JP4093691B2 - 球状シリカゲルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体クロマトグラフィー用充填剤、化粧品基材、触媒担体その他種々のフィラー、コーティング剤等に用いられる球状シリカゲルの製造方法に関するものである。
【0002】
また本発明は、紫外線吸収剤や光酸化触媒等として使用される金属酸化物粒子を含有する球状シリカゲルの製造方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、球状シリカゲルの製造方法としては、例えばシリカゾルをスプレードライヤーで球状化して乾燥する方法が知られている(特開昭61-171533 号公報参照)。しかしながら、この方法の場合、粒度分布が幅広くなり、また噴霧の際粒子表面にくぼみができ製品の形がいびつになりやすいという問題がある。
【0004】
一方、特開昭58-120525 号公報、特開昭59-54619号公報には、界面活性剤を含む非極性溶媒中で水ガラス等のアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を乳化させた後ゲル化させる方法が記載されている。この方法によれば、粒径分布が狭く真球状に近い球形シリカゲル粒子が得られるが、有機溶媒としてトルエン等を用いた場合は、引火点が低い為、安全性上、取扱上の問題があり、またフロンR−113(トリフルオロトリクロロエタン) を用いた場合は、そのオゾン層破壊係数が大きく(オゾン破壊係数0.8 〜0.9)、環境保全上、使用が制限されるという問題がある。
【0005】
特開平6-64915 号公報には、これを改良する方法として、オゾン層破壊係数が小さな(オゾン破壊係数0.5 以下)、より環境に優しい非極性有機ハロゲン化物溶媒を用いる方法が提案されている。しかしながら、長期的観点から慎重に評価した場合にも、オゾン層等の環境への影響がさらに少ない溶媒の使用が望まれる。
【0006】
なお、紫外線遮蔽機能を有する酸化亜鉛や光酸化触媒機能を有する酸化チタン等の金属酸化物粒子を、その分散性や活性を調整するため、球状シリカゲルに内包させる方法も、上記したような界面活性剤を含む溶媒中で当該金属酸化物粒子を分散させたアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を乳化させ、次いでゲル化させる方法により製造しうることは公知であるが(特開平8-104515号公報) 、上記した溶媒を使用する点で、同様の製造工程上の問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、粒度分布がシャープでかつ真球状の球状シリカゲル、及び金属酸化物粒子を含有する球状シリカゲルを、地球大気圏のオゾン層への影響の懸念が実質的に無い溶媒を使用する方法で製造する方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液をゲル化してシリカゲル粒子を製造する方法において、当該アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、界面活性剤を含む炭素数9〜12の飽和炭化水素からなる溶媒中で乳化させ、次いでこの乳化液をゲル化させることを特徴とする球状シリカゲルの製造方法、により解決される。
【0009】
本発明の上記課題は、また、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液に金属酸化物粒子を分散させた分散液をゲル化して金属酸化物を含有するシリカゲル粒子を製造する方法において、当該金属酸化物粒子を分散させたアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、界面活性剤を含む炭素数9〜12の飽和炭化水素からなる溶媒中で乳化させ、次いでこの乳化液をゲル化させることを特徴とする金属酸化物含有球状シリカゲルの製造方法、により解決される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法におけるアルカリ金属ケイ酸塩のアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム等が挙げられ、そのうち、入手容易性や経済的理由によりナトリウムが最も好ましい。以下、アルカリ金属としてナトリウムを例に取って述べるが、この説明は、他のリチウム、カリウム、ルビジウム等の場合についてもそのまま妥当する。
【0011】
ナトリウムとケイ酸の割合Na2 O/SiO2 は、2.0〜3.8程度、好ましくは2.0〜3.5程度であり、また、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の濃度は、SiO2 として5〜30質量%、好ましくは5〜25質量%である。
【0012】
本発明の方法においては、このようなアルカリ金属ケイ酸塩水溶液をゲル化してシリカゲル粒子を製造するに際し、まず当該アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、界面活性剤を含む炭素数9〜12の飽和炭化水素からなる溶媒中で乳化させる。
【0013】
この炭素数の飽和炭化水素を溶媒として使用する場合、操作性、火気への安全性、ゲル化した粒子との溶媒の分離性、生成シリカゲル粒子の形状特性、水への溶媒の溶解性等を総合的に考慮して、もっとも好ましい結果が得られる。
【0014】
飽和炭化水素は、単独で溶媒として使用してもよいし、この二種以上を混合して使用してもよい。
【0015】
炭素数が9〜12の飽和炭化水素は、一般式でC9 H20、C10H22、C11H24及びC12H26で表示される炭化水素であり、これらは、直鎖状炭化水素であってもよいし、側鎖を有する炭化水素であってもよい。
【0016】
なお、飽和炭化水素の引火点としては、20〜80℃のものが好ましい。引火点が20℃未満の飽和炭化水素を溶媒とした場合は、引火点が低すぎるため、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液をゲル化する際、防火上、作業環境上問題となる。
【0017】
また、飽和炭化水素の引火点が80℃を超えると、得られる球状シリカゲル粒子への炭化水素の付着が無視できなくなる。
【0018】
本発明の製造方法においては、アルカリ金属ケイ酸塩のゲル化によって生ずるシリカゲルヒドロゲルは、後述するように副生するアルカリ金属塩を含有しているので、それを水洗によって除去する必要がある。従来の溶媒を使用する方法においては、水洗の際当該溶媒が水洗液中に一部溶解し排水のCODやBODが問題となることが懸念される。しかしながら、本発明における飽和炭化水素からなる上記の溶媒の場合は、水への溶解量が極めて小さく、排水のCODやBODが問題となる可能性が極めて小さいため特に望ましい。
【0019】
本発明において炭素数が9個の飽和炭化水素(C9 H20)の例としては、ノナン、3−エチルヘプタンなどが、炭素数が10個の飽和炭化水素(C10H22)としては、デカン、2,5,5−トリメチルヘプタンなどが、炭素数が11個の飽和炭化水素(C11H24)としては、ウンデカン、2−メチルデカンなどが、炭素数が12個の飽和炭化水素(C12H26)としては、ドデカン、2,4,5,7−テトラメチルオクタン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタンなどが好ましいものとしてあげられるが勿論これに限られるものではない。すなわち、上記一般式で表示される飽和炭化水素は、側鎖を有するものを含めるとその他にも多数存在し、これらもすべて本発明において使用可能である。
【0020】
なお、本発明の方法で溶媒として使用する場合、その化学的安定性が良好な点で、炭化水素の中でも直鎖飽和炭化水素が特に望ましい。
【0021】
上記例示した炭化水素のうちで、操作上の安全性やシリカゲル粒子との分離容易性を考慮すると、以下の炭化水素が特に好ましいものとして挙げられる。
【0022】
まず、引火点については、C9 H20が約23℃、C10H22が約53℃、C11H24が約70℃、C12H26が約73℃である。火気に対する安全性の面では、引火点が夏期の気温である約30℃より高いものが好ましく、従ってC10H22、C11H24、C12H26が望ましい。
【0023】
一方、分離の容易性から沸点が問題になるが、直鎖飽和炭化水素の場合を例にとると、その沸点は、C9 H20が151℃、C10H22が174℃、C11H24が196℃、C12H26が216℃である。
【0024】
本発明における引火点は、測定する炭化水素の引火点の範囲に応じて、JISK 2253、2265、又は2274に従い、エーベルペンスキー密閉式引火点測定器、ペンスキー−マルテンス密閉式測定器、タグ密閉式測定器、セタ密閉式測定器、クリーブランド開放式引火点測定器により測定した値である。
【0025】
ゲル化した粒子と溶媒は、固液分離されるが、分離後の粒子には、溶媒が付着及び/又は吸着しており、この付着又は吸着している溶媒は、最終的に乾燥操作により気化・分離されるので、最終的に気化(蒸発)により分離しやすいという面では、沸点が200℃以下であることが好ましく、実際的には、C9 H20、C10H22、C11H24が好ましい。
【0026】
以上、火気への安全性及びゲル化した粒子と溶媒との最終的な蒸発分離のしやすさの両面を満たすものとしては、C10H22、C11H24が好ましく、C10H22が最も好ましい。
【0027】
なお、本発明において使用する飽和炭化水素は、人体への安全性の点で、LD50(口経/ラット)が5〜15g/kg程度であり、極めて安全といえる化学物質であり、この点でも溶媒として使用することが好ましいものである。
【0028】
本発明で使用する界面活性剤としては、アニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤も使用可能であるが、親水性/親油性の調節が容易である点でノニオン界面活性剤が好ましく、例えばポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが望ましいものとして挙げられる。
【0029】
界面活性剤の使用量は、界面活性剤の種類、HLB、目的とする球状シリカゲル粒径等によって異なりうるが、通常上記飽和炭化水素からなる溶媒中に500〜20000ppm、好ましくは1000〜10000ppm程度含有させる。500ppm未満であると、乳化される水溶液の液滴が大きくなり、エマルションが不安定になる。また、20000ppmを超えると、製品であるシリカゲル粒子に付着する量が多くなり好ましくない。
【0030】
本発明においては、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、上記界面活性剤を含む飽和炭化水素からなる溶媒中で乳化するのであるが、飽和炭化水素が連続相となりこの中に前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の液滴が分散したエマルション、すなわちW/O型のエマルションが形成されるように、飽和炭化水素溶媒に対して、水溶液は、容積比で0.1〜1の範囲とするのが好ましい。
【0031】
乳化は、撹拌手段を備えた容器、例えばタービン式撹拌機、高速せん断式乳化機、超音波分散機などの装置によって行うのが好ましい。なお、エマルションにおいて、分散液(水溶液)の液滴は、平均粒子径が0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm程度である。
【0032】
このようにして、炭化水素溶媒中に水溶液の液滴が分散したエマルションを形成した後、このエマルション中にゲル化剤を導入して、前記液滴をゲル化させる。球状である水溶液の分散液滴は、この球状を保持したままゲル化され、球状のシリカヒドロゲルが得られるのである。
【0033】
ゲル化剤としては、無機酸や有機酸等の酸が用いられ、特に無機酸である硫酸、塩酸、硝酸、炭酸等が好ましいものとして挙げられる。操作の容易性等の点で、最も好ましくは、炭酸をガス状の炭酸ガスとして用いることである。
【0034】
炭酸ガスは、100%濃度の純炭酸ガスを導入してもよいし、空気や不活性ガスで希釈した炭酸ガスを導入してもよい。ゲル化に要する時間は、通常、4〜30minが好ましく、ゲル化時の温度は、5〜30℃が好ましい。
【0035】
ゲル化の終了後に、反応系を静置することにより、2相分離させる。すなわち、上層は、比重の軽い有機相である飽和炭化水素が、下層は、重いシリカヒドロゲルを含む水スラリに2相分離するので、両者を機械的手段により分離する。
【0036】
シリカヒドロゲルの水スラリーは、所望により、硫酸等の酸を添加してpHを1〜5程度に調整してゲル化を完結させ、又は60〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度で水蒸気蒸留して当該水スラリー中に存在している僅かの飽和炭化水素を留出させて除去し、さらにはpH7〜9程度の適当なpHで加温してシリカヒドロゲル粒子の熟成を行う。
【0037】
かかる所望の処理を行った後、水スラリーを濾過してヒドロゲル粒子を得、これを100〜150℃程度の温度で、10〜30時間程度乾燥することにより、球状、好ましくは真球状のシリカゲル粒子が得られる。
【0038】
なお、ゲル化に用いた酸によりアルカリ金属塩、例えば炭酸を用いた場合は、炭酸ナトリウムが副生するので、この製品シリカゲル粒子への混入を防止するため、濾過した際のシリカヒドロゲル粒子(ウエットケーキ)は、充分水洗することが好ましい。場合によっては、水洗後のウエットケーキに再度水を添加してスラリーとして、再度濾過、水洗を繰り返してもよい。なおこの際、所望により当該スラリーのpHを1〜5程度に調整して再度熟成する操作を行ってもよい。
【0039】
以上述べた球状シリカゲル粒子の製造方法は、金属酸化物粒子を含有する球状シリカゲル粒子を製造する場合にも同様に適用される。
【0040】
すなわち、この場合は、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液をゲル化する代わりに、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液に金属酸化物粒子を分散させた分散液をゲル化することにより金属酸化物を含有するシリカゲル粒子が製造される。
【0041】
本発明における金属酸化物とは、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化銀、酸化第一銅、酸化第二銅、酸化第一コバルト、四三酸化コバルト、酸化第二コバルト、酸化第一ニッケル、酸化第二ニッケル、酸化トリウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、二酸化マンガン、三酸化マンガン、酸化第一スズ、酸化第二スズ等が好ましいものとして挙げられる。そして、目的に応じて選択され、例えば大きい紫外線遮蔽機能が要求される場合は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、又は酸化鉄の微粒子が好ましく、赤外線遮蔽機能が要求される場合は、酸化スズ微粒子が好ましい。一方、光酸化触媒機能が要求される場合は、二酸化チタンが好ましく、特に好ましくはアナターゼ型の二酸化チタンが使用される。
【0042】
本発明における金属酸化物粒子とは、所謂超微粒子と称するものをも包含するもので、一次粒子の大きさ( 粒径 )が、0.002〜0.5μmのものである。そして、0.01〜0.5μmが好ましく、0.03〜0.3μmであるものがさらに好ましい。
【0043】
金属酸化物粒子は、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液に分散させられるが、金属酸化物の分散量は、得られる球状シリカゲル中に、必要量の金属酸化物粒子を分散性よく内包させるため、溶液中のSiO2 と金属酸化物合計量に対して、10〜60質量%、好ましくは20〜60質量%とすることが望ましい。
【0044】
金属酸化物粒子のアルカリ金属ケイ酸塩水溶液中への分散は、高速せん断式分散機、媒体撹拌ミル、超音波分散機などにより行うことができる。特に好ましくは、媒体撹拌ミルであり、これにより容易に均一かつ微細な分散を達成できる。媒体であるビーズは、例えばジルコニア製が好ましく、ビーズ直径が2mm以下、0.5mm以下のものが更に好ましい。
【0045】
この金属酸化物粒子を分散させたアルカリ金属ケイ酸塩水溶液は、上記したごとく界面活性剤を含む飽和炭化水素からなる溶媒中で乳化させられ、この乳化液をゲル化し、同様に処理することにより、金属酸化物含有球状シリカゲルが得られる。
【0046】
なお、溶媒として使用する飽和炭化水素は、球状シリカゲルの場合と全く同様のものが使用されることは、自明であろう。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の方法を実施例により詳細に説明する。
【0048】
〔実施例1〕
(1) SiO2 濃度24.4質量%、Na2 O濃度8.14質量%(SiO2 /Na2 Oモル比=3.09)のケイ酸ナトリウム水溶液を調整した。
【0049】
溶媒としては、炭素数10個の直鎖飽和炭化水素C10H22(東ソー社製、商品名HC−250)を使用した。
【0050】
界面活性剤としてソルビタンモノオレイン酸エステルを3.65g溶解したC10H221000ml(界面活性剤濃度5000ppm)を、3000ml塩化ビニル製容器中で攪拌機(特殊機化工業社製、商品名ホモミキサーHV−M型)により10000rpmで攪拌しつつ、上記のケイ酸ナトリウム水溶液を230ml加え5分間攪拌し乳化した。
【0051】
(2) 次いで炭酸ガスを1300ml/minの供給速度で25℃の条件下、4分間吹き込んでゲル化を行った。生成したシリカヒドロゲルを、C10H22から比重差で2相分離し、シリカヒドロゲルの水スラリーを得た。次に20%の硫酸を添加しpH2としゲル化を完結させた。次いで、ウォーターバスを用い液温100℃で1時間の水蒸気蒸留を行うことでC10H22の分離を更に進めた後、80℃においてpH8.5で2時間熟成し、濾過後5000mlの水でヒドロゲル中のナトリウム塩を洗浄した。次いで、濾過後のウエットケーキに2000mlの水を加えてスラリーとし、このスラリーに20%硫酸を添加してpH1.5に調整し、3時間静置した後、さらに濾過し15000mlの水で洗浄して120℃で20時間乾燥し、球状のシリカゲルを得た。
【0052】
(3) C10H22溶媒使用で得られたシリカゲル粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒径の極めて揃った、真球状の球形シリカゲル粒子であることが認められた。粒子の平均粒子径は、10.9μm(日科機社製、商品名コールターカウンターMAII型で測定)、細孔容積は0.89ml/g、比表面積は、400m2 /g(日本ベル社製、商品名ベルソープ28型で測定)であった。
【0053】
なお、中和後の合計洗浄液( 洗浄排水) 中のCOD(JIS K 0102)は、2.5mg/l、BOD(JIS K 0102)は、2.0mg/lであった。
【0054】
〔実施例2〕
(1) SiO2 濃度24.4質量%、Na2 O濃度8.14質量%(SiO2 /Na2 Oモル比=3.09)のケイ酸ナトリウム水溶液を調整した。
【0055】
溶媒としては、炭素数9個の飽和炭化水素C9 H20(協和醗酵社製、商品名協和ゾールC−900(ノナン異性体の混合物))を使用した。
【0056】
界面活性剤としてソルビタンモノオレイン酸エステルを3.65g溶解したC9 H201000ml(界面活性剤濃度5000ppm)を、3000ml塩化ビニル製容器中で攪拌機(特殊機化工業社製、商品名ホモミキサーHV−M型)により10000rpmで攪拌しつつ、上記のケイ酸ナトリウム水溶液を230ml加え5分間攪拌し乳化した。
【0057】
(2) 次いで炭酸ガスを1300ml/minの供給速度で25℃の条件下、4分間吹き込んでゲル化を行った。生成したシリカヒドロゲルをC9 H20から比重差で分離し、シリカヒドロゲルの水スラリーを得た。次に20%の硫酸を添加しpH2としてゲル化を完結させた。次いで、ウォーターバスを用い液温100℃で1時間の水蒸気蒸留を行うことでC9 H20の分離を更に進めた後、80℃においてpH8.5で2時間熟成し、5000mlの水でヒドロゲル中のナトリウム塩を洗浄した。次いで20%硫酸を添加し、3時間静置した後、15000mlの水で洗浄し120℃で20時間乾燥し、球状のシリカゲルを得た。
【0058】
(3) C9 H20溶媒使用で得られたシリカゲル粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒径の極めて揃った、真球状の球形シリカゲル粒子であることが認められた。粒子の平均粒子径は、10.5μm(日科機社製、商品名コールターカウンターMA−II型で測定)細孔容積は、0.90ml/g、比表面積は411m2 /g(日本ベル社製、商品名ベルソープ28型で測定)であった。
【0059】
〔実施例3〕
(1) SiO2 濃度24.4質量%、Na2 O濃度8.14質量%(SiO2 /Na2 Oモル比=3.09)のケイ酸ナトリウム水溶液を調整した。
【0060】
溶媒としては、炭素数11個の直鎖飽和炭化水素C11H24(東ソー社製、商品名HC−370)を使用した。
【0061】
界面活性剤としてソルビタンモノオレイン酸エステルを3.65g溶解したC11H241000ml(界面活性剤濃度5000ppm)を、3000ml塩化ビニル製容器中で攪拌機(特殊機化工業社製、商品名ホモミキサーHV−M型)により10000rpmで攪拌しつつ、上記のケイ酸ナトリウム水溶液を230ml加え5分間攪拌し乳化させた。
【0062】
(2) 次いで炭酸ガスを1300ml/minの供給速度で25℃の条件下、4分間吹き込んでゲル化を行った。生成したシリカヒドロゲルをC11H24から比重差で分離し、シリカヒドロゲルの水スラリーを得た。次に20%の硫酸を添加しpH2としゲル化を完結させた。次いで、ウォーターバスを用い液温100℃で1時間の水蒸気蒸留を行うことでC11H24の分離を更に進めた後、80℃においてpH8.5で2時間熟成し、5000ml の水でヒドロゲル中のナトリウム塩を洗浄した。次いで20%硫酸を添加し、3時間静置した後、15lの水で洗浄し120℃で20時間乾燥し、球状のシリカゲルを得た。
【0063】
(3) C11H24溶媒使用で得られたシリカゲル粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒径の極めて揃った、真球状の球形シリカゲル粒子であることが認められた。粒子の平均粒子径は、11.8μm(日科機社製、商品名コールターカウンターMA−II型で測定)細孔容積は、0.97ml/g、比表面積は454m2 /g(日本ベル社製、商品名ベルソープ28型で測定)であった。
【0064】
〔実施例4〕
(1) SiO2 濃度24.4質量%、Na2 O濃度8.14質量%(SiO2 /Na2 Oモル比=3.09)のケイ酸ナトリウム水溶液を調整した。
【0065】
溶媒としては、炭素数12個の飽和炭化水素C12H26(協和醗酵社製、商品名協和ゾールC−1200H)を使用した。
【0066】
界面活性剤としてソルビタンモノオレイン酸エステルを3.65g溶解したC12H261000ml(界面活性剤濃度5000ppm)を、3000ml塩化ビニル製容器中で攪拌機(特殊機化工業社製、商品名ホモミキサーHV−M型)により10000rpmで攪拌しつつ、上記のケイ酸ナトリウム水溶液を230ml加え5分間攪拌し乳化した。
【0067】
(2) 次いで炭酸ガスを1300ml/minの供給速度で25℃の条件下、4分間吹き込んでゲル化を行った。生成したシリカヒドロゲルをC12H26から比重差で分離し、シリカヒドロゲルの水スラリーを得た。次に20%の硫酸を添加しpH2としゲル化を完結させた。次いで、ウォーターバスを用い液温100℃で1時間の水蒸気蒸留を行うことでC12H26の分離を更に進めた後、80℃においてpH8.5で2時間熟成し、5000mlの水でヒドロゲル中のナトリウム塩を洗浄した。次いで20%硫酸を添加し、3時間静置した後、15000mlの水で洗浄し120℃で20時間乾燥し、球状のシリカゲルを得た。
【0068】
(3) C12H26溶媒使用で得られたシリカゲル粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒径の極めて揃った、真球状の球形シリカゲル粒子であることが認められた。粒子の平均粒子径は、11.3μm(日科機社製、商品名コールターカウンターMA−II型で測定)細孔容積は、0.88ml/g、比表面積は428m2 /g(日本ベル社製、商品名ベルソープ28型で測定)であった。
【0069】
〔実施例5〕
(1) SiO2 濃度22.3質量%、Na2 O濃度7.44質量%(SiO2 /Na2 Oモル比=3.40)のケイ酸ナトリウム水溶液375.8gを調整した。
【0070】
このケイ酸ナトリウム水溶液中に、平均粒子径0.01μmのアナターゼ型二酸化チタン粒子45gを加え、直径0.3mmの安定化ジルコニアビーズによる媒体撹拌ミルを用いて滞留時間5分で分散させ、ケイ酸ナトリウム水溶液中に二酸化チタン粒子が分散した分散液を得た。
【0071】
この分散液を、1000mlのC10H22(東ソー社製、商品名HC−250)に、界面活性剤としてソルビタンモノオレイン酸エステル3.65gを溶解した有機溶媒中に投入し、ホモミキサーで乳化させ、当該有機溶媒中に前記分散液の液滴が分散したエマルションを得た。
【0072】
(2) 得られた乳化液に、空気で希釈した炭酸ガス( CO2 濃度40体積% )を吹き込み、分散液の液滴をゲル化させた。炭酸ガスの吹き込みを12分間行った後、C10H22を分離し、球状シリカ粒子と水からなるスラリーを得た。
【0073】
このスラリーを濾過し、得られたケーキを脱塩水で洗浄、乾燥し、アナターゼ型二酸化チタン含有球状シリカゲルを得た。
【0074】
(3) シリカゲル粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒径の極めて揃った、アナターゼ型二酸化チタンを含有する真球状の球形シリカゲル粒子であることが認められた。当該シリカゲル粒子中の二酸化チタンの含有量は、34質量%、平均粒径は、3.4μmであった。細孔容積は、1.1ml/g、比表面積は、300m2 /gであった。
【0075】
また、この粒子の分光透過率を以下の方法で測定した。
上記二酸化チタン含有球状シリカゲル球状粒子0.4gに、ワセリン1.12g、流動パラフィン0.48gを添加し、3本ロールを用いて良く分散させて得たペーストを、厚さ2mmの石英板2枚に挟み込み、層厚が25μmになるまで展着させ、自記式分光光度計を用いて分光透過率を測定した。
【0076】
その結果、500nmでは透過率56.3%、400nmでは透過率38.0%、360nmでは透過率10.5%、320nmでは透過率6.5%、290nmでは透過率6.8%であった。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方法においては、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を乳化させる際の溶媒として、特定の炭素数の飽和炭化水素を用いているので、防火性も操作性もよく、またオゾン層への影響が極めて少ない溶媒を使用するので、環境保全上も好ましい球状シリカゲルの製造方法であると言える。
【0078】
なお、飽和炭化水素は、生体に対する安全性も大きい化合物であり、この点からも環境安全性上、従来の溶媒に比較して好ましいものである。
Claims (6)
- アルカリ金属ケイ酸塩水溶液をゲル化してシリカゲル粒子を製造する方法において、当該アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、界面活性剤を含む炭素数9〜12の飽和炭化水素からなる溶媒中で乳化させ、前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の液滴が当該溶媒中に分散したW/O型のエマルションを形成し、次いでこの乳化液に100%濃度の炭酸ガスをそのまま又は空気もしくは不活性ガスで希釈して吹き込んでを当該金属ケイ酸塩水溶液の液滴と接触させ当該液滴をゲル化させることを特徴とする粒径の極めて揃った真球状の球状シリカゲルの製造方法。
- 飽和炭化水素の引火点が20℃〜80℃のものである請求項1に記載の球状シリカゲルの製造方法。
- 飽和炭化水素が直鎖状飽和炭化水素である請求項1又は2に記載の球状シリカゲルの製造方法。
- アルカリ金属ケイ酸塩水溶液に金属酸化物粒子を分散させた分散液をゲル化して金属酸化物を含有するシリカゲル粒子を製造する方法において、当該金属酸化物粒子を分散させたアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、界面活性剤を含む炭素数9〜12の飽和炭化水素からなる溶媒中で乳化させ、前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の液滴が当該溶媒中に分散したW/O型のエマルションを形成し、次いでこの乳化液に100%濃度の炭酸ガスをそのまま又は空気もしくは不活性ガスで希釈して吹き込んでを当該金属ケイ酸塩水溶液の液滴と接触させ当該液滴をゲル化させることを特徴とする粒径の極めて揃った真球状の金属酸化物含有球状シリカゲルの製造方法。
- 飽和炭化水素の引火点が20℃〜80℃のものである請求項4に記載の金属酸化物含有球状シリカゲルの製造方法。
- 飽和炭化水素が直鎖状飽和炭化水素である請求項4又は5に記載の金属酸化物含有球状シリカゲルの製造方法。
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