JP4090122B2 - 密着性多層耐熱ラップフィルム - Google Patents

密着性多層耐熱ラップフィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装用、特に家庭用ラップフィルムで代表されるラップフィルムに好適に使用される、密着耐熱性ラップフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家庭用ラップフィルムに代表されるラップフィルム(以下、家庭用等ラップフィルムという。)は、主として冷蔵庫や冷凍庫での食品の保存用や、電子レンジでの加熱用に、容器に盛った食品をオーバーラップするのに使用される。このため、家庭用等ラップフィルムには、透明性は、勿論のこと、包装・保存・加熱時に、適度の弾性率、加熱中も溶融穿孔、大きな変形、容器への融着、それ自身の変質等の無い安定性、及びラップ同士、容器に対する低温から高温域までの適度な密着性等が要求されている。
【0003】
現在市販されている家庭用等ラップフィルムとしては、現在、最も使い勝手の良い、延伸したポリ塩化ビニリデン系樹脂を主体としたフィルムと、その他に後述のラップ適性においては大幅に劣る、押し出しキャストした、ポリエチレン系樹脂、可塑化ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1系樹脂等を主成分としたフィルムよりなるもの等がある。
ところで、あらゆる面でより安全性が高いと思われる脂肪族ポリエステル系樹脂からなる家庭用等ラップフィルムは未だかって無い。また、使い勝手も良く、且つ環境・衛生的にもより優れた、該塩化ビニリデン系樹脂からなるラップフィルムを越えるレベルのものは未だ見出されていない。
【0004】
脂肪族ポリエステル系樹脂からなるフィルムとして、家庭用等ラップフィルムではないが、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂からなる延伸フィルムが、特開平6−23836号公報等に開示されているが、該フィルムは、その引張弾性率において220kg/mm2 を超え、あまりにその値が高すぎ、ラップ同士の密着性も、後述するラップ適性も無く、全く家庭用等ラップフィルムとして適さないものである。また、特開平9−272794号公報には、従来の一般包装用ポリエチレン袋用途に向けて、ポリ乳酸系樹脂に、軟化点が低く且つ結晶化点が室温以下の、柔軟な他種の脂肪族ポリエステル樹脂を多量(25〜80重量%)に混合して、柔軟性及び透明性をポリ乳酸系樹脂に付与する旨の記述があるが、これも本発明の家庭用等ラップフィルムと異なる分野のものである。また特開平7−257660号公報には、ポリ乳酸系樹脂利用による野菜、花卉、果実等の輸送・貯蔵時に使用する、水蒸気透過度が50〜300g/m2・24hrの、従来2軸延伸ポリスチレンフィルム(通称OPSフィルムでの包装)分野の鮮度保持用途の、厚み10〜500μmのフィルムの開示等がある。これらは、本発明の家庭用等ラップフィルムとは異なる用途のものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、家庭用ラップフィルムで代表されるラップフィルムとして、各種容器(含磁器製、プラスチックス製共)包装、および容器無しのラッピング包装等に用いられ、特に加熱使用時の用途に好適な、脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とした密着性多層耐熱ラップフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
(1) グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸を含む2−ヒドロキシ−2,2−ジアルキル酢酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸から選ばれる一種以上の単量体よりなる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対し、脂肪族系アルコール、脂環族系アルコール、これらの多価アルコール、及びこれらの縮重合物から選ばれる少なくとも1種のアルコール成分と脂肪族脂肪酸、脂肪族(多価)カルボン酸、芳香族(多価)カルボン酸から選ばれる少なくとも1種の酸成分とのエステル、脂肪族ヒドロキシカルボン酸とアルコール又は脂肪酸とのエステル、及びこれらエステルの変性物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びそのエステル、脂肪族ポリエステルのオリゴマー、ミネラルオイル、流動パラフィン、飽和炭化水素化合物よりなる低重合物からなる群から選択される少なくとも1種の可塑剤からなる液状添加剤(B)を1重量部〜20重量部を含む樹脂組成物(C)からなる層を表層に少なくとも1層と、上記脂肪族ポリエステル系樹脂の内、結晶融点が140℃〜235℃の脂肪族ポリエステル系樹脂(D)100重量部に対し、上記液状添加剤(B)を1重量部未満含有する若しくは含有しない層を少なくとも内層として1層有する、上記内層が表層よりその結晶融点が高い、少なくとも2層からなる延伸フィルムであって、フィルムの結晶化度が10〜70%、引張弾性率が20kg/mm2 〜150kg/mm2 、耐熱性が120℃以上であることを特徴とする密着性多層耐熱ラップフィルム、
【0007】
(2) 100℃における加熱収縮率X%と加熱収縮応力Yg/mm2 、及びその両者の関係が、下記、式(1)、式(2)及び式(3)の範囲内にある事を特徴とする、(1)記載の密着性多層耐熱ラップフィルム、
Y≦(1400−20X)/3 (1)
2≦X≦45 (2)
5≦Y≦350 (3)
【0008】
) 樹脂組成物(C)からなる1層又は2層以上の合計厚みが全厚みの5%〜95%
であり、樹脂(D)からなる1層又は2層以上の合計厚みが全厚みの95%〜5%であることを特徴とする(1)記載の密着性多層耐熱ラップフィルム、
) 樹脂組成物(C)からなる層と、樹脂(D)からなる層の合計厚みが全厚みの10%〜95%であり、該樹脂組成物(C)の構成成分である脂肪族ポリエステル系樹脂を除く脂肪族ポリエステル系樹脂、カプロラクトン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(PO)、芳香族系の誘導体を含むポリエステル系樹脂(PEST)、エチレン−ビニルアルコール系共重合樹脂(EVOH)、ポリアミド系樹脂(PA)、エチレン(又は、他の少なくとも一種のα−オレフィンを含む。)−一酸化炭素系共重合樹脂(含同水添樹脂)、エチレン(又は、他の少なくとも1種のα−オレフィンを含む。)−環状炭化水素共重合樹脂(含同水添樹脂)からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなる層の合計厚みが全厚みの5%〜95%であることを特徴とする(1)記載の密着性多層耐熱ラップフィルム、を提供するものである。
【0009】
また、好ましくは、
・ 樹脂(A)の主体となる脂肪族ポリエステル系樹脂の共重合する構成単位が、乳酸の異性体、乳酸のDL(ラセミ)体、グリコール酸、3−ヒドロキシ吉草酸、ε−カプロラクトン、2−ヒドロキシイソ酪酸を含む2−ヒドロキシ−2,2−ジアルキル酢酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸から選択される少なくとも1種の単量体よりなる構成単位であることを特徴とする(1)記載の密着性多層耐熱ラップフィルム、
・ 樹脂(D)の主体となる脂肪族ポリエステル系樹脂の結晶化度が10%〜80%であることを特徴とする(1)又は(4)記載の密着性多層耐熱ラップフィルム、
・ 液状添加剤(B)が、その主体とする成分の50℃における粘度が少なくとも5センチポイズ、100℃における粘度が500センチポイズ以下の液体であり、且つその主体とする成分の沸点が170℃以上であることを特徴とする(1)記載の密着性多層耐熱ラップフィルム、
・ 液状添加剤(B)が、脂肪族系アルコール、脂環族系アルコール、これらの多価アルコール、及びこれらの縮重合物から選ばれる少なくとも1種のアルコール成分と脂肪族脂肪酸、脂肪族(多価)カルボン酸、芳香族(多価)カルボン酸から選ばれる少なくとも1種の酸成分とのエステル、脂肪族ヒドロキシカルボン酸とアルコール又は脂肪酸とのエステル、及びこれらエステルの変性物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びそのエステル、脂肪族ポリエステルのオリゴマー、ミネラルオイル、流動パラフィン、飽和炭化水素化合物よりなる低重合物からなる群から選択される少なくとも1種の可塑剤からなることを特徴とする(1)記載の密着性多層耐熱ラップフィルム、
・ 脂肪族ポリエステル系樹脂を主体とする樹脂(A)が、50重量%〜99重量%の脂肪族ポリエステル系樹脂と、該脂肪族ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂1重量%〜50重量%とからなることを特徴とする(1)記載の密着性多層耐熱ラップフィルム、
を提供するものでもある。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、樹脂(A)の主体となる脂肪族ポリエステル系樹脂は、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸を含む2−ヒドロキシ−2,2−ジアルキル酢酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸等の公知の単量体から選ばれる一種の脂肪族ヒドロキシカルボン酸の直接重合若しくは環状(二量)体の開環重合、これらのエステル化した物の重縮合、又は他の単量体との共重合、また光学異性体の存在するものはそのD体、L体、DL(ラセミ)体との共重合をも含むものとする。該共重合にはランダム状、ブロック状、両者の自由な混合構造をも含むものとする。
【0011】
これら共重合する場合のその比率は、ラップフィルムとしての性能を維持する為には、対象単量体成分同士によっても多少異なるが、一般に、共重合する少量成分の合計で表して、50モル%未満であることが好ましい。より好ましくは1.5モル%〜40モル%、更に好ましくは2モル%〜30モル%、特に好ましくは2.5モル%〜25モル%程度である。共重合成分を含むことは、フィルムに柔軟性としなやかさを与えるためや、密着性を与える添加剤との適度ななじみ、安定な押し出し・延伸加工性等を与えるために都合が良い。
【0012】
共重合する他の単量体としては、ベースとなる脂肪族ヒドロキシカルボン酸を除く脂肪族ヒドロキシカルボン酸類、例えば、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、4−ヒドロキシブタン酸等が挙げられる。但しこれらに環状二量体や光学異性体(D体、L体、DL体)が存在する場合には光学異性体(D体、L体、DL体)も含める。これらの単量体は二種以上用いることも可能である。また、これらのエステル類を原料として使用し縮重合して共重合しても良い。他に同様に共重合するラクトン類を用いることもできる。具体例を挙げれば、β−ブチロラクトン、β−プロピオラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンが挙げられる。
【0013】
また、アルコール成分、つまり(共)重合する脂肪族多価アルコール類も共重合する単量体として用いることができる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、その他のポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジ−プロピレングリコール、トリ−プロピレングリコール、テトラ−プロピレングリコール、カーボネート結合を有するジオール類等が挙げられる。該アルコール類は2種以上用いることもできるまた、場合によっては、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等の付加物も使用することが可能である。
【0014】
同様に重合時の酸成分、つまり(共)重合する脂肪族多価カルボン酸類も共重合する単量体として用いることができる。例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−ジシクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸等が挙げられる。また、場合によってはこれらのエステル誘導体、酸無水物等を使用することが可能である。これらを多成分に組み合わせてもよい。
【0015】
本発明で用いられる樹脂(A)の脂肪族ポリエステル系樹脂の好ましい組み合せ例を挙げれば、グルコール酸、乳酸、2−ヒドロキシイソ酪酸を含む2−ヒドロキシ−2,2−ジアルキル酢酸(アルキル基とは炭素数1〜5程度のものを言う。以後記述を略する。)、3−ヒドロキシ酪酸を主原料にして単独(二量体を含む)重合したもの、又はこれに異なる成分として少量のL−乳酸、D−乳酸と共重合したもの、又は同DL体と共重合したもの、またグリコール酸、3−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、4−ヒドロキシブタン酸、ε−カプロラクトンと共重合したもの(前述のランダム状、ブロック状、その他両者を自由に共存するものを含む。)等がある。また、これらのエステルを原料として重縮合しても良い。また、バイオ技術により生物由来の各種脂肪族ポリエステル系樹脂を利用してもよい。
【0016】
本発明で用いられる樹脂(A)は、上述した脂肪族ポリエステル系樹脂の2種以上を混合して用いることもできる。
本発明で用いられる樹脂(A)及び(D)の主体となる脂肪族ポリエステル系樹脂の一般的な分子量は、その樹脂の種類によっても多少異なるが、重量平均分子量(Mw)で表して10000〜1500000程度、好ましくは10000〜1000000程度である。その下限はラップフィルムに加工する時の製膜性(ドロウダウン性)、又はラップフィルムの強度、延伸性等により制限があり、その上限は押し出し加工性が悪くなる(余りに高粘度の物は均一に押し出しできなくなる。)、押し出し中に発熱し分解し易くなる、ダイス内で多層に重ねる時に層が乱れてしまう等のためである。
【0017】
また、樹脂同士を混合使用する場合の主体とならない少量成分の場合はこの限りではなく、適宜本範囲以外(主に下限以下)の物の使用は加工をスムーズにするために好ましい場合がある。
樹脂(A)の構成する層と別の層を構成する樹脂(D)の主体となる脂肪族ポリエステル系樹脂は、上記樹脂(A)において挙げた脂肪族ポリエステル系樹脂の内、結晶融点(ここではDSC法に準じて、10℃/分のスキャンスピードで測定した。)が120℃〜250℃のものである。
【0018】
樹脂(D)に含まれる脂肪族ポリエステル系樹脂の結晶融点が120℃未満であると、ラップフィルムの耐熱性、剛性が不足し、また収縮性が過剰となり好ましくない。また、結晶融点が250℃を超えると、分解温度が近くなり、押出成形性や延伸性等の加工性が悪くなるため、好ましくない。より好ましくは130〜240℃であり、更に好ましくは140〜235℃である。また、結晶融点は複数のピーク値を有していても良く、該ピーク値の全てが上述範囲内に含まれていれば良い。これらは、主として内層の耐熱性向上に寄与しそれがフィルム全体の耐熱性向上に寄与すればよいが、表層に適度な耐熱性が(少なくとも100℃程度の)あって表層同士の融着防止等の適度な耐熱性を発揮するにも良いし、内層より表層の方が耐熱性があっても良い。好ましくは内層が表層より耐熱性(又はその結晶融点、及び又はその結晶化度)が高い方が、密着性付与、光学特性等の観点で好ましい。
【0019】
樹脂(D)の主体をなす脂肪族ポリエステル系樹脂は、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸を含む2−ヒドロキシ−2,2−ジアルキル酢酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸から選ばれる一種の単量体よりなる構成単位を75モル%以上含有する重合体の1種又は2種以上からなるものが好ましい。また、必要に応じて樹脂(A)で挙げた共重合する他の単量体との共重合体であっても良い。これら単量体を組み合わせ(共)重合して得られる脂肪族ポリエステル系樹脂においては、共重合する少量成分の合計で表して、25モル%未満であることが好ましい。より好ましくは1.5モル%〜20モル%、更に好ましくは2モル%〜15モル%、特に好ましくは、2.5モル%〜13モル%程度である。25モル%未満1.5モル%以上含有すると、ラップフィルムに耐熱性や剛性を与え、ラップフィルムとしての取り扱い性を改良することができ、また、寸法安定性等を与えることもでき都合が良い。特に結晶融点の高い樹脂、結晶化度の高い樹脂の場合には、押し出し加工性を良くする、押し出し中の熱分解を少なくするに有効である。また、同じ理由で光学異性体が存在する場合には、上述の範囲内でのD体の(共)重合体と、L体の(共)重合体とを、それぞれ混合比7/3〜3/7で混合すると、それらは共晶(ステレオコンプレックス)形成能を有し、両者よりなる高温の結晶融点を発現する特殊な混合体として単独で利用することもできるし、上述樹脂に混合使用しても良い。
【0020】
更に原料としての、該脂肪族ポリエステルの飽和結晶化度の範囲は通常10%〜80%程度であり、好ましくは20%〜70%である。また、ラップフィルム(主に少なくとも内層として)の結晶化度の範囲は、通常10%〜70%程度であり、好ましくは20%〜65%である。これらの下限は、ラップフィルムの耐熱性より制限され、上限は原料の成形加工性、ラップフィルム内層の厚み比率が高い場合には柔軟性等で制限される。また、ラップフィルムの透明性等からも制限される。但し、原料の特性で、加工条件(急冷等)や添加剤(結晶制御剤)等の影響によって、ラップフィルムに加工した後、上記結晶化度の範囲より結晶化度が低いが、該フィルムを加熱使用(例えば調理する)時に結晶化速度が速く、即座に結晶し、結果として有効に耐熱性がでる(フィルムが局部的にでも、メルト、穿孔しない)場合には、使用前ラップフィルムの結晶化度の制限値下限は、この限りでない。また、この場合、上述の脂肪族ポリエステル系樹脂の内、生分解性機能を有するが、結晶化度が高い結果として、廃棄処理時、生ゴミと一緒にコンポスト化した場合に生分解し難いタイプの樹脂の廃棄物処理を容易にさせるのに好ましい場合が有る。
【0021】
また、樹脂(A)からなる表層にあつても、その耐熱性を保持するために好ましくは10%〜70%程度、より好ましくは、15%〜60%程度、更に好ましくは、20%〜50%程度の結晶化度が有っても良い。その上限は添加剤のブリード効果、光学特性、柔軟性等に障害、限界が出てくる。また、結晶融点にしても、120℃以下の成分が含まれていても良い。
また、樹脂(A)、樹脂(D)に、主体となる上記脂肪族ポリエステル系樹脂の他に50重量%未満、好ましくは5重量%〜40重量%、より好ましくは7重量%〜30重量%の範囲内で、異なる他の公知の脂肪族ポリエステル樹脂(ランダム状、ブロック状、両者の自由な混合構造をも含む共重合体を含む。)、また、その他の熱可塑性樹脂を少なくとも一種、混合して用いてもかまわない。
【0022】
これらには上述樹脂(A)で用いられる以外の他種脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリオレフイン系樹脂、芳香族系単量体を含む通常のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合樹脂、α−オレフィン(エチレン、他)−スチレン共重合樹脂(又は含同環水添樹脂)、α−オレフイン−一酸化炭素共重合樹脂(又は含同水添樹脂)、エチレン−脂環族炭化水素共重合樹脂(又は含同水添樹脂)、スチレンとブタジエンないしイソプレン共重合樹脂(又は含同水添樹脂)、ポリカプロラクトン系樹脂等が挙げられる。
脂肪族ポリエステル系樹脂(D)は、これらから上述の特性(耐熱性、その他)を満足するものが少なくとも1種選ばれる。
【0023】
本発明で使用される液状添加剤(B)は、主として表層用樹脂に添加し、ラップフィルムの密着性付与を主目的に用いられるが、その他にも静電気発生の抑制、巻きロールのブロッキング防止、取り扱い時のしなやかさを与えるための引張弾性率の調整等にも有用である。内でも特に、密着性(同仕事量)等を好適な範囲にコントロールするために必要である。その主体とする成分の50℃での粘度(以後、B型粘度計で測定した値)が少なくとも5センチポイズ以上、100℃で500センチポイズ以下、好ましくは、100℃で300センチポイズ以下で有り、かつその主体とする成分の沸点が170℃以上の液体が好適に使用される。
【0024】
その添加量は、樹脂(A)100重量部に対し、1重量部〜20重量部の範囲であり、好ましくは1重量部〜15重量部であり、より好ましくは2重量部〜10重量部である。それらの理由は、後述の通りである。また、上述の樹脂(D)よりなる層(以下、耐熱層という。)には、添加剤を添加しないか、又は樹脂(D)100重量部に対して1重量部未満の量を添加してもかまわない。その他の層は自由である。
【0025】
該液状添加剤(B)としては、なかでも脂肪族アルコール、脂環族アルコール、これらの多価アルコール、及びこれらの縮重合物から選ばれる少なくとも一種のアルコール、及び上述のアルコール成分と脂肪族、又は芳香族(多価)カルボン酸とのエステル、脂肪族ヒドロキシカルボン酸とアルコール及び/または脂肪酸とのエステル、及びこれらエステルの変性物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びそのエステル、該樹脂(A)の主体をなす脂肪族ポリエステルのオリゴマー、ミネラルオイル、流動パラフィン、飽和炭化水素化合物よりなる低重合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の可塑剤がより好適に使用可能である。
【0026】
これらには、例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン類、及びこれらをアルコール成分の原料とし、酸成分として、脂肪酸、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等とのモノ、ジ、トリエステル等のポリエステルより選ばれる少なくとも一種のエステル、又はソルビタンと上記脂肪酸との自由なエステル、又はエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、及びこれらの縮重合物と上記脂肪酸との自由なエステル、又は脂肪族ヒドロキシカルボン酸、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等と、炭素数10以下の低級アルコールとの自由なエステル、又は多価カルボン酸、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等と脂肪族アルコールとの自由なエステル、又はこれらエステルの変性物として、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。
【0027】
好ましくは、これらから粘度差(以後、粘度は50℃での測定)が少なくとも3センチポイズあるものを2種類選定し混合使用すると良い。より好ましくは、高粘度の物/低粘度の物の重量混合比を0.5/10〜9/1の範囲で混合使用する。更に好ましくは、粘度差が少なくとも10センチポイズあるものを、高粘度の物/低粘度の物の重量混合比を1/9〜5/5の範囲で混合使用する。3種以上混合して用いることもできる。3種以上混合する場合は、該全添加量の内、少なくとも5重量%以上添加する物の内、どれかの2成分が、上記の粘度差、及び重量混合比を満たしていれば良い。該条件を満足すると、ラップフィルム表面にブリードアウトする速度及び量が均一化され、経時的にも平均化され、相乗的に都合良く作用するからと推測される。
【0028】
本発明において、(1)引張弾性率は、ASTM−D882に準拠して測定された。該フィルムの2軸延伸時の流れ方向に対して、縦、横方向における2%伸張時の応力値を100%に換算し、更に厚み換算した値の平均値で表し、弾性率(kg/mm2 単位)で表す。
本発明のラップフィルムの引張弾性率は、20〜150kg/mm2 の範囲内で、上記下限は、フィルムの(刃切れ性の良い)カット性、フィルムの腰硬さ、フィルムの伸張性(引っ張り、カットした後、包装するまでの張り、防皺等の)、取り扱い性等から制限され、上限はフィルムの破断伸びを適当値に制御する効果にも関係して、包装時のフイット性、(刃切れの良い)カツト性を保つ為に制限される。好ましい範囲は25〜130kg/mm2 、より好ましくは25〜120kg/mm2 である。
【0029】
(2)加熱収縮率とは、100mm角のフィルム試料を、接着しないようにタルク等の粉をまぶし、所定の温度に設定したエヤーオーブン式恒温槽に水平に入れ自由に収縮する状態で10分間処理した後、フィルムの収縮量を求め、元の寸法で割った値の百分比で表し、同様に縦、横方向の平均値(%単位)で表す。本発明での好ましい範囲は2%〜45%、より好ましくは3%〜40%、更に好ましくは3%〜35%である。その下限は、加熱時のフイット性(多少収縮し、容器、盛り上がった内容物、容器外壁に仮密着したフィルムの皺を消失し密着面積の拡大、又はフィルムーフィルム面の皺で剥離しやすい所を少なくし、密着させる)等に有効で、加熱時高温になり、水蒸気が出て剥離し、密着不足になるのを防ぐ為に有効である。上限は、フィルム外れや破れ、容器(プラスチックスの時)や内容物の変形等により制限される。
【0030】
(3)加熱収縮応力値とは、フィルムを幅10mmの短冊状にサンプリングし、それをストレインゲージ付きのチヤックにチヤック間隔50mmに所定の長さより5%緩め(長めに)てセットし、それを所定の温度に加熱したシリコーンオイル中に浸漬し、発生した応力を検出する事により得た。浸漬後20秒以内における最大値で、同様に縦、横の同値の平均値を厚み換算した値(g/mm2 )で表す。本発明での好ましい範囲は5〜350(g/mm2 )、より好ましくは10〜300(g/mm2 )、更に好ましくは10〜250(g/mm2 )である。下限は、加熱時の収縮率と共に、容器、被包装物へのフイット性(前述、加熱収縮率の時と同じ。)、延伸による強度発揮、カット性等に問題を生じる様になり、上限は、加熱時の容器からのフィルム外れ、破れ、容器、内容物の変形等により制限される。
【0031】
(4)密着性(同仕事量)とは、23℃、相対湿度65%の恒温室で、円面積が25cm2 の、二つの円柱の各一端側に、しわの入らないように該フィルムを緊張させて固定し、その該フィルム面の相互が重なり合うように2本の円柱をあわせ、荷重500gで1分間圧着した後、引張試験機で該フィルム面を互いに垂直な方向に100mm/分のスピードで、引き剥がしたときの仕事量(g・cm/25cm2 )で表す。本発明のラップフィルムでは、5〜30g・cm/25cm2 の範囲である。5g・cm/25cm2 未満では、包装時及び保存(含冷蔵)、加熱時の容器又はフィルム面同士の密着不足によるフィルム剥がれがある。30g・cm/25cm2 を越えると、箱及びロールからの引き出し性不良となり、また包装時にフィルム同士が密着し過ぎ、カット後のフィルム展張性(重なった部分が剥がれ難くなったり、重なりが自然に増加してしまう等)、包装性が悪くなる。好ましい範囲は、7〜25g・cm/25cm2 の範囲である。
【0032】
(5)耐熱性とは、100mm角のフレームに緊張状態で張ったフィルムの中央部に温度調節可能な、半径40mmの熱版を軽く1分間接触させ、フィルム面上に少なくとも合計面積で10mm2 の穿孔が発生する温度を5℃ピッチで測定して行き、その一歩手前の温度で表す(サンプル繰り返し数、N=5の平均)値である。本フィルムでのこの範囲は、120℃以上、好ましくは、130℃以上、より好まししくは、140℃以上である、その下限の理由は、電子レンジ等で、加熱中の包装破れ等によるフィルム収縮で内容物の飛散、乾燥しすぎ、水分不足で局部加熱になる等である、その上限は特に限定しないが、他の特性と連動(例えば、加工性の悪化、引っ張り弾性率の高過ぎ、等)しているため、250℃程度であり、好ましくは240℃程度である、又、上記の範囲の理由は、電子レンジ等での、加熱初期は約100℃の水蒸気で、フィルムが破損しなければ当面良いが、内容物と接触している部分が、(加熱終了期、特に水蒸気が少なくなった場合)内容物に、油成分と塩類の混合物が存在すると、特に高温になる場合が有る。また耐熱性が悪いと穴が開き拡がったり、フィルム成分が溶け衛生上好ましくないばかりか、容器無しで包装し加熱した場合、フィルムが溶着してしまい、更に包装物を取り出し中に、真空状態に密着し内容物をバラバラにしないと、そのまま取り出し不可に成ったりする場合がある。
【0033】
(6)結晶化度とは、原料樹脂では、結晶化に最適温度で充分アニール処理し、平衡状態としたものを広角X線回折法により求めた結晶化度を固定した標準試料の融解エネルギーとの相関を求めて置き、簡易的には、DSC法(JISK7122に準処)にて検量線を求めておき、目的サンプルを測定する。但し、製品のフィルムを測定する場合は、フィルムをそのまま、又は、はっきりしない場合は、単層相当で実験換算し、又はそこに含まれる該樹脂(A)成分の結晶融点が120℃以上の結晶成分を、それぞれ原料成分由来の結晶成分で測定換算(他樹脂混合、多層状とも)し、その合計で表すものとする。(但し、好ましくは、該樹脂(D)よりなる耐熱層のみで表現するものとする、又フィルムの結晶化度は、その組成物条件、原反の製造条件、延伸条件、熱処理条件等により自由に制御され、原料自身で測定された値より広範囲に変化させる事が出来る。その上限は、適性に配向結晶化させれば、原料より高くする事も可能な事は、当業者間で公知である、本発明での範囲は前述のとおりである。
【0034】
本発明において樹脂組成物(C)は、脂肪族ポリエステル系樹脂を主体とする樹脂(A)100重量部あたり該液状添加剤(B)を1重量部〜20重量部含んでいる。この好ましい範囲は1重量部〜15重量部であり、より好ましくは2重量部〜10重量部である。該液状添加剤(B)が上記下限より少ないと、ラップフィルムの引張弾性率の調整、使いがつて性(滑り性、ロール巻きよりの引き出し性、静電気発生制御、密着面積自己増大性、刃切れ性等)、密着仕事量(密着力)等を、好適な範囲にコントロールできない。また、延伸安定性も良くない場合が多い。また、該液状添加剤(B)が、上記上限よりも多いと、該樹脂(A)が可塑化されすぎて耐熱性が不足するばかりか、フィルム引っ張り弾性率(フィルム腰、取り扱い性に影響)の低下、箱刃物部でのカット後の伸(展)張性が悪く成り、包装性を阻害する重複部が増加したり、これらに伴う皺部が剥離し難くなり伸ばし難く、張った状態で包装し難く成る。また、加熱によりフィルムが収縮し過ぎる様になり、容器からフィルムがはずれ抜けやすく成り、加熱むらが生じ、庫内が汚れてしまう結果となる場合がある。過剰の該液状添加剤(B)が時間の経過とともにラップフィルムの表面、ロール巻きの端部にブリードアウトし、箱を汚したり、ラップフィルムがべたついたり、食品に移行したり、密着仕事量が好ましい範囲から外れたりする。
【0035】
本発明のラップフィルムは、該樹脂組成物(C)から成る層を、表層に少なくとも一層、好ましくは全層に対する合計厚み比率で5%〜95%、より好ましくは同10%〜90%、更に好ましくは同20%〜80%有し、且つ該脂肪族ポリエステル系樹脂を主体とする樹脂(D)層を、少なくとも一層、好ましくは内層として1層、同様に合計厚み比率で好ましくは95%〜5%、より好ましくは90%〜10%、更に好ましくは80%〜20%有するものである。
【0036】
また、これらに好ましくは回収層(R)を全体層の内5〜40%の厚み比で自由に加えても良く、又該回収層は、更に表層の組成(C)と合致すれば透明性、光沢等を阻害しない限り、表層にも利用しても良い。なお、回収層(R)とは、多層状のフィルムの製造時のオフグレード、及び製造中にフィルムの耳部等を連続的に回収してペレット状に再生した物を再使用し、専用の回収層(R)として層構成に加えたものである。
【0037】
これらの層構成の形態は、上述層をそれぞれC、D、これらの回収層をRと略して表現すると、C/D、C/R/D、C/D/R、C/D/C、C/R/D/R/C、C/D/R/D/C、C/D/C/D/C、C/R/D/C/D/R/C等であり、これらの内、好ましくは、C/D/C、C/R/D/R/C、C/D/R/D/C等で有る。又その他に、他種樹脂層を自由にこれらに加えても良い。
【0038】
これらの製法は、多層ダイにより押し出し後、延伸しフィルム化され、適度にヒートセットされ、寸法安定性を付与し、必要により最終的に原料由来の結晶特性からくる範囲内で、自由に結晶化度を制御し、更に耐熱性を付与せしめ、本発明の密着性多層耐熱ラップフィルムとなる。
より詳細なフィルム製法には、例えば、フラット法では、多層T−ダイから押出し、キャストロールで急冷後、ロール延伸機やテンターで延伸する方法や、サーキュラー法では、多層環状ダイから多層状に、押出し、水冷リング等により、所定の温度に急冷後、次の行程で、所定の温度に加熱し、エアーを吹き込んでチューブラー延伸し、次にヒートセットする方法等があるが、製造プロセスが安価で生産性も良く、得られるフィルムの幅方向の厚み・偏肉分散・等を制御しやすい、製品化収率が良い、等の理由で、後者の方法が好ましい場合が多い。
【0039】
本発明の密着性多層耐熱ラップフィルムに適する、100℃における好ましい範囲の加熱収縮率(X)と加熱収縮応力(Y)関係は、下記、式(1)〜式(3)の関係式(上述単位は略す。)
Y≦(1400−20X)/3 ・・・(1)
2≦X≦45 ・・・(2)
5≦Y≦350 ・・・(3)
を満たすものである。以下説明時には、単位は単にそれぞれ(%、g)と略する。上記のX−Y座標系で、式(1)、式(2)、式(3)の線に囲まれた図形の範囲内であることが好ましい。加熱収縮率(X)が45%を超えるか、加熱収縮応力(Y)が350gを超えると、(例えば電子レンジ庫内での)加熱時に皿にかぶせたラップフィルムが収縮して容器から外れたり、破れたり、容器又は被包装体(食品)が変形したりすることがある。
【0040】
また、より好ましいこれらの範囲は、下記式(4)、式(5)、式(6)の関係式、
Y≦(1100−20X)/3 ・・・(4)
3≦X≦40 ・・・(5)
10≦Y≦300 ・・・(6)
を満たす範囲である。ここでいう加熱収縮率のより好ましい範囲は、3%〜40%の範囲内であり、更に好ましい範囲は3%〜35%の範囲で有る。また、加熱収縮応力のより好ましい範囲は、10g〜300gの範囲内であり、更に好ましい範囲は、10g〜250gの範囲内である。尚100℃の温度で表す理由は、主に電子レンジ等で、耐熱容器に、水分を含む被加熱物を入れ、調理又は単に加熱処理する場合、当初は約100℃の水蒸気に大部分が晒されて、膨らみ、加熱される為である。
【0041】
本発明における好ましい種々の包装適性は上記の特性及びその範囲で主に表されるが、その他の官能的な包装特性も実用上重要であり、前述及び後述の実施例で好ましい範囲としてそれぞれ記す事とする。
本発明の密着性耐熱ラップフィルムの厚みは、家庭用等ラップフィルムとしての扱いやすさや、原料コストの面でも、5〜15μmであることが好ましく、より好ましくは、この値は6〜13μmであり、更に好ましくは7〜11μmで有る。
【0042】
また、本発明のラップフィルムは、必要に応じて、少なくとも1層の他種樹脂層、つまり前述の脂肪族ポリエステル系樹脂を除く他の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン−1系樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1系樹脂をはじめとするポリオレフィン系樹脂(PO)、及び、ポリエチレンテレフタレート系(含変成)樹脂、ポリブチレンテレフタレート系(含変成)樹脂、をはじめとする芳香族系成分を一部含むポリエステル系樹脂(PEST)、エチレンービニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH)、αオレフィンー一酸化炭素共重合樹脂(含同水添樹脂)、αオレフィン(エチレン)ースチレン共重合樹脂(含同水添樹脂)、エチレンー環状炭化水素系化合物共重合樹脂(含同水添樹脂)、ポリアミド系樹脂、カプロラクトン系樹脂等から少なくとも一種選択される樹脂からなる層を含む多層構造をとってもよい。該ラップフィルムは、樹脂組成物(C)からなる層と、樹脂(D)からなる層を、合計厚みで全厚みの10%〜95%、好ましくは50%〜90%有する。上記他種樹脂層は全厚みの5%〜90%、好ましくは10%以上50%含むことができる。更に任意の層を電子線等の高エネルギー線等の公知な方法で照射処理し、架橋せしめて耐熱性を持たせても良い。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例にて更に詳しく説明する。
ここに使用する、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は以下のものである、
A−1は、L−乳酸77モル%に、グリコール酸を23モル%共重合した樹脂(結晶融点100℃、結晶化度6%)である。
A−2は、グリコール酸73モル%に、L−乳酸を27モル%共重合した樹脂(結晶融点115℃、結晶化度16%)である。
A−3は、3−ヒドロキシ酪酸75モル%に、3−ヒドロキシ吉草酸を25モル%共重合した樹脂(結晶融点117℃、結晶化度13%)である。
A−4は、L−乳酸89モル%に、D−乳酸を11モル%共重合した樹脂(結晶融点126℃、結晶化度11%)である。
A−5は、2−ヒドロキシイソ酪酸83モル%に、L−乳酸を17モル%共重合した樹脂(結晶融点118℃、結晶化度15%)である。
D−1(A−6)は、3−ヒドロキシ酪酸96モル%に、α−ヒドロキシイソ酪酸を4モル%共重合した樹脂(結晶融点163℃、結晶化度40%)である。
D−2(A−7)は、L−乳酸98モル%に、D−乳酸を2モル%共重合した樹脂(結晶融点174℃、結晶化度55%)である。
D−3(A−8)は、グリコール酸95モル%に、L−乳酸を5モル%共重合した樹脂(結晶融点218℃、結晶化度45%)である。
D−4(A−9)は、3−ヒドロキシ酪酸98モル%に、4−ヒドロキシブタン酸を2モル%共重合した樹脂(結晶融点166℃、結晶化度43%)である。
D−5(A−10)は、2−ヒドロキシイソ酪酸97モル%に、L−乳酸を3モル%共重合した樹脂(結晶融点176℃、結晶化度53%)である。
D−6(A−11)は、L−乳酸97モル%に、D−乳酸を3モル%共重合した樹脂と、D−乳酸97モル%に、L−乳酸を3モル%共重合した樹脂とを1/1の比で混合配合した共晶性組成物(主結晶融点228℃、主結晶化度47%、但し主とは共晶成分の換算分を言う。)である。
D−7(A−12)は、L−乳酸90モル%に、DL(ラセミ)体−乳酸を10モル%共重合した樹脂(結晶融点157℃、結晶化度43%)である。
【0044】
ここに使用する液状添加剤(B)は、前述好ましい範囲(粘度)内のもので以後粘度の単位、センチポイズを略し、その測定温度50℃/100℃の順に記す。
B−1は、テトラグリセリンモノラウレート(1700/150)、
B−2は、ジグリセリンモノラウレート(200/25)、
B−3は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(18/2)、
B−4は、エポシキ化大豆油(110/16)、
B−5は、ミネラルオイル(13/3)、
B−6は、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート(210/34)、
B−7は、ヘキサグリセリン(1000/70)、
B−8は、アセチルトリブチルシトレート(11/2)である。
【0045】
また、ここに使用する樹脂組成物(C)は以下のものである。
C−1は、前述A−7を80重量%に、ε−カプロラクトン(R−1)(結晶融点62℃、結晶化度45%)のものを20重量%加えたもの100重量部に、前述B−2を4重量部とB−5を4重量部、更にB−1を1重量部混合した組成物である。
C−2は、前述A−8を80重量%に、前述A−4を20重量%加えたもの100重量部に、前述B−4を3重量部と同B−8を4重量部混合した組成物である。
C−3は、前述A−5を80重量%に、エチレン−ビニールアルコール共重合体(エチレンを39モル%共重合した、結晶融点171℃のもの)を20重量%加えた樹脂100重量部に、前述B−3を6重量部と同B−7を3重量部混合した組成物である。
C−4は、前述A−8を85重量%にエチレン(一部プロピレン)−一酸化炭素共重合体の水添共重合体(結晶融点220℃)を15重量%加えた樹脂100重量部に、前述B−3を4重量部と同B−4を3重量部混合した組成物である。
C−5は、前述A−7を80重量%に、ポリブチレンテレフタレート系共重合樹脂(アルコール成分として、1,4ブタンジオール80モル%、トリエチレングリコール19モル%、ポリテトラメチレングリコール1モル%を共重合したもの:結晶融点220℃、結晶化度40%)(以下、PEST−1という。)を20重量%を加えた樹脂100重量部に、前述B−6を4重量部と同B−7を3重量部混合した組成物である。
【0046】
又、製品その物、その包装性、その使用時特性、その他に関する本発明での、参考チェックポイントは、数値化が困難な、官能的な性能も含む以下の項目を出来るだけ満たすことである、
▲1▼小巻ロールのエージング保存性(30cm幅で50m巻きの箱に入れた製品を、30℃、関係湿度65%下で、30日保存時)で、ロール端部からの添加剤滲みだし、フィルムの適度な剥離性、フィルム表面のべとつき等に問題が無きこと、
▲2▼ロールの箱からの引き出し性、フィルム端部が伸び、静電気がひどく発生しなくて、手・箱等にステックしなく、且つフィルムが展張し易く手で掴みやすい事、引き出し抵抗性が適度で有ること、
▲3▼カツト性、フィルムが展張したままで皺がよる事なく、適度な抵抗で、心地良く(軽い音もたて)、伸びて永久変形する事なく、正確にカット出来る事、
▲4▼フィルム展張性、切断後のフィルムが皺よったり、重なったりする事なく、被包装物にうまくラッピング出来る事、
▲5▼密着性、容器(磁器、合成樹脂製とも)の種類にこだわる事無く、又は容器無しでも、フィルムー容器間、フィルムー被包装物間、フィルム間同士でも重なった部分が膨れあがることなく、密着する事、又それが低温保存中、加熱中でも外れてこない事、
▲6▼耐熱性、加熱中に、裂けたり、溶融して穴があいたり、フィルムが内圧に負けて伸び異常に膨れあがらない事、
▲7▼保存中及び加熱中に、味・衛生性、食品に臭い、添加剤が移ったり、フィルムの破片が混入したりしない事、
▲8▼加熱後、フィルムを簡単に除去出来やすい事、フィルム同士が溶着して剥離出来なく成ったり、場合により内容物に、又は容器(特に合成樹脂製)に溶着し汚さない事、
▲9▼使用後の廃棄処理に問題が少ない事等に、良い範囲で有る事が好ましい。
【0047】
【実施例1、2および比較例1、2】
下記表1に記載のごとく、表層(第1、第3層)に用いる、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)として、上述のA−4を70重量%にA−7を30重量%混合した該樹脂100重量部に、添加剤(B)として上述のB−1、B−6をB−1/B−6=1/1の混合比で混合したものを用い、次に内層(第2層)用の樹脂として、上述の樹脂D−3(A−8)のみを選定し、但し、比較例2には、内層にも上記添加剤を同量添加し、2台のそのスクリュー径が各々50mm径の押出機で、且つそのスクリューの長さ方向途中の混練り部を有する所に相当する、シリンダー部に注入口を有する押出機で、添加剤の所定量(重量部)を注入し、充分混練りし、その径が100mmφでそのスリットが1.0mmの2種3層構造を有する多層(3層)環状ダイより押し出し、各層の厚み比を、第1層/第2層/第3層の順に、30/40/30(各%)になるように設定し、チューブの内側に流動パラフィンを注入しておき、外側を冷媒(水)により急冷固化し、偏肉分散用の回転式ニップロールで引き取り、押し出し幅(周)方向の位置を流れ方向に分散(ツイスト)した、折り幅140mmの均一なチューブ状原反を作成した。ついで、これらの原反を、均一な状態で、アニール処理し、延伸工程での、2対の差動ニップロール間に通し、加熱ゾーンで、80℃の雰囲気下に通し加熱し、70℃の熱風雰囲気下の延伸ゾーンで、流れ方向出口部に設置してあるエヤー封入用ニップロールで内部に空気を圧入する事により、連続的に膨張バブルを形成させ、冷却ゾーンの延伸終了部で17℃の冷風を吹き付け、延伸を終了させ、次に流れ方向、上流側の出口部ニップロールを閉じ、内部の空気を閉じこめ連続的に、その延伸倍率が、ほぼ縦5.4倍、横4.8倍になるように同時2軸延伸し、次に該ニップロール及びその流れ方向上流部にあるデフレータで折りたたみ、次の工程で所定温度にそれぞれ制御したヒートセットゾーンに連続的に通し、次に巻き取り機で耳を切り取り、厚み約9.7μmの2枚のフィルムに巻き取った。
【0048】
延伸安定性は、比較例1,2の場合にはバブルの揺れが多くて不安定であつたのに比し、実施例1、2のフィルムの場合には安定で有った。次にこれらのフィルムを、30cm幅の紙管に約50m巻いた小巻ロールに仕上げ、市販の家庭用ラップの箱(旭化成工業(株)製 塩化ビニリデン系樹脂用専用箱)に入れ、包装テストを実施した。
【0049】
包装テストは、市販の電子レンジ加熱用磁器(又は、プラスチックス)製容器にライスを盛り上げ、その上にカレーを載せ、電子レンジで加熱時間を色々変えて、サンプル繰り返し数n=5で行った。最初に、上記フィルムを収納したそれぞれの箱でラッピングした。その結果、箱からの引き出し性は、実施例1、2のフィルムは、上記市販の塩化ビニリデン系樹脂製(以後、市販PVDCと略する。)の場合と同様に適度な抵抗で正確に所定量引き出せたが、比較例1(以後、比1と表す。)のフィルムは、箱から出過ぎたり、静電気が発生してあちこちにくっついたりして、好ましくなかった。比較例2(以後、同様に、比2と表す。)のフィルムは、明らかにべとつき過ぎで、箱の一部にくっいたり、手にまとわりついたり、不具合いであった。
【0050】
次に箱についている刃物でのカット性に関しては、実施例1,2のフィルムは、市販PVDC製と同様に、心地よく切れ、刃切れ性が良かった。比1は、フィルムの弾性率が高過ぎる為、又密着性がほとんど無い為に、カット時に、フィルムが箱先の押さえの部分に固定出来難く、ロールの巻芯部がブロッキングし引っ張り出し難かったり、局部的にずれ出てきたりして、刃先に食い込み難く、切断面が刃先から外れ斜めに裂けたりし、著しくカット性が悪かった。また、包装性が悪く(静電気でフィルム同士がくっいたり、どこか勝手な所にくっついたり、とは言っても肝心な容器、及びフィルム同士への密着性が全く無く、フィルムが広がってしまい包装を固定出来ない。)使いものに成らなかった。比2は、カット性は実施例に比し柔らかすぎやや物足りない感じはあつたが、べとつき、カット直後の、フィルムの展張保持性が悪く、オーバーラップ性がかえつて悪かつた。
【0051】
次に電子レンジでの加熱時では、比1はフィルムが、上記の様に密着しないので、水蒸気が漏れやすく、局部加熱に成りやすく、内容物が外にこぼれ安く、食品の味もまずく成ってしまつた。比2は、フィルムの収縮性が高く、密着部がずれて、フルムと容器が剥がれ易く、内容物(カレー)との接触部が、加熱時間がやや長い時は、破れ、又プラスチックス(PP;ポリプロピレン)製の容器の場合は、容器に部分的に溶着し、フィルムの剥離後に容器を汚してしまう事が見られた。実施例1、2のフィルムはこれらの不良現象はいずれも全くなく、良好に包装及び加熱ができ、後で容易にフィルムを剥離除去出来、且つ調理品の味も良好であり、本発明の好ましい範囲内の特性であった。
【0052】
【表1】
Figure 0004090122
【0053】
【実施例3、4、5、6】
2種3層の層構成、表層/内層/表層にて、それぞれの層構成比は35/30/35(各%)で、下記表2に記載のごとく、表層には各種前述の脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、内層には脂肪族ポリエステル系樹脂を主体とする樹脂(D)、表層用樹脂には液状添加物(B)を用いて、フィルムを作製した。用いた液状添加物(B)の混合比を、実施例3,4,5、6の順に表すと、B−1/B−3=1/3、B−2/B−5=2/3、B−3/B−7=3/1、B−4/B−5=1/1である。表2に記載のこれら所定量(樹脂100重量部に対し)を実施例1と同様な方法で添加し、延伸温度、延伸倍率、をそれぞれ調整し、実施例1と同様に加工し、平均厚み9.3μmの延伸フィルムを得た。延伸性はいずれも良く、大きな問題はなかつた。
これらのフィルムを、実施例1の場合と同様に包装テストを実施した。その結果引き出し性、カット性、展張性、オーバーラップ性、密着性、加熱性、その他を順次、テストしたが、特に問題は見られ無く、実施例1、2の場合と同様に本発明の好ましい範囲内で有った。
【0054】
【表2】
Figure 0004090122
【0055】
【実施例7】
実施例7は、実施例3のフィルムの回収品を回収層として利用し、これを上記実施例3の表層と内層の間に挿入し、3種5層構成として、表層/回収層/内層/回収層/表層で、それぞれの層構成比を25/10/30/10/25(各%)とし、延伸温度、延伸倍率をそれぞれ調整し、実施例3と同様に加工し、平均厚み9.3μmの延伸フィルムを得た。延伸性はいずれも良く、大きな問題はなかつた。このフィルムも好ましい範囲内のもので有り、加工性も含め、実施例3と大差なく諸特性ともいずれも好ましい範囲内に有った。
【0056】
【実施例8、9及び比較例3、4】
下記表3に記載のごとく、各種の前述の脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、(D)、及び液状添加剤(B)を選定し、2種3層構成で、表層/内層/表層、それぞれの層構成比率が、30/40/30(各%)にして、表層に添加する添加剤(B)は、実施例8では、樹脂100重量部に対しB−4を5重量部に、更にB−7を4重量部添加し使用、実施例9では、同様にB−2を3重量部に、B−5を4重量部添加使用した。また、比較例3では、B−3の同量を内層にも添加し、比較例4では、B−1を用いた。次に、これを実施例3と同様な方法で、延伸条件をそれぞれ選定し、同様に処理し、但し、比較例3の場合、延伸温度条件は低めにし、熱処理温度も低めに調整し実施した。また比較例4の場合、延伸倍率条件を高めにし、原反、フィルムで熱処理条件を制御し、それぞれ下記特性の、平均厚み約9.8μmのフィルムを得た。
【0057】
これらのフィルムを、実施例1と同様に評価した。その結果、実施例8、9は、何ら問題なく使用出来、いずれも本発明の好ましい範囲内で有った。比較例3のフィルムは、箱のロールからフィルムの引き出し性が悪く、また柔軟すぎてつかみ難く、歯切れ性も軽快で無かった。同様な電子レンジでの加熱テストでは、初期の水蒸気発生の段階で、フィルムが異常に膨れた後、収縮し、密着部が外れ易かったり、パンクし易かった。また加熱の後期で、カレーの具との接触部が溶融し穴があく、現象が見られた。また容器に部分的に溶けて融着し、容器を汚す傾向が有った。比較例4のフィルムは、フィルムの引張弾性率が高過ぎるため、パリパリし過ぎ、カット時に刃先と別の方向に裂けやすく、且つ、容器への密着時、フィルム重なり部が戻り、ゆるみ易かった。また加熱時も、フィルムの収縮応力が高いためか、容器外壁部で局部的にゆるみ易かった。また、ゆるまない時は、内容物との接触部から時々破れる場合が有った。また、プラスチックス(PP)製容器では、容器が変形する場合があった。
【0058】
【表3】
Figure 0004090122
【0059】
[実施例10、11、参考例1、2
下記表4に記載のごとく、2種3層の層構成で、それぞれの層構成比が表層/内層/表層で35/30/35(各%)にし、表層には、各脂肪族ポリエステル系樹脂に、他の熱可塑性樹脂を所定量加え、更に該添加剤(B)を所定量混合して前述の樹脂組成物(C)を作成し、内層の樹脂には、各脂肪族ポリエステル系樹脂(D)を使用し、実施例1と同様に、加工し、平均厚み約9.6μmのフィルムを得た。これらのフィルムを、実施例1と同様に評価した。いずれも同様に大きな問題は無く良好に、包装及び加熱処理が出来、本発明の好ましい範囲内の性能であった。
【0060】
【表4】
Figure 0004090122
【0061】
[実施例12
表層用の脂肪族ポリエステル系樹脂(A)として、前述のA−1、内層用の脂肪族ポリエステル系樹脂(D)として前述のD−2、中間層用のその他の樹脂として上記PEST−1、表層用の該添加剤(B)として、B−6を8重量部、B−1を2重量部(表層用樹脂100重量部に対して)を用いた。3種の樹脂をそれぞれに別に、同様な三台の押し出し機を用いて前述同様に混合し、多層環状ダイより3種5層状(A−1/D−2/PEST−1/D−2/A−1:層構成比は15/20/30/20/15:それぞれ%)に押し出し、実施例1と同様に、平均厚み約9μmの延伸フィルムに加工した。その特性は、「引張弾性率/加熱収縮率/加熱収縮応力/耐熱性/密着仕事量/フィルム結晶化度(D-2層)」の順に表して、「65/14/150/195/16/45(それぞれ前述の単位は略す。)」であつた。各包装テストも大きな問題は無く、実施例1と同様に本発明の好ましい範囲内であった。
【0062】
[実施例13
中芯層(第3層)を、該添加剤(B)を加えない、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(メルトインデックス:0.8、密度:0.928g/cm3 )にして、原反に電子線(エネルギー:500KV)で照射線量6メガラドの処理をした以外は、実施例12と同様に加工して、平均厚み約9.8μmの延伸フィルムとした。その特性は、上記と同様の順に、「45/24/190/200/16/43(それぞれ前述の単位は略す。)」であつた。各包装テストも、上記同様に好ましい範囲内であり、大きな問題が見られ無く、本発明の好ましい範囲内のものであった。
【0063】
参考例3
表層(第1、第5層)用の脂肪族ポリエステル系樹脂(A)として、前述のA−4に、添加剤(B)としてB−8を5重量部、B−4を3重量部添加し(表層用樹脂100重量部に対して)、中間層(第2、第4層)として、前述のC−5を使用し、中心層(第3層)に前述のD−5を使用し、実施例12と同様に多層環状ダイにより3種5層状(A−4/C−5/D−5/C−5/A−4)、各層構成比(15/20/30/20/15:それぞれ%)に押し出し加工し、平均厚み9.8μmの延伸フィルムを得た。その特性は、上記と同様の順に記し、「80/12/160/170/18/40(それぞれ前述の単位は略す。)」であつた。各包装テストも大きな問題は見られず、その他諸特性も実施例1と同様に好ましい範囲内のものであった。
【0064】
【発明の効果】
本発明により、環境・衛生的に優れた脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする、各種容器包装用、ラッピング包装用、特に加熱使用に好適な密着多層耐熱ラップフィルムの提供が可能になった。該ラップフィルムは家庭用ラップフィルムとして有用であり、産業上、大いに有用である。

Claims (4)

  1. グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸を含む2−ヒドロキシ−2,2−ジアルキル酢酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸から選ばれる一種以上の単量体よりなる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対し、脂肪族系アルコール、脂環族系アルコール、これらの多価アルコール、及びこれらの縮重合物から選ばれる少なくとも1種のアルコール成分と脂肪族脂肪酸、脂肪族(多価)カルボン酸、芳香族(多価)カルボン酸から選ばれる少なくとも1種の酸成分とのエステル、脂肪族ヒドロキシカルボン酸とアルコール又は脂肪酸とのエステル、及びこれらエステルの変性物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びそのエステル、脂肪族ポリエステルのオリゴマー、ミネラルオイル、流動パラフィン、飽和炭化水素化合物よりなる低重合物からなる群から選択される少なくとも1種の可塑剤からなる液状添加剤(B)を1重量部〜20重量部を含む樹脂組成物(C)からなる層を表層に少なくとも1層と、上記脂肪族ポリエステル系樹脂の内、結晶融点が140℃〜235℃の脂肪族ポリエステル系樹脂(D)100重量部に対し、上記液状添加剤(B)を1重量部未満含有する若しくは含有しない層を少なくとも内層として1層有する、上記内層が表層よりその結晶融点が高い、少なくとも2層からなる延伸フィルムであって、フィルムの結晶化度が10〜70%、引張弾性率が20kg/mm2 〜150kg/mm2 、耐熱性が120℃以上であることを特徴とする密着性多層耐熱ラップフィルム。
  2. 100℃における加熱収縮率X%と加熱収縮応力Yg/mm2 、及びその両者の関係が、下記、式(1)、式(2)及び式(3)の範囲内にある事を特徴とする、請求項1記載の密着性多層耐熱ラップフィルム。
    Y≦(1400−20X)/3(1)
    2≦X≦45(2)
    5≦Y≦350(3)
  3. 樹脂組成物(C)からなる1層又は2層以上の合計厚みが全厚みの5%〜95%であり、樹脂(D)からなる1層又は2層以上の合計厚みが全厚みの95%〜5%であることを特徴とする、請求項1記載の密着性多層耐熱ラップフィルム。
  4. 樹脂組成物(C)からなる層と、樹脂(D)からなる層の合計厚みが全厚みの10%〜95%であり、該樹脂組成物(C)の構成成分である脂肪族ポリエステル系樹脂を除く脂肪族ポリエステル系樹脂、カプロラクトン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(PO)、芳香族系の誘導体を含むポリエステル系樹脂(PEST)、エチレン−ビニルアルコール系共重合樹脂(EVOH)、ポリアミド系樹脂(PA)、エチレン(又は、他の少なくとも一種のα−オレフィンを含む。)−一酸化炭素系共重合樹脂(含同水添樹脂)、エチレン(又は、他の少なくとも一種のα−オレフィンを含む。)−環状炭化水素共重合樹脂(含同水添樹脂)からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂からなる層の合計厚みが全厚みの5%〜90%であることを特徴とする、請求項1記載の密着性多層耐熱ラップフィルム。
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