JP4093616B2 - ブレーキのペダル取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体側に固設するベース部材に足踏みレバーの基部を揺動可能に支持し、該足踏みレバーの先端部にペダルプレートを取り付けて成り、該ペダルプレートを踏むことにより操作力をブレーキ本体に伝えるブレーキのペダル構造に関する。この種のブレーキには、足踏み式パーキングブレーキ等がある。
【0002】
【従来の技術】
従来、足踏み式のブレーキでは、揺動操作する足踏みレバーの先端部に、ペダルプレートが取り付けられており、足踏みレバーもペダルプレートも通常は金属により成形される。ここでペダルプレートの取付構造として、例えば図15に示すようなものがある。
【0003】
すなわち、足踏みレバー1の先端部2は、その端縁がペダルプレート3の中央表面に対接した状態で溶接されてペダルプレート3に一体に固設されている。ペダルプレート3は実際足で踏みつけて操作力を入力する部位であり、足踏みレバー1に対しての相当な取付強度が要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような溶接によるペダルプレート3の取付構造では、溶接により足踏みレバー1及びペダルプレート3の特に溶着金属の部分4が変生することがあり、取付部分の強度劣化を招く虞があった。また、溶接作業は、煩わしく時間がかかり、コストが嵩むという問題もあった。
【0005】
更に、足踏みレバー1の先端部2の形状によっては、矢印Sで示す箇所のように、溶接トーチを当てにくく、溶接しにくかったり、あるいは溶接できないような部分が生じることがあり、取付作業の能率が下がるばかりか、十分な取付強度を得ることができないような場合もあった。
【0006】
本発明は、以上のような従来技術が有する問題点に着目してなされたもので、足踏みレバーの先端部にペダルプレートを簡易かつ迅速に取り付けることができ、しかも十分な取付強度を得ることができるブレーキのペダル構造を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項に存する。
[1]車体側に固設するベース部材(11)に足踏みレバー(20)の基部(21)を揺動可能に支持し、該足踏みレバー(20)の先端部(22)にペダルプレート(27)を取り付けて成り、該ペダルプレート(27)を踏むことにより操作力をブレーキ本体に伝えるブレーキのペダル構造において、
前記足踏みレバー(20)の先端部(22)に被かしめ片(23、24)を突設するとともに前記被かしめ片(23、24)の折り曲げ乃至潰された部位に対しペダルプレート(27)を挟んで対向するあご部(25、26)を設ける一方、前記ペダルプレート(27)の中央部(27a)は段状に凹んでおり、該中央部(27a)に前記被かしめ片(23、24)を貫装させる取付孔(28、29)を穿設し、
前記足踏みレバー(20)の被かしめ片(23、24)をペダルプレート(27)の取付孔(28、29)に貫装した状態で、被かしめ片(23、24)をプレスし折り曲げ乃至潰して前記ペダルプレート(27)に圧着し、該被かしめ片(23、24)は前記中央部(27a)に収まることを特徴とするブレーキのペダル構造。
【0009】
[2]前記足踏みレバー(20)の先端部(22)に、前記被かしめ片(23、24)を相対向するように一対突設したことを特徴とする[1]記載のブレーキのペダル構造。
【0010】
[3]前記一対の被かしめ片(23、24)を、同一方向にプレスし折り曲げたことを特徴とする[2]記載のブレーキのペダル構造。
【0011】
[4]前記一対の被かしめ片(23、24)を、互いに向き合う方向にプレスし折り曲げたことを特徴とする[2]記載のブレーキのペダル構造。
【0012】
次に前述した解決手段に基づく作用を説明する。
[1]項に係るブレーキのペダル構造によれば、足踏みレバー(20)の先端部(22)に被かしめ片(23、24)を突設する一方、ペダルプレート(27)の中央部(27a)は段状に凹んでおり、該中央部(27a)に、前記被かしめ片(23、24)を貫装させる取付孔(28、29)を穿設する。
【0013】
そして、足踏みレバー(20)の被かしめ片(23、24)をペダルプレート(27)の取付孔(28、29)に貫装した状態で、被かしめ片(23、24)をプレスし、折り曲げ乃至潰してペダルプレート(27)に圧着すればよい。折り曲げ潰された被かしめ片(23、24)は、ペダルプレート(27)の中央部(27a)内に収まる。
【0014】
このようなプレスによるかしめによれば、従来の溶接作業に比べて、足踏みレバー(20)の先端部(22)にペダルプレート(27)を簡易かつ迅速に取り付けることができる。また、被かしめ片(23、24)がかしめにより変生することはなく、十分な取付強度を得ることができる。
【0015】
さらに、足踏みレバー(20)の先端部(22)に、被かしめ片(23、24)の折り曲げ乃至潰された部位に対しペダルプレート(27)を挟んで対向するあご部(25、26)を設けたので、プレスの際に前記あご部(25、26)の下に治具を置き、圧力を受け止めることができ、かしめを確実に行うことができる。また、プレス後にペダルプレート(27)は被かしめ片(23、24)とあご部(25、26)とにより挟持されるため、取付強度をより高めることができる。
【0016】
前記被かしめ片(23、24)は、[2]項記載のように、相対向するよう一対突設すれば、十分な取付強度を確保できる。ここで一対の被かしめ片(23、24)は、[3]項記載のように、同一方向にプレスし折り曲げてもよく、[4]項記載のように、互いに向き合う方向にプレスし折り曲げてもよい。前者の場合、プレスを容易に行うことができ、後者の場合、高い取付強度を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の各種実施の形態を説明する。
図1〜図11は本発明の第1の実施の形態を示している。
本実施の形態に係るブレーキは、足踏み式パーキングブレーキ10である。ただし、本発明に係るブレーキは、パーキングブレーキに限定されるものではなく、常用ブレーキや補助ブレーキに適用してもよい。
【0018】
図11に示すように、足踏み式パーキングブレーキ10は、車体側に固設するベース部材11に、足踏みレバー20の基部21を枢軸12により揺動可能に支持し、該足踏みレバー20の揺動端側である先端部22にペダルプレート27を取り付けて成る。本ブレーキ10は、ペダルプレート27を踏むことにより、その操作力をブレーキ本体(図示せず)に伝えるように構成されている。
【0019】
図4〜図6に示すように、足踏みレバー20は、枢軸12が軸支される軸孔21aを中心として平面状に広がる基部21の一端より先端部22を含む揺動端側が細幅状に延出しており、金属から成形される。基部21の周縁には、セクタ歯部材35を取り付けるための固定部21bや、その他ストッパ21c等が設けられている。
【0020】
足踏みレバー20の先端部22には、操作者の脚方向に踏面を向けたペダルプレート27が固設されるが、先端部22には、ペダルプレート27を取り付けるための一対の被かしめ片23、24が相対向するように突設されている。また、先端部22における各被かしめ片23、24の根元側には、プレスにより折り曲げ乃至潰された各被かしめ片23、24に対しペダルプレート27を挟んで対向するあご部25、26が設けられている。
【0021】
図7及び図8に示すように、ペダルプレート27は略矩形状に金属から成形され、その中央部27aは段状に凹んでいる。この中央部27aには、前記各被かしめ片23、24を貫装させるための一対の取付孔28、29が穿設されている。各取付孔28、29は、互いに平行に延びるスリット状に穿設されている。
【0022】
図1〜図3に示すように、足踏みレバー20の各被かしめ片23、24をペダルプレート27の各取付孔28、29に貫装した状態で、被かしめ片23、24をプレスし折り曲げ乃至潰してペダルプレート27に圧着している。本実施の形態では、各被かしめ片23、24は、図3中で矢印A、A’で示した同一方向にプレスし折り曲げ乃至潰されている。なお、折り曲げ乃至潰された被かしめ片23、24は、ペダルプレート27の中央部27a内に収まっている。
【0023】
プレス後の中央部27aにおける各取付孔28、29の内縁周囲は、前記被かしめ片23、24とあご部25、26とにより強固に挟持されている。また、図9及び図10に示すように、ペダルプレート27にはペダルプレートパッド30が装着されている。ペダルプレートパッド30は、例えば合成樹脂から成形され、操作者の脚方向を向く踏み面31には、滑り止めの溝32が設けられている。
【0024】
また、足踏み式パーキングブレーキ10について詳しく言えば、図11に示すように、足踏みレバー20の基部21には、連結ブラケット33を介してブレーキ力を伝えるブレーキケーブル34が連結されている。また、基部21にはセクタ歯部材35が固着され、セクタ歯部材35のセクタ歯に噛み合わして係止する爪部材40を備えている。
【0025】
爪部材40の爪端41をセクタ歯部材35のセクタ歯に係脱するため、爪部材40の揺動端42を押圧する押圧子47を備えた解除部材46と、解除部材46の先端側に止結されたリリースケーブル48と、リリースケーブル48を引っ張るリリースハンドル49より成るリリース機構45が設けられている。
【0026】
セクタ歯部材35のセクタ歯に噛合する爪端41を有する爪部材40は枢支軸43により基部がベース部材11に枢着されており、枢支軸43からアーム状に長く延びた揺動端42をリリース機構45を構成する解除部材46の押圧子47が臨んでいる。
【0027】
揺動端42とベース部材11との間には、爪端41がセクタ歯部材35のセクタ歯に噛合する方向に爪部材40を付勢するばね42aが張設されている。解除部材46は枢支軸46aによりベース部材11に揺動可能に枢支され、枢支軸46aの近傍に押圧子47が形成されており、遊端部46bにリリースケーブル48が止結されている。
【0028】
また、足踏みレバー20の略中間部位と枢支軸43との間には緩衝部材36が架設されている。緩衝部材36は、足踏みレバー20の戻り力を減退させて足踏みレバー20が戻る際の反動を緩衝し、衝撃を少なくするものであり、例えば、空気圧シリンダにより構成される。
【0029】
次ぎにペダルプレートの取り付けについて説明する。
足踏みレバー20の先端部22にペダルプレート27を取り付けるには、先ず図2に示すように、足踏みレバー20の先端部22に突設した一対の被かしめ片23、24を、ペダルプレート27の中央部27aに穿設してある取付孔28、29に貫装させる。かかる状態で、被かしめ片23、24をプレスし折り曲げ乃至潰して、該被かしめ片23、24をペダルプレート27の中央部27aに圧着すればよい。
【0030】
更に詳しく言えば、図1において、被かしめ片23、24を取付孔28、29に貫装させてペダルプレート27を上に向かせた状態にし、先端部22の下に治具51を宛う。この治具51上にて、先端部22の側壁を下に敷くようにして受け型52を設置し、また、受け型52の横に、先端部22の先端壁を挟むようにして受け型53を直接治具51上に設置する。
【0031】
この時、先端部22に設けたあご部25、26の下側は、それぞれ受け型52、53の上面に当接している。また、先端部22とペダルプレート27は、それぞれ矢印a、bの方向に加圧し押さえておくとよい。そして、先端部22の被かしめ片23、24を、それぞれ同一の矢印A、A’の方向に折り曲げ潰すように、上型54で十分にプレスしてかしめる。
【0032】
すると、被かしめ片23、24は、プレスにより折り曲げ潰されて、先端部22に対してペダルプレートは強固に圧着される。折り曲げ潰された被かしめ片23、24は、ペダルプレート27の中央部27a内に収まる。また、中央部27aにおける各取付孔28、29の内縁周辺は、前記被かしめ片23、24とあご部25、26とにより強固に挟持される。
【0033】
以上のようなプレスによるかしめによれば、従来の溶接作業に比べて、足踏みレバー20の先端部22にペダルプレート27を簡易かつ迅速に取り付けることができる。また、被かしめ片23、24がかしめにより変生することはなく、十分な取付強度を得ることができる。
【0034】
以下、足踏み式パーキングブレーキ10の作用について簡単に説明する。図11中で実線に示すように、足踏みレバー20が踏み込み前の解除状態にあるとき、足踏みレバー20の基部21に設けたセクタ歯部材35のセクタ歯と爪部材40の爪端41との間には制動反力がかかっていない。
【0035】
ペダルプレートを踏み込んで足踏みレバー20を揺動させると、ブレーキケーブル23が引き絞られて制動力が発生する。足踏みレバー20の揺動に伴いセクタ歯部材35も移動し、爪部材40との相対変位によりその爪端41がセクタ歯部材35のセクタ歯を乗り越えて移動する。
【0036】
足踏みレバー20のペダルプレートを十分に踏み込み、足に加えた力をゆるめると足踏みレバー20は復帰しようとし、セクタ歯部材35のセクタ歯と爪部材40の爪端41とは制動反力を受けて噛み合わし、ブレーキケーブル23が引き絞られた制動状態を保持する。
【0037】
制動解除するときは、リリース機構45により爪部材40を爪端41がセクタ歯部材35のセクタ歯から外れる方向に小角度回動させる。すなわち、リリースハンドル49をつかんで引くと、リリースケーブル48が引き絞られ解除部材46が回動する。
【0038】
解除部材46は回動すると押圧子47により爪部材40の揺動端42を押し、爪部材40は爪端41がセクタ歯部材35のセクタ歯から離間する方向に回動する。爪部材40の爪端41がセクタ歯部材35のセクタ歯から外れると、足踏みレバー20は制動反力により復帰方向に揺動して解除状態に戻り、ブレーキケーブル23が緩んで制動が解除される。
【0039】
図12は本発明の第2の実施の形態を示している。
本実施の形態は、一対の被かしめ片23、24を、互いに向き合う方向にプレスし折り曲げ潰したものである。かかる場合、より高い取付強度を得ることができる。
【0040】
また、他の実施の形態として、図13に示すように、一対の被かしめ片23、24を図中の真上方向からプレスし、被かしめ片23、24を扁平に潰すようにかしめてもよい。
【0041】
あるいは、図14に示すように、一方の被かしめ片23を真上方向からプレスして扁平に潰し、他方の被かしめ片24を横方向からプレスして、折り曲げるようにかしめてもよい。
なお、本発明に係るブレーキのペダル構造は、図示した各実施の形態に限定されるものではない。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係るブレーキのペダル構造によれば、足踏みレバーの先端部に被かしめ片を突設し、ペダルプレートの中央部は段状に凹んでおり、該中央部に取付孔を穿設し、被かしめ片を取付孔に貫装した状態で、被かしめ片をプレスし折り曲げ乃至潰してペダルプレートに圧着し、該被かしめ片は前記中央部に収まるから、従来の溶接作業に比べて、足踏みレバーの先端部にペダルプレートを簡易かつ迅速に取り付けることができ、また、被かしめ片がかしめにより変成することはなく、十分な取付強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るブレーキのペダル構造を示す作用説明図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係るブレーキの足踏みレバーの先端部にペダルプレートを取り付ける最初の工程を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係るブレーキのペダル構造を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係るブレーキの足踏みレバーを示す正面図である。
【図5】図4のV矢視図である。
【図6】図5のVI矢視図である。
【図7】本発明の第1実施の形態に係るブレーキのペダルプレートを示す正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】本発明の第1実施の形態に係るブレーキの足踏みレバーにペダルプレートを取り付けた後の状態を示す正面図である。
【図10】図9のX矢視図である。
【図11】本発明の第1実施の形態に係るブレーキ全体を示す正面図である。
【図12】本発明の第2実施の形態に係るブレーキのペダル構造を示す断面図である。
【図13】本発明の他の実施の形態に係るブレーキのペダル構造を示す断面図である。
【図14】本発明の他の実施の形態に係るブレーキのペダル構造を示す断面図である。
【図15】従来例のブレーキのペダル構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
11…ベース部材
12…枢軸
20…足踏みレバー
21…基部
22…先端部
23…被かしめ片
25…あご部
27…ペダルプレート
27a…中央部
28…取付孔
30…ペダルプレートパッド
51…治具
52、53…受け型
54…上型
Claims (4)
- 車体側に固設するベース部材に足踏みレバーの基部を揺動可能に支持し、該足踏みレバーの先端部にペダルプレートを取り付けて成り、該ペダルプレートを踏むことにより操作力をブレーキ本体に伝えるブレーキのペダル構造において、
前記足踏みレバーの先端部に被かしめ片を突設するとともに前記被かしめ片の折り曲げ乃至潰された部位に対しペダルプレートを挟んで対向するあご部を設ける一方、前記ペダルプレートの中央部は段状に凹んでおり、該中央部に前記被かしめ片を貫装させる取付孔を穿設し、
前記足踏みレバーの被かしめ片をペダルプレートの取付孔に貫装した状態で、被かしめ片をプレスし折り曲げ乃至潰して前記ペダルプレートに圧着し、該被かしめ片は前記中央部に収まることを特徴とするブレーキのペダル構造。 - 前記足踏みレバーの先端部に、前記被かしめ片を相対向するように一対突設したことを特徴とする請求項1記載のブレーキのペダル構造。
- 前記一対の被かしめ片を、同一方向にプレスし折り曲げたことを特徴とする請求項2記載のブレーキのペダル構造。
- 前記一対の被かしめ片を、互いに向き合う方向にプレスし折り曲げたことを特徴とする請求項2記載のブレーキのペダル構造。
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