JP4093071B2 - 700℃での高温耐火特性に優れた溶接構造用鋼の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は火災により数時間程度、高温に曝されても強度の低下が少ない耐火鋼に関し、特に650〜700℃において降伏強度に優れ、且つ溶接性に優れたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
構造用鋼材は高温に曝されると強度が低下するため火災などの場合に鋼材の温度が350℃以上にならないように耐火被覆が施される。
【0003】
特許文献1,2に記載されている耐火鋼は耐火被覆の厚さを低減若しくは省略させるため開発されたもので、400〜490N/mm2級鋼でMoやNb,Tiを添加し、600℃での降伏強度と常温規格降伏強度の比を規定したことを特徴とする。
【0004】
しかしながら、600℃における高温強度は常温規格降伏強度の2/3を満足する程度であり、700℃では常温規格降伏強度の1/3程度にまで減少することから、建築物によっては耐火被覆を減少させ、建築費用を低減させるという目的を必ずしも十分達成できない場合も見受けられる。また、耐火鋼は高温強度を確保するため合金元素の添加量が多く、適用する溶接法によっては溶接性が必ずしも良好とは言い難かった。また、高温強度を確保するために多量の合金元素を添加すると、常温強度が高くなりすぎてSN材のJIS規格強度を超えてしまう恐れがある。
【0005】
【先行特許文献1】
特開平2−170943号公報
【0006】
【先行特許文献2】
特開平2−163341号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はJISに規定されたSN材の常温規格強度を満足し、700℃においても高温強度に優れ、且つ建築構造用鋼として必要な延靭性、低降伏比を満足する溶接構造用鋼およびその製造方法を提供することを目的とし、具体的には、600℃でのYS比(600℃YS/常温YS)≧59%、650℃でのYS比(650℃YS/常温YS)≧57%、700℃でのYS比(700℃YS/常温YS)≧45%と優れた高温特性を得ることを目標とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、高温における鋼中炭化物の析出状態と強度の関係について鋭意検討を行い、1.高温強度は主に(Mo,Ti,V,Nb)C系炭化物の析出量に依存し、2.高温強度比(700℃での耐力/常温耐力)を向上させる場合は常温での析出強化を最小限とし、700℃における微細析出で大きな析出強化を得ることが有効なことを見出した。
【0009】
そして、具体的な成分組成と製造条件の組合せとして、低C−(Mo,Ti)系、低C−(Mo,Nb)系または低C−(Mo,Nb,Ti)系の鋼を、1000℃以上に加熱し熱間圧延後、少なくとも550℃以上の炭化物析出温度域を加速冷却することが有効なことを知見した。
【0010】
本発明は以上の知見を基に更に検討を加えてなされたものであり、すなわち、本発明は、
1.質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.01〜0.5%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Mo:0.1〜0.5%、Al:0.07%以下、N:0.01%以下、Ti:0.02〜0.10%を含有し、残部鉄および不可避的不純物からなる鋼を1000℃以上に加熱後圧延終了温度800℃以上で熱間圧延し、圧延後少なくとも550℃まで加速冷却することを特徴とする700℃での高温耐火特性に優れた溶接構造用鋼の製造方法。
【0011】
2.鋼組成に更にV:0.01〜0.10%、Cr:0.03〜0.5%、Cu:0.03〜0.5%、Ni:0.03〜0.5%、Mg:0.0005〜0.005%、REM:0.0005〜0.02%の一種または二種以上を含有することを特徴とする1.記載の700℃での高温耐火特性に優れた溶接構造用鋼の製造方法。
【0012】
3.質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.3〜0.5%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Mo:0.1〜0.2%未満、Al:0.07%以下、N:0.01%以下、Nb:0.02〜0.10%、Ti:0.02〜0.10%を含有し、更にV:0.01〜0.10%、Cr:0.03〜0.5%、Cu:0.03〜0.5%、Ni:0.03〜0.5%、Mg:0.0005〜0.005%、REM:0.0005〜0.02%の一種または二種以上を含有し、残部鉄および不可避的不純物からなる鋼を1000℃以上に加熱後圧延終了温度800℃以上で熱間圧延し、圧延後少なくとも550℃まで加速冷却することを特徴とする700℃での高温耐火特性に優れた溶接構造用鋼の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の成分組成、製造条件について以下に詳細に説明する。
【0016】
C
Cは鋼の常温強度、高温強度を安定して確保するため有効で、600℃を超える温度域では炭化物の微細複合析出強化により降伏強度を向上させるため0.01%以上添加する。一方、0.10%を超えるとTiなどの炭化物生成元素の高温における固溶限が減少し、常温における強度やYRが過度に上昇し、靭性や溶接性が低下するため0.01〜0.10%とする。
【0017】
Si
Siは脱酸や固溶強化のため0.01%以上添加する。一方、0.5%を超えると延靭性が低下し、常温強度が過度に高くなるため0.01〜0.5%とする。
【0018】
Mn
Mnは本発明において重要な元素である。高温強度/常温強度比を向上させるため、常温強度にのみ寄与するMn量を低減する。MnはSN材としての常温強度を確保するために、0.01%以上添加する。一方、0.5%を超えると常温強度が過度に高くなり高温強度/常温強度比が低下するとともに、SN材としての常温規格強度を超える場合があるため、0.01〜0.5%とする。
【0019】
Mo
Moは焼入れ性の向上、析出強化により鋼の強度を向上させ、特に高温強度の向上に有効なため0.1%以上添加する。一方、0.5%を超えると常温強度が高くなりすぎるとともに、製品コストが上昇し、溶接性が低下するため0.1〜0.5%を添加する。
【0020】
Moによる高温強度の向上はTi,Nbと複合添加すると特に有効で、650℃〜700℃程度に加熱されると微細な(Mo,Ti)Cや(Mo,Nb)Cを析出し、鋼組成として更にVやCrを添加した場合は、これらの元素が入りこんだ微細な(Mo,Ti)Cや(Mo,Nb)Cを析出し、高温強度を向上させる。
【0021】
NbまたはTiの一種以上
Nbは析出強化により強度を向上させ、特にMoやTi、更にはVと複合添加すると複合炭化物を微細析出し高温強度を向上させるため0.02%以上添加する。一方、0.10%を超えると常温強度が過度に向上するとともに、溶接性が劣化するため0.02〜0.10%を添加する。
【0022】
Tiは析出強化により強度を向上させ、特にMoと複合添加し、微細な(Mo,Ti)Cを析出すると600℃以上での高温強度を向上させるため、0.02%以上添加する。一方、0.10%を超えると溶接性が劣化するため0.02〜0.10%を添加する。
【0023】
Al
Alは脱酸元素であり、またsol.AlはAlNとして鋼中に析出し、結晶粒径を微細化するが、過剰に含まれると介在物が多くなり、延性や靭性を損なうため0.07%以下とする。
本発明ではP,S,Nを以下のように制限することが好ましい。
【0024】
P,S
P,Sは、延靭性、加工性、溶接性の観点からはできるだけ低減するのが望ましいが、極端な低減は製造コストが上昇するためそれぞれ0.03%以下とする。
【0025】
N
Nは、sol.AlとAlNを析出し、結晶粒径を微細化するが、過剰に存在すると溶接部の靭性が低下し、Ti添加の効果が損なわれるため0.01%以下とし、好ましくは0.006%以下とする。
【0026】
以上が本発明の基本成分組成であるが、更に特性を向上させるためV,Cr,Cu,Ni,Ca,Mg,REMの一種または二種以上を必要に応じて添加することができる。
【0027】
V
Vは析出強化により常温強度、高温強度を向上させ、特にMo,Tiと複合添加すると(Mo,Ti,V)Cなどの複合炭化物の微細析出により高温強度が著しく向上する。一方、多量に添加すると常温強度が過度に上昇するとともに、溶接性が劣化するため添加する場合は0.01〜0.10%とする。
【0028】
Cr
Crは固溶強化により常温強度、高温強度を向上させ、特にMo,Ti,Nb,Vと複合添加すると、これらの元素との複合炭化物を微細析出し高温強度が著しく向上する。一方、多量に添加すると常温強度が過度に上昇するとともに、溶接性が劣化するため添加する場合は0.03〜0.5%とする。
【0029】
Cu
Cuは固溶強化により常温強度を向上させるが、多量に添加すると鋼板表面疵が多発するようになるため添加する場合は0.03〜0.5%とする。
【0030】
Ni
Niは焼入れ性の向上により強度を向上させ、また低温靭性も向上させるが、高価な元素で製品コストを上昇させるため添加する場合は0.03〜0.5%とする。
【0031】
Ca,Mg,REM
これらの元素は介在物の形態制御やS等の不純物元素の固定により靭性を向上させるため、添加する場合はCa:0.0005〜0.005%、Mg:0.0005〜0.005%、REM:0.0005〜0.2%とする。
【0032】
以下、製造条件について説明する。本発明では鋼板製造工程においてNb,Mo,Tiなどの炭化物の析出を抑制するように製造条件を規定する。
【0033】
圧延加熱温度
圧延加熱温度は、Ti、Nb,Vなどを加熱時に固溶させ、優れた高温強度とするため1000℃以上に加熱する。
【0034】
圧延終了温度
圧延終了温度は、Nb,Ti,Moなどの炭化物析出を圧延中および圧延後に抑制し、火災などで高温に曝された時十分な量が析出するように、また、焼入れ性を高め、常温強度を満足させるため800℃以上とする。一方、1000℃を超えると結晶粒が粗大化して過度に焼入れ性が向上し常温強度が高くなりすぎるとともに、十分な圧下率がとれないため、1000℃未満とすることが望ましい。
【0035】
圧延後の冷却条件
圧延後、加速冷却をAr3点以上から少なくとも550℃まで行う。圧延後の加速冷却は、冷却過程においてNb,Ti,Moなどの炭化物の析出を抑制するためで、加速冷却は圧延後直ちに開始し、冷却速度は板厚の1/2で1℃/sec以上とすることが好ましい。冷却は少なくとも550℃まで行い停止温度は所望の機械的性質に応じて適宜決定する。
【0036】
焼戻しを行う場合は、Nb,Ti,Moなどの炭化物析出が抑制されるように500℃以下の温度で行い、450℃程度とすることが好ましい。
【0037】
本発明は上述した成分組成と製造条件の組合せにより、優れた高温特性が得られるが、特にMn:0.25〜0.4%、Mo:0.3〜0.5%、Ti:0.04〜0.08%、Nb:0.02〜0.05%、V:0.03〜0.08%の成分系とし、加熱温度:1100〜1200℃、圧延仕上温度:850℃以上、冷却速度:板厚中心で5℃/sec.以上、冷却停止温度:350〜500℃とした場合、より優れた特性が得られる。
【0038】
また、700℃においてより優れた高温特性(常温YS規格下限の2/3以上)を所望する場合は、Nb,Ti,Mo,Vなどの炭化物析出形態を以下のいずれかに規定する。
【0039】
炭化物析出形態1
650〜700℃に10〜30分保持された結果、新たに析出するNb,Ti,Mo、Vなどの炭化物中の炭素量を、(1)式で定義される炭化物炭素等量値で50ppm以上とする。50ppm以上の炭化物析出により、700℃において優れた高温強度が確保できる。より好ましくは、100ppm以上である。
Δ[C as TiC]+Δ[C as MoC]+Δ[C as NbC]+Δ[Cas VC] (1)
炭化物析出形態2
650〜700℃に10〜30分保持された結果、新たに析出するMoC、及びTiC,VCの1種以上からなる炭化物中の炭素量が、(1)式で定義される炭化物炭素等量値で50ppm以上、且つ炭化物の構成比を(2)式とする。
【0040】
電子顕微鏡による詳細な組織観察から、(2)式を満足する(Ti−Mo−V)系炭化物は、非常に微細で安定に析出しており、他の析出物に比べて高温強度向上に大きく寄与する。
0.9≦Δ[C as MoC]/(Δ[C as TiC]+Δ[C as VC])≦2.0 (2)
ここで、Δ[C as TiC]、Δ[C as MoC]、Δ[C as NbC]、Δ[C as VC]は以下のように定義する。但し、無添加の元素は0とする。
Δ[C as TiC]=12/48×{(高温保持後のTi析出量)−(高温保持前のTi析出量)}
Δ[C as MoC]=12/96×{(高温保持後のMo析出量)−(高温保持前のMo析出量)}
Δ[C as NbC]=12/93×{(高温保持後のNb析出量)−(高温保持前のNb析出量)}
Δ[C as VC]=12/51×{(高温保持後のV析出量)−(高温保持前のV析出量)}
各金属元素の析出量は10%アセチルアセトンーメタノール電解抽出による残渣をICP発光分析により測定した値(ppm換算値)とする。
【0041】
【実施例】
本発明の効果を実施例を用いて説明する。表1に供試鋼の化学成分、表2に製造条件と共に得られた鋼の常温強度、耐火性能(高温強度)、y割れ防止予熱温度、0℃での靭性(シャルピー吸収エネルギ値)を示す。
【0042】
供試鋼はいずれもSN490を対象とした。発明鋼A〜K(鋼B,C,E,Iを除く)において、鋼AはTi添加系、鋼DはV−Ti複合添加系、鋼FはV−Cr−Ti複合添加系、鋼GはCu−Cr−V− Nb − T i複合添加系、鋼HはNi−Ti複合添加系、鋼JはMg−Ti複合添加系、鋼KはREM−V−Ti複合添加系とした。尚、鋼BはNb添加系、鋼CはV−Nb複合添加系、鋼EはV−Nb−Ti複合添加系、鋼IはCa添加系とした。
【0043】
比較鋼L〜Tにおいて、鋼Lは従来鋼のため高Mn系であるが鋼M〜鋼Tは低Mn−Mo系で、鋼Mは(Nb,Ti)無添加系、鋼NはTi微量添加系、鋼OはNb微量添加系、鋼Pは低Mo−Ti添加系、鋼Qは高Mo−Ti添加系、鋼Rは高Ti系、鋼Sは高Nb系、鋼Tは高C系とした。
【0044】
これらの鋼を圧延後、加速冷却し、主な板厚を25mmとする鋼板を製造した。製造条件は鋼Cについて、加熱温度、圧延終了温度、冷却停止温度、焼戻し温度を変更し、その他の鋼は本発明範囲内の条件で製造した。
【0045】
得られた鋼板について、常温引張試験(JIS準拠)、高温引張試験(試験温度600℃、650℃、700℃)を行い、常温引張特性としてYS,TSおよびYR(YS/TS×100%)を求め,高温引張特性として各試験温度でのYS及び、該YSと常温のYSの比を求めた。
【0046】
溶接性はy形溶接割れ試験、靭性はシャルピー衝撃試験(試験温度0℃での吸収エネルギー)により調査した。
【0047】
その結果、本発明範囲内の化学成分を有する鋼A〜K(鋼B,C,E,Iを除く)を本発明範囲内の製造条件で鋼板としたNo.1,15,17,18,19,21,22の鋼板では、600℃でYS≧217N/mm2(SN490の常温YS規格下限値の2/3)、650℃でYS≧190N/mm2、700℃でYS≧163N/mm2(SN490の常温YS規格下限の1/2)、あるいはYS≧217N/mm2(SN490の常温YS規格下限の2/3)を満足し、600℃でのYS比≧59%、650℃でのYS比≧57%、700℃でのYS比≧45%と優れた高温特性が得られた。
【0048】
更に、本発明鋼はy形溶接割れ試験で割れ防止予熱温度は0℃以下、0℃でのシャルピー吸収エネルギー249J以上と優れた溶接性、靭性が得られた。
【0049】
No.4,7,10,12は本発明範囲内の化学成分の鋼Cを、本発明範囲外となる種々の製造条件で製造した鋼板で、No.4は冷却停止温度が585℃と本発明範囲外で高く、No.7は焼戻し温度が好ましいとされる500℃より高いため、常温のYSとTSが目標とするSN490規格の上限を超え、高温強度に優れるもののYS比は低くなっている。
【0050】
No.10は圧延終了温度が770℃と本発明で規定する800℃以上より低いため常温強度が低下し、600℃の高温強度は目標値を満足するものの、650℃、700℃での高温強度は低下する。
【0051】
No.12は加熱温度が970℃と本発明で規定する1000℃以上より低く、高温強度に劣る。
【0052】
No.23〜31は本発明範囲外の化学成分の鋼L〜Tを本発明の製造条件で製造した鋼板で、いずれもSN490の常温強度規格と、700℃での高温強度の目標値を両立しておらず、又YS比も発明鋼に対して低い結果となった。
【0053】
No.23は鋼Lが従来鋼で、割れ防止予熱温度が高く、溶接性に劣っている。No.24は鋼MがNb,Tiが無添加で、常温強度はSN490規格を満足し、600℃での高温強度も目標値を満足するが、650、700℃での高温強度が目標値を満足しない。
【0054】
No.25は鋼NのTi添加量が少なく、No.26は鋼OのNb添加量が少なく,No.27は鋼PのMoの添加量が少なく、常温強度はSN490規格を満足するが、高温強度が目標を満足しない。
【0055】
No.28は鋼QのMo添加量が高く、常温強度がSN490の規格上限を超え、また溶接性も劣っている。No.29は鋼RのTi量が,No.30は鋼SのNb量が本発明範囲外で高く、常温強度、YRがSN490規格を超え、靭性も低い。
【0056】
No.31は鋼TのC量が多く、常温強度がSN490の規格上限を超え、また溶接性、靭性に劣る。
【0057】
表3には、上述した供試鋼板のうち、700℃での高温強度がYS≧217N/mm 2 (SN490の常温YS規格下限の2/3)を満足し、600℃でのYS比≧59%、650℃でのYS比≧57%、700℃でのYS比≧45%と特に優れた高温特性が得られた本発明例No.15の鋼板について炭化物析出形態を調査した結果を示す。比較例No.4,12の炭化物析出形態を調査した結果を併せて示す。
【0058】
調査は高温試験前の母材と700℃高温引張試験後の引張試験片を用い、10%アセチルアセトンーメタノール電解抽出による残渣をICP発光分析法により抽出金属量として定量した。
【0059】
No.4の鋼板では常温で炭化物が析出し、高温試験時に析出する炭化物量が少なく、また析出物が成長して強度向上に寄与しない大きさのため高温強度特性に劣る。No.12の鋼板は、スラブ加熱時にMo,Nb,Vが十分固溶していないため、析出物量が少ない。No.15の鋼板は炭化物の析出量が100ppm以上で、かつ炭化物の構成比が本発明範囲内のため、多量の微細な炭化物が析出し、700℃でのYS比≧59%の非常に優れた高温特性を示した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、600〜700℃での高温特性に優れ、かつ優れた溶接性と低温靭性を兼ね備えた耐火鋼が得られ産業上極めて有意義である。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.01〜0.5%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Mo:0.1〜0.5%、Al:0.07%以下、N:0.01%以下、Ti:0.02〜0.10%を含有し、残部鉄および不可避的不純物からなる鋼を1000℃以上に加熱後圧延終了温度800℃以上で熱間圧延し、圧延後少なくとも550℃まで加速冷却することを特徴とする700℃での高温耐火特性に優れた溶接構造用鋼の製造方法。
- 鋼組成に更にV:0.01〜0.10%、Cr:0.03〜0.5%、Cu:0.03〜0.5%、Ni:0.03〜0.5%、Mg:0.0005〜0.005%、REM:0.0005〜0.02%の一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の700℃での高温耐火特性に優れた溶接構造用鋼の製造方法。
- 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.3〜0.5%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Mo:0.1〜0.2%未満、Al:0.07%以下、N:0.01%以下、Nb:0.02〜0.10%、Ti:0.02〜0.10%を含有し、更にV:0.01〜0.10%、Cr:0.03〜0.5%、Cu:0.03〜0.5%、Ni:0.03〜0.5%、Mg:0.0005〜0.005%、REM:0.0005〜0.02%の一種または二種以上を含有し、残部鉄および不可避的不純物からなる鋼を1000℃以上に加熱後圧延終了温度800℃以上で熱間圧延し、圧延後少なくとも550℃まで加速冷却することを特徴とする700℃での高温耐火特性に優れた溶接構造用鋼の製造方法。
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