JP4090323B2 - 地中接合用シールド掘進機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中に配置された受入フードとのラップ代を大きくできる地中接合用シールド掘進機に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者等は、地中に配置された受入フード内に嵌入して接合される地中接合用シールド掘進機として、図4に示すものを開発した。
【0003】
図示するように、このシステムは、受入側のシールド掘進機aに対して挿入側のシールド掘進機bを対向して掘進させ、受入側掘進機aのカッタヘッドcをコピーカッタdを縮めてシールドフレームe内に後退させつつその前方に固化剤(コンクリート等)を充填し、そのシールドフレームe内に挿入側掘進機bを掘進させてカッタヘッドfおよびフードgを挿入し、フードgとシールドフレームeとの間(ラップ代L)に固化剤を注入して止水し、双方のトンネル同士を連通させるものである。
【0004】
このシステムでは、受入側掘進機aのシールドフレームeが上記受入フードとなり、挿入側掘進機bが上記地中接合用シールド掘進機に相当することになる。
【0005】
なお、関連する先行技術として特許文献1に記載されたものがある。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−155696号公報(第3頁−第5頁、図1−図8)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記フードgとシールドフレームeとのラップ部分の止水性を高めるためには、ラップ代Lを大きくすることが重要となる。しかし、受入側掘進機aの構造上、カッタヘッドcの後退量を大きくできない場合には、挿入側掘進機bの挿入深さが浅くなって、止水に必要なラップ代Lを確保できないケースが生じる。このため、止水が不安定になりかねない。
【0008】
特に、発進または到達立坑等に設けた掘削可能壁を掘り抜くタイプの掘進機では、掘削可能壁の中の炭素繊維(補強材)を切断するために、カッタヘッドcには通常のビットhよりも高さが高い炭素繊維切断用の専用ビットを取り付けるため、図4のように掘進機同士を対向させたとき、専用ビットによって両掘進機a、bが通常よりも離間することになり、上記ラップ代Lが小さくなってしまう。
【0009】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、地中に配置された受入フード内に嵌入されたときに、受入フードとのラップ代を可及的に大きくできる地中接合用シールド掘進機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、地中に配置された受入フード内に嵌入して接合される地中接合用シールド掘進機であって、切羽を切削するカッタヘッドに、該カッタヘッドの径方向外方かつ前方に出没する傾斜コピーカッタの駆動ジャッキを斜め前方に傾けて装着し、上記カッタヘッドの外周部の後部に、切欠部を形成し、上記カッタヘッドの後方の掘進機本体に、筒状の嵌入フードを、上記カッタヘッドの外周部の前部を除いた後部を内方に収容するように、上記切欠部により空いた空間まで前方に延出させて設けたものである。
【0011】
本発明によれば、カッタヘッドに傾斜コピーカッタの駆動ジャッキを斜め前方に傾けて装着しているため、掘削機本体に設けられる嵌入フードを前方に延出しても、その嵌入フードが駆動ジャッキおよび傾斜コピーカッタの出没と干渉することはない。よって、受入フード内にカッタヘッドおよび嵌入フードを挿入した際、ラップ代が従来よりも大きくなり、止水の安定性が向上する。
【0012】
また、上記カッタヘッドの外周部の前部に、上記嵌入フードと略同径に成形され接合時に上記受入フード内に挿入される筒体を設けてもよい。こうすれば、筒体と嵌入フードとが、受入フード内に挿入されたとき共同するため、止水性が更に高まる。
【0013】
また、上記嵌入フードに、受入フード内への嵌入時にそれらフード間に固化剤を注入する注入管を設けてもよい。こうすれば、注入管から固化剤を両フードのラップ部分に注入することで、ラップ部分に容易に止水壁を形成できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を添付図面に基いて説明する。
【0015】
図1は本実施形態に係る地中接合用シールド掘進機の正面図、図2は上記地中接合用シールド掘進機の側断面図、図3は上記地中接合用シールド掘進機が地中に配置された受入フード内に嵌入した様子を示す説明図である。
【0016】
図1および図2に示すように、この地中接合用シールド掘進機1は、切羽を切削するカッタヘッド2を有する。カッタヘッド2は、図例では4本のカッタスポーク3を有するがスポークの数は何本でもよく、また、スポークタイプに限られず面板タイプであってもよい。
【0017】
カッタヘッド2には、切羽を切削する通常のカッタビット4が取り付けられていると共に、専用ビット5が取り付けられている。専用ビット5は、既述のように発進または到達立坑等に設けた掘削可能壁の中の炭素繊維(補強材)を切断するものであり、通常のビット4よりも高さが高く設定されている。
【0018】
かかるカッタヘッド2には、図1および図2に示すように、当該ヘッド2の径方向外方且つ前方に斜めに出没する傾斜コピーカッタ6の駆動ジャッキ7が、斜め前方に傾けて設けられている。傾斜コピーカッタ6は、図例では カッタスポーク3に180度間隔で2個設けられているが、1個でも3個以上でもよい。
【0019】
コピーカッタ6は、駆動ジャッキ7とその伸縮ロッドの先端に設けられた切削部8とを備え、カーブ掘進時にカッタヘッド2の回転に応じて切削部8が適宜出没してカーブ内側の地山を余掘りし、カッタヘッド2の後方の掘進機本体9とカーブ内側地山との干渉を防止するため等に用いられる。
【0020】
また、掘進機本体9には、図2に示すように、上記駆動ジャッキ6の一部を内方に収容するように前方に延出された嵌入フード10が設けられている。嵌入フード10は、掘進機本体9の外郭を成す円筒状のシールドフレーム11の前部に取り付けられており、後述する切欠部12の空間に延出されている。
【0021】
切欠部12は、カッタヘッド2の外周部の後部に、形成されている。詳しくは、切欠部12は、各カッタスポーク3の先端側の裏面に形成されており、これにより空いた空間に嵌入フード10が延出されている。この結果、嵌入フード10は、駆動ジャッキ7の一部を内方に収容する位置まで延出される。
【0022】
他方、カッタヘッド2(カッタスポーク3)の外周部の前部には、嵌入フード10と略同径に成形された筒体13が設けられている。筒体13は、傾斜コピーカッタ6の出没と干渉しない位置に配置されており、軸方向の長さが図1に示す各カッタスポーク3の支持剛性を確保できる範囲でなるべく短く設定されている。
【0023】
筒体13と嵌入フード10とは、所定隙間W(50mm程度)が隔てられている。この隙間Wが余り狭いと、掘進中にその間を通過する土砂によって筒体13の後端および嵌入フード10の前端が摩耗するので、これを防止するためである。なお、筒体13は省略しても構わない。
【0024】
嵌入フード10には、外部に固化剤(コンクリート等)を噴射する第1および第2注入管14、15が、軸方向に前後に所定間隔を隔てて、円錐カバー16で覆われて設けられている。これら第1および第2注入管14、15は、嵌入フード10の周方向に所定間隔を隔てて複数(10本程度)取り付けられている。
【0025】
以上の構成からなる地中接合用シールド掘進機1は、図3に示すようにして、地中に配置された受入フード17内に嵌入して接合される。受入フード17は、図例では、受入側掘進機18のシールドフレーム17が用いられている。以下、上記地中接合用シールド掘進機1を挿入側掘進機1とよび、接合の工程を説明する。
【0026】
先ず、受入側のシールド掘進機18のカッタヘッド19をコピーカッタ20を縮めてシールドフレーム17内に後退させつつ、その前方に固化剤(コンクリート等)を充填し、内部の土砂を固める(地盤改良)。そして、かかる受入側掘進機18に対して挿入側掘進機1を対向して掘進させる。
【0027】
そして、挿入側掘進機1が受入側掘進機18の地盤改良域まで近接したら、傾斜コピーカッタ6を収縮させる。そして、挿入側掘進機1を前進させ、受入側掘進機18のシールドフレーム17内に嵌入させ、双方の掘進機1、18のカッタヘッド2、19が接触する寸前とする。
【0028】
この結果、挿入側掘進機1の嵌入フード10と受入側掘進機18のシールドフレーム17の前部とがラップする。そして、そのラップ部分に、第1および第2注入管14、15から固化剤を注入し、止水壁を成形する。ラップ部分の止水性を高めるためには、ラップ代L1を大きくすることが重要となる。
【0029】
ここで、挿入側掘進機1は、カッタヘッド2に傾斜コピーカッタ6の駆動ジャッキ7を斜め前方に傾けて装着しているため、カッタヘッド2の背面部に上記ジャッキ7を避けて切欠部12を成形でき、嵌入フード10を駆動ジャッキ7および切削部8の出没と干渉することなくその切欠部12にまで延出できる。
【0030】
よって、受入フード17内にカッタヘッド2および嵌入フード10を挿入した際、ラップ代L1が図4に示す従来タイプよりも大きくなり、止水の安定性が向上する。即ち、図3において、切欠部12がないとすると、カッタヘッド2との干渉を避ける必要上、嵌入フード10をL2までしか延出できない。
【0031】
これに対し、本実施形態では、カッタヘッド2に傾斜コピーカッタ6の駆動ジャッキ7を斜めに配置することで、その後方に切欠部12を設けることが可能となり、嵌入フード10をその切欠部12まで延出しているため、ラップ代L1が切欠部12の軸方向の長さL3分だけ長くでき、止水性が向上する。
【0032】
また、カッタヘッド2に、嵌入フード10と略同径に成形された筒体13を設けているので、止水性が更に高まる。すなわち、筒体13と嵌入フード10とは、周方向に必要最低限の隙間Wが隔てられているのみなので、受入フード17内に挿入されたとき共同して仮想的なラップ代(13の長さ+L1)を大きくする。
【0033】
また、第1および第2注入管14、15から固化剤を両フード10、17のラップ部分に注入することで、ラップ部分に容易に止水壁を形成できる。よって、簡単な作業で止水性を高めることができる。なお、注入管14、15は、軸方向に3本以上設けてもよく1本でもよい。
【0034】
また、本実施形態では、受入側掘進機18のシールドフレーム17を受入フードとし、掘進機1、18同士を対向掘進させて双方のトンネルを連通するシステムを説明したが、本発明は、これに限らず、地中の構造物に筒体状の受入フードを設け、該受入フード内に地中接合用掘進機が嵌入するタイプにも適用できる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る地中接合用シールド掘進機によれば、地中に配置された受入フード内に嵌入されたときに、受入フードとのラップ代を可及的に大きくできる。よって、止水性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る地中接合用シールド掘進機の正面図である。
【図2】上記地中接合用シールド掘進機の側断面図である。
【図3】上記地中接合用シールド掘進機が受入フード内に嵌入する工程を示す説明図である。
【図4】本発明者等が先に開発した地中接合用シールド掘進機の説明図である。
【符号の説明】
1 地中接合用シールド掘進機としての挿入側掘進機
2 カッタヘッド
6 傾斜コピーカッタ
7 駆動ジャッキ
10 嵌入フード
11 掘進機本体
12 切欠部
13 筒体
14 第1注入管
15 第2注入管
17 受入フード
W 所定隙間
Claims (3)
- 地中に配置された受入フード内に嵌入して接合される地中接合用シールド掘進機であって、
切羽を切削するカッタヘッドに、該カッタヘッドの径方向外方かつ前方に出没する傾斜コピーカッタの駆動ジャッキを斜め前方に傾けて装着し、
上記カッタヘッドの外周部の後部に、切欠部を形成し、
上記カッタヘッドの後方の掘進機本体に、筒状の嵌入フードを、上記カッタヘッドの外周部の前部を除いた後部を内方に収容するように、上記切欠部により空いた空間まで前方に延出させて設けた
ことを特徴とする地中接合用シールド掘進機。 - 上記カッタヘッドの外周部の前部に、上記嵌入フードと略同径に成形され接合時に上記受入フード内に挿入される筒体を設けた請求項1に記載の地中接合用シールド掘進機。
- 上記嵌入フードに、受入フード内への嵌入時にそれらフード間に固化剤を注入するための注入管を設けた請求項1又は2に記載の地中接合用シールド掘進機。
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