JP4093889B2 - クリアラバー用充填材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿式シリカよりなる新規なクリアラバー用充填材に関する。詳しくは、クリアラバーの充填材として使用した場合、取扱性が良好で、しかも、得られるクリアラバーの透明性と耐摩耗性が共に優れた湿式シリカよりなるクリアラバー用充填材である。
【0002】
【従来の技術】
クリアラバーは、高い透明性を有する未加硫ゴム、例えば、BR(ブタジエンゴム)、S−SBR(溶液重合型スチレンブタジエンゴム)を主成分とするゴムに補強用の充填材を配合後、加硫して得られる透明性加硫ゴムであり、意匠性を付与するための材料や機能性材料として種々の用途が期待される。
【0003】
クリアラバーの用途の一つとして、靴底としての用途がある。かかる用途においてクリアラバーを靴底にワンポイントとして使用して意匠性を付与する用途が一般的であるが、近年、靴底全体をクリアラバーによって構成する試みも成されつつある。この場合、クリアラバーには単なる透明性のみでなく、耐摩耗性、耐スリップ性等の機械的性能が要求される。
【0004】
従来、クリアラバーに上記機械的性能を与えるための充填材としては、分散性・透明性の観点から乾式シリカが使われてきた。
【0005】
尚、かかる事実について特に文献は存在しない。
【0006】
そして、前記乾式シリカを充填材として使用したクリアラバーは、該乾式シリカによる製品価格の上昇を余儀なくされ、特に、靴底用途等の一般用途においての使用が経済的に困難である。
【0007】
このような事情に鑑み、乾式シリカより安価な湿式シリカをクリアラバー用の充填材として使用する検討が成されている。ところが、クリアラバーとして使用されるBR、S−SBR等のゴム成分、特にBRは、通常、湿式シリカが充填材として使用されている他のゴムよりも腰が弱く混練時にシェアがかかり難いため、湿式シリカを充填材として使用した場合、湿式シリカを十分に分散させることができず、得られるクリアラバーは透明性が著しく低いものとなり、商品価値が無くなるというという問題を生じる。また、クリアラバーの耐磨耗性等のゴム強度も劣るものとなる。
上記問題を解決する方法として、湿式シリカを非常に細かく粉砕することにより、ゴム中における分散性を向上させることが考えられるが、粉砕に大掛かりな装置と多大の労力とを要し、経済的でないばかりでなく、湿式シリカの有する高い凝集性により、十分な効果が得られない。また、微粉化により、粉体取扱性が悪くなるという問題が発生する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、湿式シリカよりなるクリアラバー用充填材であって、取扱いが容易な比較的大きい粒子径を有しながら、低いシェアによりゴム中に高度に分散することができ、その結果、透明性が高く、しかも、耐摩耗性、耐スリップ性等の機械的性能に優れたクリアラバーを得ることができるクリアラバー用充填材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、湿式シリカの比表面積に対する吸油量の比が、従来の一般ゴム用充填材として使用される湿式シリカより高い、特定の範囲に調整された湿式シリカが、シリカ粒子間の凝集性が低下せしめられ、前記ゴム成分との混練時の分散性を著しく向上させることができること、および、該湿式シリカの平均粒子径を特定の範囲に調整することにより、取扱い性が向上すると共に、混練時においてシェアがかかり難い、該ゴム成分との混練における到達粒子径を一層小さくすることができ、その結果、透明性に優れ、しかも、前記機械的特性が付与されたクリアラバーを実現可能な充填材となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、表面積が100〜250m2/g、吸油量(V;cc/100g)と比表面積(S;m2/g)との比(V/S)が1.1〜1.5であり、且つ、平均粒子径が5〜10μmである湿式シリカよりなることを特徴とするクリアラバー用充填材である。
【0011】
本発明のクリアラバー用充填材は、公知のクリアラバーの製造において充填材として使用され、該クリアラバーに優れた透明性と機械的特性を与える。
【0012】
【発明の実施の形態】
(クリアラバー)
本発明において、クリアラバーとは、透明性未加硫ゴム、具体的には、前記S−SBRおよびBR(ブタジエンゴム)を主成分とし、これに必要に応じてIR(イソプレンゴム)等を混合したゴムに充填材、加硫促進剤、その他、必要に応じて、老化防止剤、活性剤などの公知のゴム用薬品を配合して加硫して得られるゴムの慣用名である。
【0013】
一般に、上記透明性未加硫ゴムの透明性は、JIS−K−7105に準じて厚さ2mmのシートにおいて測定される加硫後の全光線透過率が約80%以上という高い透明性を有する。また、これらの透明性未加硫ゴムはS−SBR、BRに起因して、NR等の一般のゴムよりも腰が弱く混練時にシェアがかかり難いという特性を有している。
【0014】
上記透明性未加硫ゴムを具体的に例示すれば、BR、S−SBRおよびIRよりなる組み合わせ、BRとSBRとよりなる組み合わせが好適である。また、上記BR、S−SBRおよびIRよりなる透明性未加硫ゴムにおいて、各ゴム成分の配合割合は、BR65〜75重量部に対してS−SBR15〜35重量部、IR0〜10重量部が好ましい。
【0015】
(クリアラバー用充填材の特徴)
本発明のクリアラバー用充填材は、上記クリアラバーの充填材として使用されるものであって、比表面積が100〜250m2/g、吸油量(V;cc/100g)と比表面積(S;m2/g)との比(V/S)が1.05以上であり、且つ、平均粒子径が5〜10μmを満足する湿式シリカであることが、本発明の目的を達成するために極めて重要である。
【0016】
即ち、上記湿式シリカの比表面積が100m2/g未満である場合、ゴムとの混練後に到達する粒子径(以下、最終到達粒子径ともいう。)を十分小さくできず、得られるクリアラバーの透明性が低下する。
【0017】
一方、湿式シリカの比表面積が250m2/gを超える場合、シリカ粒子の凝集性が増大しその結果ゴム中で充分な分散性を得ることが困難になる。そのため、得られるクリアラバーの透明性が低下する。
【0018】
尚、本発明において、比表面積は、後述する実施例にも示したように、BET比表面積をいう。
【0019】
該湿式シリカの比表面積は前記範囲であれば特に制限されないが、特に、150〜200m2/gが好ましい。
【0020】
また、本発明のクリアラバー用充填材において、湿式シリカの吸油量(V;cc/100g)と比表面積(S;m2/g)との比(V/S)が1.05未満である場合はゴムとの混練における解砕性・分散性が低く、最終到達粒子径を十分小さくすることができず、その結果、優れた透明性を有するクリアラバーを得ることが困難となる。
【0021】
該湿式シリカのV/Sは前記範囲であれば特に制限されないが、特に、1.1〜1.5が好ましい。
【0022】
更に、本発明のクリアラバー用充填材において、湿式シリカの平均粒子径は、混練開始時の粒子径となるものであり、かかる平均粒子径が10μmを超える場合、上記V/Sが1.05以上を満足する良好な解砕性・分散性を有していたとしても、シェアがかかり難いクリアラバーとの混練において、最終到達粒子径を十分小さくすることが困難であり、透明性の高いクリアラバーを得ることが困難となる。
【0023】
一方、湿式シリカの平均粒子径が5μmより小さい湿式シリカは、その取扱性が悪くなるばかりでなく、製造に多大の労力を要する。
【0024】
従来、ゴム用充填材として上記要件の一部を満たすものは存在するが、特に、V/Sの値は、一様に低く、通常は1未満のものが多い。また、粒子径も、10μmを超えるものが多く、これらより、本発明において提供されるクリアラバー用充填材である湿式シリカは、特異な特性を有するものであるといえる。
【0025】
(クリアラバー用充填材の好適な物性)
本発明のクリアラバー用充填材を構成する湿式シリカは、上述した条件を満足するものであれば特に制限されないが、下記の特性を有するものであることが好ましい。
【0026】
(1)吸油量が105〜300cc/100g、特に、160〜250cc/100gである湿式シリカであることが好ましい。即ち、吸油量を上記範囲とすることによってシリカ粒子のストラクチャーが一層ルーズになり、その結果ゴム中での分散性をより向上させることができる。
【0027】
(2)鉄不純物量が0.02重量%以下、特に、0.01重量%以下に調整された湿式シリカであることが好ましい。
【0028】
即ち、鉄不純物量を上記範囲内とすることによって得られるクリアラバーの黒ずみ・黄変を低減することができる。
【0029】
かかる鉄不純物量の低減は、後記の製造方法において洗浄の程度を強化し、また、製造工程中からの湿式シリカへの鉄不純物の混入を防ぐことによって行うことができる。
【0030】
(3)細孔容積が2.5cc/g以上、特に、2.6〜3cc/gである湿式シリカであることが好ましい。
【0031】
(4)蒸留水中に5g/100mL濃度で分散せしめて測定されるPHが6〜7.5である湿式シリカであることが好ましい。
【0032】
即ち、湿式シリカのpHを上記範囲に調整することにより、これを配合し、加硫してクリアラバーを得る場合の加硫時間の短縮を図ることができる。そして、これにより、クリアラバーを構成するゴムが長時間高温にさらされることを防止してゴムの分解による微量不純物の発生を防止し、ゴム製品の着色を抑えるとともに加硫時間短縮による生産性の向上を図ることができる。
【0033】
(5)45μm以上の粗粉の量が0.01重量%以下である湿式シリカであることが好ましい。
【0034】
即ち、粗粉の量を上記範囲に調整することによって、得られるクリアラバーの透明性及び機械的特性を十分高めることができる。
【0035】
(クリアラバー用充填材の製造方法)
本発明のクリアラバー用充填材である前記特性を有する湿式シリカの製造方法は特に制限されないが、代表的な製造方法として下記の方法が挙げられる。 先ず、湿式シリカの析出反応としては、反応珪酸アルカリ水溶液と酸水溶液とを予め濃度を調整したケイ酸ソーダ水溶液に同時添加してシリカを析出せしめ、90〜150分、好ましくは、100〜140分間で反応を終了させる方法によって行う方法が挙げられる。
【0036】
特に、上記同時添加の途中で一旦、ケイ酸ソーダ及び硫酸の添加を止めて、温度を維持しつつ攪拌のみを行う操作(中断)を行う方法が推奨される。
【0037】
即ち、珪酸アルカリと酸との同時添加により前記湿式シリカにおける比表面積が制御され、また、上記のように反応終了時間を調整することより前記湿式シリカにおけるV/Sが制御される。また、これらの反応条件を調整することにより、先の粉体特性のうち比表面積、吸油量、細孔容積の特性値を適宜調整することができる。
更に、詳細に上記反応を説明すれば、珪酸アルカリとしては、珪酸ソーダが代表的である。また、酸としては、硫酸が好適に使用される。珪酸アルカリ水溶液の濃度は、5〜30g/100cc、酸の濃度としては、20〜25g/100ccが適当である。上記珪酸アルカリ水溶液と酸水溶液とは、両者がほぼ当量となるように同時添加される。中絶は、上記同時添加を30〜50%行った後に、15〜30分間行うことが好ましい。また、上記反応温度は、87〜95℃が一般的である。
【0038】
また、上述した湿式シリカの製造方法において、上記反応によって得られた湿式シリカは反応後、前記鉄含量となるように十分洗浄することが好ましい。このときの洗浄度合いの目安としては、反応副生物である硫酸ナトリウムの量が得られるシリカを蒸留水中に5g/100mL濃度で分散せしめて測定される電気伝導度で45μS以下になるまで洗うことである。
【0039】
また、このときに洗浄に使用する水も電気伝導度が2μS以下のフィルター水・イオン交換水を用いることが好ましい。上記45μS以下の電気伝導度の値は洗浄の目安であり、洗浄することにより硫酸ナトリウムは除去されるが、その他の微量の金属塩も同時に除去され、前記したようにクリアラバーにおける着色が抑えられる。
【0040】
更に、洗浄後の湿式シリカの乾燥は、乾燥収縮の起こり難いような乾燥方法を採用することがV/Sを大きく維持するために好ましい。具体的には、スプレードライヤーによる乾燥においてスラリー濃度を下げて乾燥を行う方法が挙げられる。効果的なのは、スラリー濃度を5%〜10%重量%のスラリー濃度にして乾燥を行うことにより非常に効果的である。
【0041】
本発明において、上記方法で得られた湿式シリカ粒子は、おおよそ80〜100μm程度の粒子径のものであり、これを通常の粉砕機及び必要に応じて分級機を組み合わせて前記粒子径の範囲に粉砕する。
【0042】
この場合、乾燥機以降の配管等に鉄を用いるとその錆等が製品に混入し製品の黒ずみの原因となるので、SUS等に材質を変更し製品中の鉄不純物量を0.02%以下になるようにすることが好ましい。
【0043】
(クリアラバーの製造方法)
また、本発明のクリアラバー用充填材を前記透明性未加硫ゴムに配合してクリアラバーを製造する際の配合量は、特に制限されるものではないが、得られるクリアラバーにおいて耐摩耗性、耐スリップ性等の機械的性能を十分発揮するためには、透明性未加硫ゴム100重量部に対して20〜50重量部、好ましくは25〜40重量部の割合が好ましい。
【0044】
また、配合方法は、公知の方法、例えば、バンバリミキサー、ニーダー、オープンロール等を使用して行えばよい。
【0045】
この場合、加硫促進剤や必要に応じて添加されるその他のゴム用薬品は、上記クリアラバー用充填材と同時に配合することもできるが、該充填材を配合後に配合することが望ましい。即ち、該クリアラバー用充填材を配合後には、クリアラバー用充填材を構成する湿式シリカ粒子は、ゴム用薬品を吸着し難い粒径にまで分散されているので、その後ゴム用薬品を配合することにより、より均一に透明性未加硫ゴム中に該ゴム用薬品を分散させることができる。
【0046】
尚、本発明のクリアゴム用充填材は、必要に応じて公知のシランカップリング剤によって表面処理してもよい。
【0047】
上記成分の配合された透明性未加硫ゴム組成物は、任意の形状に成形された後、加硫することによってクリアラバーが得られる。かかる加硫条件は、公知の条件が特に制限無く採用される。例えば、140〜170の温度で、3〜10分程度行うのが一般的である。
【0048】
このようにして得られるクリアラバーの透明性は、特に、透明性が良好な、S−SBR、BRを主成分とする透明性未加硫ゴムをゴム成分として使用した場合、湿式シリカを充填材として使用しているにも拘わらず、JIS−K−7105に準じて、厚み2mmのシートにおいて測定される全光線透過率が70〜80%、場合によっては90%以上にも達する。
【0049】
即ち、本発明によれば、BRおよびS−SBRを主成分とするゴム成分に100重量部に湿式シリカよりなる充填材を20〜50重量部の割合で配合してなり、厚み2mmのシートにおいて測定される全光線透過率が70%以上であることを特徴とするクリアラバーを提供することができる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を更に具体的に説明するため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
尚、本明細書において、各種物性、試験は下記の方法より実施したものである。
【0052】
(1)比表面積
簡易型窒素吸着法によるBET1点法により求めた。
(2)吸油量
JIS K5101に準じて測定をおこなった。
(3)平均粒子径
少量のサンプルをメタノール溶液に添加し、超音波分散機で60W、3分間分散する。
この溶液を、コールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECRONICS INS製TA−II型)にて、50μm若しくは200μmのアパーチャーを用いて測定を行った。
(4)鉄不純物量
サンプルを一定量測り取り、成型した後に、あらかじめ検量線を作成しておいた、蛍光X線測定装置にて測定を行った。
(5)細孔容積
CARLO ERBA社製の水銀圧入法による細孔径分布測定器ポロシメーター2000型で測定を行った。
(6)湿式シリカのPH
蒸留水(一晩以上汲み置きしたもの)100mLに、試料5gを加え5分間攪拌した後、10分間静置し、pHメーターからの指示値を読み取った。
(7)45μm以上の粗粉の量
試料1kgをビニール袋に入れ、蒸留水で良く湿潤させ、このスラリー溶液を45μmの篩をセットしたミクロウォッシブに少量ずつ投入する。この篩をそのまま乾燥機に入れ105℃で約半日乾燥した後、この篩上に残った粗粉の量を測定する。
(8)電気伝導度
蒸留水(一晩以上汲み置きしたもの)100mLに、試料5gを加え5分間攪拌した後、10分間静置し、電気伝導度計からの指示値を読み取った。
(9)クリアラバーの諸物性
下記の実施例、比較例示した方法によって試験片を作成し、以下の測定に供した。
【0053】
▲1▼クリアラバーの透明性
約2mmの厚みに成形したシートを用いて、JIS−K−7105に準じて、厚み2mmのシートにおいて測定される全光線透過率を測定し、下記の5段階に分けて評価した。
【0054】
【表1】
▲2▼クリアラバーの耐摩耗性
アクロン摩耗機を用い、JIS K−6264に準じて測定を行った。
▲3▼クリアラバーの引張強度及び伸び
JIS K−6301に準じて測定した。
【0055】
▲4▼クリアラバーの黄変
約2mmの厚みに成形したシートを用いて、そのシートの下に白色の紙を敷き、目視で黄変を評価した。評価は、全く黄変がない状態を5、著しく黄変した状態を1として5段階で行った。
【0056】
実施例1
1m3反応槽に予め、水180L及び、珪酸ソーダ溶液7L(市販の珪酸ソーダ溶液:SiO2/Na2O=3.32)を投入し、攪拌しながら水溶液の温度を92℃に調整した。次いで、液温を92℃に保ちながら珪酸ソーダを3.1L/分、22%硫酸を0.49L/分の割合で40分間投入し、ここで一旦珪酸ソーダ及び硫酸の投入を止め、温度を90℃に保ちながら30分間攪拌のみを行った。30分後、再度珪酸ソーダ及び硫酸の投入を開始し最終的には、トータル105分間珪酸ソーダ及び硫酸を添加した。
【0057】
この後、珪酸ソーダの投入を止め、反応液のPHが3.5になるまで硫酸のみを添加し反応を終了した。次いで、この反応液をフィルタープレスを用いて製品の電導度が41μSになるまで十分に濾過、水洗した後、ケークを乾燥し、さらに、粉砕・分級を行い、表2に示す湿式シリカを得た。
上記方法によって得られた湿式シリカを加硫後の全光線透過率79%の市販の透明性未加硫ゴム(BR;70重量部/S−SBR;25重量部/IR;5重量部)100重量部に対して、30重量部の割合となるように配合後、ニーダーにて混練した。次いで、上記得られた組成物に加硫促進剤、老化防止剤を配合して更に混練を行った後、温度160℃で9分間加硫してクリアラバーを得た。
【0058】
得られたクリアラバーの諸物性を表3に示す。
【0059】
実施例2
1m3反応槽に予め、水180L及び、珪酸ソーダ溶液7L(市販の珪酸ソーダ溶液:SiO2/Na2O=3.32)を投入し、攪拌しながら水溶液の温度を92℃に調整した。次いで、液温を89℃に保ちながら珪酸ソーダを3.1L/分、22%硫酸を0.49L/分の割合で115分間投入し、この間、投入は連続的に行った。
この後、珪酸ソーダの投入を止め、反応液のPHが3.3になるまで硫酸のみを添加し反応を終了した。
次いで、この反応液をフィルタープレスを用いて実施例1と同じように十分に濾過、水洗を行った。その後に、ケークを乾燥し、さらに、粉砕・分級を行い、表2に示す湿式シリカを得た。
このようにして得られた湿式シリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーを製造した。
【0060】
得られたクリアラバーの諸物性を表3に示す。
【0061】
実施例3
1m3反応槽に予め、水180L及び、珪酸ソーダ溶液6L(市販の珪酸ソーダ溶液:SiO2/Na2O=3.29)を投入し、攪拌しながら水溶液の温度を92℃に調整した。次いで、液温を95℃に保ちながら珪酸ソーダを3.8L/分、21%硫酸を0.49L/分の割合で40分間投入し、ここで一旦珪酸ソーダ及び硫酸の投入を止め、温度を95℃に保ちながら60分間攪拌のみを行った。60分後、再度珪酸ソーダ及び硫酸の投入を開始し最終的には、トータル130分間珪酸ソーダ及び硫酸を添加した。
【0062】
この後、珪酸ソーダの投入を止め、反応液のPHが3.5になるまで硫酸のみを添加し反応を終了した。次いで、この反応液をフィルタープレスを用いて製品の電導度が36μSになるまで十分に濾過、水洗した後、ケークを乾燥し、さらに、粉砕・分級を行い、表2に示す湿式シリカを得た。
このようにして得られた湿式シリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーを製造した。
【0063】
得られたクリアラバーの諸物性を表3に示す。
【0064】
実施例4
1m3反応槽に予め、水180L及び、珪酸ソーダ溶液7L(市販の珪酸ソーダ溶液:SiO2/Na2O=3.36)を投入し、攪拌しながら水溶液の温度を84℃に調整した。次いで、液温を84℃に保ちながら珪酸ソーダを3.0L/分、22%硫酸を0.50L/分の割合で40分間投入し、ここで一旦珪酸ソーダ及び硫酸の投入を止め、温度を84℃に保ちながら15分間攪拌のみを行った。15分後、再度珪酸ソーダ及び硫酸の投入を開始し最終的には、トータル90分間珪酸ソーダ及び硫酸を添加した。
【0065】
この後、珪酸ソーダの投入を止め、反応液のPHが3.5になるまで硫酸のみを添加し反応を終了した。次いで、この反応液をフィルタープレスを用いて製品の電導度が45μSになるまで十分に濾過、水洗した後、ケークを乾燥し、さらに、粉砕・分級を行い、表2に示す湿式シリカを得た。
このようにして得られた湿式シリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーを製造した。
【0066】
得られたクリアラバーの諸物性を表3に示す。
【0067】
実施例5
1m3反応槽に予め、水180L及び、珪酸ソーダ溶液7L(市販の珪酸ソーダ溶液:SiO2/Na2O=3.32)を投入し、攪拌しながら水溶液の温度を90℃に調整した。次いで、液温を90℃に保ちながら珪酸ソーダを3.1L/分、22%硫酸を0.49L/分の割合で40分間投入し、ここで一旦珪酸ソーダ及び硫酸の投入を止め、温度を90℃に保ちながら30分間攪拌のみを行った。30分後、再度珪酸ソーダ及び硫酸の投入を開始し最終的には、トータル110分間珪酸ソーダ及び硫酸を添加した。
【0068】
この後、珪酸ソーダの投入を止め、反応液のPHが4.1になるまで硫酸のみを添加し反応を終了した。次いで、この反応液をフィルタープレスを用いて製品の電導度が40μSになるまで十分に濾過、水洗した後、ケークを乾燥し、さらに、粉砕・分級を行い、表2に示す湿式シリカを得た。
このようにして得られた湿式シリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーを製造した。
【0069】
得られたクリアラバーの諸物性を表3に示す。
【0070】
実施例6
1m3反応槽に予め、水180L及び、珪酸ソーダ溶液7L(市販の珪酸ソーダ溶液:SiO2/Na2O=3.32)を投入し、攪拌しながら水溶液の温度を90℃に調整した。次いで、液温を90℃に保ちながら珪酸ソーダを3.1L/分、22%硫酸を0.49L/分の割合でトータル120分間珪酸ソーダ及び硫酸を添加した。その後,液温を90℃に保ちながら30分間攪拌のみを行なった。
【0071】
この後、珪酸ソーダの投入を止め、反応液のPHが2.9になるまで硫酸のみを添加し反応を終了した。次いで、この反応液をフィルタープレスを用いて十分に濾過、水洗した後、ケークを乾燥し、さらに、粉砕・分級を行い、表2に示す湿式シリカを得た。
このようにして得られた湿式シリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーを製造した。
【0072】
得られたクリアラバーの諸物性を表3に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
反応終了後、実施例1と同様に水洗・乾燥を施した後に粉砕して表4に示す湿式シリカを得た。
【0075】
このようにして得られた湿式シリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーを製造した。
【0076】
得られたクリアラバーの諸物性を表5に示す。
【0077】
比較例2
実施例1の反応において、反応温度を85℃で実施し、一旦珪酸ソーダ及び硫酸の投入を中断した後に再度珪酸ソーダ及び硫酸を投入するがこの2段目の投入時間を35分間行い、最終的には、トータル75分間珪酸ソーダ及び硫酸を投入して反応を終了させた。
【0078】
反応終了後、実施例1と同様に水洗・乾燥を施した後に粉砕して表4に示す湿式シリカを得た。
【0079】
このようにして得られた湿式シリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーを製造した。
【0080】
得られたクリアラバーの諸物性を表5に示す。
比較例3
実施例2において乾燥後粉砕・分級する際、この粉砕・分級条件を調整し、表4に示す平均粒子径を有する湿式シリカを得た。
【0081】
このようにして得られた湿式シリカを使用して、実施例1と同様にしてクリアラバーを製造した。
【0082】
得られたクリアラバーの諸物性を表5に示す。
【0083】
【表4】
【0084】
得られたクリアラバーの諸物性を表7に示す。
【0085】
【表6】
【表7】
実施例9
実施例1において、透明な未加硫ゴムに対する湿式シリカの添加量を、該未加硫ゴム100重量部に対して、35重量部とした以外は、実施例1と同様にしてクリアラバーを得た。
【0086】
得られたクリアラバーについて、透明性の評価は5、耐摩耗性は0.16cc、引張強度は26.7MPa、伸びは520%、黄変性の評価は5であった。
【0087】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明のクリアラバー用充填材は、透明性未加硫ゴムに配合し混練する際、湿式シリカであるにも拘わらず、少ないシェアによっても分散性が良好であり、最終到達粒子径を極めて小さくすることが可能である。そのため、これを使用して得られるクリアラバーは、著しく優れた透明性を有するという優れた効果を発揮する。
【0088】
このように、湿式シリカを含有しながら、高い透明性を達成したクリアラバーは、本発明によって初めて提案されるものである。
【0089】
また、上記充填材の高分散によって耐摩耗性、耐スリップ性等の機械的性能も十分発揮することが可能である。
【0090】
また、本発明にかかるクリアラバーは、その優れた透明性とゴム特性により、靴底、卓上マット等の意匠性が要求される用途において、好適に使用される。また、上記用途において、クリアラバーには、意匠性さらに向上させるため、顔料、染料等の着色剤、微細金属箔、ビーズ等の装飾用の充填剤などを含んでいてもよい。
Claims (7)
- 比表面積が100〜250m2/g、吸油量(V;cc/100g)と比表面積(S;m2/g)との比(V/S)が1.1〜1.5であり、且つ、平均粒子径が5〜10μmである湿式シリカよりなることを特徴とするクリアラバー用充填材。
- 吸油量が100〜300cc/gである請求項1記載のクリアラバー用充填材。
- 鉄不純物量が0.02重量%以下である請求項1又は2記載のクリアラバー用充填材。
- 細孔容積が2.5cc/g以上である請求項1〜3の何れかに記載のクリアラバー用充填材。
- PHが6〜7.5である請求項1〜4の何れかに記載のクリアラバー用充填材。
- 45μm以上の粗粉の量が0.01重量%以下である請求項1〜5の何れかに記載のクリアラバー用充填材。
- ブタジエンゴムと溶液重合型のスチレン−ブタジエンゴムとを主成分とするゴム成分100重量部に、請求項1記載のクリアラバー用充填材を20〜50重量部の割合で配合してなり、厚み2mmのシートにおいて測定される全光線透過率が70%以上であることを特徴とするクリアラバー。
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