじ込んだ状態であり、このとき、取付けブロック32Aの他方側の側面部が歯車取付け部材設置穴20Cの端部に当接している。また、取付けブロック32Aの一方側の側面部と歯車取付け部材設置穴20Cの一方側の側面部との間は、所定寸法Kの隙間となっている。
この場合、歯車位置調整用ボルト35を逆方向に回すと、取付けブロック32Aが歯車取付け部材設置穴20C内を矢印B方向にスライド自在となる。そこで、まず、上記所定寸法Kの隙間がなくなるまで歯車位置調整用ボルト35を逆方向に回す。
このとき、取付けブロック32Aと歯車取付け部材設置穴20Cの側面との間の隙間K1と、取付けブロック32Aと歯車取付け部材設置穴20Cの他方側の側面の隙間K2とを合わせた寸法は、上記図12(A)における隙間Kと同じである。
ここで、歯車位置調整用ボルト35,35は、上下一対の取付けブロック32A,32Bのそれぞれに対応して設けられているが、いずれか一方の歯車位置調整用ボルト35を操作するだけでもよい。
この調整用ワッシャー37は、上側の調整部材32Aと下側の調整部材32Bとを合わせた厚さと略同じ寸法の長さに形成されている。
次に、以上のような構成の押出しダイス1による平板40の成形方法を説明する。
作業に先立って、平板40の表面にラック状の模様Dを成形するための歯車30を下型ダイ20にセットしておく。
このとき、歯車30の頂部30aが平板40の表面に喰いこむ量、つまり凹部40bおよび凸部40aの高さ寸法を所望の寸法とするため、歯車位置調整ボルト35,35により歯車30の位置を設定しておく。
下型ダイ20に押出された平板40は、下型ダイ20の下側平板ガイド部20Fにガイドされながら下方に押し出される途中で、メタルMの押出しに伴って回転する歯車30により。平板40の表面にラック状の模様Dが連続して成形される。
すなわち、歯車30による平板40への押圧力は逃げ部Eで吸収された状態となる。
次いで、歯車30を位置調整用ボルト35側に引き寄せた後、歯車30の頂部30aによる所定の喰い込み量となるように、歯車取付け部材設置穴20C内に所定の調整用ワッシャー37を挿入し、歯車位置調整用ボルト35を取付けブロック32Aの側面に当接するまでねじ込む。
(1)上型ダイ10のベアリング部10Cにより成形された状態で押出される平板40が下型ダイ20の下側平板ガイド部20Fに沿って移動する途中において、歯車30により平板40の表面に模様Dが成形される。このとき、歯車30の頂部30aが平板40表面を押圧するが、下側平板ガイド部20Fと平板40の裏面40Bとの間に逃げ部Eが形成されているので、平板40にかかる押圧力が逃げ部Eで吸収された状態で、下側平板ガイド部20Fに押し付けられる。その結果、平板40の裏面40Bと下側平板ガイド部20Fとが密着するので、平板40の裏面40Bに凹凸模様Dが生じることを防止することができる。
その結果、歯車30の頂部30aの平板40への喰い込み量を調整することができるので、ラック状の模様Dの深さを容易に任意の深さとすることができる。
本第2の実施形態の押出しダイス50における上型ダイ60は、前記上型ダイ10の下面に歯車30側に向けて突出した突出部60Eを設けた形状としたものである。他の構成は、前記下型ダイ20を含み第1の実施形態と全く同じである。したがって、同一構成の部材等には同一符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
つまり、上側平板ガイド部60Eは下側平板ガイド部20Fと連続しており、図17に示す断面形状は、図7に示す前記上側平板ガイド部10Dの断面形状と略同一である。
なお、上型ダイ60には、メタル第1導入口60Aと、その下方に形成されたメタル第2導入口60Bが設けられている。
(6)上型ダイ60の歯車30の上方領域には、上型ダイ60の下面から歯車30の上方を覆って下方に突出し、かつ一面が平板40と対向する突出部60Eが設けられ、この突出部60Eの一面には、平板40を下型ダイ30の歯車30側にガイドする上側平板ガイド部60Eが設けられ、この上側平板ガイド部60Eは、歯車30の頂部30aが平板40の表面に喰い込む位置の近傍まで延びているので、平板40を歯車30による模様Dの成形位置に確実に導入させることができる。
このようにした場合、調整用ワッシャー37を着脱する手間を省くことができる。
10 上型ダイ
10C ベアリング部
10D 上側平板ガイド部
20 下型ダイ
20B 歯車配置空間
20C 歯車取付部材設置空間
20F 下側平板ガイド部
30 歯車
30a 歯車の頂部
32 歯車取付部材
32A 上側取付けブロック
32B 下側取付けブロック
35 歯車位置調整ボルト(歯車位置調整機構)
37 調整用ワッシャー(歯車位置調整機構)
40 平板(製品用部材)
50 模様付製品成形用押出しダイス(第2実施形態)
60 上型ダイ
60C ベアリング部
60D 上側平板ガイド部
60E 突出部
M メタル(アルミニウム合金)
Claims (8)
- 素材供給側から連続して押出される熱可塑性部材で形成される製品用部材の表面に模様を成形する模様付製品成形用押出しダイスであって、
前記熱可塑性部材を導入する上型ダイと、この上型ダイを支持する下型ダイと、を備えて構成され、
前記上型ダイは、前記熱可塑性部材を前記製品用部材の形状に成形するベアリング部を有し、
前記下型ダイには、前記ベアリング部により成形された前記製品用部材の移動を案内する製品部材用下側ガイド部と、前記製品用部材の一面に前記模様を成形する模様成形具とが設けられ、
前記製品部材用下側ガイド部には、前記模様成形具による模様成形時の押圧力を吸収する逃げ部が形成されていることを特徴とする模様付製品成形用押出しダイス。 - 請求項1に記載の模様付製品成形用押出しダイスにおいて、
前記上型ダイの前記模様成形具の上方領域には、前記上型ダイの下面から前記模様成形具の上面を覆って下方に突出しかつ一面が前記製品用部材と対向する突出部が設けられ、
この突出部の前記一面には、前記ベアリング部の下部に形成されると共に当該ベアリング部に連続しかつ当該ベアリング部で成形された前記製品用部材を前記下型ダイの前記模様成形具側にガイドする製品部材用上側ガイド部が設けられていることを特徴とする模様付製品成形用押出しダイス。 - 請求項1または2に記載の模様付製品成形用押出しダイスにおいて、
前記逃げ部は、前記下型ダイの上面から下面にわたって連続して形成されていることを特徴とする模様付製品成形用押出しダイス。 - 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の模様付製品成形用押出しダイスにおいて、
前記逃げ部は、前記製品部材用下側ガイド部の前記模様成形具と対向する一面とこの製品部材用下側ガイド部の一面の上方に同列上に位置する前記ベアリング部の一面との間の水平方向での間隔で構成され、
前記製品部材用下側ガイド部の一面が前記ベアリング部の一面に対して外側に後退していることを特徴とする模様付製品成形用押出しダイス。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の模様付製品成形用押出しダイスにおいて、
前記模様成形具は、前記製品用部材の移動とともに回転する歯車で構成されていることを特徴とする模様付製品成形用押出しダイス。 - 請求項5に記載の模様付製品成形用押出しダイスにおいて、
前記歯車は、当該歯車の主軸両端がそれぞれ軸受けを介して歯車取付け部材に支持され、
前記両歯車取付け部材は、前記下型ダイに形成された歯車取付け部材設置用穴にそれぞれ設置され、
前記下型ダイには、前記各歯車取付け部材を前記製品用部材の移動方向に対して直交する方向に沿ってスライドさせ前記歯車の前記製品用部材に対する位置を調整する歯車位置調整機構が設けられていることを特徴とする模様付製品成形用押出しダイス。 - 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の模様付製品成形用押出しダイスにおいて、
前記上型ダイには、前記ベアリング部の下部に連続しかつ当該ベアリング部で形状が決定された前記製品用部材を前記下型ダイ側にガイドする製品部材用上側ガイド部が設けられていることを特徴とする模様付製品成形用押出しダイス。 - 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の模様付製品成形用押出しダイスにおいて、
前記熱可塑性部材は、アルミニウム合金であることを特徴とする模様付製品成形用押出しダイス。
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