JP4091771B2 - トラップ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラップ装置の従来例を図3の断面図により説明する。
図3に示されるトラップ装置は、気液分離器101と液抜き器102とを備えている。
気液分離器101を説明する。気液分離器101は、ほぼ円筒状をなしかつ内部にサイクロン室112を形成するサイクロン110を主体として構成されている。サイクロン110の上部の側面には、接線方向に延びる気液流入口113が形成されている。サイクロン110の下端部には、下方に延びる液体排出口114が形成されている。サイクロン110の上端面には、上方に延びる気体排出路118が形成されている。
【0003】
前記気液分離器101によって分離される気液混合流Mは、気体(例えば、水素ガス)と気体に含まれる液体いわゆる液滴(例えば、水)との混合流である。気液混合流Mは、サイクロン110の気液流入口113を通じてそのサイクロン110の接線方向からサイクロン室112内に高圧で送り込まれ、渦巻き状に旋回させられることによって、遠心力を利用して水と水素ガスとに分離される。分離された水は、サイクロン110の液体排出口114から液抜き器102のフロート室130(後述する)内へ流下して排出される。また、分離された水素ガスは、サイクロン110の気体排出路118から排出される。
【0004】
次に、液抜き器102を説明する。液抜き器102は、ボディ120とバルブシート134とバルブ136とフロート140とを備えている。
ボディ120は、液体すなわち水を貯留するフロート室130を形成している。ボディ120には、フロート室130の上面に開口しかつ前記気液分離器101の液体排出口114が連通する液体流入口131が形成されている。したがって、気液分離器101の液体排出口114からの水は、液体流入口131を通じてフロート室130に流下して貯留される。
また、バルブシート134は、フロート室130内に貯留された水を排出可能な排液口135を形成している。
なお、ボディ120には、排液口135から大気に連通する排液通路133が形成されているとともに、その排液通路133からの逆流を阻止する逆止弁132が組込まれている。
【0005】
また、バルブ136は、例えばニードルバルブからなり、前記バルブシート134内に上下動可能に組込まれている。バルブ136は、上動時にはバルブシート134の排液口135を開き、また、下動時にはその排液口135を閉じる。
【0006】
また、フロート140は、フロート室130内の水の水面に浮かぶフロート本体142と、そのフロート本体142に一体的に設けられたフロートレバー141とを有している。フロートレバー141は、前記ボディ120内に対しピン145によりフロート本体142が上下動する方向に関し回動可能に支持されているとともに、前記バルブ136に対し連動可能に連結されている。
【0007】
したがって、フロート室130内に貯留された水の水面が高くなると、フロート本体142が上昇するにともない、フロートレバー141に連動してバルブ136が上動されて開かれることにより、フロート室130内の水が排液口135から排液通路133を通じて排出される。
また、フロート室130内の水の水面が低くなると、フロート本体142が下降するにともない、フロートレバー141に連動してバルブ136が下動されて閉じられることにより、フロート室130内の水の排出が停止される。
上記のようにして、液抜き器102は、フロート室130内の水の貯留量が一定量以上になったときにその一定量以上の水を排出させることによって、フロート室130内の水の貯留量をほぼ一定量に保つことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のトラップ装置によると、気液分離器101のサイクロン室112から気体排出路118へ流れでる気体の流れにのって、水滴が気体排出路118へ持ち去られる現象が発生しやすい。
この水滴が気体排出路118へ持ち去られる現象は、液抜き器102のバルブ136が閉じているときで、かつ多くの水が上流から流れて液体流入口131の通路を塞ぎ、水が液体流入口131からフロート室130へ流れにくくなっているときや、サイクロン室112内での気液混合流Mの旋回速度が速いとき等に発生しやすい現象である。
【0009】
すなわち、液抜き器102のバルブ136が開いていれば、水の排出にともなってサイクロン室112内の水および気体がフロート室130内に流入しやすいため、水が気体排出路118へ持ち去られにくい。
しかし、液抜き器102のバルブ136が閉じていると、フロート室130内が行き止まりいわゆる袋小路の状態になる。これにより、フロート室130にある気体と上部から流れ落ちてくる水が入れ替わりにくく、水が液体排出口114の部分に溜まるため、サイクロン室112内の水が気体の流れにのって、気体排出路118へ持ち去られやすくなる。
【0010】
上記したように、従来のトラップ装置によると、気液分離器101のサイクロン室112から気体排出路118へ流れる気体の流れにのって水が気体排出路118へ持ち去られる現象が発生しやすいことから、水の分離性能が低下されるという問題があった。なお、水が気体排出路118へ持ち去られることは、その持ち去れた水が気体排出路118に溜まるといった問題を招くため好ましくない。
【0011】
本発明の課題は、気液分離器から気体排出路へ液体が持ち去られる現象を防止あるいは低減することのできるトラップ装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明の特許請求の範囲の欄に記載された構成を要旨とするトラップ装置により解決することができる。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1に記載されたトラップ装置によると、気液混合流が気液分離器により気体と液体とに分離される。液抜き器は、気液分離器により分離された液体を液体貯留室に貯留しかつその貯留量が一定量以上になったときにその一定量以上の液体を排出する。
ところで、液抜き器の液体貯留室の上部空間に溜まる気体が、気液分離器の気体排出路を流れる気体の流れを利用してバイパス通路を通して気体排出路へ排出される。したがって、液抜き器による液体の貯留状態あるいは排出状態にかかわらず、液体貯留室の上部空間に気体が滞ることがほとんどなくなる。これにより、気液分離器から気体排出路へ液体が持ち去られる現象を防止あるいは低減することができる。よって、液体の分離性能を向上することができる。
【0013】
また、特許請求の範囲の請求項2に記載されたトラップ装置によると、気液分離器の気体排出路に絞り部が設けられているので、その絞り部の下流側すなわちバイパス通路の合流部分での気体の流速が速くなる。したがって、気体排出路においてバイパス通路に負圧を生じさせることにより、液抜き器の液体貯留室の上部空間の気体をバイパス通路から気体排出路に速やかに排出させることができる。よって、液体の分離性能を一層向上することができる。
【0014】
また、特許請求の範囲の請求項3に記載されたトラップ装置によると、気液分離器の気液分離室内を貫通するバイパス管によってバイパス通路が形成されているため、気液分離室の外部にバイパス管を配置する場合に比べ、トラップ装置をコンパクト化することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1を図1の断面図に基づいて説明する。本トラップ装置は、気液分離器1と液抜き器2とを備えている。以下、順に説明する。
【0016】
まず、気液分離器1から説明する。気液分離器1は、サイクロン式のものであり、サイクロン10を主体として構成されている。
サイクロン10は、ほぼ円筒状に形成された筒状部10aと、その筒状部10aの下方に連続するほぼ逆円錐筒状に形成された漏斗部10bと、筒状部10aの上端面を覆う上板部10cとを有しており、内部にサイクロン室12を形成している。なお、サイクロン室12は本明細書でいう「気液分離室」に相当している。
【0017】
前記サイクロン10の筒状部10aの上部の側面には、接線方向に延びるほぼ円筒状の気液流入口13が形成されている。
気液流入口13には、その上流側で混合された気体(例えば、水素ガス)と気体に含まれる液体(例えば、水)との混合流いわゆる気液混合流Mが、レギュレータ(図示省略)によって所定の供給圧力に調整された状態で供給される。
【0018】
前記サイクロン10の漏斗部10bの下端部は、下方に延びる液体排出口14となっている。なお、液体排出口14は、筒状部10aとほぼ同一軸線上に形成されており、液抜き器2のフロート室30(後述する)に連通されている。
【0019】
前記サイクロン10の上板部10cの中央部には、ほぼ円形状の気体排出孔17が形成されている。
筒状部10aの上板部10c上には、気体排出孔17に連通するほぼ中空円筒状の管接続部材15が設置されている。
管接続部材15には、パイプ状の気体排出管16が接続されている。
気体排出孔17と管接続部材15の管路と気体排出管16の管路とは、一連の気体排出路18を形成している。
気体排出路18は、前記気体(水素ガス)の気体供給路(図示省略)の上流側に連通されている。また、気体排出路18の下流側には吸引ポンプ(図示省略)が設けられており、その吸引ポンプの作動によって気体排出路18の気体が吸引されて前記気体供給路へ戻されるようになっている。
【0020】
次に、液抜き器2を説明する。液抜き器2は、ボディ20とバルブシート34とバルブ36とフロート40とを備えている。以下、順に説明する。
ボディ20から説明する。ボディ20は、上面を開口する水槽状のボディ本体21と、そのボディ本体21の上面を閉塞する蓋体22と、その蓋体22の上面に重合された接続板23と、ボディ本体21の下面に重合されたスペーサ部材24と、そのスペーサ部材24の下面に重合されたエンドプレート25とにより構成されている。
【0021】
ボディ本体21には、蓋体22、接続板23、スペーサ部材24およびエンドプレート25が、ボルト・ナット等の締結手段により一体的に結合されている。なお、蓋体22に対するボディ本体21の接合面と、接続板23に対する蓋体22の接合面と、スペーサ部材24に対するボディ本体21の接合面と、スペーサ部材24に対するエンドプレート25の接合面には、各接合面間の気密を保持するためのシールリング(符号省略)がそれぞれ配設されている。
【0022】
前記ボディ本体21と前記蓋体22とによって、液体、例えば水を貯留するフロート室30が形成されている。なお、フロート室30は本明細書でいう「液体貯留室」に相当する。
前記蓋体22に対するボディ本体21の接合面上には、その蓋体22内に突出するピン支持部21aが突出されている。
【0023】
前記蓋体22の上板部22aおよび接続板23には、前記フロート室30の上面に一連状に開口する液体流入口31が形成されている。液体流入口31には、前記気液分離器1の液体排出口14が連通されている。したがって、フロート室30には、気液分離器1で分離された水が液体排出口14から液体流入口31を通じて流下して貯留される。
【0024】
前記スペーサ部材24の上面には、凹所24aが形成されている。スペーサ部材24には、凹所24aの底面部の内外を連通する連通孔24bが形成されている。さらに、スペーサ部材24には、連通孔24bを開閉可能なゴム製等の弾性材からなる逆止弁32がその弾性変形を利用して取付けられている。
【0025】
前記逆止弁32は、前記凹所24a内の圧力が所定値以上に高くなったときに弾性変形を利用して連通孔24bを開き、また、該凹所24a内の圧力が所定値以下に低くなったときに弾性復元力によって連通孔24bを閉じ、二重安全弁として作用する。また、逆止弁32は、逆バイアス圧力が作用したときの逆流を阻止する。
【0026】
前記エンドプレート25の上面には、前記逆止弁32の弁部32bを取り囲みかつその逆止弁32の弁部32bが開いたときに前記連通孔24bに連通可能な凹部25aが形成されている。エンドプレート25には、凹部25aの底面部の内外を連通する排液ポート25bが形成されている。排液ポート25bは、大気に開放されている。
なお、スペーサ部材24の凹所24aおよび連通孔24bとエンドプレート25の凹部25aおよび排液ポート25bとによって、一連の排液通路33が形成されている。
【0027】
次に、バルブシート34を説明する。バルブシート34は、ほぼ筒状に形成されており、その下部には、シート面(符号省略)が形成されている。また、バルブシート34には、シート面の上方に隣接する適数個(図1では2個を示す)の開口孔34aが形成されている。バルブシート34内の空間部および開口孔34aによって、排液口35が形成されている。
【0028】
前記バルブシート34は、その下端部を前記ボディ20の底面部にねじ付けることによって、前記フロート室30内に直立状に設けられている。バルブシート34の排液口35は、フロート室30内と前記スペーサ部材24の凹所24a内とを連通している。これにより、フロート室30内に貯留された水が排液口35を通じて排液通路33へ排出可能になっている。
【0029】
次に、バルブ36を説明する。バルブ36は、ニードルバルブからなり、前記バルブシート34内に上下動可能に組込まれている。バルブ36は、前記バルブシート34のシート面(符号省略)に対し着座および離れることによって前記排液口35を開閉する。すなわち、バルブ36は上動時にバルブシート34のシート面から離れることにより排液口35を開き、また、バルブ36は下動時にバルブシート34のシート面に着座することにより排液口35を閉じる。
【0030】
次に、フロート40を説明する。フロート40は、フロート室30内の水の水面に浮かぶフロート本体42と、そのフロート本体42に一体的に設けられたフロートレバー41とを有している。
フロート本体42は、例えば独立発泡のゴム材によってほぼ直方体状に形成されており、フロート室30内に貯留された水の水面上に浮かぶ。
フロートレバー41は、フロート本体42の一側部(図1において左側部)に突出されている。フロートレバー41の先端部は、前記ボディ20のピン支持部21aに対しピン45によってフロート本体42が上下動する方向に関し回動可能に支持されている。フロートレバー41には、前記バルブ36が係合によって連動可能に連結されている。
【0031】
しかして、前記液抜き器2における蓋体22の上板部22aおよび接続板23には、前記フロート室30の上面に一連状に開口する気体取出口50が形成されている。気体取出口50は、フロート室30において気体が溜まる上部空間に連通している。
一方、前記気液分離器1の管接続部材15には、気体排出路18の内外を連通する気体合流口53が形成されている。なお、気体合流口53は本明細書でいう「バイパス通路の合流部分」に相当する。
【0032】
前記気体取出口50と前記気体合流口53には、パイプ材で形成されたバイパス管52の両端部が接続されている。バイパス管52の管内は、気体取出口50と気体合流口53とを連通して前記サイクロン室12を迂回するバイパス通路52aになっている。バイパス管52は、サイクロン10の外側面に沿うように形成されている。
【0033】
さらに、前記気液分離器1の管接続部材15内には、リング状の絞り部材55が取り付けられている。絞り部材55は、前記気体合流口53と前記気体排出孔17との間に配置されている。絞り部材55は、前記気体合流口53より上流側に隣接しかつその気体排出路18の通路断面積を小さくする円形孔状の絞り部55aを形成している。
【0034】
また、前記気液流入口13は口径φAで形成され、前記絞り部材55の絞り部55aは口径φBで形成されている。そして、気液流入口13の口径φAと絞り部55aの口径φBとは、
φA>φB
の関係を満たすように設定されている。
また、上記したトラップ装置は、例えば、水素ガスを利用する装置を備えた自動車等に設置される。
【0035】
上記したトラップ装置において、気液分離器1のサイクロン10の気液流入口13には、気体(例えば、水素ガス)と液滴(例えば、水)と気液混合流Mが、レギュレータ(図示省略)によって所定の供給圧力に調整された状態で供給される。
その気液混合流Mは、サイクロン10の気液流入口13を通じてそのサイクロン10の接線方向からサイクロン室12内に高圧で送り込まれ、そのサイクロン室12の壁面に沿って渦巻き状に旋回させられることによって、遠心力を利用して水と水素ガスとに分離される。
【0036】
前記サイクロン室12で分離された水は、液体排出口14から液抜き器2の液体流入口31を通じてフロート室30へ流下して貯留される。
また、サイクロン室12で分離された水素ガスは、気体排出路18に設けた吸引ポンプの作動によって該気体排出路18に吸引されて気体供給路(図示省略)へ戻される。
【0037】
また、液抜き器2のフロート室30内に貯留された水の水面が高くなると、フロート40のフロート本体42が浮力によって上昇され、フロートレバー41によってバルブ36が上動されて開かれる。これにより、フロート室30内の水が、バルブシート34の排液口35を通じて排液通路33へ流出される。
【0038】
また、気液分離室のサイクロン室12に気液混合流Mが所定の供給圧力をもって供給されることにより、そのサイクロン室12に連通したフロート室30内にも所定の圧力が加わっている。このため、前記バルブ36が開かれたときには、フロート室30の圧力によって、排液通路33の逆止弁32が開かれことにより、その排液通路33の水は排液ポート25bを通じて大気に放出される。
【0039】
また、これにともない、フロート室30内の水の水面が低くなると、フロート40のフロート本体42が自重によって下降するにともない、フロートレバー41に連動してバルブ36が下動されて閉じられる。これにより、フロート室30内の水の排出が停止されるとともに、排液通路33の逆止弁32が閉じられる。上記のようにして、液抜き器2は、フロート室30内の水の貯留量が一定量以上になったときにその一定量以上の水を排出させることによって、フロート室30内の水の貯留量をほぼ一定量に保つことができる。
【0040】
ところで、液抜き器2のフロート室30の上部空間に溜まる気体は、気液分離器1の気体排出路18を流れる気体の流れを利用して、バイパス通路52aを通して気体排出路18へ排出される。詳しくは、液抜き器2のフロート室30の上部空間と気液分離器1の気体排出路18との間に圧力差が発生することによって、気液分離器1のサイクロン室12から気体排出路18へ流れる経路と、サイクロン室12から液抜き器2のフロート室30の上部空間、バイパス通路52aを通じて気体排出路18へ流れる経路との二つの気体排出経路が形成され、この両径路を通じて気体がサイクロン室12から排出されることになる。
【0041】
したがって、液抜き器2による水の貯留状態(バルブ36の閉状態が相当する)あるいは排出状態(バルブ36の開状態が相当する)にかかわらず、フロート室30の上部空間に気体が滞ることがほとんどなくなる。
これにより、気液分離器1から気体排出路18へ液体が持ち去られる現象を防止あるいは低減することができる。よって、液体の分離性能を向上することができる。
【0042】
また、気液分離器1の気体排出路18に絞り部55aが設けられているので、その絞り部55aの下流側すなわちバイパス通路52aの合流部分での気体の流速が速くなる。
したがって、気体排出路18においてバイパス通路52aに負圧を生じさせることにより、液抜き器2のフロート室30の上部空間の気体をバイパス通路52aから気体排出路18に速やかに排出させることができる。よって、液体の分離性能を一層向上することができる。
【0043】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2を図2の断面図に基づいて説明する。実施の形態2は、上記した実施の形態1におけるバイパス管52に変更を加えたものであるから、その変更部分について詳述し、重複する説明は省略する。
すなわち、実施の形態2におけるトラップ装置では、バイパス通路52aを形成するバイパス管52が、気液分離器1のサイクロン室12内を軸線方向(図2において上下方向)に貫通する状態で配管されている。
【0044】
詳しくは、バイパス管52の下部は、気液分離器1のサイクロン室12の液体排出口14および液抜き器2の液体流入口31内を遊挿状に貫通している。バイパス管52の下端部52bは、液抜き器2のフロート室30の上部空間においてほぼL字状に折り曲げられており、蓋体22に対してブラケット56によって支持されている。これにより、バイパス管52は、液抜き器2に対し片持ち状に支持されている。
【0045】
また、前記バイパス管52の上端部は、気液分離器1のサイクロン10の気体排出孔17を通じて絞り部材55の絞り部55a内に遊挿状に配置されている。バイパス管52の上端開口面は、絞り部材55の上端開口面とほぼ同一平面をなしており、その周辺部分がバイパス通路52aの合流部分になっている。
【0046】
上記した実施の形態2によっても、前記した実施の形態1とほぼ同様の作用・効果を得ることができる。
さらに、気液分離器1のサイクロン室12内を貫通するバイパス管52によってバイパス通路52aが形成されているため、サイクロン室12の外部にバイパス管52を配置する場合(例えば、実施の形態1参照)に比べ、トラップ装置をコンパクト化することができる。
【0047】
また、前記実施の形態1(図1参照)における液抜き器2の気体取出口50および管接続部材15の気体合流口53を形成しなくて済む。
また、実施の形態2の場合には、絞り部材55を排除し、バイパス管52の上端部と管接続部材15との間の空間部分を絞り部に設定することもできる。
【0048】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、トラップ装置のサイクロン室12に供給される気液混合流Mは、水と水素ガスとの混合流に限定されるものではない。また、気液分離器1は、サイクロン10式のものに限定されるものではなく、例えば、垂直な壁面に対して気液混合流Mを当てることにより気体と液体とに分離する形のものであってもよい。また、絞り部55aは排除することもできる。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のトラップ装置によれば、液抜き器による液体の貯留状態あるいは排出状態にかかわらず、液体貯留室の上部空間に気体が滞ることがほとんどなくなるため、気液分離器から気体排出路へ液体が持ち去られる現象を防止あるいは低減することができ、よって液体の分離性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるトラップ装置を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2にかかるトラップ装置を示す断面図である。
【図3】従来例にかかるトラップ装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 気液分離器
2 液抜き器
12 サイクロン室(気液分離室)
18 気体排出路
30 フロート室(液体貯留室)
52 バイパス管
52a バイパス通路
55 絞り部材
55a 絞り部
Claims (3)
- 気液混合流を気体と液体とに分離する気液分離室を有する気液分離器と、その気液分離器により分離された液体を液体貯留室に貯留しかつその貯留量が一定量以上になったときにその一定量以上の液体を排出可能な液抜き器とを備え、
前記液体貯留室の気体が溜まる上部空間と、前記気液分離器により分離された気体を排出する気体排出路との間には、前記気液分離室を迂回するバイパス通路を設け、
前記気体排出路を流れる気体の流れを利用して、前記液体貯留室の気体を前記バイパス通路を通して前記気体排出路へ排出可能に構成したことを特徴とするトラップ装置。 - 前記気液分離器の気体排出路には、前記バイパス通路の合流部分より該気体排出路を流れる気体の流れ方向に関して上流側に隣接しかつその気体排出路の通路断面積を小さくする絞り部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のトラップ装置。
- 前記バイパス通路は、前記気液分離器の気液分離室内を貫通するバイパス管によって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のトラップ装置。
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