JP4090101B2 - 歯科用高温石膏系埋没材 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,歯科用の金属補填物を精密鋳造する際に用いることができる,歯科用高温石膏系埋没材に関する。
【0002】
【従来技術】
歯科用の金属補填物は,寸法精度の優れた精密鋳造法であるロストワックス法により作製されている。このロストワックス法を行うに当たっては,鋳造用埋没材(いわゆる鋳型材)として,石膏系とリン酸塩系の2種類の埋没材が使用されている。
【0003】
従来,石膏系埋没材は,主に,金合金,銀合金などの比較的溶融温度の低い合金(低融点合金)に,一方,リン酸塩系埋没材は,主に,歯科用のプレシャス系,セミプレシャス系合金という比較的溶融温度の高い合金(高融点合金)の鋳造に使用されていた。
【0004】
【解決しようとする課題】
ところで,高融点合金用のリン酸塩系埋没材は,使用時に粘性の高いコロイドシリカ溶液を用いる必要があるので,操作性に難がある。また,リン酸塩系埋没材は,凝結膨張が不均一であるのでワックスパターンが変形すること,あるいは鋳型強度が大きすぎて掘り出す時に鋳造体を破損する等の欠点を有している。
【0005】
一方,従来の石膏系埋没材は,適度な強度の鋳型を構成することができるので,得られる鋳造体を破損することなく掘り出すことができる。そのため,歯科用金属補填物を製造するに当たっては,寸法精度,形状性等を考慮すれば,リン酸塩系埋没材よりも石膏系埋没材の方が好ましいと考えられる。
【0006】
しかしながら,石膏系埋没材を高融点合金の鋳造に用いた場合には,高融点合金の溶湯が石膏と接触することにより石膏が熱分解してガスが発生し,焼き付きや鋳巣の原因となる。
特に,鋳込温度が1400℃以上であり,かつ埋没材中における鋳物の高温保持時間が長い場合には,石膏の熱分解を抑制することが不可能となり,その発生ガスによる鋳巣等の鋳造不良が多発するようになる。
従来,上記石膏の熱分解の問題を克服しようとする公知技術としては,特開平9−220638号公報,特願平8−289359号に開示された技術がある。
【0007】
特開平9−220638号公報においては,石膏の分解抑制剤として,コバルト化合物,チタン化合物,タングステン化合物,ニッケル化合物,クロム化合物,マンガン化合物,亜鉛化合物,セレン化合物,スズ化合物が例示されている。
また,特願平8−289359号においては,石膏の分解抑制剤として,含水無晶形二酸化ケイ素,硫酸マグネシウム7水和物が例示されている。
【0008】
しかしながら,上記両先行技術は,鋳型内に残存ワックス等の炭素が存在する場合にはその効果が半減してしまう。そのため,鋳型内に炭素が残存している場合には,上記分解抑制剤を添加してあっても,高融点合金を鋳込んだ際の石膏の熱分解を抑制しきれずに,鋳造体に鋳巣等の鋳造欠陥が生ずる場合がある。
【0009】
なお,上記の炭素存在化における熱分解は,主として,次のような分解式により生じることが知られている。即ち,下記(1)式及び(2)式の反応がそれぞれ生じて全体としては(3)式のごとく石膏の熱分解反応が進行する。
また,この分解は1000℃以上の温度で起こりやすい。
【0010】
【0011】
一方,高融点金属用埋没材としては,他に,アルミナセメント系埋没材が知られている(特開平6−92818号公報)。しかしながらこのアルミナセメント系埋没材は硬化速度が遅い等の問題があり,歯科用金属補填材の埋没材としては適さない。
【0012】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,残存ワックス等の炭素が存在する場合においても,石膏の熱分解を抑制することができ,優れた品質の鋳造品を得ることができる歯科用高温石膏系埋没材を提供しようとするものである。
【0013】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,金属酸化物よりなる耐熱材と,半水石膏と,炭素を酸化させるための炭素酸化剤とよりなり,該炭素酸化剤は,硝酸アンモニウム,硝酸リチウムのいずれか一方又は双方であることを特徴とする歯科用高温石膏系埋没材にある。
【0014】
本発明において最も注目すべきことは,上記耐熱材と半水石膏のほかに,上記炭素酸化剤を含んでいることである。
上記炭素酸化剤は,上記のごとく,炭素を酸化させることができる炭素酸化剤であり,後述する種々の炭素酸化剤を適用することができる。
【0015】
また,この炭素酸化剤の添加量は,1〜3重量部であることが好ましい。
1重量部未満の場合には,熱分解反応抑制効果が十分に発揮されないおそれがある。一方,3重量部を超える場合には埋没材の硬化不良が生じるという問題がある。
【0016】
また上記耐熱材としては,例えば,アルミナ,マグネシア,ジルコニア,合成珪酸アルミニウム等があり,これらから1種又は2種以上選択して適用することができる。
また,上記半水石膏は結合材の役割を果たす。
【0017】
次に,本発明の作用につき説明する。
本発明の歯科用高温石膏系埋没材においては,上記炭素を酸化させることができる炭素酸化剤を含有している。そのため,本発明の歯科用高温石膏系埋没材を用いれば,高融点合金の鋳造においても石膏の熱分解反応を従来よりも大幅に抑制することができ,優れた品質の鋳造品を得ることができる。
【0018】
即ち,歯科用金属補填物は,上述したごとく,プレシャス系,セミプレシャス系等の高融点金属を用いてロストワックス鋳造法により作製する。従来,その埋没材として石膏系埋没材を用いた場合には,上記高融点金属の溶湯が石膏と接触した際に石膏の熱分解反応が発生し,焼き付きや鋳巣の原因となっていた。
【0019】
しかしながら,本発明においては,上記のごとく,上記炭素酸化剤を含有している。この炭素酸化剤は,上記石膏の熱分解反応に寄与される炭素を積極的に酸化させる。そのため,上記石膏の熱分解反応に供される炭素を欠乏させることができる。それ故,熱分解反応を従来よりも大幅に抑制することができる。
【0020】
したがって,本発明の歯科用高温石膏系埋没材を用いれば,形状,寸法精度が良好であると共に鋳巣等の品質欠陥のない優れた歯科用金属補填材を製造することができる。
【0021】
次に,上記炭素酸化剤は,硝酸アンモニウム,硝酸リチウムのいずれか一方又は双方であることが特に好ましい。これらの材料を用いた場合には,後述する実施形態例にも示すごとく,炭素酸化剤としての上記作用効果を確実に発揮させることができる。
【0022】
また,請求項2の発明は,金属酸化物よりなる耐熱材と,半水石膏と,炭素を酸化させるための炭素酸化剤とよりなり,該炭素酸化剤は,硝酸ナトリウム,硝酸カリウム,硝酸マグネシウム,硝酸カルシウム,硝酸ストロンチウム,硝酸バリウム,過マンガン酸カリウム,過塩素酸カリウムより選択される1又は2以上のものであることを特徴とする歯科用高温石膏系埋没材にある。この場合にも上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
実施形態例
本発明の実施形態例にかかる歯科用高温石膏系埋没材につき,表1を用いて説明する。
本例においては,表1に示すごとく,本発明品として14種類の歯科用高温石膏系埋没材(試料No.E1〜E14)を準備すると共に,比較用の2種類の石膏系埋没材(試料No.C1,C2)を準備した。そして,これらの埋没材を利用して得られた歯科用金属補填物の品質を比較した。
【0024】
まず,本発明品(試料No.E1〜E14)は,いずれも,金属酸化物よりなる耐熱材と,半水石膏と,炭素を酸化させるための炭素酸化剤とよりなる。
上記耐熱材としては,表1に示すごとく,スピネル構造を有する酸化マグネシウムとアルミナとの混合物(MgO+Al2 O3 ),あるいはアルミナ(Al2 O3 )を70重量部の割合で含有させて用いた。
【0025】
また,上記半水石膏は,表1に示すごとく,いずれも30重量部の割合で含有させた。
また,炭素酸化剤としては,表1に示すごとく,種々の種類の材料を用いた。なお,E6及びE8については,2種類の炭素酸化剤を同量混合して用いた。また,炭素酸化剤の添加量は,3重量部を基本とし,E1及びE3のみ1重量部とした,。
【0026】
また,表1に示すごとく,比較試料のC1は,耐熱材としてMgO+Al2 O3 を用いた本発明品から炭素酸化剤を除いたものであり,C2は耐熱材としてAl2 O3 を用いた本発明品から炭素酸化剤を除いたものである。
【0027】
次に,上記組成の各埋没材を用いて歯科用金属補填物を作製するための鋳型を作製した。具体的には,まず上記各埋没材を30重量部の水と混合してスラリー状とし,これをワックスにより作製した原型(ワックスパターン)の周囲に流し込んだ。次いで埋没材が固化した後にこれを焼成すると共にワックスを除去して鋳型を作製した。
なお,この焼成時の条件はいずれの試料も同様とし,鋳型内への残存ワックス量等に極力バラツキがないように注意した。
【0028】
次いで,高融点金属の溶湯を上記鋳型に流し込んで歯科用金属補填物を作製した。本例においては,高融点金属として,陶材焼付用合金であるNi−Cr合金と,プレシャス合金又はセミプレシャス合金(PR系)を用い,それぞれについて得られた鋳造品(歯科用金属補填物)の鋳造性及び表面性状を評価した。
【0029】
また,上記溶湯の鋳込は,歯科用金属補填物の鋳込に通常用いられている遠心鋳造法により行った。
なお鋳込温度は,Ni−Cr合金は1300〜1400℃,PR系は1100〜1300℃とした。
また,この鋳込試験は,それぞれの金属毎に5回行った。
【0030】
ここで,上記鋳造性は,得られた鋳造品にへこみ,穴,欠け,すじ傷等の有無により判断し,これらの欠陥が全く生じなかった場合を◎,欠陥の発生が2回以下の場合を○,それ以外を×として評価した。
また,上記表面性状は,光沢,ざらつき等の外観を目視により合格(○),不合格(×)の2段階で評価した。
これらの評価結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1より知られるごとく,本発明品(E1〜E14)はすべて,比較品(C1,C2)よりも優れた特性を発揮した。特に,上記炭素酸化剤として硝酸リチウム又は硝酸アンモニウムを用いた場合(E1〜E4)は,その添加量が1重量部であっても3重量部であっても,いずれも非常に優れた鋳造性を示した。
【0033】
また,本発明品(E1〜E14)は,いずれも,溶湯鋳込時において石膏の熱分解に起因するようなガスの発生がほとんど見られなかった。これに対し,比較品(C1,C2)は,いずれも鋳込時に石膏の熱分解に起因する激しいガスの発生が見られた。この石膏の熱分解によるガスの発生の有無が,上記鋳造正当の結果にはっきりと現れたといえる。
【0034】
以上の結果から,上記炭素酸化剤を含有させた本発明の歯科用高温石膏系埋没材を用いれば,高融点金属であっても非常に優れた品質を有する鋳造品に仕上げることができるということがわかる。また,このことから,本発明の歯科用高温石膏系埋没材が,品質要求レベルの高い歯科用金属補填物の製造に非常に適していることがわかる。
【0035】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,残存ワックス等の炭素が存在する場合においても,石膏の熱分解を抑制することができ,優れた品質の鋳造品を得ることができる歯科用高温石膏系埋没材を提供することができる。
Claims (2)
- 金属酸化物よりなる耐熱材と,半水石膏と,炭素を酸化させるための炭素酸化剤とよりなり,
該炭素酸化剤は,硝酸アンモニウム,硝酸リチウムのいずれか一方又は双方であることを特徴とする歯科用高温石膏系埋没材。 - 金属酸化物よりなる耐熱材と,半水石膏と,炭素を酸化させるための炭素酸化剤とよりなり,
該炭素酸化剤は,硝酸ナトリウム,硝酸カリウム,硝酸マグネシウム,硝酸カルシウム,硝酸ストロンチウム,硝酸バリウム,過マンガン酸カリウム,過塩素酸カリウムより選択される1又は2以上のものであることを特徴とする歯科用高温石膏系埋没材。
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