JP4093501B2 - 感光性化合物及び感光性樹脂 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な感光性化合物及び感光性樹脂に関し、特に、例えば、ブラウン管用、スクリーン印刷用、その他表示管用、固定化酵素用、PS板用、エッチングレジスト用などの用途で使用可能な感光性化合物及び感光性樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、感光性ユニットとして、未変性ポリビニルアルコールにスチリルピリジウム塩化合物又はスチリルキノリウム塩化合物などの第4級アンモニウム塩を縮合反応させた感光性樹脂を含有するもの(PVA−SbQ系レジストという)が知られている(特公昭56−5761号公報、特公昭56−5762号公報、特開昭56−11906号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかるPVA−SbQ系レジストは、感光速度が速い等の利点を有しているが、イオン的にはカチオン性のものに限定されてしまうので、用途及び組成物の制限が出てくる。また、露光光源として、水銀灯(365nm)の他、メタルハライド(400nm)の光源を用いるため、感光波長を長波長に設定するには、4−メチルキノリン等を使用する必要があり、コスト高になるという欠点がある。
【0004】
従って、例えば、ブラウン管用、スクリーン印刷用、その他表示管用などの用途においては、400nmという長波長で感光性が良好で、水系溶媒に溶解乃至分散できるものが要望されている。また、特に、蛍光体パターン形成用途としては、バインダポリマーとしてポリビニルアルコール(PVA)が優れているので、PVA系レジストで、PVA−SbQ系レジストより感光波長が長く、且つイオン性についても用途によりカチオン、アニオン、ノニオンの使い分けが可能な感光性樹脂が要望されている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑み、新規な感光性樹脂を調製可能な感光性化合物及びこれを用いた感光性樹脂を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の感光性化合物は、下記一般式で示されることを特徴とする感光性化合物にある。
【0007】
【化7】
【0008】
ここで、RはC6までのアルキル基,および二つのRが一緒になって形成する−(CH2)m−(mは2または3)から選択される。また、nは1,2又は3である。さらに、Rxは下記Rx1〜Rx9から選択され、Rx1〜Rx9中のXは下記X 1 〜X 13 から選択され、Yは、H,NO2,OCH3,Cl,およびBrから選択され、Ryはアルキル基、Y-は、燐酸,メタンスルホン酸,モノメチル硫酸,塩素,臭素,蓚酸,p−トルエンスルホン酸等の陰イオンである。
【0009】
【化8】
【0011】
【化9】
【0012】
ここで、Qは、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアルキルアンモニウム、又はテトラアルキルアンモニウムを表し、Y-は、燐酸,メタンスルホン酸,モノメチル硫酸,塩素,臭素,蓚酸,p−トルエンスルホン酸等の陰イオンである。
【0013】
また、本発明の感光性樹脂は、下記一般式で示される構成単位を有することを特徴とする。
【0014】
【化10】
【0015】
ここで、nは1,2又は3である。また、Rxは上記Rx1〜Rx9から選択される。さらに、Rx1〜Rx9中のXは上記X 1 〜X 13 から選択され、Yは、H,NO2,OCH3,Cr,及びBrから選択され、Ryはアルキル基、Y-は、燐酸,メタンスルホン酸,モノメチル硫酸,塩素,臭素,蓚酸,p−トルエンスルホン酸等の陰イオンである。
【0017】
また、本発明の感光性組成物は、上記感光性樹脂を含有することを特徴とする。
【0018】
本発明者らは上述した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アセタール基を有するロダニン化合物と、水溶性アルデヒド又は複素環を有するアルデヒドとを縮合することにより、新規なロダニン骨格を有する、長波長で感光可能な新規化合物を開発し、本発明を完成したものである。
【0019】
なお、ロダニン骨格を有する感光性樹脂としては、米国特許第2,828,087号に開示されたものがある。しかしながら、この感光性樹脂は、感光基そのものが疎水性で、水溶性ではなく、ポリマーのカルボキシル基によりアルカリ水可溶性となっているものであり、本発明とは全く相違する。
【0020】
本発明に係る上記一般式(I)で表される化合物は、基本的に水溶性で、光二量化タイプの感光性を有し、且つPVAにアセタール化することにより容易に感光性樹脂を調製できるものである。
【0021】
本発明に係る上記一般式(I)で表される化合物は、アセタール基を有するロダニン化合物と、水溶性のベンズアルデヒドもしくはアリルアルデヒド誘導体又は複素環を有するアルデヒド化合物とを縮合することにより得ることができる。
【0022】
ここで、アセタール基を有するロダニン化合物は、下記式で示される。
【0023】
【化11】
【0024】
かかるアセタール基を有するロダニン化合物は、例えば、アミノ基を有するアセタール化合物を、アンモニア、トリエチルアミン、NaOH、KOH等の塩基存在下で二硫化炭素とさせて、ジチオカルバミン酸塩を合成し、続いて、クロル酢酸エチルと反応させることにより得ることができる。この場合の反応溶媒は、使用するアミン化合物により、水、エーテル、DMF等を選択して使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0025】
また、このアセタール基を有するロダニン化合物と縮合可能なベンズアルデヒドアルデヒドもしくはアリルアルデヒド誘導体としては下記式(1)及び(2)で示される。さらに、複素環を有するアルデヒド化合物としては、下記式(3)〜(9)で示される。なお、これらの化合物は、本発明の感光性化合物に水溶性を付与するものであるので、水溶性を有するものである。
【0026】
【化12】
【0027】
【化13】
【0028】
ここで、式(1)及び(2)において、X及びYは上述した通りである。
【0029】
本発明の上記式(I)に示される感光性化合物は、ポリ酢酸ビニルけん化物、又はビニルアルコールと他のビニル化合物との水溶性共重合体に、酸触媒下で反応させることにより、本発明の上記式(II)で示される感光性樹脂とすることができる。
【0030】
ここで用いられるポリ酢酸ビニルけん化物としては、例えば、平均重合度200〜5000、けん化度60〜100%のものが好適である。また、このポリ酢酸ビニルけん化物としては、例えば、親水基変性、アニオン変性、カチオン変性、又はアセトアセチル基のような反応基変性などの変性酢酸ビニルけん化物を用いることができる。
【0031】
ここで、平均重合度が200より小さい場合には、十分な感度が得られ難く、また、平均重合度が5000より大きい場合には、感光性樹脂の溶液の粘度が高くなり、塗布性が悪くなるという不具合が発生し易く、さらに、粘度を下げるために濃度を低くすると、所望の塗布膜厚を得るのが困難となる。また、けん化度が60%より低いと十分な水溶性及び水現像性が得られ難い。
【0032】
一方、ビニルアルコールと他のビニル化合物との共重合体としては、例えば、平均重合度200〜5000のものが使用できる。なお、ビニルアルコールと共重合され得るビニルモノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド等を挙げることができる。
【0033】
このようなポリ酢酸ビニルけん化物類と、上記式(I)で示される感光性化合物とを酸触媒存在下で反応させて、上記式(II)で示される感光性樹脂を得る場合、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類又はこれらのアセタール類を同時に反応させることもできる。
【0034】
ポリ酢酸ビニルけん化物類に対する一般式(I)の感光性化合物の導入率は、モノマー単位当たり、0.3〜5モル%程度が好ましい。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を各実施例に基づいて詳細に説明する。
【0036】
(実施例1)[3−(2−ジメトキシブチル)ロダニンの調製]
アミノブチルアルデヒドジメチルアセタール67g、トリエチルアミン51gをジエチルエーテル300gに溶解し、10℃に冷却した。。撹拌下に二硫化炭素38gを60分かけて滴下し、その後、20℃で24時間反応した。次に、ブロモ酢酸エチル84gを15分で滴下し、室温下で48時間反応した。トリエチルアミン・臭化水素酸塩を濾別で除き、エバポレータによりジエチルエーテルを除き、下記式で示される目的物を含む油状液を得た。
【0037】
【化14】
【0038】
(実施例2)[3−(2−ジメトキシブチル)−(4−ピリジリデン)ロダニンの合成例]
4−ピリジンアルデヒド54g、水酸化ナトリウム2gを水100g、メタノール100gに溶解した溶液を10℃に冷却し、これを実施例1の油状物にゆっくりと加えた。反応に従い目的物が析出してくるが、そのまま撹拌を続け、5時間反応した。濾別し、水洗、乾燥し、下記式に示される目的物を得た。
【0039】
液体クロマトグラフィー純度は98%であった。また、吸収極大は、370nmであった。
【0040】
【化15】
【0041】
さらに、この化合物を160gとメタノール200gに、ジメチル硫酸65gを加え、50℃で5時間反応することにより、四級化した。冷却後アセトンを加えて下記式で示される目的物を析出させ、濾別した。吸収極大は、384nmであった。
【0042】
【化16】
【0043】
(実施例3)[感光性PVAの合成]
ポリビニルアルコール(GH−24、日本合成製)100gを水900gに溶解した。実施例2の化合物を17g、燐酸3gを加え、60℃で24時間反応した。燐酸をイオン交換処理により除去し、感光基がPVAに1.6モル%導入された感光液を調製した。
【0044】
(試験例1)
実施例3の感光液を5%に希釈し、ガラス板に膜厚1.0μm塗布し、超高圧水銀等(紫外線照度5mW/cm2:UV−35(オーク製照度計))にて、10mJ露光した。次いで、水現像することによりパターンが形成することを確認した。
【0045】
(実施例4)[3−(2−ジメトキシブチル)−(ベンジリデン−4−カルボン酸Na)ロダニンの合成例]
テレフタルアルデヒド酸Na75g、水酸化ナトリウム30gを水2000gに溶解した水溶液を10℃に冷却し、これを、実施例2の化合物(化15に示す)160gにゆっくりと加えた。反応するに従い目的物が析出してくるが、そのまま撹拌を続け、24時間反応した。NaClを50g添加し、更に5時間撹拌し、濾別し、アセトンにて洗浄した。
【0046】
下記式で示される生成物は、液体クロマトグラフィー純度95%であった。また、吸収極大は、383nmであった。
【0047】
【化17】
【0048】
(実施例5)[感光性PVAの合成]
ポリビニルアルコール(GH−24、日本合成製)100gを水900gに溶解した。実施例4の化合物を19g、燐酸3gを加え、60℃で24時間反応した。燐酸をイオン交換処理により除去し、感光基がPVAに2.0モル%導入された感光液を調製した。
【0049】
(試験例2)
実施例5の感光液を5%に希釈し、ガラス板に膜厚1.0μm塗布し、超高圧水銀等(紫外線照度5mW/cm2:UV−35(オーク製照度計))にて、20mJ露光した。水現像により、パターンが形成することを確認した。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、アセタール基を有するロダニン化合物と、水溶性アルデヒド又は複素環を有するアルデヒドとを縮合することにより、新規なロダニン骨格を有する、長波長で感光可能な新規化合物を提供することができる。
Claims (3)
- 下記一般式で示されることを特徴とする感光性化合物。
- 下記一般式で示される構成単位を有することを特徴とする感光性樹脂。
- 請求項2の感光性樹脂を含有することを特徴とする感光性組成物。
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